JP5238302B2 - 歯科用充填修復キット - Google Patents

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Description

本発明は、光重合性の歯科用修復材料を含む歯科用充填修復キットに関する。
従来、歯牙の齲歯等により生じた小さい欠損(窩洞)は、金属材料にて充填されている。しかし、近年、天然歯牙色と同等の色調を付与できることおよび操作が容易なことから、アクリル系の重合性単量体、無機フィラー、及び光重合開始剤とを含んでなる充填修復材が好んで用いられている。
しかし、上記レジン系の充填修復材自体には歯牙に対する接着性がないために、レジン系の充填修復材料のみで歯牙の窩洞を充填すると、充填修復材と歯牙との間に隙間が生じることがある。その結果、その隙間から細菌が進入し、あるいは歯牙から充填修復材が脱落してしまう危険性が高くなる。
そこで、レジン系の充填修復材と歯牙との間に、酸性基を含有する単量体等を主成分の歯面処理剤の層を設ける案が実用化されている。歯面処理剤は、歯牙のエナメル質および象牙質の表面処理剤として作用し、充填修復材と歯牙との接着力を高める作用をする。このような歯面処理剤を歯牙とレジン系の充填修復材との間に介在させることにより、充填修復材と歯牙とを隙間なく接着することができる。
充填修復材は、歯牙の形状を付する際には容易に変形できるが、充填を終了するとすぐに硬化することが好ましい。このため、近年では、充填修復材および歯面処理剤は、重合開始剤として光重合開始剤を含み、生体に対して無害である可視光を用いて好適に硬化される。また、充填修復材には、重合促進剤としてアミン化合物が一般的に添加されている。アミン化合物を光重合開始剤と組み合わせて用いることにより、硬化速度が向上するのみならず、より深い硬化深度を確保することができ、歯牙に充填した充填修復材の光照射面からより遠い部位、即ち歯面により近い部位の充填修復材まで十分に光硬化させることが可能となる。このようなアミン化合物としては、活性が特に高い点から芳香族第三級アミン化合物が広く用いられている。
歯牙の修復を行う作業は、以下の手順で行われる。まず、齲歯部分を削り、窩洞を形成する。次に、その窩洞に歯面処理剤を塗布する。次に、歯面処理剤を塗布した部分に可視光を照射することにより、歯面処理剤を硬化させる。そして、歯面処理材の層の上に充填修復材を充填する。最後に、充填修復材を硬化させるために、充填修復材に可視光を照射する。
上述の修復方法の場合、可視光を2回照射する必要があるが、患者の負担を軽減し、修復作業の簡略化を図る観点から、可視光の照射回数を減らすことが望ましい。しかし、1回のみの可視光照射により、歯面処理剤と充填修復材とを同時に硬化させると、充填修復材の重合収縮量が大きいために、接着界面に大きな応力が生じる。また、未硬化の前処理材中に含まれる酸性基を含有する単量体と、充填修復材中のアミン化合物が中和反応を起こし、アミン化合物の重合促進効果が低減してしまう。この結果、歯面処理剤と充填修復材との間の接着強度が非常に小さくなり、あるいは長期間の接着耐久性に劣るという問題が生じやすい。
このような問題を解消するために、種々の歯科用充填修復キットが開発されてきており、その一例として、充填修復材および前処理材の両方に、酸性基を有する単量体、酸性基を有しない単量体および重合開始剤を含む歯科用充填修復キットが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる歯科用充填修復キットにおいて、充填修復材は前処理材に似た組成から成ることから、前処理材と充填修復材との界面の親和性が高くなるため、前処理材と充填修復材との界面で剥離が生じにくくなる。したがって、前処理材と充填修復材とを1回のみの光照射で同時に重合させた場合にも、比較的高い接着強度を有する。
同様に、充填修復材と前処理材に含まれる重合禁止剤或いは光重合開始剤の量を調節することで、前処理材の光重合開始を早くした歯科用充填修復キットが知られている(例えば、特許文献2参照)。かかる歯科用充填修復キットにおいて、歯面に塗布した前処理材と、該前処理材層上に充填した充填修復材を同時に光照射し硬化させた場合、前処理材層の光重合開始が早くなるため、同様に前処理材と充填修復材との界面で剥離が生じにくくなる。したがって、同様に前処理材と充填修復材とを1回のみの光照射で同時に重合させた場合にも、比較的高い接着強度を有する。
特開2006−131621号公報(特許請求の範囲) 特開2007−210944号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、上述の特許文献1に開示される歯科用充填修復キットには、次のような問題がある。前処理材と充填修復材とを1回のみの光照射で同時に硬化させる場合、充填修復材の重合収縮量が大きくなる。このため、接着界面に大きな応力が生じる。この結果、実臨床上からみると十分な接着強度が未だ得られておらず、長期間の接着耐久性に劣るという問題がある。また、特に、充填修復材の厚みが大きくなると、光の照射面から遠位部の重合が完了しにくいという問題がある。特に重合促進効果を有するアミン化合物は弱塩基性であるため、充填修復材に含まれる酸性基を有する単量体によって中和され、重合促進効果が低下するため、口腔内で光を照射する際には、光は歯牙の咬合面より照射されるため、光の届きにくい前処理材側の重合が完了しにくく、充填修復材と前処理材との間の接着力および接着耐久性が劣る傾向がある。
また、上述の従来技術で用いられる充填修復材は、酸性基を有する単量体を含有するため、食物等に含まれる塩基性の物質を吸着しやすい。このため、充填修復材の部分が着色し、審美性に欠けるという問題がある。
同様に、特許文献2に開示される歯科用充填修復キットであっても、充填修復材の厚みが大きくなると、光の届きにくい前処理材側の重合開始が遅延する傾向がある。更に、前処理材と充填修復材の接触した界面付近では、同様に充填修復材中のアミン化合物が前処理材中の酸性基を有する単量体によって中和され、重合促進効果が低下するため、前処理材層のみならず、前処理材に接触した充填修復材の重合が完了し難いという問題がある。そのため、同様に充填修復材と前処理材との間の接着力は、実臨床上からみると未だ十分なものではなく、さらに、接着耐久性も劣る傾向がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、1回のみの光照射により前処理材および充填修復材を硬化できる歯科用充填修復キットであって、歯牙と充填修復材との接着力を向上させると共に、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ優れた審美性を発揮できる歯科用充填修復キットを提供することにある。
かかる目的を達成するため、本発明者は、鋭意研究した結果、酸性基を含むラジカル重合性単量体および水を含む前処理材を用いて前処理をした後に、脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物を添加した酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含有する充填修復材を窩洞に充填し、可視光を照射して硬化させたところ、前処理材および充填修復材を1回のみの光照射で重合しても、歯牙と充填修復材との間に安定した高い接着力が発現し、さらに、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ充填修復材が着色しにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
特に、本発明は、(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b1)脂肪族アミン化合物と(b2)芳香族第三級アミン化合物とを含む(b)アミン化合物、(c)光重合開始剤および(d)フィラーを含む(A)充填修復材と、(e)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(f)水を含む(B)前処理材と、を含んでなり、(A)充填修復材が、(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填される歯科用充填修復キットとするようにしている。
ここで、(b1)脂肪族アミン化合物は、窒素原子に結合しているすべての有機基が、炭素数1〜6のアルキル基(当該アルキル基がその置換基として、水酸基または炭素数1〜3のアシルオキシ基を有する場合も含む)である化合物である。
また、(b2)芳香族第三級アミン化合物は、後述する一般式(3)で表される化合物である(但し、一般式(3)中、R およびR は、それぞれ炭素数1〜6の非置換のアルキル基を表し、R は、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表し、nは1であり、R の結合位置はパラ位である)。
