JP2012189164A - 液体封入式防振装置 - Google Patents

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Toru Fujii
徹 藤井
Sumio Uchida
純生 内田
Akiyoshi Miyake
章義 三宅
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Abstract

【課題】ブラケットを備える液体封入式防振装置において、別体のストッパゴムの取付を容易にし、ストッパゴムとブラケットとの擦れ等によって発生する異音を抑える。
【解決手段】主バネ部5と、略筒状のケーシング部3aを有するエンジンブラケット3とを備えた液体封入式防振装置1である。ケーシング部3aの取付台座部3cの外側の側面に保持されるストッパ本体部51と、一対のストッパ取付部61,71とを有する別体のストッパゴム11を備えている。各ストッパ取付部61,71には、上側及び下側突条部が形成されている一方、ストッパ本体部51の内側面には、内側溝部を形成するように内側突起部が形成されている。ストッパゴム11は、ケーシング部3aの上下方向両端部に形成されたスライド溝部3dに上側及び下側突条部をスライド挿入することにより、ケーシング部3aに取り付けられる。
【選択図】図13

Description

本発明は、例えば、自動車用エンジンなどのマウントに用いられる、流体を封入した液体封入式防振装置に関するものである。
従来から、この種の液体封入式防振装置としては、エンジン側の取付金具と車体側の支持金具との間にゴム弾性体を介設し、このゴム弾性体の変形に伴い容積が変化するように両部材間に液室を形成するとともに、この液室を受圧室及び平衡室に仕切り、これら受圧室及び平衡室を連通するオリフィス通路を設けたものが多い。そうして、かかる液体封入式防振装置では、オリフィス通路を介して受圧室及び平衡室の間を液体が流動することにより、エンジンからの振動が吸収、減衰されるようになっている。
また、この種の液体封入式防振装置では、支持金具の外周面の一部を覆うように、ゴム弾性体と一体形成されたストッパゴムを設け、例えば自動車の急加速時のように大きな駆動反力が作用してエンジン等が揺れようとすると、かかるストッパゴムが車体側の部材に当接することにより、ゴム弾性体の前後の変形を制限するようにしたものが多い。
さらに、このような液体封入式防振装置では、支持金具自体をブラケットとしたものが、換言すると、貫通孔を有する略筒状のケーシング部と当該ケーシング部をエンジン側に取り付けるための取付部とが一体に形成されたブラケットの当該ケーシング部に、ゴム弾性体を同時モールドしたものが知られている。例えば、特許文献1には、複数の固定用孔が貫設された取付部が径方向外側に向かって突出するように形成された略円筒形状の第二の取付金具(ブラケットに相当)に、本体ゴム弾性体と、当該本体ゴム弾性体と一体形成された緩衝ゴム層(ストッパゴムに相当)と、を加硫接着した液体封入式防振装置が開示されている。
特開2006−90531号公報
しかしながら、上記特許文献1のもののように、ブラケットにゴム弾性体及びストッパゴムを同時モールドしたものでは、以下のような問題がある。すなわち、従来は、ブラケットが小さかったことから、1回のモールドで複数の一体加硫成形品(ブラケットにゴム弾性体及びストッパゴムが同時モールドされたもの)を成形することが可能であったが、今日では、エンジン性能の向上に伴って、大きなブラケットが要求されるため、換言すると大きなブラケットを金型に挿入する必要があるため、1回のモールドで成形できる一体加硫成形品の個数が限られることから、液体封入式防振装置の製造コストが嵩むという問題がある。
そこで、液体封入式防振装置の製造コストを抑えるべく、1回のモールドで複数成形可能な、例えば取付金具と金属製パイプ部材とをゴム弾性体で連結した一体加硫成形品(主バネ部)を、ブラケットを構成する略筒状のケーシング部に圧入するとともに、ゴム弾性体とは別体のストッパゴムをケーシング部の外側の側面に取り付けることが考えられる。
ここで、別体のストッパゴムをケーシング部に取り付ける方法としては、例えば、図17に示すように、外表面にストッパゴム121が一体形成された金属プレート112を、ケーシング部113aの外側の側面にカシメ固定する方法や、図18(a)に示すように、ケーシング部113aの外側の側面に断面台形状のキー溝113bを形成するとともに、外表面にストッパゴム131が一体形成された金属プレート122に断面コ字状の凸条部122aを形成し、かかる凸条部122aをキー溝113bに対し白抜き矢印の方向に圧入し、図18(b)に示すように、当該キー溝113bを区画する壁面に沿うようにかかる凸条部122aを変形させることで、ストッパゴム131をケーシング部113aの外側の側面に固定する方法が考えられる。
しかしながら、これらの方法では、ストッパゴム121,131をケーシング部113aの外側の側面に固定するために、金属プレート112をカシメるための設備や、凸条部122aをキー溝113bに圧入するための設備が別途必要になることから、却って製造コストが嵩むという問題がある。
そこで、ストッパゴムの取付コストの低減を図るべく、例えば、図19に示すように、ストッパ本体部151と、当該ストッパ本体部151の上下方向両端部から筒径方向内側に延びる上下一対のストッパ取付部161,171とを有するストッパゴム141を用いることが考えられる。具体的には、ストッパゴム141を筒径方向から(白抜き矢印の方向に)ケーシング部113aの外側の側面に押し付けて、ケーシング部113aの上下方向両端部に形成された凹部113cに、上下一対のストッパ取付部161,171に形成された凸部161a,171aを挿入することにより、当該ストッパゴム141をケーシング部113aに取り付けることが考えられる。
