JP2012192334A - 触媒微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料微粒子の粒径変化を防ぎ、且つ、製造効率の高い触媒微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】パラジウムを含む中心粒子と、白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層とを備える触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム含有粒子を準備する工程、銅イオン溶液中において、前記パラジウム含有粒子に、銅被覆初期からパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、前記パラジウム含有粒子の表面に銅単原子層を被覆する工程、及び、前記銅単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする、触媒微粒子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、原料微粒子の粒径変化を防ぎ、且つ、製造効率の高い触媒微粒子の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電極触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、現在の最新技術の電極触媒に必要な量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現可能にするには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池カソード及びアノードに含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
白金とより安価な金属との組み合わせの研究の1つとして、白金の単原子層をパラジウムナノ粒子上に堆積させる研究がある。このような研究を応用した技術として、特許文献1には、導電性支持体に結合した金被覆金属粒子を含み、当該金被覆金属粒子が、金又は金合金製の、原子的に薄い外殻によって少なくとも部分的に封入された、貴金属含有コアを含むことを特徴とする、酸素還元電極触媒が開示されている。
特表2009−510705号公報
引用文献1の明細書の段落[0182]〜[0186]には、自然レドックス置換反応についての記載がある。しかし、本発明者らが検討した結果、自然レドックス置換法のうち、特に銅アンダーポテンシャル析出法によりパラジウム粒子上へ銅を被覆する際に、パラジウム粒子の粒径が変化し、得られる銅被覆パラジウム粒子の構造が不揃いとなることが明らかとなった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、原料微粒子の粒径変化を防ぎ、且つ、製造効率の高い触媒微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の触媒微粒子の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子と、白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層とを備える触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム含有粒子を準備する工程、銅イオン溶液中において、前記パラジウム含有粒子に、銅被覆初期からパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、前記パラジウム含有粒子の表面に銅単原子層を被覆する工程、及び、前記銅単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする。
本発明においては、前記銅被覆初期とは、前記電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が0.5〜3.2nmとなる期間であってもよい。
本発明においては、前記銅被覆初期とは、前記パラジウム含有粒子と前記銅イオン溶液とが接触した時から0〜1時間経過した期間であってもよい。
本発明においては、前記銅単原子層被覆工程の前に、電解液中において、溶出初期から前記パラジウム含有粒子にパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、前記パラジウム含有粒子表面のパラジウム酸化物を溶出させる工程を有していてもよい。
本発明においては、前記パラジウム含有粒子表面のパラジウム酸化物を溶出させる工程において、前記電解液中に窒素をバブリングさせることが好ましい。
本発明においては、前記溶出初期とは、前記電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が0.5〜3.2nmとなる期間であってもよい。
本発明においては、前記溶出初期とは、前記パラジウム含有粒子と前記電解液とが接触した時から0〜1時間経過した期間であってもよい。
