JP5235275B2 - 歯科用充填キット - Google Patents

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Description

本発明は歯科用充填キットに関する。さらに詳しくは、歯質窩洞部位の充填に使用する特定組成の歯科用コンポジットレジン、および接着剤を構成に含む歯科用充填キットに関する。
金属代替材料としての歯科用コンポジットレジン(以下「CR」と略記する場合もある。)の性能は、歯科用接着剤の性能向上と合わせてめまぐるしい進化を遂げ、成形修復材料として臨床で充分使用に耐えうるものと認識されている。また、接着剤の性能が格段に進歩したことから、CR硬化物の脱落などのトラブルは極めて少なくなってきている。これらCRのうち、近年では、可視光線を照射して重合、硬化させる光重合型CRが多数を占めるようになってきている。
この光重合型CRは、一般的には、(1)まず、窩洞表面に接着剤(例えば、AQボンドプラス:サンメディカル(株)製)を塗布して可視光線照射により接着剤を硬化させる、(2)ついで、CR(例えば、メタフィルFlo:サンメディカル(株)製)を窩洞に充填して再度可視光照射を行いCR自体を硬化させる、という2段階の光重合による方法で用いられる。
そのため、これら光重合型CRを用いて成形修復を行う場合は、まず、接着剤を硬化するために、口腔内部に光照射器の先端チップを入れる必要がある。しかしながら、特に処置を行う窩洞部が口腔内部奥深くの位置にある場合などには、窩洞表面に塗布した接着剤を確実に硬化させるために、口腔内部奥深くまで光照射器の先端チップを入れることが必要であり、光照射器の先端チップを入れることに困難を伴う場合もある。また、患者も術中、口を広く開けなければならないため苦痛を伴う場合もある。さらに、口を開けていると唾液があふれてきて窩洞表面が汚染されてしまうという問題もある。したがって、口腔内で何回も光照射を行うことは術者も患者も出来れば避けたい。
しかしながら、従来の光重合型CRと接着剤とを組み合わせて用いた場合は、接着剤を窩洞表面に塗布し、実質的に可視光照射を行うことなくさらにCRを充填し、一段階の可視光照射でCR硬化物を得ても、歯牙ないしその補綴物に対する接着強さ、辺縁封鎖性などの性能は充分なものではなかった。
本発明は、一段階の光照射によっても、充分な接着強さ、および辺縁封鎖性を有する歯科用コンポジットレジン硬化物が得られる、歯科用コンポジットレジンおよび接着剤を構成要素とする操作性を向上した歯科用充填キットを提供することを目的としている。
本発明は、歯科用コンポジットレジンと接着剤とを構成要素とする光重合性を有し、一段階の光照射によって70〜100%の辺縁封鎖性および/または3〜30MPaの接着強さを発現可能に形成されている歯科用充填キットであって、
該歯科用コンポジットレジンに波長400〜520nm、出力250mW/cm2、距離10mmの同一条件で4秒間光照射した後の該歯科用コンポジットレジン中に残存するエチレン性二重結合残存率が、該接着剤に同一条件で4秒間光照射した後の該接着剤中に残存するエチレン性二重結合残存率よりも高くなるように、該歯科用コンポジットレジン中に、光重合開始剤および光増感剤として、α-ケトカルボニル化合物および/またはアシルホスフィンオキサイド化合物を配合し、重合防止剤として、4-メトキシフェノール、ハイドロキノンおよびフェノチアジンよりなる群から選ばれる少なくとも一種類を配合すると共に、接着剤中に、光重合開始剤として、α-ケトカルボニル化合物を配合してなり、接着剤に配合される光重合開始剤の重量総和が、同重量の歯科用コンポジットレジンに配合される重合開始剤および光増感剤の総重量の100〜1.01倍の範囲内になるように上記化合物を配合することを特徴とする歯科用充填キットにある。
また、本発明は上記歯科用コンポジットレジンに波長400〜520nm、出力250mW/cm2、距離10mmの同一条件で4秒間光照射を行った後の接着剤中におけるエチレン性二重結合残存率が30%以下であり、歯科用コンポジットレジン中におけるエチレン性二重結合の残存率が60%以上である上記記載の歯科用充填キットにある。
また、本発明は、上記歯科用充填キットを構成する歯科用コンポジットレジンおよび接着剤が共に、α-ケトカルボニル化合物としてカンファキノンを含有しており、
接着剤に含有されるカンファキノンの含有率が、同重量の歯科用コンポジットレジンに含有されるカンファキノンの含有率の1.01〜100倍の範囲にある歯科用充填キットである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、光硬化開始4秒後の歯科用コンポジットレジン中に残存する二重結合残存率を、光硬化開始4秒後の接着剤中に残存する二重結合の残存率よりも高くすれば、一段階の光照射によって、実用的な辺縁封鎖性および/または接着強さを有する歯科用コンポジットレジンおよび接着剤を構成要素としたキットが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
光硬化型の歯科用コンポジットレジンおよび接着剤に光照射によって重合反応の進行が開始する。こうして重合反応が進行すると、歯科用コンポジットレジンの重合に伴って体積収縮が生じる。従って、歯科用コンポジットレジンの重合反応速度が接着剤の重合反応速度よりも速い場合は、歯面に塗布した接着剤が硬化する前に歯科用コンポジットレジンの重合反応が進行して体積収縮が生じることになり、この歯科用コンポジットレジンの体積収縮に伴う応力が接着剤にかかり、接着剤が歯面から剥離してしまい、窩洞の辺縁封鎖性、接着強さの低下を招くことになる。
一方、接着剤の重合反応速度を歯科用コンポジットレジンの重合反応速度よりも速くすれば、接着剤が歯科用コンポジットレジンよりも早く硬化して歯面に強固に接着するので、歯科用コンポジットレジンの重合に伴う体積収縮の応力に耐えることが出来る。すなわち、歯科用コンポジットレジン中に残存する二重結合の残存率を、接着剤中に残存する二重結合の残存率よりも高くすれば、一段階の光照射によっても、実用的な辺縁封鎖性、接着強さを有する歯科用コンポジットレジンおよび接着剤のキットを得ることができる。
また、一般に歯科用コンポジットレジン及び接着剤には、貯蔵時に重合反応が進行しないように、重合防止剤あるいは重合禁止剤が配合されており、光照射後、実質的の重合反応が開始される前の重合誘導期においては、歯科用コンポジットレジン及び接着剤の安定のために予め加えられている重合防止剤、重合禁止剤が消費され、光照射と同時に重合反応が進行するわけではない。すなわち、光照射を行った後、短い時間(重合誘導期)ではあるが重合収縮の発生が光照射と同時ではなく、重合防止剤あるいは重合禁止剤が消費される重合誘導期を経て重合反応が進行する。従って、歯科用コンポジットレジンの重合誘導期を、接着剤の重合誘導期よりも長くすることにより接着剤の重合反応を先に進行させれば、接着剤が先に硬化し、歯面に対して充分な接着強さを発現させることができる。こうして歯面に対する接着剤の接着強度が充分に高くなった後に、歯科用コンポジットレジンを重合させることにより、接着剤の接着強度が、歯科用コンポジットレジンの重合に伴う体積収縮応力によっても耐えることができる。すなわち、歯科用コンポジットレジンの
重合誘導期を、接着剤の重合誘導期よりも長くすることにより、一段階の光照射によっても、実用的な辺縁封鎖性、接着強さを有する歯科用コンポジットレジンおよび接着剤のキットを得ることが出来る。
本発明の歯科用充填キットを用いれば、接着剤を窩洞表面に塗布し、実質的に可視光照射を行うことなく、接着剤が窩洞にさらに歯科用コンポジットレジンをCRを充填し、一段階の可視光照射を行って歯科用コンポジットレジンを硬化させても、歯牙ないしその補綴物に対する接着強さ、辺縁封鎖性などの性能に優れる。また、窩洞への接着剤による処理し、次いで歯科用コンポジットレジン充填を行った後に、可視光照射を1回行うだけでよいので、操作時間が短縮できる。さらに、可視光照射部分も歯科用コンポジットレジン充填表面であるので、従来と異なり光照射の確認が容易で臨床上の操作性も極めて優れる。
以下本発明の歯科用充填キットについて具体的に説明する。