しかしながら、この場合にも、以下のような問題がある。すなわち、ストッパゴム141をケーシング部113aに堅固に取り付けるために、上側ストッパ取付部161の下面と下側ストッパ取付部171の上面との間隔は、ケーシング部113aの高さよりも若干小さく設定されるところ、ストッパゴム141が硬い場合や、図19に示すようにストッパゴム141に金属プレート142が埋め込まれている場合には、凸部161a,171aがケーシング部113aの上面または下面に乗り上げることができず、ストッパゴム141をケーシング部113aに取り付けることが困難になるという問題がある。
特に、ストッパゴム141に金属プレート142が埋め込まれている場合には、ストッパゴム141を無理矢理押し込むと、金属プレート142に塑性変形が生じるおそれがある。そうして、内部に埋め込まれた金属プレート142に一旦塑性変形が生じてしまうと、ストッパゴム141が、ケーシング部113aの外側の側面にフィットせず振動や衝撃が入力する毎にがたつくおそれがある。
一方、取付性を重視して、ストッパゴム141を軟らかくし過ぎたり、余裕を持った寸法に設定したりすると、液体封入式防振装置に対して振動が入力したときに、ストッパゴムの内側面と支持金具の外側の側面とが、離間と当接を繰り返したり、擦れたりすることで異音が発生するという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブラケットを備える液体封入式防振装置において、別体のストッパゴムをブラケットの外側の側面に取り付ける場合でも、ストッパゴムの取付を容易にするとともに、ストッパゴムの内側面とブラケットの外側の側面とが、離間と当接を繰り返したり、擦れたりすることによって発生する異音を抑える技術を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明では、ストッパゴムの取付方としてスライド方式を採用することで、ブラケットに対するストッパゴムの取付を容易にしつつ、ストッパゴムをブラケットにしっかりと取り付けることにより、振動が入力した場合でも、両者の接触状態を維持するとともに、ストッパゴムの内側面とブラケットの外側の側面との接触面積を減らして、擦れによる異音の発生を抑えるようにしている。
具体的には、第1の発明は、車体側に取り付けられる取付金具と筒体とをゴム弾性体で連結した主バネ部と、貫通孔を有する略筒状のケーシング部と当該ケーシング部をエンジン側に取り付けるための取付部とが一体に形成されたブラケットと、を備え、上記筒体を上記貫通孔に圧入することによって、上記ゴム弾性体と当該ケーシング部の内周面とを壁部の一部とする容積可変の液室が形成される液体封入式防振装置を対象としている。
そして、上記ケーシング部の外側の側面に保持される略矩形状のストッパ本体部と、当該ストッパ本体部の筒軸方向両端部から筒径方向内側に延びる上下一対のストッパ取付部と、を有する断面略コ字状に形成された、当該ケーシング部とは別体のゴム製ストッパ部をさらに備え、上記上下一対のストッパ取付部には、筒軸方向内側に突出する突条部がそれぞれ形成されている一方、上記ストッパ本体部の内側面には、溝部を形成するように筒径方向内側に突出する内側突起部が形成されており、上記ストッパ部は、上記ケーシング部の筒軸方向両端部に形成された、各々筒軸方向外側に開口し且つ上記貫通孔の接線方向に延びるスライド溝部に、上記突条部をスライド挿入することにより、当該ケーシング部に取り付けられることを特徴とするものである。
第1の発明によれば、ブラケットにゴム弾性体及びストッパゴムを同時モールドしていた従来のものとは異なり、主バネ部及びストッパ部とブラケットとを別体としていることから、大きなブラケットを金型に挿入する必要がないので、1回のモールドで複数の主バネ部及びストッパ部を成形することができる。
そして、ストッパ部は、ケーシング部の筒軸方向両端部に形成された、貫通孔の接線方向に延びるスライド溝部に、上下一対のストッパ取付部に形成された突条部をスライド挿入することにより、当該ケーシング部に取り付けられる。これにより、金属プレート等をカシメるための設備や圧入するための設備を要しないことから、製造コストが嵩むのを抑えることができるとともに、金属プレートの塑性変形によるストッパゴムのがたつきを抑えつつ、ストッパ部をケーシング部にスムーズに取り付けることができる。
さらに、ストッパ本体部の内側面には、筒径方向内側に突出する内側突起部が形成されていることから、ストッパ部をケーシング部に取り付けると、当該内側突起部がケーシング部の外側の側面を筒径方向内側に押す。これにより、ストッパ取付部に突設された突条部と筒径方向内側に突出する内側突起部とが、あたかもケーシング部を筒径方向に挟むように作用することから、ストッパ部がケーシング部にしっかりと取り付けられる。したがって、別体のストッパゴムをブラケットの外側の側面に取り付ける場合でも、ストッパゴムの内側面とブラケットの外側の側面とが、離間と当接を繰り返すことで発生する異音を抑えることができる。
さらに、内側突起部は、ストッパ本体部の内側面に溝部を形成するように形成されていることから、かかる溝部の存在により、ストッパ本体部の内側面とケーシング部の外側の側面との接触面積が減少することになる。これにより、ストッパゴムの内側面とブラケットの外側の側面とが擦れた場合にも、異音が発生するのを抑えることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ストッパ本体部の外側面には、溝部を形成するように筒径方向外側に突出する外側突起部が形成されており、上記スットパ部には、上記ストッパ本体部に対応する略矩形状の本体部と、当該本体部の筒軸方向両端部から筒径方向内側に延びる、上記上下一対のストッパ取付部に対応する上下一対の延出部と、を有する断面略コ字状に形成された補強部材が埋設されており、上記補強部材の本体部には、開口部が形成されていることを特徴とするものである。
