JP2012204496A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】分極性電極を改良することにより、電気容量がより増大し、かつ、高電流密度での電気容量の低下が抑制された電気二重層キャパシタを実現する。
【解決手段】この電気二重層キャパシタは、セパレータを挟んでその両側に分極性電極が設けられ、それらに電解液が含浸され、それぞれの分極性電極の外側に集電体が設けられたものにおいて、その分極性電極が、ポリエチレンテレフタレート繊維を炭化させ賦活化して得た活性炭の粒状体がバインダーで結着されたものであり、2500m2/g以上の比表面積を有し、細孔幅が20Åから40Åの間に細孔容積について0.05cc/Å/g以上のピークを有するものである。
【選択図】図3
【解決手段】この電気二重層キャパシタは、セパレータを挟んでその両側に分極性電極が設けられ、それらに電解液が含浸され、それぞれの分極性電極の外側に集電体が設けられたものにおいて、その分極性電極が、ポリエチレンテレフタレート繊維を炭化させ賦活化して得た活性炭の粒状体がバインダーで結着されたものであり、2500m2/g以上の比表面積を有し、細孔幅が20Åから40Åの間に細孔容積について0.05cc/Å/g以上のピークを有するものである。
【選択図】図3
Description
本発明は、電気二重層キャパシタに関する。
今日、電気二重層キャパシタは、電気容量が大きくて多量の電荷を蓄積でき、内部抵抗が低いので急速充放電が可能であり、充放電による劣化が少ないので充放電のサイクル寿命が長い、などの利点から各種の電子機器に使用されている。電気二重層キャパシタは、セパレータの両側に2個の分極性電極が設けられ、それらに電解液が含浸され、それぞれの分極性電極の外側に集電体が設けられたものである。分極性電極は、電気容量を大きくするよう比表面積が大きい活性炭の粒状体がバインダーで結着されたものである。この活性炭は、比表面積の拡大のために水蒸気、酸素などのガス又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの薬品を用いた賦活化処理がされている。セパレータの両側における分極性電極と電解液の界面で、分極性電極中の電荷と電解液中のイオンが電気二重層を構成することによって、電荷が蓄積される。また、集電体は、金属箔(一般には、アルミニウム箔)が用いられている。
電気二重層キャパシタの分極性電極を形成する活性炭は、電気容量の増大化のための比表面積の増大化を含め、従来より種々の提案がされている。その中には、高電流密度での電気容量の低下抑制等を考慮して細孔幅(pore width)の分布を制御したものも提案されている。例えば、特許文献1には、粒子内部にアルカリ土類金属化合物を含み、BET比表面積が10〜2000m2/gであり、ラマンスペクトルのGピーク(1580cm−1)のピーク高さに対するDピーク(1360cm−1)のピーク高さの比が0.8〜1.2であり、BJH法による細孔幅20〜50Åの細孔容積が0.02ml/g以上の範囲にあり、アルカリ土類金属化合物が粒径1μm以下の粒子であり、アルカリ土類金属化合物の含有量が、30〜100000質量ppmである活性炭が記載されている。
特許文献2には、全体のBET比表面積が900〜1500m2/gであり、MP法により測定される20Åより小さいミクロ孔の比表面積が800m2/g以上で、その比表面積とBJH法により測定される20Å以上のメソ孔の比表面積の比であるミクロ/メソ比が10〜14である活性炭が記載されている。また、全体のBET比表面積が1000〜2500m2/gであり、MP法により測定される20Åより小さいミクロ孔の比表面積が900m2/g以上で、その比表面積とBJH法により測定される20Å以上のメソ孔の比表面積の比であるミクロ/メソ比が3〜7である活性炭も記載されている。特許文献2における活性炭の原料炭素材料の例として、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ハロゲンを含む熱可塑性樹脂などの樹脂系原料、石油および石炭系ピッチやコークス、およびヤシ殻やコーヒー豆などの植物系原料などが挙げられている。
