JP2002289605A - 表面処理方法および装置並びに固体接合方法 - Google Patents

表面処理方法および装置並びに固体接合方法

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JP2002289605A JP2001092702A JP2001092702A JP2002289605A JP 2002289605 A JP2002289605 A JP 2002289605A JP 2001092702 A JP2001092702 A JP 2001092702A JP 2001092702 A JP2001092702 A JP 2001092702A JP 2002289605 A JP2002289605 A JP 2002289605A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理部材に凹凸が存在しても均一に処理す
ることができるようにする。 【解決手段】 表面処理装置30は、処理室31の内部
に、被処理部材10を配置する処理ステージを有する。
処理室31には、供給配管38を介して処理ガス供給部
40から処理ガスが供給される。処理室31の天井部に
は、電子線照射ユニット34が設けてある。電子線照射
ユニット34は、処理室31に導入された処理ガスに電
子線36を照射して活性化する。活性化した処理ガス
は、被処理部材10と接触し、被処理部材の表面処理を
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理方法に係
り、特に被処理部材を大気中に配置して表面処理を行な
う表面処理方法および装置並びに固体接合方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の分野においては、シリコン
ウエハなどの被処理部材に対して有機物を除去するアッ
シングや被処理部材の表面を除去するエッチング、さら
には酸化や窒化などの種々の表面処理が行なわれる。従
来、被処理部材の表面に存在する有機物をアッシングす
る場合、被処理部材を配置した真空容器内に酸素を導入
して真空プラズマを発生させ、真空プラズマによって生
成した活性な酸素により有機物を燃焼させていた。さら
に、被処理部材をエッチングする場合、被処理部材を酸
などの溶液に浸漬したり、被処理部材を配置した真空容
器中にCF4 などの処理ガスを導入し、真空プラズマに
よって活性なフッ素などを生成して被処理部材をエッチ
ングしていた。
【0003】しかし、真空プラズマを用いたアッシング
やエッチングは、高価な真空機器を設置しなければなら
ないとともに、容器内を真空にするために処理に多くの
時間を必要とする。しかも、真空プラズマを発生させる
ために大きなエネルギーを必要とし、半導体装置の製造
コストを上昇させる要因となる。また、被処理部材を酸
溶液などに浸漬するウエットエッチングは、エッチング
後に純水による洗浄、乾燥を行なわなければならないと
ころから、多くの時間と手間が必要で、生産性が低下し
て製造コストを増大させる要因となる。そこで、大気圧
またはその近傍の圧力において処理ガスをプラズマ化
し、いわゆる大気圧プラズマによって活性化したガスを
用いてアッシングやエッチングを行なうことが提案され
ている。
【0004】図9は、従来の大気圧プラズマによる表面
処理方法の説明図である。図9において、シリコンウエ
ハなどの被処理部材10を配置するステージ12は接地
電極となっている。そして、ステージ12の上方には、
高周波電源14に接続した高周波電極16が対向配置し
てあって、高周波電極16とステージ12との間が放電
空間18となっている。また、放電空間18の側方に
は、処理ガス供給ノズル20が配設してあって、放電空
間18にヘリウムと酸素との混合ガスや、ヘリウムと四
フッ化炭素(CF4 )との混合ガスなどの処理ガスを供
給できるようにしてある。
【0005】表面処理を行なう場合、ステージ12の上
に被処理部材10を配置したのち、処理ガス供給ノズル
20から放電空間18に処理ガスを供給し、高周波電源
14によって高周波電極16とステージ12との間に高
周波電圧を印加する。これにより、放電空間18内の処
理ガスが電離してプラズマ22が発生し、処理ガスが電
離したり励起状態となって活性化される。そして、放電
空間18に発生したプラズマ22がステージ12の上に
配置した被処理部材10に衝突することにより、被処理
部材10のアッシングやエッチングが行なわれる。
【0006】そして、錫や銅などの金属を半田などの接
合材を用いずに固体状態で接合するいわゆる固体接合の
場合、図9に示したと同様にして錫や銅などの被接合部
材のフッ化処理を行ない、金属表面に存在している自然
酸化膜を除去したのちに接合することが提案されてい
る。すなわち、高周波電極16とステージ12との間に
安定な(非反応性の)CF4 などのフッ素系ガスを供給
してプラズマ化し、活性なフッ素などを生成して金属
(被処理部材)の表面をフッ化処理するようにしてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の大気圧
プラズマを利用した表面処理は、被処理部材10がプラ
ズマ22を発生させる電界中に配置されるため、プラズ
マ22によるダメージを受けやすいばかりでなく、被処
理部材10に凹凸がある場合、凸部に電界集中が生じて
プラズマが集中し、凸部が必要以上にエッチングされた
りダメージを受ける。さらに、放電を安定して発生させ
るために高価なヘリウムを添加する必要がある。また、
プラズマ22を生成するために一対の電極が必要であっ
て、設置の自由度が大きくない。しかも、被処理部材1
0の表面(上面)と裏面(下面)との両方を処理したい
場合、ステージ12の上に配置する必要があるところか
ら、表面と裏面とを別々に処理する必要があり、表面処
理に時間がかかる。
【0008】本発明は、前記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、被処理部材に凹凸が存在しても
