JP3698065B2 - 表面処理方法および装置並びに固体接合方法 - Google Patents

表面処理方法および装置並びに固体接合方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面処理方法に係り、特に被処理部材を大気中に配置して表面処理を行なう表面処理方法および装置並びに固体接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の分野においては、シリコンウエハなどの被処理部材に対して有機物を除去するアッシングや被処理部材の表面を除去するエッチング、さらには酸化や窒化などの種々の表面処理が行なわれる。従来、被処理部材の表面に存在する有機物をアッシングする場合、被処理部材を配置した真空容器内に酸素を導入して真空プラズマを発生させ、真空プラズマによって生成した活性な酸素により有機物を燃焼させていた。さらに、被処理部材をエッチングする場合、被処理部材を酸などの溶液に浸漬したり、被処理部材を配置した真空容器中にCF4 などの処理ガスを導入し、真空プラズマによって活性なフッ素などを生成して被処理部材をエッチングしていた。
【0003】
しかし、真空プラズマを用いたアッシングやエッチングは、高価な真空機器を設置しなければならないとともに、容器内を真空にするために処理に多くの時間を必要とする。しかも、真空プラズマを発生させるために大きなエネルギーを必要とし、半導体装置の製造コストを上昇させる要因となる。また、被処理部材を酸溶液などに浸漬するウエットエッチングは、エッチング後に純水による洗浄、乾燥を行なわなければならないところから、多くの時間と手間が必要で、生産性が低下して製造コストを増大させる要因となる。そこで、大気圧またはその近傍の圧力において処理ガスをプラズマ化し、いわゆる大気圧プラズマによって活性化したガスを用いてアッシングやエッチングを行なうことが提案されている。
【0004】
図9は、従来の大気圧プラズマによる表面処理方法の説明図である。図9において、シリコンウエハなどの被処理部材10を配置するステージ12は接地電極となっている。そして、ステージ12の上方には、高周波電源14に接続した高周波電極16が対向配置してあって、高周波電極16とステージ12との間が放電空間18となっている。また、放電空間18の側方には、処理ガス供給ノズル20が配設してあって、放電空間18にヘリウムと酸素との混合ガスや、ヘリウムと四フッ化炭素(CF4 )との混合ガスなどの処理ガスを供給できるようにしてある。
【0005】
表面処理を行なう場合、ステージ12の上に被処理部材10を配置したのち、処理ガス供給ノズル20から放電空間18に処理ガスを供給し、高周波電源14によって高周波電極16とステージ12との間に高周波電圧を印加する。これにより、放電空間18内の処理ガスが電離してプラズマ22が発生し、処理ガスが電離したり励起状態となって活性化される。そして、放電空間18に発生したプラズマ22がステージ12の上に配置した被処理部材10に衝突することにより、被処理部材10のアッシングやエッチングが行なわれる。
【0006】
そして、錫や銅などの金属を半田などの接合材を用いずに固体状態で接合するいわゆる固体接合の場合、図9に示したと同様にして錫や銅などの被接合部材のフッ化処理を行ない、金属表面に存在している自然酸化膜を除去したのちに接合することが提案されている。すなわち、高周波電極16とステージ12との間に安定な(非反応性の)CF4 などのフッ素系ガスを供給してプラズマ化し、活性なフッ素などを生成して金属(被処理部材)の表面をフッ化処理するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の大気圧プラズマを利用した表面処理は、被処理部材10がプラズマ22を発生させる電界中に配置されるため、プラズマ22によるダメージを受けやすいばかりでなく、被処理部材10に凹凸がある場合、凸部に電界集中が生じてプラズマが集中し、凸部が必要以上にエッチングされたりダメージを受ける。さらに、放電を安定して発生させるために高価なヘリウムを添加する必要がある。また、プラズマ22を生成するために一対の電極が必要であって、設置の自由度が大きくない。しかも、被処理部材10の表面(上面)と裏面(下面)との両方を処理したい場合、ステージ12の上に配置する必要があるところから、表面と裏面とを別々に処理する必要があり、表面処理に時間がかかる。
【0008】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、被処理部材に凹凸が存在しても均一に処理することができるようにすることを目的としている。
また、本発明は、高価なヘリウムを使用せずに大気中で表面処理を行なえるようにすることを目的としている。
さらに、本発明は、被処理部材の両側の面を同時に処理できるようにすることを目的としている。
そして、本発明は、被処理部材が荷電粒子によるダメージを受けないようにすることなどを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、電子を被処理部材の処理する表面に当たらないように大気圧以上の圧力を有する処理ガスに照射して活性化し、活性化した処理ガスを前記被処理部材の処理する表面に接触させて処理することを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、荷電粒子である電子が処理ガスに衝突して処理ガスを励起し、分子を分解して単原子やイオン、励起状態の原子などの活性種が生成されて処理ガスが活性化される。そして、活性化した処理ガスは、被処理部材と接触すると被処理部材と容易に反応するため、被処理部材の表面処理を行なうことができる。従って、本発明によれば、被処理部材を電界中に配置する必要がないため、被処理部材に凹凸が存在しても電界集中などが発生せず、被処理部材の全体を一様に処理することができる。しかも、荷電粒子である電子を照射して処理ガスを活性化するため、ヘリウムを用いなくとも処理ガスを容易に、安定して活性化することができる。電子を照射して活性化するため、プラズマを発生させる電極が不要であり、表面処理をするために機器の設置の自由度を高めることができる。
