JP2012188393A - ニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法 - Google Patents

ニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを、効率よく高い収率で得ることができるニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法を提供する。
【解決手段】 ニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法は、特定のニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、種々の医薬品の製造用中間体として有用なニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法に関する。
ニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法としては、例えば、ニトロチオフェノールとハロゲン化アルキルとを反応させ、反応液中からニトロフェニルアルキルスルフィドを分離する方法が知られている。具体的には、下式に示すように、4−ニトロチオフェノールとイソプロピルヨーダイドとをフッ化セシウムの存在下に反応させた後、カラムを用いて反応液中から4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドを分離する4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの製造方法が知られている(非特許文献1)。
また、ビスニトロフェニルジスルフィドとハロゲン化アルキルとを反応させ、反応液中からニトロフェニルアルキルスルフィドを分離する方法が知られている。具体的には、ビス(4−ニトロフェニル)ジスルフィドとイソプロピルブロマイドとをヒドロキシメタスルフィン酸ナトリウムおよび炭酸カリウムの存在下に反応させた後、カラムを用いて反応液中から4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドを分離する4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの製造方法が知られている(非特許文献2)。
Tetrahedron Letters, 43, 8281−8284(2002) Synthesis,1,85−91(2007)
非特許文献1および非特許文献2に記載のニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法では、カラムを用いて反応液中からニトロフェニルアルキルスルフィドを分離しているので、反応液をカラムに通過させるのに時間を要すため、処理能力の面で効率的とはいえない。また、ニトロフェニルアルキルスルフィドの収率が低くなるおそれがあり、工業的に有利な方法ではない。
本発明の目的は、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを、効率よく高い収率で得ることができるニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法を提供することである。
本発明は、式(1);
(式中、Rは炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。)
で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程を含むことを特徴とするニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法である。
また本発明のニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法では、前記脂肪族炭化水素として、炭素数が6または7の脂肪族炭化水素を用いることを特徴とする。
また本発明は、式(1);
(式中、Rは炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。)
で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物を得る反応工程であって、
式(2);
で表されるニトロチオフェノールと、
式(3);
(式中、Rは上記式(1)におけるRと同じ基を示し、炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。また、Xはハロゲン原子を示す。)
で表されるハロゲン化アルキルとを反応させる反応工程と、
前記反応工程で得られたニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程とを含むことを特徴とするニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法である。
本発明によれば、ニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法は、前記式(1)で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程を含む。ニトロフェニルアルキルスルフィドは、脂肪族炭化水素に高い溶解性を示すのに対して、種々の製造方法で得られた粗生成物中に含まれる不純物は、通常、脂肪族炭化水素に不溶である。そのため、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出することで、粗生成物からニトロフェニルアルキルスルフィドを分離することができ、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを得ることができる。また、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程を含むニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法は、カラムを用いたニトロフェニルアルキルスルフィドの分離方法に比べて、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを効率よく高い収率で得ることができる。したがって、ニトロフェニルアルキルスルフィドを簡便な方法で、工業的に有利に高純度で製造することができる。
また本発明によれば、炭素数が6または7の脂肪族炭化水素を用いて、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出するので、粗生成物からニトロフェニルアルキルスルフィドをより容易に分離することができる。
