JP2012180679A - 断熱性積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量でありながら高い不燃性能を示す断熱性積層体を提供すること。
【解決手段】樹脂フォーム層(A)上に、金属層(B)、加熱時に発泡又は膨張する材料を含む加熱膨張層(C)、及び無機物シート(D)がこの順に積層された、断熱性積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、断熱性積層体に関する。
一般に、建築物の省エネルギー化を図る手段の一つとして、コンクリート壁面に断熱施工を行うことが挙げられる。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造において断熱施工に用いる断熱材としては、例えば、特許文献1に記載の型枠兼用断熱材のような、フェノール発泡体等の硬質合成樹脂の発泡体が多く使われている。
また、例えば特許文献2にあるように、密度が0.05g/cm〜0.20g/cmのケイ酸カルシウム板を利用した型枠兼用断熱材もある。
特許第2655947号公報 特開平09−88214号公報
しかしながら、特許文献1に記載の型枠兼用断熱材は、所定の断熱性能は得られるものの、断熱材が燃えやすい。このため、防火設備等の内装制限を受ける場所に用いる場合には、後工事が必要となるという問題点がある。また、特許文献2に記載の型枠兼用断熱材は、無機質であるため不燃性は優れているものの、断熱性能が劣っている。このため、厚くせざるを得なくなり、設計に制約が生じる上、重く取り扱いに不便で施工性に劣るという問題点がある。
そこで本発明は、軽量でありながら高い不燃性能を示す断熱性積層体を提供することを目的としている。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[5]を提供する。
[1]樹脂フォーム層(A)上に金属層(B)、加熱時に発泡又は膨張する材料を含む加熱膨張層(C)、及び無機物シート(D)がこの順に積層された、断熱性積層体(不燃材料)。
[2]樹脂フォーム層(A)は、フェノール樹脂フォームである、[1]に記載の断熱性積層体(不燃材料)。
[3]加熱膨張層(C)は、熱膨張性黒鉛である、[1]又は[2]に記載の断熱性積層体(不燃材料)。
[4]金属層(B)は、アルミニウムである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の断熱性積層体(不燃材料)。
[5]無機物シート(D)側から20分間50kW/mの輻射熱を与えたときの総発熱量が8MJ/m未満である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の断熱性積層体。
本発明によれば、軽量でありながら高い不燃性能を示す断熱性積層体を提供することが可能である。
本発明に係る断熱性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る断熱性積層体の別の実施形態を示す模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の断熱性積層体の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。なお、図面において、同一の要素については同一の符号を付し、同一の要素の符号の一部は省略する。各断熱性積層体の寸法比は図面に示すものに限定されない。
図1は、本発明に係る断熱性積層体10の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、断熱性積層体10は、樹脂フォーム層1上に、金属層2、加熱時に発泡又は膨張する材料を含む加熱膨張層3、及び無機物シート4がこの順が積層された構成を有している。
このような構成を採用した断熱性積層体では、樹脂フォーム層1に金属層2を積層することにより、断熱性能を損なわずに高い不燃性能を示すことができる。この結果、断熱性積層体自体を厚くしなくても断熱性能を維持できるため、軽量でありながら高い不燃性能を示す断熱性積層体が得られる。しかしながら、コンクリート壁面に用いられる断熱材には、コンクリートに似た色彩の灰色〜白色であることが強く要求される。そこで、断熱性積層体10では、金属層2に、加熱時に発泡又は膨張する材料を含む加熱膨張層3、及び無機物シート4を更に積層した構成を採用している。
