JP2013133300A - 歯科用充填修復キット - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡便な操作で使用でき、歯質への接着性にも優れ、且つ紫外線を含む太陽光に長期間暴露した場合でも変色の少ない歯科用充填修復キットを開発すること。
【解決手段】 (A)a)ラジカル重合性単量体、b)光重合開始剤、c)芳香族アミン化合物、及びd)1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物を含み、c)芳香族アミン化合物の配合量が、b)光重合開始剤に対して0.1〜5.0質量倍である硬化性組成物において、e)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を、b)光重合開始剤に対して1.7〜5.0質量倍含有させてなる充填修復材料と、
(B)f)酸性基含有ラジカル重合性単量体、g)+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物、及びh)水を含む前処理材
とからなることを特徴とする歯科用充填修復キット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、歯科医療分野において、齲蝕等により損傷を受けた歯質を充填修復するための充填修復キットに関する。
齲蝕等により損傷をうけた歯牙の修復には、コンポジットレジンと呼ばれる硬化性の充填修復材料が用いられている。特に初中期の比較的窩洞の小さい齲蝕に対しては、その審美性、操作の簡略性や迅速性の点から光硬化性のコンポジットレジンが多用されている。
このようなコンポジットレジンは、通常、重合性単量体、フィラー及び重合開始剤を含む硬化性組成物からなる。従来、重合性単量体としては、その重合性の良さからラジカル重合性単量体が用いられており、特に(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体が適している。
また、充填修復材には、光重合開始剤と組み合わせて用いる重合促進剤としてアミン化合物が一般的に添加されている。アミン化合物を光重合開始剤と組み合わせて用いることにより、硬化速度が向上するのみならず、より深い硬化深度を確保することができ、歯牙に充填した充填修復材の光照射面からより遠い部位、即ち歯面により近い部位の充填修復材まで十分に光硬化させることが可能となる。このようなアミン化合物としては、活性が特に高い点から芳香族第アミン化合物が好適に用いられている。
更に、このような歯科用充填修復材には、太陽光等に含まれる紫外線による変色を防ぐために、紫外線吸収剤が含まれるのが一般的である。
齲蝕の修復の際には修復すべき歯質とコンポジットレジンとの接着が重要であるが、コンポジットレジンには、歯質への接着性がほとんど無いために、通常は接着材が用いられる。このような接着材は、コンポジットレジンを充填する前に予め硬化させておくことで、高い接着力が得られている。中でも、より高い接着性が得られること、並びに任意のタイミングで硬化させることが可能なことから、光硬化型の接着材が有利に使用されている。
光硬化型の接着材を用いて歯牙の修復を行う作業は、以下の手順で行われる。まず、齲蝕部分を削り、窩洞を形成する。次に、その窩洞に接着材を塗布する。次に、接着材を塗布した部分に可視光を照射することにより、接着材を硬化させる。そして、接着材の層の上に充填修復材を充填する。最後に、充填修復材を硬化させるために、充填修復材に可視光を照射する。
上述の光硬化型の接着材を用いた修復方法の場含、可視光を2回照射する必要があるが、患者の負担を軽減し、修復作業の簡略化を図る観点から、可視光の照射回数を減らすことが望ましい。しかし、1回のみの可視光照射により、歯面処理剤と充填修復材とを同時に硬化させると、充填修復材の重合収縮量が大きいために、接着界面に大きな応力が生じる。この結果、歯面処理剤と充填修復材との間の接着強度が非常に小さくなり、あるいは長期間の接着耐久性に劣るという問題が生じやすい。
このような間題を解消するために、我々は充填修復材に過酸化物、特にハイドロパーオキサイド化合物を配合し、更に、酸性基含有ラジカル重合性単量体と水を含む前処理材に、第4周期の遷移金属化合物、特に+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物を配合した充填修復キットを提案した(特許文献1)。即ち、この充填修復キットによバナジウム化合物とハイドロパーオキサイド化合物が反応し、ラジカル重合開始剤として機能する。その結果、前処理材層が化学重合により硬化し、前記歯牙修復材の硬化体との境界付近での強固な接着が達成される。
したがって、この充填修復キットは、1回の光照射で、前記長期間の接着耐久性を実現することができ、大変有用な材料であったが、反面、充填修復材中にハイドロパーオキサイド化合物を含有しているために、以下のような欠点を有しており、さらに改良が必要であった。即ち、歯牙に充填された充填修復材が長期間太陽光に曝されると変色が生じ易く、ハイドロパーオキサイド化合物を含有しない充填修復材に比べてより審美性が損なわれるという問題を有していた。その原因は必ずしも明確ではないが、充填修復材に配合したハイドロパーオキサイド化合物の一部が、前記重合促進剤として配合する芳香族アミン化合物と会合体を形成し、これが充填修復材の硬化体中に残留し、太陽光中の紫外線によって励起され反応して変色を引き起こすのではないかと推測される。
一方、歯科材料の紫外線による変色をより防止するために、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することが提案されている(特許文献3)。これによれば、光重合開始剤であるα‐ジケトン化合物と芳香族アミン化合物を含有する組成物にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することで、他種の紫外線吸収剤、特にベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を配合した場合に比べて変色を抑制できるとされている。
しかしながら、これらベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はあまり多量に配合してもこの変色の抑制効果は発揮することができなくなると説明されており、α‐ジケトン化合物に対して芳香族アミン化合物の配合量が0.1〜5.0質量倍の系において、該ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はα‐ジケトン化合物に対して0.3〜1.5質量部の範囲で使用するのが好ましいとし(特許文献3〔0044〕欄参照)、その実施例でも全てこの範囲で用いられている。
したがって、上述のハイドロパーオキサイド化合物を含有する充填修復材においても、紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール系のものであれば上記光重合開始剤に対して1.5質量倍以下で使用するのが良いと考えられ、1.5質量倍を越えて多量に配合するのであれば、ベンゾフェノン系のものを使用する例しか知られていない(例えば特許文献2、実施例26)。
