JP2000233356A - ワイヤソーの切断方法及びワイヤ - Google Patents

ワイヤソーの切断方法及びワイヤ

Info

Publication number
JP2000233356A
JP2000233356A JP3721699A JP3721699A JP2000233356A JP 2000233356 A JP2000233356 A JP 2000233356A JP 3721699 A JP3721699 A JP 3721699A JP 3721699 A JP3721699 A JP 3721699A JP 2000233356 A JP2000233356 A JP 2000233356A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
cutting
points
hardness
wafer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3721699A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiji Yamamoto
清二 山本
Susumu Sawafuji
進 沢藤
Akira Kishimoto
明 岸本
Kojiro Shirabe
公二郎 調
Nozomi Kawabe
望 河部
Akito Hoshima
昭人 星間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Seimitsu Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Tokyo Seimitsu Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Seimitsu Co Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Tokyo Seimitsu Co Ltd
Priority to JP3721699A priority Critical patent/JP2000233356A/ja
Publication of JP2000233356A publication Critical patent/JP2000233356A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断される被加工物切断面のうねりを減少さ
せることができる。 【解決手段】 ワイヤソーの切断方法において、ワイヤ
の引張り強さが3200〜4200(N/mm2 )の範
囲の物性と、該ワイヤの平均硬度が730〜900(H
v)の範囲の物性と、該ワイヤの外周部表面と該横断面
の中心1点における硬度のばらつきが平均硬度に対して
標準偏差で2.0%以内、好ましくはばらつき幅で4%
以内を示す物性と、外周部表面の硬度のばらつきが平均
硬度に対して標準偏差で1.5%以内、好ましくはばら
つき幅で3%以内を示す物性のうち1つまたは2つ以上
の物性を有するワイヤを用い、ワイヤの張力を応力で1
400(N/mm2 )以上2150(N/mm2 )以
下、好ましくは張力が40N以上55N以下となるよう
な張力を印加して切断するようにした。これによってワ
イヤの摩耗量および偏摩耗量が減少し、ワイヤ列隙間C
wが安定し、切断面であるウェーハ表面のうねりや粗さ
を良好な状態に仕上げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はワイヤソーの切断方
法及びワイヤに係り、特に被加工物切断時のワイヤの物
性である引張り強さ、硬度の条件を適切に設定したワイ
ヤを使用するワイヤソーの切断方法及びワイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ワイヤソーは、走行するワイヤに被加工
物を押し付け、そのワイヤと被加工物との接触部に砥粒
を含む加工液を供給することにより、ワイヤのラッピン
グ作用で被加工物を切断する装置である。したがって、
切断に使用するワイヤも切断に際してラップされて細く
なったり偏摩耗を生じたりする。このためワイヤには常
に新しいワイヤを供給し、ワイヤ線径の変化や、ワイヤ
偏摩耗量の増大による切断精度の低下を防ぐ必要があ
る。
【0003】図13に、従来の1回の切断加工で切断さ
れるウェーハのN(枚目)の位置と、切断によりウェー
ハ表面に生じる表面うねり量Warp(μm)の測定結
果との関係を示す。同図に示されるように、切断する場
所によってウェーハ切断面のうねり量Warp(μm)
が悪化する。
【0004】なお、ワイヤは常に一定の場所を走行する
ように、走行するワイヤを複数個の溝を有するグルーブ
ローラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、各々のワイヤに
は所定の張力を印加している。走行するワイヤ列の隙間
に乱れが生じると、切断されるウェーハの加工表面精度
に大きな影響を与える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、切断中
には被加工物のみならず切断に使用するワイヤも摩耗す
る。ワイヤの摩耗が激しいと、一般には新線供給量を多
く設定して切断するが、新線供給量を多く設定すると切
断コストが上がるだけでなく、ワイヤ走行方向の厚さが
片寄り、1枚のウェーハで厚さのばらつき幅が大きくウ
ェーハの平坦度が悪化する。そのうえ切断中にリール内
に貯蔵してあるワイヤが不足して、切断に支障をきたす
可能性も発生する。またワイヤの摩耗や偏摩耗は、ウェ
ーハ切断面の仕上がりにも悪影響を示す。一般にウェー
ハ切断に用いられる方法である、ワイヤ列を形成してイ
ンゴットを多数のウェーハに切断する方法では、切断中
にワイヤが徐々に摩耗して細くなるために、新線が供給
される側のワイヤ列の隙間と、ワイヤが排出される側の
ワイヤ列の隙間が違う現象が起こる。すなわち、新線供
給側のワイヤ列の隙間に比べて、ワイヤが排出される側
のワイヤ列の隙間が広くなってしまう。更に、ワイヤに
偏摩耗が発生している場合には、ウェーハ切断面のうね
り量増大といったウェーハの切断精度の低下の原因とな
っていた。
【0006】また、切断加工中ワイヤ列には加工液の噴
射や、切断加工に伴うさまざまな外力が加わるため、高
速走行するワイヤが振動するなどワイヤ列の隙間が安定
しないという問題が発生している。このようにワイヤ列
の隙間が安定しないと、切断されたウェーハの厚さが場
所によって変化してしまい、結果としてウェーハ切断面
のうねり量増大といったウェーハの切断精度の低下の原
因となっていた。
【0007】また従来はワイヤの引っ張り強度の限界か
らワイヤ張力を十分に大きくとることができなかったの
で、ウェーハ切断精度を改善することができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、摩
耗しにくいワイヤの物性条件についての切断方法を提供
するとともに、ワイヤの張力についての切断条件を適切
に設定できるワイヤソーの切断方法及びワイヤを提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明は、前記目的を達成
するために、ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロー
ラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記ワ
イヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押し
つけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤソ
ーの切断方法において、該ワイヤの引張り強さが320
0〜4200(N/mm2 )の範囲の物性と、該ワイヤ
の表面から40μm以内の任意の6点の平均硬度が73
0〜900(Hv)の範囲の物性と、該ワイヤの横断面
内において該横断面の外周部表面から40μm以内の任
意の6点と該横断面の中心1点の計7点における硬度の
ばらつきが、該7点の平均硬度に対して標準偏差で2.
0%以内、好ましくはばらつき幅で4%以内を示す物性
と、該横断面の外周部表面から40μm以内の任意の6
点における硬度のばらつきが該6点の平均硬度に対して
標準偏差で1.5%以内、好ましくはばらつき幅で3%
以内を示す物性のうち1つまたは2つ以上の物性を有す
るワイヤを用い、該グルーブローラに巻き掛けられた切
断に寄与する部分の該ワイヤの張力を応力で1400
(N/mm2)以上、2150(N/mm2 )以下、好
ましくは張力が40N以上、55N以下となるように該
ワイヤに張力を印加して切断するようにしたことを特徴
としている。
【0009】本発明によれば、ワイヤの引張り強さが3
200〜4200(N/mm2 )の範囲の物性と、該ワ
イヤの表面から40μm以内の任意の6点の平均硬度が
730〜900(Hv)の範囲の物性と、該ワイヤの横
断面内において該横断面の外周部表面から40μm以内
の任意の6点と該横断面の中心1点の計7点における硬
度のばらつきが、該7点の平均硬度に対して標準偏差で
2.0%以内、好ましくはばらつき幅で4%以内を示す
物性と、該横断面の外周部表面から40μm以内の任意
の6点における硬度のばらつきが該6点の平均硬度に対
して標準偏差で1.5%以内、好ましくはばらつき幅で