本発明によれば、パラジウム含有粒子に銅を被覆する初期の段階から、パラジウム含有粒子にパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、パラジウム含有粒子のオストワルト熟成を抑制でき、且つ、続く銅単原子層と最外層の置換において、最外層に含まれる白金の使用量を従来よりも減らすことができる。
パラジウム合金粒子の表面の酸化パラジウムを除去した後に、パラジウム合金粒子にCu−UPD法を施す方法の典型例の電位制御を示したグラフである。 酸化物除去を行う装置を示した斜視模式図である。 実施例1中のパラジウム粒子又は触媒微粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。 比較例1中のパラジウム粒子又は触媒微粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。
本発明の触媒微粒子の製造方法は、パラジウムを含む中心粒子と、白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層とを備える触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム含有粒子を準備する工程、銅イオン溶液中において、前記パラジウム含有粒子に、銅被覆初期からパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、前記パラジウム含有粒子の表面に銅単原子層を被覆する工程、及び、前記銅単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする。
本発明において、パラジウム含有粒子に電位を印加するとは、パラジウム含有粒子に電位を付与することを指す。ここでいう電位には、一定の値の電位の他にも、経時的に変化する電位も含まれる。したがって、本発明における電位の印加には、所定の範囲の電位を掃引することも含まれる。
いわゆるコア−シェル構造を有する電極触媒の製造方法として、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu Under potential deposition method;以下、Cu−UPDと称する場合がある)を応用した置換メッキを用いる方法が従来から知られている。Cu−UPDは、中心粒子に銅を被覆する工程において、各中心粒子への銅析出量を均一にすることができる。
Cu−UPDによりパラジウム粒子表面に銅を被覆させる従来技術においては、通常、Cu−UPDに用いる電解液中における開回路電圧(Open circuit voltage:OCV)は、パラジウムの標準電極電位である0.915V(vsSHE)に近い電位である。また、当該電解液中においては、パラジウム粒子同士の電気的導通がとれ、且つ、パラジウム粒子間において、電解液を介したパラジウムイオンの授受がされるのが通常である。その結果、より粒径の小さいパラジウム粒子の表面からパラジウムイオンが溶け出し、溶け出した当該パラジウムイオンが、より粒径の大きいパラジウム粒子の表面で析出する、いわゆるオストワルト熟成が起こり、1nm以下の粒径を有する超微粒子化したパラジウム粒子が多数生じる。
このように、超微粒子化したパラジウム粒子が多数生じると、白金置換メッキ時において、銅が溶解して白金が析出する望みの反応以外に、超微粒子化したパラジウム粒子の表面からパラジウムイオンがさらに溶出し、その代わりに白金が析出する現象が起こる。その結果、従来技術においては、白金置換メッキ時において、想定された白金使用量をはるかに超えた余分な白金が必要となり、コストがかさみ、コア−シェル構造を採用する利点が小さいと考えられる。
本発明者らは、パラジウム含有粒子に白金を含む最外層を被覆する触媒微粒子の製造工程において、パラジウム含有粒子を電気化学反応に供する際に、当該電気化学反応に使用する電解液にパラジウム含有粒子を浸漬した直後に電位を制御することにより、パラジウム含有粒子のオストワルト熟成を抑制し、且つ、得られる触媒微粒子の粒径分布の変動を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
従来のCu−UPDにおいては、パラジウム含有粒子に銅を被覆し始めるまでは、電位の制御は特に行われていなかった。電位を制御する手間やコストも必要であるため、パラジウム含有粒子に銅を被覆し始めるまでの電位の制御には利点は特に無いと考えられていた。
しかし、本発明者らが検討した結果、後述する実施例において示すように、パラジウム含有粒子に銅を被覆し始めてからすぐに所定の電位未満の電位を印加することにより、当初の予想をはるかに超え、得られる触媒微粒子の粒径分布の変動を抑え、且つ、白金の使用量を低減できることが見出された。
本発明は、(1)パラジウム含有粒子を準備する工程、(2)銅被覆初期から電位を印加してパラジウム含有粒子に銅単原子層を被覆する工程、及び、(3)銅単原子層を最外層に置換する工程を有する。本発明は、必ずしも上記3工程のみに限定されることはなく、上記3工程以外にも、例えば、後述するような乾燥・洗浄工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(3)並びにその他の工程について、順に説明する。