【0011】
また、本発明に係る表面処理方法は、被処理部材両側の大気圧以上の圧力を有する処理ガスに前記被処理部材の側方から放射された電子を照射して活性化し、活性化した処理ガスを前記処理部材に接触させて表面を処理することを特徴としている。これにより、被処理部材の両側の処理ガスが活性化され、被処理部材の両側の面を同時に表面処理することができる。
【0012】
処理ガスの活性化は、処理ガスの流れの方向と交差して電子を照射し、被処理部材から離間した位置の処理ガスに電子を照射して行なってもよい。このように、被処理部材から離間した位置の処理ガスに電子を照射して活性化すれば、被処理部材が高速の電子に晒されることがなく、荷電粒子である電子によるダメージを避けることができる。
【0013】
表面の処理は、被処理部材の表面の物理的性質または化学的性質を変える改質であってよい。改質としては、表面の酸化、窒化、フッ化または濡れ性の改善、還元などを挙げることができる。表面の酸化は、処理ガスとして酸素、オゾンまたはCO2 などの酸化物のガスを用いて行なうことができる。表面の窒化は、窒素ガスまたはアンモニアガスなどを利用することができる。また、表面をフッ化処理する場合、処理ガスとしてCF4 、フッ化水素(HF)などのフッ素系のガスを使用できる。そして、表面の濡れ性を改善する場合には、処理ガスとしてCF4 を用いてよい。さらに、被処理部材の表面を還元する場合、処理ガスとして水素を利用することができる。
【0014】
さらに、表面処理は、被処理部材の表面に存在する有機物を除去するアッシングであってよい。有機物のアッシングは、活性化されて有機物を燃焼できる酸化性のガスである酸素ガスや水(水蒸気)、酸素化合物のガスを使用する。また、表面処理は、被処理部材の表面の少なくとも一部を除去するエッチングであってよい。エッチングようの処理ガスは、エッチングする被処理部材によって異なるが、被処理部材がシリコンである場合、CF4 などを用いることができる。
【0015】
そして、表面処理は、被処理部材に不純物元素を注入するドーピングとすることができる。例えば、シリコン中にアクセプタとなるホウ素(B)を注入する場合、処理ガスとして三フッ化ホウ素(BF3 )を持ちいつことができる。また、シリコン中にキャリアとなるリン(P)を注入する場合、処理ガスとしてホスフィン(PH3 )を使用してよい。
【0016】
さらに、本発明に係る表面処理方法は、電子を被処理部材の処理する表面に当たらないように大気圧以上の圧力を有する有機物からなる処理ガスに照射して活性化し、活性化したガスを重合させて前記被処理部材の処理する表面に重合膜を形成することを特徴としている。被処理部材の表面に重合膜を形成することにより、被処理部材の耐食性を高めたり、被処理部材に撥水性を与えたりすることができる。撥水性の重合膜を形成する場合、C10やC18 などの直鎖状フルオロカーボンの蒸気を処理ガスとして使用すると、フッ素樹脂が重合されるため、大きな撥水性が得られる。また、処理ガスがデカン(C1022)などの炭化水素の蒸気であったとしても、炭化水素の蒸気にCFや酸素を添加して活性化し、これらを有機物と反応させて重合膜に取り込ませることにより、撥水性を与えることができる。
【0017】
そして、前記表面方法を実施するための表面処理装置は、被処理部材に表面処理用の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、照射窓が前記被処理部材の処理する表面と異なる方向に向けられ、前記処理ガス供給部が前記被処理部材の処理する表面に供給する大気圧以上の圧力を有する前記処理ガスに電子を照射して処理ガスを活性化する電子照射部とを有することを特徴としている。これにより、被処理部材を電界中に配置することなく表面処理をすることができる。
【0018】
電子照射部は、大気中に電子線を取り出し可能な電子線照射管が望ましい。電子線を大気中に取り出すことができる電子線照射管を用いれば、大気圧以上の圧力を有する処理ガスを容易に活性化することができる。そして、電子の照射方向を処理ガスの流れの方向と交差させ、処理部材から離間した位置の処理ガスに電子を照射することにより、被処理部材の電子によるダメージを防ぐことができる。また、処理ガス供給部を、液体有機物を貯溜する容器と、この容器内の液体有機物を気化させる加熱部とによって構成した場合、被処理部材の表面に有機物の重合膜を形成することができる。また、気化させて有機物中に混入され、電子により活性化されて有機物と反応する第2処理ガスを供給する第2処理ガス供給部を設けることにより、デカンなどの炭化水素の重合膜に撥水性を与えることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る固体接合方法は、相互に接合する被接合部材の少なくとも一方の接合面を、電子が前記接合面に当たらないように大気圧以上の圧力を有する安定なフッ素系ガスに照射して活性化したガスによりフッ化処理したのち、前記被接合部材を固体状態で接合することを特徴としている。