また本発明によれば、ニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法は、反応工程と抽出工程と、を含む。反応工程では、前記式(2)で表されるニトロチオフェノールと、前記式(3)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させて、前記式(1)で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物を得る。抽出工程では、反応工程で得られたニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する。
ニトロフェニルアルキルスルフィドは、脂肪族炭化水素に高い溶解性を示すのに対して、前記反応工程で得られた粗生成物に含まれる不純物は、通常、脂肪族炭化水素に不溶である。そのため、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出することで、粗生成物からニトロフェニルアルキルスルフィドを分離することができ、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを得ることができる。また、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程では、カラムを用いたニトロフェニルアルキルスルフィドの分離方法に比べて、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを効率よく高い収率で得ることができる。したがって、ニトロフェニルアルキルスルフィドを簡便な方法で、工業的に有利に高純度で製造することができる。
本発明のニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法は、反応工程と、抽出工程と、を含む。本発明のニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法では、下記式(1)で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを得る。
(式中、Rは炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。)
上記式(1)において、Rで示される炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、およびn−ペンチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができる。
上記式(1)において、Rで示される炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。また、上記式(1)において、Rで示される炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基としては、シクロプロピルメチル基およびシクロペンチルメチル基等を挙げることができる。
上記式(1)で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドの具体例としては、例えば、2−ニトロフェニル−n−プロピルスルフィド、2−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィド、2−ニトロフェニル−シクロプロピルスルフィド、2−ニトロフェニル−n−ブチルスルフィド、2−ニトロフェニル−sec−ブチルスルフィド、2−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィド、2−ニトロフェニル−シクロペンチルスルフィド、2−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィド、3−ニトロフェニル−n−プロピルスルフィド、3−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィド、3−ニトロフェニル−シクロプロピルスルフィド、3−ニトロフェニル−n−ブチルスルフィド、3−ニトロフェニル−sec−ブチルスルフィド、3−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィド、3−ニトロフェニル−シクロペンチルスルフィド、3−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィド、4−ニトロフェニル−n−プロピルスルフィド、4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィド、4−ニトロフェニル−n−ブチルスルフィド、4−ニトロフェニル−sec−ブチルスルフィド、4−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィド、4−ニトロフェニルシクロプロピルスルフィド、4−ニトロフェニル−シクロペンチルスルフィドおよび4−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィド等が挙げられる。
<反応工程>
反応工程では、たとえば、下記式(2)で表されるニトロチオフェノールと、下記式(3)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させ、上記式(1)で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物を得る。
(式中、Rは上記式(1)におけるRと同じ基を示し、炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。また、Xはハロゲン原子を示す。)
上記式(2)で表されるニトロチオフェノールは、市販されたものでもよく、種々の公知の方法により製造されたものでもよい。
上記式(2)で表されるニトロチオフェノールの具体例としては、2−ニトロチオフェノール、3−ニトロチオフェノール、および4−ニトロチオフェノール等を挙げることができる。これらの中でも、4−ニトロチオフェノールが好適に用いられる。
上記式(3)におけるRは、上記式(1)におけるRと同じ基を示す。具体的には、上記式(3)において、Rで示される炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、およびn−ペンチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができる。
上記式(3)において、Rで示される炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等の環状のアルキル基を挙げることができる。また、上記式(3)において、Rで示される炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基としては、シクロプロピルメチル基およびシクロペンチルメチル基等を挙げることができる。
上記式(3)において、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等が挙げられる。
