JP5483924B2 - 排水管継手及びこの排水管継手を用いた排水構造 - Google Patents
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すなわち、この集合継手は、旋回羽根を備えているので、立管を介して上層階から胴部に流れ込んだ排水及び横枝管接続部を介して胴部に流れ込んだ排水を旋回羽根で受けて旋回流として、排水立管路内に空気芯を常に生じさせることができる。
また、上記集合継手は、旋回羽根が横枝管より下側にあるため、横枝管から流れ込んだ排水が直接旋回羽根に当たり、立管を流れる排水の旋回流を阻害して跳ね上がりが生じるおそれがあるとともに、継手コストが高い上、重量が重く施工性が悪いという問題がある。
すなわち、上記排水配管装置によれば、上部から流下してくる排水は、大量で高速である場合には、突起部以外の部分はそのまま落下するが、立管の管壁に沿って流下し突起部に衝突する排水は、突起部の傾斜面を流下し、その中間から傾斜面を離れて対面の壁面に衝突し、突起部以外の流下水の速度を低下させて、流下水全体の流下速度が減速されるとともに、横枝管開口部は立管上部からの流下水水膜により閉鎖されることが避けられるため横枝管内部の圧力変動を大きく抑制できるとされている。
本発明の排水管継手は、旋回羽根の上端が横管路接続部に接続される横枝管の管底より上方に位置する必要がある、その理由は、旋回羽根の上端が横枝管の管底より横管路接続口の管底より下方に位置すると、横枝管からの排水の流入が多い場合、横枝管からの排水が旋回羽根によって跳ねあがり、立管路内を閉塞してしまうためである。
なお、横枝管の管底と旋回羽根の上端との高さの差は、特に限定されないが、最低50mm以上が好ましい。すなわち、50mmを下回ると適正な大きさ(水平投影面積)の旋回羽根を付与しようとすると、旋回羽根の下端が横枝管の管底から大幅に下方まで設置されることになり、横枝管からの排水が旋回羽根によって跳ね上がり、立管路内を閉塞してしまうおそれがある。
すなわち、旋回羽根の下端が横枝管の管底より上方にあると、旋回羽根の下端と、旋回羽根の上端との高さの差が小さく、結果として旋回羽根の傾斜角(立管路の中心軸に対する)がきつくなってしまう(旋回羽根が寝て流下排水を受けやすくなる)。しかし、傾斜角がきつくなると、同じ水平投影面積の旋回羽根を設置した場合でも、緩い角度で設置された旋回羽根よりも旋回羽根そのものの面積は小さくなり、十分な旋回流を生じさせるのに、旋回羽根を筒状胴部内に大きく張り出す面積を大きなもの(水平投影面積が大きなもの)にせざるを得ない。一方、旋回羽根を筒状胴部内に大きく張り出す面積を大きなものすると、排水とともに落下する固形物の雑物が引っかったりして、立管路内を閉塞してしまうおそれがある。
また、旋回羽根の下端が横枝管の管底より大幅に下方に配置されると、横枝管からの排水が旋回羽根によって跳ね上がり、立管路内を閉塞してしまうおそれがある。
上記より、横枝管の管底から旋回羽根の下端までの垂直距離は、特に限定されないが、
10〜80mmが好ましい。
すなわち、旋回羽根の投影面積が立管の内部横断面積に対して5%を下回ると、旋回羽根によって上方から流下する排水を十分な旋回流とすることができないおそれがあり、30%を超えると排水に混ざって落下する固形物がひっかかり立管路が閉塞するおそれがある。
すなわち、旋回羽根の傾斜角が20°を下回ると、旋回羽根によって上方から流下する排水を十分な旋回流とすることができないおそれがあり、50°を超えると排水に混ざって落下する固形物がひっかかり立管路が閉塞するおそれがある。
そして、本発明にかかる排水構造は、上記排水管継手が立管と横枝管の接続部に、筒状胴部が排水立管路を構成するように組み込まれているので、排水立管路の配管スペースを小さくできて建築物の居住空間を広くすることができる。
図1〜図5は、本発明にかかる排水管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
継手本体2aは、筒状胴部21と、上部立管接続部22と、下部立管接続部23と、を備えている。
旋回羽根24は、図2に示すように、その上端24aが横枝管接続部3aに接続される横枝管(図2では記載されていない)の鎖線で示す管底位置Lより80cm上方に位置し、その下端24bが上記管底位置Lより40cm下方に位置するように設けられている。
また、旋回羽根24は、筒状胴部21の管軸に対して20°〜50°の角度に傾斜して設けられているとともに、旋回羽根24の投影面積が立管7aの内部横断面積に対して5%〜30%の大きさをしている。