均一に処理することができるようにすることを目的とし
ている。また、本発明は、高価なヘリウムを使用せずに
大気中で表面処理を行なえるようにすることを目的とし
ている。さらに、本発明は、被処理部材の両側の面を同
時に処理できるようにすることを目的としている。そし
て、本発明は、被処理部材が荷電粒子によるダメージを
受けないようにすることなどを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、大気圧近傍の圧力以上の処理ガスに電
子を照射して活性化し、活性化した処理ガスを被処理部
材に接触させて表面を処理することを特徴としている。
【0010】このように構成した本発明は、荷電粒子で
ある電子が処理ガスに衝突して処理ガスを励起し、分子
を分解して単原子やイオン、励起状態の原子などの活性
種が生成されて処理ガスが活性化される。そして、活性
化した処理ガスは、被処理部材と接触すると被処理部材
と容易に反応するため、被処理部材の表面処理を行なう
ことができる。従って、本発明によれば、被処理部材を
電界中に配置する必要がないため、被処理部材に凹凸が
存在しても電界集中などが発生せず、被処理部材の全体
を一様に処理することができる。しかも、荷電粒子であ
る電子を照射して処理ガスを活性化するため、ヘリウム
を用いなくとも処理ガスを容易に、安定して活性化する
ことができる。電子を照射して活性化するため、プラズ
マを発生させる電極が不要であり、表面処理をするため
に機器の設置の自由度を高めることができる。
【0011】処理ガスの活性化は、被処理部材の近傍の
処理ガスに電子を照射して行なうことができる。被処理
部材の近傍の処理ガスを活性化すると、被処理部材と接
触する活性種の数を多くすることができ、表面処理を迅
速に行なうことができる。また、処理ガスの活性化は、
被処理部材の両側に電子を照射して行なうことことも可
能である。これにより、被処理部材の両側の処理ガスが
活性化され、被処理部材の両側の面を同時に表面処理す
ることができる。
【0012】処理ガスの活性化は、処理ガスの流れの方
向と交差して電子を照射し、被処理部材から離間した位
置の処理ガスに電子を照射して行なってもよい。このよ
うに、被処理部材から離間した位置の処理ガスに電子を
照射して活性化すれば、被処理部材が高速の電子に晒さ
れることがなく、荷電粒子である電子によるダメージを
避けることができる。
【0013】表面の処理は、被処理部材の表面の物理的
性質または化学的性質を変える改質であってよい。改質
としては、表面の酸化、窒化、フッ化または濡れ性の改
善、還元などを挙げることができる。表面の酸化は、処
理ガスとして酸素、オゾンまたはCO2 などの酸化物の
ガスを用いて行なうことができる。表面の窒化は、窒素
ガスまたはアンモニアガスなどを利用することができ
る。また、表面をフッ化処理する場合、処理ガスとして
CF4 、フッ化水素(HF)などのフッ素系のガスを使
用できる。そして、表面の濡れ性を改善する場合には、
処理ガスとしてCF4 を用いてよい。さらに、被処理部
材の表面を還元する場合、処理ガスとして水素を利用す
ることができる。
【0014】さらに、表面処理は、被処理部材の表面に
存在する有機物を除去するアッシングであってよい。有
機物のアッシングは、活性化されて有機物を燃焼できる
酸化性のガスである酸素ガスや水(水蒸気)、酸素化合
物のガスを使用する。また、表面処理は、被処理部材の
表面の少なくとも一部を除去するエッチングであってよ
い。エッチングようの処理ガスは、エッチングする被処
理部材によって異なるが、被処理部材がシリコンである
場合、CF4 などを用いることができる。
【0015】そして、表面処理は、被処理部材に不純物
元素を注入するドーピングとすることができる。例え
ば、シリコン中にアクセプタとなるホウ素(B)を注入
する場合、処理ガスとして三フッ化ホウ素(BF3 )を
持ちいつことができる。また、シリコン中にキャリアと
なるリン(P)を注入する場合、処理ガスとしてホスフ
ィン(PH3 )を使用してよい。
【0016】さらに、本発明に係る表面処理方法は、大
気圧近傍の圧力以上の有機物からなる処理ガスに電子を
照射して活性化し、活性化したガスを重合させて被処理
部材の表面に重合膜を形成することを特徴としている。
被処理部材の表面に重合膜を形成することにより、被処
理部材の耐食性を高めたり、被処理部材に撥水性を与え
たりすることができる。撥水性の重合膜を形成する場
合、C4 10やC8 18 などの直鎖状フルオロカーボン
の蒸気を処理ガスとして使用すると、フッ素樹脂が重合
されるため、大きな撥水性が得られる。また、処理ガス
がデカン(C1022)などの炭化水素の蒸気であったと
しても、炭化水素の蒸気にCF4 や酸素を添加して活性
化し、これらを有機物と反応させて重合膜に取り込ませ
ることにより、撥水性を与えることができる。
【0017】そして、前記表面方法を実施するための表
面処理装置は、被処理部材に表面処理用の処理ガスを供
給する処理ガス供給部と、この処理ガス供給部が前記被
処理部材に供給する大気圧近傍の圧力以上の前記処理ガ
スに電子を照射して処理ガスを活性化する電子照射部と
を有することを特徴としている。これにより、被処理部
材を電界中に配置することなく表面処理をすることがで
きる。
【0018】電子照射部は、大気中に電子線を取り出し
可能な電子線照射管が望ましい。電子線を大気中に取り
出すことができる電子線照射管を用いれば、大気圧近傍
の圧力以上の処理ガスを容易に活性化することができ
る。そして、電子の照射方向を処理ガスの流れの方向と
交差させ、処理部材から離間した位置の処理ガスに電子
を照射することにより、被処理部材の電子によるダメー
ジを防ぐことができる。また、処理ガス供給部を、液体
有機物を貯溜する容器と、この容器内の液体有機物を気
化させる加熱部とによって構成した場合、被処理部材の
表面に有機物の重合膜を形成することができる。また、
気化させて有機物中に混入され、電子により活性化され
て有機物と反応する第2処理ガスを供給する第2処理ガ
