JP2012206344A - 感熱転写記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材10の一方の面に耐熱滑性層40、他方の面に下引き層20、染料層30を順次形成した感熱転写記録媒体。下引き層20は、少なくともビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体を含む水溶性高分子と、一般式R’Si(OR)3(R’:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表せる3官能オルガノシランあるいは前記オルガノシランの加水分解物と、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との複合物と、一般式M(OR)n(M:金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは前記金属アルコキシドの加水分解物を添加した塗布液を塗布、乾燥して形成される。
【選択図】図1
Description
シドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表せる3官能オルガノシランあるいは前記オルガノシランの加水分解物と、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との複合物と、一般式M(OR)nM:金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは前記金属アルコキシドの加水分解物の添加物による重縮合物は、少なくともビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体を含む水溶性高分子だけでは不足する高速印画時における転写感度の向上をもたらすと考えられ、前記下引き層の一般式R’Si(OR)3(R’:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表せる3官能オルガノシランあるいは前記オルガノシランの加水分解物と、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との複合物と、一般式M (OR)n(M:金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは前記金属アルコキシドの加水分解物の添加物と、少なくともビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体を含む水溶性高分子との複合体は、水溶性高分子だけでは劣る高温・高湿下に保存後における異常転写に関して、改善をもたらすものと考えられる。
前記基材10としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能であるが、中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、その厚さは、操作性、加工性を考慮し、2〜50μmの範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2〜9μm程度のものが好ましい。
(R’:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)
前記水溶性高分子の一例を挙げると、ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体、ポリビニルアルコール、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。その中でもポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体、ポリビニルアルコールが好ましく、より好ましくはポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体である。共重合比は、ポリピロリドンが20〜80質量%が好ましい。更に好ましくは、30〜70質量%である。なお、水溶性高分子として、ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体とは別に、ポリビニルアルコールも含まれていてもかまわない。更に、ここでいうポリビニルアルコールは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存しているいわゆる部分けん化ポリビニルアルコールから、酢酸基が数%しか残存していないいわゆる完全けん化ポリビニルアルコールまでを含み、特に限定されるものではない。
(R’はアルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基等、Rはアルキル基等)
また、アクリルポリオールとは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もくしは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
(受像紙基材)
受像紙基材としては、セルロースパルプを主成分とする紙類が使用できる。紙類としては、コート紙、アート紙、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、グラシン紙などが挙げられる。
更に、前記受像紙基材上に、中空粒子と接着成分を含有する断熱層を形成することが好ましい。熱転写方式の印画は、サーマルヘッドからの加熱により行われ、サーマルヘッドと受像紙基材の密着性が良好なことが要求される。断熱層を有する受像紙基材は、クッション性があるために、サーマルヘッドとの密着性が向上し、印画の際により均一な画像を得ることが可能である。断熱層で使用される中空粒子の壁を形成する材料としてアクリロニトリル、塩化ビニリデン、スチレンアクリル酸エステルの重合体等が好ましく使用される。中空粒子の製造方法としては、樹脂粒子中にブタンガス等の発泡剤を封入し、加熱発泡させる方式や、エマルジョン重合方式などが挙げられる。加熱発泡させる方式としては、中空粒子を予め過熱処理によって発泡させた既発泡中空粒子を用いる場合と、未発泡の粒子を含有した断熱層を塗工などにより形成した後、乾燥工程などの加熱処理によって断熱層中に中空構造を形成する場合がある。中空粒子の中空率や粒子径を一定に制御することが容易な点から、一般的には既発泡粒子を用いることが好ましい。
受像層で使用される染着性樹脂としては、染料に対する親和性が高く、染料染着性の良好な熱可塑性樹脂を使用する。
上記各塗布層には、一般の塗被紙製造において使用される濡れ剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。各塗布層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、及びスライドビードコーター等の公知のコーターを使用して、所定の塗工液を各層毎、或いは2層以上を同時に塗工、乾燥して形成することができる。
A) 希釈溶媒中、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン(以下EETMSと略す)とアクリルポリオールをEETMSに対し、5.0倍量(重量比)量とり混合し、更に触媒として塩化錫(SnCl2)/メタノール溶液(0.003mol/gに調液したもの)をEETMSに対し1/135molになるように添加し攪拌する。ついでイソシアネート化合物としてトリイジルイソシアネート(以下TDIと略す)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた混合溶液を任意の濃度に希釈したものを複合溶液Aとする。
基材10として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層付き基材を得た。
アクリルポリオール樹脂 12.5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・リン酸エステル 2.5部
タルク 6.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.0部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
<被転写体の作製>
<受像紙基材の用意>
受像紙基材として、厚さ180g/m2のアート紙を用いた。
前記受像紙基材の上に、下記組成断熱層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が10g/m2になるように塗布、乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、断熱層付き受像紙を得た。
アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる既発泡中空粒子 45部
(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%)
ポリビニルアルコール 10部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂分散物 45部
(塩化ビニル/酢酸ビニル=70/30、Tg64℃)
水 200部
<受像層の形成>
前記断熱層上に、下記組成受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が4g/m2になるように塗布、乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、受像層を得た。
ウレタン樹脂 97部
(ガラス転移温度:−20℃)
会合型ウレタン系増粘剤 1部
スルホン酸系界面活性剤 2部
水 200部
(実施例1)
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.2g/m2になるように塗布、乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、その下引き層20の上に、下記組成の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層30を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体を得た。
