JP2012180310A - 歯科コンポジットレジン用接着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コンポジットレジンを、酸性基ラジカル含有重合性単量体を含む歯科用接着材の硬化層上に充填して硬化させても、その接触界面まで十分に硬化が進行し、高い接着強度が安定的に得られるようにすること。
【解決手段】 a)酸性基含有ラジカル重合性単量体、
b)光塩基発生剤、および
〔上記b)光塩基発生剤およびc)光ラジカル重合開始剤は、両機能を兼備するb,c)光塩基発生・光ラジカル重合開始剤として含有させても良い〕
c)光ラジカル重合開始剤
を含有してなることを特徴とする歯科コンポジットレジン用接着材。
【選択図】 なし

Description

本発明は歯科医療分野において、コンポジットレジンと歯質とを接着するために使用される接着材に関する。
従来、歯牙の齲食等により生じた小さい欠損(窩洞)は、金属材料を充填して治療されてきた。しかし、近年、天然歯牙色と同等の色調を付与できることおよび操作が容易なことから、該金属材料に代わり、ラジカル重合性単量体、無機フィラー、および重合開始剤を主成分とした、コンポジットレジンと呼ばれるレジン系歯牙修復材料が好んで用いられるに至っている。
ここで、コンポジットレジンに配合されるラジカル重合開始剤は、硬化時間の短さや操作性等から光重合型が有利であり、具体的には、カンファーキノン等のα―ジケトン化合物からなる光ラジカル重合開始剤に、アミン化合物からなる還元剤を組み合わせた系が多く用いられている。すなわち、α―ジケトン化合物は、アミン化合物と組み合わせることで重合活性が大きく向上し、硬化速度がより速くなり、硬化深度も深いものにできる(非特許文献1)。
これら光ラジカル重合開始剤を活性化するのに有効な光は歯科材料の場合一般に可視光が利用され、特に、用いる光ラジカル重合開始剤による着色の危険性、および硬化深度の良好さ等の理由から波長が470nm付近の青色光が利用されている。歯科用光照射器の光源としては、ハロゲンランプ、キセノンランプが用いられ、最近では強力な単一波長光を照射できるLED光源も広く用いられている。
コンポジットレジンは、歯牙に対する接着性が弱いため、歯科用接着材の硬化層を介在させて歯牙に接着されるのが一般的である。係る接着材も、コンポジットレジンと同様に、ラジカル重合性単量体および光ラジカル重合開始剤を主成分とするものであるが、該ラジカル重合性単量体の一部として歯牙への接着性に優れるものを含有させて、歯牙に対する接着性が高められている。
斯様な歯牙への接着性に優れるラジカル重合性単量体としては、酸性基を含有する重合性単量体が大変有効である。それは、酸性基含有ラジカル重合性単量体を含有させることにより、得られる接着材は、歯質への浸透性に優れ、さらに接着材に水が含有されている場合には歯質脱灰能も有するものになるからである。これらの性状が付与された接着材では、それまでの歯科用接着材で前処理として行なうことが必要であった、酸水溶液による歯質の脱灰処理や、歯質に親和性を有する重合性単量体による浸透処理が省略可能であり、操作性を大きく改善できる。
ところで、こうした歯科用接着材に配合される光ラジカル重合開始剤は、上記コンポジットレジンで汎用されている、α―ジケトン化合物とアミン化合物との組み合わせた系の利用が極めて制限される。それは、接着材にアミン化合物が配合されると、これが酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基により中和され、もはや上記α―ジケトン化合物に対する重合活性の向上効果をほとんど示さなくなるからである。また、中和された酸性基含有ラジカル重合性単量体も、前記した歯質に対する優れた浸透性や脱灰能が消失してしまう。
したがって、歯科用接着材の光ラジカル重合開始剤としては、アミン化合物からなる還元剤を含まない他の高活性のものが有利に使用され、例えば、アシルフォスフィンオキシド等が適用されている。また、アミン化合物を利用する場合であっても、芳香族アミンにおいて、芳香環上に電子吸引基を結合させ、窒素原子上の電子密度を著しく低下させたような、塩基性が極度に低い芳香族アミン化合物が利用されている。このような低塩基性の芳香族芳香族アミン化合物としてはp−ジメチルアミノ安息香酸エステル類等が例示される。しかしながら、このような低塩基性の芳香族アミン化合物を接着材に配合したとしても、幾分かは酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基により中和されることは避けられない(特許文献1)。
長谷川二郎編集、歯科材料と技術・機器の開発、2006年5月23日、 シーエムシー出版、p.16−23
特開2008−201726号公報
上記したように歯科用接着材として、アミン化合物を組合せない光ラジカル重合開始剤を用いたとしても、その硬化面上で硬化させるコンポジットレジンの接着強度は、今一歩満足できる高さではなかった。特に、硬化させるコンポジットレジンの充填厚みが厚くなると、接着強度は顕著に低下するものであった。本発明者らは、その原因について研究を推し進めたところ、接着材の硬化層の表面に存在する表面未重合層が大きく関与することが判明した。
