JP2012206330A - 複合構造部材の製造方法および複合構造部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外壁から構成される空間内に、芳香族ポリエステル系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、前記外壁が前記2次発泡により生じる気体の通過可能な孔を有し、前記1次発泡粒子が3〜15%の第1結晶化度を有し、前記発泡層が10〜40%の第2結晶化度を有し、かつ、前記第1結晶化度と前記第2結晶化度とが式(1):第2結晶化度≧第1結晶化度+3%を満たすことを特徴とする複合構造部材の製造方法により課題を解決する。
【選択図】図1
Description
前記外壁が前記2次発泡により生じる気体の通過可能な孔を有し、前記1次発泡粒子が3〜15%の第1結晶化度を有し、前記発泡層が10〜40%の第2結晶化度を有し、かつ、前記第1結晶化度と前記第2結晶化度とが下記式(1):
第2結晶化度≧第1結晶化度+3% (1)
を満たすことを特徴とする複合構造部材の製造方法が提供される。
従って、本発明によれば、外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性および剛性に優れた複合構造部材の簡便な製造方法を提供することができる。
前記外壁が前記2次発泡により生じる気体の通過可能な孔を有し、前記1次発泡粒子が3〜15%の第1結晶化度を有し、前記発泡層が10〜40%の第2結晶化度を有し、かつ、前記第1結晶化度と前記第2結晶化度とが下記式(1):
第2結晶化度≧第1結晶化度+3% (1)
を満たす複合構造部材の製造方法である。
以下、本発明の複合構造部材の製造方法および複合構造部材について詳説する。
本発明において、外壁から構成される空間とは、1次発泡粒子を保持、2次発泡させるための側面部、上部、下部を構成する外壁内部の閉じた空間を意味する。外壁から構成される空間は、少なくとも1次発泡粒子を保持することができれば特に限定されない。また、2次発泡により生じる気体の通過可能な程度に実質的に閉鎖されていることが好ましい。さらに、外壁が、前記1次発泡粒子を通過させず、実質的に閉鎖される場合がより好ましい。この場合、外壁と発泡層とを十分に密着させることができる。
本発明において、外壁とは、複合構造部材に含まれる発泡層の外側に存在する、側面部、上部、下部を構成する部材を意味する。また、側面部、上部、下部の外壁の材料は同一であってよく、異なっていてもよい。さらに、外壁に含まれる孔は、側面部、上部および下部のいずれに存在してもよい。他方、外壁は孔の数を1つ有していてもよく、複数有していてもよい。
炭素綱、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金、チタン合金および銅のような金属;
ABS樹脂、PPE樹脂、PVC樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルイミド、ポリアミドイミドおよびポリエーテルエーテルケトンのようなスーパーエンプラ樹脂;
不飽和ポリエステルのような熱硬化性樹脂;
エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂およびフェノール樹脂のような樹脂を繊維で強化した繊維強化樹脂;
炭素強化繊維等を挙げることができる。外壁は、前記2種類以上の材料が複合したものを用いてもよい。
本発明の1次発泡粒子は、樹脂成分として芳香族ポリエステル系樹脂を少なくとも使用することによって得ることができる。本発明において、芳香族ポリエステル系樹脂とは、単量体成分として芳香族ジカルボン酸と2価のアルコールとを含むポリエステル系樹脂を意味する。
乳酸、ラクチド、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸およびヒドロキシヘプタン酸のような脂肪族ヒドロキシカルボン酸;
コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸および無水ピロメリット酸のような脂肪族多価カルボン酸;
グリセリン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリットのような脂肪族多価アルコール等を任意に含むこともできる。
1次発泡粒子は、公知の方法によって製造できる。1次発泡粒子の結晶化度の調整が容易なことから押出発泡法が好ましい。例えば、以下の押出発泡法を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の製造方法は、外壁から構成される空間内に、芳香族ポリエステル系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含む。
本発明の複合構造部材に含まれる発泡層を構成する芳香族ポリエステル系樹脂は、10〜40%、好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜40%の第2結晶化度を有する。第2結晶化度が10%より低い場合、芳香族ポリエステル系樹脂発泡層の強度および耐熱性が低下することによって、複合構造部材について耐熱性および剛性を得ることができないことがある。他方、第2結晶化度が40%より高い場合、芳香族ポリエステル系樹脂の結晶化度が高くなり過ぎるため、複合構造部材の外壁と発泡層とが十分に密着しないことがある。
第2結晶化度≧第1結晶化度+3% (1)
を、好ましくは式(2):
第2結晶化度≧第1結晶化度+5% (2)
を、より好ましくは式(3):
第2結晶化度≧第1結晶化度+10% (3)
を満たす。
第2結晶化度が(第1結晶化度+3%)未満である場合、芳香族ポリエステル系樹脂の結晶化度を十分に向上させることができないため、所望の耐熱性および剛性を得ることができないことがある。
芳香族ポリエステル系樹脂の融点(mp)は次のようにして測定する。
