JP2012179712A - ワイヤソーおよびワークの切断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、複数の溝付きローラに巻掛けされ、軸方向に往復走行するワイヤと、スラリを供給するノズルと、当て板と該当て板を保持するワークプレートを介して、ワークを保持しつつワイヤへ送るワーク送り装置を具備し、ノズルからスラリを供給しつつ、ワーク送り装置により保持されたワークをワイヤに押し当てて切り込み送りし、ウエーハ状に切断するワイヤソーであって、前記ワーク送り装置はワーク保持部を有し、該ワーク保持部の下端面の最大幅が、切断されるワークの幅よりも大きいワイヤソー。
【選択図】図3
Description
図10に示すように、ワイヤソー101は、主に、ワークを切断するためのワイヤ102、ワイヤ102を巻掛けた溝付きローラ103、ワイヤ102に張力を付与するための機構104、切断されるワークを下方へと送り出す装置105、切断時にスラリを供給する機構106で構成されている。
なお、ワークは当て板114に接着されており、また、この当て板114はワークプレート115により保持されている。そして、これらの当て板114、ワークプレート115を介して、ワーク保持部111(この例では、ワークプレート115を保持するクランパ116である)によりワークは保持される。
ここで、たとえワークの特定箇所に飛散スラリが滴下しても、スラリが滴下したその箇所のワークがまだ切断前のブロック状の状態であれば、切断されるウエーハの品質に特に影響は及ぼさない。
しかしながら、図15に示すように、ワーク保持部であるクランパ116の側面116sからスラリが滴下した位置のワークが既に切断済みでウエーハ状となっている場合には、滴下してきたスラリがウエーハ間に入り易く、それによりウエーハに蛇腹運動が引き起こされ、この結果、切断されたウエーハのWarpが悪化することを本発明者は発見した。
前記ワーク送り装置はワーク保持部を有し、該ワーク保持部により、前記当て板と前記ワークプレートを介してワークを保持するものであり、
前記ワーク保持部の下端面の最大幅が、前記溝付きローラに巻掛けされたワイヤのワイヤ列と平行な方向において、前記切断されるワークの幅よりも大きいものであることを特徴とするワイヤソーを提供する。
このようなものであれば、クランパの側面に、ワークの側面のワイヤの切入り部からスラリが飛散するのを防ぐことができ、スラリが、クランパの側面から、ワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所に滴下するのを防止できる。したがって、ワークの蛇腹運動を抑制し、Warp形状の悪化を抑制することが可能である。
このように、ワーク保持部の下端面が水平なものであれば、ワークの特定箇所、特にはワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所に集中的にスラリが滴下するのを防ぐことができる。
このとき、ワーク保持部の下端面が、溝付きローラに巻掛けされたワイヤのワイヤ列と平行な方向において、切断されるワークに対して外側へ向かって低くなるテーパを有するものであれば、ワーク保持部の下端面の最大幅は切断されるワークの幅よりも大きいことから、スラリはワークよりもさらに外側に滴下することになり、ワーク保持部の下端面の縁からワーク上にスラリが滴下するのを防ぐことができる。
一方、切断されるワークに対して内側へ向かって低くなるテーパを有するものであれば、ワーク保持部の下端面に飛散するスラリをワークの外側に向かって反射させることができ、ワーク上にスラリが滴下するのを抑制することができる。また、ワーク保持部の下端面に付着したスラリは、下端面に沿ってワークに対して内側方向に流れ、下端面の内側の縁からワーク上にスラリが滴下しても、滴下する箇所は、ワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所ではなく、切断前のブロック状の箇所であるので、蛇腹運動を引き起こす原因にはなりにくく、切断されるウエーハのWarpに特に悪影響を与えることもない。
このようにすれば、クランパの側面に、ワークの側面のワイヤの切入り部からスラリが飛散するのを防ぐことができ、スラリが、クランパの側面から、ワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所に滴下するのを防止できる。これにより、ワークの蛇腹運動を抑制し、Warp形状の悪化を抑制することが可能である。
