JP2011144121A - 歯科用充填修復キット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)ラジカル重合性単量体、(b)光重合開始剤および(c)フィラーを含んでなり、硬化体の曲げ弾性率が2〜6GPaの範囲にある(A)充填修復材と、(d)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(e)水を含む(B)前処理材と、を含んでなり、(A)充填修復材が、(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填される歯科用充填修復キットとしている。
【選択図】なし
Description
本実施の形態において、コンポジットレジンは、ラジカル重合性単量体を含む。ラジカル重合性単量体は、特に限定されず公知のラジカル重合性単量体が使用できる。また、ラジカル重合性単量体に含まれるラジカル重合性不飽和基も特に限定されず公知の如何なる基であっても良い。具体的には、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、または(メタ)アクリロイルチオ基などの(メタ)アクリロイル基の誘導体基、ビニル基、あるいはスチリル基などが挙げられる。なかでも重合性の観点から(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、または(メタ)アクリロイルアミノ基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。
本実施の形態において、特に、耐着色性などの審美性の観点、および後述する第3級アミン化合物と塩基性無機材料と組み合わせて用いる場合には、その効果を損なわないために酸性基非含有ラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。酸性基非含有ラジカル重合性単量体としては、上述したラジカル重合性単量体の分子中に酸性基を有しない化合物であれば、制限なく使用することができる。このような酸性基非含有ラジカル重合性単量体としては、重合性の良さなどから(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体が主に用いられている。コンポジットレジン中に酸性基が含有されていない場合には、歯牙の窩洞にコンポジットレジンを充填する前に、酸性基と後述の第3級アミン化合物および塩基性無機材料との中和反応を起こさない。さらに、本実施形態の歯科用充填修復キットに用いられるコンポジットレジンが塩基性無機材料および第3級アミン化合物を含む場合には、コンポジットレジンを充填した後、プライマーとコンポジットレジンとの混合層において、塩基性無機材料が該第3級アミン化合物と競合して中和され、中和反応を受けなかった残部の第3級アミン化合物が両者の混合層における光重合開始剤の重合促進効果を高めることができる。特に、この効果は、使用する塩基性無機材料が比較的塩基性の高いものである場合に顕著になり、より好ましい。また、酸性基含有ラジカル重合性単量体をコンポジットレジンに含まず塩基性の物質を吸着しないため、より着色しにくく、審美性に優れる。
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれる(b)光重合開始剤は、光照射に伴って、重合開始可能なラジカルを生成するものであれば特に制限はされない。特に、歯科用照射器の照射波長として用いられることの多い380〜500nmの光照射に活性な光重合開始剤が好ましい。そのような光重含開始剤として、たとえば、α−ケトカルボニル化合物、あるいはアシルフオスフィンオキシド化合物などが挙げられる。
6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれるフィラーは、コンポジットレジンの強度を向上させ、かつ重合時の収縮を抑えるために添加される。また、フィラーの添加量により、コンポジットレジンが硬化する前の粘度(操作性)を調節することができる。フィラーは、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、80〜2000質量部の範囲で含まれるのが好ましい。特に好ましいフィラーの量は、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して100〜500質量部であり、120〜230質量部が最も好ましい。また、フィラーの量が80質量部以上の場合には、コンポジットレジンとしての十分な強度が得られ、2000質量部以下の場合には、粘度が高くなりすぎず、コンポジットレジンを充填する作業の操作性が向上する。また、プライマーにもフィラーを添加すると、接着強度がより強固なものとなるため、より好ましい。
本実施の形態において、歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と1つのラジカル重合性不飽和基とを有する化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。このような酸性基含有ラジカル重合性単量体は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に10質量部以上含まれることが好ましく、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に30質量部以上の酸性基含有ラジカル重合性単量体が含まれるのがより好ましい。また、該酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基などを挙げることができる。そのなかでも、歯質に対する接着性が高い酸性基として、カルボキシル基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基がより好ましい。さらに、コンポジットレジンとプライマーとの間の物質の移動を活発化させる目的で、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配をより急勾配にするため、プライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基は、強酸性であることが最も好ましい。そのような強酸性の酸性基としては、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基が最も好ましい。