本発明によれば、歯牙に塗布した前処理材上に、脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物を含有する充填修復材を充填することで、前処理材と充填修復材との接触界面では、塩基性が比較的高い脂肪族アミン化合物と前処理材中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との間で中和反応が生じ、酸性基の酸が弱められ、芳香族第三級アミン化合物の重合促進効果の低減を回避できる。その結果、芳香族第三級アミン化合物は、前処理材と充填修復材との接触界面において重合促進効果を十分に発揮できる。
さらに、充填修復材に含まれるラジカル重合性単量体は酸性基を含有せず、かつ前処理材に含まれるラジカル重合性単量体は酸性基を含有している。したがって、前者の単量体のpHは、後者の単量体のpHよりも高いため、充填修復材と前処理材との間にはpH勾配が生じる。その結果、充填修復材と前処理材との界面において、双方へのラジカル重合性単量体の移動が生じ、両層の融和が生じる。その際、前記脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物も帯同して充填修復材側から前処理材側へ移行するため、上記芳香族第三級アミン化合物の含有による光重合促進効果は、前処理材と充填修復材との接触界面だけでなく、前処理材層の内部にまでも及ぶ。
したがって、たとえ充填修復材の厚みが大きく、硬化時の光照射において前処理材側に達する光が弱い場合であっても、該前処理材側の重合を十分に進行させることができ、その結果、歯牙と充填修復材との間に高い接着強度を実現できる。また、充填修復材が酸性基含有ラジカル重合性単量体を含まないので、充填修復材は着色されにくい。このため、審美性に優れた充填物を実現できる歯科用充填修復キットとなる。
また、別の本発明は、(b1)脂肪族アミン化合物が、脂肪族第三級アミン化合物である歯科用充填修復キットとしている。
本発明の効果が発現しやすく、コンポジットレジンの変色等も生じ難いことから脂肪族第三級アミン化合物を用いることによって、その比較的高い塩基性に起因して、酸性基の中和効果を高めることができると共に、充填修復材の保存安定性をより向上させることができる。
また、別の本発明は、(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部が(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体3〜30質量部を含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の酸性基非含有ラジカル重合性単量体を用いると、歯牙と充填修復材との間にさらに安定した高い接着力が発現する。
また、別の本発明は、(c)光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の光重合開始剤を用いた歯科用充填修復キットを採用すると、歯牙と充填修復材との間の接着力をさらに一層強力にすることができる。したがって、充填修復材が歯牙からより剥がれてにくくなる。
また、別の本発明は、(B)前処理材が、さらに、光重合開始剤を含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の歯科用充填修復キットを採用すると、前処理材と充填修復材との光重合を十分に進行させることができる。そのため、歯牙と充填修復材との間の接着力をさらに一層強力にすることができる。
本発明によれば、1回のみの光照射により前処理材および充填修復材を硬化でき、歯牙と充填修復材との接着力をさらに向上させ、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ優れた審美性を発揮できる歯科用充填修復キットを提供することができる。
以下、本発明に係る歯科用充填修復キットの好適な実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る歯科用充填修復キットは、大別すると、充填修復材(以後、コンポジットレジンという)と前処理材(以後、プライマーという)とを含む。コンポジットレジンには、酸性基非含有ラジカル重合性単量体、および脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物が含まれ、プライマーには、酸性基含有ラジカル重合性単量体が含まれる。
(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体
本実施の形態において、コンポジットレジンは、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含む。コンポジットレジン中に酸性基が存在する場合には、コンポジットレジンは、後述のアミン化合物を含むため、酸性基と後述のアミン化合物とが中和反応を起こし、コンポジットレジンの製造直後からコンポジットレジンにおけるアミン化合物の重合促進効果が低下してしまう。一方、本実施の形態のように、コンポジットレジン中に酸性基が含有されていない場合には、歯牙の窩洞にコンポジットレジンを充填する前に、酸性基と後述のアミン化合物との中和反応を起こさない。さらに、本実施の形態のように、コンポジットレジンに重合促進効果の高い芳香族第三級アミンに加えて、比較的塩基性の高い脂肪族アミンを含んでいるため、コンポジットレジンを充填した後、プライマーとコンポジットレジンとの接触界面において、脂肪族アミンが優先して中和され、中和反応を受けなかった芳香族第三級アミンが両者の内部における光重合開始剤の重合促進効果を高めることができる。また、酸性基含有ラジカル重合性単量体をコンポジットレジンに含まず塩基性の物質を吸着しないため、より着色しにくく、審美性に優れる。
本実施の形態において、酸性基非含有ラジカル重合性単量体としては、該ラジカル重合性単量体の分子中に酸性基を有しない化合物であれば何等制限なく使用することができる。具体的に酸性基とは、ホスフィニコ基、ホスホノ基、スルホ基あるいはカルボキシル基等の、pKaが5より小さく、活性プロトンを解離可能な官能基をいう。
このような酸性基非含有ラジカル重合性単量体としては、重合性の良さなどから(メタ)アクリレート系の単量体が主に用いられている。当該(メタ)アクリレート系の単量体を具体的に例示すると下記(1)〜(4)に示すものが挙げられる。
(1)単官能ラジカル重合性単量体
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、若しくはグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,6H−デカフルオロヘキシルメタクリレート若しくは1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレート、あるいは下記式(a)〜(g)で示される(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Figure 0005238302
Figure 0005238302
なお、上記各式中のRは、水素原子又はメチル基である。また、上記各式中のR若しくはRは、それぞれ独立なアルキレン基である。また、上記各式中のRは、アルキル基である。上記各式中のmは、0もしくは1〜10の整数であり、nは1〜10の整数(但し、m+nは2〜10の整数である。)である。
(2)二官能ラジカル重合性単量体
二官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニルプロパン、2−(4−メタクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、あるいは2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソプロポキシフェニルプロパン等が挙げられる。
(3)三官能ラジカル重合性単量体
三官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートあるいはトリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(4)四官能ラジカル重合性単量体
四官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、あるいはペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上述の酸性基非含有ラジカル重合性単量体の中でも、機械的強度の点から、二官能ラジカル重合性単量体が好ましい。
本発明においては、上述のようなラジカル重合性単量体を単独で用いても良いし、あるいは、2種類以上のラジカル重合性単量体を併用しても良い。さらに、官能基数が異なる複数種のラジカル重合性単量体を組み合わせても良い。
