JP2012194365A - 偏光フィルム、コーティング液、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
汎用的な偏光フィルムは、例えば、ヨウ素で染色したポリビニルアルコールフィルムを延伸することにより得られる。
また、リオトロピック液晶性化合物を含むコーティング液を展開面上に塗工する方法(溶液流延法)により得られる偏光フィルムも知られている。
例えば、特許文献1には、アントラキノン系化合物と溶媒を含む組成物を、基材上に塗工し、乾燥することにより得られた偏光フィルムが開示されている。
本発明の第2の目的は、高い二色比を有する偏光フィルムを形成するためのコーティング液を提供することである。
このコーティング液は、上記一般式(1)で表されるアゾ化合物と、溶媒と、を含む。
この画像表示装置は、その構成部材として、前記いずれかの偏光フィルムを有する。
本発明のコーティング液は、一般式(1)で表されるアゾ化合物を含んでいる。このコーティング液を適当な展開面上に塗工することにより、比較的薄く、且つ高い二色比を有する偏光フィルムを容易に得ることができる。
本発明の偏光フィルムは、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を含む。
本発明の偏光フィルムは、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物の1種又は2種以上含んでいてもよい。
一般式(1)において、NHR1及びSO3Mの各置換基は、それぞれナフタレン環の何れの位置に置換していてもよい。
なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」という記載は、「置換基を有する、又は、置換基を有しない」ことを意味する。
また、本明細書において、「Y〜Z」という記載は、「Y以上Z以下」を意味する。
例えば、一般式(1)のアゾ基がナフタレン環の1位に結合している場合、OH基はその2位に結合していればよく、又、アゾ基がナフタレン環の2位に結合している場合、OH基はその1位又は3位に結合していればよい。
一般式(2)において、NHR1及びSO3Mの各置換基は、それぞれナフタレン環の何れの位置に置換していてもよい。
なお、上記一般式(X)、(Y)又は(Z)を、一般式(2)のQに当てはめたアゾ化合物は、下記一般式(3)、(4)又は(5)で表される。
前記R1は、好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基であり、より好ましくは水素原子又は置換若しくは無置換のアセチル基である。
前記置換若しくは無置換のアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
アゾ基と結合する一般式(1)のナフタレン環の具体例としては、例えば、下記式(a)乃至式(l)などが挙げられる。式(a)乃至式(l)のR1及びMは、一般式(1)のそれらと同様である。
これらの中でも、式(a)又は式(b)を有する一般式(1)のアゾ化合物は、市場において多量に流通している原料から合成できる。このため、かかるアゾ化合物は、比較的安価に得ることができるので好ましい。
また、より水溶性に優れたアゾ化合物が得られることから、前記置換基Aは、極性基を含むことが好ましい。極性基とは、極性を持つ官能基を意味する。極性基としては、OH基、COOH基、NH2基、NO2基、CN基のような比較的電気陰性度の大きい酸素及び/又は窒素を含む官能基が挙げられる。
例えば、アミノ基及びヒドロキシル基を有するアントラキノン化合物をジアゾニウム塩化し、これをヒドロキシナフタレンスルホン酸化合物とカップリング反応させることにより、上記一般式(1)乃至(8)で表されるアゾ化合物を得ることができる。
本発明の偏光フィルムの偏光度は、好ましくは97%以上であり、より好ましくは98%以上であり、特に好ましくは99%以上である。前記偏光度は、例えば、フィルムの厚みに応じて調整することもできる。前記偏光フィルムの透過率(波長550nm、23℃で測定)は、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。ただし、前記偏光度及び透過率は、例えば、分光光度計(日本分光(株)製、製品名「V−7100」)を用いて測定できる。
一般式(1)のアゾ化合物は、その中のナフタレン環及びアントラキノン環のいずれにおいても、OH基がアゾ基の結合部に対してオルト位に結合している。OH基は反応性が高いため、例えば、一般式(3)乃至(5)のアゾ化合物は、それぞれ下記参考式(3−1)乃至(5−1)に示すように、ナフタレン環及びアントラキノン環の各OH基の水素原子とアゾ基の一方の窒素とがそれぞれ結合する。
このように各OH基が変化してその水素原子がアゾ基とそれぞれ結合することにより、ナフタレン環及びアントラキノン環の双方の平面構造が安定する。このため、アゾ化合物全体の平面構造が安定化される。この平面構造の安定化は、アゾ化合物の吸収二色性を高める作用があると推定される。従って、上記一般式(1)のアゾ化合物を含む偏光フィルムは高い二色比を有する。
なお、参考式(3−1)乃至(5−1)は、それぞれ一般式(3)乃至(5)のアゾ化合物に対応している。
前記他のアゾ化合物としては、例えば、下記一般式(9)で表されるジスアゾ化合物などが挙げられる。
前記アリール基及びアリーレン基が置換基を有する場合、その置換基は、上記置換基Aに例示したものから適宜選択できる。
前記Q1及びQ3は、それぞれ独立して、フェニル基の他、ナフチル基などのようなベンゼン環が2以上縮合した縮合環基が挙げられる。
前記Q1は、好ましくは置換若しくは無置換のフェニル基であり、より好ましくは置換基として極性基を有するフェニル基である。前記Q3は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチル基であり、より好ましくは置換基として極性基を有するフェニル基である。前記Q3の具体例としては、上記式(a)乃至式(l)などが挙げられる。
一般式(9)のQ2は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、より好ましくは極性基を有するナフチレン基であり、特に好ましくは極性基を有する1,4−ナフチレン基である。
上記添加剤としては、相溶化剤、界面活性剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、難燃剤、帯電防止剤、ポリビニルアルコールやポリアクリルアミドなどのポリマーなどが挙げられる。