上記式(3)で表されるハロゲン化アルキルは、市販のものを用いることができる。上記式(3)で表されるハロゲン化アルキルの具体例としては、例えば、n−プロピルブロマイド、n−プロピルクロライド、イソプロピルブロマイド、イソプロピルクロライド、イソプロピルヨーダイド、tert−ブチルブロマイド、tert−ブチルヨーダイド、シクロプロピルブロマイド、シクロペンチルブロマイド、およびシクロヘキシルブロマイド等を挙げることができる。
上記式(3)で表されるハロゲン化アルキルの使用割合は、上記式(2)で表されるニトロチオフェノール1モルに対して、0.8モル以上2.0モル以下であることが好ましく、0.9モル以上1.5モル以下であることがより好ましい。
反応工程における、前記ニトロチオフェノールと前記ハロゲン化アルキルとの反応は、好ましくは、溶媒の存在下に行われる。
前記溶媒としては、反応に対して不活性で、前記ニトロチオフェノール等を溶解する溶媒であれば特に限定されず、例えば、非プロトン性極性溶媒が好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記溶媒の使用量としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記ニトロチオフェノール100質量部に対して、10質量部以上2000質量部以下であることが好ましい。溶媒の使用量が2000質量部を超える場合、容積効率が悪化し、経済的でなくなるおそれがある。
前記ニトロチオフェノールと前記ハロゲン化アルキルとを反応させる反応温度は、0℃以上200℃以下であることが好ましく、50℃以上150℃以下であることがより好ましく、100℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。反応温度が0℃未満の場合、反応速度が遅く反応に長時間を要するおそれがあり、200℃を超える場合、副反応が起こりやすく、上記式(1)で表わされるニトロフェニルアルキルスルフィドの収率および純度が低下するおそれがある。
反応時間は、反応温度により異なるが、通常、0.5時間以上60時間以下である。
反応工程において、前記ニトロチオフェノールと前記ハロゲン化アルキルとを反応させる反応は、反応を効率的に進めるという観点から塩基の存在下に行うことが好ましい。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、およびフッ化セシウム等が挙げられる。これらの中でも入手の容易さ、操作性の観点等から炭酸カリウムが好適に用いられる。
前記塩基の使用割合は、前記ニトロチオフェノール1モルに対して、2.0モル以下であることが好ましく、1.0モル以上1.4モル以下であることがより好ましい。塩基の使用割合が、2.0モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的に有利でない。
反応終了後の反応液には、その構造は特定されていないが、ニトロ系化合物と考えられる黒色のタール分等の不純物が含まれている。すなわち、反応終了後の反応液は、目的生成物であるニトロフェニルアルキルスルフィドを含み、それ以外に不純物を含む粗生成物である。高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを得るためには、黒色タール分等を不純物として含有する粗生成物からニトロフェニルアルキルスルフィドを分離する必要がある。
<抽出工程>
抽出工程では、反応工程で得られた反応終了後の反応液(粗生成物)と、脂肪族炭化水素とを混合し、反応液(粗生成物)中の前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する。
前記ニトロフェニルアルキルスルフィドは、脂肪族炭化水素に高い溶解性を示すのに対して、反応液(粗生成物)中に含まれる不純物は、脂肪族炭化水素に不溶である。そのため、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出することで、反応液(粗生成物)から前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを分離することができ、高純度の前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを得ることができる。また、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出することによって、カラムを用いたニトロフェニルアルキルスルフィドの分離方法に比べて、高純度の前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを効率よく高い収率で得ることができる。したがって、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを簡便な方法で、工業的に有利に高純度で製造することができる。
脂肪族炭化水素としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも炭素数6または7の脂肪族炭化水素が好ましく、入手容易性の観点等からn−ヘキサン、n−ヘプタンがより好ましい。
脂肪族炭化水素の使用量は、特に限定されないが、例えば、ニトロチオフェノールとハロゲン化アルキルとを反応させて得られたニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物の場合には、反応工程で用いた前記ニトロチオフェノール100質量部に対して、100質量部以上3000質量部以下であることが好ましい。脂肪族炭化水素の使用量が3000質量部を超える場合、容積効率が悪化し、経済的でなくなるおそれがある。
なお、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドの収率を上げる観点から、脂肪族炭化水素に水を加えて用いてもよい。水の使用量としては、特に限定されるものではないが、ニトロチオフェノールとハロゲン化アルキルとを反応させて得られたニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物の場合には、反応工程で用いた前記ニトロチオフェノール100質量部に対して、100質量部以上4000質量部以下であることが好ましい。水の使用量が4000質量部を超える場合、容積効率が悪化し、経済的でなくなるおそれがある。
また、さらに高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを得るためには、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、抽出した脂肪族炭化水素相に活性炭等を加えて吸着処理することが好ましい。活性炭の使用量としては、例えば、ニトロチオフェノールとハロゲン化アルキルとを反応させて得られたニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物の場合には、反応工程で用いた前記ニトロチオフェノール100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。活性炭の使用量が10質量部を超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的に有利ではない。活性炭の種類には特に制限はない。このような吸着処理は、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを抽出した脂肪族炭化水素相を水等で洗浄した後に行うことが好ましい。
