JP5238302B2 - 歯科用充填修復キット - Google Patents
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Description
ここで、(b1)脂肪族アミン化合物は、窒素原子に結合しているすべての有機基が、炭素数1〜6のアルキル基(当該アルキル基がその置換基として、水酸基または炭素数1〜3のアシルオキシ基を有する場合も含む)である化合物である。
また、(b2)芳香族第三級アミン化合物は、後述する一般式(3)で表される化合物である(但し、一般式(3)中、R 5 およびR 6 は、それぞれ炭素数1〜6の非置換のアルキル基を表し、R 7 は、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表し、nは1であり、R 7 の結合位置はパラ位である)。
本実施の形態において、コンポジットレジンは、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含む。コンポジットレジン中に酸性基が存在する場合には、コンポジットレジンは、後述のアミン化合物を含むため、酸性基と後述のアミン化合物とが中和反応を起こし、コンポジットレジンの製造直後からコンポジットレジンにおけるアミン化合物の重合促進効果が低下してしまう。一方、本実施の形態のように、コンポジットレジン中に酸性基が含有されていない場合には、歯牙の窩洞にコンポジットレジンを充填する前に、酸性基と後述のアミン化合物との中和反応を起こさない。さらに、本実施の形態のように、コンポジットレジンに重合促進効果の高い芳香族第三級アミンに加えて、比較的塩基性の高い脂肪族アミンを含んでいるため、コンポジットレジンを充填した後、プライマーとコンポジットレジンとの接触界面において、脂肪族アミンが優先して中和され、中和反応を受けなかった芳香族第三級アミンが両者の内部における光重合開始剤の重合促進効果を高めることができる。また、酸性基含有ラジカル重合性単量体をコンポジットレジンに含まず塩基性の物質を吸着しないため、より着色しにくく、審美性に優れる。
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、若しくはグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,6H−デカフルオロヘキシルメタクリレート若しくは1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレート、あるいは下記式(a)〜(g)で示される(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニルプロパン、2−(4−メタクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、あるいは2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソプロポキシフェニルプロパン等が挙げられる。
三官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートあるいはトリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、あるいはペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸性基非含有ラジカル重合性単量体の一部に、水溶性のラジカル重合性単量体を含むことが好ましい。酸性基非含有ラジカル重合性単量体の一部に、水溶性のラジカル重合性単量体を含むことにより、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体の一部が水溶性であるため、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体の酸性基に対する親和性が高い。したがって、コンポジットレジンとプライマーとの親和性が高い。そのため、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配による双方へのラジカル重合性単量体の移動がより生じやすくなり、両層のより高い融和が生じる。また、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体がプライマー側へ進出する際に、光重合開始剤を帯同してコンポジットレジン側からプライマー側へ移行するため、より効率よくプライマーの重合を行うことができるようになる。
本実施の形態において、(b)アミン化合物は、(b1)脂肪族アミン化合物と、(b2)芳香族第三級アミン化合物とを含む。このような両種類のアミン化合物を併用することにより、どちらか一方のみを用いた場合に比べて、遥かに良好な接着強度が得られる。後述のプライマーとコンポジットレジンとを接触させると、まず、塩基性の比較的高い脂肪族アミン化合物と後述のプライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との間で優先的に中和反応が生じる。このため、芳香族第三級アミン化合物は、その酸性基との間で中和反応を起こしにくく、重合促進効果が低減するのを回避することができる。したがって、芳香族第三級アミン化合物は、光重合開始剤として十分な重合促進効果を発揮できる。
脂肪族アミン化合物とは、窒素原子に結合している有機基が、すべて脂肪族基(但し、置換基を有していても良い)である。当該化合物は、対応するアンモニウム塩の25℃水中でのpKa値が7以上、好適には7.5以上である塩基性が高い脂肪族アミンが好適である。本実施の形態において、脂肪族アミン化合物としては、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンのいずれも使用することができるが、第一級および第二級アミンは、揮発性が高く、本発明の効果の発現が低減する恐れや臭気の発生等の問題がある他、空気酸化を受けた際に、コンポジットレジンが変色する場合もあるため、特に歯科用としては、このような問題のない第三級アミンが好適に使用される。
上述した脂肪族アミン化合物と組み合わせて使用される成分の芳香族第三級アミン化合物とは、アミノ基の窒素原子に少なくとも一つ以上の芳香族基と、多くとも2つ以下の脂肪族基が結合したアミン化合物であり、対応するアンモニウム塩の25℃水中でのpKa値が6以下の芳香族第三級アミンが好適である。本実施の形態において、代表的な芳香族第三級アミン化合物としては、公知のものを特に制限なく使用できるが、特に入手容易な点から好適には下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれる光重合開始剤としては、化合物自身が光照射に伴って重合可能なラジカルを生成するものが好適に用いられる。そのような光重合開始剤として、例えば、α−ケトカルボニル化合物、あるいはアシルフォスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれるフィラーは、コンポジットレジンの強度を向上させ、かつ重合時の収縮を抑えるために添加される。また、フィラーの添加量により、コンポジットレジンが硬化する前の粘度(操作性)を調節することができる。フィラーは、好適には、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、80〜2000質量部の範囲で含まれる。特に好ましいフィラーの量は、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して90〜500質量部であり、100〜230質量部がさらに好ましい。フィラーの量が80質量部以上の場合には、コンポジットレジンとしての十分な強度が得られ、2000質量部以下の場合には、粘度が高くなりすぎず、コンポジットレジンを充填する作業の操作性が向上する。また、プライマーにもフィラーを添加すると、接着強度がより強固なものとなるため、より好ましい。フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラーあるいは無機―有機複合フィラーを適宜用いることができる。