特開2009−167132号公報 WO2010/010901号公報 特開2004−231913号公報
しかしながら、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を、光重合開始剤に対して1.5質量倍以下で配合したり、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を光重合開始剤に対して1.5質量倍を超えて配合しても、紫外線による変色は依然として十分には防止することはできず、したがって、ハイドロパーオキサイド化合物を含有する充填修復材とバナジウム化合物を含有する前処理材のキットにおいては、なお改善の余地があった。
以上の背景にあって、本発明は、簡便な操作で使用でき、歯質への接着性にも優れ、且つ紫外線を含む太陽光に長期間暴露した場合でも変色の少ない歯科用充填修復キットを開発することを目的とする。
本発明者等は上記課題を克服すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、驚くべきことに、光重合開始剤に対してベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を1.7質量倍以上配合した充填修復材を用いることで、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、(A)a)ラジカル重合性単量体、b)光重合開始剤、及びc)芳香族アミン化合物、d)ハイドロパーオキサイド化合物を含み、c)芳香族アミン化合物の配合量が、b)光重合開始剤に対して0.1〜5.0質量倍である硬化性組成物において、e)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を、b)光重合開始剤に対して1.7〜5.0質量倍含有させてなる充填修復材料と、
(B)f)酸性基含有ラジカル重合性単量体、g)+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物、及びh)水を含む前処理材
とからなることを特徴とする歯科用充填修復キットである。
本発明の歯科用充填修復キットによれば、(A)前処理剤で歯質を処理した後、この上に直接(B)充填修復材を充填し光硬化させることにより、該充填修復材の硬化体を歯質に強固に接着させることができる。そして、この充填修復材の硬化体は、太陽光に長期間暴露されても、変色が極めて少なく、色調安定性に高度に優れる。
このように本発明の歯科用充填修復キットにおいて、充填修復材の硬化体が太陽光暴露に対する優れた色調安定性が発揮される原因は、次のように推定される。すなわち、ハイドロパーオキサイド化合物は弱い酸化剤であり電子受容体として作用し、一方、芳香族アミン化合物は弱い還元剤であり電子供与体として作用する。このため、ハイドロパーオキサイド化合物と芳香族アミン化合物が共存すると、これらが緩やかな会合体を形成する。この会合体が紫外線を吸収し、酸化還元反応が進行して変色の原因となる。一方、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤に比べて比較的長波長領域である260〜350nm付近に強い吸収スペクトルを有している。この吸収域はハイドロパーオキサイド化合物と芳香族アミンの会合体の吸収長域に相当すると考えられる。したがって、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することで、260〜350nmの紫外線を十分に遮蔽することができ、該領域の紫外線による前記会合体の励起が阻害することができ、変色を抑止する。このために、太陽光暴露に対して、色調安定性に優れたものとなると考えられる。
本発明の歯科用充填修復キットを構成する、(A)充填修復材は、a)ラジカル重合性単量体、b)光重合開始剤、c)芳香族アミン化合物、d)ハイドロパーオキサイド化合物、及びe)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むものである。以下、この(A)充填修復材の各成分について説明する。
a)ラジカル重合性単量体は、酸性基を含有しない公知のものが特に限定されずに使用できる。また、ラジカル重合性不飽和基も特に限定されず公知の如何なる基であってもよい。具体的には、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基等の(メタ)アクリロイル基の誘導体基、ビニル基、スチリル基等が例示される。中でも重合性の観点から(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。
このような、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体の具体例を例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート、2−メタクリロキシエチルアセトアセテート等の重合性不飽和基を1つ有する非水溶性の(メタ)アクリレート系単量体類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ化ウンデセノール(メタ)アクリレート等の水溶性の(メタ)アクリレート系単量体類;ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の水溶性のジ(メタ)アクリレート系単量体類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンジメタクリレート(UDMA)等の重合性不飽和基を複数有する脂肪族系非水溶性(メタ)アクリレート系単量体類;2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン等の重合性不飽和基を複数有する芳香族系非水溶性(メタ)アクリレート系単量体類が挙げられる。
これら、(メタ)アクリレート系単量体類の中でも、ラジカル重合性不飽和基を二つ以上持つものが好適に用いられる。
b)光重合開始剤は、光照射に伴って、重合開始可能なラジカルを生成するものであれば特に制限はされない。特に、歯科用照射器の照射波長として用いられることの多い380〜500nmの光照射に活性な光重合開始剤が好ましい。そのような光重含開始剤として、例えば、α−ケトカルボニル化合物、あるいはアシルフオスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