第2の発明によれば、断面略コ字状のストッパ部には、その全体に亘って、断面略コ字状の補強部材が埋設されているので、当該ストッパ部の耐久性を向上させることができるとともに、ストッパ部が、上下一対のストッパ取付部によってケーシング部を筒軸方向に挟むように、当該ケーシング部に取り付けられた状態を維持することができる。
また、ストッパ本体部に埋設されている補強部材の本体部には開口部が形成されていることから、ストッパ本体部における開口部に対応する部位では、当該ストッパ本体部が補強部材によって筒径方向内側と外側に分断されておらず、適度のラバーボリュームが確保されている。そうして、ストッパ本体部の外側面及び内側面には、ともに溝部が形成されているので、これらの溝部が潰れることで外側及び内側突起部が変形し易くなっている。このように、ストッパ本体部は、適度なラバーボリュームを有しているとともに変形しやすい形状に形成されていることから、軟らかいばね特性を呈する。
そうして、ストッパ本体部の変形が進み溝部が潰れる(変形した外側及び内側突起部によって埋まる)と、ストッパ本体部における開口部に対応する部位が、筒軸方向及び筒周方向に逃げるように変形しようとするが、開口部を区画する枠状の本体部によってかかる変形が抑えられる。これにより、ストッパ本体部は、硬いばね特性を呈する。
以上により、荷重が入力すると大きく変形して衝撃を吸収する領域と、荷重が入力しても大きく変形せず変位を抑える領域とを有する2段階の特性を備えた、耐久性の高いストッパゴムを実現することが可能となる。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記スライド溝部は、上記突条部の挿入方向の一方側が閉塞されている一方、上記突条部の挿入側である挿入方向他方側が開口しており、上記スライド溝部の挿入方向他方側の端部には、当該スライド溝部の溝幅方向に突出する凸部が形成されており、上記凸部は、挿入方向一方側の面が挿入方向と略直角に溝幅方向に延びるように形成されている一方、挿入方向他方側の面が一方側に行くほど当該スライド溝部の溝幅を狭めるように溝幅方向に傾斜していることを特徴とするものである。
第3の発明によれば、凸部の挿入方向他方側の面が一方側に行くほどスライド溝部の溝幅を狭めるように傾斜していることから、突条部を凸部の挿入方向他方側の面に当てながら挿入方向一方側へ押し込むと、突条部が凸部の溝幅方向の先端部に誘導される。このようにして誘導された突条部は、スライド溝部における凸部によって局所的に溝幅が狭められた部分を変形しながら通り抜ける。そして、溝幅が狭められた部分を通り抜けた突条部は、かかる挿入方向において、スライド溝部の閉塞された一方側の端部と当該凸部との間に挟まれる状態となる。このように、突条部がスライド溝に一旦挿入されると、凸部の挿入方向一方側の面は挿入方向と略直角に溝幅方向に延びるように形成されていることから、突条部に挿入方向他方側向きに力が作用しても、かかる挿入方向一方側の面が突条部をしっかりと受け止めるので、突条部がスライド溝部から外れるのを抑えることができる。
本発明に係る液体封入式防振装置によれば、主バネ部及びストッパ部とブラケットとを別体としていることから、大きなブラケットを金型に挿入する必要がないので、1回のモールドで複数の主バネ部及びストッパ部を成形することができる。
そして、ストッパ部は、ケーシング部に形成されたスライド溝部に、突条部をスライド挿入することにより、ケーシング部に取り付けられることから、取付のための設備を別途要することなく、当該ストッパ部をケーシング部にスムーズに取り付けることができる。
さらに、ストッパ本体部の内側面に形成された内側突起部がケーシング部の外側の側面を筒径方向内側に押すことから、スライド溝部に挿入された突条部と突起部とがあたかもケーシング部を筒径方向に挟むように作用し、これにより、ストッパ部をケーシング部にしっかりと取り付けることができる。したがって、別体のストッパゴムをブラケットに取り付ける場合でも、ストッパゴムの内側面とブラケットの外側の側面とが、離間と当接を繰り返すことで発生する異音を抑えることができる。
加えて、内側突起部は、ストッパ本体部の内側面に溝部を形成するように形成されていることから、ストッパ本体部の内側面とケーシング部の外側の側面との接触面積が減少するので、ストッパゴムの内側面とブラケットの外側の側面とが擦れた場合にも、異音が発生するのを抑えることができる。
本発明の実施形態に係る液体封入式防振装置を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 主バネ部をエンジンブラケットの貫通孔に圧入する方法を模式的に説明する断面図である。 液体封入式防振装置を取付ブラケットに固定した状態を示す斜視図である。 エンジンブラケットの底面図である。 アウターパイプの変形挙動を説明する断面図である。 エンジンブラケットの貫通孔の孔壁を模式的に示す図である。 貫通孔に圧入することで変形したアウターパイプを模式的に示す断面図である。 シール部を示す断面図であり、同図(a)は、圧入前の状態を示し、同図(b)は、圧入された状態を示す。 ストッパゴムを示す斜視図である。 ストッパゴムを示す図であり、同図(a)は、同図(c)のA−A線断面図であり、同図(b)は、外側面を示す正面図であり、同図(c)は、縦断面図であり、同図(d)は、内側面を示す背面図であり、同図(e)は、同図(c)のE−E線断面図である。 補強部材を示す斜視図である。 ストッパゴムの取付方法を模式的に説明する図である。 図2のXIV−XIV線断面図である。 ストッパゴムの変形の様子を説明する図であり、同図(a)は、ブラケットにストッパゴムを同時モールドした従来のものを示し、同図(b)は、本実施形態のものを示す。 ストッパゴムの荷重−撓み曲線を示すグラフ図である。 ストッパゴムがカシメ固定された従来のブラケットを示す断面図である。 ストッパゴムが圧入固定された従来のブラケットを示す断面図であり、同図(a)はストッパゴムを取り付ける前の状態を示し、同図(b)はストッパゴムを取り付けた後の状態を示す。 ストッパゴムを筒径方向外側から取り付ける従来のブラケットを示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