ス供給部を設けることにより、デカンなどの炭化水素の
重合膜に撥水性を与えることができる。
【0019】さらに、本発明に係る固体接合方法は、相
互に接合する被接合部材の少なくとも一方を、大気圧近
傍の圧力以上の安定なフッ素系ガスに電子を照射して活
性化したガスによりフッ化処理したのち、前記被接合部
材を固体状態で接合することを特徴としている。このよ
うな接合方法を採用することにより、固体接合の前処理
(フッ化処理)において被接合部材に荷電粒子によるダ
メージを与えることがなく、ヘリウムを用いずに容易に
前処理を行なうことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る表面処理方法および
装置並びに固体接合方法の好ましい実施の形態を、添付
図面にしたがって詳細に説明する。図1は、本発明の第
1実施形態に係る表面処理装置の説明図である。図1に
おいて、表面処理装置30は、処理室31を有し、処理
室31内に設けた処理ステージ32の上に、シリコンウ
エハなどの被処理部材10を配置するようにしてある。
そして、表面処理装置30は、処理室31の天井部に電
子照射部である電子線照射ユニット(電子線照射管)3
4が処理ステージ32と対向するように設置してある。
この電子線照射ユニット34は、実施形態の場合、加速
電圧が30〜75kVのウシオ電機株式会社製のMin
−EBが用いられ、先端の照射窓から電子線36を大気
中に取り出し可能となっている。
【0021】また、処理室31の上部には、供給配管3
8を介して処理ガス供給部40が接続してあり、処理室
31に酸素やオゾン、CF4 などの処理ガスを供給でき
るようになっている。そして、供給配管38には、流量
制御弁42が設けてあって、処理室31に供給する処理
ガスの量を任意に調整することができるようにしてあ
る。さらに、表面処理装置30は、処理室31の下部に
排気弁44を備えた排気管46の一端が接続してある。
排気管46の他端ば、排気ポンプ48が接続してあっ
て、排気ポンプ48によって処理室31の内部を排気す
ることができるようにしてある。排気ポンプ48の吐出
した排気ガスは、必要に応じて図示しない除外装置に送
られる。
【0022】例えば、被処理部材10がシリコンウエハ
であって、シリコンウエハの表面を改質するために酸化
処理する場合、シリコンウエハを処理ステージ32の上
に配置する。そして、処理ガス供給部40から供給配管
38を介して酸素を処理ガスとして処理室31に供給す
するとともに、排気ポンプ48によって処理室31内を
排気し、処理室31内を大気圧状態に維持して処理室3
1内の処理ガスの濃度を所定の値に保持する。その後、
電子線照射ユニット34を駆動し、処理室31内に配置
されたシリコンウエハの近傍の処理ガスに電子線36を
照射する。これにより、処理室31に導入された酸素
は、電子線照射ユニット34から飛び出した電子と衝突
して励起され、酸素単原子や酸素イオンまたは励起状態
の酸素原子などの活性種が生成されて活性化され、これ
らの活性種がシリコンウエハに衝突する。このため、シ
リコンウエハ(被処理部材10)は、表面が酸化されて
二酸化シリコン(SiO2 )の膜が形成されて改質され
る。
【0023】このように、第1実施形態においては、被
処理部材10を電界中に配置しないため、被処理部材1
0に凹凸があっても電界集中を起こすことがなく、凹凸
のある被処理部材10の表面全体を均一に表面処理(酸
化)することができる。また、実施形態においては、高
価なヘリウムを使用することなく処理ガスを活性化する
ことができ、表面処理に要するコストを低減することが
できる。さらに、実施形態においては、処理ガスに電子
線36を照射して処理ガスを活性化しているため、処理
ガスを活性化するための電極が不要であって、被処理部
材10を設置するための自由度が増大する。しかも、電
子線照射管からなる電子線照射ユニット34から電子線
36を取り出して処理ガスに照射しているため、処理ガ
スが大気圧近傍の圧力以上であっても容易に活性化する
ことができる。そして、実施形態においては、被処理部
材10を処理室31内に配置して表面処理を行なうよう
にしているため、処理ガスの無駄を少なくすることがで
きるとともに、人体や周囲環境に影響を与える処理ガス
をも容易に取り扱うことができる。
【0024】なお、前記実施形態においては、処理室3
1の内部が大気圧状態である場合について説明したが、
処理室の内部の圧力を大気圧以上、例えば2〜5気圧に
してもよい。また、処理室31にヒータなどの加熱手段
を設け、被処理部材10を例えば150〜300℃程度
に加熱することにより、表面処理(酸化)を促進するこ
とができる。そして、前記実施形態においては、処理ガ
スが酸素である場合について説明したが、酸化用の処理
ガスはこれに限定されるものではなく、例えばオゾンま
たはCO2 、水蒸気(H2 O)などの酸素化合物であれ
ばよい。さらに、前記実施の形態においては、被処理部
材がシリコンウエハである場合について説明したが、被
処理部材はタンタルや他の金属などであってもよい。そ
して、処理ステージ32を回転可能に形成し、回転させ
ながら被処理部材10の酸化処理を行なうと、被処理部
材10の全体にわたって一様な酸化処理をすることがで
きる。なお、被処理部材10の表面処理を安定して行な
うために、処理室31の内部を表面処理の前後において
窒素ガスなどの不活性はガスにより置換することが望ま
しい。そして、前記実施形態においては、処理室31に
処理ガスを導入して表面処理を行なう場合について説明
したが、処理室31を設けずに被処理部材10を開放系
に配置し、処理ガスを吹き付けるようにして表面処理を
行なってもよい。
【0025】シリコンウエハの表面を窒化処理して改質
する場合、処理ガス供給部40から処理ガスとして窒素
ガスや、アンモニアガスなどの窒素化合物のガスを大気
圧状態で処理室31に導入する。そして、これらのガス
に電子線36を照射する。これにより、窒素ガスやアン
モニアガスなどの処理ガスが励起し、窒素イオンや窒素
単原子などの活性種が生成されて活性化される。そし
