JP2012188618A - クロロプレンゴム及びそれを用いた接着剤 - Google Patents
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Abstract
接着物性、刷毛塗り性及び耐層分離性に優れた溶剤型接着剤を作成可能なクロロプレンゴム及びこれを用いた接着剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
ゲル浸透クロマトグラフ−多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)を用いて測定される、線状ポリスチレンを基準ポリマーとする重量平均分子量100万〜150万での平均分岐指数gMが、1.00〜1.12であるクロロプレン系重合体組成物を提供する。これにより非芳香族溶剤接着剤において、耐層分離性に優れたクロロプレンゴムとすることができる。
【選択図】なし
Description
溶剤型接着剤もその代表例の一つであり、被着体適応性の広さや接着特性のバランスの良さから種々の用途で使用されている。近年、溶剤型接着剤に使用される溶剤はシックハウス症候群の原因となるトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族系溶剤から非芳香族溶剤への転換が望まれている。しかしながら、この転換に伴って、溶剤型接着剤を貯蔵している際に有機溶剤に溶解する成分と不溶な成分に分離するいわゆる層分離が発生しやすくなってしまった。
溶剤型接着剤の層分離を改良する手段としては、(1)クロロプレン共重合体を、特定の構造を有する単量体とクロロプレンの共重合体とする方法、(2)クロロプレンゴムのポリマー構造を制御する方法などが発明されている。
(1)の例としては、クロロプレンと、特定のエチレン性不飽和スルホン酸やその塩との共重合体を、有機溶剤に溶解させることで、耐層分離性に優れる接着剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
(2)の例としては、ポリクロロプレンラテックスを加熱処理し、重クロロホルム溶媒中で測定される1H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト4.13〜4.30ppmに現れるピーク面積を制御することで、耐層分離性の優れる接着剤が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
例えば、特許文献1のように、クロロプレン以外の単量体を共重合させると、クロロプレン単独重合体に比べて、重合体の結晶化速度が遅くなるため、溶剤系接着剤として利用した場合に、初期接着力が不足する場合がある。
特許文献2のように、ポリクロロプレンラテックスを加熱処理する方法では、クロロプレン重合体の分子鎖中の水酸基を増加させることになる。そのため、ポリクロロプレンゴムの有機溶剤溶液である主剤と、イソシアネート化合物の硬化剤を組み合わせて、2液型の溶剤系接着剤として使用した場合に、主剤と硬化剤を混合してから、使用可能な粘度上限に達するまでの時間(ポットライフ)が短くなる場合がある。
金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム等が例示されるが、これらに限定するものではない。本発明の接着剤では、酸化マグネシウムと酸化亜鉛を併用することが、接着剤の貯蔵中の粘度安定性が良好であるため好ましい。
金属酸化物の配合量も、特に限定されるものではないが、クロロプレンゴム100質量部に対して0.5〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
[クロロプレンゴムの製造]
内容積5リットルの反応機を用いて、窒素雰囲気下、純水100部に不均化ロジン酸カリウム塩ロンヂスK−25(荒川化学工業社製)12部、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合物のナトリウム塩(商品名デモールN:花王製)0.5部、水酸化ナトリウム0.3部を溶解した。この溶液中にクロロプレン100部、ドデシルメルカプタン0.12部を加え乳化した後、過硫酸カリウムを開始剤として用い、窒素雰囲気下で10℃で乳化重合を行った。クロロプレンの重合率が75%に達したところでフェノチアジン乳濁液を加え重合を停止させた。次いで、減圧下で加熱し、未反応のクロロプレンを回収した。得られたポリクロロプレンラテックスを希酢酸によりpH7に調整後、定法の凍結凝固法によりシートとし、これを乾燥させてクロロプレンゴムを得た。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験の結果を表1に示す。
線状ポリマーとして、東ソー社製スタンダードポリスチレンF−128(Mw=109万、Mw/Mn=1.08)と東ソー社製スタンダードポリスチレンF288(Mw=288万、Mw/Mn=1.09)をそれぞれ20mg測りとり、混合して20mlのTHF(特級、99.5%、和光化学工業社製)に23℃で溶解し、標準液とした。クロロプレンゴム40mgを20mlの特級THF(和光化学株式会社製)に23℃で溶解し、クロロプレンゴムの0.2%THF溶液を作製した。その溶液を0.5μmのフィルターでろ過し、測定サンプルとした。
平均分岐指数gMはGPC−MALLSにより測定した。MALLSは、ワイアットテクノロジー社製DAWN−DSP−F、ポンプはShodex社製DS−4、RI検出器はShodex社製RI−71を用いて行った。分離カラムはTSKgel GMHHR−H(30)を用い、流速は1ml/min、カラム温度は23℃、200μlの注入量で測定した。標準はジーエルサイエンス社製ポリスチレンスタンダード(Mw=30,300、Mw/Mn=1.0)を用いた。
ワイアットテクノロジー社製解析ソフトASTRAによりデータ処理を行い、基準試料に対する測定サンプルの回転2乗半径の比と分子量の相関を算出する。重量平均分子量100〜150万の範囲の分岐指数の平均をgMとする。
本特許においては、容易に入手でき、かつ品質が安定しているポリスチレンを標準物質とした。ポリスチレンとポリクロロプレンは化学構造が異なるため、ポリスチレンを標準物質として測定したポリクロロプレンの平均分岐指数gMは1.00を越える場合がある。
参考データとして、比較例1のクロロプレンポリマーを標準に用いてGPC−MALLS測定して得られた、平均分岐指数gM(参考)を表1及び表2に示す。
クロロプレンゴムについて、JIS−K 6300に準拠し、100℃におけるムーニー粘度を測定した。
クロロプレンゴム17gとトルエン153gをクロロプレンゴムが完全に溶解するまで混合攪拌し、クロロプレンゴムの10%トルエン溶液とする。20℃に調節した試験溶液に、内径6mmの透明ガラス管を30mm沈め、2000rpmで30秒回転させた。液面を基準として、ガラス管内を上昇した10%トルエン溶液の最高高さをノギスで測定した。