詳述すると、コンポジットレジンが硬化する基体である接着材の硬化層には、酸性基含有ラジカル重合性単量体に由来して酸性基が存在している。ただし、この酸性基は重合体に固定化されているため反応性は弱く、該接着材の硬化層上に、コンポジットレジンを充填して硬化させても、その接触界面において、光ラジカル重合開始剤に組合されているアミン化合物の中和は本来ならあまり生じないと考えられる。
しかし、実際の接着材の硬化層表面には、未反応の酸性基含有ラジカル重合性単量体を含む表面未重合層が存在している。すなわち、歯牙に塗布した接着材は大気に開放された状態で光硬化されるため、その表面の重合反応は空気中の酸素分子によって阻害され表面未重合層が形成される。この表面未重合層では、脱灰により生じたカルシウムイオンの影響も少なく、酸性基含有ラジカル重合性単量体は中和されることなく、未反応のまま多量に含有されている。この結果、接着材の硬化層の表面は、アミン化合物との反応性が高い状態にあり、これによりコンポジットレジンを、この上に充填して硬化させると、接触界面では該コンポジットレジンに含まれるアミン化合物が中和されてしまい、光ラジカル重合活性剤の活性を高める作用が十分に発現しなくなるのではないかと推察される。特に、コンポジットレジンの充填厚みが厚くなり、接触界面まで光が届き難くなると、上記アミン化合物による重合活性の向上効果が十分に発現しない影響は大きくなり、この部分で硬化不良が引き起こされてしまうのではないかと考えられる。
以上の背景にあって、本発明は、斯様な問題を解消することを目的とするものであり、コンポジットレジンを、酸性基ラジカル含有重合性単量体を含む歯科用接着材の硬化層上に充填して硬化させても、その接触界面まで十分に硬化が進行し、高い接着強度が安定的に得られるようにすることを目的とする。
本発明者らは、上記技術課題を克服すべく鋭意研究を重ねたてきた。その結果、酸性基含有ラジカル重合性単量体を含む接着材に光塩基発生剤を配合することで、接着材の硬化面上で、コンポジットレジン硬化させても、歯牙に対して高い接着強度が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、a)酸性基含有ラジカル重合性単量体、b)光塩基発生剤、c)光ラジカル重合開始剤を含有してなることを特徴とする歯科コンポジットレジン用接着材である。
本発明の歯科コンポジットレジン用接着材は、酸性基含有ラジカル重合性単量体を含有しているため、歯質への浸透性に優れ、さらに水を含有させた場合には歯質に対する脱灰能も有するものになる。
そして、光塩基発生剤が含有されているため、硬化に際して可視光を照射すると、該化合物から塩基が発生し、この時点で酸性基含有ラジカル重合性単量体を中和する。したがって、接着剤の硬化層に形成される表面未重合層には、酸性基が中和されて塩になったラジカル重合性単量体が含まれるものになり、上面にコンポジットレジンが充填されても、接触界面において該コンポジットレジンのアミン化合物は中和されなくなる。その結果、コンポジットレジンの光重合は、接着材の硬化層との接触界面に至るまで良好に進行し、たとえ、該コンポジットレジンの充填厚みが厚い場合(好適には2mm以上、より好適には2.5〜3.5mm)であっても、高い接着強度が安定的に得られるものになる。
本発明において、酸性基含有ラジカル重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と、少なくとも1つのラジカル重合性不飽和基とを有する化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで、酸性基とは、pKa(25℃)が5より小さく、活性プロトンを解離可能な官能基であり、具体的には、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基等を挙げることができる。その中でも、歯質に対する接着性が高い酸性基として、カルボキシル基、リン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基がより好ましく、リン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基が特に好ましい。
このような酸性基含有ラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクロイルオキシエチル−1,1−ウンデカンジカルボン酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチル−3’−メタクロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、N−(メタ)アクロイルグリシン、N−(メタ)アクロイルアスパラギン酸等のカルボン酸基含有ラジカル重合性単量体類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート等のリン酸基含有ラジカル重合性単量体類;ビニルホスホン酸等のホスホン酸基含有ラジカル重合性単量体類;スチレンスルホン酸、3−スルホプロパン(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ラジカル重合性単量体類などが挙げられる。また、これら酸性基含有ラジカル重合性単量体は、必要に応じて2種以上を併用しても良い。