α−ケトカルボニル化合物としては、例えば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、あるいはα−ケトカルボン酸エステル等が挙げられる。具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4,4’−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸エステル、カンファーキノンカルボン酸エステルあるいは2,2’−シクロヘキサンジオン等のα−ジケトン、メチルグリオキザールあるいはフェニルグリオキザール等のα−ケトアルデヒド、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチルあるいはフェニルピルビン酸ブチル等のα−ケトカルボン酸エステル等が挙げられる。
これらα−ケトカルボニル化合物の中では、安定性等の面からα−ジケトンを使用することが好ましく、カンファーキノンが特に好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシあるいは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
上述の光重合開始剤のなかでも、硬化深度の点からα−ケトカルボニル化合物がより好ましい。また、これら光重合開始剤は2種類以上組み合わせて用いてもなんら問題ない。
これら光重合開始剤の配合量は何ら制限されないが、好ましくはa)ラジカル重合性単量体100質量部に対し、0.001〜10質量部を配合するのが好ましく、0.01〜5質量部の範囲とするのがより好ましい。
c)芳香族アミン化合物とは、アミノ基の窒素原子に少なくとも一つ以上の芳香族基と、多くとも2つ以下の脂肪族基が結合したアミン化合物であり、中でも、光重合開始剤と組み合わせた場合の活性が高い点から第二級及び第三級芳香族アミンが好ましく、特に第三級アミンがより好ましい。
本発明において、代表的な芳香族第三級アミン化合物としては、公知のものを特に制限なく使用できるが、特に、電子供与体として作用が比較的強くハイドロパーオキサイド化合物と会合体を形成し易いと考えられ、充填修復キットにおいて充填修復材の硬化体の変色が生じ易く、本発明の構成とすることにより変色防止効果がより顕著に発揮されることから、好適には下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2013133300
式(1)中、RおよびRは、各々独立に、アルキル基であり、Rは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボン酸基、アミノカルボニル基、或いはアルキルオキシカルボニル基等である。また、mは、0〜5の整数を表す。mが2以上の場合は、複数のRは互いに同一でも異なっていても良い。さらに、R同士が結合して環を形成していても良い。
上記R、RおよびRにおけるアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、このアルキル基は、置換基を有している置換アルキル基であっても良く、このような置換アルキル基としては、フロロメチル基、2−フロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、あるいは2−ヒドロキシエチル基等の水酸基置換アルキル基などを例示することができる。
また、上記のRにおけるアリール基、アルケニル墓、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、アミノカルボニル基、あるいはアルキルオキシカルボニル基等の何れも置換基を有するものであって良い。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基等の炭素数6〜12のものを挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、2−フェニルエテニル基等の炭素数2〜12のものを挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のもの等が例示され、カルボニル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられ、アミノカルボニル基としてはアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基等があげられ、アルキルオキシカルボニル基としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アミルオキシカルボニル基、イソアミルオキシカルボニル基等のアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜12のものが例示される。
上記一般式(1)で示される芳香族第三級アミンにおいて、上記R及びRとして、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数1〜3の非置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基)、または2−ヒドロキシエチル基がより好適である。中でもメチル基が最も好ましい。
また、mが1の場含は、上記Rの結合位置がパラ位であることが好ましく、中でも該Rがシアノ基、カルボニル基、カルボン酸基、アミノカルボニル基、又はアルキルオキシカルボニル基等の電子吸引基であることが好ましく、アルキルオキシカルボニル基が最も好ましい。一方、Rが2〜3個結合している場合には、その結合位置はオルト位及び/またはパラ位であることが好ましい。本発明において、mは、1であるのが最も好ましい。
上記一般式(1)で示される芳香族第三級アミン化合物を具体的に例示すると、Rがパラ位に結合したアルキルオキシカルボニル基である化合物として、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p一ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸プロピル、p一ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p一ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸プロピル等が例示され、最も好ましく使用される。また、他の芳香族アミン化合物を具体的に例示すると、p−ジメチルアミノシアノベンゼン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノベンゾイルアミドシアノ基、カルボニル基、カルボン酸基、アミノカルボニル基、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等が挙げられる。
なお、これら芳香族アミンは、必要に応じて1種で、あるいは2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