本発明の歯科用充填キットは、歯科用コンポジットレジンと、接着剤とからなり、これらは別体として包装されている。
<本発明の歯科用充填キットを構成する歯科用コンポジットレジン>
(A)歯科用コンポジットレジン
本発明の歯科用充填キットを構成する(A)歯科用コンポジットレジンは、単量体(a)、光重合開始剤(b)、重合防止剤または/および酸化防止剤(c)、およびフィラー(d)を含有する。各配合量は(A)歯科用コンポジットレジンを100重量部とした際、単量体(a)、光重合開始剤(b)、重合防止剤または/および酸化防止剤(c)、およびフィラー(d)の合計重量部が100重量部となるように配合される。具体的には単量体(a)は好ましくは5〜70重量部の範囲、より好ましくは7.5〜60重量部の範囲、更に好ましくは10〜50重量部の範囲であり、光重合開始剤(b)は好ましくは0.01〜5重量部の範囲であり、重合防止剤または/および酸化防止剤(c)は通常0.001〜10重量部の範囲であり、フィラー(d)は通常50〜90重量部の範囲であり、合計が100重量部となるように配合される。
上記範囲内で(a)、光重合開始剤(b)、重合防止剤または/および酸化防止剤(c)、およびフィラー(d)を含有する(A)歯科用コンポジットレジンは歯牙充填材料として十分な機械的強度および審美性などの性能を有するため好ましい。
〔単量体(a)〕
(A)歯科用コンポジットレジンに使用される単量体(a)としては、公知の単官能性単量体(a1)もしくは多官能性単量体(a2)を使用することができ、好ましくはラジカル重合性単量体を使用することができる。
これら単官能性単量体(a1)もしくは多官能性単量体(a2)の中でも(メタ)アクリレート系単量体は、人体への刺激性が比較的低いため好ましく使用することができる。
本発明で単官能性単量体(a1)として使用可能な単官能性の(メタ)アクリレートとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸アルキル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,2−または
1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)
アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートなどの(ポリ)グリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;
パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物、
および
テトラフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これら単官能性(メタ)アクリレートのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルのような(メタ)アクリル酸アルキル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メ
タ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートのように水酸基含有(メタ)アクリレート;
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのように分子内にエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートなどが特に好ましく用いられる。
これらの単官能性単量体は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、これらの単官能性単量体は後述する多官能性単量体と組み合わせて使用することもできる。
本発明において、多官能性単量体(a2)として使用可能な多官能性の(メタ)アクリレートとしては、例えば、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、へキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、
1、6-ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチ
ルヘキサン(UDMA)等のビス(メタクリロキシアルキルオキシカルボニルアミノ)アルカン;
下記式(1)で表わされる脂肪族または芳香族のジ(メタ)アクリレート;
Figure 0005235275
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、mおよびnは同一でも異なってもよい、0〜10の整数である。そしてR1は、
Figure 0005235275
のいずれかである);
下記式(2)で表わされる脂肪族または芳香族エポキシジ(メタ)アクリレート;
Figure 0005235275
(式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、nは0〜10の整数であり、そしてR1
Figure 0005235275
である。);
および
下記式(3)で表わされる分子中にウレタン結合を有する多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
Figure 0005235275
(式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、そしてR2
Figure 0005235275
である。)
これら多官能性(メタ)アクリレートの中では、例えばトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような分子内にエ
チレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリレート、
下記式(1)−aで表される化合物;
Figure 0005235275
(ここで、R、mおよびnの定義は式(1)に同じである。);
下記式(2)−aで表される化合物;
Figure 0005235275
(ここで、Rの定義は式(2)に同じである。);
下記式(3)−aで表される化合物;
Figure 0005235275
(ここで、Rの定義は式(3)に同じである。)、
などが特に好ましく用いられる。
また、酸性基、水酸基を有する単量体(a3)を使用することができる。これら分子内に酸性基、水酸基を有する単量体は、接着剤と歯科用コンポジットレジンとの相溶性を向上させるという作用を有する反面、単量体(a)の歯科用コンポジットレジン(A)に対する配合量が多すぎると、歯科用コンポジットレジンの機械的特性を低下させることもある。
単量体(a3)に含有される上記酸性基としては、カルボキシル基またはその無水物基、リン酸基、スルホン酸基などを挙げることができる。
単量体(a3)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸などのビニル(ビニリデン)基に直接カルボキシル基が結合した化合物、
1,4−ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸などの複数のカルボキシル基を
有するベンゼン系化合物に1つ以上の(メタ)アクリロキシアルキル基を有する化合物、
6−(メタ)アクリロキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸などの複数のカルボキシル基を有するナフタレン系化合物に1つ以上の(メタ)アクリロキシアルキル基を有する化合物、
N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−m−アミノ安息香酸などのN−(メタ)アクリロイルアミノ安息香酸系化合物、
N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸などのN−(メタ)アクリロイルアミノ基を有するサリチル酸、
4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸などの(メタ)アクリロキシアルキルトリメリット酸、およびその無水物、