(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体
酸性基非含有ラジカル重合性単量体の一部に、水溶性のラジカル重合性単量体を含むことが好ましい。酸性基非含有ラジカル重合性単量体の一部に、水溶性のラジカル重合性単量体を含むことにより、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体の一部が水溶性であるため、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体の酸性基に対する親和性が高い。したがって、コンポジットレジンとプライマーとの親和性が高い。そのため、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配による双方へのラジカル重合性単量体の移動がより生じやすくなり、両層のより高い融和が生じる。また、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体がプライマー側へ進出する際に、光重合開始剤を帯同してコンポジットレジン側からプライマー側へ移行するため、より効率よくプライマーの重合を行うことができるようになる。
本明細書において、水溶性とは、23℃の水に対する溶解度が1g/l以上であることを意味する。さらに好ましくは、100g/l以上の溶解度である。そのような酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体としては、酸性基非含有の(メタ)アクリレート系単量体のうち、水溶性の(メタ)アクリレート系単量体類を何ら制限なく使用することができる。具体的に例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート系単量体、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の分子内にエチレングリコール鎖を有するメタアクリレート等が挙げられる。これらは単独にまたは2以上を混合して用いることができる。
上述の酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の中でも、多官能ラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。具体的に例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の単官能ラジカル重合性単量体よりも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能ラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。多官能ラジカル重合性単量体を用いることにより、プライマーを介してコンポジットレジンと歯牙との間、特に象牙質に対する接着強度を向上させることができる。
好ましい水溶性の多官能ラジカル重合性単量体を例示すると、重合度が9〜30のポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール部位の重合度が合計20〜50のポリエトキシ化ビスフェノール類のジメタクリレート、モノ或いはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物等が挙げられ、中でもポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートがより好ましい。中でもポリエチレングリコールジメタクリレートが最も好適に利用できる。
また、コンポジットレジンが含有する酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部のうち、上述の酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を3〜30質量部含有する場合には、プライマーを介して、象牙質に対するコンポジットレジンの接着強度が向上する。また、コンポジットレジンは、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を3質量部以上含有すると、コンポジットレジンとプライマーとの間で重合開始剤の移動がより生じやすくなる。さらに、同ラジカル重合性単量体を30質量部以下含有すると、吸水性を低くすることができる。したがって、光重合開始剤の移動を容易とした上で、吸水性を抑え、かつ歯牙とコンポジットレジンとの接着強度を向上させるためには、酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部のうち、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を3〜30質量部含むコンポジットレジンとすることが好ましい。特に好ましい酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の量は、ラジカル重合性単量体100質量部のうち、5〜25質量部である。
(b)アミン化合物
本実施の形態において、(b)アミン化合物は、(b1)脂肪族アミン化合物と、(b2)芳香族第三級アミン化合物とを含む。このような両種類のアミン化合物を併用することにより、どちらか一方のみを用いた場合に比べて、遥かに良好な接着強度が得られる。後述のプライマーとコンポジットレジンとを接触させると、まず、塩基性の比較的高い脂肪族アミン化合物と後述のプライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との間で優先的に中和反応が生じる。このため、芳香族第三級アミン化合物は、その酸性基との間で中和反応を起こしにくく、重合促進効果が低減するのを回避することができる。したがって、芳香族第三級アミン化合物は、光重合開始剤として十分な重合促進効果を発揮できる。
(b1)脂肪族アミン化合物
脂肪族アミン化合物とは、窒素原子に結合している有機基が、すべて脂肪族基(但し、置換基を有していても良い)である。当該化合物は、対応するアンモニウム塩の25℃水中でのpKa値が7以上、好適には7.5以上である塩基性が高い脂肪族アミンが好適である。本実施の形態において、脂肪族アミン化合物としては、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンのいずれも使用することができるが、第一級および第二級アミンは、揮発性が高く、本発明の効果の発現が低減する恐れや臭気の発生等の問題がある他、空気酸化を受けた際に、コンポジットレジンが変色する場合もあるため、特に歯科用としては、このような問題のない第三級アミンが好適に使用される。
本実施の形態において、上述の窒素原子に結合している脂肪族基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等の直鎖状または分枝状の炭素数1〜6のアルキル基;エテニル基(ビニル基)、プロペニル基、アリル基等の炭素炭素二重結合を有する基が挙げられる。また、脂肪族基に結合している置換基としては、水酸基(置換された脂肪族基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基等が挙げられる);フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;アセチルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基などの炭素数1〜3のアシルオキシ基;メトキシ基、エトキシ基、フロポキシ基等の炭素数1〜3のアルコキシル基;カルボニル基、カルボニルオキシ基、アルケニル基、またはシアノ基等が挙げられる。中でも、窒素原子に結合する炭素原子が飽和炭素原子である脂肪族基であることが好ましく、より揮発性が低いことから、更に置換基としてヒドロキシ基、メタクリルオキシ基を有する脂肪族基であることが好ましい。
本実施の形態において、本発明で好適に使用される脂肪族アミン化合物を具体的に例示すると、エタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の脂肪族第一級アミン化合物;ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン等の脂肪族第二級アミン化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−エチルジアリルアミン、N−エチルジベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ(イソプロパノール)アミン、トリ(2−ヒドロキシブチル)アミン、トリベンジルアミン等の脂肪族第三級アミン化合物等が挙げられる。