このような接合方法を採用することにより、固体接合の前処理(フッ化処理)において被接合部材に荷電粒子によるダメージを与えることがなく、ヘリウムを用いずに容易に前処理を行なうことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る表面処理方法および装置並びに固体接合方法の好ましい実施の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面処理装置の説明図である。図1において、表面処理装置30は、処理室31を有し、処理室31内に設けた処理ステージ32の上に、シリコンウエハなどの被処理部材10を配置するようにしてある。そして、表面処理装置30は、処理室31の天井部に電子照射部である電子線照射ユニット(電子線照射管)34が処理ステージ32と対向するように設置してある。この電子線照射ユニット34は、実施形態の場合、加速電圧が30〜75kVのウシオ電機株式会社製のMin−EBが用いられ、先端の照射窓から電子線36を大気中に取り出し可能となっている。
【0021】
また、処理室31の上部には、供給配管38を介して処理ガス供給部40が接続してあり、処理室31に酸素やオゾン、CF4 などの処理ガスを供給できるようになっている。そして、供給配管38には、流量制御弁42が設けてあって、処理室31に供給する処理ガスの量を任意に調整することができるようにしてある。さらに、表面処理装置30は、処理室31の下部に排気弁44を備えた排気管46の一端が接続してある。排気管46の他端ば、排気ポンプ48が接続してあって、排気ポンプ48によって処理室31の内部を排気することができるようにしてある。排気ポンプ48の吐出した排気ガスは、必要に応じて図示しない除外装置に送られる。
【0022】
例えば、被処理部材10がシリコンウエハであって、シリコンウエハの表面を改質するために酸化処理する場合、シリコンウエハを処理ステージ32の上に配置する。そして、処理ガス供給部40から供給配管38を介して酸素を処理ガスとして処理室31に供給すするとともに、排気ポンプ48によって処理室31内を排気し、処理室31内を大気圧状態に維持して処理室31内の処理ガスの濃度を所定の値に保持する。その後、電子線照射ユニット34を駆動し、処理室31内に配置されたシリコンウエハの近傍の処理ガスに電子線36を照射する。これにより、処理室31に導入された酸素は、電子線照射ユニット34から飛び出した電子と衝突して励起され、酸素単原子や酸素イオンまたは励起状態の酸素原子などの活性種が生成されて活性化され、これらの活性種がシリコンウエハに衝突する。このため、シリコンウエハ(被処理部材10)は、表面が酸化されて二酸化シリコン(SiO2 )の膜が形成されて改質される。
【0023】
このように、第1実施形態においては、被処理部材10を電界中に配置しないため、被処理部材10に凹凸があっても電界集中を起こすことがなく、凹凸のある被処理部材10の表面全体を均一に表面処理(酸化)することができる。また、実施形態においては、高価なヘリウムを使用することなく処理ガスを活性化することができ、表面処理に要するコストを低減することができる。さらに、実施形態においては、処理ガスに電子線36を照射して処理ガスを活性化しているため、処理ガスを活性化するための電極が不要であって、被処理部材10を設置するための自由度が増大する。しかも、電子線照射管からなる電子線照射ユニット34から電子線36を取り出して処理ガスに照射しているため、処理ガスが大気圧近傍の圧力以上であっても容易に活性化することができる。そして、実施形態においては、被処理部材10を処理室31内に配置して表面処理を行なうようにしているため、処理ガスの無駄を少なくすることができるとともに、人体や周囲環境に影響を与える処理ガスをも容易に取り扱うことができる。
【0024】
なお、前記実施形態においては、処理室31の内部が大気圧状態である場合について説明したが、処理室の内部の圧力を大気圧以上、例えば2〜5気圧にしてもよい。また、処理室31にヒータなどの加熱手段を設け、被処理部材10を例えば150〜300℃程度に加熱することにより、表面処理(酸化)を促進することができる。そして、前記実施形態においては、処理ガスが酸素である場合について説明したが、酸化用の処理ガスはこれに限定されるものではなく、例えばオゾンまたはCO、水蒸気(HO)などの酸素化合物であればよい。さらに、前記実施の形態においては、被処理部材がシリコンウエハである場合について説明したが、被処理部材はタンタルや他の金属などであってもよい。そして、処理ステージ32を回転可能に形成し、回転させながら被処理部材10の酸化処理を行なうと、被処理部材10の全体にわたって一様な酸化処理をすることができる。なお、被処理部材10の表面処理を安定して行なうために、処理室31の内部を表面処理の前後において窒素ガスなどの不活性なガスにより置換することが望ましい。そして、前記実施形態においては、処理室31に処理ガスを導入して表面処理を行なう場合について説明したが、処理室31を設けずに被処理部材10を開放系に配置し、処理ガスを吹き付けるようにして表面処理を行なってもよい。
【0025】
シリコンウエハの表面を窒化処理して改質する場合、処理ガス供給部40から処理ガスとして窒素ガスや、アンモニアガスなどの窒素化合物のガスを大気圧状態で処理室31に導入する。そして、これらのガスに電子線36を照射する。これにより、窒素ガスやアンモニアガスなどの処理ガスが励起し、窒素イオンや窒素単原子などの活性種が生成されて活性化される。そして、活性化された処理ガスがシリコンウエハに衝突してこれを窒化し、表面に窒化ケイ素(Si3 4 )の膜が形成されて表面の改質が行なわれる。鋼などの金属の窒化も同様に行なうことができる。また、被処理部材10を加熱することにより、窒化処理の速度を大きくすることができる。