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる水は、酸性基含有ラジカル重合性単量体による歯質の脱灰を助ける働きを有する。水は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、5〜300質量部含まれることが好ましく、特に、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して15〜110質量部の水が含まれるのがより好ましい。
本実施の形態において、コンポジットレジンは、さらに可塑剤を含むことが好ましい。コンポジットレジンに可塑剤を添加することによって、フィラー含有率を下げることなく、硬化体の曲げ弾性率を2〜6GPaに調整可能であり、さらに、必要な曲げ強度と吸水量を満たすことが容易に可能となる。コンポジットレジンに含まれる可塑剤は、上述したラジカル重合性単量体に溶解可能であれば、公知のものが何ら制限無く利用できる。
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中、重量平均分子量が1000〜50000の範囲にある不飽和ウレタン系オリゴマーは5〜50質量部が含まれることが好ましい。コンポジットレジンに不飽和ウレタン系オリゴマーを添加することによって、プライマーとコンポジットレジンとの接触界面において、二重結合により重合促進効果を十分に発揮できる。また、分子量が1000〜50000の範囲にあるものを用いているため、コンポジットレジンとして必要な低溶出性を大きく損なうことなく、曲げ弾性率を2〜6GPaの範囲に制限することができる。その結果、歯牙とコンポジットレジンとの間に高い接着強度を実現でき、かつ高い窩洞適合性を得るができるとともに、治療後も長期間にわたしても剥離しなく、良い耐久性が得られる。
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体は、酸性基非含有ラジカル重合性単量体である場合に、さらに塩基性無機化合物を含む。酸性基非含有ラジカル重合性単量体のみを含有するコンポジットレジンに塩基性無機化合物を添加することによって、後述するコンポジットレジンに第3級アミン化合物を添加するとき、プライマーとコンポジットレジンの接触界面でのコンポジットレジン中の第3級アミン化合物とプライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との中和反応防ぐことができ、接触界面における第3級アミン化合物の重合促進効果が損なわれることがないので、歯牙とコンポジットレジンとの間の接着力をさらに一層強力にすることができる。塩基性無機材料は、コンポジットレジンに含まれる酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、通常は3質量部以上含まれる。特に好ましい塩基性無機材料の量は、コンポジットレジンに含まれる酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して5〜80質量部であり、8〜30質量部が最も好ましい。塩基性無機材料の量が3質量部以上の場合には、重合時の十分な第3級アミン化合物の重合促進効果が得られる。
本実施の形態において、さらに、前述した光重合開始剤の重合開始効果を向上、および重合反応を促進させるため、アミン化合物を添加しても良い。特に、α−ケトカルボニル化合物を用いる場合には、アミン化合物のような還元性化合物により重合開始効果を向上することが好ましい。
[酸性基非含有ラジカル重合性単量体]
「BisGMA」:2,2’−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
「3G」:トリエチレングリコールジメタクリレート
「HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
「14G」:ポリエチレングリコール(重合度14)ジメタクリレート(化4の構造式)
「PM」:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートおよびビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェートを質量比2:1の割合で混合した混合物
「MDP」:10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
「MAC−10」:11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
「CQ」:カンファーキノン
「BTPO」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
「DMBE」:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
「IMDPI」:(化5の化合物)
「F1」:球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカ−チタニア(平均粒径0.08μm)γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物
「F2」:ヒュームドシリカ(平均粒径0.02μm)をメチルトリクロロシランにより表面処理したもの
「DOP」:ジオクチルフタレート
「PBA1」:ポリ(ブチルアクリレート);重量平均分子量2000、分子量500以下のオリゴマー含有率5%
「PBA2」:ポリ(ブチルアクリレート);重量平均分子量6000、分子量500以下のオリゴマー含有率<1%
「UDMA」:1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリメチルへキサンおよび1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,4,4−トリメチルヘキサンの混合物(重量平均分子量471)
「UMA1」:下記化6の化合物で重量平均分子量が2720のもの
「UMA2」:下記化6の化合物で重量平均分子量が12000のもの
なお、下記化学式において、n、mは1以上の整数である。
アセトン
「HQME」:ハイドロキノンモノメチルエーテル
「BHT」:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
「AO」:アルミナ粉末(平均粒径0.02μm)
「MF」:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、株式会社トクヤマ製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山株式会社製)を用いて、平均粒径0.5μmまで粉砕したもの。
「パーオクタH」:1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(化10の化合物)
「BMOV」:オキソバナジウム(IV)ビスマルトラート