上述の脂肪族第三級アミン化合物の中でも、入手または合成が容易であり、かつ化合物の化学的な安定性および重合性単量体への溶解性に優れること等の理由から、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−エチルジアリルアミン、N−エチルジベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンあるいはトリブチルアミン等を用いるのが好ましい。さらに、比較的親水性が高く、酸性基含有ラジカル重合性単量体と速やかに中和反応できる点で、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、あるいはトリエタノールアミンを用いるのが特に好ましい。
本実施の形態において、上述した脂肪族アミン化合物の配合量が少なすぎる場合は十分な中和効果が発揮されず、一方、多すぎる場合は前述のように、硬化した充填修復材の強度が低下するばかりか、硬化した充填修復材からアミン化合物が溶出する恐れがあるため望ましくない。通常、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に、0.2〜7質量部、最も好ましくは0.3〜5質量部の範囲とするのが好ましい。
(b2)芳香族第三級アミン化合物
上述した脂肪族アミン化合物と組み合わせて使用される成分の芳香族第三級アミン化合物とは、アミノ基の窒素原子に少なくとも一つ以上の芳香族基と、多くとも2つ以下の脂肪族基が結合したアミン化合物であり、対応するアンモニウム塩の25℃水中でのpKa値が6以下の芳香族第三級アミンが好適である。本実施の形態において、代表的な芳香族第三級アミン化合物としては、公知のものを特に制限なく使用できるが、特に入手容易な点から好適には下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005238302
式(3)中、RおよびRは、各々独立に、アルキル基であり、Rは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、アミノカルボニル基、或いはアルキルオキシカルボニル基等である。また、nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合は、複数のRは、互いに同一でも異なっていても良い。さらに、R同士が結合して環を形成していても良い。
上記R、RおよびRにおけるアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、このアルキル基は、当然のことながら置換基を有している置換アルキル基であっても良く、このような置換アルキル基としては、フロロメチル基、2−フロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、あるいは2−ヒドロキシエチル基等の水酸基置換アルキル基などを例示することができる。
また、上記のRにおけるアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、アミノカルボニル基、あるいはアルキルオキシカルボニル基等の何れも置換基を有するものであって良い。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基等の炭素数6〜12のものを挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、2−フェニルエテニル基等の炭素数2〜12のものを挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のもの等が例示され、カルボニル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられ、アミノカルボニル基としてはアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基等があげられ、アルキルオキシカルボニル基としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アミルオキシカルボニル基、イソアミルオキシカルボニル基等のアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のものが例示される。
上記一般式(3)で示される芳香族第三級アミンにおいて、上記R及びRとして、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数1〜3の非置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基)、あるいは2−ヒドロキシエチル基がより好適である。中でもメチル基がより好ましい。
また、n=1の場合は、上記Rの結合位置がパラ位であることが好ましく、中でも該Rがアルキル基、アルキルオキシカルボニル基であることが好ましく、アルキルオキシカルボニル基が最も好ましい。一方、Rが2〜3個結合している場合には、その結合位置はオルト位および/またはパラ位であることが好ましい。中でもn=1の場合がより好ましい。
上記一般式(3)で示される芳香族第三級アミン化合物を具体的に例示すると、Rがパラ位に結合したアルキルオキシカルボニル基である化合物として、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸プロピル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸プロピル等が例示される。また、他の芳香族アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン、N,N,2,4−テトラメチルアニリン、N,N−ジエチル−2,4,6−トリメチルアニリン、N,N−ジメチルアセトフェノン、N,N−ジメチルシアノベンゼン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸アミド等が挙げられる。中でも、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルあるいはN,N−ジメチル−p−トルイジンを用いるのが特に好ましく、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルが最も好ましい。
なお、これら芳香族第三級アミンは、必要に応じて1種で、あるいは2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
本実施の形態において、芳香族第三級アミン化合物は、通常、使用する光重合開始剤の0.1〜10倍の範囲内で添加するのが一般的である。より好ましくは、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に0.02〜5質量部、最も好ましくは0.2〜3質量部の範囲とするのが好ましい。
また、脂肪族アミン化合物(b1)および芳香族第三級アミン化合物(b2)としては、それぞれ、先に例示した化合物を1種単独あるいは2種以上の組み合わせで使用することができるが、両者の質量比(b1):(b2)が3:97〜97:3、好ましくは10:90〜75:25、特に20:80〜60:40の範囲となるように、両者を併用することが好適である。
(c)光重合開始剤
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれる光重合開始剤としては、化合物自身が光照射に伴って重合可能なラジカルを生成するものが好適に用いられる。そのような光重合開始剤として、例えば、α−ケトカルボニル化合物、あるいはアシルフォスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
α−ケトカルボニル化合物としては、例えば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、あるいはα−ケトカルボン酸エステル等が挙げられる。具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸エステル、カンファーキノンカルボン酸エステルあるいは1,2−シクロヘキサンジオン等のα−ジケトン、メチルグリオキザールあるいはフェニルグリオキザール等のα−ケトアルデヒド、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチルあるいはフェニルピルビン酸ブチル等のα−ケトカルボン酸エステル等が挙げられる。
これらα−ケトカルボニル化合物の中では、安定性等の面からα−ジケトンを使用することが好ましく、α−ジケトンの中ではジアセチル、ベンジルあるいはカンファーキノンが特に好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシあるいは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
