JP2002270539A - 被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置 - Google Patents

被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置

Info

Publication number
JP2002270539A
JP2002270539A JP2001064867A JP2001064867A JP2002270539A JP 2002270539 A JP2002270539 A JP 2002270539A JP 2001064867 A JP2001064867 A JP 2001064867A JP 2001064867 A JP2001064867 A JP 2001064867A JP 2002270539 A JP2002270539 A JP 2002270539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
material liquid
film forming
raw material
reaction gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001064867A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuru Sato
充 佐藤
Yoshiaki Mori
義明 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2001064867A priority Critical patent/JP2002270539A/ja
Publication of JP2002270539A publication Critical patent/JP2002270539A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】成膜と同時に膜質調整が可能となり、成膜後に
膜質調整を行う高温アニール工程を必要とせず、低コス
トで無機材料被膜を形成可能な被膜形成方法およびその
装置の提供を目的とする。 【解決手段】成膜原料液を加熱して被処理部材5の表面
に無機材料被膜を形成する被膜形成装置であって、作業
チャンバ10内で被処理部材5を載置するステージ15
と、作業チャンバ10内に成膜原料液を供給する原料液
供給手段22と、作業チャンバ10内に反応ガスを供給
する反応ガス供給手段24と、作業チャンバ10内に供
給された反応ガスに電子線を照射する照射手段30と、
被処理部材を加熱する加熱手段17とを有する構成とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被膜形成方法、その
方法により製造された半導体装置および被膜形成装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】LSI等の半導体装置を形成する場合に
は、ウエハ基板の表面にトランジスタ等の半導体素子を
形成し、さらにその素子間を接続する配線をアルミ材料
等によって形成している。配線の形成方法は、まず素子
が形成されたウエハの表面に絶縁膜を形成し、さらにそ
の表面全体にアルミ被膜を形成する。さらにその表面全
体にフォトレジスト膜を形成し、形成すべき配線をプリ
ントしたマスクを介して露光した後、現像してレジスト
膜をエッチングする。次にレジスト膜のエッチング部分
を通して、アルミ被膜をエッチングする。最後に残った
レジストをはく離して、所望の配線パターンを得る。
【0003】上記アルミ被膜の形成方法として、CVD
法やスパッタ法が利用されていた。CVD法は、無機材
料の揮発性化合物を気化し、高温加熱した基板上に送り
込み、基板上で分解、還元、酸化、置換などの反応を行
わせて、基板上に薄膜を形成するものである。一方スパ
ッタ法は、無機材料の固体にイオンを加速して照射し、
固体表面の原子や分子を外部に放出させ、これを基板上
に付着させて薄膜を形成するものである。しかし上記の
CVD法やスパッタ法は原料に対するロス量が大きく、
また真空を使用することからエネルギー消費量が大き
い。そこで大気圧下において、配線用の無機材料を含む
溶液(成膜原料液)を基板上に被着させることにより、
成膜する方法が検討されている。
【0004】一方近年では、半導体装置の小型化と高速
化が重要な課題となっている。しかし半導体装置の小型
化は配線幅の減少を伴うので、配線抵抗が増大して配線
遅延が発生し、高速化の障害となってしまう。そこで配
線の材料として、アルミより比抵抗値の小さい銅が利用
されるようになっている。
【0005】以上の技術的背景から、配線用の金属銅被
膜の形成方法として以下の二種類が考えられている。第
1の方法は、酢酸銅(化学式:Cu(CH3COO)2
2O)の溶液をウエハ基板に被着させ、熱分解して金
属銅の薄膜を形成する方法である。第2の方法は、金属
銅の微粒子を有機溶媒に溶かしてウエハ基板に被着さ
せ、熱分解して金属銅の薄膜を形成する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記第1の方法では、
酢酸銅溶液が酸素を含む組成であるため、金属銅被膜を
熱焼成する際に酸化銅(CuO)が形成されやすい。と
ころが、この酸化銅は配線抵抗を引き上げる原因となる
ので、これを取り除く必要がある。従って、熱焼成後の
被膜に対し、還元剤である水素ガス雰囲気中で高温アニ
ール処理(300℃以上)して膜質を調整する必要があ
り、多くの製造コストを要するという問題がある。
【0007】また上記第2の方法における有機溶媒中に
は、金属銅の微粒子の凝集を防止するため表面処理剤が
含まれており、この表面処理剤が金属銅被膜の焼成過程
で熱分解し、不純物として炭素が残留する。ところが、
この炭素は配線抵抗を引き上げる原因となるので、これ
を取り除く必要がある。従って、上記と同様に熱焼成後
の被膜に対し、還元剤である水素ガス雰囲気中で高温ア
ニール処理して膜質を調整する必要があり、多くの製造
コストを要するという問題がある。
【0008】本発明は上記問題点に着目し、成膜と同時
に膜質調整を可能として高温アニール処理を必要とする
ことなく、低コストで無機材料被膜を形成可能な、被膜
形成方法および被膜形成装置の提供を目的とする。ま
た、被処理部材がダメージを受けることなく無機材料被
膜を形成可能な、被膜形成方法および被膜形成装置の提
供を目的とする。さらに、上記効果を伴った半導体装置
の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る被膜処理方法は、成膜原料液を被処理
部材の表面で加熱して無機材料被膜を形成する被膜形成
方法であって、前記成膜原料液をミスト化するととも
に、そのミスト状成膜原料液と活性化した反応ガスとを
混合し、前記被処理部材の表面において前記ミスト状成
膜原料液を加熱して、前記ミスト状成膜原料液の焼成物
と活性化した前記反応ガスとを反応させつつ成膜する構
成とした。
【0010】これにより、成膜原料液の焼成物である無
機材料被膜またはその酸化物もしくは不純物などと、還