牛を屠殺し、屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去した。抜去した牛前歯を、注水下、ダイヤモンドバーを用い、唇面に直径約4mm、深さ約2mmの窩洞を形成した。次に、窩洞に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させ、プライマーを塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。更にその上にコンポジットレジンを約1mmの深さまで充填し、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を30秒間照射してコンポジットレジンを硬化させ、これを2回繰り返し、窩洞に完全に充填した。
牛を屠殺し、屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去した。抜去した牛前歯を、注水下、#600のエメリーペーパーで研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質および象牙質平面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた。次に、この平面に直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ1.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの穴の中心に、パラフィンワックスの穴の中心をあわせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に、プライマーを塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。更にその上にコンポジットレジンを充填し、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を30秒間照射して、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである接着試験片を作製した。
JIS T 6514によって規定される、クラス2の歯科充填用コンポジットレジンに対する曲げ強度測定法、吸水量および溶解量測定法に従い、測定した。なお、曲げ強度の測定には万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いた。
曲げ強さ測定時に、次式を用いて測定した。
曲げ弾性率=(S3/4WB3)×(F/Y)
S:支点間距離(m)、W:試験片幅(m)、B:試験片厚さ(m)、F/Y:加重−たわみ曲線の傾き(N/m)
蒸留水とエタノールを体積比1:1で混合したものにリン酸を添加し、23℃においてpHメーター(本体:イオンメーターIM20E、電極:GST−5721S、いずれも東亜ディーケーケー株式会社製)測定により、pH2.50に調製し、測定用分散媒体とした。同分散液20gに対して、塩基性無機化合物1.0gを加え、23℃において2分間スターラーで攪拌し、攪拌直後同様にpHメーターで測定した。このときの分散液のpH値から、分散媒体単体のpH値を差し引いた値をpH差とした。各種無機塩基化合物における測定値とpH差を表1に示す。
上記分散液を、100mlのサンプル管に0.2gを計り取り、IPAを用いて1質量%に希釈した。この液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液をICP(誘導結合型プラズマ)発光分光分析を用いて、金属イオンの溶出の有無を確認した。
6.0gのBisGMA、4.0gの3G、および0.5gのDOPに対して、0.05gのCQ、0.05gのDMBE、0.01gのHQMEおよび0.003gのBHTを加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスとした。得られたマトリックスを、16.3gのF1とメノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することにより、フィラー充填率61.7%の光硬化型のコンポジットレジンCR1を得た。他のコンポジットレジン(CR2〜CR27)も同様の手順で、表2に示す組成にて調製した。
5.0gのPM、5.0gのHEMA、0.03gのBHT、0.02gのCQ、0.05gのDMBE、および10.0gの蒸留水を暗所にて均一になるまで撹拌し、プライマーP1を得た。他のプライマー(P2〜P9)も同様の手順で、表3に示す組成にて調製した。
同じ組成のプライマーに対して、酸性基非含有ラジカル重合性単量体の種類および配合量が同じのコンポジットレジンに、異なる種類および配合量の可塑剤を添加して評価を行った。コンポジットレジンに可塑剤を添加することによって、フィラー含有率を下げることなく、曲げ弾性率を2〜6GPaに調整できると共に、必要な曲げ強度と吸水量を満たすこともできる。このため、いずれの実施例の評価結果は、本発明において必要とされる範囲内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらにすべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。ただし、実施例1および実施例3では、用いられた可塑剤の配合量が少なかったため、他の実施例と比べると、窩洞適合性が僅かに低下していた。
実施例1と同じ組成のコンポジットレジンに対して、プライマーの種類を変えて評価を行った。いずれの評価結果も、2〜6GPa以内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらに、すべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。
コンポジットレジンに含まれる酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部の20質量部を、分子量が2720である不飽和ウレタン系オリゴマーにて置換された。上述の同じ組成のコンポジットレジンに対して、プライマーの種類を変えて評価を行った。コンポジットレジンに不飽和ウレタン系オリゴマーを添加することによって、プライマーとコンポジットレジンとの接触界面において、二重結合により重合促進効果を十分に発揮できる。また、分子量が1000〜50000の範囲にあるものを用いたため、コンポジットレジンとして必要な低溶出性を大きく損なうことなく、曲げ弾性率を2〜6GPaの範囲に制限することができる。いずれの評価結果も、2〜6GPa以内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらにすべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。