【0026】
表面処理が錫や銅などの金属のフッ化処理である場合、被処理部材10を処理ステージ32の上に配置したのち、処理ガス供給部40からHFや、CF4 などの非反応性の安定なフッ素系ガスを処理室31に大気圧状態で供給する。そして、被処理部材10の近傍の処理ガスに電子線36を照射する。これにより、処理ガスが励起されて活性なフッ素が生成され、活性なフッ素が錫や銅などの表面に付着してこれらの表面をフッ化し、表面が改質される。
【0027】
このようにしてフッ化処理した被処理部材10は、固体接合に供することができる。この固体接合は、図2に示したような接合装置によって行なうことができる。図2に示した固体接合装置50は、接合チャンバ52を有している。接合チャンバ52の内部には、接合テーブル54が配置してあり、接合テーブル54の上にフッ化処理をした一対の被処理部材(被接合部材)10a、10bを配置するようになっている。また、接合チャンバ52には、シリンダなどからなる加圧手段56が接合テーブル54の上方に配設してある。加圧手段56の加圧板58と接合テーブル54とには、ヒータ60、62が内蔵してあって、被処理部材10a、10bを融点以下の所望の温度に加熱できるようにしてある。そして、接合チャンバ52には、不活性ガス供給部64が流量制御弁66を備えた配管68を介して接続してあって、接合チャンバ52内を窒素などの不活性ガスの雰囲気にできるようにしてある。
【0028】
このように構成してある固体接合装置50においては、固体接合の前処理として、被処理部材10a、10bの接合面を前記のようにしてフッ化処理したのち、被処理部材10a、10bを窒素雰囲気中の接合チャンバ52の内部に搬入し、接合テーブル54の上に配置する。そして、接合テーブル54に内設したヒータ62により被接合部材10a、10bを融点以下の所定の温度(例えば150〜200℃)に加熱する。さらに、ヒータ60によって所定の温度に加熱してある加圧手段56の加圧板58を下降させ、加圧手段56によって被処理部材10a、10bを加圧して両者を接合する。
【0029】
なお、発明者らの実験によると、フッ化処理は、被処理部材(被接合部材)10a、10bのいずれか一方を行なえばよく、両者をフッ化処理する必要はない。また、被処理部材10a、10bを加熱しなくとも接合することができるが、被処理部材10a、10bを加熱することにより、接合時間を短縮できるとともに、接合強度を大きくすることができる。そして、被処理部材としてNd−Fe−Bからなる粉末を上記のようにしてフッ化処理し、フッ化処理した粉末を型に入れて加熱しつつ加圧することにより固化することができ、前記のフッ化処理をいわゆる粉末冶金の前処理とすることができる。
【0030】
錫や銅など多くの金属は、一般に空気に晒すと、空気中の酸素や水分によって酸化され、表面に自然酸化膜が形成される。このような自然酸化膜が形成された金属は、いわゆる濡れ性が悪く、半田などによる接合が困難となる。そこで、自然酸化膜を有する金属の表面処理を行なって濡れ性の改善を行なう。この濡れ性を改善する場合、金属からなる被処理部材10を図1に示した処理ステージ32の上に配置し、処理ガス供給部40から供給配管38を介して、CF4 などの安定なフッ素系ガスを処理ガスとして処理室31に供給する。その後、電子線照射ユニット34によって処理ガスに電子線36を照射する。これにより、処理ガスが活性化されて活性なフッ素が生成される。この活性なフッ素は、自然酸化膜を形成している酸素と置き換わって金属原子と結合し、被処理部材10の表面が改質されて濡れ性が改善される。
【0031】
また、自然酸化膜を有する金属の表面を改質して濡れ性を改善するために水素による還元をすることがある。そこで、金属酸化膜を有する被処理部材10を処理室31内の処理ステージ32の上に配置し、被処理部材10を加熱するとともに、処理ガス供給部40から処理室31に処理ガス(還元ガス)である水素ガスを供給する。そして、処理室31に導入した水素ガスに電子線照射ユニット34によって電子線36を照射する。これにより、水素ガスが励起されてイオン水素や励起された水素などの活性種が生成され、活性な水素が被処理部材10の表面に存在している自然酸化膜を形成している酸素と結合して水(H2 O)となり、被処理部材10の表面が還元される。
【0032】
なお、発明者らの研究によると、金属表面を還元する場合、水素を直接作用させても還元できないようなものであっても、金属表面を一度ハロゲン化したのちに還元すると、容易に還元することができることがわかった。そこで、錫や銅などの被処理部材10を前記したように処理室31内において一度フッ化処理をしたのち、処理室31に水素を導入して電子線36を照射し、水素を活性化する。活性な水素は、被処理部材10の表面に存在しているフッ素と結合し、フッ化水素となって被処理部材10の表面から離脱して被処理部材10を還元する。このようにしてフッ素を水素によって還元して除去した被処理部材10を固体接合すると、被処理部材10にフッ素が残存していないため、フッ素によるマイグレーションのおそれがなく、高品質の接合体を得ることができる。
【0033】
なお、フッ素を還元する場合、処理ガスとして水素ガスに代えてアンモニアガスを用いてもよい。アンモニアガスを使用すると、アンモニアガスが電子線36によって活性化され、被処理部材10の表面に存在しているフッ素(F)と、
【化1】
Figure 0003698065
のように反応し、フッ化アンモニウムが生成されて被処理部材10を還元することができる。
