JP2012207151A - ポリエチレン樹脂組成物および容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】直鎖状低密度ポリエチレン(A)と高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(B)とを含有し、下記の要件(1)、(2)および(3)の全てを充足するポリエチレン樹脂組成物。
(1)スウェル比が1.40〜1.80であること。
(2)190℃の溶融張力が11〜18cNであること。
(3)110℃以下の融解成分割合が90〜98%であること。
【選択図】なし
Description
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、耐ピンホール性、すべり性に優れ、不透明な容器の原料となるポリエチレン樹脂組成物および、耐ピンホール性、すべり性に優れ、不透明な容器を提供することにある。
(1)スウェル比が1.40〜1.80であること。
(2)190℃の溶融張力が11〜18cNであること。
(3)110℃以下の融解成分割合が90〜98%であること。
該SRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)を測定時に押出しされたストランドの直径Dを測定し、ストランドの直径Dをオリフィスの直径D0で除した値をスウェル比(SR)の値とした。
直鎖状低密度ポリエチレンのMFRが大きいほど、また、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンの含量が多く、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンのPSt換算分子量100万以上の割合が高いほど、スウェル比は大きくすることができる。
本発明で用いられるポリエチレン樹脂組成物の190℃の溶融張力(MT190)とは、190℃の温度および0.32g/分の押出速度で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから溶融した樹脂組成物を押出し、押出された溶融した樹脂組成物を6.3(m/分)/分の引取上昇速度でフィラメント状に引取る際の張力において、引取開始からフィラメント状のエチレン−α−オレフィン共重合体が切断されるまでの間の最大張力(単位:cN)である。
ポリエチレン樹脂組成物の溶融張力は、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRが小さいほど、また、ラジカル重合法低密度ポリエチレンの分子量分布が大きいほど、大きくすることができる。
該樹脂組成物の耐ピンホール性を向上させるという観点から、該樹脂組成物のHL110は、好ましくは91%以上であり、より好ましくは93%以上である。また、該樹脂組成物の耐熱性を向上させるという観点から、該樹脂組成物のHL110は、好ましくはで97%以下であり、より好ましくは95%以下である。
110℃以下の融解成分割合(HL110)は、DSCを用いて樹脂組成物の融解熱量測定を行い、110℃以下で融解する成分による融解熱量を全融解熱量で除した値として表される。
樹脂組成物の110℃以下の融解成分割合(HL110)は、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が低いほど、また、ラジカル重合法低密度ポリエチレンの含有量が多いほど、高めることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、直鎖状低密度ポリエチレン中のα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量を増減することにより調整できる。α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量を増加することにより密度は低下させることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートは、後述する製造方法において、例えば、水素濃度または重合温度により変更することができ、水素濃度または重合温度を高くすると、直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートが大きくなる。
(1)シクロペンタジエン形骨格を有する基を有する遷移金属化合物を含む成分と、アルモキサン化合物とを含む成分からなる触媒
(2)前記遷移金属化合物を含む成分と、トリチルボレート、アニリニウムボレート等のイオン性化合物とを含む成分からなる触媒
(3)前記遷移金属化合物を含む成分と、前記イオン性化合物を含む成分と、有機アルミニウム化合物とを含む成分からなる触媒
(4)前記の各成分をSiO2、Al2O3等の無機粒子状担体や、エチレン、スチレン等のオレフィン重合体等の粒子状ポリマー担体に担持または含浸させて得られる触媒
なお、該分子量分布(Mw/Mn)の値は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ法によって得られる分子量分布曲線から、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求め、MwをMnで除することにより得られる。
該添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー、酸素吸収剤、離型剤があげられる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を容器に成形する方法としては、中空成形法あるいはフィルムまたはシートを熱成形し、熱成形体同士をシールして容器とする方法が好ましく、中空成形法がより好ましい。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.82N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(H−MFR)と、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)とを測定し、H−MFRをMFRで除した値を求めた。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
上記の分子量分布の測定により得られたクロマトグラムの試料溶出ピーク全体の重量分率を100重量%とし、溶出ピークの内、ポリスチレン換算の重量平均分子量が100万以上である成分の重量割合をポリスチレン換算の重量平均分子量が100万以上である成分の割合とした。
東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、190℃の温度および0.32g/分の押出速度で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから樹脂組成物造粒品を溶融押出し、該溶融押出されたものを引取ロールにより6.3(m/分)/分の引取上昇速度でフィラメント状に引取り、引取る際の張力を測定した。引取開始からフィラメント状のエチレン−α−オレフィン共重合体が切断するまでの間の最大張力を190℃溶融張力とした。