元剤や酸化剤などの反応ガスが活性化されたものとを反
応させつつ、所望の無機材料被膜を形成することができ
る。従って、成膜と同時に膜質調整が可能となり、成膜
後に膜質調整を行う高温アニール工程を必要とせず、低
コストで無機材料被膜を形成することができる。
【0011】また前記反応ガスの活性化は、前記反応ガ
スに電子を照射して行う構成とした。これにより、反応
ガスをプラズマ化して活性化することができる。また前
記反応ガスの活性化は、前記反応ガスと不活性ガスとの
混合物に電子を照射して行う構成とした。これにより、
大気圧下でプラズマ化しやすい不活性ガスを媒介とし
て、大気圧下で反応ガスをプラズマ化することができ
る。従って、電子の照射エネルギーを低くすることがで
き、電子がウエハ基板に衝突することによってウエハ基
板が受けるダメージを低く抑えることができる。また、
作業チャンバ内を減圧するための設備が不要となり、低
コストで無機材料被膜を形成することができる。
【0012】また前記反応ガスへの電子の照射は、前記
反応ガスを大気圧またはその近傍の圧力下においてプラ
ズマ化した後に行う構成とした。これにより、電子の照
射エネルギーを低くすることができ、電子が被処理部材
に衝突することによって被処理部材が受けるダメージを
低く抑えることができる。
【0013】また、前記ミスト状成膜原料液を帯電させ
るとともに、前記被処理部材に電圧を印加して前記ミス
ト状成膜原料液を前記被処理部材に被着させる構成とし
た。これにより、成膜速度が向上し、低コストで無機材
料被膜を形成することができる。
【0014】また前記ミスト状成膜原料液の帯電は、前
記ミスト状成膜原料液に電子を照射して行う構成とした
ので、容易にミスト状成膜原料液を帯電させることが可
能となり、低コストで無機材料被膜を形成することがで
きる。また前記反応ガスおよび前記ミスト状成膜原料液
への電子の照射は、前記反応ガスと前記ミスト状成膜原
料液との混合物に対して行う構成とした。これにより、
反応ガスの活性化と同時にミスト状成膜原料液を帯電さ
せることが可能となり、低コストで無機材料被膜を形成
することができる。
【0015】また前記成膜原料液のミスト化は、前記成
膜原料液を噴霧して行う構成とした。これにより、低コ
ストで無機材料被膜を形成することができる。また前記
被処理部材を回転しつつ成膜する構成としたので、いわ
ゆるスピンコートにより、無機材料被膜の膜厚を均一化
することができる。
【0016】また、前記成膜原料液は酢酸銅溶液であ
り、前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前記
反応ガスとの反応は還元反応である構成とした。これに
より、上記効果を伴って金属銅被膜を形成することがで
きる。また、前記成膜原料液は金属銅溶液であり、前記
ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前記反応ガス
との反応は還元反応である構成とした。これにより、上
記効果を伴って金属銅被膜を形成することができる。
【0017】また、前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液
であり、前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した
前記反応ガスとの反応は酸化反応である構成とした。こ
れにより、所望の組成比からなる二酸化ケイ素被膜を、
上記効果を伴って形成することができる。
【0018】また、前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液
であり、前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した
前記反応ガスとの反応は還元反応である構成とした。こ
れにより、上記効果を伴ってSiOF被膜を形成するこ
とができる。一方、本発明に係る半導体装置は、請求項
1ないし13のいずれかに記載の被膜形成方法によって
製造された構成とした。これにより、上記効果を伴った
半導体装置とすることができる。
【0019】一方、本発明に係る被膜形成装置は、成膜
原料液を加熱して被処理部材の表面に無機材料被膜を形
成する被膜形成装置であって、作業チャンバ内で前記被
処理部材を載置するステージと、前記作業チャンバ内に
ミスト状の前記成膜原料液を供給する原料液供給手段
と、前記作業チャンバ内に反応ガスを供給する反応ガス
供給手段と、前記作業チャンバ内に供給された前記反応
ガスに電子を照射する照射手段と、前記被処理部材を加
熱する加熱手段とを有する構成とした。これにより、成
膜と同時に膜質調整が可能となり、成膜後に膜質調整を
行う高温アニール工程を必要とせず、低コストで無機材
料被膜を形成することができる。
【0020】また前記照射手段は、電子線を取り出し可
能な電子線照射管である構成とした。これにより、対向
電極、高圧電源および真空ポンプ等を必要とせずに電子
を照射することができ、低コストで無機材料被膜を形成
することができる。また、電子線のエネルギー調整が可
能となり、電子が被処理部材に衝突することによって被
処理部材が受けるダメージを低く抑えることができる。
さらに電子線のエネルギー調整により、反応ガスの活性
化量を調整して膜質制御が可能となるとともに、成膜原
料液の帯電量を調整して成膜速度制御が可能となる。
【0021】また前記作業チャンバは、前記作業チャン
バ内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段に接続
されるとともに、前記照射手段は、前記作業チャンバ内
に供給された前記不活性ガスにも電子を照射する構成と
した。不活性ガスは大気圧下でプラズマ化しやすいの
で、低コストで無機材料被膜を形成することができる。
【0022】また前記反応ガス供給手段は、大気圧また
はその近傍の圧力下で前記反応ガスをプラズマ化するプ
ラズマ発生手段を有する構成とした。これにより、反応
ガスのプラズマ化は主としてプラズマ発生手段によって
行い、照射手段を副次的なプラズマ化手段として使用す
ることができる。従って、照射手段による電子の照射エ
ネルギーを低くすることができ、電子が被処理部材に衝
突することによって被処理部材が受けるダメージを低く
抑えることができる。
【0023】また前記ステージは、前記ステージに正電
圧を印加する直流電源に接続されるとともに、前記照射
手段は、前記作業チャンバ内に供給された前記ミスト状
成膜原料液にも電子を照射する構成とした。これによ
り、被処理部材の表面をプラスに帯電させることができ
るとともに、ミスト状成膜原料液をマイナスに帯電させ
ることができ、ミスト状の成膜原料液を被処理部材に被
着させることができる。従って成膜速度が向上し、低コ
ストで無機材料被膜を形成することができる。
【0024】また前記ステージは、回転可能に形成され
ている構成としたので、いわゆるスピンコートにより、
無機材料被膜の膜厚を均一化することができる。また前
記ステージは、温度調節可能に形成されている構成とし
た。これにより、被処理部材を直接加熱することができ
る一方で、被処理部材を後工程へ移動させる場合には強
制冷却することができる。
【0025】また前記原料液供給手段は、前記成膜原料