本発明においてc)芳香族アミン化合物は、b)光重合開始剤に対して0.1〜5.0質量倍の範囲内で添加することが必要である。芳香族アミン化合物は、光重合開始剤に対して0.1質量倍以上配合することにより、該光重合開始剤に対する重合促進作用が十分に発揮されるようになる。また、光重合開始剤に対して0.5質量倍を超えて配合しても、該光重合開始剤に対する重合促進作用は頭打ちであるため、芳香族アミン化合物は0.5質量倍以下で配合するのが経済的であり、さらに、この範囲において、本発明による充填修復材の硬化体の変色防止効果も十分に発揮できる。これらの効果をより十分に発揮させる観点からは、芳香族アミン化合物の配合量は、光重合開始剤に対して0.5〜3.5質量倍であるのが好ましい。
e)ハイドロパーオキサイド化合物は、特に制限されるものではなく、従来公知のものが何ら制限無く利用できる。具体的には、P−メタンハイドロパーオキサイド化合物、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド化合物、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド化合物、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド化合物等が挙げられる。
これらのハイドロパーオキサイド化合物の中でも、より高沸点で揮発しにくく、より低水溶性であり、口腔内において硬化体中に残留しやすいことから、充填修復キットにおいて充填修復材の硬化体の変色が生じ易く、本発明の構成とすることにより変色防止効果がより顕著に発揮されることから、炭素原子数と酸素原子数の和が8以上のハイドロパーオキサイド化合物が好ましい。
また、ハイドロパーオキサイド化合物は、安定性が高い観点からは、芳香環を有さない脂肪族のハイドロパーオキサイド化合物が好ましい。
これらを総合すると、ハイドロパーオキサイド化合物は、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドが最も好適に用いられる。
これらハイドロパーオキサイド化合物は、必要に応じて1種で、あるいは2種以上の化合物を組み合わせて用いれば良い。
本発明において、d)ハイドロパーオキサイド化合物の配合量は何ら制限されないが、歯牙修復材を前処理材の塗布面上に積層した際に、該前処理材層中に該ハイドロパーオキサイド化合物を十分量で溶出させて、前処理材層に含まれるバナジウム化合物と活発に反応させる観点と経済性とを加味すると、a)ラジカル重合性単量体100質量部に対し、0.1〜10質量部配合するのが好ましく、0.5〜5質量部配合するのがより好ましい。これに加えて、該ハイドロパーオキサイド化合物は、前述のとおりc)芳香族アミン化合物と会合して、充填修復材の変色の原因となると考えられる化合物であり、この変色の防止の効果を顕著に達成する観点からは、該ハイドロパーオキサイド化合物は、)芳香族アミン化合物の配合量に対して10モル%以上、特には50〜500モル%配合させているのが好ましい。
本発明の(A)充填修復材は、e)紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系のものを配合している。その配合量は、b)光重合開始剤に対して1.7〜5.0質量倍であり、この構成により、前記充填修復材がc)芳香族アミン化合物とd)ハイドロパーオキサイド化合物とを含有するものでありながら、その硬化体に生じる変色を高度に抑制することが可能になる。すなわち、使用する紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系等のベンゾトリアゾール系以外のものである場合、本発明ほどの優れた変色防止効果は発揮されない。また、同様に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いたとしても、その配合量が、b)光重合開始剤に対して1.7質量倍に満たない場合も、本発明ほどの優れた変色防止効果は発揮されない。なお、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量が、b)光重合開始剤に対して5.0質量倍を超えても、効果が頭打ちであり経済的でない他、あまり多量に配合しても、紫外線吸収剤自身による着色が生じる虞があり好ましくない。これらをより厳格に考慮すると、本発明において、特に好ましいベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量は、光重合開始剤に対して1.8〜3.5質量倍の範囲である。
本発明において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とは、トリアゾール構造の窒素原子に結合した芳香環の2位の位置にヒドロキシル基が結合した化合物であり、この構造を満足する限り公知のものが特に制限なく使用できる。代表的なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2013133300
式(2)中、Rは水素原子又はアルキル基、Rはアルキル基であり、Rはアルキル基又はハロゲン原子であり、nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合は、複数のRは互いに同一でも異なっていても良い。
上記R、R及びRにおけるアルキル基としては、置換基を有しているものでもよく、このようなアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、アミル基、オクチル基等の非置換のアルキル基;クロロメチル基、2−クロロエチル基等のハロゲンにより置換されたアルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基により置換されたアルキル基等の炭素数1〜12のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素が挙げられる。
上記R及びRとしては、炭素数1〜8の非置換のアルキル基がより好ましく、このようなアルキル基を再度具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。また該R及びRの結合位置としては、これらが共にアルキル基である場合には3位及び5位が一般的であり、Rが水素原子である場合には、Rが5位に結合しているのが一般的である。
nは0〜4の整数であり、即ちベンゾトリアゾール環のベンゼン環にはRが0〜4個結合する。nは0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。nが0以外の場合には、Rとしては、ハロゲン原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