さらに、旋回羽根24は、図6に示すように、筒状胴部21の中心O(立管7aの中心と一致)から旋回羽根24の投影形状の弦への垂線L1と、横枝管(図6では記載されていない)の中心軸に平行な線分L2とがなす角度θが、線分L2から反時計回りに45°となる位置に設けられている。
受口部23aは、図7に示すように、その下端が、シール用のOリング状をしたゴムパッキン4bの上部が嵌り込むように拡径している。
横枝管接続口32は、後で詳述する横枝管用のリップ部52a付きセルフシール型ゴム輪パッキン(以下、「横枝管用ゴム輪パッキン」と記す)5aの嵌合部51を収容可能となっているとともに、横枝管用ゴム輪パッキン4aの離脱防止用のパッキン固定キャップ5bがボルト止めされるねじ孔32aを備えたフランジ32bを備えている。
すなわち、この排水構造Aは、まず、図8に示すように、排水管継手1aの上部立管接続部22にゴム輪パッキン4aを嵌合装着させておく。ゴム輪パッキン4aの排水管継手1aへの装着は、施工現場で行ってもよいが、通常、工場出荷前に装着しておくことが好ましい。
すなわち、図7に示すように、施工が完了した下の階から施工階のスラブ9の貫通孔91を貫通してスラブ9上に延出した下側の階の立管7aの上端部に、締め付けリング41及びOリング状のゴムパッキン4bを嵌合した状態で、下部立管接続部23の受口部23a内に立管7aの上端部が嵌り込むように、排水管継手1aをスラブ9の上方からセットする。
このねじ込みによって、ゴムパッキン4bが締め付けリング41とフランジ23cとによって厚み方向に圧縮され、立管7aの外周面を締め付け、立管7aの上端を継手本体2aの下端を水密に固定する。
そののち、立管7aの下端を上部立管接続部22の内部を臨むように配置し、略垂直に立管7aを押し下げることによって、立管7aの下端部をゴム輪パッキン4aに嵌合させて、立管7aの下端を上部立管接続部22に水密に接続する。
すなわち、立管7aの下端部がゴム輪パッキン4a内に嵌合されることによって、リップ部41が立管7aの外周面に密着してセルフシールされ、ワンタッチで上部立管接続部22に接続される。
また、貫通孔91は、上記のように排水管継手1aの施工が完了すると、モルタル92が充填されて封止される。
横枝管接続部3aへの横枝管7bの接続に当たっては、まず、図7及び図9に示すように、横枝管接続部3aの横枝管接続口32に、接続される横枝管7bに適合する以下のような横枝管用ゴム輪パッキン5a及びパッキン固定キャップ5bを装着する。
嵌合部51は、外周面が横枝管接続口32に内嵌される大きさをしていて、横枝管嵌合孔51aが穿設されている。
リップ形成筒部52は、上記横枝管嵌合孔51aと同心で嵌合部51と逆方向に延出する、接続される横枝管7bの外径より少し大きな内径をしていて、リップ部52aを備えている。
パッキン固定キャップ5bは、フランジ部54と、キャップ本体部55とを備えている。
キャップ本体部55は、リップ形成筒部52が内嵌される筒状になっていて、接続される横枝管7bの外径より少し大きな内径をした横枝管挿通孔55aを備えている。
また、横枝管7bの他端には、図示していないが、トイレ、浴槽、キッチン、洗面所等の機器に接続される。
なお、呼び径80A用の横枝管用ゴム輪パッキンは、装着状態で横枝管嵌合孔及びリップ形成筒部の中心軸が横枝管接続口32の中心軸と一致するようになっていて、呼び径65A用の横枝管用ゴム輪パッキンは、装着状態で横枝管嵌合孔及びリップ形成筒部の中心軸が横枝管接続口の中心軸より鉛直下方にずれた位置となるように偏芯されていて、横枝管を接続した状態で横枝管の管底71が上記50Aの横枝管7bの管底71と一致するようになっている。したがって、いずれの管径の横枝管を接続しても、横枝管7の管底71は、旋回羽根24の上端24aより下方で、旋回羽根24の下端24bより上方に位置するようになる。
したがって、高層マンション等の高層建築物においても、常に排水立管路P内に空気芯が形成され、高い排水能力の排水立管路Pとすることができる。
また、横枝管接続部3aが筒状胴部21側に向かって下方に湾曲する曲がり部31を備えているので、横枝管接続部3aから継手本体2a側に流入する排水は、曲がり部31によって下方に導かれるとともに、旋回羽根24の上端24aが横枝管7bの管底71より上方に配置されているので、横枝管7bからの排水の流入が多い場合でも、横枝管7bからの排水が旋回羽根24によって跳ね上がり、旋回流を乱して排水立管路P内を閉塞してしまうという問題がない。
さらに、横枝管接続部3aが筒状胴部21側に向かって下方に湾曲する曲がり部31を備えているので、上方の立管7aから多量の排水が流下してきても、排水が横枝管7b側に逆流することがない。