酸性基含有ラジカル重合性単量体は、ラジカル重合性単量体成分の全量として用いても良いが、接着材の歯質に対する浸透性を調節したり、硬化体の強度を向上させたりする観点から、酸性基非含有ラジカル重合性単量体と併用するのが好適である。その場合においても、酸性基含有ラジカル重合性単量体は、エナメル質および象牙質の両方に対する接着強度を良好にする観点から、全ラジカル重合性単量体成分中において5質量%以上含有させるのが好適であり、5〜80質量%含有させるのがより好適であり、10〜60質量%含有させるのが特に好適である。
酸性基非含有ラジカル重合性単量体は、分子中に少なくとも一つのラジカル重合性不飽和基を持つ化合物が制限無く使用できるが、具体例を示すと、メチル(メタ)アクリレート(メチルアクリレート又はメチルメタアクリレートの意である。以下も同様に表記する。)、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルオキシエチルアセチルアセテート等のモノ(メタ)アクリレート系重合性単量体類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系重合性単量体類;フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル系重合性単量体類;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のビニル芳香族系重合性単量体類;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル系重合性単量体類等を挙げることができる。
なお、後述するように接着材に水を配合する場合において、ラジカル重合性単量体が疎水性の高い化合物ばかりであると、該水の分離が生じ易くなるため、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の両親媒性のラジカル重合性単量体も併用し、組成の均一性を高めるのが好ましい。
本発明において、b)光塩基発生剤は、可視光を照射することにより、分解して塩基が発生する機能を有する化合物のことである。一般には、可視光域に吸収波長を有する化合物が該当するが、自らは、可視光域に吸収波長を有さなくても、光ラジカル重合開始剤の共存下で、該光ラジカル重合開始剤の増感作用を受けて、分解して塩基が発生する化合物も使用可能である。上記塩基を発生させるための光は歯科用光照射器から照射される可視光であれば制限はないが、硬化深度の深さから、400nm以上、好適には450〜500nmの波長の光が好ましい。光塩基発生剤は、この波長域の可視光を吸収して塩基を発生するものが好ましく、特に、この波長域に極大吸収を有する化合物が好ましい。
光塩基発生剤は、上記機能を有する化合物であれば公知のものが何ら制限無く使用できるが、光の吸収により発生する塩基がアミン化合物であるものが好適である。酸性基含有ラジカル重合性単量体の中和能が高い方が効果的であるため、第1級アミンよりも生成するアミンの塩基性が高い第2級アミンが好ましく、環状の2級アミンであるのがより好ましい。
このような光塩基発生剤としては、O−アシルオキシム型、O−カルバモイルオキシム型、ケトプロフェン誘導体型、クマル酸アミド型、アミジン誘導体型等があげられる。具体的には、
Figure 2012180310
等が挙げられる。
また、これら光塩基発生剤の中には、光を吸収し、塩基が発生するだけでなく、同時に、ラジカルも発生させるものが多くあり、こうした光塩基発生能と光ラジカル発生能の両機能を兼備するタイプ(「光塩基発生・光ラジカル重合開始剤」)を用いる場合には、コンポジットレジンは別に、光ラジカル重合開始剤を含有させなくても、光重合を進行させることができるため効率的である。こうした光塩基発生・光ラジカル重合開始剤として、特に好適なものとして、下記式1)に示す化合物
Figure 2012180310
〔Rはアリール基であり、Rはアルキル基または水素原子であり、RおよびRは夫々、水素原子、脂肪族炭化水素基、または脂環族炭化水素基である〕、
または下記式2)に示す化合物
Figure 2012180310
〔RおよびRは上記式1)と同義であり、
Figure 2012180310
で示される基は、環を構成する窒素原子に遊離原子価を有する含窒素複素環基である〕
を挙げることができる。
上記式1)に示す化合物は、光照射することで、RおよびRのどちらか一方が水素原子であって、他方が脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基である場合には第1級アミン化合物が生成し、RおよびRの両方が脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基である場合には第2級アミンが生成する。また、上記式2)に示す化合物は、光照射することで、環状の第2級アミンが生成する。