即ち、JIS K7121:1987に準拠して芳香族ポリエステル系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度を芳香族ポリエステル系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
1次発泡粒子の平均粒子径は、直径を直接、ノギスを用いて次のようにして測定する。即ち、1次発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)および最も短い直径(短径)を測定すると共に、1次発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定する。1次発泡粒子20個の長径、短径および長さの相加平均値を平均粒子径とする。
連続気泡率は次のようにして測定する。
まず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量の1次発泡粒子の全質量A(g)を測定する。次に、前記1次発泡粒子全体の体積B(cm3)を、比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から製品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の質量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に1次発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れた1次発泡粒子の全量とを併せた質量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいて1次発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと1次発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式により1次発泡粒子の連続気泡率を算出する。なお、水1gの体積を1cm3とする。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
結晶化度は次のようにして測定する。
1次発泡粒子または発泡層を4mg試料として採取する。得られた試料を、JIS K7121に記載の測定法に準拠して、10℃/分の速度にて昇温しながら、示差走査熱量計(DSC:エスアイアイナノテクノロジー社製DSC6220型)を用いて、1mg当たりの冷結晶化熱量および融解熱量を測定する。両熱量を下記式に代入することで結晶化度を算出する。
1次発泡粒子を500cm3メスシリンダ内に500cm3のメモリまで充填する。なお、メスシリンダを水平方向から目視し、1次発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛に達しているものがあれば、その時点で1次発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した1次発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字まで秤量し、その質量W(g)とする。
そして、下記の式により1次発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
下記実施例で得られた直径40mm円柱状の複合構造部材を厚み40mmにカットしたものを試験体とした。この試験体の側面(外壁部分)を、圧縮速度10mm/分の条件で5%圧縮時の圧縮応力を測定する。圧縮応力の測定には、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、製品名「UCT−10T」)を用いる。
図1および図2に示した製造装置を用いて1次発泡粒子を製造した。まず、結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(三井化学社製、製品名「SA−135」(ポリエチレンテレフタレート系樹脂)、融点(mp):247.1℃)98.2質量%および気泡調整剤としてタルクマスターバッチ(寺田紡績社製、製品名「PT−1」)1.8質量%および溶融張力改質剤として無水ピロメリット酸(三菱化学社製、製品名「SY−4」)0.2質量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、芳香族ポリエステル系樹脂を始めは270℃にて溶融混練した後に290℃まで昇温させながら溶融混練した。
しかる後、押出機の先端部において、溶融状態の芳香族ポリエステル系樹脂を275℃に冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルから芳香族ポリエステル系樹脂を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型1は、出口部11の直径が1.0mmのノズルを10個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
さらに、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41dおよびドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に冷却水42が供給されており、周壁部41bの内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水42が前方に向かって螺旋状に流れていた。
冷却された1次発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41eおよび排出管41fを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。得られた1次発泡粒子は、嵩密度が0.37g/cm3、第1結晶化度が5.0%であった。得られた1次発泡粒子の表面は、表皮層で全面的に被覆されていた。表皮層には気泡断面は存在していなかった。また、1次発泡粒子の平均粒子径は2mmであった。