1.パラジウム含有粒子を準備する工程
本発明に使用されるパラジウム含有粒子は、予め調製したものを用いることもできるし、市販品を用いることもできる。なお、本発明でいうパラジウム含有粒子とは、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子の総称である。
パラジウム合金粒子に含まれるパラジウム以外の金属成分としては、具体的には、イリジウム、ロジウム及び金等が挙げられる。
パラジウム含有粒子の平均粒径は、後述する触媒微粒子の平均粒径以下であれば、特に限定されない。なお、パラジウム含有粒子1つ当たりのコストに対する、パラジウム含有粒子の表面積の割合が高いという観点から、パラジウム含有粒子の平均粒径は、好ましくは4〜40nm、特に好ましくは5〜10nmである。
なお、本発明に使用される粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000倍又は1,000,000倍の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による平均粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
パラジウム含有粒子は担体に担持されていてもよい。特に、本発明により得られる触媒微粒子を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与するという観点から、担体が導電性材料であることが好ましい。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
パラジウム含有粒子を準備する工程の前には、パラジウム含有粒子の担体への担持が行われてもよい。パラジウム含有粒子の担体への担持方法には、従来から用いられている方法を採用することができる。パラジウム合金粒子を使用する場合には、合金の合成とパラジウム合金粒子の担体への担持が同時に行われてもよい。
2.銅被覆初期から電位を印加してパラジウム含有粒子に銅単原子層を被覆する工程
本工程は、銅イオン溶液中において、パラジウム含有粒子に、銅被覆初期からパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、パラジウム含有粒子の表面に銅単原子層を被覆する工程である。
本発明において、銅被覆初期とは、パラジウム含有粒子と銅イオン溶液とが接触した時、具体的には、パラジウム含有粒子と銅イオン溶液とが接触した瞬間から一定の期間のことをいう。複数のパラジウム含有粒子を扱う場合には、全てのパラジウム含有粒子が銅イオン溶液に接触し終えた瞬間から一定の期間を銅被覆初期とする。なお、後述するように、パラジウム含有粒子を含むペーストを塗工した作用極を、電気化学セル中の銅イオン溶液に浸漬させる方法を採用する場合には、銅被覆初期とは、当該作用極を当該銅イオン溶液中に浸漬させた瞬間から一定の期間のことをいう。
銅被覆初期において、パラジウム含有粒子が銅イオン溶液と接触した瞬間から、パラジウム含有粒子の表面よりパラジウムイオンが溶出し、オストワルト熟成が始まる。したがって、銅被覆初期から、パラジウム含有粒子に、パラジウムの標準電極電位である0.915V(vsSHE)未満であり、且つできるだけ低い電位を印加するように電位を制御することにより、パラジウムの溶出速度を遅くし、オストワルト熟成を抑えることができる。なお、本来であれば、パラジウム含有粒子と銅イオン溶液とが接触した瞬間に上述した電位の制御を行うのが理想である。しかし、そのような制御は実用上困難であるため、実際は、パラジウム含有粒子と銅イオン溶液とが接触した瞬間から所定の期間内に電位の制御を始めればよいものとする。また、銅被覆初期以降は、パラジウムの標準電極電位未満の電位が常に維持されるように、電位の制御を行うことが好ましい。
本発明において銅被覆初期とは、電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が0.5〜3.2nmとなる期間であってもよい。得られる触媒微粒子の標準偏差が当該範囲内であれば、触媒微粒子の粒径分布が十分に狭く、且つ、白金の使用量を従来よりも減らすことができる。
本発明において銅被覆初期とは、電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が1.0〜2.5nmとなる期間であってもよく、1.5〜2.0nmとなる期間であってもよい。
本発明において銅被覆初期とは、パラジウム含有粒子と銅イオン溶液とが接触した時から0〜1時間経過した期間であってもよい。この期間内に電位を制御し始めることにより、パラジウム含有粒子の粒径分布の変動を抑制できる。
本発明においては、銅被覆初期とは、パラジウム含有粒子と銅イオン溶液とが接触した時から0〜0.5時間経過した期間であってもよく、0〜0.1時間経過した期間であってもよい。
本工程に使用できる銅イオン溶液としては、Cu−UPDに使用できる溶液であれば特に限定されない。銅イオン溶液は、通常、溶媒に銅塩を所定量溶かしたものから構成されるが、特にこの構成に限定されず、銅イオンの一部又は全部が液中に解離して存在している溶液であればよい。