液をミスト状にして前記作業チャンバ内に供給する噴霧
手段を有する構成とした。これにより、低コストで無機
材料被膜を形成することができる。また、前記成膜原料
液は酢酸銅溶液であり、前記反応ガスは還元剤である構
成とした。これにより、上記効果を伴って金属銅被膜を
形成することができる。
【0026】また、前記成膜原料液は金属銅溶液であ
り、前記反応ガスは還元剤である構成とした。これによ
り、上記効果を伴って金属銅被膜を形成することができ
る。また、前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液であり、
前記反応ガスは酸化剤である構成とした。これにより、
所望の組成比からなる二酸化ケイ素被膜を、上記効果を
伴って形成することができる。
【0027】また、前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液
であり、前記反応ガスはフッ素化合物である構成とし
た。これにより、上記効果を伴ってSiOF被膜を形成
することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に係る被膜形成方法の好ま
しい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
なお以下に記載するのは本発明の実施形態の一態様にす
ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。最初
に、第1実施形態について説明する。図1に第1実施形
態に係る被膜形成装置の説明図を示す。第1実施形態に
係る被膜形成装置は、成膜原料液をウエハ基板の表面で
加熱して無機材料被膜を形成する装置であって、作業チ
ャンバ10内でウエハ基板5を載置するステージ15
と、作業チャンバ内にミスト状の成膜原料液を供給する
原料液供給手段22と、作業チャンバ内に反応ガスを供
給する反応ガス供給手段24と、作業チャンバ内に供給
された成膜原料液および反応ガスに電子を照射する電子
線照射管30と、ウエハ基板を加熱する加熱手段17と
を有するものである。
【0029】まず、成膜を行う作業チャンバ10を形成
する。作業チャンバ10は、外気の流入および内気の流
出がないように密閉して形成する。なお被膜形成後のガ
スを排気するため、図示しない排気手段を作業チャンバ
に設置する。また後述するように電子線の外部への漏洩
を防止するため、エポキシやステンレス鋼等により作業
チャンバを形成する。その作業チャンバ10内の下方
に、ウエハ基板5を載置するステージ15を形成する。
ウエハ基板5のサイズは8インチが一般的であり、少な
くともかかるウエハ基板が載置可能な大きさにステージ
15を形成する。またステージ15は、温度調節可能に
形成する。具体的にはステージ15の下方に加熱手段1
7を設置し、ステージを介してウエハ基板の温度調節を
可能とする。なお加熱手段17は、冷却手段としても機
能するように形成するのが好ましい。さらにステージ1
5は、載置するウエハ基板5の中央付近を中心として、
水平面内を回転可能に形成する。具体的には、ステージ
15の中心軸16を図示しないモータ等の回転駆動手段
に接続し、中心軸16の周りに矢印16aのように回転
可能とする。これにより、ステージ15に載置したウエ
ハ基板5を回転させることができる。また、ステージ1
5に正電圧を印加する直流電源18を設置する。具体的
には、ステージ15および中心軸16を導電性材料で形
成した上で、中心軸を直流電源18の正極に接続して、
ステージに正電圧を印加可能とする。直流電源18とし
て、例えば10kVの正電圧を印加可能なものを使用す
る。これにより、ステージ上に載置されたウエハ基板5
は誘電分極し、その表面をプラスに帯電させることがで
きる。
【0030】作業チャンバ10内に成膜原料液を供給す
る原料液供給手段22を形成する。原料液供給手段22
には、成膜原料液を貯蔵するタンクを設けるとともに、
成膜原料液を送り出すポンプを必要に応じて設ける(い
ずれも不図示)。そして、原料液供給手段22と作業チ
ャンバ10とを配管22aで接続する。さらに、この配
管22aが接続される作業チャンバ10の上方には、成
膜原料液をミスト状にして作業チャンバ内に供給する噴
霧手段28を設ける。噴霧手段28は、無数の微細孔か
ら成膜原料液を噴出して、これをミスト状とする。また
噴出口で成膜原料液に超音波を当ててミスト状とするこ
ともできる。一方、作業チャンバ10内に反応ガスを供
給する反応ガス供給手段24を形成する。反応ガス供給
手段24には、反応ガスを貯蔵するとともに内圧を利用
してこれを供給するボンベを設ける(不図示)。そし
て、反応ガス供給手段24と作業チャンバ10内とを配
管24aで接続する。なお、上記噴霧手段28にこの配
管24aをも接続し、噴霧手段において成膜原料液と反
応ガスとを混合した上で、作業チャンバ内に噴霧可能と
するのが好ましい。これにより、成膜原料液および反応
ガスに対して同時に電子線を照射することができる。
【0031】作業チャンバ10内に供給された成膜原料
液と反応ガスに電子線を照射する電子線照射管30を設
置する。図2に電子線照射管の説明図を示す。同図
(1)は側面図であり、同図(2)は低面図である。電
子線照射管30は作業チャンバ10の内部に向けて、上
記ステージ15と噴霧手段28との間における作業チャ
ンバ10の側壁に固定して設置する。なお、電子線照射
管30は水平方向に首振り可能に設置してもよい。この
場合、より多くの成膜原料液および反応ガスに電子線を
照射することが可能となり、大きいサイズのウエハ基板
に対する成膜も可能となる。
【0032】電子線照射管30として、近年開発された
超小型電子線照射管である、ウシオ電機製「Min−E
B」を使用する。電子線照射管30は、真空封止された
ガラス管内の中心にタングステンフィラメントが配置さ
れ、これに電流を流すとフィラメントが加熱されて熱電
子を放出する。放出された熱電子は、グリッド等の電界
レンズによってビーム形状とされた後、加速電圧によっ
て光速近くまで加速され、陽極に取り付けられた窓を通
過して大気中に飛び出す。上記超小型電子線照射管で
は、新しく開発された厚さ3μm程度のシリコン製の薄
膜窓32を使用しているので、30keV以上の加速電
圧で電子線34を照射することができる。この超小型電
子線照射管により、大気圧下で任意の方向に電子線34
を照射することができる。
【0033】また上記超小型電子線照射管は、30〜7
0keVの範囲で電子線のエネルギー調節が可能であ
る。なお、後述する反応ガスや不活性ガスの励起エネル
ギーは20〜30eV程度であるから、上記の超小型電
子線照射管はこれらを励起する十分な能力を有する。一
方、電子線による人体への危険を防止するため作業チャ
ンバを遮蔽する必要があるが、高エネルギー電子線の場
合には鉛で遮蔽する必要があるのに対し、上記低エネル
ギー電子線の場合にはエポキシやステンレス鋼等による
簡単な遮蔽ですむので、装置の重量および製造コストを
低減することができる。
【0034】上記のように構成した第1実施形態に係る
被膜形成装置により、ウエハ基板5の表面に金属銅被膜
を形成する方法について説明する。第1の方法は、成膜