このような電気二重層キャパシタは、使用される電子機器において、電気容量がより増大し、かつ、高電流密度での電気容量の低下が抑制されたものが常に要求されている。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、分極性電極を改良することにより、電気容量がより増大し、しかも、高電流密度での電気容量の低下が抑制された電気二重層キャパシタを実現することにある。
上記目的を達成するために、本発明の電気二重層キャパシタは、セパレータを挟んでその両側に分極性電極が設けられ、それらに電解液が含浸され、それぞれの分極性電極の外側に集電体が設けられた電気二重層キャパシタにおいて、前記分極性電極が、ポリエチレンテレフタレート繊維を炭化させ賦活化して得た活性炭の粒状体がバインダーで結着されたものであり、2500m2/g以上の比表面積を有し、細孔幅が20Åから40Åの間に細孔容積について0.05cc/Å/g以上のピークを有するものであることを特徴とする。
本発明によれば、上記の分極性電極により、電気容量がより増大し、しかも、高電流密度での電気容量の低下が抑制された電気二重層キャパシタを実現することができる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態を説明する。本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタ1は、構造上は従来のものと同様に、図1に示すように、セパレータ2を挟んでその両側に2個の分極性電極3、3’が設けられ、それらに電解液Lが含浸され、それぞれの分極性電極3、3’の外側に集電体4、4’が設けられたものである。
分極性電極3、3’は、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維を炭化させ賦活化して得た活性炭30の粒状体がバインダーで結着されたものであり、2500m2/g以上の比表面積を有し、細孔幅が20Åから40Åまでの間に細孔容積(pore volume)について0.05cc/Å/g以上のピークを有するものである。
この活性炭30は、図2に示すように、様々な幅の細孔が形成された微細構造となっている。なお、この図に示すように、細孔は、一般的に、細孔幅が20Åまでのミクロ孔、細孔幅が20Å以上で500Åまでのメソ孔、細孔幅が500Å以上のマクロ孔に分けて理解される。
活性炭30の実施例は次の通りである。この実施例では、活性炭30は、PET繊維に水酸化カリウムを混合させ、500℃で60分間炭化し、更に、800℃で60分間賦活化することにより製造したものである。この活性炭30を測定すると、比表面積が約3600m2/gであった。なお、比表面積の算出はBET法によって行った。
図3に、本実施例の活性炭30と比較例の活性炭31について、細孔幅に対する細孔容積をそれぞれ、曲線aと曲線bで示す。比較例の活性炭31は、ヤシ殻を炭化させ、水蒸気で賦活化処理をして製造したものであり、分極性電極用に現在広範に使用されているものである。この活性炭31を測定すると、比表面積が約1600m2/gであった。
図3によると、本実施例の活性炭30は、細孔幅が0Åから40Åまでの間においては、細孔容積が全体的に比較例の活性炭31よりも大きくなっている。これは、本実施例の活性炭30の比表面積が比較例の活性炭31の比表面積よりも大きくなっていることに対応する。
より詳細には、細孔幅が20Åまでのミクロ孔の範囲では、細孔容積について、本実施例の活性炭30は、約0.1cc/Å/gのピークを有しており、比較例の活性炭31は、約0.09cc/Å/gのピークを有している。なお、これらピークは、本実施例の活性炭30の方が比較例の活性炭31に比べ細孔幅が大きいところに位置している。細孔幅が20Å以上のメソ孔の範囲では、細孔容積について、本実施例の活性炭30は、細孔幅が20Åから40Åまでの間に約0.1cc/Å/gのピークを有しており、これに対し、比較例の活性炭31は、全て約0.05cc/Å/gよりも小さくなっている。なお、細孔容積の算出はDFT法によって行った。