銅イオン溶液に用いられる溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられるが、Cu−UPDの進行を妨げないという観点から、水が好ましい。
銅イオン溶液に用いられる銅塩としては、具体的には、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、亜塩素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅等が挙げられる。
銅イオン溶液には、上記溶媒及び銅塩の他にも、例えば、酸等を含んでいてもよい。銅イオン溶液に添加できる酸としては、具体的には、硫酸、硝酸、塩酸、亜塩素酸、過塩素酸、シュウ酸等が挙げられる。なお、銅イオン溶液中の対アニオンと、酸中の対アニオンとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下、パラジウム合金粒子にCu−UPD法を施す方法の典型例について説明する。
まず、導電性炭素材料に担持されたパラジウム合金(以下、Pd/Cと総称する)粉末を水に分散させ、ろ過して得たPd/Cペーストを電気化学セルの作用極に塗工する。なお、Pd/Cペーストは、ナフィオン(商品名)等の電解質をバインダーにして、作用極上に接着してもよい。Pd/Cペーストには、適宜、水やアルコール等の溶媒を加えてもよい。作用極としては、白金メッシュ、白金板、グラッシーカーボン又はカーボン板を用いることができる。
次に、電気化学セルに銅イオン溶液を加え、当該銅イオン溶液中に上記作用極、参照極及び対極を浸し、Cu−UPD法により、パラジウム合金粒子の表面に銅の単原子層を析出させる。なお、作用極、参照極及び対極を硫酸に浸してから、1時間以内に電位を0.5〜0.7Vの範囲内か、又は0.5V以下の電位に制御することが好ましい。Cu−UPD法の具体的な条件の一例を下記に示す。
・銅イオン溶液:0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液(窒素をバブリングさせる)
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:0.2〜0.01mV/秒
・電位:0.7V(vsRHE)から0.4V(vsRHE)まで掃引した後、0.4V(vsRHE)で電位を固定する。
・電位固定時間:30〜60分間
なお、電位は、所定の電位の範囲を所定の回数分往復して掃引してもよい。
本発明においては、銅単原子層被覆工程の前に、パラジウム含有粒子の表面からパラジウム酸化物を除去する工程(以下、酸化物除去工程と称する場合がある)を設けてもよい。パラジウム含有粒子の表面から不純物であるパラジウム酸化物を除くことにより、パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率をより向上させることができる。酸化物除去の具体的な方法は、電解液中において、溶出初期からパラジウム含有粒子にパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより行う。
本発明において、溶出初期とは、パラジウム含有粒子と電解液とが接触した時、具体的には、パラジウム含有粒子と電解液とが接触した瞬間から一定の期間のことをいう。複数のパラジウム含有粒子を扱う場合には、全てのパラジウム含有粒子が電解液に接触し終えた瞬間から一定の期間を溶出初期とする。なお、後述するように、パラジウム含有粒子を含むペーストを塗工した作用極を、電気化学セル中の電解液に浸漬させる方法を採用する場合には、溶出初期とは、当該作用極を当該電解液中に浸漬させた瞬間から一定の期間のことをいう。
溶出初期において、パラジウム含有粒子が電解液と接触した瞬間から、パラジウム含有粒子の表面よりパラジウムイオンが溶出し、オストワルト熟成が始まる。したがって、溶出初期から、パラジウム含有粒子に、パラジウムの標準電極電位である0.915V(vsSHE)未満であり、且つできるだけ低い電位を印加するように電位を制御することにより、パラジウムの溶出速度を遅くし、オストワルト熟成を抑えることができる。なお、本来であれば、パラジウム含有粒子と電解液とが接触した瞬間に上述した電位の制御を行うのが理想である。しかし、そのような制御は実用上困難であるため、実際は、パラジウム含有粒子と電解液とが接触した瞬間から所定の期間内に電位の制御を始めればよいものとする。また、溶出初期以降は、パラジウムの標準電極電位未満の電位が常に維持されるように、電位の制御を行うことが好ましい。
本発明において溶出初期とは、電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が0.5〜3.2nmとなる期間であってもよい。得られる触媒微粒子の標準偏差が当該範囲内であれば、触媒微粒子の粒径分布が十分に狭く、且つ、白金の使用量を従来よりも減らすことができる。
本発明において溶出初期とは、電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が1.0〜2.5nmとなる期間であってもよく、1.5〜2.0nmとなる期間であってもよい。
