JP2012183636A - 分離型切削チップおよび切屑処理構造を備えた切削インサート - Google Patents

Abstract

【課題】分離型切削チップおよび切屑処理構造を備えた切削インサートを提供する。
【解決手段】切削インサートは、インサートの湾曲した切削コーナーの周りを包む、予め形成された分離型切削チップを組み込んでいる。切削チップは、上層および上層よりも比較的より硬質な材料からなる下層を含む。一実施形態では、下層は多結晶ダイヤモンド（ＰＣＤ）または多結晶立方晶窒化ホウ素（ＣＢＮ）材料からなり、上層は超硬合金からなる。切削インサートは、切削作業中の切屑処理を提供するために、中心線の両側に形成された複数のファセットを含む切削チップに形成された切屑処理構造をさらに組み込んでもよい。切屑処理構造は、下層の一部を露出させるように、二段階工程で形成することができる。分離型切削チップは、切屑処理構造を形成する前に、切削インサートに蝋付けすることができる。
【選択図】図１

Description

非鉄材料および研摩材料を機械加工する場合でさえ、より長く鋭い状態を保つ鋭利な切削エッジを金属切削インサートに備えることは、金属切削産業における不変の目標である。この目的のために、多結晶ダイヤモンド（ＰＣＤ）材料および多結晶立方晶窒化ホウ素（ＣＢＮ）材料を炭化物基材上に組み込み、改善された切削エッジを提供することが知られている。しかしながら、切削チップの大部分はスロット内に埋め込まれており、この埋め込まれた部分は、スロット内にチップを保持するための構造材料としてのみ働き、被加工物と接触しない。

基材として使用されるＰＣＤまたはＣＢＮ材料は、超硬合金と比較して、コストが非常に高い。コストを削減する１つの試みは、切削インサートの刃先の周りを包み、超硬合金基材の下層に支持されるＰＣＤまたはＣＢＮ材料からなる上層を有する分離型切削チップを組み込む切削インサートを提供することである。しかしながら、ＰＣＤまたはＣＢＮ材料の上層はチップブレーカを嵌めこむことができる十分な厚さを有しているが、その厚さは機械加工には不十分であるため、切削インサートの機械寿命が短くなってしまうことが分かっている。

比較的より硬質な材料の上層および比較的より軟質な材料の下層からなる分離型チップを備える切削インサートの機械寿命が短いという問題は、これらの材料を逆にして、比較的より軟質な材料からなる上層および比較的より硬質な材料からなる下層を有する分離型チップを備える切削インサートを備え、次いで、上層から材料を除去して比較的より硬質な下層の一部を露出させ、切削エッジを形成することにより解決される。

一態様では、切削インサートは、上面、下面、上面および下面を接合する少なくとも２つの側壁、少なくとも２つの側壁の交差部にある湾曲した切削コーナー、ならびに、各側壁および上面の交差部に形成された切削エッジを有する本体と、湾曲した切削コーナーに形成された凹部と、第１の材料からなる上層、および、凹部の床部に隣接して配置され、第１の材料より高い硬度を有する第２の材料からなる下層を含み、凹部に取り付けられた切削チップとを含む。

別の態様では、複数のファセットによって画定された切屑処理構造を備え、第１の材料からなる上層と、凹部の床部に隣接して配置され、第１の材料より高い硬度を有する第２の材料からなる下層とを含む切削チップを有する切削インサートを製造する方法は、
第１の角度Ａ１で上層から材料を除去して下層を露出させることと、
第２の角度Ａ２で上層から材料を除去してさらに下層を露出させることと
を含む。

本発明の一態様による、切削インサートの組立分解等角図である。 本発明の一態様による、図１に示した切削インサートの部分拡大図である。 図２の上面図である。 図３の切断線４−４における断面図である。

本発明の様々な実施形態を説明するが、示した特定の実施形態は請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正が行われてもよい。

図１〜４を参照すると、切削インサートは、本発明の一実施形態によって一般に１０で示される。一般に、切削インサート１０は、中心軸線Ａがその中を通って延在する多角形本体１２を有する。本体１２は、上面１４と、実質的に平面である下面１６と、上面１４および下面１６に垂直であり、また、上面１４および下面１６を接合する複数の側壁１８とを有する。図中に示した特定の実施形態について、ツールホルダ（図示せず）内にインサートを保持するために、中央ピン受穴１７がインサート１０を貫いて備えられている。別の実施形態では、切削インサート１０は、切削インサートをツールに固定するための穴をその中に含んでいない。むしろ、切削インサート１０は、締め付け機構によってツールの中に保持され、それによって、確実に切削インサートをツール内に保持する。湾曲した切削コーナー２０は、側壁１８の交差部にそれぞれあり、一方、切削エッジ２２は、各側壁１８とＴ領域３４との交差部にそれぞれ形成されている。切削インサート１０にＴ領域がない場合、切削エッジ２２は、各側壁２２と窪んだ領域３８との交差部に形成される。