2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸などの(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、
β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレートなどのβ−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンエステル化合物、
11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸などの一端に(
メタ)アクリロイルオキシまたはアクリロイルオキシ、もう一端に1つ以上のカルボキシル基を有する鎖状脂肪族化合物などのカルボン酸基またはその部分無水物を含有する(メタ)アクリル酸(好ましくはそのエステル)単量体;
p−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸のように芳香族性カルボン酸基を含有するビニル化合物単量体;
2−(メタ)アクリロキシエチルホスホリック酸、2−(メタ)アクリロキシエチルフェニルホスホリック酸、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホリック酸、PM−2、2−アクリロキシエチルホスホリック酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレートなどの(メタ)アクリロキシ基またはアクリロキシ基とホスホリック酸基とを有する炭化水素化合物などの燐酸基を含有する(メタ)アクリル酸(好ましくはその
エステル)単量体;
また、p−スチレンスルホン酸などのスチレンスルホン酸系化合物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアクリルアミド基とスルホン酸基を有する化合物、などのスルホン酸基を含有する単量体、などを挙げることができる。
これら酸性基を有する単量体のうち、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸、2−(メタ)アクリロキシエチルホスホリック酸、2−(メタ)アクリロキシエチルフェニルホスホリック酸、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホリック酸、あるいは下記式(4)で示される化合物が好ましい。
Figure 0005235275
(式中、nは0または1であり、aは1または2であり、bはb=(3−a)の関係を満たす整数である。)
これら酸性基を含有する単量体は単独であるいは二種以上組み合わせて使用することができる。
また水酸基を有する単量体としては、例えば2−ヒドロキシ−3−2−ナフトキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
また、その他に使用可能な単量体(a)としては、例えば、ビニル酢酸エステル、ビニルピロリドン、マレイン酸アルキルエステルなどを挙げることができる。これらは単独であるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
また単量体(a1)と(a2)と(a3)との総重量に対する単量体(a3)の総重量は、通常15重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。
〔光重合開始剤(b)〕
本発明の歯科用コンポジットレジンに配合される重合開始剤は、光重合開始剤である。
光重合開始剤としては、例えば、(b1)α−ケトカルボニル化合物、(b2)アシルホスフィンオキシド化合物などが挙げられる。
本発明で光重合開始剤として配合されるα−ケトカルボニル化合物(b1)としては、
例えば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸エステルなどを挙げることができる。具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、
2,3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシ
ベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸、カンファーキノンカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケトン;
メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒド;
ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブチルなどを挙げることができる。
これらα−ケトカルボニル化合物の中では、安定性などの面からα−ジケトンを使用することが好ましく、α−ジケトンの中ではジアセチル、ベンジル、カンファーキノンが特に好ましい。
本発明で光重合開始剤として配合されるアシルホスフィンオキシド化合物(b2)とし
ては、例えば、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを挙げることができる。(b1)成分と(b2)成分とは、単独でまたは組み合わせて使用できる。
さらに、上記光重合開始剤の重合開始効果を向上するため、化合物の触媒効果に悪影響を及ぼさない還元性化合物を併用することもできる。これら還元性化合物としては、
例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエ
チル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、N,N−ジメチル−p
−tert−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチル−p−クロルアニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、および、
例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチルなどのエステル化合物、N,N−ジエチルアミノ安息香酸および、N,N−ジエチルアミノ安息香酸メチル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸ブトキシエチルなどのエステ
ル化合物、N,N−ジメチルアミノベンツアルデヒド、N−フェニルグリシン、N−フェ
ニルグリシンのアルカリ金属塩、N−トリルグリシン、N−トリルグリシンのアルカリ金属塩、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシ
ン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエチルアミン、などの有機還元性化合物を挙げることができる。また、上記以外の還元性化合物としては、有機スルフィン酸またはその塩を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、有機スルフィン酸、または有機スルフィン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、およびアンモニウム塩を使用することができる。
上記アルカリ金属塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などを例示することができ、上記アルカリ土類金属塩としてはマグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などを挙げることができる。
上記アミン塩の例としてはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、トルイジン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの第一アミンの塩;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ペピリジン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、N−メチルトルイジンなどの第二アミンの塩;
トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルトルイジン、N,N−(β−ヒドロキシエチル)トルイジンなどの第三アミンの塩を挙げることができる。
上記アンモニウム化合物の塩の例としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩などを挙げることができる。
上記有機スルフィン酸の例としては、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸などのアルカンスルフィン酸、シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸などの脂環族スルフィン酸;ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸を挙げることができる。
また、上記有機スルフィン酸塩の例としては、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸マグネシウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸ストロンチウム、ベンゼンスルフィン酸バリウム、ベンゼンスルフィン酸ブチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アニリン塩、ベンゼンスルフィン酸トルイジン塩、ベンゼンスルフィン酸フェニレンジアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジフェニルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸トリエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アンモニウム塩、ベンゼンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、ベンゼンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムを挙げることができる。さらに、o−トルエンスルフィン酸リチウム、o−トルエンスルフィン酸ナトリウム、o−トルエンスルフィン酸カリウム、o−トルエンスルフィン酸カルシウム、o−トルエンスルフィン酸シクロヘキシルアミン塩、o−トルエンスルフィン酸アニリン塩、o−トルエンスルフィ酸アンモニウム塩、o−トルエンスルフィン酸テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸バリウム、p−トルエンスルフィン酸エチルア
ミン塩、p−トルエンスルフィン酸トルイジン塩、p−トルエンスルフィン酸N−メチルアニリン塩、p−トルエンスルフィン酸ピリジン塩、p−トルエンスルフィン酸アンモニウム塩、p−トルエンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸ナトリウム、β−ナフタリンスルフィン酸ストロンチウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリエチルアミン、β−ナフタリンスルフィン酸N−メチルトルイジン、β−ナフタリンスルフィン酸アンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムなどを挙げることができる。
その他、使用可能な還元性化合物の例としては、バルビツール酸およびバルビツール酸誘導体を挙げることができ、具体的には、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3,
5-トリエチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,5−
ジメチルバルビツール酸、1−メチル−5−エチルバルビツール酸、1−メチル−5−プロピルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−メチル−1−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸またはこれらのアルカリ金属塩などを好ましく使用することができる。
これら還元性化合物のなかでも、有機スルフィン酸またはその塩を好適に使用することができる。上記還元性化合物の配合量は、通常は、使用される光重合開始剤量に対して0.3〜5倍の範囲内にある。
〔重合防止剤、酸化防止剤(c)〕
本発明に使用される重合防止剤または/および酸化防止剤は、公知のものを適宜選択して使用できる。
本発明で使用する重合防止剤の例としては、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、フェノチアジン等の化合物を挙げることができる。また、酸化防止剤の例としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を挙げることができ、より具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール
、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチル
フェノール)、4,4’-チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’
−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル、ヒドロキシフェノール)プロピオンオ−ト]メタン、1,3,5-トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−sec−トリ
アジン−2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、ジラウルリ3,3-チオジプロピオネート
、トリフェニルフォスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどを使用できる。
これら重合防止剤、酸化防止剤は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができ、また、重合防止剤または/および酸化防止剤と組み合わせて使用しても良い。
〔フィラー(d)〕
フィラー(d)としては、無機フィラー、有機フィラー、有機無機複合フィラーから適宜選択して使用される。
本発明に使用される無機フィラーの形状は、球状体であっても不定形体であってもよい。また、無機フィラーの種類としては公知のものを適宜選択して使用でき、例えば、周期律第I、II、III、IV族、遷移金属およびそれらの酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、亜
硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、珪酸塩、およびこれらの混合物、複合塩などを挙げることができる。
具体的には、二酸化珪素、ストロンチュウムガラス、ランタンガラス、バリウムガラスなどのガラス粉末、
硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、バリウム塩、フッ化バリウム、鉛塩、などの無機化合物粉末、
ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、その他のセラミックスからなるセラミック粉末、
石英粉末、ガラスビーズ、ガラス繊維、タルクを含有するガラスフィラー、コロイダルシリカ、シリカゲルなどを使用できる。
無機フィラーの粒子径は適宜選択して使用されるが、平均粒径は通常0.001〜50μmであり、0.001〜10μmであることが好ましい。これら無機フィラーは単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができ、また、有機フィラーまたは/および有機無機複合フィラーと組み合わせて使用しても良い。