本発明者らは、以下に述べるように加熱膨張層3の予想外の機能を見出し上記構成に至った。すなわち、樹脂フォーム層1に金属層2を積層した断熱材をそのままコンクリート壁面の仕上げ面として使用する場合には、金属層2上に、灰色もしくは白色の無機物シート4を更に積層させるという構成が考えられる。ところが、本発明者らは、このような構成の断熱材を用いると、加熱した際に無機物シート4、又は無機物シート4と金属層2間の接着剤が燃焼した場合、樹脂フォーム層1が熱せられることで発生する分解ガスが燃焼し、不燃性能が得られなくなることを見出した。その結果、本発明者らは、この知見に基づき上記構成を採用するに至った。
以下、それぞれの層について詳細に説明する。
樹脂フォーム層1としては、フェノール樹脂フォーム、ポリウレタン樹脂フォーム、ポリイソシアヌレート樹脂フォーム、エポキシ樹脂フォーム、ポリエチレン樹脂フォーム、ポリフェニレン樹脂フォーム、又はポリスチレン樹脂フォーム等を使用でき、中でもフェノール樹脂フォームを使用することが好ましい。樹脂フォーム層1の厚さは5〜150mmが好ましく、密度は20〜60kg/mが好ましい。樹脂フォーム層1は、上述した樹脂フォームの片面あるいは両面に、樹脂製、無機物製、あるいは紙製の面材が接着されていてもよい。
金属層2としては、金属単体をシート状、箔状、板状、及び蒸着膜等に加工したものが挙げられる。また、金属層2を構成する金属の種類としては、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、銅、及びチタン等が使用でき、防錆性能、及びコスト面等からアルミニウムが好ましい。金属層2を設けることで、断熱性積層体10を無機物シート4側から加熱した時に、樹脂フォーム層1が分解することで発生する分解ガスが加熱面側(無機物シート4側)に漏れ出すのを抑えることができる。金属層2は、片面あるいは両面が、ガラスメッシュ、ガラスファイバー、及びセラミックスファイバー等で補強されていても良い。金属層2の厚さは、1μm〜1mmのものを使用でき、2μm〜500μmが好ましく、4μm〜200μmがより好ましい。金属層2の厚さが1μmよりも薄い場合には、断熱性積層体10を無機物シート4側から加熱した時に、樹脂フォーム層1の分解ガスが加熱面側に漏れ出すのを抑制する働きが不十分になる。また、金属層2の厚さが1mmよりも大きい場合には、切断等の加工が不便になる。
金属層2を樹脂フォーム層1上に積層させる方法としては、接着剤を用いて接着させる方法を用いてもよいし、リベットのようなものを用いて機械的に接合させる方法を用いてもよい。接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、セメント系接着剤、水ガラス系接着剤等の接着剤が使用できる。
加熱膨張層3は、加熱時に発泡又は膨張する材料を含む層である。加熱膨張層3は、加熱時に発泡あるいは膨張することで断熱層として機能し、無機物シート4側を加熱した場合に、無機物シート4側から樹脂フォーム層1側への熱伝導を妨いで樹脂フォーム層1が高温になることを防ぐことができる。これにより、樹脂フォーム層1から発生する分解ガスが劇的に低減して樹脂フォーム層1を燃焼させにくくなるため、断熱性積層体10の発熱量を著しく低下させることができる。加熱時に発泡又は膨張する材料としては、例えば、メラミン等のメラミン系化合物、尿素、チオ尿素、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N−ジニトロソ−N,N−ジメチルテレフタルアミド等のN−ニトロソ化合物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホンヒドラジド化合物、塩素化パラフィン、あるいはこれらの誘導体、熱膨張性黒鉛、ヒル石、真珠岩、黒曜石等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、二種以上併用しても良い。これらの中でも、取り扱いや入手の容易性から、メラミン等のメラミン系化合物、熱膨張性黒鉛が好ましく、熱膨張性黒鉛がより好ましい。なお、ここでいう「熱膨張性黒鉛」とは、加熱時に膨張する性質を持った黒鉛を指す。熱膨張性黒鉛としては、膨張開始温度160〜300℃のものを用いることが好ましく、膨張度100〜300cc/gを示す熱膨張性黒鉛を用いることが好ましい。ここで言う膨張開始温度とは、100℃から+5℃/分で温度を上昇させ、体積が1.1倍になった時の温度を言う。また、ここで言う膨張度とは、1000℃で10秒間保持した際の1gあたりの体積(cc)を言う。加熱時に発泡あるいは膨張する材料の量は、5〜200g/mが好ましく、15〜100g/mがより好ましく、20〜80g/mが更に好ましい。5g/mよりも少ないと、加熱時に発泡あるいは膨張して断熱層を形成する効果が不十分である。また、200g/mよりも多いと、加熱時に膨張しすぎて加熱膨張層3の形状が保たれなくなり、崩落してしまうため不燃性能が不十分になる。