複合溶液Aの固形分 6.2部
ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 1.1部
〔共重合比(モル比):1/1〕
ポリビニルアルコール 1.1部
0.1N塩酸 53.8部
純水 33.9部
イソプロピルアルコール 3.9部
<染料層塗布液>
C.I.ソルベントブルー63 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂 4.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
(実施例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層20を下記組成の下引き層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録転写媒体を得た。
複合溶液Aの固形分 6.2部
ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 2.2部
〔共重合比(モル比):1/1〕
0.1N塩酸 53.8部
純水 33.9部
イソプロピルアルコール 3.9部
(実施例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層20を下記組成の下引き層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録転写媒体を得た。
複合溶液Bの固形分 1.8部
ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 1.2部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 64.0部
エチルアルコール 29.1部
イソプロピルアルコール 3.9部
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層20を乾燥後の塗布量が0.05g/m2になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録転写媒体を得た。
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層20を乾燥後の塗布量が0.35g/m2になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録転写媒体を得た。
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下引き層20を形成することなく、易接着処理面の上に、実施例1と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層30を形成し、比較例1の感熱転写記録媒体を得た。
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−4を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.2g/m2になるように塗布、乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、その下引き層20の上に、実施例1と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層30を形成し、比較例2の感熱転写記録媒体を得た。
ポリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 3.0部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 87.3部
イソプロピルアルコール 9.7部
(比較例3)
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−5を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.2g/m2になるように塗布、乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、その下引き層20の上に、実施例1と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層30を形成し、比較例3の感熱転写記録媒体を得た。
複合溶液Aの固形分 6.2部
ポリビニルアルコール 2.2部
0.1N塩酸 53.8部
純水 33.9部
イソプロピルアルコール 3.9部
(比較例4)
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−6を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.2g/m2になるように塗布、乾燥することで、下引き層20を形成した。引き続き、その下引き層20の上に、実施例1と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.7g/m2になるように塗布、乾燥することで、染料層を形成し、比較例4の感熱転写記録媒体を得た。
エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン 10.4部
0.1N塩酸 89.6部
<常温における染料層の密着性評価>
実施例1〜5、比較例1〜4の感熱転写記録媒体に関して、常温にて保存された感熱転写記録媒体の染料層の上に、幅18mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層30の付着の有無を調べることにより評価した結果を表1に示す。
△:染料層の付着が、ごく僅かに認められる
×:染料層の付着が、全面で認められる
<高温・高湿保存後における染料層の密着性評価>
実施例1〜5、比較例1〜4の感熱転写記録媒体に関して、40℃90%RH環境下に72時間保存された後、常温にて更に24時間保存された感熱転写記録媒体の染料層30の上に、幅18mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層30の付着の有無を調べることにより評価した結果を、表1に示す。なお、評価は、前記の常温における評価と同基準にて行った。
実施例1〜5、比較例1〜4の感熱転写記録媒体に関して、常温にて保存された感熱転写記録媒体、および40℃90%RH環境下に72時間保存された後、常温にて更に24時間保存された感熱転写記録媒体と被転写体を使用し、サーマルシミュレーターにて以下の条件でベタ印画を行い、最高反射濃度、および異常転写とテカリの有無を評価した結果を、に示す。なお、最高反射濃度は、X−Rite528にて測定した値である。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
<異常転写評価>
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる
<テカリ評価>
また、「テカリ」の評価は、以下の基準にて行った。
△:テカリが、部分的に認められる。
20…下引き層
30…染料層
40…耐熱滑性層
Claims (9)
- 基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した感熱転写記録媒体において、
前記下引き層は、少なくともビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体を含む水溶性高分子と、下記一般式で表せる3官能オルガノシランあるいは前記オルガノシランの加水分解物と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物と主成分として含む塗布液を、塗布、乾燥して形成されたことを特徴とする感熱転写記録媒体。
一般式:R’Si(OR)3
(R’:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など) - 前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールも含むことを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記3官能オルガノシランを構成するR’にエポキシ基が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記複合物中に反応触媒が添加されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記反応触媒が、錫化合物であることを特徴とする請求項4に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記錫化合物が、塩化錫、オキシ塩化錫及び錫アルコキシドから選ばれる錫化合物であることを特徴とする請求項5に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記複合物中に、更に、下記一般式で表される金属アルコキシドあるいは前記金属アルコキシドの加水分解物を添加することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
一般式:M(OR)n
(M:金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数) - 前記金属アルコキシドあるいは前記金属アルコキシドの加水分解物中の金属が、S i、Al、Ti、Zrあるいはそれらの混合物の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の感熱転写記録媒体。
- 前記下引き層の乾燥後の塗布量が、0.10g/m2以上0.30g/m2以下の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の感熱転写記録媒体。
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