本発明において溶出初期とは、パラジウム含有粒子と電解液とが接触した時から0〜1時間経過した期間であってもよい。この期間内に電位を制御し始めることにより、パラジウム含有粒子の粒径分布の変動を抑制できる。
本発明においては、溶出初期とは、パラジウム含有粒子と電解液とが接触した時から0〜0.5時間経過した期間であってもよく、0〜0.1時間経過した期間であってもよい。
酸化物除去工程に使用できる電解液としては、当該電解液中において適宜電位を掃引することにより酸化パラジウムを溶出することができる電解液であれば、特に限定されない。
電解液の具体例としては、酸が挙げられる。酸化物除去工程に使用できる酸としては、具体的には、上述した銅イオン溶液に添加できる酸と同様の酸が使用できる。
なお、酸化物除去工程と、上述したCu−UPDとを、同じ電気化学セル内で行う場合には、酸化物除去工程に使用した電解液に、銅イオン溶液を加えてCu−UPDに用いてもよい。例えば、酸化物除去工程の電解液として硫酸を使用した場合には、使用後の硫酸に硫酸銅水溶液を加えて、Cu−UPDを行ってもよい。なお、電解液中の対アニオンと、銅イオン溶液中の対アニオンとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
電解液中の酸素を可能な限り除去し、酸化物除去を速やかに進行させることができるという点から、電解液中には、窒素をバブリングさせることが好ましい。
酸化物除去を速やかに進行させるという観点から、一定の電位の間隔において、電位を複数回往復させて掃引することが好ましい。掃引する電位の間隔は、0.1〜0.8V(vsRHE)であることが好ましく、0.2〜0.6V(vsRHE)であることがより好ましく、0.3〜0.4V(vsRHE)であることがさらに好ましい。
以下、パラジウム合金粒子の表面の酸化パラジウムを除去した後に、パラジウム合金粒子にCu−UPD法を施す方法の典型例について説明する。図1は、本典型例の電位制御を示したグラフである。図1は、縦軸に電位(V)を、横軸に時間を取ったグラフである。なお、横軸の時間は、酸に後述する作用極を浸漬させた直後からの時間を表す。
まず、導電性炭素材料に担持されたパラジウム合金(以下、Pd/Cと総称する)粉末を水に分散させ、ろ過して得たPd/Cペーストを電気化学セルの作用極に塗工する。なお、Pd/Cペーストは、ナフィオン(商品名)等の電解質をバインダーにして、作用極上に接着してもよい。Pd/Cペーストには、適宜、水やアルコール等の溶媒を加えてもよい。作用極としては、白金メッシュ、白金板、グラッシーカーボン又はカーボン板を用いることができる。
次に、電気化学セルに酸を加え、当該酸中に上記作用極、参照極及び対極を浸し、パラジウム合金粒子の表面の酸化パラジウムを除去する。図1に示すように、酸にパラジウム合金粒子を浸漬させた直後は、0.9Vを超える場合がある。しかし、図1に示す溶出初期a中に、電位を0.9V以下に制御し始めることによって、パラジウム合金粒子のオストワルト熟成を防ぐことができる。なお、作用極、参照極及び対極を硫酸に浸してから、1時間以内に電位を0.5〜0.7Vの範囲内か、又は0.5V以下の電位に制御することが好ましい。
図1に示す時間aは、パラジウム合金粒子の表面の酸化パラジウムを除去する時間である。なお、時間aにおいては、パラジウム合金粒子中の他の成分の酸化物も同時に除去することができる。上述したように、時間aにおいては、電位を複数回往復させて掃引することが好ましい。酸化物除去の具体的な条件の一例を下記に示す。
・酸:0.05mol/L HSO(窒素をバブリングさせる)
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:0.1〜1.0mV/秒
・電位:0.9V(vsRHE)から0.1V(vsRHE)まで掃引した後、0.1〜0.5V(vsRHE)の幅で電位を繰り返し2〜50往復させて掃引する。
図1に示す時間bは、酸化物の除去を終えてから、Cu−UPDを始めるまでの時間である。
図1に示す時間cは、パラジウム合金粒子にCu−UPD法を施す時間である。本典型例においては、酸化物除去とCu−UPDを同一の電気化学セルを用いて行う。Cu−UPDに用いる銅イオン溶液は、酸化物除去に用いた硫酸に硫酸銅水溶液を加えた溶液である。Cu−UPDの具体的な条件の一例を下記に示す。
・銅イオン溶液:0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液(窒素をバブリングさせる)
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:0.2〜0.01mV/秒
・電位:0.7V(vsRHE)から0.4V(vsRHE)まで掃引した後、0.4V(vsRHE)で電位を固定する。
・電位固定時間:30〜60分間
3.銅単原子層を最外層に置換する工程
本工程において形成される最外層を構成する材料は、触媒活性が高いことが好ましい。ここでいう触媒活性とは、特に燃料電池触媒として使用した際の活性のことを指す。