図4は、放電時での電流密度に対する電気容量の依存性を示すものであって、曲線Aは本実施例の活性炭30を用いて分極性電極3、3’を形成した電気二重層キャパシタ1のもの、曲線Bは比較例の活性炭31を用いて分極性電極3、3’を形成した電気二重層キャパシタのものである。曲線Aは、電流密度が0付近で電気容量が約170F/gであり、電流密度が80mA/cm2で約75F/gとなっている。これに対し、曲線Bは、電流密度が0付近で電気容量が約100F/gであり、電流密度が80mA/cm2で約30F/gとなっている。これより、本実施例の活性炭30を用いると、比較例の活性炭31を用いたものよりも電流密度の全範囲で電気容量を大きくできることが分かる。これは、本実施例の活性炭30が2500m2/g以上もの大きな比表面積を有していることによるものである。なお、ここでは、本実施例の活性炭30及び比較例の活性炭31には導電助剤としてアセチレンブラックを混合させており、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを用いており、それらの組成比は92:3:5wt.%とした。電解液はTEMA−BF4/PCを用いた。
また、曲線A、Bは、電流密度が高くなるにつれて容量値が低下している。これは、電流密度が高くなるに伴い、幅が狭い細孔では、電解液のイオンが徐々に移動し難くなって、幅が狭いほど利用できなくなってくるからである。図5は、図4で用いたデータによって、この容量値の保持率(電流密度が0のときの容量値に対する相対値)を示したものである。曲線A(本実施例の活性炭30を用いたもの)は、電流密度が80mA/cm2の高電流密度でも容量保持率が40%を超えている。これに対し、曲線B(比較例の活性炭31を用いたもの)は、電流密度が80mA/cm2の高電流密度では容量保持率が40%よりも下がっている。このように本実施例の活性炭30を用いたものの容量保持率が比較例の活性炭31を用いたものより大きいのは、メソ孔の範囲において両者の細孔容積が大きく異なっていることが影響している。すなわち、メソ孔の範囲において、細孔幅が20Åから40Åまでの間に本実施例の活性炭30は細孔容積について約0.05cc/Å/g以上のピークを有しているのに対し、比較例の活性炭31の細孔容積が全て約0.05cc/Å/gよりも小さくなっていることが影響している。
このように、本実施例の活性炭30は比表面積が増大しており、しかも、細孔幅が20Åから40Åまでの間に細孔容積について大きなピークを有しており、そのため、本実施例の活性炭30を用いた分極性電極3、3’の電気二重層キャパシタ1は、電気容量が従来のものより増大し、かつ、高電流密度での電気容量の低下が抑制されている。その結果、より多量の電荷を蓄積でき、かつ、急速充放電が可能なものとなる。
以上、実施例を説明したが、本実施形態におけるPET繊維を炭化させ賦活化して得た活性炭30は、この実施例の方法によって製造されたものに限定されるものではない。また、活性炭30は、賦活化の種類や条件などにより、比表面積や細孔容積を変動させることができる。実施例のように、2500m2/g以上の比表面積を有するようにし、しかも、細孔幅が20から40Åの間に細孔容積について0.05cc/Å/g以上のピークを有するようにするのならば、こうした活性炭30を用いた分極性電極3、3’の電気二重層キャパシタ1は、上記のように、電気容量が従来のものより増大し、かつ、高電流密度での電気容量の低下が抑制されたものとなる。なお、比表面積の上限は特に設定する必要はないが、例えば、5000m2/g程度とすることも可能である。また、細孔幅が20Åから40Åまでの間での細孔容積のピークの上限は特に設定する必要はないが、例えば、0.15cc/Å/gとすることも可能である。
1 電気二重層キャパシタ
2 セパレータ
3,3’ 分極性電極
30 活性炭
4,4’ 集電体
L 電解液
2 セパレータ
3,3’ 分極性電極
30 活性炭
4,4’ 集電体
L 電解液
Claims (1)
- セパレータを挟んでその両側に分極性電極が設けられ、それらに電解液が含浸され、それぞれの分極性電極の外側に集電体が設けられた電気二重層キャパシタにおいて、
前記分極性電極が、ポリエチレンテレフタレート繊維を炭化させ賦活化して得た活性炭の粒状体がバインダーで結着されたものであり、2500m2/g以上の比表面積を有し、細孔幅が20Åから40Åの間に細孔容積について0.05cc/Å/g以上のピークを有するものであることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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