−全体構造−
図1及び図2は、本実施形態に係る液体封入式防振装置を示す図である。この液体封入式防振装置1は、エンジン及び変速機が結合されてなる不図示のパワープラント(エンジン側)に取り付けられる、貫通孔13が形成されたエンジンブラケット(ブラケット)3と、当該貫通孔13に下側(筒軸方向一方側)から圧入される主バネ部5と、当該貫通孔13に上側(筒軸方向他方側)から挿入されるオリフィス板7と、当該オリフィス板7に重なるように、当該貫通孔13に上側から圧入されるゴム製ダイヤフラム9と、貫通孔13の接線方向(図13の白抜き矢印の方向)から当該エンジンブラケット3に取り付けられる一対のストッパゴム(ストッパ部)11と、を備えている。
主バネ部5は、車体側に連結されるアルミニウム合金製のインナープレート(取付金具)25と、アルミニウム合金製のアウターパイプ(筒体)15と、これらを連結するように加硫接着されたゴム弾性体35とを有していて、図3に示すように、アウターパイプ15を貫通孔13に圧入することで、エンジンブラケット3に取り付けられている。そうして、本実施形態の液体封入式防振装置1は、アウターパイプ15の筒軸方向が上下方向を向くように、且つ、一対のストッパゴム11が車両前後方向に対向するように、且つ、一対のストッパゴム11の挿入方向が車幅方向を向くように、パワープラント及び車体に取り付けられるようになっている。なお、以下の説明では、筒軸方向を上下方向と、ストッパゴム11の対向方向を前後方向と、また、上下方向及び前後方向に直交する方向であるストッパゴム11の挿入方向を左右方向という。
この液体封入式防振装置1では、エンジンブラケット3の内周面と主バネ部5(具体的にはゴム弾性体35)とダイヤフラム9とによって区画される空洞内に、エチレングリコール等の緩衝液が封入されていて、かかる空洞が、ゴム弾性体35に入力するパワープラントの振動を吸収、緩和するための液室31を形成している。そうして、この液室31の内部はオリフィス板7によって上下に仕切られていて、その下側が、ゴム弾性体35の変形に伴い容積が拡大又は縮小する受圧室31aになっている一方、液室31の上側は、ダイヤフラム9の変形によって容積が拡大または縮小されて、受圧室31aにおける容積の変動を吸収する平衡室31bとなっている。
この液体封入式防振装置1は、図4に示すように、当該液体封入式防振装置1の上方を前後に跨ぐようにして車体サイドフレーム(図示せず)に取り付けられる略逆U字状の取付ブラケット21を介して車体に取り付けられることで、パワープラントを弾性支持するようになっている。この取付ブラケット21は、液体封入式防振装置1の上方で略水平に前後方向に延びる上側梁部21aと、当該上側梁部21aの前後両端部からそれぞれ下方に延びる前後一対の脚部21bと、これらの脚部21bを連結するように、液体封入式防振装置1の下方で前後方向に略水平に延びる下側梁部21cとを有しており、この前後一対の脚部21bの各下端部21dがそれぞれサイドフレーム上に締結されるようになっている。そうして、液体封入式防振装置1は、主バネ部5のインナープレート25が下側梁部21cに固定されることで、当該取付ブラケット21に取り付けられている。
これにより、この液体封入式防振装置1では、例えば自動車が停止していてエンジンがアイドル運転状態にあるときには、トルク変動等に起因する低周波のアイドル振動がゴム弾性体35により吸収され、車体への振動伝達が抑制される。一方、例えば自動車の急加速時のように大きな駆動反力(トルク)が作用してパワープラントが前後に揺れようとすると、一対のストッパゴム11(より詳しくは後述する外側突起部51a)が取付ブラケット21の脚部21bに当接することにより、ゴム弾性体35の前後の変形が制限されるとともに、パワープラントが上下に揺れようとすると、一対のストッパゴム11(より詳しくは後述する上側突起部61b)が取付ブラケット21の上側梁部21aに当接することにより、ゴム弾性体35の上下の変形が制限されるようになっている。
−エンジンブラケット等−
エンジンブラケット3はアルミニウム合金製であり、当該エンジンブラケット3には、上述の如く主バネ部5等を挿入するための上下方向に延びる貫通孔13が形成されている。換言すると、このエンジンブラケット3は、貫通孔13を有する略筒状のケーシング部3aに、当該ケーシング部3aをパワープラントに取り付けるための取付部3bが一体形成されたような形状となっている。このケーシング部3aには、その外周面から各々筒径方向に突出し且つフラットな外側面を有する、一対の取付台座部3cが形成されている。かかる一対の取付台座部3cは、一対のストッパゴム11を取り付けるためのものであり、前後方向に対向するように形成されている。
各取付台座部3cの上面(図13参照)及び下面(図5参照)には、後述するストッパゴム11の上側及び下側突条部61a,71aが挿入される4つのスライド溝部3d,3eが形成されている。より詳しくは、取付台座部3cの上面に形成されたスライド溝部3dは上側(筒軸方向外側)に開口している一方、取付台座部3cの下面に形成されたスライド溝部3eは下側(筒軸方向外側)に開口しており、これらのスライド溝部3d,3eは左右方向(貫通孔13の接線方向)に延びている。そして、各スライド溝部3d,3eは、取付部3b側である左右方向一方側が閉塞されている一方、左右方向他方側が開口しており、この開口した他方側から上側及び下側突条部61a,71aがスライド挿入されるようになっている。また、各スライド溝部3d,3eの左右方向他方側の端部には、当該各スライド溝部3d,3eを区画する溝幅方向(前後方向)外側の壁部3kから、当該各スライド溝部3d,3eの溝幅方向内側に突出する凸部3f,3gが形成されており、これにより、スライド溝部3d,3eに挿入された上側及び下側突条部61a,71aは、左右方向において、閉塞された一方側の端部と凸部3f,3gとの間に挟まれるようになっている。