上述の光重合開始剤としては、脂肪族アミン化合物(b1)と芳香族第三級アミン化合物(b2)とを含む(b)アミン化合物、特に、後者の芳香族第三級アミン化合物(b2)により重合促進効果を発揮すると共に、自ら十分に高い重合開始効果を有するアシルフォスフィンオキシド化合物を用いることが特に好ましい。また、光重合開始剤の配合量は、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5重量部の範囲とするのが好ましい。
また、本実施の形態において、歯科用充填修復キットは、プライマー中に光重合開始剤を含有させなくとも、1回の光照射で高い接着強度が得られるが、コンポジットレジンおよびプライマーの両方に、光重合開始剤を含有させることによって、より高い重合促進効果が得られる。コンポジットレジンおよびプライマーの両方に光重合開始剤を含有させる場合にも、光重合開始剤としては前述と同様の化合物を用いることができる。また、その好適な配合量は、プライマー中のラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5重量部である。
(d)フィラー
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれるフィラーは、コンポジットレジンの強度を向上させ、かつ重合時の収縮を抑えるために添加される。また、フィラーの添加量により、コンポジットレジンが硬化する前の粘度(操作性)を調節することができる。フィラーは、好適には、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、80〜2000質量部の範囲で含まれる。特に好ましいフィラーの量は、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して90〜500質量部であり、100〜230質量部がさらに好ましい。フィラーの量が80質量部以上の場合には、コンポジットレジンとしての十分な強度が得られ、2000質量部以下の場合には、粘度が高くなりすぎず、コンポジットレジンを充填する作業の操作性が向上する。また、プライマーにもフィラーを添加すると、接着強度がより強固なものとなるため、より好ましい。フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラーあるいは無機―有機複合フィラーを適宜用いることができる。
本発明に使用される有機フィラーについて具体的に例示すると、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート共重合体あるいはメチル(メタ)アクリレート・スチレン共重合体等の非架橋性ポリマー若しくは、メチル(メタ)アクリレート・エチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体あるいは(メタ)アクリル酸メチルとブタジエン系単量体との共重合体等の(メタ)アクリレート重合体等が使用できる。また、これらの2種以上の混合物を用いることもできる。
本発明に使用される無機フィラーの種類としては、公知のものを適宜選択して使用できる。例えば、周期律第I、II、III、IV族、遷移金属若しくはそれらの酸化物あるいは水酸化物、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、珪酸塩もしくはこれらの混合物若しくは複合塩等から選択することができる。
なお、無機フィラーの中には、表面に強酸点を有するものがあり、上述の脂肪族アミンが吸着されてしまう恐れがある。そのため、無機フィラーとしては、無水トルエン中において、酸塩基指示薬である4−フェニルアゾジフェニルアミンによる青紫呈色を示さない無機フィラーが好ましい。
ここで、4−フェニルアゾジフェニルアミンを用いた上記酸点の測定は、常法に従えばよいが、通常は、次の方法により実施する。すなわち、まず、フィラーを100℃で3時間以上乾燥後、五酸化ニ燐を収容したデシケーター中にて保管し、その1gをサンプル管ビンに入れ、次いで、無水トルエン3gを入れて激しく振盪し、凝集物の無いように分散させる。分散後、当該サンプル管ビンに、遮光下で保存した0.004mol/lの4−フェニルアゾジフェニルアミンの無水トルエン溶液を一滴(約0.016g)加え、同様に振盪した後に目視にて青紫呈色の判断をすれば良い。
代表的な無機フィラーを具体的に例示すると、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラスあるいはストロンチウムガラス等が挙げられる。さらに、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等の水酸化物、酸化亜鉛、ケイ酸塩ガラスあるいはフルオロアルミノシリケートガラス等の酸化物のようなカチオン溶出性フィラーも好適に用いることができる。特に、フルオロアルミノシリケートガラスから溶出する多価金属イオンは、酸性基を有するラジカル重合性単量体の重合物とイオン架橋することにより、歯質との接着性や硬化体の物性を向上させることができる。
上述の無機フィラーの中でも、シリカ、アルミナ若しくはジルコニアのような金属酸化物粒子、または、シリカ−チタニア若しくはシリカ−ジルコニアのような複合金属酸化物粒子からなる無機フィラーを好適に用いることができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、無機−有機複合フィラーも好適に使用できる。たとえば、無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕することにより、粒状の有機−無機複合フィラーを得ることができる。有機無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)等を使用できる。
上述の無機フィラーあるいは無機―有機複合フィラーは、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することにより、重合性単量体との親和性、重合性単量体への分散性、硬化体の機械的強度および耐水性を向上できる。また、上記表面に強酸点を多数に有するものにおいても、上記4−フェニルアゾジフェニルアミンを用いた酸点の測定試験を満足するものにできるため好適である。かかる表面処理剤および表面処理方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用できる。無機フィラーの表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランあるいはヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。また、シランカップリング剤以外にも、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤を用いる方法、あるいは、フィラー粒子表面に前記重合性単量体をグラフト重合させる方法により、無機フィラー若しくは無機―有機複合フィラーの表面処理を行うことができる。
上述したフィラーの屈折率は、特に限定されない。したがって、一般的な歯科用途には、屈折率が1.4〜2.2の範囲のものが好適に用いられる。また、形状あるいは粒子径についても、特に制限はない。形状あるいは粒子径を適宜選択して使用されるが、平均粒径は通常0.001〜100μmであり、特に0.001〜10μmであることが好ましい。また、上述したフィラーの中でも、特に、球状の無機フィラーを用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた修復材料となり得るので好ましい。
(e)酸性基含有ラジカル重合性単量体
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と1つのラジカル重合性不飽和基とを有する化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。このような酸性基含有ラジカル重合性単量体は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に10質量部以上含まれることが好ましく、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に30質量部以上の酸性基含有ラジカル重合性単量体が含まれるのがより好ましい。また、該酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基等を挙げることができる。その中でも、歯質に対する接着性が高い酸性基として、カルボキシル基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基がより好ましい。さらに、コンポジットレジンとプライマーとの間の物質の移動を活発化させる目的で、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配をより急勾配にするため、プライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基は、強酸性であることが最も好ましい。そのような強酸性の酸性基としては、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基が最も好ましい。