このように、ワーク保持部の下端面を水平にすれば、ワークの特定箇所、特にはワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所に集中的にスラリが滴下するのを防ぐことができる。
このように、切断されるワークに対して外側へ向かって低くなるテーパを有するものとすれば、ワーク保持部の下端面の最大幅を切断されるワークの幅よりも大きくして切断するので、スラリはワークよりもさらに外側に滴下することになり、ワーク保持部の下端面の縁からワーク上にスラリが滴下するのを防ぐことができる。
逆に、切断されるワークに対して内側へ向かって低くなるテーパを有するものとすれば、ワーク保持部の下端面に飛散するスラリをワークの外側に向かって反射させることができ、ワーク上にスラリが滴下するのを抑制することができる。また、ワーク保持部の下端面に付着したスラリは、下端面に沿ってワークに対して内側方向に流れ、下端面の内側の縁からワーク上にスラリが滴下しても、滴下する箇所は、ワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所ではなく、切断前のブロック状の箇所であるので、蛇腹運動を引き起こす原因にはなりにくく、切断されるウエーハのWarpに特に悪影響を与えることもない。
このように、切断されるワークを比較的大きなものとしても、ワーク保持部の側面にスラリが飛散することや、ワーク保持部の側面から、ワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所にスラリが滴下するのを防止でき、ワークの蛇腹運動の発生や、Warp形状の悪化を抑制することができる。
このように、本発明のワークの切断方法であれば、全数においてWarpが9μm未満のウエーハ群を切り出すことができ、Warpが良好なスライスウエーハを得ることが可能である。
図1は本発明のワイヤソーの一例を示す概略図である。
図1に示す本発明のワイヤソー1は、切断されるワークを下方のワイヤへと送りだすワーク送り装置5以外の他の構成、例えばワークを切断するためのワイヤ2、ワイヤ2を巻掛けた溝付きローラ3、ワイヤ2に張力を付与するための機構4、切断時にスラリを供給する機構6(ノズル17を含む)等は特に限定されず、従来と同様のものとすることができる。
このワーク送り装置5は、ワークを保持するためのワーク保持部11、ワークを下方へ送るためのLMガイド12およびワーク送り本体部13を備えており、コンピュータ制御でLMガイド12に沿ってワーク送り本体部13を駆動させることにより、予めプログラムされた送り速度で、ワーク保持部11により保持されたワークを送り出すことが可能である。
ワークは、従来と同様に、当て板14およびワークプレート15を介して、上記ワーク保持部11により保持される。
まず、ワーク保持部11の下面を構成するものが、ワークプレート15を保持することによってワークを保持するクランパだけである場合について、図3を参照して説明する。
この場合、図3に示すように、クランパ16Aとしては、その下面16Au(図2のワーク保持部11の下端面11uに相当する)の最大幅が、ワイヤ列と平行な方向においてワークの幅よりも大きいものを用意する。
このため、切断後半部(特に切断終了部付近)において、ワークの切断済のウエーハ状となった箇所へのスラリの滴下によって引き起こされるワークの蛇腹運動を従来に比べて十分に抑制することができ、切断されるウエーハのWarp形状が悪化するのを著しく抑えることが可能になる。
図4(A)に示すように、クランパ16Bの下面16Buの最大幅がワークの幅よりも小さい場合、例えば、クランパ16Bと接して、ワイヤ2がワークに切入る側と切出す側の両側にカバー状の部材20を配設する。このとき、カバー状部材20の下面20uを、クランパ16Bの下面16Buと同じ高さになるように配設することで、これらの下面20u、16Buが一体となっている。
すなわち、この場合、クランパ16Bとカバー状の部材20によってワーク保持部11が構成されており、これらの一体となった下面20uおよび16Buがワーク保持部11の下端面11uに相当する(図2参照)。
なお、このカバー状部材20は、それらの下面20uとクランパ16Bの下面16Buを合わせた幅が、ワークの幅よりも大きくなるようなサイズのものであれば良く、その都度決定することができる。