本発明の偏光フィルムは、上記一般式(1)で表されるアゾ化合物と溶媒とを含むコーティング液を適当な展開面上に薄膜状に塗工し、この塗膜を乾燥することによって得られる。
工程A:前記アゾ化合物と溶媒とを含むコーティング液を、展開面上に塗工し、塗膜を形成する工程。
工程B:前記塗膜を乾燥する工程。
工程C:工程Bで乾燥させた塗膜の表面に、耐水化処理を施す工程。
前記展開面には、配向規制力が付与されていてもよい。
コーティング液は、水系溶媒などの溶媒に、前記アゾ化合物を溶解又は分散させることによって得られる。
なお、必要に応じて、前記アゾ化合物以外に、他のアゾ化合物、色素、ポリマー、及び/又は添加剤などを前記溶媒に添加してもよい。
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物は、SO3M基などの極性基を有するので、前記水系溶媒に対する溶解性に優れている。
この液晶相は、アゾ化合物が液中で超分子会合体を形成することによって生じる。液晶相は、特に限定されず、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、コレステリック液晶相、又はヘキサゴナル液晶相等が挙げられる。液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
さらに、コーティング液の温度は、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜30℃に調整される。
展開面は、コーティング液を略均一に展開するためのものである。この目的に適していれば展開面の種類は特に限定されない。展開面としては、例えば、ポリマーフィルムの表面、ガラス板の表面、金属ドラムの表面などが挙げられる。また、前記ポリマーフィルムとして配向フィルムを用いてもよい。配向フィルムは、その表面において配向規制力を有するので、液中のアゾ化合物を確実に配向させることができる。配向フィルムは、例えば、フィルムに配向規制力を付与することにより得られ得る。配向規制力の付与方法としては、例えば、フィルムの表面をラビング処理すること;フィルムの表面にポリイミドなどの膜を形成し、その膜の表面をラビング処理すること;フィルムの表面に光反応性化合物からなる膜を形成し、その膜に光照射して配向膜を形成することなどが挙げられる。
上記ポリマーフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系;トリアセチルセルロース等のセルロース系;ポリカーボネート系;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系;ポリスチレン等のスチレン系;ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン等のオレフィン系;などが挙げられる。前記アゾ化合物を良好に配向させるために、ノルボルネン系フィルムを用いることが好ましい。
液晶相状態のコーティング液を展開面に塗工すると、コーティング液の流動過程でアゾ化合物の超分子会合体に剪断応力が加わる。よって、前記超分子会合体の長軸方向がコーティング液の流動方向と平行となって、前記アゾ化合物の超分子会合体が配向した塗膜を展開面上に形成できる。
なお、アゾ化合物の配向を高めるため、必要に応じて、前記塗膜を形成した後、磁場又は電場などを印加してもよい。
塗膜の乾燥は、自然乾燥、又は強制的な乾燥などで実施できる。強制的な乾燥としては、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。
前記塗膜は、乾燥する過程で濃度が上昇し、配向したアゾ化合物が固定される。塗膜中のアゾ化合物の配向が固定されることによって、偏光フィルムの特性である、吸収二色性を生じる。得られた乾燥塗膜は、偏光フィルムとして使用できる。
以上のように本発明の偏光フィルムは、コーティング液を用いた溶液流延法によって形成できる。従って、本発明によれば、非常に薄い偏光フィルムを作製することも可能である。本発明の偏光フィルムの厚みは、例えば、0.1μm〜10μmであり、好ましくは0.1μm〜5μmである。
具体的には、上記乾燥塗膜の表面に、アルミニウム塩、バリウム塩、鉛塩、クロム塩、ストロンチウム塩、セリウム塩、ランタン塩、サマリウム塩、イットリウム塩、銅塩、鉄塩、及び分子内に2個以上のアミノ基を有する化合物塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物塩を含む溶液を接触させる。
なお、必要に応じて、得られた偏光フィルムの表面を水又は洗浄液で洗浄してもよい。
上記コーティング液をポリマーフィルム上に塗工することによって得られた偏光フィルム1は、図1に示すように、ポリマーフィルム2に積層されている。
本発明の偏光フィルム1は、通常、ポリマーフィルム2に積層された状態で使用される。もっとも、前記偏光フィルム1は、上記ポリマーフィルム2から剥離して使用することもできる。
本発明の偏光フィルム1には、さらに、他の光学フィルムを積層してもよい。他の光学フィルムとしては、保護フィルム、位相差フィルムなどが挙げられる。本発明の偏光フィルムに、保護フィルム及び/又は位相差フィルムを積層することにより、偏光板を構成できる。
また、特に図示しないが、この偏光板5には、位相差フィルムなどの他の光学フィルムが積層されていてもよい。
前記画像表示装置が液晶表示装置の場合、その好ましい用途は、テレビ、携帯機器、ビデオカメラなどである。
グラムトムソン偏光子を備える分光光度計(日本分光(株)製、製品名「V−7100」)を用いて、測定対象の偏光フィルムに、直線偏光の測定光を入射して、視感度補正したY値のk1及びk2を求めた。そのk1及びk2を下記式に代入して、二色比を求めた。ただし、前記k1は、偏光フィルムの最大透過率方向における直線偏光の透過率を表し、前記k2は、前記最大透過率方向に直交する方向における直線偏光の透過率を表す。
式:二色比=log(1/k2)/log(1/k1)
2枚のスライドガラスの間にコーティング液を少量挟み込み、顕微鏡用大型試料加熱冷却ステージ(ジャパンハイテック(株)製、製品名「10013L」)を備える、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製、製品名「OPTIPHOT−POL」)を用いて、液晶相を観察した。
偏光フィルムの厚みは、ノルボルネン系ポリマーフィルム上に形成された偏光フィルムの一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用い、前記ポリマーフィルムと偏光フィルムの段差を測定した。