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と1つのラジカル重合性不飽和基とを有する化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。このような酸性基含有ラジカル重合性単量体は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に10質量部以上含まれることが好ましく、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に30質量部以上の酸性基含有ラジカル重合性単量体が含まれるのがより好ましい。また、該酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基等を挙げることができる。その中でも、歯質に対する接着性が高い酸性基として、カルボキシル基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基がより好ましい。さらに、コンポジットレジンとプライマーとの間の物質の移動を活発化させる目的で、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配をより急勾配にするため、プライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基は、強酸性であることが最も好ましい。そのような強酸性の酸性基としては、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基が最も好ましい。
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる水は、酸性基含有ラジカル重合性単量体による歯質の脱灰を助ける働きを有する。水は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、5〜300質量部含まれることが好ましく、特に、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して15〜200質量部の水が含まれるのがより好ましい。
[酸性基含有ラジカル重合性単量体]
「PM」:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートおよびビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェートを質量比2:1の割合で混合した混合物
「MDP」:10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
「MAC−10」:11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
「D−2.6E」:2,2´−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン
「BisGMA」:2,2´−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
「3G」:トリエチレングリコールジメタクリレート
「HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
「14G」:ポリエチレングリコール(重合度14)ジメタクリレート(化4の構造式)
「BPE−1300」:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(化5の構造式)
「IPA」:イソプロピルアルコール
アセトン
「DMEM」:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
「MDEOA」:N−メチルジエタノールアミン
「TEOA」:トリエタノールアミン
「DEOA」:ジエタノールアミン
「EOA」:エタノールアミン
「DMBE」:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
「TMPT」:N,N−ジメチル−p−トルイジン
「CQ」:カンファーキノン
「TPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
「BTPO」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
「HQME」:ハイドロキノンモノメチルエーテル
「BHT」:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
「F1」:球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカ−チタニア(平均粒径0.08μm)γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物
「F2」:ヒュームドシリカ(平均粒径0.02μm)をメチルトリクロロシランにより表面処理したもの
「MF」:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、株式会社トクヤマ製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山株式会社製)を用いて、平均粒径0.5μmまで粉砕し、その後、粉砕粉末1gに対して20gの5.0N塩酸にてフィラー表面を20分間改質処理したもの
牛を屠殺し、屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去した。抜去した牛前歯を、注水下、#600のエメリーペーパーで研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質および象牙質平面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた。次に、この平面に直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの穴の中心に、パラフィンワックスの穴の中心をあわせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に、プライマーを塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。更にその上にコンポジットレジンを充填し、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を30秒間照射して、コンポジットレジンの厚さが0.5mmである接着試験片を作製した。
0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスのかわりに、厚さ1.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを用いて、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである接着試験片を作製した。そして、0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて接着強度を測定した。
6.0gのBisGMA、3.0gの3Gおよび1.0gの14Gに対して、0.05gのBTPO、0.05gのDMEM、0.05gのDMBE、0.01gのHQMEおよび0.003gのBHTを加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスとした。得られたマトリックスと、16.3gのF1とをメノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することにより、フィラー充填率62%の光硬化型のコンポジットレジンCR1を得た。他のコンポジットレジン(CR2〜CR23)も同様の手順で、表1および表2に示す組成にて作製した。
5.0gのPM、5.0gのHEMA、0.003gのBHT及び10.0gの蒸留水を暗所にて均一になるまで撹拌し、プライマーP1を得た。他のプライマー(P2〜P13)も同様の手順で、表3に示す組成にて作製した。
脂肪族アミン化合物および芳香族第三級アミン化合物の種類および配合量が異なるコンポジットレジンを用いて評価を行った。歯牙に塗布したプライマー層上に、脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含有するコンポジットレジンを充填することで、プライマー層とコンポジットレジンとの接触界面では、塩基性が比較的高い脂肪族アミン化合物とプライマー層中の酸性基含有ラジカル重合性単量体であるPMの酸性基との間で中和反応が生じることで、酸性基の酸が弱められていると考えられ、芳香族第三級アミン化合物の重合促進効果を高めることができる。このため、プライマー層のみならず、プライマー層に接触したコンポジットレジンの重合が完了しやすい。その結果、いずれの脂肪族アミン化合物および芳香族第三級アミン化合物を用いた場合にも、コンポジットレジンの厚みが0.5mmの場合および1.5mmの場合の両方にて、安定した接着強度を示した。ただし、実施例5および実施例6では、脂肪族第一級アミン化合物および脂肪族第二級アミン化合物をそれぞれ用い、また、実施例7では、α―ジケトン系の光重合開始剤であるCQを用いたため、他の実施例と比べると、接着強度が僅かに低下していた。