3%以内を示す物性のうち1つまたは2つ以上の物性を
有するワイヤを用い、該グルーブローラに巻き掛けられ
た切断に寄与する部分の該ワイヤの張力を応力で140
0(N/mm2 )以上、2150(N/mm2 )以下、
好ましくは張力が40N以上、55N以下となるように
該ワイヤに張力を印加して切断するようにしたので、ワ
イヤ列を形成しているワイヤの振れが減少する。またワ
イヤの摩耗量及び偏摩耗量が減少するため、ワイヤ列の
隙間が安定し、切断したウェーハ表面のうねり量を減少
させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
るワイヤソーの切断方法の好ましい実施の形態について
説明する。まず、往復走行ワイヤソーの全体構成につい
て説明する。図1に示すように、一方のワイヤリール1
2Aから繰り出されたワイヤ14は、ガイドローラ1
6、16、…で形成されるワイヤ走行路を通って3本の
グルーブローラ18、18、18に巻き掛けられる。こ
の3本のグルーブローラ18、18、18の外周部に
は、それぞれ多数の溝が一定ピッチで形成されており、
前記ワイヤ14は、この溝付ローラ18の溝に順次巻き
掛けられて平行なワイヤ列20を形成する。そして、ワ
イヤ列20を形成したワイヤ14は、前記3本の溝付ロ
ーラ18、18、18を挟んで左右対称に形成された他
方側のワイヤ走行路を通って他方側のワイヤリール12
Bに巻き取られる。
【0011】ここで、前記一対のワイヤリール12A、
12Bには、それぞれモータ22A、22Bが連結され
ており、このモータ22A、22Bをモータ23と同期
させて駆動することにより、前記ワイヤ14は前記一対
のワイヤリール12A、12B間を高速で往復走行す
る。ここで、ワイヤの送り量と、ワイヤの戻り量の比率
を10:9のように設定すると、ワイヤは往復走行を行
いながら新線が供給される状態をつくり出すことができ
る。
【0012】前記ワイヤ列20の両側に形成されたワイ
ヤ走行路には、それぞれワイヤ案内装置24A、24
B、ダンサローラ26A、26Bが配設されている。ワ
イヤ案内装置24A、24Bは、ワイヤリール12A、
12Bからワイヤ14を一定ピッチでガイドし、ダンサ
ローラ26A、26Bは、所定重量のウェート27A,
27Bが吊設されてグルーブローラ18、18、18に
巻き掛けられたワイヤ列20を形成するワイヤ14に、
所定の張力を付与する。ワイヤの張力を変化させる場合
には、このウェート27A,27Bの質量を変更するこ
とにより達成される。
【0013】前記ワイヤ列20の上方には、ワイヤ列2
0に対して垂直に昇降移動するワークフィードテーブル
30が設置されている。被加工物であるインゴット32
は、このワークフィードテーブル30の下部に保持され
る。以上のように構成されたワイヤソー10において、
インゴット32の切断は、高速走行するワイヤ列20に
対しワークフィードテーブル30を駆動してインゴット
32を押し当てることにより行う。この際、前記ワイヤ
列20には、図示しないスラリタンクからスラリ噴射ノ
ズル34、34を介してスラリが供給され、インゴット
32は、このスラリ中に含有される砥粒のラッピング作
用でウェーハに切断される。
【0014】図2にウェーハの切断面精度に影響を及ぼ
すワイヤ列の隙間の説明図を示す。図2に示されたとお
り、本発明の課題であるウェーハの切断精度は、走行す
るワイヤ列の隙間Cwに依存しており、該ワイヤ列の隙
間Cwが変化した量だけ、ウェーハの厚さや切断面のう
ねり量が変化する。走行するワイヤ列の隙間Cwが変化
する要因としてワイヤ自体の摩耗による線径の減少と、
ワイヤ自体の偏摩耗による線径のばらつきと、走行して
いるワイヤ自体の振れが存在する。
【0015】一般に、ワイヤが未使用であってワイヤの
断面が真円に近いワイヤを切断に用いた方が、使用して
偏摩耗を生じているワイヤを用いて切断するよりも、切
断したウェーハの表面うねり量Warp(μm)は少な
い値を示す。前述の図13がその様子を明らかに示して
いる。同図の切断に用いたワイヤは、引張り強さ304
0(N/mm2)ワイヤの外周部表面から40μm以内
の任意の6点の平均硬度が699(Hv)の物性を有す
るワイヤである。
【0016】同図によれば、ウェーハN=30〜200
(枚目)までの間においてウェーハ表面うねり量War
p(μm)は良好な値を示しているが、ウェーハN=2
00(枚目)以降徐々にウェーハ表面うねり量Warp
(μm)が悪化している。図13の切断加工終了後に切
断に使用したワイヤの偏摩耗量を測定したところ、ワイ
ヤの偏摩耗量は6.2(%)であった。
【0017】なお、ウェーハN=0〜20(枚目)にお
いてウェーハ表面うねり量Warp(μm)が悪化して