原料液として酢酸銅(化学式:Cu(CH3COO)2
2O)の有機溶媒溶液を使用し、反応ガスとして還元
剤である水素ガスを使用するものである。なお反応ガス
は還元剤であればよく、塩素ガス、フッ素系ガス、一酸
化炭素ガス等を使用することもできる。また有機溶媒に
は、水、アルコール類、エーテル類、有機エステル類、
ケトンの一種類または混合物等を使用する。
【0035】前提として、作業チャンバ10内のステー
ジ15上に、金属銅被膜を形成すべきウエハ基板5を載
置する。また、作業チャンバ内の空気に含まれる酸素に
より酸化銅等が形成されるのを防止するため、作業チャ
ンバ内の空気を窒素で置換する。なお以下の各工程は、
作業チャンバ内を大気圧として行ってもよいし、有機溶
媒が蒸発しやすいように100Torr以上に減圧して
行ってもよい。
【0036】最初に、酢酸銅溶液および水素ガスを作業
チャンバ10内に供給する(供給工程)。すなわち、酢
酸銅溶液を原料液供給手段22から作業チャンバ内に供
給するとともに、水素ガスを反応ガス供給手段24から
作業チャンバ内に供給する。その際噴霧手段28によ
り、酢酸銅溶液をミスト化するとともに、ミスト状の酢
酸銅溶液と反応ガスとを混合して、作業チャンバ内に供
給する。
【0037】次に、作業チャンバ10内に供給された酢
酸銅溶液および水素ガスに対し、電子線照射管30によ
り電子を照射する(電子照射工程)。これにより、水素
ガスはプラズマ状態32となる。すなわち、照射された
電子線が水素分子中の電子と非弾性衝突することにより
水素分子がエネルギーを受けて活性化し、水素原子
(H)、水素ラジカル(H*)、水素イオン(H+)等の
励起活性種が生成される。一方、照射された電子は酢酸
銅溶液にも衝突して、その液滴をマイナスに帯電させ
る。その他にも電子衝突によって生成された荷電粒子が
液滴と衝突し、液滴をマイナスに帯電させる。なお、電
子の照射エネルギーを調整することにより、水素ガスの
活性化量および酢酸銅溶液の帯電量を適当に調整するの
が好ましい。
【0038】次に、酢酸銅溶液をウエハ基板5の表面に
被着させる(被着工程)。酢酸銅溶液は自由落下によっ
てもウエハ基板5の表面に被着し得るが、ステージ15
に例えば10kVの正電圧を印加して、ウエハ基板5の
表面をプラスに帯電させることにより、マイナスに帯電
した酢酸銅溶液の液滴を引き寄せて被着させることがで
きる。なお酢酸銅溶液をミスト状にすると自然にマイナ
スに帯電するので、電子と衝突しなかった液滴もウエハ
基板に引き寄せて被着させることができる。なお上記電
子照射工程において、電子の照射エネルギーを調整する
ことにより、成膜速度を制御することができる。一方、
ウエハ基板5を水平面内で回転させてスピンコートする
ことにより、膜厚を均一化しつつ酢酸銅溶液をウエハ基
板全体に被着させるのが好ましい。その際、ウエハ基板
5はステージ15に電気的に吸着されているので、ウエ
ハ基板を高速で回転させることができ、膜厚をより均一
化することができる。
【0039】次に、活性化した水素ガス雰囲気下で、ウ
エハ基板の表面において酢酸銅溶液を加熱し、金属銅被
膜を焼成する(焼成工程)。すなわち、ウエハ基板5を
300℃以下で加熱して、酢酸銅溶液中の有機溶媒を蒸
発させるとともに、酢酸銅を熱分解して金属銅を焼成す
る。もっとも、酢酸銅が酸素を含む組成であるため、同
時に酸化銅(CuO)が焼成されやすい。しかしウエハ
基板の表面は、電子の照射によって生じた水素ガスのプ
ラズマ39に晒されているので、水素ラジカルが以下の
反応式に従って酸化銅を還元し、金属銅を生成する。
【化1】 また、熱焼成の際に二酸化銅(CuO2)が形成された
場合にも、水素ラジカルが以下の反応式に従って二酸化
銅を還元し、金属銅を生成する。
【化2】 なお上記電子照射工程で、電子の照射エネルギーを調整
することにより、還元量を調整して膜質を制御すること
ができる。
【0040】なお加熱以前の上記電子照射工程で、酢酸
銅の一部は分解されていると考えられる。その場合、上
記と同様に水素ラジカルによって酸化銅等が還元され、
金属銅となってウエハ基板に被着すると考えられる。ま
た、酢酸銅に含まれる水素原子も一部水素ラジカル化し
て、酸化銅等を還元するものと考えられる。以上によ
り、ウエハ基板5の表面に金属銅被膜が形成される。な
お被膜形成後は、作業チャンバ10内のガスを、図示し
ない排気手段により排気する。
【0041】ウエハ基板5の表面に金属銅被膜を形成す
る第2の方法は、成膜原料液として金属銅の微粒子を有
機溶媒に溶かしたもの(以下、金属銅溶液と呼ぶ)を使
用し、反応ガスとして水素ガスを使用するものである。
有機溶媒には、アルコール類、有機エステル類、ケトン
の一種類または混合物等を使用する。なお供給工程、電
子照射工程および被着工程は、第1の方法と同様であり
説明を省略する。
【0042】焼成工程では、ウエハ基板5を250℃程
度で加熱して、金属銅溶液中の有機溶媒を蒸発させ金属
銅被膜を焼成する。この有機溶媒中には、金属銅の微粒
子の凝集を防止するため表面処理剤が含まれている。そ
して金属銅被膜の焼成過程でこの表面処理剤が熱分解
し、不純物として炭素が焼成される。しかしウエハ基板
の表面は、電子の照射によって生じた水素ガスのプラズ
マ39に晒されているので、水素ラジカルが以下の反応
式に従って炭素を還元し、不純物を除去する。
【化3】 以上により、ウエハ基板5の表面に金属銅被膜が形成さ
れる。
【0043】次に、第1実施形態に係る被膜形成装置に
より、ウエハ基板の表面に二酸化ケイ素(SiO2)被
膜を形成する方法について説明する。成膜原料液として
二酸化ケイ素溶液を使用し、反応ガスとして酸素ガスを
使用する。この二酸化ケイ素溶液は、スパッタ法により
二酸化ケイ素の固体から微粒子を放出させ、これを回収
して有機溶媒中に分散させたものである。ところがスパ
ッタの際に一酸化ケイ素(SiO)として放出される場
合が多く、この二酸化ケイ素溶液から被膜を焼成する
と、一般に酸素プアな二酸化ケイ素被膜が形成されてし
まう。この被膜は、理想的な組成比からなる二酸化ケイ
素被膜に比べて、電気絶縁性に劣るという問題がある。
この点以下の方法によれば、理想的な組成比からなる二
酸化ケイ素被膜を形成することができる。なお、上記金
属銅被膜の形成方法と同じ構成となる部分については、
その説明を省略する。
【0044】最初に、ミスト状の二酸化ケイ素溶液およ
び酸素ガスを作業チャンバ10内に供給する(供給工
程)。次に、作業チャンバ内に供給された二酸化ケイ素
溶液および酸素ガスに対し、電子線照射管30により電
子を照射する(電子照射工程)。これにより酸素ガスが
プラズマ化し、酸素原子(O)、酸素ラジカル
(O*)、酸素イオン(O2-)、オゾン(O3)等の励起
活性種が生成される。一方、照射された電子は二酸化ケ
イ素溶液にも衝突して、その液滴をマイナスに帯電させ
る。次に、ウエハ基板5の表面をプラスに帯電させるこ
とにより、二酸化ケイ素溶液をウエハ基板5の表面に被
着させる(被着工程)。
【0045】次に、活性化した酸素ガス雰囲気下で、ウ
エハ基板の表面において二酸化ケイ素溶液を加熱し、二
酸化ケイ素被膜を焼成する(焼成工程)。すなわち、ウ
エハ基板を加熱して二酸化ケイ素溶液中の有機溶媒を蒸
