JP2012197479A - 鉄系材料の表面硬化装置および方法 - Google Patents

鉄系材料の表面硬化装置および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】処理時間を短縮できるうえ、雰囲気ガスの消費量を抑え、しかも炉壁のメンテナンス周期も延長することができる鉄系材料の表面硬化装置を提供する。
【解決手段】アンモニアを含むガスを導入し、このアンモニアを含むガスをプラズマで分解して窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを発生させる大気圧プラズマ分解装置1と、
大気圧下の加熱空間24内に鉄系材料3を存在させ、上記窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを導入し、上記鉄系材料3に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる加熱処理炉2とを備えた。
これにより、高出力のグロー放電によってアンモニア分解率を向上させ、短時間で厚い窒化硬化層を得ることが可能になり、従来に比べて処理時間の短縮を図ることができるうえ、アンモニアガスの使用量を削減し、炉壁の損傷も大幅に軽減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化処理によって鉄系材料の表面に硬化層を形成する鉄系材料の表面硬化装置および方法に関するものである。
鉄系材料を窒化処理することにより表面硬度を向上できることは、一般に知られており、ガス窒化やイオン窒化・塩浴窒化など、各種の窒化処理が提案され実施されている。
これらの窒化処理の中でも、イオン窒化処理は、グロー放電を利用してアンモニアと水素を分解することで窒素系ラジカルを生成し窒化する処理方法である。この処理は、低温での処理が可能で、かつ処理面を荒らしにくいという特徴がある。
このようなイオン窒化処理を改良した技術として、面粗度をほとんど変化させないで窒化処理するために、NHラジカルと窒素分子イオンの発光強度比を制御する窒化方法が提案されている(特開平7−118826:特許文献1)。
また、ワークが直接放電にさらされずに面荒れが起こりにくい方法として、炉内のプラズマ電極に直接窒化ガスを通過させてワークを処理する、ポストプラズマを用いる窒化処理方法が開示されている(特開2007−191784:特許文献2)。
一方、処理速度を向上させるとともに、低温で処理ができ、かつ通常の窒化では困難な鋼種に窒化ができる方法として、窒化の前にフッ化処理を行なう窒化処理方法が開示されている(特許文献3:特公平8−9766)。
特開平07−118826号公報 特開2007−191784号公報 特公平08−009766号公報
しかしながら、従来のイオン窒化処理は、真空下でワークに直接放電されるので、ワーク表面がスパッタリングされ、面が荒れるという課題がある。
これに対し、特許文献1(特開平07−118826号)の方法は、ワークに対してスパッタリングが起きない電流密度(0.001mA〜2mA/cm)で処理するので、面粗度をほとんど変えずに処理できる。ところが、電流密度範囲を限定しているので、当然のことながら出力を高くすることができず、どうしても処理時間が長くなってしまうという問題がある。また、ワークが複雑な形状をしていると、部分的に放電されない箇所ができてしまい、結果的に処理むらになりやすいため、処理できるワークの形状に制限ができてしまうのも問題である。
また、特許文献2(特開2007−191784)の方法は、真空下で炉をヒーターで加熱しながら、炉内のスクリーン網にプラズマを発生させて、通過する窒化ガスで処理するポストプラズマ窒化処理である。ところが、均一な窒化層を得るためには、どうしても処理時間が長くなってしまう(2〜8時間)という問題が避けられない。一方、処理時間を短縮しようと出力を高くすると、スクリーン網との距離が近いところと遠いところで温度ばらつきができてしまい、結果的に処理むらになりやすいという問題が生じてしまう。
特許文献3(特公平08−009766号)の方法は、イオン窒化やポストプラズマ窒化処理に比べて処理時間は短いものの、窒化処理時のアンモニア分解率が低いため処理効率が悪く、アンモニアガスの無駄が多いという問題がある。また、アンモニアの分解のほとんどが炉壁の触媒作用によってまかなわれるため、炉壁の直近でラジカルが発生し、炉壁が直接ラジカルに晒されて窒化されてしまい、炉壁寿命が短くなるという問題も生じる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、処理時間を短縮できるうえ、雰囲気ガスの消費量を抑え、しかも炉壁のメンテナンス周期も延長することができる鉄系材料の表面硬化装置および方法の提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の鉄系材料の表面硬化装置は、アンモニアを含むガスを導入し、このアンモニアを含むガスをプラズマで分解して窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを発生させる大気圧プラズマ分解装置と、
