JP7207926B2 - 排水システムの改修方法及び排水システム - Google Patents
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また、既設の排水システムの排水立て管路を全て撤去して新設の排水立て管路を設置する場合には撤去工数が多くかかる上に大量の廃棄物がでるという問題があった。
本発明によれば、既存の排水立て管路を撤去した床スラブの貫通口に集合継手の縮径された下部接続管を装着し、その上下に新設の排水立て管を接続することで新設の排水立て管路を設置し、排水機器に接続された排水横枝管と通気立て管から延びる通気横枝管を上部接続管に接続することで排水システムを改修できる。
排水立て管路の排水流量が増大した場合、排水立て管の口径が撤去した既設の排水立て管と同一で排水立て管路の排水流量が増大して排水圧が増大しても、脚部継手の下流側端部の口径を上流側端部より大きくすることで、排水流量を増大できるため排水性能を向上できる。
旋回羽根を内蔵し拡径された上部接続管と、既設の排水立て管路が撤去された床スラブの貫通口に装着されていて上部接続管より縮径された下部接続管と、を備えた集合継手と、集合継手の上部接続口及び下部接続口に接続された新設の排水立て管と、集合継手の上部接続管に接続されていて排水を排出する排水横枝管と、通気立て管路と新設の排水立て管または集合継手の上部接続管とを接続する通気横枝管と、排水立て管路の下端部に接続されていて、上流側端部の口径より下流側端部の口径の方が大きい脚部継手と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、床スラブの貫通口に集合継手の縮径された下部接続管を装着し、その上下に新設の排水立て管を接続することで新設の排水立て管路を設置し、排水機器に接続された排水横枝管と通気立て管から延びる通気横枝管を上部接続管に接続することで改修した排水システムを得られる。
図1に示す排水システム1は、マンション等の高層の建物における各階の住戸の排水システム1を概略的に示すものである。この排水システム1は二管式構造であり、各階の床スラブ2を上下方向に貫通して設置された新設の排水立て管路3と通気立て管路4とを備えている。
排水立て管路3の上端部には伸頂通気管6の下端部が接続されており、この伸頂通気管6の上端部は屋上で大気に開放されている。排水立て管路3の下端部は脚部継手7を介して、排水を下水道または汚水処理槽へ導く横主管8に接続されている。
各階の集合継手10において、床スラブ2から上方に突出した上部接続管20には、上端に設けた上部接続口10aと、側部に開口するとともに互いに周方向に所定間隔を開けて設けられた複数、例えば3個の側部接続口10b、10c、10dとが形成されている。集合継手10の床スラブ2から下方に突出した下部接続管21の下端にも下部接続口10eが形成されている。
集合継手10の側部に設けられた側部接続口10b、10c、10dは例えば同一径で同一高さに形成されている。なお、側部接続口10b、10c、10dは同一径でなくてもよく、排水機器に応じた径にすればよい。
通気立て管路4の口径は排水立て管路3の口径より小さくてよい。通気立て管路4の材質は特に限定しないが、排水立て管11と同様に、耐火性の塩化ビニル樹脂により形成するのが好ましい。また、熱を受けた時に閉塞機能をもつシートが適宜箇所に巻き付けられているのが好ましい。
通気横枝管18は例えば可撓性のある合成樹脂製やゴム製等からなる。そのため、既設の通気立て管路4に対して新設の排水立て管路3の高さ等の設置位置が既設の排水立て管路に対してずれていても、フレキシブルな通気横枝管18を介して異なる高さ位置にある集合継手10の側部接続口10dに容易に接続できる。
本実施形態の集合継手10は例えば樹脂製(金属製でもよい)であり、上部接続口10aを有する上部接続管20と下部接続口10eを有する下部接続管21とを有している。集合継手10の上部接続管20と下部接続管21は断面形状が例えば卵型に形成されている。上部接続管20と下部接続管21は同軸であり同一の中心軸線Oを有している。
集合継手10は、上部接続管20の部分が下部接続管21の部分より拡径された排水集合部としての中空部を有しており、下部接続管21はその上端部に拡径された中間部22が形成され、中間部22から下方に向けて縮径されたテーパ管状にテーパ管部21aが形成されている。下部接続管21の下端部に下部接続口10eが形成されている。上部接続管20の側面には周方向に所定間隔を開けて側部接続口10b、10c、10dが設置されている。