加熱膨張層3を作製する手段としては、加熱時に発泡又は膨張する材料を上述した接着剤と混ぜた組成物を金属層2と無機物シート4との間に挟む方法を用いてもよいし、加熱時に発泡又は膨張する材料を公知の方法にてシート状にしたものを、金属層2と無機物シート4との間に、接着剤あるいは機械的接合方法により挟む方法を用いてもよい。
また、加熱膨張層3には、これらの成分の他、本発明の効果を低減させない範囲内で必要に応じて、例えば、充填剤、希釈剤、難燃剤、及び炭化剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。充填剤としては例えば、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、フライアッシュ、シリカフューム、タルク、粘土、クレー、カオリン、シラス、マイカ、パーライト、珪藻土、ガラス繊維、ガラスフレーク、珪砂、珪石粉、及び砂等が挙げられる。また、希釈剤としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アルコール類、及び水等が挙げられる。また、難燃剤としては例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、臭素化ポリスチレン、エチレンビスペンタブロモジフェニール等の臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化脂環化合物、含塩素リン酸エステル等の塩素系難燃剤、赤リン、三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等の無機リン系難燃剤、リン酸エステル等の有機リン系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩化合物、モリブデン化合物、スズ化合物、金属酸化物等の無機系難燃剤が挙げられる。また、炭化剤としては例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、デンプン、及びカゼイン等が挙げられる。
無機物シート4は、金属単体を除く無機物を主成分とするシートである。無機物シート4を備えることで、断熱性積層体10が加熱しても、加熱膨張層3の形状を保つことができる。また、断熱性積層体10をそのまま仕上げ面として使用する場合もあるため、コンクリートに似た色彩の灰色〜白色であることが求められ、色彩については、JIS Z8729に規定されるL値が70以上であることが必須である。また、無機物シート4は、金属光沢のないことが好ましい。無機物シート4の材料としては、例えば、二酸化チタン紙、二酸化ケイ素紙、酸化アルミニウム紙、酸化亜鉛紙、炭酸カルシウム紙、炭酸バリウム紙、硫酸カルシウム紙、硫酸バリウム紙、ケイ酸カルシウム紙、ケイ酸マグネシウム紙、水酸化アルミニウム紙、水酸化マグネシウム紙、フライアッシュ紙、タルク紙、カオリン紙、及びガラスペーパー等が挙げられる。無機物シート4は、シート自体を成形するための、パルプその他の有機繊維やバインダー等の有機成分を含んでいても良い。また、無機物シート4の厚さは、50μm〜1mmが好ましく、100μm〜500μmがより好ましい。無機物シート4の厚さが50μmよりも小さいと、引張りに対し破れやすくなり、加熱膨張層3の形状を保つ効果が得られなくなる。一方、無機物シート4の厚さが1mmよりも大きいと、加熱時の発熱量が大きくなり、不燃性能が劣る。
以上、本発明に係る断熱性積層体10の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。図2は、本発明に係る断熱性積層体の別の実施形態を示す模式断面図である。断熱性積層体10の変形例としては、図2に示すように、樹脂フォーム層1の両面に樹脂フォーム層1から近い順に金属層2、加熱膨張層3、及び無機物シート4が積層された構成を有する断熱性積層体20が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いた原料は下記のとおりである。