図10に示すように、この排水管継手1bは、継手本体2bの筒状胴部21の横枝管接続部3aより下側の部分がスラブの厚みより長くなっている以外は、上記第1の実施の形態の管継手1aと同様になっている。
図11に示すように、この排水管継手1cは、横枝管接続部3bが上記管継手1bの横枝管接続部3aの横枝管接続口32に代えて、上部立管接続部22と同じゴム輪ワンタッチ接続構造の横枝管接続口33が設けられている以外は、上記第2の実施の形態の管継手1bと同様になっている。
図12に示すように、この排水管継手1dは、継手本体2cの下部立管接続部25が差口構造となっている以外は、上記第1の実施の形態の管継手1aと同様になっている。
図13に示すように、この排水管継手1eは、継手本体2dの筒状胴部21の横枝管接続部3aより下側の部分がスラブ9の厚みより長くなっているとともに、下部立管接続部25が差口構造となっている以外は、上記第1の実施の形態の管継手1aと同様になっている。
図14に示すように、立管7aとして100Aの塩化ビニル樹脂管(DV)と、横主管7cとして150Aの塩化ビニル樹脂管(DV)と、横主管7cと最下階の立管7aとを接続する100A/150Aの特殊脚部継手7dと、旋回羽根24が表1に示す水平投影面積、傾斜角度、横枝管の管底から上端位置、横枝管の管底からの下端位置である上記第1の実施の形態の管継手1aと同じ構成の管継手とを用いて、マンション17階相当の実験排水立管路Pを形成した。
そして、この実験排水立管路Pの17階相当部分から2.5L/Sで排水を流下させた場合、16階相当部分から2.0L/Sで排水を流下させた場合のそれぞれについて、2階相当の排水管継手1aの継手本体2a内での管内最大発生負圧を排水能力試験法(SHASE-218)に基づいて測定するとともに、1L/Sの排水とともに各雑物を最上階から投入し、雑物のつまりの有無を調べ、その結果を表1に併せて示した。
上記実施例の管継手に代えて、図15に示すように、旋回羽根を備えていない以外は上記実施例と同様のDV―LTタイプの管継手100を用いた以外は実施例と同様にして排水立管路Pを形成し、管内最大発生負圧及び雑物のつまりの有無を調べ、その結果を表1に併せて示した。
管継手として、上記実施例1の排水管継手1aに代えて、図16に示すように、横枝管接続部220に曲がり部を設けず、筒状胴部210の内壁面に、表1に示す水平投影面積、傾斜角度、横枝管の管底から上端位置、横枝管の管底からの下端位置である旋回羽根(図示せず)を備えたDV−DTタイプの管継手200を用いて排水立管路Pを形成し、管内最大発生負圧及び雑物のつまりの有無を調べ、その結果を表1に併せて示した。
(比較例3)
管継手として、上記実施例1の排水管継手1aに代えて、図16に示すように、横枝管接続部220に曲がり部を設けず、筒状胴部210の内壁面に、表1に示す水平投影面積、傾斜角度、横枝管の管底から上端位置、横枝管の管底からの下端位置である旋回羽根(図示せず)を備えたDV−DTタイプの管継手200を用いて排水立管路Pを形成し、管内最大発生負圧及び雑物のつまりの有無を調べ、その結果を表1に併せて示した。
2a,2b,2c,2d 継手本体
21 筒状胴部
22 上部立管接続部
31 曲がり部
32 横枝管接続部
24 旋回羽根
24a 旋回羽根24の上端
24b 旋回羽根24の下端
7a 立管
7b 横枝管
71 横枝管7aの管底
A 排水構造
Claims (4)
- 接続される立管と略同じ内径をした筒状胴部を有し、筒状胴部上端に上部立管接続部を備える継手本体と、
横枝管接続口およびこの横枝管接続口から前記筒状胴部の管軸方向下方にのみ湾曲して前記筒状胴部の側壁面に連設された曲がり部を有する1つの横枝管接続部と、
を備える排水管継手において、
前記筒状胴部は、前記横枝管接続部の横枝管接続口側から筒状胴部方向を見て、前記横枝管接続口の中心軸より一側方の内壁面にのみ沿うように1つの旋回羽根を備え、この旋回羽根の上面上端が横枝管接続部に接続される横枝管の管底より上方に位置し、旋回羽根の上面下端が接続される横枝管の管底より下方に位置することを特徴とする排水管継手。 - 旋回羽根の、筒状胴部の管軸に直交する面への水平投影面積が、接続される立管の内部横断面積に対して5%〜30%の大きさである請求項1に記載の排水管継手。
- 旋回羽根の、筒状胴部の管軸に対する傾斜角が20°〜50°である請求項1または請求項2に記載の排水管継手。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の排水管継手が立管と横枝管の接続部に、筒状胴部が排水立管路を構成するように組み込まれていることを特徴とする排水構造。
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