堰止め板23の設置角度が+30°より大きいと、旋回された排水の旋回流が十分に堰き止められずに、通気横枝管18への逆流を発生するおそれが生じる。また、設置角度が-30°よりも小さいと受け止めた排水の跳ね返りが大きくなり、排水の流れを乱すおそれがあり、管内の圧力変動が大きくなるおそれがある。
上部の排水立て管11が接続されている上部接続管20の上部接続口10aの内周面には、排水立て管11との間に位置する縦ブッシュ25と、パッキン等の縦シール部材26と、縦リング27と、が設けられている。縦ブッシュ25は、嵌合部25aと、旋回羽根25bと、旋回羽根支持脚部25cと、を備えている。嵌合部25aは、縦ブッシュ25の上端部より小径で上部接続管20内に嵌合する筒状である。
なお、旋回羽根25bは建築物の規模や排水機器14、15、16の数に応じ高排水性能が要求される場合に適用されるので、高排水性能が要求されない建築物の場合は省略しても良い。
下部接続管21は上部接続管20より小径に形成されており、下部接続管21には旋回羽根25bは配設されていない。しかも、本実施形態では、新設の集合継手10の下部接続管21は床スラブ2の貫通口2aから撤去した既設の排水立て管路と略同一寸法以下の外径形状を有していて、貫通口2aのモルタルMを斫ることなく貫通口2aに装着できる。
また、通気立て管路4が各階において通気横枝管18を介して集合継手10に接続されているため、集合継手10への空気の補充や集合継手10からの空気の逃がしを円滑に行なえる。そのため、排水立て管路3内での排水の圧力変動をより一層抑制することができる。
排水立て管路3の下端部には最下階の床スラブ2の貫通口2aに嵌挿された集合継手10が装着されている。この集合継手10の床スラブ2の下方に延びるテーパ状の下部接続管21には脚部継手7が接続されている。
曲管部35の上流側端部35bと下流側端部35cの口径に対して第一端部33と第二端部34は段付きで拡径した円環形状を有している。第一端部33は、集合継手10の下部接続管21の下端部が嵌合される受け口である。第二端部34は、横主管8の配管路37が嵌合される受け口である。曲管部35の湾曲部分の下側には、下方に向けて突出する被支持部35aが設けられている。被支持部35aは、例えば図示しない支持金具により支持される。
そのため、排水立て管路3を流れ落ちる排水の流量が改修前よりも増大して水圧が上昇した場合でも、脚部継手7の下流側端部35cが上流側端部35b及び排水立て管路3の下端部より口径が拡大しているため、脚部継手7で排水流量が増大してスムーズに排水できる。
既設のマンション等の高層の建物において、排水システム1を修理や交換したり排水流量を増大したりする必要等のために改修工事を行うことがある。このような排水システム1の改修に際して、図1に示すように、既設の通気立て管路4をそのままにして先ず既設の排水立て管路を撤去する。
次に、既設の通気立て管路4に一端が接続されたフレキシブルな通気横枝管18の他端を各階の集合継手10における側部接続口10dに接続する。その際、新設の排水立て管路3の各集合継手10の設置位置は、撤去した既設の排水立て管路と比較して高さや位置がずれることがある。その場合でも、通気横枝管18はフレキシブルであるため高さ方向や水平方向の位置ずれを吸収して各集合継手10の側部接続口10dに接続できる。
また、新設の排水立て管路3の下端部、例えば集合継手10の下部接続管21に新設の脚部継手7を取りつける。この脚部継手7は曲管部35の下流側端部35cの口径D2が上流側端部35bの口径D1より大きく、例えば1.5倍に設定されている。また、横主管8を既設の横主管から新設の横主管8に交換してもよい。
合流された排水は旋回羽根25bで旋回されることにより旋回力を与えられ、排水は上部接続管20の内壁面に沿って旋回流として下方に流れて中心軸線O上に空気芯を形成することができ、排水と空気が分離される。そのため、排水は旋回流として排水立て管路3内をスムーズに流れ、圧力変動を抑制することができる。