アルキルフェノール樹脂(タマノル526:荒川化学工業社製)50部と酸化マグネシウム(キョウワマグ#150:協和化学工業社製)3部をシクロヘキサン100部に溶解させて、室温下、16時間キレート化反応させた。次に、そのシクロヘキサン溶液に対して、クロロプレンゴム100部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ノクラック200:大内新興化学工業社製)1部、酸化マグネシウム3部、酸化亜鉛1部、シクロヘキサン180部、n−ヘキサン75部、アセトン120部、酢酸イソプロピル55部を加え、クロロプレンゴムが完全に溶解するまで混合攪拌し、接着剤を得た。接着剤の粘度、耐層分離性及び剥離強度の結果を表1に示す。
接着剤を作成後、ブルックフィールド型粘度計を用いて25℃における粘度を測定した。
接着剤をガラス製容器に入れ、遮光下、60℃の恒温水槽中に貯蔵した。8週間にわたり接着剤の外観観察を実施し、接着剤成分の分離が見られた週を記録した。
剥離強度試験は、被着体として帆布を用い、JIS K 6854−3:1999に規定された方法に準じて行った。得られた接着剤を、帆布に約300g/m2の塗布量となるように3回に分けて刷毛にて塗布し、最終塗布から30分放置した後、帆布の接着剤塗布面同士を張り合わせて圧着した。張り合わせたサンプルを23℃で7日間養生した後、200×25mmのサイズに裁断し、23℃雰囲気下で200mm/分の速度でT型剥離試験を行った。
ドデシルメルカプタンが0.11部、重合率が73%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は、キレート反応後に加える溶剤がシクロヘキサン203部、n−ヘキサン81部、アセトン130部、酢酸イソプロピル60部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
ドデシルメルカプタンが0.13部、重合率が79%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は、キレート反応後に加える溶剤が、シクロヘキサン157部、n−ヘキサン69部、アセトン110部、酢酸イソプロピル51部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
ドデシルメルカプタンが0.18部、重合温度が30℃であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は、キレート反応後に加える溶剤が、シクロヘキサン157部、n−ヘキサン69部、アセトン110部、酢酸イソプロピル51部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
クロロプレン97部、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが3部であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
ドデシルメルカプタンが0.16部、重合率が85%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は、キレート反応後に加える溶剤が、シクロヘキサン70部、n−ヘキサン31部、アセトン49部、酢酸イソプロピル23部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
ドデシルメルカプタンが0.09部、重合率が63%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は、キレート反応後に加える溶剤が、シクロヘキサン235部、n−ヘキサン103部、アセトン165部、酢酸イソプロピル76部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
ドデシルメルカプタンが0.10部、重合率が85%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は、キレート反応後に加える溶剤がシクロヘキサン203部、n−ヘキサン81部、アセトン130部、酢酸イソプロピル60部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表1に示す。
ドデシルメルカプタン0.11部、重合率が68%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の配合は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表2に示す。
ドデシルメルカプタン0.14部、重合率が80%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の配合はキレート反応後に加える溶剤が、シクロヘキサン192部、n−ヘキサン78部、アセトン125部、酢酸イソプロピル57部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表2に示す。
ドデシルメルカプタン0.10部、重合温度30℃、重合率が70%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の配合はキレート反応後に加える溶剤が、シクロヘキサン151部、n−ヘキサン66部、アセトン108部、酢酸イソプロピル47部であること以外は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表2に示す。
クロロプレン97部、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが3部、重合率が68%であること以外、実施例1と同様の条件で重合を行った。接着剤の調整は実施例1の条件で行った。平均分岐指数gM、ムーニー粘度ML(1+4)100℃、刷毛塗り性試験、接着剤の粘度、耐層分離性、剥離強度の結果を表2に示す。
Claims (4)
- ゲル浸透クロマトグラフ−多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)を用いて測定される、線状ポリスチレンを基準ポリマーとする重量平均分子量100万〜150万での平均分岐指数gMが、1.00〜1.12であるクロロプレンゴム。
- ムーニー粘度が、55〜100ML(1+4)100℃である請求項1記載のクロロプレンゴム。
- 20℃に調整したクロロプレンゴムの10%トルエン溶液に、内径6mmの透明ガラス管を30mm沈めて2000rpmで30秒回転させた時、ガラス管内を上昇するトルエン溶液の最高高さが10mm以下となることを特徴とする請求項1または項2に記載のクロロプレンゴム。
- 請求項1〜3いずれか一項に記載のクロロプレンゴムを非芳香族溶剤に溶解することで得られる接着剤。
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