発させるとともに、励起活性種の有するエネルギーと加
熱エネルギーとにより二酸化ケイ素被膜中のシリコン相
互の結合を切断して、その間に酸素を導入する。またウ
エハ基板5の表面をプラスに帯電させているので、酸素
のマイナスイオンに運動エネルギーを与えることによ
り、これを導入することができる。さらにオゾンの強い
酸化作用によっても、酸素を導入することができる。以
上により、ウエハ基板5の表面に二酸化ケイ素被膜が形
成される。
【0046】次に、第1実施形態に係る被膜形成装置に
より、ウエハ基板5の表面に低誘電体であるSiOF被
膜を形成する方法について説明する。成膜原料液として
二酸化ケイ素溶液を使用し、反応ガスとしてCF4やF2
などのフッ素系ガスを使用する。二酸化ケイ素被膜(S
iO2被膜)は半導体装置における絶縁膜として利用さ
れているが、一般に配線遅延は層間絶縁膜材料の比誘電
率の平方根に比例するので、絶縁膜材料を低誘電率化す
ることで配線遅延を減少させることができる。そしてS
iOF被膜におけるフッ素の濃度が高いほど低誘電率化
することが知られている。しかし、SiOF被膜を成膜
する際にフッ素より酸素の方が優先的に膜中に取り込ま
れるので、一般にフッ素濃度の高いSiOF被膜を形成
するのは困難である。この点以下の方法によれば、フッ
素濃度の高いSiOF被膜を低コストで形成することが
できる。なお、上記金属銅被膜の形成方法と同じ構成と
なる部分については、その説明を省略する。
【0047】最初に、ミスト状の二酸化ケイ素溶液およ
びフッ素系ガスを作業チャンバ10内に供給する(供給
工程)。次に、作業チャンバ内に供給された二酸化ケイ
素溶液およびフッ素系ガスに対し、電子線照射管30に
より電子を照射する(電子照射工程)。これによりフッ
素系ガスがプラズマ化し、フッ素原子(F)、フッ素ラ
ジカル(F*)、フッ素イオン(F-)等の励起活性種が
生成される。一方、照射された電子線は二酸化ケイ素溶
液にも衝突して、その液滴をマイナスに帯電させる。次
に、ウエハ基板5の表面をプラスに帯電させることによ
り、二酸化ケイ素溶液をウエハ基板5の表面に被着させ
る(被着工程)。
【0048】次に、活性化したフッ素系ガス雰囲気下に
おいて二酸化ケイ素溶液を加熱し、SiOF被膜を焼成
する(焼成工程)。すなわちウエハ基板を加熱して二酸
化ケイ素溶液中の有機溶媒を蒸発させるとともに、励起
活性種の有するエネルギーと加熱エネルギーとにより二
酸化ケイ素被膜中にフッ素を導入する。またウエハ基板
5の表面をプラスに帯電させているので、フッ素のマイ
ナスイオンに運動エネルギーを与えることによって、こ
れを導入することができる。以上により、ウエハ基板5
の表面にSiOF被膜が形成される。
【0049】上記のように構成した第1実施形態に係る
被膜形成装置を、上記の方法によって使用することによ
り、成膜と同時に膜質調整が可能となり、高温アニール
工程を必要とすることなく、低コストで無機材料被膜を
形成することができる。すなわち、作業チャンバ内でウ
エハ基板を載置するステージと、作業チャンバ内に成膜
原料液を供給する原料液供給手段と、作業チャンバ内に
反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、作業チャンバ
内に供給された反応ガスに電子を照射する照射手段と、
ウエハ基板を加熱する加熱手段とを有する構成とした。
これにより、成膜原料液の焼成物である無機材料被膜ま
たはその酸化物もしくは不純物などと、還元剤や酸化剤
などの反応ガスが活性化されたものとを反応させつつ、
所望の無機材料被膜を形成することができる。従って、
成膜と同時に膜質調整が可能となり、成膜後に膜質調整
を行う高温アニール工程を必要とすることなく、低コス
トで無機材料被膜を形成することができる。
【0050】また照射手段は、大気中に電子線を取り出
し可能な電子線照射管である構成とした。この点従来
は、真空チャンバ内に配置した対向電極に高電圧を印加
し、放電を利用して電子を照射していた。しかし電子線
照射管を使用することにより、対向電極、高圧電源およ
び真空ポンプ等を必要とせず、大気圧下で任意の方向に
電子を照射することができ、低コストで無機材料被膜を
形成することができる。また、電子線のエネルギー調整
が可能となり、電子が被処理部材に衝突することによっ
て被処理部材が受けるダメージを低く抑えることができ
る。さらに電子線のエネルギー調整により、反応ガスの
活性化量を調整して膜質制御が可能となるとともに、成
膜原料液の帯電量を調整して成膜速度制御が可能とな
る。
【0051】またステージは、ステージに正電圧を印加
する直流電源に接続されるとともに、照射手段は、作業
チャンバ内に供給されたミスト状成膜原料液にも電子を
照射する構成とした。これにより、被処理部材の表面を
プラスに帯電させることができるとともに、ミスト状成
膜原料液をマイナスに帯電させることができ、ミスト状
の成膜原料液を被処理部材に被着させることができる。
従って成膜速度が向上し、低コストで無機材料被膜を形
成することができる。
【0052】またステージは、回転可能に形成されてい
る構成としたので、いわゆるスピンコートにより無機材
料被膜の膜厚を均一化することができる。さらにステー
ジは、温度調節可能に形成されている構成としたので、
ウエハ基板を直接加熱することができる一方で、ウエハ
基板を後工程へ移動させる場合には強制冷却することが
できる。
【0053】また原料液供給手段は、成膜原料液をミス
ト状にして作業チャンバ内に供給する噴霧手段を有する
構成としたので、低コストで成膜原料液をミスト化する
ことができ、低コストで無機材料被膜を形成することが
できる。一方、上記の被膜形成装置を第1実施形態に係
る被膜形成方法に従って使用することにより、成膜と同
時に膜質調整が可能となり、高温アニール工程を必要と
せず低コストで無機材料被膜を形成することができる。
【0054】すなわち、成膜原料液をミスト化するとと
もに、そのミスト状成膜原料液と活性化した反応ガスと
を混合し、被処理部材の表面においてミスト状成膜原料
液を加熱して、ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化し
た反応ガスとを反応させつつ成膜する構成とした。これ
により、成膜と同時に膜質調整が可能となり、成膜後に
膜質調整を行う高温アニール工程を必要とすることな
く、低コストで無機材料被膜を形成することができる。
【0055】また反応ガスおよびミスト状成膜原料液へ
の電子の照射は、反応ガスとミスト状成膜原料液との混
合物に対して行う構成とした。これにより、反応ガスの
活性化と同時にミスト状成膜原料液を帯電させることが
可能となり、低コストで無機材料被膜を形成することが
できる。
【0056】また、成膜原料液は酢酸銅溶液であり、反
応ガスは還元剤であって、ミスト状成膜原料液の焼成物
と活性化した反応ガスとの反応は還元反応である構成と
した。これにより、上記効果を伴って金属銅被膜を形成
することができる。また、成膜原料液は金属銅溶液であ
り、反応ガスは還元剤であって、ミスト状成膜原料液の
焼成物と活性化した反応ガスとの反応は還元反応である
構成とした。これにより、上記効果を伴って金属銅被膜
を形成することができる。