そのような酸性基含有ラジカル重合性単量体をより具体的に例示すると、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクロイルオキシエチル−1,1−ウンデカンジカルボン酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチル−3‘−メタクロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、N−(メタ)アクロイルグリシン、N−(メタ)アクロイルアスパラギン酸等のカルボン酸酸性ラジカル重合性単量体類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート等のリン酸酸性基含有ラジカル重合性単量体類;ビニルホスホン酸等のホスホン酸酸性基含有ラジカル重合性単量体類;スチレンスルホン酸、3−スルホプロパン(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸酸性基含有ラジカル重合性単量体類などが挙げられる。また、これら酸性基含有ラジカル重合性単量体は、必要に応じて2種以上のものを併用しても良い。
プライマーには、その他に、酸性基非含有の単量体を含んでも良い。酸性基非含有の重合性単量体としては、前述の酸性基非含有かつ水溶性ラジカル重合性単量体、若しくは酸性基非含有かつ非水溶性のラジカル重合性単量体を用いることができる。特に、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体がプライマーに含まれている場合には、歯質に対するプライマーの浸透性および、酸性基非含有かつ非水溶性のラジカル重合性単量体の水に対する相溶性を向上させるため、好ましい。一方、酸性基非含有かつ非水溶性ラジカル重合性単量体がプライマー中に含まれている場合には、該重合性単量体が水との相分離を引き起こし、コンポジットレジンからの重合開始剤の進入を妨げる恐れがある。そのため、プライマー中の酸性基非含有かつ非水溶性ラジカル重合性単量体の含有量は、ラジカル重合性単量体100質量部中に5質量部以下が好ましく、5質量部より多く配合する場合は、酸性基非含有かつ水溶性ラジカル重合性単量体と合わせて用いることが好ましい。
(f)水
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる水は、酸性基含有ラジカル重合性単量体による歯質の脱灰を助ける働きを有する。水は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、〜300質量部含まれることが好ましく、特に、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して15〜200質量部の水が含まれるのがより好ましい。
また、プライマーの操作性をより向上させるために、プライマーは、流動性を有する親水性の有機溶媒を含んでいても良い。例えば、アセトン、エタノールあるいはイソプロピルアルコール、ターシャリーブタノール等の溶媒が含まれていても良い。特に、アセトン、エタノールあるいはイソプロピルアルコールのように、揮発性が高く、かつ毒性の低い溶剤は、後述の乾燥が容易になるため、好適に用いられる。親水性の有機溶媒の含有量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、20〜300質量部が好ましく、より好ましい親水性の有機溶媒の含有量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、50〜150質量部である。
また、プライマーは、硬化したプライマー層の強度を上げるためにフィラーを含んでいても良い。例えば、前述の無機フィラー、有機フィラーあるいは無機―有機複合フィラー等を含んでいても良い。その中でも、無機フィラーが好適に用いられるが、特に、歯質との接着性や硬化体の物性を向上させることができるヒュームドシリカあるいはフルオロアルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。フィラーの配合量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、より好ましいフィラーの配合量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、1〜40質量部である。
さらに、本実施の形態に係る歯科用充填修復キットには、歯牙や歯肉の色調に合わせるため、顔料あるいは蛍光顔料等の着色材料を配合できる。また、紫外線に対する変色防止のため紫外線吸収剤を添加しても良い。さらに、保存安定性を向上させるために、重合禁止剤を配合することも好ましい。また、安定剤あるいは殺菌剤等を添加しても良い。
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーの使用方法は、特に制限されない。一般には、プライマーの流動性は、良好であるため、ハケ、ヘラ、筆、あるいはローラー等で窩洞に塗布、または窩洞に噴霧する方法を採用することができる。また、プライマーは複数回塗っても良い。また、エッチング剤を別途用いる必要がある場合には、プライマーを塗布する前に用いても良い。
プライマーを窩洞に塗布または噴霧した後には、好ましくは、余剰な水分および溶剤を蒸発させるために乾燥させる。乾燥の方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、あるいは、それらを組み合わせる乾燥方法があるが、口腔内で乾燥させることを考慮すると、乾燥空気を出す気銃を用いて送風乾燥することが好ましい。
次に、乾燥したプライマーの上に、コンポジットレジンを盛り付けて窩洞を充填する。この際、コンポジットレジンの使用法は特に制限されない。一般には、ヘラ等で盛り付けられ、実際の歯牙と同様の形状に整えられる。最後に、歯科用光照射機にて可視光を充填修復部に照射することにより、充填修復部にあるプライマーおよびコンポジットレジンを硬化させることができる。
また、本実施の形態に係る歯科用充填修復キットの包装形態は特に制限されるものではないが、操作がより簡便であることから、それぞれが同一容器内に包装され、1ペーストのコンポジットレジン及び1液のプライマーとして包装されることがより好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。作製したコンポジットレジンの組成を表1および表2に、作製したプライマーの組成を表3に、それぞれ示す。また、各実施例および各比較例における歯科用充填修復キットの組成、充填部分の初期接着試験結果および接着耐久性試験結果を、それぞれ表4および表5に示す。
まず、実施例および比較例で使用した化合物とその略称、歯牙とコンポジットレジンとの初期接着試験の測定方法、コンポジットレジンの作製方法、およびプライマーの作製方法について説明する。
(1)使用した化合物とその略称
[酸性基含有ラジカル重合性単量体]
「PM」:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートおよびビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェートを質量比2:1の割合で混合した混合物
「MDP」:10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
「MAC−10」:11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
[酸性基非含有ラジカル重合性単量体]
「D−2.6E」:2,2´−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン
「BisGMA」:2,2´−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
「3G」:トリエチレングリコールジメタクリレート
[酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体]
「HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
「14G」:ポリエチレングリコール(重合度14)ジメタクリレート(化4の構造式)