て、活性化された処理ガスがシリコンウエハに衝突して
これを窒化し、表面に窒化ケイ素(Si3 4 )の膜が
形成されて表面の改質が行なわれる。鋼などの金属の窒
化も同様に行なうことができる。また、被処理部材10
を加熱することにより、窒化処理の速度を大きくするこ
とができる。
【0026】表面処理が錫や銅などの金属のフッ化処理
である場合、被処理部材10を処理ステージ32の上に
配置したのち、処理ガス供給部40からHFや、CF4
などの非反応性の安定なフッ素系ガスを処理室31に大
気圧状態で供給する。そして、被処理部材10の近傍の
処理ガスに電子線36を照射する。これにより、処理ガ
スが励起されて活性なフッ素が生成され、活性なフッ素
が錫や銅などの表面に付着してこれらの表面をフッ化
し、表面が改質される。
【0027】このようにしてフッ化処理した被処理部材
10は、固体接合に供することができる。この固体接合
は、図2に示したような接合装置によって行なうことが
できる。図2に示した固体接合装置50は、接合チャン
バ52を有している。接合チャンバ52の内部には、接
合テーブル54が配置してあり、接合テーブル54の上
にフッ化処理をした一対の被処理部材(被接合部材)1
0a、10bを配置するようになっている。また、接合
チャンバ52には、シリンダなどからなる加圧手段56
が接合テーブル54の上方に配設してある。加圧手段5
6の加圧板58と接合テーブル54とには、ヒータ6
0、62が内蔵してあって、被処理部材10a、10b
を融点以下の所望の温度に加熱できるようにしてある。
そして、接合チャンバ52には、不活性ガス供給部64
が流量制御弁66を備えた配管68を介して接続してあ
って、接合チャンバ52内を窒素などの不活性ガスの雰
囲気にできるようにしてある。
【0028】このように構成してある固体接合装置50
においては、固体接合の前処理として、被処理部材10
a、10bの接合面を前記のようにしてフッ化処理した
のち、被処理部材10a、10bを窒素雰囲気中の接合
チャンバ52の内部に搬入し、接合テーブル54の上に
配置する。そして、接合テーブル54に内設したヒータ
62により被接合部材10a、10bを融点以下の所定
の温度(例えば150〜200℃)に加熱する。さら
に、ヒータ60によって所定の温度に加熱してある加圧
手段56の加圧板58を下降させ、加圧手段56によっ
て被処理部材10a、10bを加圧して両者を接合す
る。
【0029】なお、発明者らの実験によると、フッ化処
理は、被処理部材(被接合部材)10a、10bのいず
れか一方を行なえばよく、両者をフッ化処理する必要は
ない。また、被処理部材10a、10bを加熱しなくと
も接合することができるが、被処理部材10a、10b
を加熱することにより、接合時間を短縮できるととも
に、接合強度を大きくすることができる。そして、被処
理部材としてNd−Fe−Bからなる粉末を上記のよう
にしてフッ化処理し、フッ化処理した粉末を型に入れて
加熱しつつ加圧することにより固化することができ、前
記のフッ化処理をいわゆる粉末冶金の前処理とすること
ができる。
【0030】錫や銅など多くの金属は、一般に空気に晒
すと、空気中の酸素や水分によって酸化され、表面に自
然酸化膜が形成される。このような自然酸化膜が形成さ
れた金属は、いわゆる濡れ性が悪く、半田などによる接
合が困難となる。そこで、自然酸化膜を有する金属の表
面処理を行なって濡れ性の改善を行なう。この濡れ性を
改善する場合、金属からなる被処理部材10を図1に示
した処理ステージ32の上に配置し、処理ガス供給部4
0から供給配管38を介して、CF4 などの安定なフッ
素系ガスを処理ガスとして処理室31に供給する。その
後、電子線照射ユニット34によって処理ガスに電子線
36を照射する。これにより、処理ガスが活性化されて
活性なフッ素が生成される。この活性なフッ素は、自然
酸化膜を形成している酸素と置き換わって金属原子と結
合し、被処理部材10の表面が改質されて濡れ性が改善
される。
【0031】また、自然酸化膜を有する金属の表面を改
質して濡れ性を改善するために水素による還元をするこ
とがある。そこで、金属酸化膜を有する被処理部材10
を処理室31内の処理ステージ32の上に配置し、被処
理部材10を加熱するとともに、処理ガス供給部40か
ら処理室31に処理ガス(還元ガス)である水素ガスを
供給する。そして、処理室31に導入した水素ガスに電
子線照射ユニット34によって電子線36を照射する。
これにより、水素ガスが励起されてイオン水素や励起さ
れた水素などの活性種が生成され、活性な水素が被処理
部材10の表面に存在している自然酸化膜を形成してい
る酸素と結合して水(H2 O)となり、被処理部材10
の表面が還元される。
【0032】なお、発明者らの研究によると、金属表面
を還元する場合、水素を直接作用させても還元できない
ようなものであっても、金属表面を一度ハロゲン化した
のちに還元すると、容易に還元することができることが
わかった。そこで、錫や銅などの被処理部材10を前記
したように処理室31内において一度フッ化処理をした
のち、処理室31に水素を導入して電子線36を照射
し、水素を活性化する。活性な水素は、被処理部材10
の表面に存在しているフッ素と結合し、フッ化水素とな
って被処理部材10の表面から離脱して被処理部材10
を還元する。このようにしてフッ素を水素によって還元
して除去した被処理部材10を固体接合すると、被処理
部材10にフッ素が残存していないため、フッ素による
マイグレーションのおそれがなく、高品質の接合体を得
ることができる。
【0033】なお、フッ素を還元する場合、処理ガスと
して水素ガスに代えてアンモニアガスを用いてもよい。
アンモニアガスを使用すると、アンモニアガスが電子線
36によって活性化され、被処理部材10の表面に存在
しているフッ素(F)と、
【化1】 のように反応し、フッ化アンモニウムが生成されて被処
理部材10を還元することができる。
【0034】表面処理が有機物を除去するアッシングで
ある場合、例えばフォトレジストを有するシリコンウエ
ハをアッシングする場合、被処理部材10であるシリコ