いるのは、インゴットの端近傍でワイヤの張力変動が大
きく不安定なことによる影響が現れているためである。
図3に、ワイヤの偏摩耗量と、ウェーハ表面うねり量の
関係について示す。ワイヤの偏摩耗による長径と短径の
比率と、ウェーハ表面うねり量は図3に示す関係にあっ
て、要求されるウェーハの許容表面うねり量を維持する
ためには、ワイヤの偏摩耗による短径/長径の値を98
%以上にすればよいことになる。
【0018】ワイヤの摩耗量および偏摩耗量を減らすに
は、本発明に係る硬度の高いワイヤ、または引っ張り強
さの高いワイヤ、または径方向における硬度のばらつき
幅が小さいワイヤを用いるとよい。次に第1の発明によ
るワイヤの偏摩耗抑制方法の例を示す。図4にワイヤ引
張り強さと、ワイヤの偏摩耗の割合を示す。図4に示す
とおり、ワイヤの偏摩耗量は、ワイヤの引っ張り強さに
よって異なった値を示し、特にワイヤの引張り強さが3
200(N/mm2 )より増加するとウェーハ切断面の
うねり量に及ぼす偏摩耗量が急激に減少する。すなわ
ち、要求されるウェーハの許容表面うねり量を維持する
ためには、ワイヤの偏摩耗量を短径/長径の値で98%
以上に保つことが必要で、そのためには切断に際してワ
イヤの引っ張り強さが3200(N/mm2 )以上の物
性を示すワイヤを用いればよいことがわかる。しかし、
ワイヤの引っ張り強さが4200(N/mm2 )以上に
なるとワイヤが硬く脆くなるため、インゴット切断中に
ワイヤが断線し易くなるという不具合が生じる。したが
って、ワイヤの引張り強さが3200〜4200(N/
mm2)の範囲の物性を示すワイヤを切断に用いること
により、ワイヤが断線すること無く切断面のうねり量が
良好なウェーハを得ることができる。
【0019】以下に、第2の発明の実施の形態を説明す
る。図5にワイヤ硬度と、ワイヤの偏摩耗の割合を示
す。図5によれば、ワイヤの硬度が730(Hv)より
増加するとワイヤの偏摩耗量が急激に減少する。したが
って、要求されるウェーハの許容表面うねり量を維持す
るためには、ワイヤの偏摩耗量を短径/長径の値で98
%以上に保つことが必要で、そのためには切断に際して
ワイヤの硬度が730(Hv)以上の物性を持つワイヤ
を用いればよいことがわかる。
【0020】尚、硬度の高いワイヤはワイヤの摩耗を抑
制し、更にワイヤの偏摩耗をも抑制する。図6にてワイ
ヤ中心からの距離dwと、硬度の関係を説明する。一般
に従来のワイヤの硬度は、図6の(A)に示す分布にな
っている。ワイヤの硬度はワイヤ製作上の理由から、ワ
イヤ中心からの距離dwが増すほど高くなる。逆に中心
部に近い程硬度が下がり柔らかくなる。従って切断時に
砥粒によってワイヤの外周が摩耗すると、摩耗した部分
のワイヤ表面硬度が下がり、より摩耗が促進する。この
ワイヤ中心に近づく程ワイヤの硬度が低下する特性のた
めに切断加工中のワイヤに偏摩耗が発生し易くなってい
る。図6ではワイヤ(A)の、ワイヤ外周部とワイヤ中
心部の硬度差はdHaで表されている。ところが、図6
に示されている例えばワイヤ(B)のように、ワイヤ外
周部の硬度とワイヤ中心部の硬度の差が少なくて中心部
でも従来の外周部における硬度以上であるような、硬度
差が少ないという特性を持つワイヤの方が、偏摩耗が進
行しにくい。そのためワイヤソーにおいて切断する場合
にはワイヤ(B)のような物性を持ち、ワイヤ外周部の
硬度分布も均一なワイヤを用いると、切断面の表面うね
り量が良好なウェーハを得ることができる。しかし、ワ
イヤの硬度が900(Hv)以上になるとワイヤが硬く
脆くなるため、インゴット切断中にワイヤが断線し易く
なるという不具合が生じる。したがって、ワイヤの硬度
が730〜900(Hv)の範囲の物性を示すワイヤを
切断に用いることにより、ワイヤが断線すること無く切
断面のうねり量が良好なウェーハを得ることができる。
【0021】図7にワイヤの7点平均硬度に対するばら
つきの標準偏差(%)と、ウェーハ切断面表面うねり量
(μm)との関係を示す。図8にワイヤの6点平均硬度
に対するばらつきの標準偏差(%)と、ウェーハ切断面
表面うねり量(μm)との関係を示す。図9にワイヤの
7点平均硬度に対するばらつき幅(%)と、ウェーハ切
断面表面うねり量(μm)との関係を示す。
【0022】図10にワイヤの6点平均硬度に対するば
らつき幅(%)と、ウェーハ切断面表面うねり量(μ
m)との関係を示す。図7〜10に示されるとおり、ワ
イヤの横断面内において該横断面の外周部表面から40
μm以内の任意の6点と該横断面の中心1点の計7点に
おける硬度のばらつきが、該7点の平均硬度に対して標
準偏差で2.0%、または、ばらつき幅で4%、また
は、該横断面の外周部表面から40μm以内の任意の6
点における硬度のばらつきが該6点の平均硬度に対して