「BPE−1300」:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(化5の構造式)
Figure 0005238302
Figure 0005238302
[揮発性の水溶性有機溶媒]
「IPA」:イソプロピルアルコール
アセトン
[脂肪族第三級アミン化合物]
「DMEM」:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
「MDEOA」:N−メチルジエタノールアミン
「TEOA」:トリエタノールアミン
[脂肪族第二級アミン化合物]
「DEOA」:ジエタノールアミン
[脂肪族第一級アミン化合物]
「EOA」:エタノールアミン
[芳香族第三級アミン化合物]
「DMBE」:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
「TMPT」:N,N−ジメチル−p−トルイジン
[光重合開始剤]
「CQ」:カンファーキノン
「TPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
「BTPO」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
[重合禁止剤]
「HQME」:ハイドロキノンモノメチルエーテル
「BHT」:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
[その他成分]
「F1」:球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカ−チタニア(平均粒径0.08μm)γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物
「F2」:ヒュームドシリカ(平均粒径0.02μm)をメチルトリクロロシランにより表面処理したもの
「MF」:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、株式会社トクヤマ製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山株式会社製)を用いて、平均粒径0.5μmまで粉砕し、その後、粉砕粉末1gに対して20gの5.0N塩酸にてフィラー表面を20分間改質処理したもの
(2)0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法
牛を屠殺し、屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去した。抜去した牛前歯を、注水下、#600のエメリーペーパーで研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質および象牙質平面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた。次に、この平面に直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの穴の中心に、パラフィンワックスの穴の中心をあわせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に、プライマーを塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。更にその上にコンポジットレジンを充填し、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を30秒間照射して、コンポジットレジンの厚さが0.5mmである接着試験片を作製した。
上述の接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、歯牙とコンポジットレジンとの引張り接着強度を測定した。歯牙とコンポジットレジンとの引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例につき、各種試験片4本についてそれぞれ測定した。その4回の引張接着強度の平均値を、該当する実施例若しくは比較例の接着強度とした。
(3)1.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法
0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスのかわりに、厚さ1.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを用いて、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである接着試験片を作製した。そして、0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて接着強度を測定した。
(4)コンポジットレジンの調製
6.0gのBisGMA、3.0gの3Gおよび1.0gの14Gに対して、0.05gのBTPO、0.05gのDMEM、0.05gのDMBE、0.01gのHQMEおよび0.003gのBHTを加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスとした。得られたマトリックスと、16.3gのF1とをメノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することにより、フィラー充填率62%の光硬化型のコンポジットレジンCR1を得た。他のコンポジットレジン(CR2〜CR23)も同様の手順で、表1および表2に示す組成にて作製した。
(5)プライマーの調製
5.0gのPM、5.0gのHEMA、0.003gのBHT及び10.0gの蒸留水を暗所にて均一になるまで撹拌し、プライマーP1を得た。他のプライマー(P2〜P13)も同様の手順で、表3に示す組成にて作製した。
表4記載のコンポジットレジン及びプライマーを用いて各実施例の歯科用充填修復キットとし、各実施例について、接着試験を行った。その結果を表4示す。
Figure 0005238302
Figure 0005238302
Figure 0005238302
Figure 0005238302
酸性基非含有の重合性単量体、および脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物を含有するコンポジットレジンを用いた実施例1〜27の評価を行った。また、実施例1〜15では、同じプライマーを使用し、実施例16〜27では、プライマーの種類を変えて評価した。いずれの評価結果も、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの厚みが大きい場合(1.5mm)の場合であっても、良好な接着強度を示した。
実施例1〜10
脂肪族アミン化合物および芳香族第三級アミン化合物の種類および配合量が異なるコンポジットレジンを用いて評価を行った。歯牙に塗布したプライマー層上に、脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含有するコンポジットレジンを充填することで、プライマー層とコンポジットレジンとの接触界面では、塩基性が比較的高い脂肪族アミン化合物とプライマー層中の酸性基含有ラジカル重合性単量体であるPMの酸性基との間で中和反応が生じることで、酸性基の酸が弱められていると考えられ、芳香族第三級アミン化合物の重合促進効果を高めることができる。このため、プライマー層のみならず、プライマー層に接触したコンポジットレジンの重合が完了しやすい。その結果、いずれの脂肪族アミン化合物および芳香族第三級アミン化合物を用いた場合にも、コンポジットレジンの厚みが0.5mmの場合および1.5mmの場合の両方にて、安定した接着強度を示した。ただし、実施例5および実施例6では、脂肪族第一級アミン化合物および脂肪族第二級アミン化合物をそれぞれ用い、また、実施例7では、α―ジケトン系の光重合開始剤であるCQを用いたため、他の実施例と比べると、接着強度が僅かに低下していた。
実施例11、12
実施例1と同じ組成比で、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の種類を変化させた実施例11および実施例12を評価した。酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体として、単官能ラジカル重合性単量体であるHEMAを用いた実施例9よりも、多官能ラジカル重合性単量体であるBPE−1300を用いた実施例11の方が、コンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が良好であった。特に、実施例11は、実施例12よりも象牙質に対する接着強度が高かった。
実施例13
酸性基非含有ラジカル重合性単量体の種類および組成を変化させた実施例13を評価した。コンポジットレジンの厚さに関わらず良好な接着強度を示した。