ンウエハを処理ステージ32の上に配置する。また、処
理ガス供給部40から処理ガスとして酸素ガスを処理室
31に供給する。そして、電子線照射ユニット34によ
って処理室31に供給した酸素ガスに電子線36を照射
し、酸素ガスを励起して活性化させる。これにより、活
性な酸素が生成されてシリコンウエハの表面に存在して
いるフォトレジスト(有機物)と反応し、フォトレジス
トが燃焼されてアッシングが行なわれる。
【0035】なお、アッシングの際には、有機物中の水
素と活性な酸素とが結合して水が生成されるため、被処
理部材10を加熱することが望ましい。また、アッシン
グ用の処理ガスとしては、蒸気化した水や酸素化合物を
用いることができる。
【0036】表面処理として例えばシリコンウエハのエ
ッチングを行なう場合、処理ガスとして四フッ化炭素
(CF4 )やフッ素ガス、SF6 などのフッ素系ガス等
のハロゲン系ガスを用いる。例えば、処理ガスとしてC
4 を用いた場合、処理室31に導入したCF4 に電子
線36を照射すると、CF4 が励起されてフッ素イオン
や励起状態のフッ素などが生成され、これらの活性種が
シリコンと反応して四フッ化ケイ素(SiF4 )となっ
て気化し、シリコンウエハのエッチングが行なわれる。
【0037】なお、二酸化ケイ素の膜(いわゆるシリコ
ン酸化膜)をエッチングする場合、CF4 に水蒸気を添
加したものを処理ガスとして使用すると、CF4 と水蒸
気との混合ガスに電子線36を照射すると、両者が反応
して二酸化ケイ素をエッチングしやすいフッ素系イオン
HF2 -を生じ、シリコン酸化膜を容易にエッチングする
ことができる。すなわち、CF4 と水蒸気との混合ガス
に電子線36を照射すると、活性化されたCF4 と水蒸
気とが
【化2】 のように反応してフッ化水素(HF)を生ずる。このフ
ッ化水素は、さらに水と次のように反応し、
【化3】 フッ素系イオンHF2 -が生成され、このフッ素系イオン
が二酸化ケイ素をエッチングする。
【0038】また、シリコンウエハに不純物元素(ドー
パント)を注入する場合、ドーパントとなる元素を組成
として含むガスを処理ガスとして処理室31に導入し、
そのガスに電子線36を照射して処理ガスをイオン化す
る。例えば、シリコンウエハにアクセプタとなるホウ素
(B)を注入する場合、シリコンウエハを処理ステージ
32の上に配置したのち、処理ガスとして三フッ化ホウ
素(BF3 )を処理室31に供給し、三フッ化ホウ素に
電子線36を照射する。これにより三フッ化ホウ素が分
解され、活性なホウ素イオンが生成されて被処理部材1
0であるシリコンウエハに注入される。また、ドナーと
なるリン(P)をシリコンウエハに注入する場合、シリ
コンウエハを配置した処理室31に処理ガスとしてホス
フィン(PH3 )を導入し、ホスフィンに電子線36を
照射してリンイオンを生成する。
【0039】図3は、第2実施形態に係る表面処理装置
の説明図である。図3において、処理室70の内部に
は、比較的薄い被処理部材72を中空に水平に保持する
ための保持具74が設けてある。また、処理室70に
は、電子線照射ユニット34が被処理部材72の側方に
位置させて取り付けてあって、電子線36を水平方向に
放射できるようにしてある。そして、処理室70の上部
と下部とには、基端側を処理ガス供給部40に接続した
供給配管76、78が接続してあって、処理ガス供給部
40からの処理ガスを処理室70の内部に供給できるよ
うにしてある。各供給配管76、78には、それぞれ流
量制御弁80、82が設けてあり、処理室70に供給す
る処理ガスの量を制御できるようになっている。さら
に、処理室70には、保持具74の下方に排気弁44を
有する排気管84が接続してある。この排気管84に
は、排気弁44の上流側に分岐管86の一端が接続して
ある。そして、分岐管86の他端は、処理室70の保持
具74より上方に接続してある。
【0040】このように構成してある表面処理装置によ
る被処理部材72の表面処理は、次のようにして行な
う。被処理部材72を処理室70に搬入して保持具74
に水平に保持させる。また、被処理部材72の表面処理
の目的に適した処理ガスを、供給配管76、78を介し
て処理ガス供給部40から処理室70に導入するととも
に、排気管84、分岐管86を介して処理室70内を排
気し、処理室70の内部をほぼ大気圧状態に維持する。
そして、電子線照射ユニット34を駆動して電子線36
を図示しない照射窓から外部に取り出し、電子線36を
被処理部材72の上下部の処理ガスに照射する。これに
より、被処理部材72の上下部の処理ガスが活性化され
て被処理部材72に衝突し、被処理部材72は表面処理
が行なわれる。
【0041】このように、第2実施形態においては、被
処理部材72の両側の処理ガスに電子線36を照射する
ようにしているため、被処理部材72の上下の面(表裏
面)を同時に表面処理をすることができる。しかも、実
施形態においては、被処理部材72の上下の両側から処
理ガスを供給し、排気を行なっているため、上下の面に
おいて処理むらを生ずるのを防止することができる。ま
た、供給配管76、78から供給する処理ガスの量を両
者で変えることにより、被処理部材10の上面と下面と
で処理の程度を変えることも可能である。
【0042】なお、前記第2実施の形態においては、被
処理部材72を水平に保持した場合について説明した
が、被処理部材72を上下方向に立てて保持するように
してもよい。また、処理室70に被処理部材72を加熱
するための加熱手段を設けてもよい。
【0043】図4は、第3実施形態の説明図である。こ
の実施形態においては、被処理部材10を配置する処理
ステージ90の上方にノズル92が配設してある。ノズ
ル92は、流量制御弁42を備えた供給配管94を介し
て処理ガス供給部40に接続してあって、処理ガス供給
部40からの処理ガス98を処理ステージ90の上に配
置した被処理部材10に吹き付けることができるように
してある。また、ノズル92のやや下方であって、処理
ガス98の流れの側方には、電子線照射ユニット34が