<単離工程>
本実施形態のニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法は、抽出工程で得られた前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを含む脂肪族炭化水素相から前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを単離する単離工程を含む。その単離方法は特に限定されないが、脂肪族炭化水素相から脂肪族炭化水素を蒸留除去する方法、または脂肪族炭化水素相から前記ニトロフェニルアルキルスルフィドをそのまま晶析する方法等を挙げることができる。なお、晶析する際には収率を上げる観点から、必要に応じ、脂肪族炭化水素の一部を蒸留除去した後に晶析することが好ましい。
本実施形態における、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出することで粗生成物から前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを分離する工程を含む製造方法は、前述した以外の公知の反応によって得られるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む反応液からなる粗生成物、または公知の反応によって得られた反応液の濃縮乾固物からなる粗生成物より前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを分離することで、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを製造するときに適用することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
攪拌機および温度計を備えた2L(リットル)容のオートクレーブに、4−ニトロチオフェノール77.6g(0.5モル)、およびN−メチルピロリドン790gを仕込み、室温にて攪拌しながら炭酸カリウム89.9g(0.7モル)を添加し、次いでイソプロピルブロマイド86.1g(0.7モル)を添加した。イソプロピルブロマイドを添加後、135℃に昇温し、同温度にて20時間攪拌させた。反応終了後、反応液を50℃に冷却し、n−ヘプタン800gと水1750gとを添加して、4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドをn−ヘプタン相に抽出した。分液後、7%塩酸水溶液400g、水100gにて洗浄し、活性炭3gを添加して、1時間室温で攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。
引き続き、前記n−ヘプタン相からn−ヘプタンを600g留去した後、攪拌しながら50℃から0℃まで冷却して4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドを晶析させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶をn−ヘプタンで洗浄後、乾燥して4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィド76.9gを得た。得られた4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの純度は、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、面積百分率により、98.6%であった。また、4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの収率は、4−ニトロチオフェノールに対して78.0%であった。
(実施例2)
攪拌機および温度計を備えた2L(リットル)容のオートクレーブに、4−ニトロチオフェノール77.6g(0.5モル)、およびジメチルスルホキシド790gを仕込み、室温で攪拌しながら炭酸カリウム89.9g(0.7モル)を添加し、その後、イソプロピルブロマイド86.1g(0.7モル)を添加した。添加後、135℃に昇温し、40時間反応させた。反応終了後、反応液を50℃に冷却し、n−ヘプタン1600gと水1500gとを添加して、4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドをn−ヘプタン相に抽出した。分液後、7%塩酸水溶液400g、水100gで洗浄した。
引き続き、得られたn−ヘプタン相を攪拌しながら50℃から0℃まで冷却して4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドを晶析させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶をn−ヘプタンで洗浄後、乾燥して4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドを71.3g得た。得られた4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの純度は、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、面積百分率により、98.3%であった。また、4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの収率は、4−ニトロチオフェノールに対して73.0%であった。
(実施例3)
攪拌機および温度計を備えた2L(リットル)容のオートクレーブに、4−ニトロチオフェノール77.6g(0.5モル)、およびN−メチルピロリドン790gを仕込み、室温で攪拌しながら炭酸カリウム89.9g(0.7モル)を添加し、次いでtert−ブチルブロマイド95.9g(0.7モル)を添加した。添加後、135℃に昇温し、20時間反応させた。反応終了後、反応液を50℃に冷却し、n−ヘプタン1100gと水1750gとを添加して、4−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィドをn−ヘプタン相に抽出した。分液後、7%塩酸水溶液400g、水100gにて洗浄後、活性炭3gを添加し、1時間室温で攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。