また、カバー状部材20の下面20u(またはブロック状部材21の下面21u)とクランパ16Bの下面16Buが一体となって形成された面(ワーク保持部11の下端面11uに相当する)の最大幅はワークの幅よりも大きいので、カバー状部材20の側面20s(ブロック状部材21の側面21s)にまでスラリが飛散することも防止できる。このため、ワークの切断済の箇所に、このクランパの側面16Bsやカバー状部材の側面20s(ブロック状部材の側面21s)からスラリが滴下することを防ぎ、このスラリの滴下によって発生するワークの蛇腹運動、さらには切断されるウエーハのWarp形状を著しく抑制することが可能である。
さらに他の例として、図5に示すように、クランパ16Bの下方、かつ、ワイヤ2がワークに切入る側と切出す側の両側に、プレート状の部材22が配設されたものとすることができる。
すなわち、この場合、クランパ16Bとプレート状部材22によってワーク保持部11が構成されており、プレート状の部材22の下面22uがワーク保持部11の下端面11uに相当する。なお、プレート状部材22の下面22uによる最大幅が、ワークの幅よりも大きいものであれば良く、その都度適切なものを用意することができる。
このワーク保持部11の下端面11uとしては、例えば図3、図4に示すように(図3ではクランパ16Aの下面16Au、図4では一体となったクランパ16Bの下面16Buとカバー状部材20の下面20uに相当する)、水平なものとすることができる。このとき、ワーク側面の切入り部から飛散したスラリが、ワーク保持部の下端面11uに達し、その後に滴下するとしても、ワークの特定箇所、特にはワークの既に切断されてウエーハ状になった箇所に集中的にスラリが滴下するのを防ぐことができる。
本発明のワークの切断方法では、一旦、切断されるワークの幅と比較して、確実に、ワーク保持部の下端面の最大幅が、ワイヤ列と平行な方向において、切断されるワークの幅よりも大きくなるようにしてワークの切断を行う。これ以外は、例えば、従来と同様の手順でワークを切断することができる。
また、図4(A)、図4(B)の本発明のワイヤソーのように、ワーク保持部を、クランパ16Bの他、カバー状部材20やブロック状部材21をさらに用いて構成することができる。
あるいは、図5、図6のような本発明のワイヤソーのように、ワーク保持部を、クランパ16Bの下方に、プレート状部材22、22’をさらに配設することにより構成することができる。
いずれの場合も、ワーク保持部の下端面の最大幅が切断されるワークの幅よりも大きな状態で切断する。
(実施例1)
図5に示すような、クランパの下方に、外側へ向かって低くなるテーパを有するプレート状部材を備えた本発明のワイヤソー装置を用い、直径300mm、軸方向長さ180mmのシリコンインゴットをウエーハ状に切断し、165枚のスライスウエーハを得る。
なお、幅(直径)が300mmの上記シリコンインゴットに対して、ワーク保持部の構成として、幅が260mmのクランパ16Bと、幅が388mmでシリコンインゴットの幅よりも大きい一組のプレート状部材22からなるものを用意した。
このようにして、本発明のワークの切断方法を実施した。
切断開始時からシリコンインゴットの中央部切断時までは、ワイヤの切入り部からシリコンインゴットの下方へ落下した。
一方、中央部以降を切断しているときは、スラリはワイヤの切入り部からシリコンインゴットの上方へ飛散した。このとき、プレート状部材の下面22uまで飛散したスラリは、その大部分が、下面22uに沿って流れ落ち、下面22uの外側の縁から滴下していた。そして、縁から滴下したスラリは、切断中のシリコンインゴット上にかかることなくさらに下方へと落下した。
また、下方にプレート状部材22が配設されているため、クランパ16Bにまでスラリは飛散せず、当然、従来のようにクランパ16Bの側面からスラリが滴下することはなかった。
ここで、図7に、切断されたウエーハ全数のWarpの測定結果を示す。Warpの平均値は4.67μmであり、従来のワイヤソーを用いた場合(比較例1:7.72μm)に比べて6割程度に抑えられていることが判る。本発明のワイヤソーによって、従来に比べて、スライスウエーハのWarpの大きさを抑制でき、優れた品質のものを得ることが判る。
図11のようなワーク送り装置を有する従来のワイヤソーを用いる以外は実施例と同様にしてシリコンインゴットをウエーハ状に切断した。
ここで用いたワイヤソーは、ワーク保持部がクランパのみからなるものであり、その幅は260mmで、シリコンインゴットの幅よりも小さかった。
ここで、図8に、切断されたウエーハ全数のWarpの測定結果を示す。Warpの平均値は7.72μmであり大きな値となった。