配設してある。そして、電子線照射ユニット34は、図
に示したように、ノズル92から噴射する処理ガス98
の流れの方向と交差して電子線36を照射するようにし
てあり、ノズル92から噴出された直後の処理ガス98
に電子線36を照射できるようにしてある。
【0044】このようになっている第3実施形態におい
ては、処理ガス供給部40からの処理ガス98をノズル
92によって被処理部材10に吹き付けるとともに、電
子線照射ユニット34によって、被処理部材10から離
間した位置において、ノズル92から吹き出された処理
ガス98に電子線36を照射する。これにより、ノズル
92から噴射された処理ガス98は、電子線36が照射
される部分100において活性化されて被処理部材10
に衝突し、被処理部材10が活性化された処理ガス98
によって表面処理される。
【0045】この第3実施形態においては、被処理部材
10から離間した位置において処理ガス98に電子線3
6を照射して活性化するようになっているため、被処理
部材10が直接電子線36に晒されることがなく、被処
理部材10の電子線36によるダメージを避けることが
できる。なお、ノズル92と被処理部材10とを前記し
たような処理室内に配置してもよい。
【0046】図5は、第4実施形態に係る表面処理装置
の説明図である。この第4実施形態の表面処理装置13
0は、処理室31に供給配管102を介して処理ガス供
給部104が接続してある。この処理ガス供給部104
は、例えばデカン(C1022)などの直鎖状炭化水素、
4 10やC8 18などの直鎖状パーフルオロカーボン
等の有機物からなる液体有機物106を貯溜する容器1
08を有している。そして、容器108には、加熱部と
なるヒータ110が設けてあって、液体有機物106を
加熱して気化できるようになっている。さらに、供給配
管102には、流量制御弁112が取り付けてあり、気
化した有機物の流量を制御できるようにしてある。ま
た、供給配管102の流量制御弁112の下流側には、
流量制御弁114を備えたキャリア配管116を介して
キャリアガス供給部118が接続してある。キャリアガ
スは、窒素やアルゴンなどの不活性なガスを使用する。
【0047】この第4実施形態においては、処理ガス供
給部104を構成している容器108内の液体有機物1
06をヒータ110によって加熱し、液体有機物106
を気化させる。また、キャリアガス供給部118から窒
素などのキャリアガスを供給配管102に流入させ、液
体有機物106の蒸気を処理室31に搬送する。そし
て、処理室31に導入した液体有機物106の蒸気に電
子線36を照射すると、直鎖状有機物の結合が一部切断
されて活性となり、被処理部材10の表面に到達した活
性な有機物蒸気が重合し、被処理部材10の表面に有機
物の重合膜が形成される。
【0048】なお、液体有機物106としてC4 10
818などのフルオロカーボンを使用すると、フッ素
樹脂が重合され、撥水性、潤滑性に優れた膜を得ること
ができる。従って、例えばインクジェットプリンタのプ
リンタヘッドを被処理部材として処理室31に配置し、
プリンタヘッドの表面に薄いフッ素樹脂の重合膜を形成
することにより、プリンタヘッドに撥水性を与えること
ができ、吐出するインキを真っ直ぐに飛ばすことが可能
となって色の滲みなどを防止することができる。
【0049】なお、液体有機物106がデカンなどの炭
化水素である場合、図5の破線に示しように、供給配管
102に流量制御弁120を有する配管122を介して
第2処理ガス供給部124を接続し、第2処理ガス供給
部124からCF4 を第2処理ガスとして液体有機物1
06の蒸気に添加し、この有機物蒸気とCF4 との混合
ガスに電子線36を照射すると、電子線36により活性
化したフッ素が炭化水素と反応し、被処理部材10の表
面に重合させた膜中に取り込まれて重合膜に撥水性を与
えることができる。液体有機物106がデカトリエンで
ある場合、第2処理ガスとしてCF4 または酸素を添加
することにより、重合膜に撥水性を与えることができ
る。また、液体有機物106がフルオロカーボンである
場合、第2処理ガス供給部124から適度のCF4 を添
加すると、電子線36の照射によってフルオロカーボン
のフッ素の一部が離脱したとしても、CF4 から生成さ
れた活性なフッ素が重合膜に取り込まれるため、重合膜
の撥水性を向上することができる。
【0050】上記した表面処理は、レジストやアクリル
など、各種有機物の表面の撥水化や各種無機材料の表面
の濡れ性向上に適用することができる。図6〜図8は、
本発明に係る表面処理方法の適用例を示す説明図であ
る。図6は、高分子有機エレクトロルミネッセンス(E
L)表示パネルの製造工程の一部を示したものであっ
て、高分子有機EL表示パネルを構成する透明なガラス
基板140の上に、ITO(Indium Tin O
xide)などの透明導電膜からなる透明電極142が
形成してある。また、ガラス基板140の上には、各透
明電極間142間に透明電極142の周縁部を覆ってS
iO2 からなる絶縁膜144が設けてあって、各透明電
極142を電気的に相互に分離している。そして、透明
電極142の上には、高分子有機EL素子(EL素子)が
配置される。
【0051】EL素子を透明電極142の上に選択的に
配置する方法は、透明電極142の周囲に設けた絶縁膜
144の上にポリイミド(PI)などの有機物によって形
成したバンク146を設けるとともに、ガラス基板14
0の上方に例えばインクジェットプリンタのインクジェ
ットヘッドのような吐出ヘッド148を配置し、透明電
極142に対応している吐出口150から液状のEL素
子152を透明電極142に向けて吐出し、透明電極1
42の上にEL素子152を塗布して付着させるように
している。
【0052】ところが、液状のEL素子152を吐出す
る吐出ヘッド148は、EL素子152の粘性による影
響などにより、EL素子152を透明電極142に向け
て真っ直ぐ飛ばすことが困難で、多くが透明電極142
の周囲のバンク146に付着する。このため、バンク1
46の撥水性を高め、バンク146に付着したEL素子