本体１２は、超硬合金などの適切な材料から作られてもよく、また、一般に２４で示される凹部がインサート本体１２に成型されるような、モールド成型などの当技術分野で知られている、任意の数の従来の工程を用いて製造されてもよい。別の方法では、凹部２４は、インサート本体１２が製造された後に、超硬合金基材から材料を除去するための、任意の数の商業技術によって生成されてもよい。凹部２４は、各湾曲した切削コーナー２０に形成され、２つの隣接する側壁１８の間に延在する。図１に示したように、凹部２４は、床部２４ａ、後壁２４ｂおよび端壁２４ｃ、２４ｄを有する。

本発明の一態様は、切削インサート１０が、一般に２６で示される、予め形成された分離型切削チップを含むことである。切削チップ２６は、多結晶ダイヤモンド（ＰＣＤ）または多結晶立方晶窒化ホウ素（ＰＣＢＮ）などの適切な材料からなる下層２８、および、超硬合金などの適切な材料からなる上層３０で構成されてもよい（線３９は、下層２８と上層３０との分離線である）。ＰＣＤは、非鉄用途に使用される一般的な材料であり、一方ＰＣＢＮは、硬化鋼用途に使用される一般的な材料である。ＰＣＤおよびＰＣＢＮが、超硬合金より硬度が高いことは当業者に知られている。下層２８は、凹部２４の床部２４ａに隣接して配置された切削チップ２６の底表面２８ａを画定し、上層３０は、切削チップ２６の頂表面３０ａ（またさらに切削インサート１０の上面１４の一部）を画定する。底表面２８ａは、切削チップ２６が凹部２４と係合するように、凹部２４の床部２４ａと形状が実質的に一致する。

切削チップ２６は、モールド成型などの当技術分野で知られている、任意の数の従来の工程を用いて製造することができる。一実施形態では、超硬合金材料からなる上層３０が成型され、ＰＣＤまたはＣＢＮ材料からなる下層２８が蒸着などによって上層３０に堆積される。チップ２６は、鑞付けなどによって切削インサート１０の凹部２４内に固定されてもよい。切削チップ２６は、凹部２４内に固定された場合、湾曲した切削コーナー２０の一部を形成する。

本発明の別の態様では、切削インサート１０は、上面１４に形成され、切削エッジ２２に沿って連続的に延在する、一般に３２で示される切屑処理構造を含む。本発明の一態様では、切屑処理構造は、少なくとも実質的に切削チップ２６の中、または切削チップ２６の上に形成される。図示した実施形態では、切削インサート１０は、切削インサート１０の湾曲した切削コーナー２０の中心線、すなわち、二等分線Ｘ−Ｘに関して対称である。一実施形態では、切屑処理構造３２は、切削インサート１０の湾曲した切削コーナー２０の中心線Ｘ−Ｘで対向する両側に形成された複数のファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄを含む。より具体的には、ファセット３２ａおよび３２ｂは中心線Ｘ−Ｘの片側に形成され、ファセット３２ｃおよび３２ｄは中心線Ａ−Ａの反対側に形成される。あるいは、切屑処理構造３２は、図示した実施形態の切子面ではなく、連続的に湾曲した面として形成されてもよい。

ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄの形態は、チップの形成を促進するための、当技術分野で知られている様々な形態のいずれであってもよいが、図４は、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄが、インサート本体１２の上面１４に関してファセット角度３６で形成された実施形態を示す。特に、ファセット角度３６は、約５度と約４５度との間の範囲にあってもよい。図示した実施形態では、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄは、上面１４と側壁１８との間に角度３５で延在するＴ領域３４に形成される。一実施形態では、角度３５は、約５度と約４５度との間の範囲にあってもよい。たとえば、角度３５は約２５度であってもよい。ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄは、以下で説明する二段階の工程中に下層２８を露出させることにより形成された窪んだ領域３８で終了する。

図３に示すように、線Ｌ１は、ファセット３２ａ、３２ｄと、切削インサート１０の上面１４との間の交差部に沿って延在する。同様に、線Ｌ２は、ファセット３２ｂ、３２ｃと、切削インサート１０の上面１４との間の交差部に沿って延在する。角度Ａ１は、中心線Ｘ−Ｘと線Ｌ１との間に画定され、角度Ａ２は、中心線Ｘ−Ｘと線Ｌ２との間に画定される。図４で見られるように、角度Ａ２は角度Ａ１より大きい。しかしながら、両方の角度Ａ１およびＡ２は９０度未満である。たとえば、角度Ａ１は約５度でもよく、角度Ａ２は約２２度でもよい。