標準偏差で1.5%、または、ばらつき幅で3%を越え
ると、切断面表面うねり量(μm)が急激に悪化してウ
ェーハ表面うねり量許容値を越えてしまう。このため、
ウェーハ表面うねり量を許容値内におさめるためには、
硬度のばらつきを前記許容値内に維持する必要がある。
【0023】次に本発明により可能となるウェーハ表面
うねり量抑制方法の例を示す。図11は、グルーブロー
ラに巻き掛けられた直径0.18mmのワイヤにおける
張力とウェーハ表面うねり量との関係を示した図であ
る。図11に示すとおり、ウェーハの表面うねり量は、
ワイヤの張力によって異なった値を示す。特に、ワイヤ
の張力が40Nより増加するとウェーハ切断面のうねり
量に及ぼす影響が急激に減少する。従って、ワイヤの引
っ張り強度が高いワイヤを使用することにより、ワイヤ
の張力を40N以上に設定しても断線の可能性を減少さ
せることができ、またワイヤの張力を高めることによっ
てワイヤ走行時の横振れが抑制され、ワイヤの走行が安
定するので切断面のうねり量が良好なウェーハを得るこ
とができる。ワイヤの張力を変更するには、図1に示す
ダンサローラ26A,26Bに取り付くウェート27
A,27Bの質量を変更することで達成される。
【0024】図12に本発明に係るワイヤソーの切断方
法を適用して、インゴットを切断した場合のウェーハの
N(枚目)の位置と、ウェーハの表面うねり量Warp
(μm)との測定結果を示す。同図の切断に用いたワイ
ヤは、引張り強さ3319(N/mm2)ワイヤの外周
部表面から40μm以内の任意の6点の平均硬度が73
3(Hv)の物性を有するワイヤである。
【0025】同図に示されるとおり、本発明に係るワイ
ヤソーの切断方法を適用すると、ウェーハN=10〜4
10(枚目)までウェーハの表面うねり量が少ない良好
な切断が行われることが示されている。同図と図13に
示される従来の切断方法によるウェーハの表面うねり量
Warp(μm)の測定結果とを比較すると、ウェーハ
N=200(枚目)以降で明確な差が表れている。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るワイ
ヤソーの切断方法によれば、ワイヤの引張り強さが32
00〜4200(N/mm2 )の範囲の物性と、該ワイ
ヤの表面の任意の6点の平均硬度が730〜900(H
v)の範囲の物性と、該ワイヤの横断面内において計7
点における硬度のばらつき幅が4%以内を示す物性と、
該横断面の任意の6点における硬度のばらつき幅が3%
以内を示す物性のうち1つまたは2つ以上の物性を有す
るワイヤを用い、ワイヤの張力を応力で1400(N/
mm2 )以上、2150(N/mm2 )以下、好ましく
は張力が40N以上、55N以下となるように該ワイヤ
に張力を印加して切断するようにしたので、ワイヤの摩
耗量及び偏摩耗量が減少し、ワイヤ列を形成しているワ
イヤの振れが減少するとともにワイヤ列の隙間が安定
し、切断したウェーハ表面のうねり量を減少させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るワイヤソーのワイヤ走行路を示す
構成図
【図2】ワイヤの隙間の説明図
【図3】ワイヤ偏摩耗量と切断面表面うねり量との関係
を示す図
【図4】ワイヤ引張り強さとワイヤ偏摩耗量の割合の関
係を示す図
【図5】ワイヤ硬度とワイヤ偏摩耗量の割合の関係を示
す図
【図6】ワイヤ中心からの距離とワイヤ硬度との関係を
示す図
【図7】ワイヤの7点平均硬度に対するばらつきの標準
偏差(%)と、ウェーハ切断面表面うねり量(μm)と
の関係を示す図
【図8】ワイヤの6点平均硬度に対するばらつきの標準
偏差(%)と、ウェーハ切断面表面うねり量(μm)と
の関係を示す図
【図9】ワイヤの7点平均硬度に対するばらつき幅
(%)と、ウェーハ切断面表面うねり量(μm)との関
係を示す図
【図10】ワイヤの6点平均硬度に対するばらつき幅
(%)と、ウェーハ切断面表面うねり量(μm)との関
係を示す図
【図11】ワイヤ張力とウェーハ表面うねり量の関係を
示す図
【図12】本発明に係るワイヤソーの切断方法を適用し
て、インゴットを切断した場合のウェーハのN(枚目)
の位置と、ウェーハの表面うねり量Warp(μm)の
測定結果とを示す図
【図13】従来の1回の切断加工で切断されるウェーハ
のN(枚目)の位置と、切断によりウェーハ表面に生じ
る表面うねり量Warp(μm)の測定結果との関係を
示す図
【符号の説明】