【0057】また、成膜原料液は二酸化ケイ素溶液であ
り、反応ガスは酸素ガスであって、ミスト状成膜原料液
の焼成物と活性化した反応ガスとの反応は酸化反応であ
る構成とした。これにより、所望の組成比からなる二酸
化ケイ素被膜を、上記効果を伴って形成することができ
る。
【0058】また、成膜原料液は二酸化ケイ素溶液であ
り、反応ガスはフッ素系ガスであって、ミスト状成膜原
料液の焼成物と活性化した反応ガスとの反応は還元反応
である構成とした。これにより、上記効果を伴ってSi
OF被膜を形成することができる。
【0059】なお、第1実施形態では金属銅被膜を形成
する場合について述べたが、酸化スズや酸化チタンなど
の無機材料被膜も同様にして形成することができる。次
に、第2実施形態について説明する。図3に第2実施形
態に係る被膜形成装置の説明図を示す。第2実施形態に
係る被膜形成装置は、第1実施形態に係る被膜形成装置
に加えて、作業チャンバ10内に不活性ガスを供給する
不活性ガス供給手段26を有するとともに、電子線照射
管30は作業チャンバ内に供給された不活性ガスにも電
子を照射するものである。なお、第1実施形態と同じ構
成となる部分については、その説明を省略する。
【0060】第2実施形態では、作業チャンバ10内に
不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段26を形成す
る。不活性ガス供給手段26には、不活性ガスを貯蔵す
るとともに内圧を利用してこれを供給するボンベを設け
る(不図示)。なお不活性ガス供給手段26は、作業チ
ャンバに直接接続してもよいが、反応ガス供給手段24
の配管24aに接続するのが好ましい。これにより、反
応ガスと不活性ガスとを混合し反応ガスを希釈した上
で、作業チャンバ10に供給することが可能となる。
【0061】上記のように構成した第2実施形態に係る
被膜形成装置により、ウエハ基板5の表面に金属銅被膜
を形成する方法について説明する。なお以下には、第1
実施形態で説明したウエハ基板の表面に金属銅被膜を形
成する第1の方法を基にして、第2実施形態に係る被膜
形成方法を説明するが、第2の方法についても同様に行
うことができる。なお不活性ガスとしてアルゴンガスを
使用するが、これ以外にも窒素ガスやヘリウムガス等を
使用することができる。
【0062】最初に、酢酸銅溶液、水素ガスおよびアル
ゴンガスを作業チャンバ10内に供給する(供給工
程)。すなわち、不活性ガス供給手段26から供給した
アルゴンガスにより水素ガスを希釈した上で、作業チャ
ンバ内に供給する。水素ガスとアルゴンガスとの混合ガ
スは、さらに噴霧手段28によってミスト状の酢酸銅溶
液と混合された上で、作業チャンバ内に供給される。
【0063】次に、作業チャンバ10内に供給された酢
酸銅溶液、水素ガスおよびアルゴンガスに対し、電子線
照射管30により電子を照射する(電子照射工程)。こ
れにより、アルゴンガスが励起されて準安定状態とな
る。さらにこの準安定状態のアルゴンガスが水素ガスと
衝突し、水素ガスがプラズマ化して水素ラジカル
(H*)等の励起活性種が生成されるほか、いわゆるペ
ニングイオン化により水素イオン(H+)が生成され
る。以下は第1実施形態と同様である。
【0064】上記のように第2実施形態に係る被膜形成
装置は、作業チャンバ内に不活性ガスを供給する不活性
ガス供給手段を有するとともに、電子線照射管は作業チ
ャンバ内に供給された不活性ガスにも電子を照射する構
成としたので、大気圧下でプラズマ化しやすい不活性ガ
スを介して、大気圧下で反応ガスをプラズマ化すること
ができる。従って、電子の照射エネルギーを低くするこ
とができ、電子がウエハ基板に衝突することによってウ
エハ基板が受けるダメージを低く抑えることができる。
また、作業チャンバ内を減圧するための設備が不要とな
り、低コストで無機材料被膜を形成することができる。
【0065】次に、第3実施形態について説明する。図
4に第3実施形態に係る被膜形成装置の説明図を示す。
第3実施形態に係る被膜形成装置は、第1実施形態に係
る被膜形成装置に加えて、反応ガス供給手段24が、大
気圧またはその近傍の圧力下で反応ガスをプラズマ化す
るプラズマ発生手段25を有するものである。なお、第
1実施形態と同じ構成となる部分については、その説明
を省略する。
【0066】第3実施形態では、反応ガス供給手段24
における反応ガスの供給経路に、いわゆるリモートプラ
ズマとしてプラズマ発生手段25を形成する。具体的に
は、配管24aの周囲に高周波誘導コイルを設け、高周
波電圧を印加可能とする。または、配管24aの軸直角
方向に一対の電極を配置して、高周波電圧を印加可能と
する。なおプラズマ発生手段25の内部は、大気圧また
はその近傍の圧力状態とする。
【0067】上記のように構成した第3実施形態に係る
被膜形成装置により、ウエハ基板5の表面に金属銅被膜
を形成する方法について説明する。なお以下には、第1
実施形態で説明した、ウエハ基板の表面に金属銅被膜を
形成する第1の方法を基にして、第3実施形態に係る被
膜形成方法を説明するが、第2の方法についても同様に
行うことができる。
【0068】水素ガスはまず、反応ガス供給手段24か
らプラズマ発生手段25に供給する。プラズマ発生手段
25において水素ガスはプラズマ化し、水素ラジカル等
の励起活性種が生成される。なおプラズマ発生手段25
では、全ての水素ガスをプラズマ化してもよいし、一部
の水素ガスのみプラズマ化してもよい。そしてプラズマ
化した水素ガスおよび残りの水素ガスを、作業チャンバ
10内に供給する(供給工程)。
【0069】次に、作業チャンバ10内に供給されたプ
ラズマ化した水素ガスおよび残りの水素ガスに対して、
電子線照射管30により電子を照射する。ここで電子の
照射エネルギーは、第1実施形態の場合より低くする。
この電子により、残りの水素ガスをプラズマ化する。ま
た、プラズマ発生手段25でプラズマ化された後、作業
チャンバに供給される過程でエネルギーを失った水素ガ
スも、再度プラズマ化する。以上により、ほぼ全ての水
素ガスがプラズマ化される。以下は第1実施形態と同様
である。
【0070】上記のように第3実施形態に係る被膜形成
装置は、反応ガス供給手段が、大気圧またはその近傍の
圧力下で反応ガスをプラズマ化するプラズマ発生手段を
有する構成としたので、反応ガスのプラズマ化は主とし
てプラズマ発生手段によって行い、電子線照射管を副次
的なプラズマ化手段として使用することができる。これ
により電子線照射管の照射エネルギーを低くすることが
できる。従って、照射された電子がウエハ基板に衝突す
ることによってウエハ基板が受けるダメージを、低く抑
えることができる。
【0071】
【発明の効果】成膜原料液を被処理部材の表面で加熱し
て無機材料被膜を形成する被膜形成方法であって、成膜
原料液をミスト化するとともに、そのミスト状成膜原料
液と活性化した反応ガスとを混合し、被処理部材の表面
においてミスト状成膜原料液を加熱して、ミスト状成膜
原料液の焼成物と活性化した反応ガスとを反応させつつ
成膜する構成とした。これにより、成膜と同時に膜質調
整が可能となり、成膜後に膜質調整を行う高温アニール
工程を必要とせず、低コストで無機材料被膜を形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る被膜形成装置の説明図であ