本発明の別の態様では、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃ、３２ｄは、上面１４の下で始まり、ＰＣＤまたはＣＢＮ材料からなる下層２８が露出され、切削エッジ２２を形成している窪んだ領域３８へ向かって下方へ傾斜していてもよい。湾曲した切削コーナー２０の中心線Ｘ−Ｘの両側に、追加的なファセット、すなわち図示した２つずつのファセットよりも多いファセットを本発明の態様に従って備えてもよいことがわかる。さらに、単一の湾曲した切削コーナー２０に関して単一の切削チップ２６を述べてきたが、図１に示すように、切削チップ２６を他の湾曲した切削コーナー２０に関連させてもよいことを理解されたい。

さらに、Ｃ字形切削インサート１０を図１〜４に示す。しかしながら、本発明は、切削インサートの一特定形状によって限定されないことがわかる。たとえば、本発明の原理は、Ｄ字形切削インサート、Ｖ字形切削インサートなどで実施することができる。さらに、本発明の切削インサート１０は、４つの側壁を有する切削インサートによって限定されるべきではない。たとえば、本発明の切削インサートの形状は、３つの側壁を備えた三角形、５つの側壁を備えた五角形、６つの側壁を備えた六角形、８つの側壁を備えた八角形などであり得る。

図１〜４は、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄが切削インサート１０の上面１４に関して角度３６で形成されていることを示す。図示した実施形態では、ファセット３２ａおよび３２ｄは同一の角度３６で形成され、一方、ファセット３２ｂおよび３２ｃは、ファセット３２ａおよび３２ｄとは異なる角度３６で形成されている。しかしながら、本発明は、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄの角度３６によって限定されず、また、同一の角度３６で形成された、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄで実施することができる。たとえば、ファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄは、図４で画定された角度３６が凹部２４に沿って変わるような波状プロファイルを有することができる。この実施形態では、角度３６は、約５度から約４５度に及ぶ値であってもよい。当業者に知られている他の角度は、本発明の範囲内である。

これまで述べてきたものは、収束して丸みがついた、または湾曲した切削コーナー２０を画定する２つの側面を有する、切削インサートである。しかしながら、これらの２つの側面が平行となり、それら２つの側面の間のブリッジとして働くことは全く可能であり、そのことによって、切削チップ２６を受け入れるための凹部を提供する。

本発明の切削インサート１０を製造する方法について説明する。まず、成型工程を行い、切削インサート１０の各湾曲した切削コーナー２０に凹部２４を備えた超硬合金からなる多角形本体１２を型の中で形成する。各凹部２４の深さは、たとえば、凹部２４の端壁２４ｃ、２４ｄを結ぶ直線の距離の２分の１未満であってもよい。あるいは、多角形本体１２を成型し、次いで、別の工程で材料を除去し、凹部２４を形成することもできる。

次に、超硬合金上層３０を成型し、次いで、上層３０上にＰＣＤまたはＣＢＮ材料を堆積することにより、分離型切削チップ２６を形成する。その後、切削チップ２６は凹部２４内に配置する。次に、鑞付けなどにより、切削チップ２６を凹部２４内に固定する。

本発明の一態様によれば、二段階工程によって、切屑処理構造３２のファセット３２ａ、３２ｂ、３２ｃおよび３２ｄを切削インサート１０の中に形成する。第１段階において、角度３６でファセット３２ａおよび３２ｄを形成するように、超硬合金材料の上層３０から、中心線Ｘ−Ｘに関して角度Ａ１で材料を除去することにより、ファセット３２ａおよび３２ｄを形成する。材料は、研削およびレーザーなどの任意の適切な手段によって除去することができる。ファセット３２ａおよび３２ｄの形成中に、ＰＣＤまたはＣＢＮ材料の下層２８の一部を露出させて、切削エッジ２２の第１の部分を形成するように、上層３０の一部を除去する。第２段階において、角度３６でファセット３２ｂおよび３２ｃを形成するように、超硬合金材料の上層３０から、中心線Ｘ−Ｘに関して角度Ａ２で材料を除去することにより、ファセット３２ｂおよび３２ｃを形成する。この角度３６は、ファセット３２ａおよび３２ｄの角度３６と異なってもよいし、異ならなくてもよい。ファセット３２ｂおよび３２ｃの成形中に、窪んだ領域３８の第２の部分を露出させて、切削エッジ２２の第２の部分を形成するように、上層３０の一部を除去する。

この議論を通して、このようなインサートを保持するための様々な形状および構成を有するインサートを示してきた。インサート本体の中を通る孔に延在し、ツールホルダポケットに螺合する押さえねじであっても、または、ツールホルダのポケット内にインサートを保持するクランプであっても、任意の数の異なる構成を用いて、任意の形状のインサートをツールホルダ内に固定してよいことを理解されたい。したがって、インサートを保持する方法、および、本明細書で述べたようなインサートを保持するために必要なインサート本体への修正は、本発明の範囲上の限定として解釈されるべきではない。