比較例1では、クランパの側面にまで飛散したスラリが、そこからシリコンインゴットの特定箇所(ウエーハ状に切断されている箇所)に集中して滴下しており、それによって、蛇腹運動が引き起こされやすく、Warp形状が悪化したと考えられる。
図3に示すような本発明のワイヤソー装置を用い、直径300mm、軸方向長さ180mmのシリコンインゴットをウエーハ状に切断し、165枚のスライスウエーハを得る。
なお、幅(直径)が300mmの上記シリコンインゴットに対して、ワーク保持部の構成として、幅が360mmのクランパ16Aからなるものを用意した。
他の切断条件は実施例1と同様とした。
このようにして、本発明のワークの切断方法を実施した。
蛇腹運動の発生も抑制されており、切断したウエーハのWarpの値も実施例1と同様に小さく、優れた品質のスライスウエーハを得ることができた。
図4(A)に示すような本発明のワイヤソー装置を用い、直径300mm、軸方向長さ180mmのシリコンインゴットをウエーハ状に切断し、165枚のスライスウエーハを得る。
なお、幅が300mmの上記シリコンインゴットに対して、ワーク保持部の構成として、幅が260mmのクランパ16Bと、幅がそれぞれ100mmの2つのカバー部材20からなるものを用意した。クランパ16Bの下面16Buとカバー部材20の下面20uの高さ方向の位置を一致させ、クランパ16Bの両側にカバー部材20を各々接して配設した。このようにして一体となって形成された面の幅は460mmであった。
このようにして、本発明のワークの切断方法を実施した。
蛇腹運動の発生も抑制されており、切断したウエーハのWarpの値も実施例1と同様に小さく、優れた品質のスライスウエーハを得ることができた。
Claims (4)
- 少なくとも、複数の溝付きローラに巻掛けされ、軸方向に往復走行するワイヤと、該ワイヤにスラリを供給するノズルと、切断されるワークに接着されている当て板と該当て板を保持するワークプレートを介して、ワークを保持しつつ押し下げて前記ワイヤへ送るワーク送り装置を具備し、前記ノズルから前記ワイヤにスラリを供給しつつ、前記ワーク送り装置により保持されたワークを、往復走行するワイヤに押し当てて切り込み送りし、ワークをウエーハ状に切断するワイヤソーであって、
前記ワーク送り装置は前記ワークプレートを保持するクランパと、該クランパの下方、かつ、前記ワイヤがワークに切入る側と切出す側の両側に配設されたプレート状の部材を有し、該クランパにより、前記当て板と前記ワークプレートを介してワークを保持するものであり、
前記プレート状の部材の下面は、前記溝付きローラに巻掛けされたワイヤのワイヤ列と平行な方向において、前記切断されるワークに対して外側へ向かって低くなるテーパを有するものであり、かつ、
前記プレート状の部材の下面の最大幅が、前記溝付きローラに巻掛けされたワイヤのワイヤ列と平行な方向において、前記切断されるワークの幅よりも大きいものであることを特徴とするワイヤソー。 - ワイヤを複数の溝付きローラに巻掛けし、軸方向にワイヤを走行させつつ、該ワイヤにスラリを供給して、切断されるワークに接着されている当て板と該当て板を保持するワークプレートを介して、ワークを保持しつつ押し下げて往復走行するワイヤに押し当てて切り込み送りし、ワークをウエーハ状に切断するワークの切断方法であって、
前記切断されるワークを、前記ワークプレートを保持するクランパにより、前記当て板とワークプレートを介して保持して切断する際に、
前記クランパの下方、かつ、前記ワイヤがワークに切入る側と切出す側の両側に配設したプレート状の部材の下面を、前記溝付きローラに巻掛けされたワイヤのワイヤ列と平行な方向において、前記切断されるワークに対して外側へ向かって低くなるテーパを有するものとし、かつ、
前記切断されるワークの幅と比較し、前記プレート状の部材の下面の最大幅が、前記溝付きローラに巻掛けたワイヤのワイヤ列と平行な方向において、前記切断されるワークの幅よりも大きくなるようにして切断することを特徴とするワークの切断方法。 - 前記切断されるワークを、該ワークの幅が300mm以上のものとすることを特徴とする請求項2に記載のワークの切断方法。
- 前記切断されるワークを切断し、全数においてWarpが9μm未満のウエーハ群を切り出すことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のワークの切断方法。
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