以下、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を具体的に例示すると、2−(2−ヒドロキシフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ヘプチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ヘプチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ヘプチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ヘプチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−オクチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ヘキシル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ヘプチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−オクチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ヘキシル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ヘプチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−オクチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
なお、これらベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、必要に応じて1種で、あるいは2種以上の化合物を組み合わせて用いれば良い。
また本発明の充填修復材料には、必要に応じてベンゾトリアゾール系以外の紫外線吸収剤を配合してもよい。
本発明の充填修復材には、上記各成分のほか、歯科用修復材料の配合成分として公知の他の配合成分を配合してもよい。特に、前記b)光重合開始剤およびc)芳香族アミンと共に、光酸発生剤を組合せて配合させれば、重合活性をより高めることができ好ましい。光酸発生剤としては、光照射によってブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成するものが好適に用いられる。
そのような光酸発生剤を例示すれば、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、ジアリールヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、あるいはピリジニウム塩化合物等を挙げることができる。これら光酸発生剤の中でもハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、あるいはジアリールヨードニウム塩化合物が好適に利用できる。
光酸発生剤の配合量は、前述のb)光重合開始剤に対して、0.1〜3.0質量倍の範囲内であるのが好ましい。
また、充填修復材料には、高い機械的強度が得られ、重合収縮や熱膨張を低減できる点でフィラー(充填材)を配合されるのが一般的である。こうしたフィラーとしては、無機フィラーや有機−無機複合フィラーが挙げられ、特に、無機フィラーが好ましい。
当該無機フィラーとしては、歯科用修復材料のフィラーとして公知の無機充填剤が何ら制限なく用いられるが、代表的な無機フィラーを例示すれば、石英、シリカ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の金属酸化物類が挙げられる。また、無機フィラーとしては、充填修復材中に含まれる前述の芳香族アミン化合物が、後述する、歯面に塗布された前処理材と接触した際に、該前処理材中に含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基と反応して塩を形成し、その重合促進剤としての機能が失活するのを防ぐために、塩基性無機フィラーを配合することが好ましい。
塩基性無機フィラーを配合した場合、芳香族アミン化合物の重合促進剤としての効果が維持される一方で、太陽光暴露下における芳香族アミン化合物とハイドロパーオキサイド化合物との反応性も向上し、変色がより強くなる傾向がある。したがって、このような変色を防止する本発明の効果がより著しいものとなり好ましい。ここで、塩基性無機フィラーとは、蒸留水とエタノールを体積比1:1で混合したものを、リン酸によりpH2.50±0.03に調整した液20gに対して塩基性無機フィラー1.0gを分散させ、2分間撹枠した後の分散液の23℃におけるpH値が、塩基性無機化合物を含まないものと比べて、0.05以上高いpH差値を示すフィラーである。
このような塩基性無機フィラーの具体例を示すと、酸化物としてアルミナ、カルシア、マグネシア等が挙げられる。また、水酸化物としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム等の水酸化物等が挙げられ、フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム等が挙げられる。
また、珪酸塩としては、カルシウムシリケート、アルミニウムシリケート、フルオロアルミノシリケートガラス、その他ケイ酸塩ガラス等が挙げられる。
これらの中でも、カルシウムイオン、アルミニウムイオン等の多価金属イオン溶出性塩基性無機材料が好適に用いることができる。特に、3価以上金属イオン溶出性塩基性無機材料がより好ましく、フルオロアルミノシリケートガラスを用いることが最も好ましい。多価金属イオンは、充填修復材が前処理材塗布面上に充填された際に、前処理材中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基の作用で溶出し、酸性基含有ラジカル重合性単量体の重合物をイオン架橋することにより、歯質との接着性やプライマー層硬化体の物性を向上させることができるためである。
塩基性無機フィラーは、a)ラジカル重合性単量体100質量部に対して、通常は3質量部以上含まれ、より好ましくは5〜80質量部であり、特に好ましくは8〜30質量部である。
また、有機−無機複合フィラーは、上記無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕して得られる粒状物が使用される。
これらフィラーの粒径は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μm(特に好ましくは0.01〜5μm)の平均粒径の充填材が目的に応じて適宜使用できる。また、該フィラーの屈折率も特に制限されず、一般的な歯科用の無機充填材が有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用でき、目的に合わせて適宜設定すればよい。粒径範囲や平均粒径、屈折率、材質の異なる複数の無機フィラーを併用しても良い。
さらに、上記フィラーの中でもとりわけ球状の無機フィラーを用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた歯科用充填修復材料となり得る。