図2及び図3に示すように、ケーシング部3aの貫通孔13は、オリフィス板7及びダイヤフラム9が挿入される上側貫通孔23と、当該上側貫通孔23と段差面33を介して連なる、主バネ部5が挿入される下側貫通孔43とから構成されている。そうして、上側貫通孔23の内径は、下側貫通孔43の内径よりも大きく形成されている。
この段差面33には、円板状のオリフィス板7が上方から配設され、さらに、その上方から当該オリフィス板7全体を覆うように、概略ハット形状のダイヤフラム9が配設されている。このダイヤフラム9の外周側には概略円筒状の補強板19が埋設されており、かかる補強された外周部が上側貫通孔23に上方から圧入されることにより、当該ダイヤフラム9はエンジンブラケット3に内嵌合状態で固定されている。また、このようにダイヤフラム9が嵌合固定された状態では、補強板19よりも下方に延びる上側シールゴム部9aにより、オリフィス板7の外周が囲まれるようになっている。
オリフィス板7には、円環状のオリフィス通路(図示せず)が周方向に延びるように形成され、このオリフィス通路の一方の端が液室31下側の受圧室31aに臨んで開口する一方、オリフィス通路の他方の端が液室31上側の平衡室31bに臨んで開口している。そして、それら受圧室31a及び平衡室31bの緩衝液がオリフィス通路を介して相互に流通することによって、ゴム弾性体35から受圧室31aに作用する低周波の振動が減衰されるようになっている。
−主バネ部−
主バネ部5のインナープレート25は、図1〜図3に示すように、略矩形状の底板部55bと当該底板部55bの左右方向一方側の側縁から下方に延びる側板部55aとを有する前後方向視で断面略L字状の取付プレート部55と、かかる取付プレート部55の底板部55bを上方に膨出させた略有頂筒状のインナーパイプ部45とを有している。インナーパイプ部45は、その上端部が主バネ部5のアウターパイプ15の下端開口部の略中心に位置するように、アウターパイプ15と略同軸に配置されていて、その外周面とこれに対応するアウターパイプ15の内周面との間にゴム弾性体35が介設されている。一方、取付プレート部55は、底板部55bの左右方向他方側の側縁部を折り曲げることによって、側板部55aとともに取付ブラケット21の下側梁部21cを左右から挟み且つその下面をカシメるように、かかる下側梁部21cに上方から取り付けられている。
ゴム弾性体35の下部内周側には、すり鉢状の凹部35aが形成されていて、この凹部35aの周面がインナーパイプ部45の外周面に接着されている。ゴム弾性体35はインナーパイプ部45の全周から外方に向かって放射状に拡がり、且つ、斜め上方向に延びる略円錐台状のものであり、その上側の部分の外周面がアウターパイプ15の内周面に接着されている。このようにアウターパイプ15の内周面に接着固定されているゴム弾性体35の上側の部分は、上方に向かって開口する比較的厚肉の円筒状とされ、その上端部35bがアウターパイプ15の上端部15eを巻き込むように覆っている。そうして、アウターパイプ15を下側貫通孔43に嵌めることによって、液体封入式防振装置1には、ゴム弾性体35と下側貫通孔43の内周面とを壁部の一部とする容積可変の液室31が形成されるようになっている。
ところで、金属製のエンジンブラケット3の貫通孔13に金属製のアウターパイプ15を圧入する構造では、金属面同士が直接接触しているため、その間のシール性は非常に不安定であり、流体の漏洩のおそれがある。
そこで、本実施形態の液体封入式防振装置1では、アウターパイプ15は、径が一定な筒状ではなく、エンジンブラケット3とのシール性を高めるべく、上下方向におけるインナープレート25側である下側の大径筒部15cと、当該大径筒部15cよりも外径が小さく、且つ、当該大径筒部15cに段差面15bを介して連なる上側の小径筒部15aと、を有する二段構造となっている。このような二段構造を採用したのは、以下の理由による。
すなわち、大径筒部15cに段差面15bを介して小径筒部15aが連なる二段構造では、図6に示すように、大径筒部15cが筒径方向内側に締め付けられて変形した場合、筒径方向の剛性が高い、段差面15bを構成する略円環状の部位があたかも支点となって小径筒部15aが上方且つ筒径方向外側に拡がるという性質を利用することによって、エンジンブラケット3の下側貫通孔43の内周面とアウターパイプ15の外周面との間の隙間を埋めるためである。なお、図中の符号15dは、大径筒部15cの下端部を筒径方向外側に折り曲げることで形成されたフランジ部である。
そうして、二段構造のアウターパイプ15に対応するように、エンジンブラケット3の下側貫通孔43は、図7に示すように、大径筒部15cに対向する下側の大径部43cと、当該大径部43cに段差面43bを介して連なる、小径筒部15aに対向する上側の小径部43aと、を有するように形成されている。そして、この大径部43cは、その内径が小径筒部15aの外径より大きく且つ大径筒部15cの外径よりも小さく形成されている一方、この小径部43aは、その内径が小径筒部15aの外径よりも大きく形成されている。
なお、大径部43cは、エンジンブラケット3の成形に当り、金型の抜き勾配を確保するために、下方に向かうほど筒径方向外側に傾斜するように、1.5°傾斜している。このように、大径部43cが傾斜していることにより、本実施形態の液体封入式防振装置1では、当該大径部43cに大径筒部15cが挿入し易くなるとともに、当該大径部43cが大径筒部15cの変形を促すガイドの役割を果たすという利点もある。
なお、本実施形態では、大径部43cの孔壁を1.5°傾斜させているが、これに限らず、例えば後工程で切削を施すことにより、孔壁を傾斜させないようにしてもよいし、また、孔壁を1.5°を超えて傾斜させてもよい。好ましい傾斜角は、0〜10°の範囲である。