【0034】
表面処理が有機物を除去するアッシングである場合、例えばフォトレジストを有するシリコンウエハをアッシングする場合、被処理部材10であるシリコンウエハを処理ステージ32の上に配置する。また、処理ガス供給部40から処理ガスとして酸素ガスを処理室31に供給する。そして、電子線照射ユニット34によって処理室31に供給した酸素ガスに電子線36を照射し、酸素ガスを励起して活性化させる。これにより、活性な酸素が生成されてシリコンウエハの表面に存在しているフォトレジスト(有機物)と反応し、フォトレジストが燃焼されてアッシングが行なわれる。
【0035】
なお、アッシングの際には、有機物中の水素と活性な酸素とが結合して水が生成されるため、被処理部材10を加熱することが望ましい。また、アッシング用の処理ガスとしては、蒸気化した水や酸素化合物を用いることができる。
【0036】
表面処理として例えばシリコンウエハのエッチングを行なう場合、処理ガスとして四フッ化炭素(CF4 )やフッ素ガス、SF6 などのフッ素系ガス等のハロゲン系ガスを用いる。例えば、処理ガスとしてCF4 を用いた場合、処理室31に導入したCF4 に電子線36を照射すると、CF4 が励起されてフッ素イオンや励起状態のフッ素などが生成され、これらの活性種がシリコンと反応して四フッ化ケイ素(SiF4 )となって気化し、シリコンウエハのエッチングが行なわれる。
【0037】
なお、二酸化ケイ素の膜(いわゆるシリコン酸化膜)をエッチングする場合、CF4 に水蒸気を添加したものを処理ガスとして使用すると、CF4 と水蒸気との混合ガスに電子線36を照射すると、両者が反応して二酸化ケイ素をエッチングしやすいフッ素系イオンHF2 -を生じ、シリコン酸化膜を容易にエッチングすることができる。すなわち、CF4 と水蒸気との混合ガスに電子線36を照射すると、活性化されたCF4 と水蒸気とが
【化2】
Figure 0003698065
のように反応してフッ化水素(HF)を生ずる。このフッ化水素は、さらに水と次のように反応し、
【化3】
Figure 0003698065
フッ素系イオンHF2 -が生成され、このフッ素系イオンが二酸化ケイ素をエッチングする。
【0038】
また、シリコンウエハに不純物元素(ドーパント)を注入する場合、ドーパントとなる元素を組成として含むガスを処理ガスとして処理室31に導入し、そのガスに電子線36を照射して処理ガスをイオン化する。例えば、シリコンウエハにアクセプタとなるホウ素(B)を注入する場合、シリコンウエハを処理ステージ32の上に配置したのち、処理ガスとして三フッ化ホウ素(BF3 )を処理室31に供給し、三フッ化ホウ素に電子線36を照射する。これにより三フッ化ホウ素が分解され、活性なホウ素イオンが生成されて被処理部材10であるシリコンウエハに注入される。また、ドナーとなるリン(P)をシリコンウエハに注入する場合、シリコンウエハを配置した処理室31に処理ガスとしてホスフィン(PH3 )を導入し、ホスフィンに電子線36を照射してリンイオンを生成する。
【0039】
図3は、第2実施形態に係る表面処理装置の説明図である。図3において、処理室70の内部には、比較的薄い被処理部材72を中空に水平に保持するための保持具74が設けてある。また、処理室70には、電子線照射ユニット34が被処理部材72の側方に位置させて取り付けてあって、電子線36を水平方向に放射できるようにしてある。そして、処理室70の上部と下部とには、基端側を処理ガス供給部40に接続した供給配管76、78が接続してあって、処理ガス供給部40からの処理ガスを処理室70の内部に供給できるようにしてある。各供給配管76、78には、それぞれ流量制御弁80、82が設けてあり、処理室70に供給する処理ガスの量を制御できるようになっている。さらに、処理室70には、保持具74の下方に排気弁44を有する排気管84が接続してある。この排気管84には、排気弁44の上流側に分岐管86の一端が接続してある。そして、分岐管86の他端は、処理室70の保持具74より上方に接続してある。
【0040】
このように構成してある表面処理装置による被処理部材72の表面処理は、次のようにして行なう。被処理部材72を処理室70に搬入して保持具74に水平に保持させる。また、被処理部材72の表面処理の目的に適した処理ガスを、供給配管76、78を介して処理ガス供給部40から処理室70に導入するとともに、排気管84、分岐管86を介して処理室70内を排気し、処理室70の内部をほぼ大気圧状態に維持する。そして、電子線照射ユニット34を駆動して電子線36を図示しない照射窓から外部に取り出し、電子線36を被処理部材72の上下部の処理ガスに照射する。これにより、被処理部材72の上下部の処理ガスが活性化されて被処理部材72に衝突し、被処理部材72は表面処理が行なわれる。
【0041】
このように、第2実施形態においては、被処理部材72の両側の処理ガスに電子線36を照射するようにしているため、被処理部材72の上下の面(表裏面)を同時に表面処理をすることができる。しかも、実施形態においては、被処理部材72の上下の両側から処理ガスを供給し、排気を行なっているため、上下の面において処理むらを生ずるのを防止することができる。また、供給配管76、78から供給する処理ガスの量を両者で変えることにより、被処理部材10の上面と下面とで処理の程度を変えることも可能である。
【0042】
なお、前記第2実施の形態においては、被処理部材72を水平に保持した場合について説明したが、被処理部材72を上下方向に立てて保持するようにしてもよい。また、処理室70に被処理部材72を加熱するための加熱手段を設けてもよい。
【0043】