大気圧下の加熱空間内に鉄系材料を存在させ、上記窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを導入し、上記鉄系材料に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる加熱処理炉とを備えたことを要旨とする。
上記目的を達成するため、本発明の鉄系材料の表面硬化方法は、アンモニアを含むガスを導入し、このアンモニアを含むガスをプラズマで分解して窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを発生させる大気圧プラズマ分解工程と、
大気圧下の加熱空間内に鉄系材料を存在させ、上記窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを導入し、上記鉄系材料に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる加熱処理工程とを備えたことを要旨とする。
本発明は、アンモニアを含むガスをプラズマで分解して得られた窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを、加熱処理炉の鉄系材料に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる。
このように、高出力のプラズマ放電でアンモニア分解率を向上させ、生成した大量の窒素系ラジカルを利用することによって、短時間で厚い窒化硬化層を得ることが可能になり、従来に比べて処理時間の短縮を図ることができるうえ、低温での窒化硬化層の形成が可能となる。
また、鉄系材料が直接放電にさらされることなく、イオン窒化処理のようにスパッタリングで表面が荒らされることがないので、面粗度をほとんど変化させず、綺麗な表面状態を保った処理が可能となる。
また、鉄系材料が直接放電にさらされないので、イオン窒化のような放電ムラによる窒化硬化層の不均一化という問題が起こらない。よって、鉄系材料が複雑な形状であっても、大気圧雰囲気で加熱処理炉内へ供給した窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンがその隅々まで作用し、満遍なく均一な窒化硬化層を形成することができる。
また、大気圧雰囲気での加熱処理炉による温度制御が可能なので、従来のイオン窒化やポストプラズマ窒化のように、放電による温度の上昇や真空下で行うことによるワーク温度のバラつきが無く、炉内を均一な温度で処理して均一な窒化層を形成することが可能である。
また、プラズマ処理によるアンモニアガスの分解率を向上させ、アンモニアの消費量を削減することができる。
また、アンモニアガス分解の大部分をプラズマでまかない、炉壁を触媒とした分解が少なくなるため、炉壁の損傷を大幅に軽減し、メンテナンス周期を大幅に延長して、生産性向上に大きく貢献することとなる。
本発明の装置において、上記加熱処理炉は、加熱空間内に露呈する炉内構造物による触媒効果により、プラズマ分解工程において未分解のアンモニアガスを分解させる場合および、
本発明の方法において、上記加熱処理工程は、加熱空間内に露呈する炉内構造物による触媒効果により、プラズマ分解工程において未分解のアンモニアガスを分解させる場合には、
プラズマによっても分解しきれなかったアンモニアガスを炉壁の触媒効果で分解させることにより、アンモニアガスの利用効率をさらに向上させ、雰囲気ガスの消費量を削減できる。
本発明の方法において、上記鉄系材料は、あらかじめ表面にフッ化層を形成したものである場合には、
フッ化層を形成させて鉄系材料表面の酸化膜をフッ化膜に置き換えることにより、窒素系ラジカルによる窒化効率を促進し、低温での窒化硬化層の形成が可能になった。
また、フッ化層を形成させて鉄系材料表面の酸化膜をフッ化膜に置き換えることにより、窒化硬化層を形成させる時の効率を促進でき、かつ通常の窒化処理が困難な鋼種に窒化硬化層を形成することができ、窒化硬化層による表面硬化を適用できる鋼種が広くなる。
本発明の鉄系材料の表面硬化装置の一実施形態を示す図である。 実施例の処理結果の断面写真である。 比較例の処理結果の断面写真である。 窒化硬化層の厚みと処理時間との関係を示す図である。 窒化硬化層の厚みと放電出力との関係を示す図である。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の方法を実現する本発明の装置の一例を示す図であり、(A)は一部破断側面図、(B)はB−B断面図である。