10…ワイヤソー 14…ワイヤ 18…グルーブローラ 20…ワイヤ列 27A,27B…ウェート 32…インゴット 36…制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢藤 進 東京都三鷹市下連雀九丁目7番1号 株式 会社東京精密内 (72)発明者 岸本 明 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 調 公二郎 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 河部 望 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 星間 昭人 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 3C058 AA05 AA09 AA12 AA14 AA18 AB08 AC04 BA05 CA01 CB01 CB10 DA03 3C069 AA01 BA06 BB01 BB02 BB03 BC01 CA04 DA06 EA01 EA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロ
    ーラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記
    ワイヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押
    しつけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤ
    ソーの切断方法において、 該ワイヤの引張り強さが3200〜4200(N/mm
    2 )の範囲の物性を有するワイヤを用いたことを特徴と
    するワイヤソーの切断方法。
  2. 【請求項2】 ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロ
    ーラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記
    ワイヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押
    しつけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤ
    ソーの切断方法において、 該ワイヤの表面から40μm以内の任意の6点の平均硬
    度が730〜900(Hv)の範囲の物性を有するワイ
    ヤを用いたことを特徴とするワイヤソーの切断方法。
  3. 【請求項3】 ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロ
    ーラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記
    ワイヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押
    しつけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤ
    ソーの切断方法において、 該ワイヤの横断面内において該横断面の外周部表面から
    40μm以内の任意の6点と該横断面の中心1点の計7
    点における硬度のばらつきが、該7点の平均硬度に対し
    て標準偏差で2.0%以内、好ましくはばらつき幅で4
    %以内を示す物性を有するワイヤを用いたこと、または
    該横断面の外周部表面から40μm以内の任意の6点に
    おける硬度のばらつきが該6点の平均硬度に対して標準
    偏差で1.5%以内、好ましくはばらつき幅で3%以内
    を示す物性を有するワイヤを用いたことを特徴とするワ
    イヤソーの切断方法。
  4. 【請求項4】 ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロ
    ーラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記
    ワイヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押
    しつけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤ
    ソーの切断方法において、 該ワイヤの引張り強さが3200〜4200(N/mm
    2 )の範囲の物性と、該ワイヤの表面から40μm以内
    の任意の6点の平均硬度が730〜900(Hv)の範
    囲の物性と、該ワイヤの横断面内において該横断面の外
    周部表面から40μm以内の任意の6点と該横断面の中
    心1点の計7点における硬度のばらつきが、該7点の平
    均硬度に対して標準偏差で2.0%以内、好ましくはば