実施例23と同じ組成のプライマーに対して、コンポジットレジンに含まれる不飽和ウレタン系オリゴマーおよびフィラーの含有量を変化させて評価を行った。いずれの評価結果も、2〜6GPa以内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらにすべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。
分子量が2720である不飽和ウレタン系オリゴマーをかわって分子量が12000である不飽和ウレタン系オリゴマーを用いたこと以外、実施例23と同じ条件にて評価を行った。その結果、実施例24とほとんど同様な結果を示した。
実施例11および実施例23のコンポジットレジン中に酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体である14Gをそれぞれ添加した実施例27と実施例28の評価を行った。その結果、実施例11および実施例23とほとんど同様な結果を示した。
実施例11と同じ組成のプライマーに対して、実施例11のコンポジットレジンに種類が異なる塩基性無機材料を添加して測定を行った。歯牙に塗布したプライマー層上に、第3級アミン化合物と塩基性無機材料とを含有するコンポジットレジンを充填することで、プライマー層とコンポジットレジンとの接触界面では、塩基性が比較的高い塩基性無機材料とプライマー層中の酸性基含有ラジカル重合性単量体であるPMの酸性基との間で中和反応が生じ、酸性基の酸が弱められ、第3級アミン化合物の重合促進効果を高めることができる。このため、プライマー層のみならず、プライマー層に接触したコンポジットレジンの重合が完了しやすい。また、コンポジットレジンに不飽和ウレタン系オリゴマーを添加することによって、プライマーとコンポジットレジンとの接触界面において、二重結合により重合促進効果を十分に発揮できると共に、高分子量の不飽和ウレタン系オリゴマーを用いたため、コンポジットレジンとして必要な低溶出性を大きく損なうことなく、曲げ弾性率を2〜6GPaの範囲に制限することができる。いずれの評価結果も、2〜6GPa以内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらにすべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。
実施例23と同じ組成のプライマーに対して、実施例23のコンポジットレジンに種類が異なる塩基性無機材料を添加して測定を行った。いずれの評価結果も、2〜6GPa以内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらにすべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。
塩基性無機化合物、フィラーおよびバナジウム化合物を添加したプライマーに対して、実施例27のコンポジットレジンに塩基性無機材料およびハイドロパーオキサイドを添加して測定を行った。いずれの評価結果も、2〜6GPa以内の曲げ弾性率を示し、曲げ強度、吸水量もそれぞれJIS規格の範囲内であった。さらにすべての場合において良好な窩洞適合性を示したと共に、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示した。
可塑剤を添加しない以外実施例1と同じ組成のコンポジットレジンとプライマーを用いて評価を行った。結果は、可塑剤を採用しなかったため、実施例1と比べると、必要な曲げ強度と吸水量を満たすことができたが、曲げ弾性率を2〜6GPaに調整できなかった。このため、窩洞適合性が大きく低下していた。
不飽和ウレタン系オリゴマーとして、分子量が2720であるUDMAを添加したコンポジットレジンを用いた比較例2について評価した。比較例2は、実施例23と比べると、不飽和ウレタン系オリゴマーの分子量が低いため、必要な曲げ強度と吸水量を満たすことができたが、曲げ弾性率を2〜6GPaに調整できなかった。このため、窩洞適合性が大きく低下していた。
比較例1のコンポジットレジン中に酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体である14Gおよび酸性基含有ラジカル重合性単量体であるPMをそれぞれ添加した比較例3と比較例4の評価を行った。可塑剤または高分子の不飽和ウレタン系オリゴマーを採用しなかったため、いずれかの結果、窩洞適合性が大きく低下していた。
可塑剤を添加しない以外実施例36と同じ組成のコンポジットレジンとプライマーを用いて評価を行った。バナジウム化合物およびハイドロパーオキサイドを添加したことによって、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの良好な接着強度を示したが、可塑剤を採用しなかったため、窩洞適合性が低下していた。
Claims (5)
- (a)ラジカル重合性単量体、(b)光重合開始剤および(c)フィラーを含んでなり、硬化体の曲げ弾性率が2〜6GPaの範囲にある(A)充填修復材と、
(d)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(e)水を含む(B)前処理材と、を含んでなり、
上記(A)充填修復材が、上記(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填されることを特徴とする歯科用充填修復キット。 - 請求項1記載の歯科用充填修復キットにおいて、前記(A)充填修復材が、前記(a)ラジカル重合性単量体100質量部に対してさらに1〜30質量部の(f)可塑剤を含むことを特徴とする歯科用充填修復キット。
- 請求項2記載の歯科用充填修復キットにおいて、前記(f)可塑剤が、高分子可塑剤であることを特徴とする歯科用充填修復キット。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キットにおいて、前記(a)ラジカル重合性単量体100質量部中、(g)重量平均分子量が1000〜50000の範囲にある不飽和ウレタン系オリゴマーは5〜50質量部が含まれることを特徴とする歯科用充填修復キット。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キットにおいて、前記(A)充填修復材が、さらに(h)塩基性無機材料および(i)第3級アミン化合物を含み、(a)ラジカル重合性単量体が(a1)酸性基非含有ラジカル重合性単量体であることを特徴とする歯科用充填修復キット。
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