実施例1と同じ組成比で、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の種類を変化させた実施例11および実施例12を評価した。酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体として、単官能ラジカル重合性単量体であるHEMAを用いた実施例9よりも、多官能ラジカル重合性単量体であるBPE−1300を用いた実施例11の方が、コンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が良好であった。特に、実施例11は、実施例12よりも象牙質に対する接着強度が高かった。
酸性基非含有ラジカル重合性単量体の種類および組成を変化させた実施例13を評価した。コンポジットレジンの厚さに関わらず良好な接着強度を示した。
実施例1の組成で、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の含有比を変化させた実施例14〜16を評価した。酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を含まない実施例14よりも、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を含む実施例15および実施例16の方が、コンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が良好であった。
プライマー中に多価金属イオン溶出性フィラーであるMFを添加した実施例26と、表面処理されたヒュームドシリカおよびMFを無機フィラーとして添加した実施例28を評価した。その結果、コンポジットレジンの厚さが0.5mmの試験片において、MFを添加していない実施例20と比較して、実施例26は、象牙質への接着強度が向上した。さらに、実施例28は、エナメル質および象牙質への接着耐久性も向上した。また、コンポジットレジンの厚さが1.5mmの試験片では、実施例20と比較して、実施例26および実施例28の両方において、エナメル質および象牙質に対する接着強度が向上した。
プライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の種類を変えて評価を行った。その結果、酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基がリン酸系エステルである実施例22は、酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基がカルボキシル基であるMAC−10を一部用いた実施例23よりも、コンポジットレジンの厚さに関わらず良好な接着強度を示した。さらに、酸性基含有ラジカル重合性単量体としてMAC−10のみを用いた実施例24は、実施例22、23よりもコンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が低かった。
プライマー中に重合開始剤を含有させた実施例27、および重合開始剤および2種類の無機フィラーを加えた実施例29を評価した。実施例20と比較して、実施例27は、コンポジットレジンの厚さに関わらず、象牙質に対する接着強度が向上した。また、無機フィラーおよび重合開始剤の両方を添加した実施例29は、コンポジットレジンの厚さに関わらず、前述の実施例28とほぼ同程度の良好な接着強度を示した。
プライマー中に芳香族第三級アミン化合物を含有させた実施例30を評価した。コンポジットレジンの厚さが0.5mmの試験片では、実施例30は、前述の実施例29とほぼ同程度の良好な接着強度を示したが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmの試験片では、実施例29と比較して、象牙質に対する接着強度が向上した。
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例1および比較例2について評価した。比較例1および比較例2は、実施例1および実施例30と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほとんど変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ芳香族第三級アミン化合物と含み、脂肪族アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例3および比較例4について評価した。比較例3および比較例4は、実施例1および実施例30と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほとんど変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ脂肪族第三級アミン化合物と含み、芳香族第三級アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例5および比較例6について評価した。比較例5および比較例6は、実施例1および実施例30と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほとんど変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
酸性基含有ラジカル重合性単量体、および脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物を含有するコンポジットレジンを用い、実施例30と同じ組成を有するプライマーを配合させた比較例7について評価した。その結果、まず、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである場合は、コンポジットレジンの厚さが0.5mである場合と比較して接着強度が大きく低下していた。また、象牙質に対する接着強度は、厚みに関わらず実施例30と比較して低下していた。
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ芳香族第三級アミン化合物と含み、脂肪族第三級アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、実施例30と同じ組成を有するプライマーを配合させた比較例8について評価した。その結果、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、接着強度が大きく低下しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、接着強度が大きく低下していた。
Claims (5)
- (a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b1)脂肪族アミン化合物と(b2)芳香族第三級アミン化合物とを含む(b)アミン化合物、(c)光重合開始剤および(d)フィラーを含む(A)充填修復材と、
(e)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(f)水を含む(B)前処理材と、
を含んでなり、上記(A)充填修復材が、上記(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填され、
上記(b1)脂肪族アミン化合物は、窒素原子に結合しているすべての有機基が、炭素数1〜6のアルキル基(当該アルキル基がその置換基として、水酸基または炭素数1〜3のアシルオキシ基を有する場合も含む)である化合物であり、
上記(b2)芳香族第三級アミン化合物は、下記一般式で表される化合物であることを特徴とする歯科用充填修復キット。
- 前記(b1)脂肪族アミン化合物が、脂肪族第三級アミン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用充填修復キット。
- 前記(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部は、(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体3〜30質量部を含んでなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の歯科用充填修復キット。
- 前記(c)光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
- 前記(B)前処理材が、さらに、光重合開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
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