上記式1)および式2)に示す化合物において、Rのアリール基部分は化合物に光の吸収能を与えるよう機能している。ここで、アリール基は、単環だけでなく、複数のベンゼン環が縮合したものでも良い。また、炭素環系ケトンや複素環が縮合していても良く、これらの炭素環系ケトンや複素環が縮合した環を介して、さらに他のベンゼン環が縮合した構造であっても良い。こうした縮合する炭素環系ケトンや複素環としては、例えば、下記に示す環が好適である。
Figure 2012180310
こうしたアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、1,2−ベンズアントラセン−9−イル基、アントラキノン−2−イル基、オキサントン−2−イル基、チオキサントン−2−イル基、フルオレノン−2−イル基、ジベンゾスベレノン−2−イル基等が挙げられる。長大な共役π電子系はより長波長側に吸収帯を持つようになるため、共役する環が少なくとも3環は縮環して、400nm以上に吸収波長を有するものとした基が好ましい。なお、フェニル基やナフチル基の場合、通常は、可視光域に吸収波長を有さないため、Rがこれらの基の化合物は、c)光ラジカル重合開始剤と併用することが必要になる。
また、これらアリール基は芳香環に置換基が結合したものものであっても良く、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基類;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基類;ニトロ基等が置換していても良い。
本発明において、Rのアリール基として最も好ましいのは、400nm以上に吸収波長を有するものにでき、光塩基発生剤として高感度なものにできることから、下記式3)
Figure 2012180310
で示される基である。
また、前記式1)および式2)に示す化合物において、Rのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜20、より好適には炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のものが好ましい。
また、前記式1)に示す化合物においてRの脂肪族炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。ここで、アルキル基は、上記したRで示したものと同様の基が好適に適用される。他方、アルケニル基は、ビニル基、2−メチルビニル基、ブタジエン−1−イル基、ブタジエン−2−イル基等の炭素数1〜20、より好適には炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のものが好ましい。さらに、前記式1)に示す化合物において、Rの脂環族炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセン−3−イル基等の炭素数3〜20、より好適には炭素数3〜8のものが好ましい。
さらに、前記式2)に示す化合物において、Rの含窒素複素環基は、環を構成する窒素原子に遊離原子価を有するものであり、該遊離原子価を有する窒素原子以外にも、環の構成原子としてヘテロ原子を有していてもよい。こうしたヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられる。また、含窒素複素環基は3〜8員環、より好適には5〜7員環であるのが好ましい。さらに、複素環は、置換基が結合したものものであっても良く、こうした置換基として具体例としては、前記したRのアリール基で説明したものと同様の基が好適に適用される。
の含窒素複素環基の具体例としては、アジリジン基、アゼチジン基、ピロリジン基、ピペラジン基、ヘキサメチレンイミン基、ヘプタメチレンイミン基、イミダゾール基、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン基、モルホリン基、チオモルホリン基等が挙げられる。
本発明において、前記式1)に示す化合物の具体例を示すと、
Figure 2012180310
等が挙げられる。
また、前記式2)に示す化合物の具体例を示すと、
Figure 2012180310
等が挙げられる。
b)光塩基発生剤の配合量は、特に制限されるものではないが、a)酸性基含有重合性単量体1モルに対して0.01〜10モルであるのが好ましく、0.1〜1モルであるのが特に好ましい。b)光塩基発生剤がa)酸性基含有ラジカル重合性単量体1モルに対して0.01モル以上配合されることにより、表面未重合層中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の中和効果が十分に発揮できる。他方、このb)光塩基発生剤は多すぎても、発生したアミン類が口腔内に溶出するおそれあるため、a)酸性基含有重合性単量体1モルに対して10モル以下にするのが好ましい。