152が透明電極142に滑り落ちるようにしている。
また、透明電極142に付着したEL素子152は、透
明電極142から容易に離脱しないようにする必要があ
る。このため、透明電極142の濡れ性を改善してEL
素子152の付着力の増大を図っている。
【0053】そこで、この実施形態においては、透明電
極142の濡れ性の向上処理と、バンク146の撥水性
の付与処理とを連続的に行なう。すなわち、透明電極1
42とバンク146とを設けたガラス基板140を図1
に示した処理室31内に配置する。そして、処理ガス供
給部40から処理ガスとして酸素ガスを処理室31に供
給するとともに、電子線照射ユニット34によって酸素
ガスに電子線36を照射して酸素ガスを活性化し、IT
Oからなる透明電極142を活性な酸素によって表面処
理する。この酸素による表面処理により、透明電極14
2の濡れ性が改善される。
【0054】酸素による表面処理を所定時間行なったな
らば、処理室31への酸素の供給を停止し、処理ガス供
給部40から処理室31に処理ガスとしてCF4 を供給
し、電子線照射ユニット34によってCF4 に電子線3
6を照射してCF4 を活性化する。そして、活性化した
CF4 をガラス基板140に接触させてバンク146の
フッ化処理を行なって撥水性を与える。
【0055】なお、酸素による表面処理とCF4 による
表面処理との前後において処理室31の内部を窒素など
の不活性ガスによって置換を行なってもよい。また、酸
素ガスとCF4 との混合ガスを処理室31に供給して透
明電極142の濡れ性の改善と、バンク146の撥水性
の付与とを同時に行なってもよい。
【0056】図7は、上記の処理の効果を確認するため
に、ITO膜とポリイミド(PI)膜とSiO2 膜とを
処理室31に配置し、上記した酸素による表面処理とC
4による表面処理とを連続して行なったときの、液状
高分子有機EL素子152の接触角を求めたものであ
る。図7に示したように、ITO膜は、活性な酸素によ
る表面処理(いわゆるアッシング)をすることにより、接
触角が20度程度から15度程度に低下し、濡れ性が改
善される。SiO2 膜もアッシングすることにより、接
触角が低下して濡れ性が改善する。すなわち、活性な酸
素による表面処理によって無機物の濡れ性を改善するこ
とができる。ただし、有機物であるポリイミド膜の濡れ
性は変化しない。
【0057】そして、アッシング処理したITO膜、ポ
リイミド膜、SiO2 膜を上記のようにしてCF4 によ
る表面処理(フッ化処理)をすると、ITO膜の濡れ性
(接触角)はほとんど変化しないが、有機物であるポリイ
ミド膜の接触角が15度程度から65度程度に変化し、
ポリイミド膜に撥水性を与えることができる。このた
め、図8に示したように、吐出ヘッド148の吐出口1
50から噴射され、バンク146に付着したEL素子1
52は、矢印154に示したように、バンク146間の
谷間に存在する本図に図示しない透明電極142に向か
って滑り落ちる。従って、EL素子152を容易、確実
に透明電極142の上に選択的に付着させることができ
る。しかも、透明電極142は、活性な酸素によって濡
れ性が改善されているために、EL素子152の付着力
が増大し、加熱して溶媒を蒸散させたときに、EL素子
152が透明電極142から剥離するような現象を確実
に防ぐことができる。なお、アッシング処理したSiO
2 膜は、フッ化処理をするとわずかに接触角が大きくな
る。
【0058】前記適用例においては、高分子有機EL表
示パネルの製造に適用した場合について説明したが、カ
ラーフィルタの製造プロセスにおいても同様にして無機
材料(基板)の濡れ性の改善と有機物バンクの撥水性の付
与処理をしたのち、液状のカラーインクやカラーレジス
トを吐出ヘッドから噴射することにより基板に塗布する
ことができる。
【0059】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、処理ガスに電子を照射して活性化するようにしてい
るため、被処理部材を電界中に配置する必要がないく、
被処理部材に凹凸が存在しても電界集中などが発生せ
ず、被処理部材の全体を一様に処理することができる。
しかも、荷電粒子である電子を照射して処理ガスを活性
化するため、ヘリウムを用いなくとも処理ガスを容易
に、安定して活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る表面処理装置の
説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る固体接合装置の説明
図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る表面処理装置の
説明図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係る表面処理装置の
説明図である。
【図5】本発明の第4実施の形態に係る表面処理装置の
説明図である。
【図6】高分子有機EL表示パネルの製造工程の一部を
説明する図である。
【図7】実施の形態に係るアッシング処理とフッ化処理
とを連続的に行なったときの、液状高分子有機EL素子
の接触角の変化を示す図である。
【図8】実施の形態に係るアッシング処理とフッ化処理
とを行なったのち、透明電極への液状高分子有機EL素
子の塗布を説明する図である。
【図9】従来の大気圧プラズマによる表面処理方法の説
明図である。
【符号の説明】
10、72………被処理部材、10a、10b………被
処理部材(被接合部材)、30、130………表面処理
装置、31、70………処理室、34………電子照射部
(電子線照射ユニット)、36………電子線、40、1
04………処理ガス供給部、50………固体接合装置、
52………接合処理室、56………加圧手段、58……
…加圧板、60、62………ヒータ、64………不活性
ガス供給部、106………液体有機物、108………容
器、110………加熱部(ヒータ)、118………キャ