このように形成されたエンジンブラケット3の下側貫通孔43に、下側からアウターパイプ15の小径筒部15aを挿入して、フランジ部15dがケーシング部3aの下端に当たるまで大径筒部15cを圧入すると、図8に示すように、大径筒部15cが大径部43cに圧入されて窄まることによって、小径筒部15aは、その上端部15eが小径部43aの内周面との隙間を塞ぐように、上方に向かうほど筒径方向外側に拡がる。これにより、本実施形態の液体封入式防振装置1では、アウターパイプ15の上端部15eを巻き込むように形成されている、ゴム弾性体35の上端部35b(図8では図示省略している)が、小径部43aの内周面に押し付けられることによって、エンジンブラケット3と主バネ部5との間のシール性が高められている。
ここで、小径筒部15aが上方に向かうほど筒径方向外側に拡がるように変形することから、図8に示すように、小径筒部15aの外周面と小径部43aの内周面との間には、断面略三角形状の空間41が形成されることになる。そこで、本実施形態の液体封入式防振装置1では、シール性をさらに高めるために、図9(a)に示すように、小径筒部15aの外周面に、筒径方向外側に突出する上下三段のシールリップ35dが設けられた、下方に向かうほど厚肉となる下側シールゴム部35cがゴム弾性体35と一体に形成されている。
このように、下方に向かうほど厚肉となる下側シールゴム部35cを形成することにより、大径筒部15cが大径部43cに圧入されて、小径筒部15aが上方に向かうほど筒径方向外側に拡がると、図9(b)に示すように、かかる下側シールゴム部35cが、小径筒部15aの外周面と小径部43aの内周面との間の断面略三角形状の空間41を埋めるとともに、シールリップ35dが小径部43aの内周面に押し付けられるので、エンジンブラケット3と主バネ部5との間のシール性が一層高められることになる。
以上のように、本実施形態の液体封入式防振装置1では、アウターパイプ15の小径筒部15aが上方に向かうほど筒径方向外側に拡がることによるシールと、下側シールゴム部35cが、小径筒部15aの外周面と小径部43aの内周面との間の断面略三角形状の空間41を埋めることによるシールという、二段階のシールを設けることで、エンジンブラケット3の貫通孔13にアウターパイプ15を圧入する構造でありながら、両者3,15の間のシール性を高めることが可能となっている。
また、ゴム弾性体35の上端部15eをオリフィス板7の下面に押し当てることによりシールを行うのではなく、ゴム弾性体35の上端部15eを小径部43aの内周面に押し当てることによりシールを行うことから、アウターパイプ15を圧入することによって、液室31の下側の受圧室31aに臨んで開口しているオリフィス通路の一方の端が塞がれるのを確実に回避することができる。
−ストッパゴム−
ストッパゴム11は、図2、図10及び図11(a)〜図11(e)に示すように、ケーシング部3aの外側の側面(取付台座部3c)に保持される略矩形状のストッパ本体部51と、ストッパ本体部51の上端部及び下端部から筒径方向内側に延びる上下一対のストッパ取付部61,71と、を有していて断面略コ字状に形成されている。そうして、断面略コ字状のストッパゴム11は、上下一対のストッパ取付部61,71によって取付台座部3c(ケーシング部3a)を上下に挟むように当該ケーシング部3aに取り付けられている。なお、上側ストッパ取付部61の下面と下側ストッパ取付部71の上面との間隔は、取付台座部3cの高さよりも若干小さく設定されている。
ストッパ本体部51の外側面には、3つの外側溝部51bを形成するように、左右方向に延びる4つの外側突起部51aが形成されている一方、ストッパ本体部51の内側面にも、3つの内側溝部51dを形成するように、左右方向に延びる4つの内側突起部51cが形成されている。
また、上側ストッパ取付部61には、その上面に3つの上側溝部61cを形成するように、前後方向に延びる4つの上側突起部61bが形成されている一方、その下面にケーシング部3aのスライド溝部3dに挿入される、左右方向に延び且つ下方(筒軸方向内側)に突出する、断面略逆台形状の上側突条部61aが形成されている。一方、下側ストッパ取付部71の上面には、ケーシング部3aのスライド溝部3eに挿入される、左右方向に延び且つ上方(筒軸方向内側)に突出する、断面略台形状の下側突条部71aが形成されている。なお、上側突条部61a及び下側突条部71aの前後方向内側の面と、内側突起部51cの外側の面と、の前後方向における間隔は、スライド溝部3d,3eを区画する溝幅方向外側の壁部3kの壁厚よりも若干小さく設定されている。
さらに、ストッパゴム11には、図2及び図12に示すように、ストッパ本体部51に対応する略矩形状の本体部12aと、当該本体部12aの上端部及び下端端部から筒径方向内側に延びる、上側及び下側ストッパ取付部61,71に対応する延出部12c,12dと、を有する断面略コ字状に形成された金属製の補強部材12が埋設されている。補強部材12の本体部12aには、矩形の開口部12bが形成されており、これにより、補強部材12の本体部12aは、略矩形枠状をなしている。
ストッパゴム11は、図13に示すように、上側及び下側ストッパ取付部61,71に突設された上側及び下側突条部61a,71aを、ケーシング部3aのスライド溝部3d,3eに左右方向からスライド挿入することによって、ケーシング部3aに取り付けられる。ここで、上側及び下側突条部61a,71aを、スライド溝部3d,3eに挿入する際には、スライド溝部3d,3eの溝幅方向に突出する凸部3f,3gがスムーズな挿入を阻害するようにも思われるが、図14に拡大して示すように、かかる凸部3f,3gの左右方向他方側の面3hは、左右方向一方側に行くほど当該スライド溝部3d,3eの溝幅を狭めるように溝幅方向に傾斜していることから、上側及び下側突条部61a,71aの左右方向一方側の端部を凸部3f,3gの左右方向他方側の面3hに押し当てると、上側及び下側突条部61a,71aが傾斜面3hに沿って左右方向一方側(凸部3f,3gの溝幅方向の先端部)へ誘導される。このように、凸部3f,3gの溝幅方向の先端部へ誘導された上側及び下側突条部61a,71aは、スライド溝部3d,3eの凸部3f,3gによって局所的に狭められた部分3jを、変形しながら通り抜けてスライド溝部3d,3eに挿入される。