前記製造例で得られた嵩密度が0.37g/cm3、第1結晶化度5.0%の1次発泡粒子を10リットルの圧力容器内に供給して、容器を密閉し、容器内に二酸化炭素を0.5MPaの圧力で圧入した後、20℃にて24時間に亘って放置した。放置後、容器から取り出した1次発泡粒子を直径40mm、厚み1.5mm、長さ250mmの炭素強化繊維(耐熱温度180℃)からなる外壁から構成される3個の筒(圧縮応力0.58kN)のそれぞれに詰め、上部および下部の両端をSUS板(ステンレス鋼、外壁、耐熱温度400℃以上)で塞いだ。SUS板の中心には、発泡剤の逸散用として直径1mmの孔を1つ開けた。
上記1次発泡粒子が詰まった炭素強化繊維をオーブンに入れ、120℃で100分間外壁を加熱することで、発泡層を形成した後、オーブンより取り出すことで複合構造部材を得た。前記孔より気体の散逸は認められたが、1次発泡粒子の流出は確認されなかった。また、外壁は空間を実質的に閉鎖していた。
得られた複合構造部材を直径方向に40mmの幅で切断して、炭素強化繊維からなる外壁と発泡層との接合状態を観察したところ、隙間は認められなかった。
上記と同様に複合構造部材の質量を測定したところ、質量ばらつきは観察されなかった。中心部より切り取った発泡層の第2結晶化度を測定したところ27%(3個の平均値)であった。また、複合構造部材の圧縮応力(3個の平均値)は、2.83kNであった。
1次発泡粒子としてポリスチレン1次発泡粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、発泡層が収縮しており、容易に外壁と分離した。
なお、ポリスチレン1次発泡粒子には、スチレンビーズHCS(積水化成品工業社製)を予備発泡機に供給して、次いで、このビーズを水蒸気を用いて発泡させて得られた嵩密度0.067g/cm3の1次発泡粒子を、1日常温で保管することで乾燥させた粒子を用いた。
SUS板に孔を開けず筒内に1次発泡粒子を密封すること以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、1次発泡粒子の2次発泡が不足しており、容易に外壁と分離した。
1次発泡粒子として第1結晶化度が20%の芳香族ポリエステル系樹脂の1次発泡粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、1次発泡粒子が2次発泡せず、成形が不可能であった。
このことは、本発明によれば、外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性および剛性に優れた複合構造部材の簡便な製造方法を提供することができることを示している。
また、このような複合構造部材は、自動車内装材、建築資材等の用途に有用である。
Claims (8)
- 外壁から構成される空間内に、芳香族ポリエステル系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、
前記外壁が前記2次発泡により生じる気体の通過可能な孔を有し、前記1次発泡粒子が3〜15%の第1結晶化度を有し、前記発泡層が10〜40%の第2結晶化度を有し、かつ、前記第1結晶化度と前記第2結晶化度とが下記式(1):
第2結晶化度≧第1結晶化度+3% (1)
を満たすことを特徴とする複合構造部材の製造方法。 - 前記外壁が、150℃以上の耐熱温度を有する材料から構成される請求項1に記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記加熱が、前記外壁を加熱することにより行われる請求項1または2に記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記外壁が、前記1次発泡粒子を通過させず、前記空間を実質的に閉鎖する請求項1〜3のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記1次発泡粒子が、0.02〜0.6g/cm3の嵩密度を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記加熱が、90〜150℃の温度で行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 前記1次発泡粒子が、気体を含浸させた後、前記空間内へ充填される請求項1〜6のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1つに記載の製造方法によって得られる複合構造部材。
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Citations (4)
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JPH0788874A (ja) * | 1993-07-29 | 1995-04-04 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 中空構造体内部を発泡体で充填する方法 |
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WO2000036000A1 (fr) * | 1998-12-11 | 2000-06-22 | Sekisui Plastics Co., Ltd. | Particules pre-expansees en resine de polyester aromatique cristallin, produit expanse dans le moule et lamine expanse ainsi realise |
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- 2011-03-29 JP JP2011072785A patent/JP2012206330A/ja active Pending
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