この様な観点から、最外層に含まれる材料は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム及び金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属材料であることが好ましい。
これらの金属材料の中でも、最外層は白金を含むことが特に好ましい。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値である。したがって、パラジウム含有粒子に、白金を含む最外層を被覆させることにより、パラジウム含有粒子と最外層の間で格子不整合が生じず、白金によるパラジウム含有粒子の被覆が十分に行われる。
パラジウム含有粒子の溶出をより抑制できるという観点から、パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率が、0.8〜1であることが好ましい。
仮に、パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率が、0.8未満であるとすると、電気化学反応においてパラジウム含有粒子が溶出し、その結果、触媒微粒子が劣化するおそれがある。
なお、ここでいう「パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率」とは、パラジウム含有粒子の全表面積を1とした時の、最外層によって被覆されているパラジウム含有粒子の面積の割合のことである。当該被覆率を算出する方法の一例を以下説明する。まず、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)等により、触媒微粒子中の白金含有量(A)を測定する。一方で、透過型電子顕微鏡(TEM)等により、触媒微粒子の平均粒径を測定する。測定した平均粒径から、その粒径の粒子が表面に有する原子の数を推定し、粒子表面の1原子層が白金に置き換わった場合の白金含有量(B)を推定する。白金含有量(A)を白金含有量(B)で除した値が、「パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率」となる。
本工程により得られる触媒微粒子においては、最外層中の単原子層の割合が多いことが好ましい。このような触媒微粒子は、2原子層以上の最外層を有する触媒微粒子と比較して、最外層における触媒性能が極めて高いという利点、及び、最外層の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
なお、本工程により得られる触媒微粒子の平均粒径は、4〜40nm、好ましくは5〜10nmである。
以下、銅被覆後のパラジウム合金粒子に対して、白金を置換メッキする方法の具体例について説明する。
Cu−UPDによる銅被覆が終了した後、速やかに作用極を白金イオン溶液に浸漬させ、イオン化傾向の違いを利用して銅と白金とを置換メッキする。置換メッキは、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましく、不活性ガス雰囲気に置換したグローブボックス等を用いることがより好ましい。なお、銅イオン溶液から白金イオン溶液へ、不活性ガス雰囲気下で作用極を速やかに移動することにより、被覆後の銅の酸化を防ぐことができる。
白金イオン溶液は特に限定されないが、例えば、0.005M KPtCl溶液が使用できる。白金イオン溶液は十分に攪拌し、当該溶液中には予め窒素をバブリングさせることが好ましい。置換メッキ時間は、90分以上確保することが好ましい。
上記置換メッキによって、パラジウム合金粒子表面に白金の単原子層が析出した触媒微粒子が得られる。
4.その他の工程
銅原子層を最外層に置換する工程の後には、触媒微粒子のろ過・洗浄、及び乾燥が行われてもよい。
触媒微粒子のろ過・洗浄は、製造された触媒微粒子の被覆構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該ろ過・洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引ろ過をする方法が挙げられる。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、室温下の真空乾燥を0.5〜2時間行った後、不活性ガス雰囲気下、60〜80℃の温度条件で1〜4時間乾燥させるという方法が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.カーボン担持触媒微粒子の合成
[実施例1]
1−1.パラジウム粒子表面の酸化物除去
まず、Pd20%担持カーボン(BASF社製)を、500℃の温度条件下で2時間熱処理し、カーボン担持パラジウム粒子を準備した。
次に、パラジウム粒子表面の酸化物を除去した。具体的には、まず、カーボン担持パラジウム粒子0.5g、及びナフィオン(商品名)0.2gを水に分散させ、ろ過して得た合剤ペーストを電極に塗工した。
図2は、酸化物除去を行う装置を示した斜視模式図である。ガラスセル21に、酸22を加え、さらにカーボン担持パラジウム粒子の合剤ペースト23が塗布された電極24をセットした。ガラスセル21中には、電極24の他にも、対極26、参照極27が酸22に十分に浸かるように配置されており、これら3つの電極は、電気化学アナライザーと電気的に接続されている。また、窒素導入管28が酸22に浸かるように配置されており、セル外部に設置された窒素供給源(図示せず)から一定時間窒素が酸22に室温下でバブリングされ、酸22中に窒素が飽和している状態とした。円29は窒素の気泡を示す。