そして、排水立て管路3から脚部継手7に流れ落ちる排水は、脚部継手7の上流側端部35bの口径D1よりも下流側端部の口径D2が例えば1.5倍と拡径されているため、大量且つスムーズに排出され、下水道または汚水処理槽へ送られる。その際、排水機器14、15、16から集合継手10に供給される排水流量が増大して排水立て管路3内の排水圧力が増大しても、その下側の脚部継手7に流れ落ちる排水流量を増大して圧力負荷を低減できるため、排水流量が増大しても無理なくスムーズに排水できる。
また、集合継手10の上部接続管20を膨らみのある拡径した中空部に形成したことで内部空間を拡径できて、必要な排水流量と通気を確保できる。そのため、集合継手10と通気立て管路4との間で通気のやり取りを可能にして排水性能が向上する。しかも、上部接続管20内に旋回羽根25bを内蔵させたため、水の流れが整頓されて水と空気の層を明確に分離できる。これにより水と空気の接触面積が安定するため、内部圧力の変動値も安定し、急激な排水性能の変動を抑制する。
また、排水立て管路3の最下端部に下流側端部35cの口径を拡径させた脚部継手7を設けたため、排水の方向転換をスムーズにして排水流量を向上させ、管内圧力変動値の急激な上昇を防止する。
しかも、排水立て管路3への空気の補充、逃がしを行う通気立て管路4と排水の旋回機能を有する集合継手10の協働により排水性能を高めることができる。そのため、排水負荷が大きくても、排水立て管路3のサイズダウンが可能である。
また、新設の排水立て管11の口径を床スラブ2の貫通口2aの範囲内で既設の排水立て管より大きく設定してもよい。これにより、より大流量の排水を排出させることができる。また、新設の集合継手10の下部接続管21が貫通口2aを貫通する貫通面積を小さくしてその隙間にモルタルMを追加充填することで躯体強度を向上できる。
通気立て管路4は中途部において複数箇所(複数階)で排水立て管路3に接続することが好ましいが、建物が低層の場合には中途部において1箇所だけで排水立て管路3に接続してもよい。
2 床スラブ
2a 貫通口
3 排水立て管路
4 通気立て管路
7 脚部継手
8 横主管
10 集合継手
10a 上部接続口
10b、10c、10d 側部接続口
10e 下部接続口
11 排水立て管
13 排水横枝管
14、15、16 排水機器
18 通気横枝管
20 上部接続管
21 下部接続管
25b 旋回羽根
35 曲管部
35b 上流側端部
35c 下流側端部
Claims (4)
- 建物の床スラブを貫通して設置された既存の通気立て管路及び排水立て管路を備えた排水システムの改修方法において、
前記既存の排水立て管路を撤去する工程と、
前記既存の排水立て管路の床スラブの貫通口に、旋回羽根を内蔵するとともに側部に複数の側部接続口が形成された上部接続管及びその下側の下部接続管を有する集合継手の下部接続管を装着すると共に前記集合継手に新設の排水立て管を接続して新設の排水立て管路を設置する工程と、
前記集合継手の上部接続管に排水横枝管を接続する工程と、
前記通気立て管路と前記集合継手の前記側部接続口とを可撓性の通気横枝管により接続する工程と、
を備えたことを特徴とする排水システムの改修方法。 - 前記新設の排水立て管路の下端部に脚部継手を接続する工程を更に備え、
前記脚部継手の下流側端部の口径は上流側端部の口径より大きく形成されている請求項1に記載された排水システムの改修方法。 - 前記通気立て管路と前記集合継手との接続は前記床スラブを備えた複数の階または各階で行われる請求項1または2に記載された排水システムの改修方法。
- 建物の床スラブを貫通して設置された通気立て管路及び新設の排水立て管路を備えた排水システムであって、
側部に複数の側部接続口が形成されるとともに旋回羽根を内蔵し拡径された上部接続管と、既設の排水立て管路が撤去された床スラブの貫通口に装着されていて前記上部接続管より縮径された下部接続管と、を備えた集合継手と、
前記集合継手の上部接続口及び下部接続口に接続された新設の排水立て管と、
前記集合継手の上部接続管に接続されていて排水を排出する排水横枝管と、
前記通気立て管路と前記集合継手の上部接続管の前記側部接続口とを接続する可撓性の通気横枝管と、
前記排水立て管路の下端部に接続されていて、上流側端部の口径より下流側端部の口径の方が大きい脚部継手と、
を備えたことを特徴とする排水システム。
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