実施例14〜16
実施例1の組成で、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の含有比を変化させた実施例14〜16を評価した。酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を含まない実施例14よりも、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を含む実施例15および実施例16の方が、コンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が良好であった。
実施例26、28
プライマー中に多価金属イオン溶出性フィラーであるMFを添加した実施例26と、表面処理されたヒュームドシリカおよびMFを無機フィラーとして添加した実施例28を評価した。その結果、コンポジットレジンの厚さが0.5mmの試験片において、MFを添加していない実施例20と比較して、実施例26は、象牙質への接着強度が向上した。さらに、実施例28は、エナメル質および象牙質への接着耐久性も向上した。また、コンポジットレジンの厚さが1.5mmの試験片では、実施例20と比較して、実施例26および実施例28の両方において、エナメル質および象牙質に対する接着強度が向上した。
実施例22〜24
プライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の種類を変えて評価を行った。その結果、酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基がリン酸系エステルである実施例22は、酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基がカルボキシル基であるMAC−10を一部用いた実施例23よりも、コンポジットレジンの厚さに関わらず良好な接着強度を示した。さらに、酸性基含有ラジカル重合性単量体としてMAC−10のみを用いた実施例24は、実施例22、23よりもコンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が低かった。
実施例27、29
プライマー中に重合開始剤を含有させた実施例27、および重合開始剤および2種類の無機フィラーを加えた実施例29を評価した。実施例20と比較して、実施例27は、コンポジットレジンの厚さに関わらず、象牙質に対する接着強度が向上した。また、無機フィラーおよび重合開始剤の両方を添加した実施例29は、コンポジットレジンの厚さに関わらず、前述の実施例28とほぼ同程度の良好な接着強度を示した。
実施例30
プライマー中に芳香族第三級アミン化合物を含有させた実施例30を評価した。コンポジットレジンの厚さが0.5mmの試験片では、実施例30は、前述の実施例29とほぼ同程度の良好な接着強度を示したが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmの試験片では、実施例29と比較して、象牙質に対する接着強度が向上した。
Figure 0005238302
比較例1、2
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例1および比較例2について評価した。比較例1および比較例2は、実施例1および実施例30と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほとんど変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
比較例3、4
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ芳香族第三級アミン化合物と含み、脂肪族アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例3および比較例4について評価した。比較例3および比較例4は、実施例1および実施例30と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほとんど変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
比較例5、6
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ脂肪族第三級アミン化合物と含み、芳香族第三級アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例5および比較例6について評価した。比較例5および比較例6は、実施例1および実施例30と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほとんど変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
比較例7
酸性基含有ラジカル重合性単量体、および脂肪族アミン化合物と芳香族第三級アミン化合物とを含むアミン化合物を含有するコンポジットレジンを用い、実施例30と同じ組成を有するプライマーを配合させた比較例7について評価した。その結果、まず、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである場合は、コンポジットレジンの厚さが0.5mである場合と比較して接着強度が大きく低下していた。また、象牙質に対する接着強度は、厚みに関わらず実施例30と比較して低下していた。
比較例8
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ芳香族第三級アミン化合物と含み、脂肪族第三級アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、実施例30と同じ組成を有するプライマーを配合させた比較例8について評価した。その結果、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、接着強度が大きく低下しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、接着強度が大きく低下していた。
本発明は、欠損した歯牙の修復を行う歯科治療の分野に用いることができる。

Claims (5)

  1. (a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b1)脂肪族アミン化合物と(b2)芳香族第三級アミン化合物とを含む(b)アミン化合物、(c)光重合開始剤および(d)フィラーを含む(A)充填修復材と、
    (e)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(f)水を含む(B)前処理材と、
    を含んでなり、上記(A)充填修復材が、上記(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填され、
    上記(b1)脂肪族アミン化合物は、窒素原子に結合しているすべての有機基が、炭素数1〜6のアルキル基(当該アルキル基がその置換基として、水酸基または炭素数1〜3のアシルオキシ基を有する場合も含む)である化合物であり、
    上記(b2)芳香族第三級アミン化合物は、下記一般式で表される化合物であることを特徴とする歯科用充填修復キット。
    Figure 0005238302
    〔上記一般式中、R およびR は、それぞれ炭素数1〜6の非置換のアルキル基を表し、R は、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表し、nは1であり、R の結合位置はパラ位である。〕
  2. 前記(b1)脂肪族アミン化合物が、脂肪族第三級アミン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用充填修復キット。
  3. 前記(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部は、(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体3〜30質量部を含んでなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の歯科用充填修復キット。
  4. 前記(c)光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
  5. 前記(B)前処理材が、さらに、光重合開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
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