有機フィラーの例としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・スチレン共重合体などの非架橋性ポリマー、メチル(メタ)アクリレート・エチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとブタジエン系単量体との共重合体などの(メタ)アクリレート重合体などを挙げることができる。有機フィラーの形状については特に制限はなく、また、フィラー粒子径も適宜選択して使用されるが、平均粒径は通常は0.001〜50μmであり、0.001〜10μmであることが好ましい。
有機無機複合フィラーの例としては、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーとを混和し、重合させた後に粉砕したもの)、などを挙げることができる。有機無機複合フィラーの形状については特に制限はなく、また、フィラー粒子径も適宜選択して使用されるが、平均粒径は通常0.001〜50μmであり、0.001〜10μmであることが好ましい。
〔その他添加剤〕
本発明に用いる歯科用コンポジットレジン(A)には、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤などの添加剤を加えて使用してもよい。
着色剤としては、公知の歯科用の顔料や染料が使用でき、例えば、公知の黒酸化鉄、黄色酸化鉄、弁柄、チタンイエロー、チタンホワイトなどの無機顔料、および、ブロモフタールレッド、ブロモフタールイエローなどの有機顔料を使用することができる。
着色剤の配合量は、歯科用コンポジットレジン(A)に含まれる前記(a)重合性単量体、(b)光重合開始剤、(c)重合防止剤および酸化防止剤、並びに、フィラー(d)の合計100重量部に対して通常は0.01〜3重量部である。
また、歯科用コンポジットレジン(A)には、必要に応じて、親水性溶媒として水が含まれていても良い。また、それ水のほか、親水性溶媒として、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの溶媒が含まれていても良い。これら溶媒の配合量としては、重合性単量体(a)の合計重量100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。
他の添加剤の例としては、殺菌剤、安定剤などが挙げられる。
(B)歯科用接着剤
本発明の歯科用充填キットを構成する接着剤は、接着面の改質処理に用いられる歯科用の接着剤(B)には、酸性基を含有する単量体(e)、酸性基を含有しない単量体(f)、光重合開始剤(g)、および水(h)が含まれる。
ここで歯科用の接着剤(B)を構成する酸性基を含有する単量体(e)の種類としては、上記単量体(a3)と同様のものを好適に用いることができる。また、酸性基を含有しない単量体(f)の種類としては、上記単量体(a1)、(a2)と同様のものを好適に用いることができる。さらに、光重合開始剤(g)としては、上記光重合開始剤(b)と同様のものを好適に用いることができる。各配合量は(B)歯科用接着剤を100重量部とした際、酸性基を含有する単量体(e)、酸性基を含有しない単量体(f)、光重合開始剤(g)、および水(h)の合計重量部が100重量部となるように配合される。具体的には酸性基を含有する単量体(e)は好ましくは3〜40重量部の範囲、より好ましくは5〜35重量部の範囲であり、酸性基を含有しない単量体(f)は好ましくは5〜50重量部の範囲であり、光重合開始剤(g)は通常0.01〜10重量部の範囲であり、水(h)は通常1〜50重量部の範囲内の量、好ましくは5〜40重量部の範囲内であり、合計が100重量部となるように配合される。
上記範囲内で単量体(e)、酸性基を含有しない単量体(f)、光重合開始剤(g)、および水(h)を含有する(A)歯科用コンポジットレジンは歯牙への高い接着強さを有するため好ましい。
〔歯科用コンポジットレジンと歯科用接着剤の配合量等の関係〕
本発明の歯科用充填キットは、歯質表面に塗布した接着剤とこの上に配置される歯科用コンポジットレジンを同時に重合、硬化させても充分な接着強さおよび辺縁封鎖性を有する。
本発明の歯科用充填キットがこのような特質を有するようにするための手段として、光硬化開始4秒後の歯科用コンポジットレジン中に残存する重合性二重結合残存率が、光硬化開始4秒後の接着剤中に残存する重合性二重結合残存率よりも高くなるように調製された歯科用コンポジットレジンと接着剤を選択して組み合わせて用いるものである。
なお、ここでいう重合性二重結合とは、例えば、口腔内等のように常温常圧の温和な物理的環境下であって、極端な酸性でも塩基性でもない穏やかな化学的条件下にて、通常の歯科治療において充分実用的な時間内にて強固な接着強度等を達成できる程度の反応速度にて、重合可能な二重結合のことである。より具体的には(メタ)アクリル系単量体などのエチレン性二重結合が挙げられる。逆にこれに該当しないものは、ベンゼン環などの芳香環の二重結合、あるいは、エチレン性二重結合であっても立体障害が顕著なものであり、これらは硬化終了後も永続して残存するので、本発明で謂う重合性二重結合ではない。なお、一分子内にエチレン性二重結合を2つ以上有する多官能性単量体等においては、少
なくとも1つの当該二重結合が重合しても、他の1つ以上の当該二重結合が硬化したポリマー内に取り残されるといったようなことがありえる。例えば、硬化反応用の光照射器にて90秒以上の光照射処理をしても反応せずに残存するエチレン性二重結合があり、特に歯科分野で好適に用いられる歯科用コンポジットレジンにおいては、エチレン性二重結合は、40%程度が残存してほぼ永続的に存在し続けることが知られており、50%以下なら実用上不都合ない。従って、前記90秒以上の光照射処理後にも残存しているようなエチレン性二重結合は、例え、特に立体障害などがないものであっても、これは、重合性二重結合残存率には計数しないものとするのが合理的である。従って、本発明において、重合性二重結合は、硬化反応用の光照射器を用いて90秒間光照射を行ったときに重合反応する
重合性二重結合である。
そして、成分中の重合性二重結合残存率とは、重合開始前の重合性二重結合量(Q0)を基準としたときの重合開始から所定時間(t)後の重合性二重結合量(Q1)の比率(Q1/Q0)である。これは本質的にはモル比である。具体的な測定方法としては、飽和反応を利用した化学的定量方法でも可能だが、より簡便には、物理的ないしは光学的測定手段が好適であり、例えば、赤外線分光測定などが挙げられる。
赤外線分光測定を利用して重合性二重結合残存率を測定する場合は、測定すべき試料について赤外線分光測定を行って、重合性二重結合由来のピーク、例えばメタクリル構造を有するトリエチレングリコールジメタクリレートにおいては1636cm-1前後、についてベースラインからのピークの重合開始前の高さhA0、重合開始から所定t時間(=4
秒)後の高さhA1、硬化終了後(90秒後)の高さhA2を求め、それぞれの値(hA
、hA1、hA2)から、次式により残存率Rを求めることができる。
R=(hA1−hA2)/(hA0−hA2)
但し、同一の試料について連続して赤外分光測定することが困難な場合には、測定時の試料調製によって、試料の濃度や量に相違が生じて正確に測定できない場合がありえる。あるいは、測定系固有の特性により誤差などが生じることがある。これらのような場合には、試料中で重合反応により赤外分光ピーク高さや波数が実質上変動しない構造由来のピーク、例えば一定量の(メタ)アクリル構造のカルボニル基、例えばトリエチレングリコールジメタクリレートにおいては1710cm-1前後、あるいは、一定量のベンゼン環のピーク1608cm-1高さ等を内部基準として補正して重合性二重結合の残存率を求めることができる。必要によっては、試料にトルエン等蒸散し難く重合反応により化学反応し難い成分を添加して内部標準としても良い。さて、内部標準由来の赤外分光ピークについて、ベースラインからのピーク高さを、重合開始前、重合開始から所定t時間(=4秒)後、硬化終了後について各々求め、それぞれの値をhB0、hB1、hB2とすると、補正
された残存率R’は以下の式にて求められる。
R’=(hA1/hB1−hA2/hB2)/(hA0/hB0−hA2/hB2)