上記無機充填材は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが、重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させる上で望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
これらフィラーの配合量は、硬化性組成物の粘度(操作性)や硬化体の機械的物性を考慮して適宜決定すればよいが、一般的にはa)ラジカル重合性単量体100質量部に対して50〜1500質量部の範囲であり、より好ましくは70〜1000質量部の範囲である。
次に、本発明の歯科用充填修復キットを構成する、(B)前処理材について説明する。当該前処理材は、f)酸性基含有ラジカル重合性単量体、g)+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物、及びh)水を含むものである。以下、この(B)前処理材の各成分について説明する。
f)酸性基含有ラジカル重合性単量体(以下、単に「酸性モノマー」と称する場合がある)は、特に限定されず公知の酸性基を有するものが使用できる。酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基等を挙げることができる。その中でも、歯質に対する接着性が高い酸性基として、カルボキシル基、リン酸モノエステル基、及びリン酸ジエステル基がより好ましい。中でも、エナメル質および象牙質の両方に対して高い接着性を有することから、リン酸モノエステル基及びリン酸ジエステル基が最も好ましい。
そのような酸性基含有ラジカル重合性単量体をより具体的に例示すると、2−(メタ〕アクロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチル−3’−メタクロイルオキシー2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(4−(メタ)アクロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、N−(メタ)アクロイルグリシン、N−(メタ)アクロイルアスパラギン酸等のカルボン酸基含有ラジカル重合性単量体類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート等のリン酸基含有ラジカル重合性単量体類;ビニルホスホン酸等のホスホン酸基含有ラジカル重合性単量体類;スチレンスルホン酸、3−スルホプロパン(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有ラジカル重合性単量体類などが挙げられる。また、これら酸性基含有ラジカル重合性単量体は、必要に応じて2種以上のものを併用しても良い。
このようなf)酸性基含有ラジカル重合性単量体は、前処理材に含まれるラジカル重合性単量体100質量部中10質量部以上含まれることが好ましく、30質量部以上含まれるのがより好ましい。
前処理材には、酸性基非含有のラジカル重合性単量体を含んでいてもよい。こうした酸性基非含有のラジカル重合性単量体としては、前述の(A)充填修復材において、a)ラジカル重合性単量体として示した酸性基非含有の(メタ)アクリレート系重合性単量体が、同様に好適に使用できる。このうち水溶性のものは、歯質に対する前処理材の浸透性を向上させることができるため、特に好ましい。
一方、非水溶性のもの(特に、重合性基を複数有するもの)は、硬化した前処理材層の強度が向上し好ましい。ただし、重合性単量体成分がh)水と相分離し、充填修復材料からd)ハイドロパーオキサイド化合物が該前処理材層中に溶出してくるのを妨げる恐れがある。そのため、前処理材に含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に5質量部以下に抑えるのが好ましい(5質量部より多く配合する場合は、水溶性の酸性基非含有ラジカル重合性単量体と併用することが好ましい)。
g)+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物は、従来公知の化合物が何ら制限なく利用できる。これらバナジウム化合物を前処理材中に配合することにより、前処理材上に積層された歯牙修復材中から溶出してくるハイドロパーオキサイド化合物と、当該バナジウム化合物とが反応し、ラジカル重合開始剤として機能するものになる。この結果、前処理材層が化学重合により硬化し、前記歯牙修復材の硬化体との境界付近での強固な接着が達成される。
このようなバナジウム化合物としては、+VI価バナジウム化合物として四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)等が、+V価バナジウム化合物として五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム等があげられる。これらバナジウム化合物は2種以上のものを併用しても良い。
本発明の前処理材における、g)バナジウム化合物の配合量は、特に制限されるものではないが、高い接着性を得るためには配合量が多い方が好ましい。一方で、配合量が少ない方が保存安定性に優れるため、前処理材中の全重合性単量体100質量部に対して0.001〜10質量部であるのが適当であり、0.05〜3質量部であるのがより好ましい。最も好ましくは0.1〜1質量部である。
c)水は、保存安定性、生体適合性及び接着性に有害な不純物を実質的に含まないことが好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。当該水の配合量も特に制限されるものではないが、前処理材に含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、5〜150質量部であるのが好ましく、15〜110質量部であるのがより好ましい。
更に、本発明の前処理材は、第四族元素イオンを配合してもよい。当該第四族元素イオンは、酸性基含有重合性単量体の重合物をイオン架橋させることで歯質との接着性や硬化体の物性を向上させることができる。特に、前述のリン酸ジエステル基を有する重合性単量体と組み合わせた場合に高い効果を発揮する。
ここで、第四族元素イオンとは、具体的には、チタニウムイオン、ジルコニウムイオン、及びハフニウムイオンが挙げられる。このうち、より効果が高い第四族元素イオンとしてはチタニウムイオンが挙げられる。これら第四族元素イオンは二種以上を混合して用いることができる。
前処理材に溶存している第四族元素イオンの含有量は、好ましくは、f)酸性基含有重合性単量体全量における酸の総価数に対して、第四族元素イオン全量における総イオン価数の割合が0.2〜3.0であり、特に酸性基含有重合性単量体としてリン酸水素ジエステル基を有する重合性単量体が含まれる場合、当該リン酸水素ジエステル基に対してモル比で0.1〜1.0になる量が好ましく、0.2〜0.6になる量がより好ましい。