リアガス供給部、124………第2処理ガス供給部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/3065 H01L 21/265 F 21/318 21/302 H (72)発明者 鈴木 崇之 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 秋山 博明 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 4K028 BA01 BA02 BA04 BA05 BA11 BA21 4K029 AA06 AA24 BA32 BA33 BA62 BD01 CA10 CA12 5F004 BA19 BB01 BD01 DA00 DA01 DA18 DA26 DB01 DB03 DB26 5F058 BB10 BC02 BC08 BF51 BF54 BF58 BF59 BF62 BF63 BF64 BF75 BJ01

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧近傍の圧力以上の処理ガスに電子
    を照射して活性化し、活性化した処理ガスを被処理部材
    に接触させて表面を処理することを特徴とする表面処理
    方法。
  2. 【請求項2】 前記処理ガスの活性化は、前記被処理部
    材の近傍の前記処理ガスに電子を照射して行なうことを
    特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記処理ガスの活性化は、前記被処理部
    材の両側に電子を照射して行なうことを特徴とする請求
    項2に記載の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記処理ガスの活性化は、前記処理ガス
    の流れの方向と交差して前記電子を照射し、前記被処理
    部材から離間した位置の前記処理ガスに電子を照射して
    行なうことを特徴とする請求項1に記載の表面処理方
    法。
  5. 【請求項5】 前記表面の処理は、改質であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処理
    方法。
  6. 【請求項6】 前記改質は、酸化であることを特徴とす
    る請求項5に記載の表面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記改質は、窒化であることを特徴とす
    る請求項5に記載の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 前記改質は、フッ化であることを特徴と
    する請求項5に記載の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 前記改質は、濡れ性の改善であることを
    特徴とする請求項5に記載の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記改質は、還元であることを特徴と
    する請求項5に記載の表面処理方法。
  11. 【請求項11】 前記表面処理は、前記被処理部材の表
    面に存在する有機物を除去するアッシングであることを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処
    理方法。
  12. 【請求項12】 前記表面処理は、前記被処理部材の表
    面の少なくとも一部を除去するエッチングであることを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処
    理方法。
  13. 【請求項13】 前記表面の処理は、前記被処理部材に
    不純物元素を注入するドーピングであることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処理方法。
  14. 【請求項14】 大気圧近傍の圧力以上の有機物からな
    る処理ガスに電子を照射して活性化し、活性化したガス
    を重合させて被処理部材の表面に重合膜を形成すること
    を特徴とする表面処理方法。
  15. 【請求項15】 前記重合膜は、撥水性であることを特
    徴とする請求項14に記載の表面処理方法。
  16. 【請求項16】 被処理部材に表面処理用の処理ガスを
    供給する処理ガス供給部と、この処理ガス供給部が前記
    被処理部材に供給する大気圧近傍の圧力以上の前記処理
    ガスに電子を照射して処理ガスを活性化する電子照射部
    とを有することを特徴とする表面処理装置。
  17. 【請求項17】 前記電子照射部は、大気中に電子線を
    取り出し可能な電子線照射管であることを特徴とする請
    求項16に記載の表面処理装置。
  18. 【請求項18】 前記電子照射部は、電子の照射方向が
    前記処理ガスの流れの方向と交差しており、前記処理部
    材から離間した位置の前記処理ガスに電子を照射するこ
    とを特徴とする請求項16または17に記載の表面処理
    装置。
  19. 【請求項19】 前記処理ガス供給部は、液体有機物を
    貯溜する容器と、この容器内の前記液体有機物を気化さ
    せる加熱部とを有することを特徴とする請求項16ない
    し18のいずれかに記載の表面処理装置。
  20. 【請求項20】 気化させて前記有機物中に混入され、
    前記電子により活性化されて前記有機物と反応する第2
    処理ガスを供給する第2処理ガス供給部を有することを
    特徴とする請求項19に記載の表面処理装置。
  21. 【請求項21】 相互に接合する被接合部材の少なくと
    も一方を、大気圧近傍の圧力以上の安定なフッ素系ガス
    に電子を照射して活性化したガスによりフッ化処理した
    のち、前記被接合部材を固体状態で接合することを特徴
    とする固体接合方法。
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