図4は、第3実施形態の説明図である。この実施形態においては、被処理部材10を配置する処理ステージ90の上方にノズル92が配設してある。ノズル92は、流量制御弁42を備えた供給配管94を介して処理ガス供給部40に接続してあって、処理ガス供給部40からの処理ガス98を処理ステージ90の上に配置した被処理部材10に吹き付けることができるようにしてある。また、ノズル92のやや下方であって、処理ガス98の流れの側方には、電子線照射ユニット34が配設してある。そして、電子線照射ユニット34は、図に示したように、ノズル92から噴射する処理ガス98の流れの方向と交差して電子線36を照射するようにしてあり、ノズル92から噴出された直後の処理ガス98に電子線36を照射できるようにしてある。
【0044】
このようになっている第3実施形態においては、処理ガス供給部40からの処理ガス98をノズル92によって被処理部材10に吹き付けるとともに、電子線照射ユニット34によって、被処理部材10から離間した位置において、ノズル92から吹き出された処理ガス98に電子線36を照射する。これにより、ノズル92から噴射された処理ガス98は、電子線36が照射される部分100において活性化されて被処理部材10に衝突し、被処理部材10が活性化された処理ガス98によって表面処理される。
【0045】
この第3実施形態においては、被処理部材10から離間した位置において処理ガス98に電子線36を照射して活性化するようになっているため、被処理部材10が直接電子線36に晒されることがなく、被処理部材10の電子線36によるダメージを避けることができる。なお、ノズル92と被処理部材10とを前記したような処理室内に配置してもよい。
【0046】
図5は、第4実施形態に係る表面処理装置の説明図である。この第4実施形態の表面処理装置130は、処理室31に供給配管102を介して処理ガス供給部104が接続してある。この処理ガス供給部104は、例えばデカン(C1022)などの直鎖状炭化水素、C4 10やC8 18などの直鎖状パーフルオロカーボン等の有機物からなる液体有機物106を貯溜する容器108を有している。そして、容器108には、加熱部となるヒータ110が設けてあって、液体有機物106を加熱して気化できるようになっている。さらに、供給配管102には、流量制御弁112が取り付けてあり、気化した有機物の流量を制御できるようにしてある。また、供給配管102の流量制御弁112の下流側には、流量制御弁114を備えたキャリア配管116を介してキャリアガス供給部118が接続してある。キャリアガスは、窒素やアルゴンなどの不活性なガスを使用する。
【0047】
この第4実施形態においては、処理ガス供給部104を構成している容器108内の液体有機物106をヒータ110によって加熱し、液体有機物106を気化させる。また、キャリアガス供給部118から窒素などのキャリアガスを供給配管102に流入させ、液体有機物106の蒸気を処理室31に搬送する。そして、処理室31に導入した液体有機物106の蒸気に電子線36を照射すると、直鎖状有機物の結合が一部切断されて活性となり、被処理部材10の表面に到達した活性な有機物蒸気が重合し、被処理部材10の表面に有機物の重合膜が形成される。
【0048】
なお、液体有機物106としてC4 10やC818などのフルオロカーボンを使用すると、フッ素樹脂が重合され、撥水性、潤滑性に優れた膜を得ることができる。従って、例えばインクジェットプリンタのプリンタヘッドを被処理部材として処理室31に配置し、プリンタヘッドの表面に薄いフッ素樹脂の重合膜を形成することにより、プリンタヘッドに撥水性を与えることができ、吐出するインキを真っ直ぐに飛ばすことが可能となって色の滲みなどを防止することができる。
【0049】
なお、液体有機物106がデカンなどの炭化水素である場合、図5の破線に示しように、供給配管102に流量制御弁120を有する配管122を介して第2処理ガス供給部124を接続し、第2処理ガス供給部124からCF4 を第2処理ガスとして液体有機物106の蒸気に添加し、この有機物蒸気とCF4 との混合ガスに電子線36を照射すると、電子線36により活性化したフッ素が炭化水素と反応し、被処理部材10の表面に重合させた膜中に取り込まれて重合膜に撥水性を与えることができる。液体有機物106がデカトリエンである場合、第2処理ガスとしてCF4 または酸素を添加することにより、重合膜に撥水性を与えることができる。また、液体有機物106がフルオロカーボンである場合、第2処理ガス供給部124から適度のCF4 を添加すると、電子線36の照射によってフルオロカーボンのフッ素の一部が離脱したとしても、CF4 から生成された活性なフッ素が重合膜に取り込まれるため、重合膜の撥水性を向上することができる。
【0050】
上記した表面処理は、レジストやアクリルなど、各種有機物の表面の撥水化や各種無機材料の表面の濡れ性向上に適用することができる。図6〜図8は、本発明に係る表面処理方法の適用例を示す説明図である。図6は、高分子有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示パネルの製造工程の一部を示したものであって、高分子有機EL表示パネルを構成する透明なガラス基板140の上に、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる透明電極142が形成してある。また、ガラス基板140の上には、各透明電極間142間に透明電極142の周縁部を覆ってSiO2 からなる絶縁膜144が設けてあって、各透明電極142を電気的に相互に分離している。そして、透明電極142の上には、高分子有機EL素子(EL素子)が配置される。