本発明において一段階の光照射とは、特に限定されるものではないが、例えば治療対象の歯牙に接着剤を塗布した後、実質的な光照射を必要とせずに、直ちにその塗布層に歯科用コンポジットレジンを積層・形成した段階において、初めて光照射するようなことである。あるいは、光照射の途中で、歯科用コンポジットレジンを塗布するなどの他の操作を必要としないことである。但し、パルス発光のように光照射作業中、特に他の作業が挿入される必要なく、短く光照射が中断するようなことも、多段階ではなく、一段階の光照射とみなして良い。
勿論、前記光照射とは、モノマーの光重合を促すことを主目的とするものであるので、当然、照明用の電灯などは、通常、本発明の光照射には該当しない。前記光照射は、強力なエネルギー密度が求められる上に、治療すべき歯牙の形状は単純ではないので、光照射装置を患者の口腔内に挿入するにあたっては極めて接近させる必要がある。
また、光照射は、特に限定されるものではないが、波長は好ましくは350〜550nm、より好ましくは400〜520nm、出力は好ましくは100〜2500mW/cm2
より好ましくは200〜2000mW/cm2の光照射器を、好ましくは1〜50mm、よ
り好ましくは1〜30mmの距離を設けて光照射を行なうものである。光源としては特に限定されるものではなく、歯科用ハロゲン光照射器、歯科用LED光照射器、歯科用プラズマアークライト光照射器などを用いることができる。
本発明において、特性を測定の際の光照射条件は、波長400〜520nm、出力250mW/cm2の光照射器を10mmの距離を設けて光照射を行うものとする。また、光
照射は少なくとも硬化終了したと看做される時間(90秒間)まで続けるものとする。
歯科用コンポジットレジンと接着剤の、光硬化開始4秒後の成分中の重合性二重結合残存率(R)をそれぞれ、Rc、Rbとすれば、その比r(=Rc/Rb)>1であれば、本発明の目的が達成できるものであるが、rは好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.3以上である。前記下限値を下回ると辺縁封鎖生が低下して好ましくない。前記rには特に上限値はなく、歯科用コンポジットレジンも最終的には硬化さえすれば問題ない。
本発明の目的は、同じ光照射にて、重合性二重結合残存率が、前記接着剤についてはRbが30%以下である際、前記歯科用コンポジットレジンについてはRcが60%、好ましくは65%、より好ましくは70%以上となり、前記のような光照射を90秒間行うことにより、Rcが50%以下となる構成によっても達成できる。
本発明では、また、歯科用コンポジットレジンの重合反応誘導期を、接着剤の重合反応誘導期よりも長くすることによっても本発明の目的を達成することもできる。
重合反応誘導期とは、定常重合が行われるまでの時間、重合が実質上起こらない期間のことであり、重合反応を開始した直後、重合防止剤等によりラジカルなどの重合開始剤が消費されている状態である。かかる重合反応誘導期の間は、二重結合減少速度((1−R)/時間)は、0.1[モル/(モル・秒)]以下である。
本発明において、歯科用コンポジットレジンと接着剤の重合反応誘導期の時間をそれぞれ、Ic、Ibとすれば、その差ΔI(=Ic−Ib)>0であれば、本発明の目的が達成できるものであり、ΔIは好ましくは0.1秒以上、より好ましくは0.5秒以上、更に好ましくは1.0秒以上である。前記下限値を下回ると辺縁封鎖生が低下して好ましくない。
歯科用コンポジットレジンに配合される重合防止剤または/および酸化防止剤の重量総和が同重量の接着剤に配合される重合防止剤または/および酸化防止剤の重量総和の1.01倍〜100倍、好ましくは2倍〜80倍、より好ましくは2倍〜50倍となるように配合されている。
接着剤に配合される重合開始剤および光増感剤の重量総和が同重量の歯科用コンポジットレジンに配合される重合開始剤および光増感剤の重量総和の1.01倍〜100倍、好ましくは2倍〜80倍、より好ましくは2倍〜50倍となるように配合されている。
または、歯科用コンポジットレジンに配合されるメトキシフェノールが同重量の接着剤に配合されるメトキシフェノールの1.01倍〜100倍、好ましくは2倍〜80倍、より好ましくは2倍〜50倍となるように配合されている。
または、接着剤に配合されるカンファーキノンが同重量の歯科用コンポジットレジンに配合されるカンファーキノンの1.01倍〜100倍、好ましくは2倍〜80倍、より好ましくは2倍〜50倍となるように配合されている。
〔その他成分〕
さらに、本発明に用いる歯科用接着剤(B)にはアセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの溶媒を用いることができる。
溶媒の配合量としては、単量体(e)および単量体(f)の合計重量100重量部に対して、好ましくは、80重量部以下の範囲、より好ましくは0.1〜70重量部の範囲、さらに好ましくは1〜60重量部の範囲で用いることができる。
溶媒を上記範囲内で用いると油成分である単量体と均一な溶液となり確実な塗布性が得られ、接着剤層を薄くすることもできる。
また本発明に用いる接着剤(B)は、さらに本発明の目的を損なわない範囲内において他の添加剤を配合することもできる。添加剤の例としては、無機フィラー、有機質フィラー、増粘剤、殺菌剤、安定剤、顔料および染料などの着色剤を挙げることができる。これら添加剤は0.01重量部以上、10重量部以下で含有することが好ましい。さらには0.01重量部以上5重量部以下であることがより好ましい。これらの添加剤を加えると、接着剤層の厚さが様々な条件でも均一にすることができると共に、保存安定性が向上する効果などがある。
さらに、本発明に用いる接着剤(B)には、フッ素イオン放出性物質を配合させてもよい。フッ素イオン放出性物質を配合することによって、歯質及び本発明で用いる接着剤(B)と歯質とから構成される被膜層に耐酸性を付与させることができる。かかるフッ素イ
オン放出物質としては、フルオロアルミノシリケートガラスなどのフッ素ガラス、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物、さらにはメタクリル酸メチルとメタクリル酸フルオライドとの共重合体などのフッ素イオン放出性ポリマーやセチルアミンフッ化水素酸塩などのフッ素イオン放出物質を挙げることができる。
<本発明の歯科用充填キットの構成>
本発明の歯科用充填キットの構成は、上記歯科用コンポジットレジン(A)、および接着剤(B)を構成要素とし、通常はそれぞれ独立の容器に充填されている。
本発明の歯科用充填キットにはさらに(C)エッチング剤、(D)プライマーなどを組み合わせても良い。
<具体的な適用方法、手順>
本発明の歯科用充填キットは次のようにして使用することができる。
まず、歯科用コンポジットレジン(A)を充填しようとする歯牙表面を接着剤(B)で
処理する。歯科用の気銃などで余剰分の接着剤(B)を除去した後、歯科用コンポジット
レジン(A)を充填する。接着剤(B)は何回塗ってもかまわない。
充填した歯科用コンポジットレジン(A)表面を整えた後に歯科用光照射機で光照射を行い、硬化させる。なお、本発明の歯科用充填キットは、接着剤(B)で処理をした後、
歯科用コンポジットレジン(A)を充填して、重合性の相違を利用して、一回の光照射で接着剤(B)および歯科用コンポジットレジン(A)の双方を硬化させるものであるが、一回以上の光照射を排除するものではない。耐久性を高めるためにエッチング剤を用いる場合は、接着剤(B)を用いる前に適用をする。
さらに耐久性を高めるためにプライマーを用いる場合は、エッチング処理の後に適用する。
なお、本発明の歯科用充填キットを用いた際に達成される実用的な辺縁封鎖性とは、好ましくは70〜100%、より好ましくは80〜100%であり、実用的な接着強さとは、好ましくは3〜30MPa、より好ましくは5〜15MPa程度である。
〔実施例〕
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらによって限
定されるものではない。
〔化合物の略称〕
MMA:メチルメタクリレート
4−META:4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物