この装置は、プラズマ中にアンモニアガスを導入して分解し、窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを得るプラズマ分解装置1と、
鉄系材料3が加熱された大気圧の加熱空間内に上記窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを導入し、上記鉄系材料3に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる加熱処理炉2とを備えている。
上記プラズマ分解装置1は、大気圧下でグロー放電を起こしてプラズマを発生させるものである。具体的には、この例では、横置きの円筒状に形成され、図において左端の処理ガス導入路4からアンモニアガスを含む処理ガスを導入し、内部でプラズマと接触させてアンモニアを分解して窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含む雰囲気ガスを得る。この雰囲気ガスを図において右端の雰囲気ガス排出路5から排出する。
ここで、窒素系ラジカルとは、NHラジカルやNHラジカル、Nラジカル等をいい、窒素系イオンとは、NイオンやNHイオンをいう。
上記プラズマ分解装置1は、周りに誘電体層6が形成された中心電極7と、その周りを取り囲む外殻電極8とで構成された筒状構造であり、誘電体層6と外殻電極8の間に形成されたプラズマ空間9においてアンモニアガスを分解させるようになっている。
上記プラズマ分解装置1のガス導入側端部は、複数(この例では4つ)のガス導入孔10が穿設された蓋板11で蓋がされている。さらに、各ガス導入孔10とガス導入路4は流路板13に形成されたガス流路12で連通されている。
上記プラズマ分解装置1のガス排出側端部も同様の構造であり、ガス排出孔14が穿設された蓋板15で蓋がされている。さらに、各ガス排出孔14とガス排出路5は流路板16に形成されたガス流路17で連通されている。図において、符号18は、蓋板11、15を固定するためのフランジである。
上記プラズマ分解装置1では、処理ガス導入路4からアンモニアガスを含む処理ガスを大気圧で導入する。
上記処理ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスをキャリアガスとして反応ガスであるアンモニアガスを所定の割合となるよう添加したものである。アンモニアガスの濃度は、対象とする鉄系材料の種類や、プラズマ発生の電流密度等の処理条件に応じて種々設定することができるが、1〜70容量%程度が好適である。
そして、この例では、外殻電極8を接地し、誘電体層6を有する中心電極7と外殻電極8の間に、例えば1〜70mA/cm程度の電流密度、1〜20kHzのパルス周期、1〜20kV、0.5〜10kWの高周波電力を印加する。上記誘電体層6を形成する誘電体としては、例えばガラス、セラミックス、樹脂等の耐熱性のものを使用することができる。なお、大気圧プラズマ装置の形状や大きさに応じて、公知の条件に適宜変更することができる。
このようにすることにより、誘電体層6を有する中心電極7と外殻電極8の間のプラズマ空間9にグロー放電を生じ、キャリアガスと反応ガスを励起して、高エネルギーのプラズマを発生させる。このプラズマをアンモニアガスに作用させて窒素系ラジカルと窒素系イオンに分解し、これらの窒素系ラジカルを含む雰囲気ガスを生成する。生成された雰囲気ガスは雰囲気ガス排出路5から排出されて加熱処理炉2に導入される。
上記加熱処理炉2は、横置きの円筒状で、雰囲気ガスの導入側に雰囲気ガス導入路19が形成され、反対側に排ガス排出路20が形成されている。上記雰囲気ガス導入路19は、プラズマ分解装置1の雰囲気ガス排出路5に接続され、プラズマ分解装置1で生成した雰囲気ガスを加熱処理炉2内に導入する。
上記加熱処理炉2の天井部には、導入された雰囲気ガスを炉内で攪拌する攪拌ファン21がもうけられ、治具22に設置された鉄系材料3に、雰囲気ガスを接触させるようになっている。上記加熱処理炉2には、図示しないヒータが設けられ、炉内空間を400〜600℃程度の加熱空間とし、装入された鉄系材料3を加熱するようになっている。
上記加熱処理炉2の炉体23や、鉄系材料3が装填される治具22は、例えば、耐熱合金等の金属から形成され、導入された雰囲気ガス中に実分解のアンモニアガスが含まれる場合に、その触媒効果によって分解するようになっている。
このように、上記加熱処理炉2は、加熱空間24内に露呈する炉内構造物である炉体23の炉壁や治具22による触媒効果により、プラズマ分解工程において未分解のアンモニアガスがある場合にそれを分解させるようになっている。