【0051】
EL素子を透明電極142の上に選択的に配置する方法は、透明電極142の周囲に設けた絶縁膜144の上にポリイミド(PI)などの有機物によって形成したバンク146を設けるとともに、ガラス基板140の上方に例えばインクジェットプリンタのインクジェットヘッドのような吐出ヘッド148を配置し、透明電極142に対応している吐出口150から液状のEL素子152を透明電極142に向けて吐出し、透明電極142の上にEL素子152を塗布して付着させるようにしている。
【0052】
ところが、液状のEL素子152を吐出する吐出ヘッド148は、EL素子152の粘性による影響などにより、EL素子152を透明電極142に向けて真っ直ぐ飛ばすことが困難で、多くが透明電極142の周囲のバンク146に付着する。このため、バンク146の撥水性を高め、バンク146に付着したEL素子152が透明電極142に滑り落ちるようにしている。また、透明電極142に付着したEL素子152は、透明電極142から容易に離脱しないようにする必要がある。このため、透明電極142の濡れ性を改善してEL素子152の付着力の増大を図っている。
【0053】
そこで、この実施形態においては、透明電極142の濡れ性の向上処理と、バンク146の撥水性の付与処理とを連続的に行なう。すなわち、透明電極142とバンク146とを設けたガラス基板140を図1に示した処理室31内に配置する。そして、処理ガス供給部40から処理ガスとして酸素ガスを処理室31に供給するとともに、電子線照射ユニット34によって酸素ガスに電子線36を照射して酸素ガスを活性化し、ITOからなる透明電極142を活性な酸素によって表面処理する。この酸素による表面処理により、透明電極142の濡れ性が改善される。
【0054】
酸素による表面処理を所定時間行なったならば、処理室31への酸素の供給を停止し、処理ガス供給部40から処理室31に処理ガスとしてCF4 を供給し、電子線照射ユニット34によってCF4 に電子線36を照射してCF4 を活性化する。そして、活性化したCF4 をガラス基板140に接触させてバンク146のフッ化処理を行なって撥水性を与える。
【0055】
なお、酸素による表面処理とCF4 による表面処理との前後において処理室31の内部を窒素などの不活性ガスによって置換を行なってもよい。また、酸素ガスとCF4 との混合ガスを処理室31に供給して透明電極142の濡れ性の改善と、バンク146の撥水性の付与とを同時に行なってもよい。
【0056】
図7は、上記の処理の効果を確認するために、ITO膜とポリイミド(PI)膜とSiO2 膜とを処理室31に配置し、上記した酸素による表面処理とCF4 による表面処理とを連続して行なったときの、液状高分子有機EL素子152の接触角を求めたものである。図7に示したように、ITO膜は、活性な酸素による表面処理(いわゆるアッシング)をすることにより、接触角が20度程度から15度程度に低下し、濡れ性が改善される。SiO2 膜もアッシングすることにより、接触角が低下して濡れ性が改善する。すなわち、活性な酸素による表面処理によって無機物の濡れ性を改善することができる。ただし、有機物であるポリイミド膜の濡れ性は変化しない。
【0057】
そして、アッシング処理したITO膜、ポリイミド膜、SiO2 膜を上記のようにしてCF4 による表面処理(フッ化処理)をすると、ITO膜の濡れ性(接触角)はほとんど変化しないが、有機物であるポリイミド膜の接触角が15度程度から65度程度に変化し、ポリイミド膜に撥水性を与えることができる。このため、図8に示したように、吐出ヘッド148の吐出口150から噴射され、バンク146に付着したEL素子152は、矢印154に示したように、バンク146間の谷間に存在する本図に図示しない透明電極142に向かって滑り落ちる。従って、EL素子152を容易、確実に透明電極142の上に選択的に付着させることができる。しかも、透明電極142は、活性な酸素によって濡れ性が改善されているために、EL素子152の付着力が増大し、加熱して溶媒を蒸散させたときに、EL素子152が透明電極142から剥離するような現象を確実に防ぐことができる。なお、アッシング処理したSiO2 膜は、フッ化処理をするとわずかに接触角が大きくなる。
【0058】
前記適用例においては、高分子有機EL表示パネルの製造に適用した場合について説明したが、カラーフィルタの製造プロセスにおいても同様にして無機材料(基板)の濡れ性の改善と有機物バンクの撥水性の付与処理をしたのち、液状のカラーインクやカラーレジストを吐出ヘッドから噴射することにより基板に塗布することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、処理ガスに電子を照射して活性化するようにしているため、被処理部材を電界中に配置する必要がないく、被処理部材に凹凸が存在しても電界集中などが発生せず、被処理部材の全体を一様に処理することができる。しかも、荷電粒子である電子を照射して処理ガスを活性化するため、ヘリウムを用いなくとも処理ガスを容易に、安定して活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る表面処理装置の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る固体接合装置の説明図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る表面処理装置の説明図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係る表面処理装置の説明図である。