装置の詳細は下記の通りである。
・酸:0.05mol/L HSO
・電極:カーボン板又は白金板
・対極:白金メッシュ
・参照極:銀−塩化銀電極(サイプレス社製)
・電気化学アナライザー:HZ−5000(北斗電工製)
なお、作用極、参照極及び対極を硫酸に浸してから5分後に、電位を0.5V以下に制御した。0.5mV/秒の掃引速度で0.1V(vsRHE)まで掃引した後、0.1〜0.5V(vsRHE)の幅で電位を繰り返し4往復掃引し、パラジウム粒子表面の酸化物を除去した。酸化物除去が終了した後は、電気化学セル内の電位が0.5Vを保つように電位を制御した。
1−2.銅単原子層の形成
次に、Cu−UPD法によりパラジウム粒子上に銅単原子層を被覆した。図2に示した装置をそのまま用いて、Cu−UPDを行った。具体的には、まず、上記電気化学セル内に予め窒素をバブリングさせた0.05mol/L CuSOを、硫酸と同量加えた。次に、当該混合溶液中に、0.08mV/秒の掃引速度で、0.5V(vsRHE)から0.7V(vsRHE)まで電位を掃引した後、0.7V(vsRHE)から0.4V(vsRHE)まで電位を掃引し、さらに0.4V(vsRHE)で電位を約30分間固定し、パラジウム粒子の表面に銅の単原子層を析出させた。なお、酸化物の除去を終えてからCu−UPDを始めるまでの時間は、10分程度とした。
1−3.白金単原子層の形成
まず、0.1mol/L HClO 500mL中にKPtClを1g溶解させ、白金イオン溶液を調製した。白金イオン溶液は十分に攪拌し、予め当該溶液中に窒素をバブリングさせた。
上記「1−2.銅単原子層の形成」の項に記載した方法で銅単原子層をパラジウム粒子表面に析出させた後、合剤ペーストが塗布された電極を、窒素雰囲気下で速やかに白金イオン溶液に浸漬させた。2時間浸漬させ、パラジウム粒子の表面に白金単原子層を析出させ、実施例1のカーボン担持触媒微粒子を得た。
[比較例1]
まず、カーボン担持パラジウム粒子(BASF社製、Pd20%担持カーボン(バルカン担体))を準備した。カーボン担持パラジウム粒子を含む合剤ペーストを電極に塗工するまでは、実施例1と同様である。
続いて、実施例1と同様の装置を用いて酸化物除去を行った。なお、作用極、参照極及び対極を硫酸に浸してから、酸化物除去を行うまでの30分間は、電位の制御は特に行わなかった。0.5mV/秒の掃引速度で、0.5〜0.1V(vsRHE)の幅で電位を繰り返し4往復掃引し、パラジウム粒子表面の酸化物を除去した。酸化物除去が終了した後の電気化学セル内の電位の制御も特に行わなかった。
次に、実施例1と同様の方法で、パラジウム粒子上に銅単原子層を被覆した。ただし、酸化物の除去を終えてからCu−UPDを始めるまでの期間は2〜3日であった。
続いて、実施例1と同様の方法でパラジウム粒子の表面に白金単原子層を析出させ、比較例1のカーボン担持触媒微粒子を得た。
2.カーボン担持触媒微粒子の評価
2−1.粒径分布の測定
実施例1及び比較例1の原料であるカーボン担持パラジウム粒子中のパラジウム粒子、並びに、実施例1及び比較例1のカーボン担持触媒微粒子中の触媒微粒子について、粒度分布計を用いて粒径分布を測定した。
図4は、比較例1中のパラジウム粒子又は触媒微粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。図4は、横軸に粒径の円相当径(nm)、縦軸に粒子数をとったグラフである。
図4(a)は、比較例1の原料であるカーボン担持パラジウム粒子中のパラジウム粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。当該パラジウム粒子の平均粒径は2.8nm、粒径の標準偏差は0.9nmである。なお、8nm以上の粒径を有するパラジウム粒子は存在しなかった。
一方、図4(b)は、比較例1のカーボン担持触媒微粒子中の触媒微粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。当該触媒微粒子の平均粒径は4.8nm、粒径の標準偏差は3.7nmである。
図3は、実施例1中のパラジウム粒子又は触媒微粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。図3は、横軸に粒径の円相当径(nm)、縦軸に粒子数をとったグラフである。
図3(a)は、実施例1の原料であるカーボン担持パラジウム粒子中のパラジウム粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。当該パラジウム粒子の平均粒径は7.7nm、粒径の標準偏差は3.4nmである。
一方、図3(b)は、実施例1のカーボン担持触媒微粒子中の触媒微粒子の粒径分布の測定結果を比較したグラフである。当該触媒微粒子の平均粒径は6.5nm、粒径の標準偏差は3.1nmである。
2−2.白金割合の測定