    らつき幅で4%以内を示す物性と、該横断面の外周部表
    面から40μm以内の任意の6点における硬度のばらつ
    きが該6点の平均硬度に対して標準偏差で1.5%以
    内、好ましくはばらつき幅で3%以内を示す物性のうち
    少なくとも2つ以上の物性を有するワイヤを用いたこと
    を特徴とするワイヤソーの切断方法。
  5. 【請求項5】 ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロ
    ーラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記
    ワイヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押
    しつけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤ
    ソーの切断方法において、 該ワイヤの引張り強さが3200〜4200(N/mm
    2 )の範囲の物性と、該ワイヤの表面から40μm以内
    の任意の6点の平均硬度が730〜900(Hv)の範
    囲の物性と、該ワイヤの横断面内において該横断面の外
    周部表面から40μm以内の任意の6点と該横断面の中
    心1点の計7点における硬度のばらつきが、該7点の平
    均硬度に対して標準偏差で2.0%以内、好ましくはば
    らつき幅で4%以内を示す物性と、該横断面の外周部表
    面から40μm以内の任意の6点における硬度のばらつ
    きが該6点の平均硬度に対して標準偏差で1.5%以
    内、好ましくはばらつき幅で3%以内を示す物性のうち
    1つまたは2つ以上の物性を有するワイヤを用い、該グ
    ルーブローラに巻き掛けられた切断に寄与する部分の該
    ワイヤの張力を応力で1400(N/mm2 )以上、2
    150(N/mm2 )以下、好ましくは張力が40N以
    上、55N以下となるように該ワイヤに張力を印加して
    切断するようにしたことを特徴とするワイヤソーの切断
    方法。
  6. 【請求項6】 ワイヤを複数個の溝を有するグルーブロ
    ーラに巻き掛けてワイヤ列を形成し、往復走行する前記
    ワイヤ列に加工液を供給しながら被加工物を相対的に押
    しつけることにより、多数のウェーハに切断するワイヤ
    ソーの切断方法において、前記請求項1〜4のいずれか
    に記載のワイヤソーの切断方法に用いられるワイヤ。
JP3721699A 1999-02-16 1999-02-16 ワイヤソーの切断方法及びワイヤ Pending JP2000233356A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3721699A JP2000233356A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 ワイヤソーの切断方法及びワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3721699A JP2000233356A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 ワイヤソーの切断方法及びワイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000233356A true JP2000233356A (ja) 2000-08-29

Family

ID=12491403

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3721699A Pending JP2000233356A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 ワイヤソーの切断方法及びワイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000233356A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009104222A1 (ja) * 2008-02-19 2009-08-27 信越半導体株式会社 ワイヤソーおよびワークの切断方法
JP2010208010A (ja) * 2009-02-16 2010-09-24 Komatsu Ntc Ltd トラバース制御方法およびその装置
JP2012517904A (ja) * 2009-02-17 2012-08-09 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド ワイヤソー装置およびワイヤソー装置を動作させる方法