一方、スライド溝部3d,3eに挿入された上側及び下側突条部61a,71aは、一方側の閉塞された部位と凸部3f,3gとに挟まれたような状態となり、ストッパゴム11が左右方向他方側に力を受けても、上側及び下側突条部61a,71aの左右方向他方側の端部が、左右方向と略直角に溝幅方向に延びている凸部3f,3gの左右方向一方側の面3iに当たるので、スライド溝部3d,3eから容易に外れないようになっている。そうして、上側ストッパ取付部61の下面と下側ストッパ取付部71の上面との間隔は、取付台座部3cの高さよりも若干小さく設定されているので、ストッパ本体部51がケーシング部3aの外側の側面(取付台座部3c)に堅固に保持される。
これに加えて、このストッパ本体部51の内側面には、筒径方向内側に突出する内側突起部51cが形成されていることから、ストッパゴム11を取付台座部3cに取り付けると、当該内側突起部51cが取付台座部3cの外側面を筒径方向内側に押すように作用する。このため、取付台座部3cからの反力でストッパ本体部51が筒径方向外側に押されることから、スライド溝部3d,3eに挿入されている上側及び下側突条部61a,71aが、筒径方向外側に引っ張られて、スライド溝部3d,3eを区画する溝幅方向外側の壁部3kを押すことになる。これにより、上側及び下側ストッパ取付部61,71に突設された上側及び下側突条部61a,71aと、筒径方向内側に突出する内側突起部51cとが、あたかもケーシング部3aを筒径方向に挟むように作用することから、ストッパゴム11がケーシング部3aにしっかりと取り付けられる。したがって、別体のストッパゴム11をエンジンブラケット3の外側の側面に取り付ける場合でも、ストッパゴム11の内側面とエンジンブラケット3の外側の側面とが、離間と当接を繰り返すことで発生する異音を抑えることができる。
また、内側突起部51cは、ストッパ本体部51の内側面に内側溝部51dを形成するように形成されていることから、かかる内側溝部51dの存在により、ストッパ本体部51の内側面と取付台座部3cの外側面との接触面積が減少することになる。これにより、ストッパゴム11の内側面と取付台座部3cの外側面とが擦れた場合にも、異音が発生するのを抑えることができる。
さらに、ストッパ本体部51に埋設されている補強部材12の本体部12aには開口部12bが形成されているので、ストッパ本体部51における開口部12bに対応する部位では、当該ストッパ本体部51が補強部材12によって筒径方向内側と外側に分断されておらず、適度のラバーボリュームが確保されている。加えて、ストッパ本体部51には、左右方向に延びる外側及び内側溝部51b,51dが形成されているので、当該ストッパ本体部51は、これらの外側及び内側溝部51b,51dが潰れる(埋まる)ことで変形し易くなっている。換言すると、荷重を受けて外側及び内側突起部51a,51cが上下に膨らむように変形しても、かかる膨らみが外側及び内側溝部51b,51dに吸収されることから、ストッパ本体部51は変形し易くなっている。このように、ストッパ本体部51は、適度なラバーボリュームを有しているとともに変形しやすい形状に形成されていることから、軟らかいばね特性を呈することになる。
ここで、エンジンブラケット103にゴム弾性体135及びストッパゴム111を同時モールドした従来のものでは、ストッパゴム111の変形が進み溝が埋まると、図15(a)の白抜き矢印で示すように、ストッパゴム111が上下方向に逃げるように変形するため、弾性支持されたパワープラントが変位し過ぎるおそれがある。これに対し、本実施形態に係るストッパゴム11では、外側及び内側突起部51a,51cの変形が進み外側及び内側溝部51b,51dが埋まると、ストッパ本体部51における開口部12bに対応する部位が、上下方向に逃げるように変形しようとしても、図15(b)の白抜き矢印で示すように、枠状の補強部材12の本体部12aによってかかる変形が抑えられることから、ストッパ本体部51は、硬いばね特性を呈することになる。
図16は、シミュレーションから得られたストッパゴムの荷重−撓み曲線を示すグラフ図である。図中の実線は、本実施形態のストッパゴム11に荷重を作用させた場合の荷重−撓み曲線を、また、図中の破線は、エンジンブラケット103に同時モールドした従来のストッパゴム111に荷重を作用させた場合の荷重−撓み曲線をそれぞれ示す。同図から、本実施形態のストッパゴム11は、入力荷重が小さい領域(領域A)では、従来のストッパゴム111と同様に軟らかいばね特性を呈する一方、入力荷重が増大するにつれて(領域B)、従来のストッパゴム111よりも硬いばね特性を呈することが確認された。
以上により、荷重が入力すると大きく変形して衝撃を吸収する領域(領域A)と、荷重が入力しても大きく変形せず変位を抑える領域(領域B)とを有する2段階の特性を備えたストッパゴム11を実現することが可能となる。
−効果−
本実施形態によれば、ブラケットにゴム弾性体及びストッパゴムを同時モールドしていた従来のものとは異なり、主バネ部5及びストッパゴム11とエンジンブラケット3とを別体としていることから、大きなブラケットを金型に挿入する必要がないので、1回のモールドで複数の主バネ部5びストッパゴム11を成形することができる。
また、断面略コ字状のストッパゴム11には、その全体に亘って、断面略コ字状の補強部材12が埋設されているので、当該ストッパゴム11の耐久性を向上させることができるとともに、上側及び下側ストッパ取付部61,71によって取付台座部3cを上下方向に挟むようにケーシング部3aに取り付けられた状態を維持することができる。