樹脂フォーム層:フェノール樹脂フォーム 旭化成建材、ネオマフォーム、25mm厚、 密度40kg/m、両面にポリエチレンテレフタレート面材貼り
接着剤(樹脂フォーム層-金属層間):
エポキシ接着剤1 コニシ、EP431C
エポキシ接着剤2 セメダイン、EP20
ポリリン酸アンモニウム クラリアントジャパン、AP422
金属層:金属層(AL) 30μm厚アルミニウム箔
金属層(GFAL) 20μm厚アルミニウム箔、ガラス繊維補強85g/m
加熱膨張層:酢ビ接着剤 Jケミカル、イソシア変性酢酸ビニル系接着剤
熱膨張黒鉛 鈴裕化学、GREP−EG、膨張開始温度200〜220℃、膨張度180〜230cc/g
炭酸カルシウム 日東粉化工業、SS#30
カオリン 林化成、ASP400P
ケイ酸マグネシウム 巴工業、セピオライト
ホウ酸亜鉛 早川商事、ファイヤーブレイクZB
無機物シート:無機物シート1 グランデックス、不燃紙(GP)、主成分はケイ酸マグネシウム、色彩値L=83.5、金属光沢なし
無機物シート2 オリベスト、GT−2、主成分はケイ酸マグネシウム、色彩値L=82.9、金属光沢なし
無機物シート3 阿波製紙、無機物シート試作品、色彩値L=94.4、金属光沢なし
実施例1から10および比較例2から4については、100mm×100mmに切り出したフェノール樹脂フォームの片面に、表1に示す種類、量の接着剤を用いて、同じく100mm×100mmに切り出した表1に示す種類の金属層を接着した。更に、その上に、表1に示す配合で加熱膨張層を金属層上に塗布し、100mm×100mmに切り出した表1に示す無機物シートを接着した。加熱膨張層の配合の中で、酢ビ接着剤を用いたものについては、塗布しやすいよう、希釈剤として適当な量の水を添加して流動性を上げた。その後、接着剤、加熱膨張層を硬化させて断熱性積層体を完成させた。
比較例1については、100mm×100mmに切り出したフェノール樹脂フォームの片面に、表1に示す配合で加熱膨張層をフェノール樹脂フォーム上に塗布し、100mm×100mmに切り出した表1に示す無機物シートを接着した。加熱膨張層については、塗布しやすいよう、希釈剤として適当な量の水を添加して流動性を上げた。その後、接着剤、加熱膨張層を硬化させて断熱性積層体を完成させた。
(不燃性能)
実施例及び比較例で得られた断熱性積層体について、発熱量測定を行い、これらの発熱しにくさ(不燃性能)を評価した。具体的には、断熱性積層体に無機物シート側から50kW/mの輻射熱を与え、加熱開始後20分間における断熱性積層体の総発熱量をコーンカロリーメーターで測定した。20分間の総発熱量が8MJ/m未満の場合には、不燃性を有するとし(合格:○)、20分間の総発熱量が8MJ/m以上の場合には場合に不燃性を有しない(不合格:×)とした。
発熱量測定の結果、実施例1から10については総発熱量が8MJ/m未満であり、合格であったが、比較例1から4については総発熱量が8MJ/mを大きく超えてしまい、不合格であった。
Figure 2012180679
1…樹脂フォーム層、2…金属層、3…加熱膨張層、4…無機物シート、10,20…断熱性積層体。

Claims (5)

  1. 樹脂フォーム層(A)上に、金属層(B)、加熱時に発泡又は膨張する材料を含む加熱膨張層(C)、及び無機物シート(D)がこの順に積層された、断熱性積層体。
  2. 前記樹脂フォーム層(A)は、フェノール樹脂フォームである、請求項1に記載の断熱性積層体。
  3. 前記加熱膨張層(C)は、熱膨張性黒鉛である、請求項1又は2に記載の断熱性積層体。
  4. 前記金属層(B)は、アルミニウムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の断熱性積層体。
  5. 前記無機物シート(D)側から20分間50kW/mの輻射熱を与えたときの総発熱量が8MJ/m未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱性積層体。
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