白金使用量の指標として、実施例1及び比較例1のカーボン担持触媒微粒子中の白金割合を測定した。白金割合とは、カーボン担持触媒微粒子中の触媒微粒子全体の質量を100としたときの、当該触媒微粒子に含まれる白金の質量(質量%)をいう。白金割合の測定方法は下記のとおりである。
まず、カーボン担持触媒微粒子、硝酸、塩酸、及び硫酸を石英製分解容器に量りとり、密栓した後にマイクロ波を照射した。放冷後、容器にさらに塩酸を加えて、カーボン担持触媒微粒子を完全に溶解した。容器にさらに超純水を加えて一定容積に希釈した後に、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)による定量分析を行った。
上記方法により、実施例1の白金割合は4.3%、比較例1の白金割合は15%と測定される。
2−3.考察
図4(a)と図4(b)を比較すると分かるように、比較例1中の触媒微粒子には、9〜17nmの比較的大きい粒径を有する微粒子が存在する。また、比較例1中の触媒微粒子の粒径の標準偏差は、原料のパラジウム粒子の粒径の標準偏差よりも格段に大きい。これは、(1)作用極、参照極及び対極を硫酸に浸してから、実際に酸化物除去を行うまでの30分間は電位を特に制御せず、(2)酸化物除去を終えた後、Cu−UPDを始めるまでの2〜3日程度、特に電位を制御せず、硫酸中にパラジウム粒子を放置したことによるものであると考えられる。その結果、オストワルト熟成により、より粒径の小さいパラジウム粒子からパラジウムイオンが溶け出し、溶け出したパラジウムイオンが、より粒径の大きいパラジウム粒子の表面で析出したと推測される。
また、白金置換メッキ時において、銅が溶解して白金が析出する望みの反応の他に、1nm以下の粒径を有する超微粒子化したパラジウム粒子からパラジウムイオンが溶出すると共に、白金の析出が起こる。その結果、比較例1の白金割合は、触媒微粒子の全質量の1.5割を占め、白金使用量が格段に多くなる。
図3(a)と図3(b)を比較すると分かるように、実施例1においては、原料となるパラジウム粒子の粒径分布と、得られた触媒微粒子の粒径分布との間には、ほぼ差はない。また、実施例1中の触媒微粒子の粒径の標準偏差と、原料のパラジウム粒子の粒径の標準偏差とは、ほぼ変わらない。これは、(1)作用極、参照極及び対極を硫酸に浸してからすぐに電位を0.9V以下に制御し、(2)酸化物除去を終えた後、Cu−UPDを始めるまでの10分間に、電位を0.5Vに制御したことによるものであると考えられる。その結果、比較例1よりもパラジウム粒子のオストワルト熟成が抑えられたと推測される。
また、実施例1の白金割合は、触媒微粒子の全質量の0.5割未満となり、比較例1と比較して、白金使用量を抑えることができる。
21 ガラスセル
22 酸
23 カーボン担持触媒微粒子の合剤ペースト
24 電極
26 対極
27 参照極
28 窒素導入管
29 窒素の気泡
a パラジウム合金粒子の表面の酸化パラジウムを除去する時間
溶出初期
b 酸化物の除去を終えてから、Cu−UPDを始めるまでの時間
c パラジウム合金粒子にCu−UPD法を施す時間

Claims (7)

  1. パラジウムを含む中心粒子と、白金を含み当該中心粒子を被覆する最外層とを備える触媒微粒子の製造方法であって、
    パラジウム含有粒子を準備する工程、
    銅イオン溶液中において、前記パラジウム含有粒子に、銅被覆初期からパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、前記パラジウム含有粒子の表面に銅単原子層を被覆する工程、及び、
    前記銅単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする、触媒微粒子の製造方法。
  2. 前記銅被覆初期とは、前記電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が0.5〜3.2nmとなる期間である、請求項1に記載の触媒微粒子の製造方法。
  3. 前記銅被覆初期とは、前記パラジウム含有粒子と前記銅イオン溶液とが接触した時から0〜1時間経過した期間である、請求項1に記載の触媒微粒子の製造方法。
  4. 前記銅単原子層被覆工程の前に、電解液中において、溶出初期から前記パラジウム含有粒子にパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより、前記パラジウム含有粒子表面のパラジウム酸化物を溶出させる工程を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の触媒微粒子の製造方法。
  5. 前記パラジウム含有粒子表面のパラジウム酸化物を溶出させる工程において、前記電解液中に窒素をバブリングさせる、請求項4に記載の触媒微粒子の製造方法。
  6. 前記溶出初期とは、前記電位の印加により、得られる触媒微粒子の粒径分布の標準偏差が0.5〜3.2nmとなる期間である、請求項4又は5に記載の触媒微粒子の製造方法。
  7. 前記溶出初期とは、前記パラジウム含有粒子と前記電解液とが接触した時から0〜1時間経過した期間である、請求項4又は5に記載の触媒微粒子の製造方法。
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