本発明の接着材には、c)光ラジカル重合開始剤が含有される。ただし、b)光塩基発生剤が光ラジカル発生能も有するものである場合には、該光ラジカル重合開始剤はb)光塩基発生剤と同一化合物〔b,c)光塩基発生・光ラジカル重合開始剤〕として配合しても良い。
こうした光ラジカル重合開始剤は、可視光の照射によりラジカルを生成する化合物であれば公知のものが制限なく適用できるが、その吸収波長の少なくとも一部が、b)光塩基発生剤の吸収波長の少なくとも一部と一致しているものが好ましい。よって、400nm以上、好適には450〜500nmに吸収波長を有するものが好ましく、さらには、この波長域に極大吸収を有するものが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等のα−ジケトン類;2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類;2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等のα−アミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド誘導体類等が好適に使用される。
本発明において、c)光ラジカル重合開始剤の配合量は、重合活性を示すだけの有効量であれば制限はないが、通常は、a)酸性基含有ラジカル重合性単量体重合性単量体成分100質量部に対して0.01〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。
前記したようにα―ジケトン化合物等の光ラジカル重合開始剤は、アミン化合物からなる還元剤を組み合わせることにより、その重合活性を顕著に高めることができるが、本発明の接着材には、酸性基含有ラジカル重合性単量体が配合されているため、上記アミン化合物を配合しても、中和によりその効果は大きく弱められる。また、多量に配合すると、酸性基含有ラジカル重合性単量体の歯質に対する優れた浸透性や脱灰能を消失させてしまう。したがって、塩基性の強いアミンは配合できないが、塩基性が微弱なアミンは中和の影響は比較的小さいため、本発明では少量であれば配合することが許容できる。
こうした塩基性が微弱なアミン化合物としては、芳香環上のパラ位に電子吸引基を有し、窒素原子上の電子密度を著しく低下させることで、塩基性を微弱にした芳香族アミン化合物が挙げられる。具体的には、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステルを挙げることができる。中でも、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル類等が挙げられる。その配合量は、a)酸性基含有ラジカル重合性単量体1モルに対して0.1モル以下、より好適には0.05〜0.01モルに抑えて使用するのが好ましい。
さらに、c)光ラジカル重合開始剤を配合するのに加えて、ヨードニウム塩、トリハロメチル置換S−トリアジン、フェナンシルスルホニウム塩化合物等の電子受容体を加えても良い。
本発明の接着材に対して、歯質の脱灰能を付与するために、d)水を含有させるのが好ましい。当該水は、保存安定性、生体適合性及び接着性に有害な不純物を実質的に含まないことが好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。なお、これら水は、本発明の接着材を歯面に塗布した際に、該接着材を硬化させる前にエアブローすることによりほとんど除去されるのが普通である。
当該水の配合量も特に制限されるものではないが、全ラジカル重合性単量体100質量部に対して、5〜900質量部であるのが好ましく、15〜110質量部であるのがより好ましい。
また、本発明の接着材には、無機充填剤を添加して、硬化体の機械的強度をさらに向上させても良い。当該無機充填剤としてシリカやジルコニア、チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、フルオロアルミノシリケートガラスなどが挙げられ上げられる。
これら無機充填剤は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化することで重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させることができる。疎水化の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられる。
これらの無機充填剤の配合量は、通常、重合性単量体成分100質量部に対して2〜400質量部の範囲、より好ましくは2〜50質量部であり、最も好ましくは5〜30質量部である。