容器に入れた2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン(1g、3.58mmol)に、ジメチルスルホキシド(30mL)、塩酸(0.75g、8.96mmol)を加えて溶解させた。氷浴にて、この溶液に、水に溶解させた亜硝酸リチウム(0.25g、3.58mmol)を加えた。その後、この溶液を1時間攪拌した後、さらに、スルファミン酸水溶液を適量加えた。このようにしてジアゾニウム塩懸濁液を得た。
1−アミノ−8−ヒドロキシ−2,4−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物に代えて、1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物を用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして、下記式(12)のアゾ化合物を得た。
1−アミノ−8−ヒドロキシ−2,4−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物に代えて、1−アセチルアミノ−8−ヒドロキシ−2,4−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物を用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして、下記式(13)のアゾ化合物を得た。
2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンに代えて、2−アミノアントラキノンを用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして、下記式(14)のアゾ化合物を得た。
2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンに代えて、2−アミノアントラキノンを用いたこと、及び、1−アミノ−8−ヒドロキシ−2,4−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物に代えて、1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物を用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして、下記式(15)のアゾ化合物を得た。
2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンに代えて、2−アミノアントラキノンを用いたこと、及び、1−アミノ−8−ヒドロキシ−2,4−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物に代えて、1−アセチルアミノ−8−ヒドロキシ−2,4−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム水和物を用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして、下記式(16)のアゾ化合物を得た。
上記式(11)のアゾ化合物をイオン交換水に溶解させることにより、濃度5質量%のコーティング液を調製した。
このコーティング液を、ラビング処理及びコロナ処理が施されたノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノア」)の前記処理面上に、バーコータ(BUSHMAN社製、製品名「Mayer rot HS4」)を用いて塗工し、自然乾燥した。乾燥後の塗膜が、偏光フィルムである。
得られた偏光フィルムの厚みは、約0.2μmであった。その偏光フィルムの二色比の測定結果を表1に示す。
なお、別途、式(11)のアゾ化合物をイオン交換水に溶解させることにより、濃度20質量%の液を調製し、その液を、上記液晶相の観察方法に従って、23℃で観察したところ、ネマチック液晶相を示していた。
式(11)のアゾ化合物に代えて、式(12)のアゾ化合物を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、厚み約0.2μmの偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの二色比の測定結果を表1に示す。
式(11)のアゾ化合物に代えて、式(13)のアゾ化合物を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、厚み約0.2μmの偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの二色比の測定結果を表1に示す。
式(11)のアゾ化合物に代えて、式(14)のアゾ化合物を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、厚み約0.2μmの偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの二色比の測定結果を表1に示す。
式(11)のアゾ化合物に代えて、式(15)のアゾ化合物を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、厚み約0.2μmの偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの二色比の測定結果を表1に示す。
式(11)のアゾ化合物に代えて、式(16)のアゾ化合物を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、厚み約0.2μmの偏光フィルムを作製した。その偏光フィルムの二色比の測定結果を表1に示す。
式(11)乃至(13)のアゾ化合物は、アントラキノン環において、アゾ基とOH基がオルト位に結合したアゾ化合物である。一方、式(14)乃至(16)のアゾ化合物は、アントラキノン環にOH基を有しない。
ナフタレン環及びアントラキノン環においてアゾ基とOH基が隣接して結合したアゾ化合物を用いた実施例1乃至3の偏光フィルムは、比較例1乃至3の偏光フィルムに比して、格段に高い二色比を有していた。
この結果からも、アントラキノン環においてアゾ基とOH基がオルト位に結合したアゾ化合物の使用は、高い二色比を有する偏光フィルムの形成を可能とする。
本発明のコーティング液は、偏光フィルムの形成材料として利用できる。
Claims (5)
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光フィルムを有する画像表示装置。
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