JP2012193505A - 多層建築物の排水立て管路の改修構造、多層建築物の排水立て管路改修方法、これら改修構造及び改修方法に用いられる集合継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔Hに、差口部51aの下端部が床スラブSの下方から突出し、横枝管接続部42が床スラブS上方に配置し、床スラブSの下方に突き出た差口部51aの下端が第2集合継手2の上端に設けられたゴム輪付き上部受口部21にワンタッチ接続され、第2集合継手2の下端が下の階の排水立て管P1に接続された1本の更新排水立て管路Aを形成して、横枝管P2を第1集合継手1の横枝管接続部42に、横枝管P3、P4を第2集合継手2の横枝管説接続部25に接続した。
【選択図】図1
Description
また、多層建築物においては、トイレの汚水を流す排水立て管路と、洗面所や浴槽の排水などの雑排水を流す排水立て管路がそれぞれ設けられ、これらが平行して設けられている。
そこで、上記のような汚水用排水立て管路と、雑排水用排水立て管路とを平行に備える既設の多層建築物においても、排水立て管路を改修する上において、上記のような集合継手を用いて、汚水用排水立て管路と、雑排水用排水立て管路とを1本の更新用排水立て管路に纏めることが考えられる。
すなわち、図14に示すように、第1の既設排水立て管路100は、床スラブSの上面に沿って設けられた横枝管P2が、床スラブSの上面側に配置された継手110の横枝管接続部111に接続されていて、この横枝管P2を介して各フロアーのトイレの汚水がそれぞれ流入するようになっている。
一方、第2の既設排水立て管路200は、床スラブSを貫通し、床スラブSの下面に沿って、すなわち、下の階の天井裏に沿って設けられた貫通横枝管P3,P4が、床スラブSの下面側に配置された継手210,220の横枝管接続部211,221にそれぞれ接続されていて、各フロアーの洗面所や浴槽から排水される雑排水がこの貫通横枝管P3,P4を介してそれぞれ流入する。
なお、図14中、P1は排水立て管である。
したがって、各フロアーで上下に分かれた横枝管をいずれか床フロアーの床スラブの上側または下側に纏めるという作業を行えない場合がある。
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されていることを特徴としている。
すなわち、上記第1集合継手は、横枝管接続部を有する上部継手部と、差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能な接続構造を備えていることが好ましい。
排水機器は、貫通既設横枝管の少なくとも床スラブ貫通部分を用いて更新排水立て管路に接続されていることが好ましい。すなわち、貫通既設横枝管の床スラブ貫通部分を床スラブから撤去する必要がないので、床スラブの弱体を防止することができる。また、施工工数や撤去工事時の騒音も減らすことができる。
すなわち、上部継手部を一旦下部継手部から分離し、上部継手部の下端部を必要に応じて切断したのち、下部継手部の受口部に再接続すれば、横枝管接続部の高さ位置を調整することができる。
なお、下部継手部の差口部も切断して床スラブからの突出長さを調整できるようにしてもよい。
ただ、鋳鉄製のものの場合、通常、防錆塗装が施されているので、上記のように寸法調整のために切断する場合は、切断面に施工現場で防錆塗料等を塗布して防錆加工する必要がある。
すなわち、既設排水立て管路の撤去によって、床スラブを、ハツル面積を少なくすることができ、ハツリによる床スラブの強度の劣化を防ぐことができる。また、床スラブ貫通孔内を鉄筋補強するなどの後施工も必要がなくなり、改修コストを低減できる。
さらに、ハツリによる騒音を極力減らすことができるので、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、単管式の排水立て管路への改修を容易に行うことができる。
図1は、本発明の多層建築物の排水立て管路の改修構造(以下、「本発明の改修構造」と記す)の1つの実施の形態をあらわしている。
第1集合継手1は、下部継手部材5と床スラブ貫通孔Hとの間に充填されたモルタルM及び上部継手部を構成する上部継手部材4がアングルなどで形成された架台3によって床スラブSに支持されることによって位置固定されている。
第1集合継手1の上部受口部41bには、排水立て管P1の下端がワンタッチ接続されている。
第2集合継手2の下端には下の階の排水立て管P1の上端部が接続されている。
この第1集合継手1は、図2、図4、図5に示すように、上部継手部を構成する上部継手部材4と、下部継手部を構成する下部継手部材5と、締め付けリング6と、リング状パッキン7と、4本のボルト8と、4つのナット9と、を備えている。
上部継手部材4は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料(例えば、エポキシ樹脂系粉体塗料)等によって防錆加工されていて、本体部41と横枝管接続部42とを備えている。
また、本体部41は、図6及び図7に示すゴム輪45が内装され、排水立て管P1の下端が、ワンタッチ接続される上部受口部41bを上端に有し、その下方に横枝管接続部42を備えた上部胴部41aを備えている。