JIS K7210−1995に規定されたMFRを測定する方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、メルトフローレート測定時に押出しされたストランドの直径Dを測定し、オリフィスの直径D0とストランドの直径Dの比(D/D0)をスウェル比(SR)の値とした。
パーキンエルマー社製Diamond DSCを用いて測定を行った。試料量4〜10mgをアルミパンに入れ測定に用いた。温度プログラムは、150℃で5分間保持した後、降温速度5℃/分で150℃から20℃に冷却し、20℃で2分保持し、その後に昇温速度5℃/分で、20℃から150℃まで昇温を行い、この昇温時における融解熱量の測定を行った。融解による吸熱がみられなくなり平坦になった温度と25℃とを結ぶベースラインからの融解熱量を全融解熱量(W全融解)とした。全融解熱量と同じベースラインを用い25℃から110℃までの融解熱量を(W110)とした。110℃以下の融解成分割合(HL110)は次の式から求めた。
HL110(%)=(W110)/(W全融解)×100(%)
テスター産業社製ゲルボフレックステスターを用いて、フィルム試料(282.6mm×220mm)を直径88.9mmφの固定ヘッドと間隔177.8mmの稼動ヘッドに取り付け、稼動ヘッドのストローク152.4mmで、82.6mm進みながら400°捩じりを加えた後62.5mm直進させ、速度40回/分の速度で、23℃に調整した雰囲気下で、10000回往復運動を加えた。
上質紙上に置いた試料の上に10体積%のエチルアルコール水溶液に0.4%のメチレンブルーを溶かした溶液をローラーで塗布し、上質紙上に発生した青色斑点を数えピンホール数を求めた。測定は2回行い、平均値をピンホール数とした。ピンホール数が少ないほど耐ピンホール性に優れることを示す。
東洋精機製の傾斜式の摩擦測定器を用いて測定を行った。フィルム試料を、100mm×65mmに2枚切り出し、一枚を傾斜板にしわにならないように、もう一枚をスレッドに、フィルム外面同士が接するように貼り付けた。スレッドに重りを加え1kgとし、傾斜板を水平から2.7°/秒の速度で上昇させた。スレッドが滑りスイッチが作動し傾斜板が停止した時点の傾斜角θを測定し、tanθで表した。この値が小さいほどすべり性が良好であることを示す。
フィルム試料の透明性をASTM D1003に従って測定した。この値が大きいほど不透明であることを示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)としてメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン スミカセンE FV103(住友化学製;以下LL−1と略す;物性を表1に示す)を用い、高圧ラジカル重合法ポリエチレン(B)として、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン スミカセン G202(住友化学製;以下LD−1と略す;物性を表1に示す)を用い、表2に記載の含有量で、ペレット同士を回転式混合機を用いて混合し樹脂組成物Aを得た。
得られた樹脂組成物Aをスクリュー径30mmφの押出機を用いて、210℃で押出を行い樹脂組成物造粒品を得て物性を表3に示した。
得られた樹脂組成物Aをスクリュー径50mmφの押出機、ダイ径125mmφ、リップ開度2.0mmのインフレーションフィルム成形機(プラコー社製)により、加工温度170℃、押出量20kg/hr、ブロー比1.8の条件で厚み80μmのフィルムを成形した。フィルムの物性評価結果を表4に示した。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)としてチーグラーナッタ系触媒直鎖状低密度ポリエチレン スミカセンHiα CW2007(住友化学製;以下LL−2と略す;物性を表1に示す)を用い、実施例1と同様にして表2に示す樹脂組成物Bを得た。実施例1と同様に得た樹脂組成物造粒品の物性を表3に示し、実施例1と同様にフィルム成形を行い得られたフィルムの物性を表4に示した。
実施例1において、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンLD−1の代わりに高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン スミカセン F102−0(住友化学製;以下LD−2と略す;物性を表1に示す)を用い、実施例1と同様にして表2に示す樹脂組成物Cを得た。実施例1と同様に得た樹脂組成物造粒品の物性を表3に示し、実施例1と同様にフィルム成形を行い得られたフィルムの物性を表4に示した。
比較例1においてLL−1とLD−2の含有量を変更した以外は、実施例1と同様にして表2に示す樹脂組成物Dを得た。実施例1と同様に得た樹脂組成物造粒品の物性を表3に示し、実施例1と同様にフィルム成形を行い得られたフィルムの物性を表4に示した。
Claims (3)
- 直鎖状低密度ポリエチレン(A)と高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(B)とを含有し、下記の要件(1)、(2)および(3)の全てを充足するポリエチレン樹脂組成物。
(1)スウェル比が1.40〜1.80であること。
(2)190℃の溶融張力が11〜18cNであること。
(3)110℃以下の融解成分割合が90〜98%であること。 - 直鎖状低密度ポリエチレン(A)が下記の要件(A1)および(A2)を充足し、かつ高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(B)が下記要件(B1)、(B2)および(B3)の全てを充足し、直鎖状低密度ポリエチレン(A)と高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(B)の合計量を100重量%として、直鎖状低密度ポリエチレン(A)の含有量が20〜45重量%、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン(B)の含有量が55〜80重量%である請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)
(A1)メルトフローレートが0.1〜3.5g/10分であること。
(A2)密度が880〜930kg/m3であること。
高圧ラジカル重合法ポリエチレン(B)
(B1)メルトフローレートが0.1〜3.5g/10分であること。
(B2)分子量分布が8〜20であること。
(B3)ポリスチレン換算の重量平均分子量が100万以上である成分の割合が10〜30重量%であること。 - 請求項1または2に記載のポリエチレン樹脂組成物を成形してなる容器。
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