【図5】本発明の第4実施の形態に係る表面処理装置の説明図である。
【図6】高分子有機EL表示パネルの製造工程の一部を説明する図である。
【図7】実施の形態に係るアッシング処理とフッ化処理とを連続的に行なったときの、液状高分子有機EL素子の接触角の変化を示す図である。
【図8】実施の形態に係るアッシング処理とフッ化処理とを行なったのち、透明電極への液状高分子有機EL素子の塗布を説明する図である。
【図9】従来の大気圧プラズマによる表面処理方法の説明図である。
【符号の説明】
10、72………被処理部材、
10a、10b………被処理部材(被接合部材)、
30、130………表面処理装置、31、70………処理室、
34………電子照射部(電子線照射ユニット)、36………電子線、
40、104………処理ガス供給部、50………固体接合装置、
52………接合処理室、56………加圧手段、58………加圧板、
60、62………ヒータ、64………不活性ガス供給部、
106………液体有機物、108………容器、
110………加熱部(ヒータ)、118………キャリアガス供給部、
124………第2処理ガス供給部。

Claims (20)

  1. 電子を被処理部材の処理する表面に当たらないように大気圧以上の圧力を有する処理ガスに照射して活性化し、活性化した処理ガスを前記被処理部材の処理する表面に接触させて処理することを特徴とする表面処理方法。
  2. 被処理部材両側の大気圧以上の圧力を有する処理ガスに前記被処理部材の側方から放射された電子を照射して活性化し、活性化した処理ガスを前記処理部材に接触させて表面を処理することを特徴とする表面処理方法。
  3. 前記処理ガスの活性化は、前記処理ガスの流れの方向と交差して前記電子を照射し、前記被処理部材から離間した位置の前記処理ガスに電子を照射して行なうことを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  4. 前記表面の処理は、改質であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理方法。
  5. 前記改質は、酸化であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
  6. 前記改質は、窒化であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
  7. 前記改質は、フッ化であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
  8. 前記改質は、濡れ性の改善であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
  9. 前記改質は、還元であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
  10. 前記表面処理は、前記被処理部材の処理する表面に存在する有機物を除去するアッシングであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理方法。
  11. 前記表面処理は、前記被処理部材の処理する表面の少なくとも一部を除去するエッチングであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理方法。
  12. 前記表面の処理は、前記被処理部材に不純物元素を注入するドーピングであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理方法。
  13. 電子を被処理部材の処理する表面に当たらないように大気圧以上の圧力を有する有機物からなる処理ガスに照射して活性化し、活性化したガスを重合させて前記被処理部材の処理する表面に重合膜を形成することを特徴とする表面処理方法。
  14. 前記重合膜は、撥水性であることを特徴とする請求項13に記載の表面処理方法。
  15. 被処理部材に表面処理用の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、照射窓が前記被処理部材の処理する表面と異なる方向に向けられ、前記処理ガス供給部が前記被処理部材の処理する表面に供給する大気圧以上の圧力を有する前記処理ガスに電子を照射して処理ガスを活性化する電子照射部とを有することを特徴とする表面処理装置。
  16. 前記電子照射部は、大気中に電子線を取り出し可能な電子線照射管であることを特徴とする請求項15に記載の表面処理装置。
  17. 前記電子照射部は、電子の照射方向が前記処理ガスの流れの方向と交差しており、前記処理部材から離間した位置の前記処理ガスに電子を照射することを特徴とする請求項15または16に記載の表面処理装置。
  18. 前記処理ガス供給部は、液体有機物を貯溜する容器と、この容器内の前記液体有機物を気化させる加熱部とを有することを特徴とする請求項15ないし17のいずれかに記載の表面処理装置。
  19. 気化させて前記有機物中に混入され、前記電子により活性化されて前記有機物と反応する第2処理ガスを供給する第2処理ガス供給部を有することを特徴とする請求項18に記載の表面処理装置。
  20. 相互に接合する被接合部材の少なくとも一方の接合面を、電子が前記接合面に当たらないように大気圧以上の圧力を有する安定なフッ素系ガスに照射して活性化したガスによりフッ化処理したのち、前記被接合部材を固体状態で接合することを特徴とする固体接合方法。
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