リップ部47は、排水立て管P1の下端部が上部受口部41b内に挿入されると、図7に示すように、排水立て管P1の外径より小径部分が排水立て管P1の外周面に密着した状態で外側に広がり、外周面が上部筒部46aの内壁面にほぼ密着する。
そして、排水立て管P1がさらに押し込まれることによって、下部筒部46bの内周面が排水立て管P1の外周面に水密に密着する。
なお、ゴム輪45は、少なくとも排水立て管P1が挿入される部分には、滑剤を塗布しておくことが好ましい。滑剤は、工場出荷時に予め塗布されていても構わないし、施工現場で塗布するようにしても構わない。
また、上部胴部41aは、図3、図4に示すように、内周面の横枝管接続部42の開口部より少し上側に旋回羽根43が設けられ、旋回羽根43の両側に堰板44が設けられている。
横枝管接続部42は、上記上部受口部41bと同様にゴム輪が設けられた受口形状になっていて、横枝管P2がワンタッチ接続できるようになっている。
そして、下部継手部材5は、図2及び図4に示すように、本体部51と、上部受口部52とを備えている。
差口部51aは、床スラブSの厚みや、接続される横枝管P3,P4の高さ位置に合わせることができるように、下端部を最大170cm切断しても第2集合継手2にワンタッチ接続できるようになっている。
また、締め付けリング6は、図4に示すように、リング状のパッキン7の上端部がはまり込むようになっている。
ボルト8及びナット9は、ステンレス鋼で形成されている。
第2集合継手2は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工されている。
大径筒部20は、第1集合継手1の上部胴部41a及び本体部51と同じ内径をしていて、図8及び図9に示すように、3つの横枝管接続部25を備えている。
上部受口部21は、上記ゴム輪45と同じ形状のゴム輪が内装され、第1集合継手1の差口部51aがワンタッチ接続されるようになっている。
下部受口部23は、第1集合継手1の下部継手部材5に設けられた上部受口部21と同様の形状をしていて、パッキン7と同様の形状をしたパッキンを介して排水立て管の上端部が嵌合され、フランジ部23aと締め付けリングとの間でパッキンを圧縮して、排水立て管P1の上端部を水密状態に接続できるようになっている。
第1旋回羽根27及び第2旋回羽根26は、その上端がそれぞれ横枝管接続部25の下端より下方に位置し、接続された排水立て管の管軸方向に投影した投影面において、排水立て管の投影内断面積をS1、第1旋回羽根の排水立て管の内側に入り込む部分の投影面積をS2、第2旋回羽根の排水立て管の内側に入り込む部分の投影面積をS3としたとき、0.2×S1≦S2≦0.3×S1、及び、S3≦0.05×S1の条件を満足するように設けられていることが好ましい。
(1)図14に示す第1の既設排水立て管路100を各フロアーの排水機器と接続された横枝管P2から切り離し、床スラブSをハツリ、第1の既設排水立て管路100を撤去する。
(2)図10に示すように、生じた床スラブSの床スラブ貫通孔Hに第1集合継手1を床スラブSの上方から差口部51aを挿入して、図示していないが、下方に設けられた継手のワンタッチ接続可能な上部受口(先に第2集合継手2が設置されている場合は、第2集合継手2の上部受口部21)に差し込み嵌合するとともに、架台3によって、床スラブSの上面に支持する。
そして、床スラブ貫通孔Hと第1集合継手1との間をモルタルMによって埋める。
(3)図11に示すように、第2集合継手2の下端に所定の長さ(施工状態で第2集合継手2の上端が床スラブSの下面から20cm以上下方になる長さ)の排水立て管P1を接続する。
(4)図12に示すように、第2集合継手2が上端に接続された排水立て管P1の下端を先に床スラブSに支持固定された第1集合継手1の上部受口部41bにワンタッチ接続する。
このワンタッチ接続によって、図13に示すように、第2集合継手2の上部受口部21が上のフロアーの床スラブ貫通孔Hを臨むように第2集合継手2が排水立て管P1を介して支持される。
(5)図13に示すように、上のフロアーの床スラブ貫通孔Hを介して、(2)の工程とどうように、を上記のように固定された排水立て管P1の下端を、第1集合継手1を床スラブSの上方から差口部51aを挿入して第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続する。
(6)上記(2)〜(5)を最上階のフロアーまで繰り返し行って、図1に示す排水立て管路Aを形成する。
(7)第2の既設排水立て管路200に接続された横枝管P3,P4をその床スラブ貫通部分を残した状態で既設排水立て管路200から切り離す。
(8)必要に応じて既設排水立て管路200の床スラブSを貫通する部分以外を取り除く。
(9)第2の既設排水立て管路200に接続された排水機器をその排水機器が接続されていた横枝管P3,P4の残存床スラブ貫通部分を用いて新たに設けられ横枝管P3,P4を介して第2集合継手2の横枝管接続部に接続する。