上記鉄系材料3としては、例えば、一般構造用圧延鋼材、溶接構造用圧延鋼材、高張力鋼、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼、金型用鋼、高速度工具鋼、軸受け鋼、快削鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、ばね鋼、ダイス鋼、鋳鉄等、各種の鉄系材料を使用することができる。
上記鉄系材料3を加熱処理炉2の加熱空間24内に装入して所定の温度に加熱し、その状態で、大気圧下の加熱空間24内に上記窒素系ラジカルおよび窒素系イオンを含むガスを導入する。これにより、上記鉄系材料3に窒素系ラジカルが作用してその表面に窒化硬化層が形成される。
上記加熱処理炉2における鉄系材料3の加熱温度は、鋼種、プラズマ発生条件、アンモニアガスの濃度等の諸条件によって適宜の温度に設定することができるが、おおむね、400〜600℃程度が好適である。また、加熱処理炉2における処理時間は、おおむね、0.5〜3時間程度とすることができる。なお、処理時間は、特殊な低温・長時間処理を適用する場合この限りでなく、48時間ないしそれ以上とすることもある。
上記鉄系材料3は、あらかじめ表面にフッ化層を形成したものであることが好ましい。窒化硬化層を形成する前処理としてフッ化処理を実施することにより、鉄系材料3の表面の酸化膜を除去し、窒化処理をより短時間で行ない、時間あたりに形成される窒化硬化層の厚みが厚くなる。
上記フッ化処理は、フッ化ガス雰囲気中に鉄系材料3を置いて所定時間加熱処理することにより行うことができる。
上記フッ化処理に使用するフッ化ガスとしては、フッ素ガスやフッ素化合物ガスを含むガス等、Fを含むガスであれば特に限定されるものではないが、NFガスをNガス等で希釈したガスが取り扱い性等の面で最も利用しやすい。例えば、窒素ガスにNFガスを0.1〜10容量%程度添加したガスを使用することができる。
上記フッ化処理における加熱温度は150〜600℃程度が好ましく、処理時間は、10〜90分程度に設定することができる。なお、ワークの積載量や炉体に応じて、処理時間や処理温度は適宜変更することができる。
つぎに、実施例について説明する。
図1に示した装置により、下記の条件でプラズマ分解処理および加熱処理を行った。
(鉄系材料)
オーステナイト系ステンレス SUH35 φ7mm丸棒
(フッ化処理)
処理ガス NF 1L/min
処理温度 280℃
処理時間 1.5時間
(プラズマ分解処理)
処理ガス:窒素6L/min+アンモニア0.6L/min
プラズマ条件:10kHz−10kV−1.3kW
電流密度:17mA/cm
(加熱処理)
処理温度:500℃
処理時間:1時間
比較例として、下記の条件でフッ化処理およびガス窒化処理を行った。
(鉄系材料)
実施例と同様のオーステナイト系エンジンバルブを用いた。
(フッ化処理)
実施例と同様の条件でフッ化処理を行った。
(ガス窒化処理)
雰囲気ガス:窒素6L/min+アンモニア0.6L/min
処理温度:500℃
処理時間:1時間
図2および図3は、上記実施例および比較例で得られたエンジンバルブの表層部断面写真(1000倍)を示す。比較例の窒化硬化層が11.5μmであったのに対し、実施例では窒化硬化層が23μmである。実施例の処理ガス/比較例の雰囲気ガスの組成、実施例の加熱処理条件/比較例の窒化条件が共通であるにもかかわらず、実施例では、比較例の2倍の厚みで窒化硬化層が形成された。すなわち、実施例では同じ厚みの窒化硬化層を形成するのに、約半分の時間ですむことになる。したがって、必要な同じ厚みの窒化硬化層を得るのに必要なアンモニア量を約1/2に低減することが可能である。
図4は、処理時間を1時間、3時間、6時間とした以外は、上記実施例および比較例と同様の条件にして処理を行なったときの、窒化硬化層の厚みと処理時間との関係を示す線図である。1時間、3時間、6時間のいずれの処理時間においても、実施例では比較例の約2倍の厚みの窒化硬化層が得られた。
図5は、電流密度すなわち放電出力を、7mA/cm、11mA/cm、17mA/cmとした以外は、上記実施例と同様の条件にして処理を行なったときの、窒化硬化層の厚みと電流密度との関係を示す線図である。電流密度の高い17mA/cmにおいて厚い窒化硬化層が得られている。
本実施形態は、アンモニアを含むガスをプラズマで分解して得られた窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを、加熱処理炉2の鉄系材料3に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる。
このように、高出力のプラズマ放電でアンモニア分解率を向上させ、生成した大量の窒素系ラジカルを利用することによって、短時間で厚い窒化硬化層を得ることが可能になり、従来に比べて処理時間の短縮を図ることができるうえ、低温での窒化硬化層の形成が可能となる。
また、鉄系材料3が直接放電にさらされることなく、イオン窒化処理のようにスパッタリングで表面が荒らされることがないので、面粗度をほとんど変化させず、綺麗な表面状態を保った処理が可能となる。