さらに、本発明の接着材には、揮発性有機溶媒が配合されても良い。ここで、揮発性有機溶媒は、室温で揮発性を有し、水溶性を示すものを使用することができる。ここで言う揮発性とは、760mmHgでの沸点が100°C以下であり、且つ20°Cにおける蒸気圧が1.0KPa以上であることを言う。また、水溶性とは、20°Cでの水への溶解度が20g/100ml以上であり、好ましくは該20℃において水と任意の割合で相溶することを言う。このような揮発性の水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する毒性を考慮すると、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトンが好ましい。
これらの揮発性有機溶媒の配合量は、通常、重合性単量体成分100質量部に対して2〜400質量部の範囲、より好ましくは5〜100質量部である。
なお、これらの揮発性有機溶媒も、前記水と同様に、本発明の接着材を歯面に塗布した際に、該接着材を硬化させる前にエアブローすることによりほとんどが除去される。
その他、本発明の接着材には、その性能を低下させない範囲で、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材や、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を配合しても良い。
次に、本発明の接着材の使用方法について説明する。本発明の接着材は、一般には、ハケ、ヘラ、筆、あるいはローラー等で窩洞に塗布、または窩洞に噴霧し、好ましくは自然乾燥等により余剰な水分および溶剤を蒸発させて乾燥させる。乾燥の方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、あるいは、それらを組み合わせる乾燥方法があるが、口腔内で乾燥させ
ることを考慮すると、乾燥空気を出す気銃を用いて送風乾燥(所謂、エアーブロー)することが好ましい。次いで、乾燥した接着材層に対して歯科用光照射器より可視光を照射して、接着材層を硬化させ、その上にコンポジットレジンを盛り付けて窩洞を充填する。この際、コンポジットレジンの使用法は特に制限されない。一般には、ヘラ等で盛り付けられ、実際の歯牙と同様の形状に整えられる。最後に、歯科用光照射器にて可視光を充填修復部に照射することにより、充填修復部にあるコンポジットレジンを硬化させることができる。
本発明の歯科コンポジットレジン用接着材は、上記歯牙修復で使用するコンポジットレジンと組合せて、歯牙修復キットとするのが好ましい。この修復に使用するコンポジットレジンは、光ラジカル重合開始剤とアミン化合物の還元剤とを含有するものである。すなわち、こうしたコンポジットレジンを用いた場合において、接着材層の硬化層との接触界面で、上記アミン化合物が中和されて硬化不良が生じる問題を改善する、本発明の効果が発揮される。
係るコンポジットレジンに使用される光ラジカル重合開始剤は、前記接着材でc)成分として使用できるものが同様に使用でき、α―ジケトン化合物が特に好ましい。また、アミン化合物は、従来公知の化合物がなんら制限なく利用できるが、第3級アミン類が重合活性の向上効果が高く、本発明の効果も顕著に発揮されることから特に好ましい。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。尚、実施例中に示した、略称、略号については以下の通りである。
略称及び略号
[リン酸から誘導される酸性基を有するラジカル重合性単量体]
PM1:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート
PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート
PM:PM1とPM2の1:1モル比の混合物
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
[その他の酸性基含有ラジカル重合性単量体]
MAC−10:11−(メタ)アクロイルオキシエチル−1,1−ウンデカンジカルボン酸
[酸性基非含有ラジカル重合性単量体]
BisGMA:2,2‘−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[揮発性の水溶性有機溶媒]
IPA:イソプロピルアルコール
[光塩基発生剤]
PBG−1:
Figure 2012180310
PBG−2:
Figure 2012180310
PBG−3:
Figure 2012180310
[光ラジカル重合開始剤]
CQ:カンファーキノン
[第3級アミン]
DMBE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
DMPT:ジメチルアミノ−p−トルイジン
DMEM:2−ジメチルアミノエチルメタクリレート
[重合禁止剤]
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
[歯科充填用コンポジットレジン]
CR1:BisGMAを6g、3Gを4g、CQを30mg、BHT10mg、およびDMPTを60mg混合したマトリックスと、γ−メタクリルオキシトリメチルシランで表面処理した1次粒径0.2μmのシリカ−ジルコニア球状フィラーとを1:3の比率で混合し、真空下脱泡することでCR1を得た。