本明細書に引用した特許および刊行物は、参照により本明細書に援用される。

好適な実施形態について説明してきたが、本発明は、添付した請求の範囲内で具体化される他のものであってもよい。

１０ 切削インサート
１２ インサート本体
１４ 上面
１６ 下面
１７ 中央ピン受穴
１８ 側壁
２０ 切削コーナー
２２ 切削エッジ
２４ 凹部
２４ａ 床部
２４ｂ 後壁
２４ｃ、２４ｄ 端壁
２６ 切削チップ
２８ 下層
２８ａ 底表面
３０ 上層
３０ａ 頂表面
３２ 切屑処理構造
３２ａ、３２ｂ、３２ｃ、３２ｄ ファセット
３４ Ｔ領域
３６ ファセット角度
３８ 窪んだ領域
３９ 線
Ａ１ 第１の角度
Ａ２ 第２の角度
Ｌ１、Ｌ２ 線
Ｘ−Ｘ 中心線

Claims (20)

1. 上面と、下面と、前記上面および前記下面を接合する少なくとも２つの側壁と、前記少なくとも２つの側壁の交差部にある湾曲した切削コーナーと、各側壁および前記上面の交差部に形成された切削エッジとを有する本体と、
   前記湾曲した切削コーナーに形成された凹部と、
   第１の材料からなる上層、および、前記凹部の床部に隣接して配置され、前記第１の材料より高い硬度を有する第２の材料からなる下層を含み、前記凹部に取り付けられた切削チップと
   を含む切削インサート。
2. 前記下層が多結晶ダイヤモンドまたは多結晶立方晶窒化ホウ素からなり、前記上層が超硬合金からなる、請求項１に記載の切削インサート。
3. 前記切削チップが切屑処理構造を含む、請求項１に記載の切削インサート。
4. 前記切屑処理構造が複数のファセットを含む、請求項３に記載の切削インサート。
5. 少なくとも２つのファセットが、前記湾曲した切削コーナーの中を通って延在する中心線の両側それぞれに形成される、請求項４に記載の切削インサート。
6. 前記ファセットが、前記本体の前記上面に関して、ある角度で形成される、請求項５に記載の切削インサート。
7. 前記角度が、約５度と約４５度との間にある、請求項６に記載の切削インサート。
8. 前記ファセットが、前記上面と前記少なくとも２つの側壁との間に延在するＴ領域に形成される、請求項５に記載の切削インサート。
9. 前記ファセットが、二段階工程によって切削インサートの中に形成される、請求項４に記載の切削インサート。
10. 少なくとも１つのファセットが、第１の角度Ａ１で切削インサートから材料を除去し、前記下層の一部を露出させることにより形成される、請求項９に記載の切削インサート。
11. 少なくとも別の１つのファセットが、第２の角度Ａ２で切削インサートから材料を除去し、さらに前記下層の一部を露出させることにより形成される、請求項１０に記載の切削インサート。
12. 前記ファセットが窪んだ領域で終了する、請求項５に記載の切削インサート。
13. 前記凹部が、床部、後壁および端壁を有する、請求項１に記載の切削インサート。
14. 前記切削チップの前記下層が底表面を画定し、前記切削チップの前記上層が頂表面を画定し、そして、前記切削チップが前記凹部と係合するように、前記切削チップの前記底表面が形状において前記凹部の前記床部と実質的に一致する、請求項１３に記載の切削インサート。
15. 前記本体が超硬合金材料からなる、請求項１に記載の切削インサート。
16. 複数のファセットによって画定された切屑処理構造を備え、第１の材料からなる上層、および、前記第１の材料より高い硬度を有する第２の材料からなる下層を含む切削チップを有する切削インサートを製造する方法であって、
    第１の角度Ａ１で前記上層から材料を除去して、前記下層を露出させることと、
    第２の角度Ａ２で前記上層から材料を除去して、さらに前記下層を露出させることと
    を含む方法。
17. 前記切削インサートの本体を成型し、型内に凹部を含めることにより、前記本体を形成するステップをさらに含む、請求項１６に記載の方法。
18. 前記切削チップを、前記切削インサートの前記凹部内に蝋付けするステップをさらに含む、請求項１７に記載の方法。
19. 前記切削インサートの本体を成型し、次いで、前記本体から材料を除去して凹部を形成することにより前記本体を形成するステップをさらに含む、請求項１６に記載の方法。
20. 前記切削チップを、前記切削インサートの前記凹部内に蝋付けするステップをさらに含む、請求項１９に記載の方法。

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