JP2013129026A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Tokyo Seiko Co Ltd ソーワイヤ
CN107866918A (zh) * 2016-09-27 2018-04-03 松下电器产业株式会社 锭料的切断装置及锭料的切断装置使用的载荷检测装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009104222A1 (ja) * 2008-02-19 2009-08-27 信越半導体株式会社 ワイヤソーおよびワークの切断方法
JP2010208010A (ja) * 2009-02-16 2010-09-24 Komatsu Ntc Ltd トラバース制御方法およびその装置
JP2012517904A (ja) * 2009-02-17 2012-08-09 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド ワイヤソー装置およびワイヤソー装置を動作させる方法
JP2013129026A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Tokyo Seiko Co Ltd ソーワイヤ
CN107866918A (zh) * 2016-09-27 2018-04-03 松下电器产业株式会社 锭料的切断装置及锭料的切断装置使用的载荷检测装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102369751B1 (ko) 잉곳으로부터 복수의 웨이퍼를 동시 절단하기 위한 와이어 소오, 와이어 가이드 롤 및 방법
US9579826B2 (en) Method for slicing wafers from a workpiece using a sawing wire
US20130061842A1 (en) Single-layered winding of sawing wire with fixedly bonded abrasive grain for wire saws for slicing wafers from a workpiece
TW202015841A (zh) 用於從工件同時切割多個盤的方法和裝置
KR102103330B1 (ko) 잉곳의 절단방법 및 와이어 쏘
US9427888B2 (en) Method for resuming a wire sawing process of a workpiece after an unplanned interruption
JP2000233356A (ja) ワイヤソーの切断方法及びワイヤ
JP2000042896A (ja) ワイヤソーの切断方法
EP2647458A1 (en) Wire for semiconductor wire saw and wire saw
JP5958430B2 (ja) ワークの切断方法及びワイヤソー
CN103286863A (zh) 用于切割半导体工件的方法及设备
JP6080753B2 (ja) ワイヤソーの運転再開方法
JP2000141201A (ja) ワイヤソーの切断方法
JP6627002B1 (ja) ワークの切断方法及びワークの切断装置
JPH09300343A (ja) マルチワイヤソーによる切断方法
JP3070430B2 (ja) マルチワイヤソーによる切断方法及び装置
JP2000108010A (ja) ワイヤソ―の切断方法
JPH1086140A (ja) ワイヤソーのワイヤ走行制御方法
JPH1158208A (ja) ワイヤソ−用ボビン
TWI817164B (zh) 從工件同時切割多個切片的方法和設備
JP2001205551A (ja) ソーワイヤおよびワイヤソー
JP3396291B2 (ja) ワイヤソー及びワイヤソー切断方法
EP4029670A1 (en) Device and method for cutting a solid substrate
JPH10291212A (ja) 半導体インゴットのスライス装置
TW201738022A (zh) 線鋸裝置的製造方法及線鋸裝置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20040426

A521 Written amendment

Effective date: 20040426

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040426