PM−2:(ビス)メタアクリロキシエチル化リン酸((CH2=C(CH3)COOCH2CH2O)aPO(OH)3-a、a=1および2の化合物の等モル混合物)
A−9300:2−プロペノイック酸(2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−(2H,4H,6H)トリル)トリ−2,1−エタンジイルエステル
DTMPO:ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド)
UDMA:1,6ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチルヘキサン
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
RDMA:1,3−ジメタクリロキシエトキシベンゼン
2.6E:2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン
CQ:カンファーキノン
実施例で用いる構造用単量体とはRDMA、TEGDMA、2.6EおよびUDMAをRDMA:TEGDMA:2.6E:UDMA=23:15:56:6の重量比で混合したものである。
〔実施例1〕
〔材料の調製〕
重量比で、バリウムガラスフィラー:構造用単量体:4−メトキシフェノール:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:CQ:4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル:PM−2=65.0:34.39:0.1:0.01:0.1:0.1:0.3となるように配合した、歯科用コンポジットレジン(CR1)を調製した。この配合を表1に示す。
〔重合率の測定〕
FT-IR測定機(パラゴン1,000 パーキンエルマー社)にダイヤモンドマイク
ロATR 機(Dura Scope エス・ティ・ジャパン)を設置して、コンポジッ
トレジン(CR1)の重合率を測定に使用した。
ダイヤモンドマイクロATR機の試料台上に直径6mmの穴が空いた、厚さ1mmのテフロン(登録商標)板を置いた。
テフロン(登録商標)板の穴に試験体を入れ、その上にスライドガラスを乗せた。
スライドガラスの上に直径8mmの穴が空いた厚さ10mmのゴム板を置いた。
ゴム板の穴に歯科用光照射器(JETLITE 1,000、モリタ)の先端チップをセ
ットして、測定の際の光照射条件は、波長400〜520nm、出力250mW/cm2
の光照射器を10mmの距離を設けて光照射を行なった。光照射を2、4、7、10、15、20、30、90秒間行い、その度IR測定を行った。
30秒間光照射を行った後に、光照射器をゼロ距離にして、さらに60秒間光照射を行った(硬化終了)。
測定条件は、測定範囲4,000cm-1〜650cm-1、スキャン回数4回、分解能4cm-1で行った。
解析条件は、1659cm-1から1550cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からのCR1の構造用単量体由来のピーク1637cm-1(h1)の高さと内部指標であるRDMA、2.6E由来のピーク1608cm-1 (h2)の高さとの比を求め、
その比率で二重結合量の残存率を算出した。
二重結合相対比 =h1/h2
二重結合残留指標 a=h1/h2−h1max/h2max
ただし、h1max/h2max=硬化終了時のh1/h2
二重結合残留率(%) A=(a/a0)×100:a0=照射0秒でのa値
結果を表3aに示す。
〔実施例2〕
〔材料の調製〕
重量比で、バリウムガラスフィラー:構造用単量体:4−メトキシフェノール:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:CQ:4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル:4−META=65.0:34.39:0.01:0.1:0.1:0.1:0.3となるように配合した、歯科用コンポジットレジン(CR2)を調製した。この配合を表1に示す。
〔重合率の測定〕
実施例1と同様に行なった。結果を表3bに示す。
〔実施例3〕
〔材料の調製〕
重量比で、バリウムガラスフィラー:構造用単量体:4−メトキシフェノール:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:CQ:4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル:4−META=65.0:34.3:0.1:0.1:0.1:0.1:0.3となるように配合した、歯科用コンポジットレジン(CR3)を調製した。この配合を表1に示す。
〔重合率の測定〕
解析条件を、1647cm-1から1618cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からのCR3構造用単量体由来のピーク1636cm-1(h1)の高さと、解析条件を、1800cm-1から1565cm-1の間でベースラインを設定した内部指標であるCR3構造用単量体由来のピーク1718cm-1 (h2)の高さとの比を求めたこと以
外の条件を実施例1と同様にして行なった。
結果を表3cに示す。
〔実施例4〕
〔材料の調製〕
重量比で、バリウムガラスフィラー:構造用単量体:4−メトキシフェノール:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:CQ:4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル=65.0:34.6:0.1:0.1:0.1:0.1となるように配合した、歯科用コンポジットレジン(CR4)を調製した。この配合を表1に示す。
〔重合率の測定〕
実施例1と同様に行なった。結果を表3dに示す。
〔実施例5〕
〔材料〕
歯科用コンポジットレジンの一つである、メタフィルFlo(サンメディカル社製)を用いた。
〔重合率の測定〕
解析条件を、1659cm-1から1562cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からの構造用単量体(RDMA、2.6E、TEGDMA、ODMA)由来のピ
ーク1637cm-1(h1)の高さと、内部指標であるRDMA、2.6E由来のピーク1607cm-1(h2)の高さとの比を求めたことと、光照射1秒の時点でIR測定を行なったこと以外の条件を実施例1と同様にして行なった。結果を表3eに示す。
〔実施例6〕
〔材料〕
歯科用コンポジットレジンの一つである、ユニフィルローフロープラス(ジーシー社製)を用いた。
〔重合率の測定〕
解析条件を、1800cm-1から1565cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からのウレタンジメタクリレート由来のピーク1637cm-1(h1)の高さと、内部指標であるウレタンジメタクリレート由来のピーク1714cm-1(h2)の高さとの比を求めたことと、光照射1秒の時点でIR測定を行なったこと以外の条件を実施例1と同様にして行なった。結果を表3fに示す。
〔実施例7〕
〔材料の調製〕
重量比で、アセトン:水:4−META:TEGDMA:HEMA:UDMA:DTMPO:CQ:ジメチル−p−トルイジン:シリカフィラー=37.5:21.0:13.0:10.0:1.0:10.0:2.5:1.0:1.0:3.0となるように配合した、接着剤(P1)を調製した。この配合を表2に示す。
〔重合率の測定〕
解析条件を、1647cm-1から1618cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からの4−META、TEGDMA、HEMA、UDMA由来のピーク1636cm-1(h1)の高さと、解析条件を、1800cm-1から1565cm-1の間でベースラインを設定した内部指標である4−META、DTMPO由来のピーク1718cm-1
(h2)の高さとの比を求めたこと以外の条件を実施例1と同様にして行なった。
結果を表4aに示す。
〔実施例8〕
〔材料の調製〕