本発明の前処理材において、第四族元素イオンを共存させる方法は、特に制限されるものではなく、前処理材を調製する際に、酸性基含有重合性単量体に、上記第四族元素イオンのイオン源となる物質を配合または接触させて、系中に該第四族元素イオンを前記量で溶出させれば良い。第四族元素イオン源としては、第四族元素単体、第四族元素イオンを溶出するイオンに含んでなる多価金属イオン溶出性フィラー、または第四族元素化合物が挙げられる。
なお、斯様に前処理材に第四族元素イオンを共存させた場合、長期保存中に徐々に酸化物固体が析出し、組成物中の第四族元素イオンの量が低下して接着強度が低下したり、容器のノズルを詰まらせたりする恐れがある。このような場合、組成物にフッ化物イオンを含有させると、個体の析出を防止することができ好ましい。フッ化物イオン源となるフッ化物としては、フッ化物イオンを放出可能なものであれば、何ら制限無く利用することができる。具体的には、フッ化水素酸、金属フッ化物、フッ化アンモニウム類等が利用でき、特に好ましくは金属フッ化物である。
また、前処理材には、水溶性有機溶媒を含有させても良い。水溶性有機溶媒は、使用するf)酸性基含有ラジカル重合性単量体が水に対する溶解度が低い場合に、その溶解性を向上させたり、均一なエマルジョンとしたりすることが容易になるため、好適に配合される。このような水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルアルコール、2−メチル−2‐ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−へプタノール、2−へプタノール、3−へプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、アビエチノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2、3−ブタンジオール、2‐メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルコール類;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル等のエーテル化合物類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物類;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のリン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の酸アミド化合物類;酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄酸化物系化合物類等が挙げられる。
これら水溶性有機溶媒のなかでも、生体に対する為害作用の上からエタノール、イソプロパノール又はアセトン等の生体に対する安全性の高い水溶性有機溶媒の使用が最も好ましい。これら水溶性有機溶媒は、2種類以上組み合わせて用いても良い。
前処理材における、水溶性有機溶媒の配合量は特に制限されるものではないが、前処理材に含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、20〜300質量部であるのが好ましく、50〜200質量部であるのがより好ましい。
さらに、前処理材には、フィラーを含んでいても良い。当該フィラーとしては無機フィラー、有機フィラーが挙げられる。中でも無機フィラーが好ましく、ヒュームドシリカが特に好ましい。
前処理剤において、こうしたフィラーの配合量は特に限定されないが、前処理材に含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部である。
さらに、前処理材には、前記g)+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物以外の重合開始剤を含有させても良い。このような重合開始剤としては、化学重合開始剤、熱重合開始剤、光重合開始剤等が例示される。特に好ましくは光重合開始剤である。
その他、前処理材には、種々の目的で、その性能を損なわない範囲で上記した成分以外の添加剤を配合することが可能である。具体的には、重合禁止剤、増粘剤、重合調整剤、紫外線吸収剤、リン酸等の無機酸又は酢酸等の有機酸、非水溶性有機溶媒、染料、顔料、抗菌剤等が例示される。
以上説明した各成分は、通常は、全てを混合した一液の包装として保存される。むろん、同一包装にし難い成分を配合する場合など、必用に応じて2つ以上の包装に分けて保存し、使用時に混合する形態をとっても構わない。
本発明の充填修復キットは、ハイドロパーオキサイド化合物を含有する充填修復材とバナジウム化合物を含有する前処理材とが組合されているため、1回のみの可視光照射により、歯面処理剤と充填修復材とを同時に硬化させて使用でき、操作性に優れる。その具体的な使用方法は、接着を行う歯面に対して前処理材を小筆、スポンジ等で塗布、5〜120秒程度経過後、エアブロー等により乾燥させ、ついでそこへ充填修復材を充填し、該充填修復材に光照射を行い硬化させる手順になる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によって何等制限されるものではない。
尚、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を以下に示す。
略称及び構造
[非水溶性非酸性モノマー]
3G;トリエチレングリコールジメタクリレート
D2.6E;2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン]
Bis−GMA;2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
[水溶性非酸性モノマー]
HEMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[酸性モノマー]
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
[光重合開始剤成分]
CQ;カンファーキノン
BTPO;ビス(2,6−ジメチルベンソイル)フェニルホスフィンオキサイド
[芳香族アミン成分]
DMBE;4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、分子量193.24
[紫外線吸収剤]
TNP;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
Figure 2013133300
BS110;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
Figure 2013133300
[ハイドロパーオキサイド化合物]
POH;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、分子量146.23
BOH;t−ブチルハイドロパーオキサイド、分子量90.12
[無機フィラー]