また、鉄系材料3が直接放電にさらされないので、イオン窒化のような放電ムラによる窒化硬化層の不均一化という問題が起こらない。よって、鉄系材料3が複雑な形状であっても、大気圧雰囲気で加熱処理炉2内へ供給した窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンがその隅々まで作用し、満遍なく均一な窒化硬化層を形成することができる。
また、大気圧雰囲気での加熱処理炉2による温度制御が可能なので、従来のイオン窒化やポストプラズマ窒化のように、放電による温度の上昇や真空下で行うことによるワーク温度のバラつきが無く、炉内を均一な温度で処理して均一な窒化層を形成することが可能である。
また、プラズマ処理によるアンモニアガスの分解率を向上させ、アンモニアの消費量を削減することができる。
また、アンモニアガス分解の大部分をプラズマでまかない、炉壁を触媒とした分解が少なくなるため、炉壁の損傷を大幅に軽減し、メンテナンス周期を大幅に延長して、生産性向上に大きく貢献することとなる。
本実施形態は、上記プラズマ分解装置1は、周りに誘電体層6が形成された中心電極7と、その周りを取り囲む外殻電極8とで構成された筒状構造であり、誘電体層6と外殻電極8の間に形成されたプラズマ空間9においてアンモニアガスを分解させるため、
円筒形のプラズマ空間9においてアンモニアガスを分解することにより、放電面積が大きくなってアンモニアガスの分解効率が高くなり、アンモニアガスの利用効率をさらに向上させ、雰囲気ガスの消費量を削減できる。
本実施形態は、上記加熱処理炉2は、加熱空間24内に露呈する炉内構造物による触媒効果により、プラズマ分解工程において未分解のアンモニアガスを分解させるため、
プラズマによっても分解しきれなかったアンモニアガスを炉壁の触媒効果で分解させることにより、アンモニアガスの利用効率をさらに向上させ、雰囲気ガスの消費量を削減できる。
本実施形態は、上記鉄系材料3は、あらかじめ表面にフッ化層を形成したものとすることにより、
フッ化層を形成させて鉄系材料3表面の酸化膜をフッ化膜に置き換えることにより、窒素系ラジカルによる窒化効率を促進し、低温での窒化硬化層の形成が可能になった。
また、フッ化層を形成させて鉄系材料3表面の酸化膜をフッ化膜に置き換えることにより、窒化硬化層を形成させる時の効率を促進でき、かつ通常の窒化処理が困難な鋼種に窒化硬化層を形成することができ、窒化硬化層による表面硬化を適用できる鋼種が広くなる。
1 プラズマ分解装置
2 加熱処理炉
3 鉄系材料
4 処理ガス導入路
5 雰囲気ガス排出路
6 誘電体層
7 中心電極
8 外殻電極
9 プラズマ空間
10 ガス導入孔
11 蓋板
12 ガス流路
13 流路板
14 ガス排出孔
15 蓋板
16 流路板
17 ガス流路
18 フランジ
19 雰囲気ガス導入路
20 排ガス排出路
21 攪拌ファン
22 治具
23 炉体
24 加熱空間

Claims (5)

  1. アンモニアを含むガスを導入し、このアンモニアを含むガスをプラズマで分解して窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを発生させる大気圧プラズマ分解装置と、
    大気圧下の加熱空間内に鉄系材料を存在させ、上記窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを導入し、上記鉄系材料に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる加熱処理炉とを備えたことを特徴とする鉄系材料の表面硬化装置。
  2. 上記加熱処理炉は、加熱空間内に露呈する炉内構造物による触媒効果により、プラズマ分解工程において未分解のアンモニアガスを分解させる請求項1記載の表面硬化装置。
  3. アンモニアを含むガスを導入し、このアンモニアを含むガスをプラズマで分解して窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを発生させる大気圧プラズマ分解工程と、
    大気圧下の加熱空間内に鉄系材料を存在させ、上記窒素系ラジカルおよび/または窒素系イオンを含むガスを導入し、上記鉄系材料に作用させてその表面に窒化硬化層を形成させる加熱処理工程とを備えたことを特徴とする鉄系材料の表面硬化方法。
  4. 上記加熱処理工程は、加熱空間内に露呈する炉内構造物による触媒効果により、プラズマ分解工程において未分解のアンモニアガスを分解させる請求項3記載の表面硬化方法。
  5. 上記鉄系材料は、あらかじめ表面にフッ化層を形成したものである請求項3または4記載の鉄系材料の表面硬化方法。
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