る。
【図2】電子線照射管の説明図であり、(1)は側面図
であり、(2)は底面図である。
【図3】第2実施形態に係る被膜形成装置の説明図であ
る。
【図4】第3実施形態に係る被膜形成装置の説明図であ
る。
【符号の説明】
5………ウエハ基板、10………作業チャンバ、15…
……ステージ、16………中心軸、16a………矢印、
17………加熱手段、18………直流電源、22………
原料液供給手段、22a………配管、24………反応ガ
ス供給手段、24a………配管、26………不活性ガス
供給手段、26a………配管、28………噴霧手段、3
0………電子線照射管、32………薄膜窓、34………
電子線、39………プラズマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4M104 BB04 CC01 DD51 DD78 EE14 HH20 5F033 HH11 PP31 QQ73 RR04 RR11 SS00 SS08 XX24 5F045 AA14 AB32 AC11 BB10 DP03 EB02 EF02 5F058 BC02 BF41

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜原料液を被処理部材の表面で加熱し
    て無機材料被膜を形成する被膜形成方法であって、 前記成膜原料液をミスト化するとともに、そのミスト状
    成膜原料液と活性化した反応ガスとを混合し、前記被処
    理部材の表面において前記ミスト状成膜原料液を加熱し
    て、前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前記
    反応ガスとを反応させつつ成膜することを特徴とする被
    膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記反応ガスの活性化は、前記反応ガス
    に電子を照射して行うことを特徴とする請求項1に記載
    の被膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記反応ガスの活性化は、前記反応ガス
    と不活性ガスとの混合物に電子を照射して行うことを特
    徴とする請求項1に記載の被膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記反応ガスへの電子の照射は、前記反
    応ガスを大気圧またはその近傍の圧力下においてプラズ
    マ化した後に行うことを特徴とする請求項2または3に
    記載の被膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記ミスト状成膜原料液を帯電させると
    ともに、前記被処理部材に電圧を印加して前記ミスト状
    成膜原料液を前記被処理部材に被着させることを特徴と
    する請求項1ないし4のいずれかに記載の被膜形成方
    法。
  6. 【請求項6】 前記ミスト状成膜原料液の帯電は、前記
    ミスト状成膜原料液に電子を照射して行うことを特徴と
    する請求項5に記載の被膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記反応ガスおよび前記ミスト状成膜原
    料液への電子の照射は、前記反応ガスと前記ミスト状成
    膜原料液との混合物に対して行うことを特徴とする請求
    項2または6に記載の被膜形成方法。
  8. 【請求項8】 前記成膜原料液のミスト化は、前記成膜
    原料液を噴霧して行うことを特徴とする請求項1ないし
    7のいずれかに記載の被膜形成方法。
  9. 【請求項9】 前記被処理部材を回転しつつ成膜するこ
    とを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の被
    膜形成方法。
  10. 【請求項10】 前記成膜原料液は酢酸銅溶液であり、
    前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前記反応
    ガスとの反応は還元反応であることを特徴とする請求項
    1ないし9のいずれかに記載の被膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記成膜原料液は金属銅溶液であり、
    前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前記反応
    ガスとの反応は還元反応であることを特徴とする請求項
    1ないし9のいずれかに記載の被膜形成方法。
  12. 【請求項12】 前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液で
    あり、前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前
    記反応ガスとの反応は酸化反応であることを特徴とする
    請求項1ないし9のいずれかに記載の被膜形成方法。
  13. 【請求項13】 前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液で
    あり、前記ミスト状成膜原料液の焼成物と活性化した前
    記反応ガスとの反応は還元反応であることを特徴とする
    請求項1ないし9のいずれかに記載の被膜形成方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13のいずれかに記載
    の被膜形成方法によって製造されたことを特徴とする半
    導体装置。
  15. 【請求項15】 成膜原料液を加熱して被処理部材の表
    面に無機材料被膜を形成する被膜形成装置であって、 作業チャンバ内で前記被処理部材を載置するステージ
    と、 前記作業チャンバ内にミスト状の前記成膜原料液を供給
    する原料液供給手段と、 前記作業チャンバ内に反応ガスを供給する反応ガス供給
    手段と、 前記作業チャンバ内に供給された前記反応ガスに電子を
    照射する照射手段と、 前記被処理部材を加熱する加熱手段と、 を有することを特徴とする被膜形成装置。
  16. 【請求項16】 前記照射手段は、大気中に電子線を取
    り出し可能な電子線照射管であることを特徴とする請求
    項15に記載の被膜形成装置。
  17. 【請求項17】 前記作業チャンバは、前記作業チャン
    バ内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段に接続
    されるとともに、前記照射手段は、前記作業チャンバ内
    に供給された前記不活性ガスにも電子を照射することを
    特徴とする請求項15または16に記載の被膜形成装
    置。
  18. 【請求項18】 前記反応ガス供給手段は、大気圧また
    はその近傍の圧力下で前記反応ガスをプラズマ化するプ
    ラズマ発生手段を有することを特徴とする請求項15な
    いし17のいずれかに記載の被膜形成装置。