CR2:CR1のアミン化合物をDMEMに置き換えた以外は、CR1と同様に調製した。
また、以下の実施例および比較例において、各種の測定は以下の方法により実施した。
(1)接着試験方法
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、注水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削り出した。
次に、これらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、エナメル質および象牙質のいずれかの平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ3.0mm直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に歯科用接着材を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、歯科用可視光照射器(トクソーパワーライト トクヤマ社製;照射波長域400〜520nm)にて10秒間光照射した。更に、その上に調製した歯科用コンポジットレジンを充填し、上記と同じ可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片作成し、37℃水中にて一晩保管した。
その後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、エナメル質または象牙質とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を耐久試験後の接着強度として測定し、接着強度を評価した。
実施例1
ラジカル重合性単量体として2.5gのPM、3.0gのBisGMA、2.0gの3G及び2.5gのHEMAと、光塩基発生剤として10gのPBG−1と、0.1.5gの蒸留水、及びその他成分としてBHTを0.03質量部を用い、これらを3時間攪拌混合して本発明の接着材からなる、コンポジットレジン用接着材を得た。
この接着材について、コンポジットレジンとしてCR1を用い、接着試験をした。接着材の組成および評価結果を表1に示した。
実施例2〜10
実施例1の方法に準じ、表1に示した組成の異なる接着材を調整した。
得られた各コンポジットレジン用接着材について、接着試験を行った。接着剤の組成、用いたコンポジットレジン、及び結果を表1に示した。なお、実施例7における酸性基含有ラジカル重合性単量体1モルに対する光塩基発生剤のモル数は0.12、同様に実施例8では0.91である。
Figure 2012180310
比較例1〜5
実施例1の方法に準じ、組成の異なる接着材を調整した。
得られた各コンポジットレジン用接着材について、接着試験を行った。接着剤の組成、用いたコンポジットレジン、及び結果を表2に示した。
Figure 2012180310
実施例1〜10は、光塩基発生剤が配合されたものであるが、接着試験の結果は、エナメル質、及び象牙質のいずれに対しても良好であった。
これに対して、比較例1〜5は、光塩基発生剤は配合されずに、塩基発生機能を有さない光重合開始剤組成としてカンファーキノンと第3級アミンが配合されたものであるが、接着試験の結果は、エナメル質、及び象牙質のいずれに対しても、光塩基発生剤を配合した場合にくらべて劣るものであった。

Claims (5)

  1. a)酸性基含有ラジカル重合性単量体、b)光塩基発生剤、およびc)光ラジカル重合開始剤を含有してなることを特徴とする歯科コンポジットレジン用接着材。
  2. b)光塩基発生剤およびc)光ラジカル重合開始剤が、両機能を兼備するb,c)光塩基発生・光ラジカル重合開始剤として含有されてなる請求項1記載の歯科コンポジットレジン用接着材。
  3. b,c)光塩基発生・光ラジカル重合開始剤が、下記式1)に示す化合物
    Figure 2012180310
    〔Rはアリール基であり、Rはアルキル基または水素原子であり、RおよびRは夫々、水素原子、脂肪族炭化水素基、または脂環族炭化水素基である〕、
    または下記式2)に示す化合物
    Figure 2012180310
    〔RおよびRは上記式1)と同義であり、
    Figure 2012180310
    で示される基は、環を構成する窒素原子に遊離原子価を有する含窒素複素環基である〕
    である請求項2記載の歯科コンポジットレジン用接着材。
  4. さらに、d)水を含有してなる請求項1〜3の何れか一項に記載の歯科コンポジットレジン用接着材。
  5. I)請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科コンポジットレジン用接着材、およびII)光ラジカル重合性化合物とアミン化合物とを含んでなるコンポジットレジンとにより少なくとも構成されてなる歯牙修復キット。
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