そして、ストッパゴム11は、ケーシング部3aの上下方向両端部に形成された、貫通孔13の接線方向に延びるスライド溝部3d,3eに、上側及び下側突条部61a,71aをスライド挿入することにより、ケーシング部3aに取り付けられる。これにより、金属プレート等をカシメるための設備や圧入するための設備を要しないことから、製造コストが嵩むのを抑えることができるとともに、金属プレートの塑性変形によるストッパゴム11のがたつきを抑えつつ、ストッパゴム11をスムーズにケーシング部3aに取り付けることができる。
さらに、上側及び下側突条部61a,71aと内側突起部51cとがあたかもケーシング部3aを筒径方向に挟むように作用することから、ストッパゴム11がケーシング部3aにしっかりと取り付けられる。また、ストッパ本体部51の内側面には内側溝部51dが形成されていることから、ストッパ本体部51の内側面と取付台座部3cとの接触面積が減少する。これらにより、ストッパゴム11の内側面とエンジンブラケット3の外側の側面とが、離間と当接を繰り返したり、擦れたりすることで発生する異音を抑えることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、アウターパイプ15の筒軸方向が上下方向を向くようにしたが、これに限らず、アウターパイプ15の筒軸方向をその用途に応じて傾けてもよいし、また、上記実施形態とは逆に、ダイヤフラム9が下側に位置するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ストッパ本体部51の外側及び内側突起部51a,51cを左右方向に延びる突条としたが、溝部を形成するように突出する突起部である限り、これに限らず、例えば、ディンプル状の突起部としてもよい。
さらに、上記実施形態では、開口部12bを矩形としたが、これに限らず、例えば、円形としてもよい。
また、上記実施形態では、アルミニウム合金製のアウターパイプ15を用いたが、これに限らず、例えば、鉄製のアウターパイプを用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、上側及び下側突条部61a,71aを、一方側の閉塞された部位と凸部3f,3gとの間に挟むようにしたが、これに限らず、例えば、左右方向両端が閉塞されていないスライド溝部を形成するとともに当該スライド溝部を区画する溝幅方向外側の壁部3kに、上側及び下側突条部61a,71aが嵌るような切欠部を形成するようにしてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、自動車用エンジンなどのマウントに用いられる、ブラケットを備えた液体封入式防振装置等について有用である。
1 液体封入式防振装置
3 エンジンブラケット(ブラケット)
3a ケーシング部
3b 取付部
3d スライド溝部
3e スライド溝部
3f 凸部
3g 凸部
3h 他方側の面
3i 一方側の面
5 主バネ部
11 ストッパゴム(ストッパ部)
12 補強部材
12a 本体部
12b 開口部
12c 延出部
12d 延出部
13 貫通孔
15 アウターパイプ(筒体)
25 インナープレート(取付金具)
31 液室
35 ゴム弾性体
51 ストッパ本体部
51a 外側突起部
51b 外側溝部(溝部)
51c 内側突起部
51d 内側溝部(溝部)
61 上側ストッパ取付部
61a 上側突条部(突条部)
71 下側ストッパ取付部
71a 下側突条部(突条部)

Claims (3)

  1. 車体側に取り付けられる取付金具と筒体とをゴム弾性体で連結した主バネ部と、貫通孔を有する略筒状のケーシング部と当該ケーシング部をエンジン側に取り付けるための取付部とが一体に形成されたブラケットと、を備え、上記筒体を上記貫通孔に圧入することによって、上記ゴム弾性体と当該ケーシング部の内周面とを壁部の一部とする容積可変の液室が形成される液体封入式防振装置であって、
    上記ケーシング部の外側の側面に保持される略矩形状のストッパ本体部と、当該ストッパ本体部の筒軸方向両端部から筒径方向内側に延びる上下一対のストッパ取付部と、を有する断面略コ字状に形成された、当該ケーシング部とは別体のゴム製ストッパ部をさらに備え、
    上記上下一対のストッパ取付部には、筒軸方向内側に突出する突条部がそれぞれ形成されている一方、上記ストッパ本体部の内側面には、溝部を形成するように筒径方向内側に突出する内側突起部が形成されており、
    上記ストッパ部は、上記ケーシング部の筒軸方向両端部に形成された、各々筒軸方向外側に開口し且つ上記貫通孔の接線方向に延びるスライド溝部に、上記突条部をスライド挿入することにより、当該ケーシング部に取り付けられることを特徴とする液体封入式防振装置。
  2. 請求項1記載の液体封入式防振装置において、
    上記ストッパ本体部の外側面には、溝部を形成するように筒径方向外側に突出する外側突起部が形成されており、
    上記スットパ部には、上記ストッパ本体部に対応する略矩形状の本体部と、当該本体部の筒軸方向両端部から筒径方向内側に延びる、上記上下一対のストッパ取付部に対応する上下一対の延出部と、を有する断面略コ字状に形成された補強部材が埋設されており、
    上記補強部材の本体部には、開口部が形成されていることを特徴とする液体封入式防振装置。
  3. 請求項1又は2記載の液体封入式防振装置において、
    上記スライド溝部は、上記突条部の挿入方向の一方側が閉塞されている一方、上記突条部の挿入側である挿入方向他方側が開口しており、
    上記スライド溝部の挿入方向他方側の端部には、当該スライド溝部の溝幅方向に突出する凸部が形成されており、
    上記凸部は、挿入方向一方側の面が挿入方向と略直角に溝幅方向に延びるように形成されている一方、挿入方向他方側の面が一方側に行くほど当該スライド溝部の溝幅を狭めるように溝幅方向に傾斜していることを特徴とする液体封入式防振装置。
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