  19. 【請求項19】 前記ステージは、前記ステージに正電
    圧を印加する直流電源に接続されるとともに、前記照射
    手段は、前記作業チャンバ内に供給された前記ミスト状
    成膜原料液にも電子を照射することを特徴とする請求項
    15ないし18のいずれかに記載の被膜形成装置。
  20. 【請求項20】 前記ステージは、回転可能に形成され
    ていることを特徴とする請求項15ないし19のいずれ
    かに記載の被膜形成装置。
  21. 【請求項21】 前記ステージは、温度調節可能に形成
    されていることを特徴とする請求項15ないし20のい
    ずれかに記載の被膜形成装置。
  22. 【請求項22】 前記原料液供給手段は、前記成膜原料
    液をミスト状にして前記作業チャンバ内に供給する噴霧
    手段を有することを特徴とする請求項15ないし21の
    いずれかに記載の被膜形成装置。
  23. 【請求項23】 前記成膜原料液は酢酸銅溶液であり、
    前記反応ガスは還元剤であることを特徴とする請求項1
    5ないし22のいずれかに記載の被膜形成装置。
  24. 【請求項24】 前記成膜原料液は金属銅溶液であり、
    前記反応ガスは還元剤であることを特徴とする請求項1
    5ないし22のいずれかに記載の被膜形成装置。
  25. 【請求項25】 前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液で
    あり、前記反応ガスは酸化剤であることを特徴とする請
    求項15ないし22のいずれかに記載の被膜形成装置。
  26. 【請求項26】 前記成膜原料液は二酸化ケイ素溶液で
    あり、前記反応ガスはフッ素系ガスであることを特徴と
    する請求項15ないし22のいずれかに記載の被膜形成
    装置。
JP2001064867A 2001-03-08 2001-03-08 被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置 Pending JP2002270539A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001064867A JP2002270539A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001064867A JP2002270539A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002270539A true JP2002270539A (ja) 2002-09-20

Family

ID=18923633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001064867A Pending JP2002270539A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002270539A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005146406A (ja) * 2003-10-23 2005-06-09 Zenhachi Okumi 微粒子の製造方法及びそのための装置
JP2006274322A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Univ Nagoya 撥水処理方法
JP2008161779A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Univ Nagoya 自己組織化単分子膜作製装置とその利用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005146406A (ja) * 2003-10-23 2005-06-09 Zenhachi Okumi 微粒子の製造方法及びそのための装置
JP2006274322A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Univ Nagoya 撥水処理方法
JP2008161779A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Univ Nagoya 自己組織化単分子膜作製装置とその利用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101023201B (zh) 用于最优化等离子体处理系统中的大气等离子体的装置
JP5052954B2 (ja) Cnt成長方法
JPH04240725A (ja) エッチング方法
JP2006049817A (ja) プラズマ処理方法およびプラズマエッチング方法
KR100932053B1 (ko) 처리장치, 처리방법 및 플라즈마원
US20100015810A1 (en) Surface processing method and surface processing apparatus
JP6381752B2 (ja) 非双極性電子プラズマにより異方性の単一エネルギー中性ビームを提供する方法及び機器
KR19980070319A (ko) 드라이 에칭방법
JPH05226297A (ja) エッチング方法
JP2002270539A (ja) 被膜形成方法、その方法により製造された半導体装置および被膜形成装置
JP2001189308A (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2006253190A (ja) 中性粒子ビーム処理装置および帯電電荷の中和方法
JP2013179126A (ja) エッチング装置およびエッチング方法およびクリーニング装置
JP2007314391A (ja) カーボンナノチューブ成長用基板及びその基板を用いたカーボンナノチューブの作製方法
JP2000357684A (ja) ガス状汚染物を減少させることによるプラズマ処理の改良
JPH06104098A (ja) マイクロ波プラズマ処理装置
JP2004259819A (ja) 試料の表面処理装置及び表面処理方法
JP3664472B2 (ja) コーティング処理方法および絞りプレート
US6858263B2 (en) Method of manufacturing aperture plate
JP5189856B2 (ja) 真空処理装置のウェットクリーニング方法および真空処理装置の部材
JP3222615B2 (ja) 表面処理装置
JP2007113031A (ja) 酸化物膜の形成方法
JP2005191014A (ja) コーティング処理方法および微細な孔を有する金属板
JPH0475336A (ja) 表面加工方法および装置
JP3400609B2 (ja) ドライエッチング装置及びドライエッチング方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040430

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080917