F1:球状シリカ‐ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカ‐ジルコニア(平均粒径0.07μm)γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物
F2:ヒュームドシリカ(平均粒径0.02μm)をジメチルジクロロシランにより表面処理したもの
[多価金属イオン溶出性フィラー]
MF:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、株式会社トクヤマ製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山株式会杜製)を用いて、平均粒径0.5μmまで粉砕し、したもの。
[バナジウム化合物]
BMOV;オキソバナジウム(IV)ビス(マルトラート)
[有機溶媒]
アセトン
[重合禁止剤]
BHT;ジブチルヒドロキシトルエン
HQME;ヒドロキノンモノメチルエーテル
(1)太陽光暴露後の色調変化
直径15mmの貫通孔を開けた厚さ1mmのポリアセタール製型に歯科用修復材料のペーストを填入し、ポリプロピレンフィルムで圧接して、トクソーパワーライト[(株)トクヤマデンタル社製]で本発明の歯科用修復材料全体に光があたるように5箇所を各30秒ずつ光照射した。試験片の半分をアルミ箔で覆い、直射日光に延べ10時間曝露した。アルミ箔で覆った部分(未露光部)と直射日光に曝露した部分 露光部)の色調を、色差計(東京電色社製:TC−1800MKII)を用いて測定し、その差をΔEで表した。
ΔE={(ΔL+(Δa*)+(Δb*)1/2
ΔL=L1−L2
Δa=a1−a2
Δb=b1−b2
なお、L1:未露光部の明度指数、a1,b1:未露光部の色質指数、L2:露光部の明度指数、a2,b2:露光部の色質指数、ΔE:色調変化量である。
(2)接着強度
屠殺後24時間以内に牛下顎前歯を抜去し、注水下、#800のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質または象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔のあいた両面テープを固定し、接着面積を規定した。次いで、8mmφの孔の開いた厚さ1.5mmのワックスを両面テープと同心円上になるように貼り付けて模擬窩洞を作製した。この模擬窩洞に前処理材を塗布し、20秒間放置した後、圧縮空気により乾燥した。乾燥後、模擬窩洞内に充填修復材を填入し、ポリプロピレン製シートで覆った上から、トクソーパワーライト[(株)トクヤマデンタル社製]を用いて30秒間光照射して充填修復材を重合硬化させ試験片を作製した。
上記の方法で作製した試験片を24時間37℃水中に浸漬した後、金属製の治具を取り付け、引張試験機(島津社製オートグラフAG5000)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minの条件で引っ張り試験を行った。1試験当たり、8本の接着試験片を測定し、その平均値を接着強度とした。
(3)充填修復材の調製
3.6gのD2.6E、2.4gのBisGMA、及び4.0gの3Gに対して、0.06gのCQ、0.1gのDMBE、0.11gのTNP、0.1gのPOH、及び0.015gのBHT0.002gのHQME、を加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスとする。得られたマトリックスとF1を、マトリックス中の重合性単量体と重量比100:200となるよう、メノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することで充填修復材CR1を得た。その他CR2〜CR17についても同様に調製した。その組成を表1に示す。
Figure 2013133300
(4)前処理材の調製
4.5gのPM、4.5gのHEMA、1.0gのBis−GMA、3.0gの水、及び30.0gのアセトンからなる溶液に、0.1gのBMOV、0.003gのBHTを溶解して均一溶液を得、前処理材とした。
実施例1
得られた充填修復材CR1について、太陽光暴露後の色調変化及び接着強度を測定した結果を表2に示す。
実施例2〜9
実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2013133300
比較例1〜5
充填修復材としてCR11を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2013133300

Claims (5)

  1. (A)a)ラジカル重合性単量体、b)光重合開始剤、c)芳香族アミン化合物、及びd)ハイドロパーオキサイド化合物を含み、c)芳香族アミン化合物の配合量が、b)光重合開始剤に対して0.1〜5.0質量倍である硬化性組成物において、e)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を、b)光重合開始剤に対して1.7〜5.0質量倍含有させてなる充填修復材料と、
    (B)f)酸性基含有ラジカル重合性単量体、g)+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物、及びh)水を含む前処理材
    とからなることを特徴とする歯科用充填修復キット。
  2. (A)充填修復材料における、d)ハイドロパーオキサイド化合物の配合量が上記c)芳香族アミン化合物の配合量に対して10モル%以上である請求項1記載の歯科用充填修復キット。
  3. c)芳香族アミン化合物が、下記一般式(1)
    Figure 2013133300
    (式中、RおよびRは、各々独立に、アルキル基であり、Rは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボン酸基、アミノカルボニル基、又はアルキルオキシカルボニル基であり、mは、0〜5の整数を表し、mが2以上の場合は、複数のRは互いに同一でも異なっていても良く、さらに、R同士が結合して環を形成していても良い。)
    で示される化合物である請求項1または請求項2記載の歯科用充填修復キット。
  4. e)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、
    Figure 2013133300
    (式中、Rは水素原子又はアルキル基、Rはアルキル基であり、Rはアルキル基又はハロゲン原子であり、nは0〜4の整数であり、nが2以上の場合は、複数のRは互いに同一でも異なっていても良
    い。)
    で示される化合物である請求項1〜3のいずれか一項にまたは請求項2記載の歯科用充填修復キット。
  5. d)ハイドロパーオキサイド化合物が、炭素原子数と酸素原子数の和8以上の、芳香環を有さない脂肪族ハイドロパーオキサイド化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用充填修復キット。
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