重量比で、アセトン:水:4−META:MMA:HEMA:UDMA:DTMPO:CQ:ジメチル−p−トルイジン:シリカフィラー=37.5:21.0:13.0:10.0:1.0:10.0:2.5:1.0:1.0:3.0となるように配合した、接着剤(P2)を調製した。この配合を表2に示す。
〔重合率の測定〕
解析条件を、1647cm-1から1618cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からの4−META、MMA、HEMA、UDMA由来のピーク1636cm-1(h1)の高さと、解析条件を、1800cm-1から1565cm-1の間でベースラインを設定した内部指標である4−META、DTMPO由来のピーク1718cm-1 (h2)の高さとの比を求めたこと以外の条件を実施例1と同様にして行なった。
結果を表4bに示す。
〔実施例9〕
〔材料の調製〕
重量比で、アセトン:水:4−META:TEGDMA:UDMA:DTMPO:CQ:ジメチル−p−トルイジン:シリカフィラー=38.5:21.0:13.0:10.0:10.0:2.5:1.0:1.0:3.0となるように配合した、接着剤(P3)を調製
した。この配合を表2に示す。
〔重合率の測定〕
解析条件を、1647cm-1から1618cm-1の間でベースラインを設定し、ベースライン上からの4−META、TEGDMA、UDMA由来のピーク1636cm-1(h1)の高さと、解析条件を、1800cm-1から1565cm-1の間でベースラインを設定した内部指標である4−META、DTMPO由来のピーク1710cm-1 (h2)の
高さとの比を求めたこと以外の条件を実施例1と同様にして行なった。
結果を表4cに示す。
〔実施例10〕
〔接着試験〕
以下に示す方法で接着試料を作製して、接着強度を測定した。
注水下、180#の耐水研磨紙で牛下額前歯を研磨し、平坦な接着用象牙質面を削り出した。直径4.8mmの穴を空けた両面テープを象牙質面に貼り、次いで直径4.8mmの穴が空いた厚さ2mmの厚紙を両面テープに貼り付けた。
接着剤(P1)をスポンジに含ませ上記規定の象牙質質面に塗布して、エアーを吹き付け乾燥させた。
この接着剤層の上に、コンポジットレジン組成物(CR1)を充填して、歯科用ハロゲン照射器で20秒間光照射して硬化させた。
このコンポジットレジンの上にスーパーボンド(サンメディカル(株)製)を用いて接着ロッドを接着して植立した。
上記接着したサンプルを37℃、湿度100%の恒温槽に入れ、24時間経過した後、引張接着強度を測定した。試験機はAGS−1000D(島津)を用い、クロスヘッドスピード2mm/minで行った。
〔辺縁封鎖性試験〕
以下に示す方法で試料を作製して、辺縁封鎖性を測定した。
注水下、#180の耐水研磨紙で牛下額前歯を研磨し、平坦な象牙質面を削り出した。その象牙質に直径3.0mm、深さ1.5mmの円筒形窩洞を形成した。
接着剤(P1)をスポンジに含ませ上記窩洞の象牙質面に塗布して、エアーを吹き付け乾燥させた。
この接着剤層の上に、コンポジットレジン組成物(CR1)を充填して、歯科用ハロゲン照射器で30秒間光照射して硬化させた。
上記したサンプルを37℃、湿度100%の恒温槽に入れ、24時間経過した後、円筒形窩洞の中心を通るように歯を切断した。
その切断面をレーザー顕微鏡(VK-9510 キーエンス社)を用いて辺縁封鎖性の試験を行
った。
辺縁封鎖性の評価は以下の式に従って行った。
辺縁封鎖率=(歯質とコンポジットレジンとの隙間がない部分の長さ/窩洞周辺の長さ)×100
接着強さと辺縁封鎖性の結果を表5に記す。
〔実施例11〜27〕
歯科用コンポジットレジンと接着剤の組合せを下記のように変え接着試験および辺縁封
鎖性試験を行なった。
CR1とP2(実施例11)、CR1とP3(実施例12)、CR2とP1(実施例13)、CR2とP2(実施例14)、CR2とP3(実施例15)、CR3とP1(実施例16)、CR3とP2(実施例17)、CR3とP3(実施例18)、CR4とP1(実施例19)、CR4とP2(実施例20)、CR4とP3(実施例21)、メタフィルFloとP1(実施例22)、メタフィルFloとP2(実施例23)、メタフィルFloとP3(実施例24)、ユニフィルローフロープラスとP1(実施例25)、ユニフィルローフロープラスとP2(実施例26)、ユニフィルローフロープラスとP3(実施例27)、
結果を表5に示す。
Figure 0005235275
*1)フィラーとしてバリウムガラスフィラー(平均粒径1μm)を使用。
*2)構造用単量体として
*3)重合禁止材として4-メトキシフェノ−ルを使用;RDMA / TEGDMA / 2.6E / UDMA = 23 / 15 / 56 / 6の重量比で混合した単量体を使用。
*4)重合禁止材として2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールを使用
*5)重合開始剤1としてCQを使用。
*6)重合開始剤2として4-ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルを使用。
Figure 0005235275
*1)アエロジルR972(日本アエロジル社製)
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
Figure 0005235275
*a) 厚み1mm、スライト゛カ゛ラス、10mmから照射(JETLITE 1000:波長400〜520nm
、出力250W)
*b)最終の60秒間はゼロ距離にて光照射設定、この直後のIRピーク高h1(h2)がh1 max(h2 max)
*c)ベースラインを1659〜1550cm-1に設定
*d)ベースラインを1647〜1618cm-1に設定
*e)ベースラインを1800〜1565cm-1に設定
*f)ベースラインを1659〜1562cm-1に設定
*g)ベースラインを1800〜1565cm-1に設定
*h)照射0秒でのa値をa0とする
*a〜*hは表3及び表4で共通である
Figure 0005235275

Claims (3)

  1. 歯科用コンポジットレジンと接着剤とを構成要素とする光重合性を有し、一段階の光照射によって70〜100%の辺縁封鎖性および/または3〜30MPaの接着強さを発現可能に形成されている歯科用充填キットであって、
    該歯科用コンポジットレジンに波長400〜520nm、出力250mW/cm2、距離10mmの同一条件で4秒間光照射した後の該歯科用コンポジットレジン中に残存するエチレン性二重結合残存率が、該接着剤に同一条件で4秒間光照射した後の該接着剤中に残存するエチレン性二重結合残存率よりも高くなるように、該歯科用コンポジットレジン中に、光重合開始剤および光増感剤として、α-ケトカルボニル化合物および/またはアシルホスフィンオキサイド化合物を配合し、重合防止剤として、4-メトキシフェノール、ハイドロキノンおよびフェノチアジンよりなる群から選ばれる少なくとも一種類を配合すると共に、接着剤中に、光重合開始剤として、α-ケトカルボニル化合物を配合してなり、接着剤に配合される光重合開始剤の重量総和が、同重量の歯科用コンポジットレジンに配合される重合開始剤および光増感剤の総重量の100〜1.01倍の範囲内になるように上記化合物を配合することを特徴とする歯科用充填キット。
  2. 上記歯科用コンポジットレジンに波長400〜520nm、出力250mW/cm2距離10mmの同一条件で4秒間光照射を行った後の接着剤中におけるエチレン性二重結合残存率が30%以下であり、歯科用コンポジットレジン中におけるエチレン性二重結合の残存率が60%以上であることを特徴とする請求項1記載の歯科用充填キット。
  3. 上記歯科用充填キットを構成する歯科用コンポジットレジンおよび接着剤が共に、α-ケトカルボニル化合物としてカンファキノンを含有しており、
    接着剤に含有されるカンファキノンの含有率が、同重量の歯科用コンポジットレジンに含有されるカンファキノンの含有率の1.01〜100倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2記載の歯科用充填キット。
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