引き続き、前記n−ヘプタン相からn−ヘプタン700gを留去した後、攪拌しながら50℃から0℃まで冷却して4−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィドを晶析させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶をn−ヘプタンで洗浄後、乾燥して4−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィド81.4gを得た。得られた4−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィドの純度は、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、面積百分率により、98.9%であった。また、4−ニトロフェニル−tert−ブチルスルフィドの収率は、4−ニトロチオフェノールに対して77.1%であった。
(実施例4)
攪拌機および温度計を備えた2L(リットル)容のオートクレーブに、4−ニトロチオフェノール77.6g(0.5モル)、およびN−メチルピロリドン790gを仕込み、室温で攪拌しながら炭酸カリウム89.9g(0.7モル)を添加し、次いで、シクロヘキシルブロマイド114.1g(0.7モル)を添加した。添加後、135℃に昇温し、20時間反応させた。反応終了後、反応液を50℃に冷却し、n−ヘプタン1100gと水1750gとを添加して、4−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィドをn−ヘプタン相に抽出した。分液後、7%塩酸水溶液400g、水100gにて洗浄後、活性炭3gを添加し、1時間室温で攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。
引き続き、前記n−ヘプタン相からn−ヘプタン700gを留去した後、攪拌しながら50℃から0℃まで冷却して4−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィドを晶析させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶をn−ヘプタンで洗浄後、乾燥して4−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィド89.7gを得た。得られた4−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィドの純度は、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、面積百分率により、98.1%であった。また、4−ニトロフェニル−シクロヘキシルスルフィドの収率は、4−ニトロチオフェノールに対して75.6%であった。
(比較例1)
攪拌機および温度計を備えた2L(リットル)容のオートクレーブに、4−ニトロチオフェノール77.6g(0.5モル)、およびN−メチルピロリドン790gを仕込み、室温で攪拌しながら炭酸カリウム89.9g(0.7モル)を添加し、次いで、イソプロピルブロマイド86.1g(0.7モル)を添加した。添加後、135℃に昇温し、20時間反応させた。反応終了後、50℃に冷却し、メチルtert−ブチルエーテル800gと水1750gとを添加して、4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドをメチルtert−ブチルエーテル相に抽出した。分液後、7%塩酸水溶液400g、水100gにて洗浄後、活性炭3gを添加し、1時間室温で攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。
前記メチルtert−ブチルエーテル相からメチルtert−ブチルエーテル600gを留去した後、攪拌しながら50℃から0℃まで冷却して4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの結晶を晶析させた。析出した結晶をろ過し、得られた結晶をn−ヘプタンで洗浄後、乾燥して4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィド45.2gを得た。得られた4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの純度は、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、面積百分率により、90.2%であった。4−ニトロフェニル−イソプロピルスルフィドの収率は、4−ニトロチオフェノールに対して45.8%であった。
以上のように、実施例1〜4では、高純度のニトロフェニルアルキルスルフィドを、効率よく高い収率で得ることができる。

Claims (3)

  1. 式(1);
    (式中、Rは炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。)
    で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、前記ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程を含むことを特徴とするニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法。
  2. 前記脂肪族炭化水素として、炭素数が6または7の脂肪族炭化水素を用いることを特徴とする請求項1に記載のニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法。
  3. 式(1);
    (式中、Rは炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。)
    で表されるニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物を得る反応工程であって、
    式(2);
    で表されるニトロチオフェノールと、
    式(3);
    (式中、Rは上記式(1)におけるRと同じ基を示し、炭素数3〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基もしくは炭素数4〜6のシクロアルキルアルキル基を示す。また、Xはハロゲン原子を示す。)
    で表されるハロゲン化アルキルとを反応させる反応工程と、
    前記反応工程で得られたニトロフェニルアルキルスルフィドを含む粗生成物と、脂肪族炭化水素とを混合し、ニトロフェニルアルキルスルフィドを脂肪族炭化水素に抽出する工程とを含むことを特徴とするニトロフェニルアルキルスルフィドの製造方法。
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JPN6014043584; Tetrahedron Letters Vol.43, 2002, P.8281-8283 *

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