また、第1集合継手1の差口部51aを、床スラブ貫通孔Hを介して床スラブS下方に突出させ、第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続させるだけでよいので、第1集合継手1と第2集合継手2との接続の際に、下のフロアーの天井裏まで作業者が上がるという高所作業が不要になり、作業の安全性も確保できる。
上記の実施の形態では、横枝管P2〜P4の接続を、排水立て管路Aの完成後に行っていたが、各フロアー上下に第1集合継手1の横枝管接続部42および第2集合継手2の横枝管接続部25が位置固定されるごとに行うようにしても構わない。
上記の実施の形態では、上部継手部材、下部継手部材1及び第2集合継手が鋳鉄製であったが、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製のものであっても構わない。ただし、床スラブ貫通部は、積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」などの耐火熱膨張テープを巻回したり、積水化学工業株式会社製の商品名「エスロン耐火VPパイプ」のようなそれ自体に耐火構造を備えているものを用いる必要がある。
上記の実施の形態では、第1集合継手1を、架台3を介して床スラブ上面で支持するようにしていたが、第2集合継手2も床スラブ下面に支持されたラック等を介して床スラブSに支持させるようにしても構わない。
H 床スラブ貫通孔
S 床スラブ
P2 横枝管(上面側既設横枝管)
P3,P4 横枝管(貫通既設横枝管)
P1 排水立て管
1 第1集合継手(本発明の集合継手)
2 第2集合継手
20 大径筒部
21 上部受口部(ゴム輪付き受口)
22 テーパ筒部
23 下部受口部
23a フランジ部
3 架台
4 上部継手部材(上部継手部)
41 本体部
41a 上部胴部
41b 上部受口部
42 横枝管接続部
45 ゴム輪
5 下部継手部材(下部継手部)
51 本体部
51a 差口部
52 上部受口部
52a フランジ部
6 締め付けリング
7 リング状のパッキン
8 ボルト
9 ナット
100 第1の既設排水立て管路
111 横枝管接続部(既設排水立て管路100)
211,221 横枝管接続部(既設排水立て管路200)
200 第2の既設排水立て管路
Claims (6)
- 各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されていることを特徴とする多層建築物の排水立て管路の改修構造。 - 第1集合継手は、横枝管接続部を有する上部継手部と、差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能な接続構造を備えている請求項1に記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
- 排水機器が、貫通既設横枝管の少なくとも床スラブ貫通部分を用いて更新排水立て管路に接続されている請求項1または請求項2に記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
- 第2集合継手は、横枝管接続部が設けられた大径筒部と、内径が前記大径筒部の下端から排水立て管の内径となるまで縮径するテーパ筒部を備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
- 各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修方法であって、
前記第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路を撤去する工程と、
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手を、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持する工程と、
前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端を改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続する工程と、
第2集合継手の下端に排水立て管を接続する工程とを行い、1本の更新排水立て管路を配管施工するとともに、
前記更新排水立て管路の各フロアーの床スラブの上下で第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器を、横枝管を介して接続することを特徴とする多層建築物の排水立て管路改修方法。 - 胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造または請求項5に記載の多層建築物の排水立て管路改修方法に用いられる第1集合継手用の集合継手であって、
前記横枝管接続部を有する上部継手部と、上端に上部継手部下端を受ける受口部を有し、下端に前記差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能に構成されていることを特徴とする集合継手。
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