JP3070430B2 - マルチワイヤソーによる切断方法及び装置 - Google Patents
マルチワイヤソーによる切断方法及び装置Info
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- JP3070430B2 JP3070430B2 JP2962595A JP2962595A JP3070430B2 JP 3070430 B2 JP3070430 B2 JP 3070430B2 JP 2962595 A JP2962595 A JP 2962595A JP 2962595 A JP2962595 A JP 2962595A JP 3070430 B2 JP3070430 B2 JP 3070430B2
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- cutting
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23D—PLANING; SLOTTING; SHEARING; BROACHING; SAWING; FILING; SCRAPING; LIKE OPERATIONS FOR WORKING METAL BY REMOVING MATERIAL, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23D61/00—Tools for sawing machines or sawing devices; Clamping devices for these tools
- B23D61/18—Sawing tools of special type, e.g. wire saw strands, saw blades or saw wire equipped with diamonds or other abrasive particles in selected individual positions
- B23D61/185—Saw wires; Saw cables; Twisted saw strips
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B28—WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
- B28D—WORKING STONE OR STONE-LIKE MATERIALS
- B28D5/00—Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor
- B28D5/04—Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor by tools other than rotary type, e.g. reciprocating tools
- B28D5/045—Fine working of gems, jewels, crystals, e.g. of semiconductor material; apparatus or devices therefor by tools other than rotary type, e.g. reciprocating tools by cutting with wires or closed-loop blades
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体材料、セラミック
ス等のような高精度切断が要求される材料をマルチワイ
ヤソー(以下、ワイヤソーと略称する)により多数のウ
エハに切断する方法及び装置に関する。
ス等のような高精度切断が要求される材料をマルチワイ
ヤソー(以下、ワイヤソーと略称する)により多数のウ
エハに切断する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤソーは、多溝ローラ間に張設した
所定ピッチのワイヤ列に被切断物(以下ワークと称す
る)を押しつけ、切断部に砥粒を含む加工液(以下、砥
液と称する)を注ぎつつワイヤとワークを相対運動せし
め、研削作用によって多数のウエハに切断する装置であ
る。
所定ピッチのワイヤ列に被切断物(以下ワークと称す
る)を押しつけ、切断部に砥粒を含む加工液(以下、砥
液と称する)を注ぎつつワイヤとワークを相対運動せし
め、研削作用によって多数のウエハに切断する装置であ
る。
【0003】図2は一般的なワイヤソーの切断装置を例
示したもので、回転自在に保持された3個の多溝ローラ
1、2、3の外周面に所定ピッチで刻設された多数のリ
ング状の溝に1本のワイヤ4を巻き付けて所定ピッチの
ワイヤ列5を形成し、ワイヤ4を往復あるいは一方向に
走行させ、ワーク6に砥液7をかけながらワーク押上台
8を徐々に上昇させて切断していく。
示したもので、回転自在に保持された3個の多溝ローラ
1、2、3の外周面に所定ピッチで刻設された多数のリ
ング状の溝に1本のワイヤ4を巻き付けて所定ピッチの
ワイヤ列5を形成し、ワイヤ4を往復あるいは一方向に
走行させ、ワーク6に砥液7をかけながらワーク押上台
8を徐々に上昇させて切断していく。
【0004】ワイヤソーにより切断されたウエハには、
反りがしばしば発生する。その主な原因は溝ローラ樹脂
の熱膨張である。熱膨張によりワイヤの走行位置が僅か
に変化するために切断方向がずれてくるのである。溝ロ
ーラ樹脂の線膨張係数は 1.0〜3.0 ×10-4と鉄の10〜
30倍で、溝ローラ樹脂の熱伝達が遅いため溝ローラ樹
脂の伸縮は数時間を要する。そのためウエハの切断面に
は長いピッチのうねりができ反りとなる。
反りがしばしば発生する。その主な原因は溝ローラ樹脂
の熱膨張である。熱膨張によりワイヤの走行位置が僅か
に変化するために切断方向がずれてくるのである。溝ロ
ーラ樹脂の線膨張係数は 1.0〜3.0 ×10-4と鉄の10〜
30倍で、溝ローラ樹脂の熱伝達が遅いため溝ローラ樹
脂の伸縮は数時間を要する。そのためウエハの切断面に
は長いピッチのうねりができ反りとなる。
【0005】この対策として、溝ローラ樹脂の熱膨張の
抑制を図り、精度よく切断するための方法が提案されて
いる。例えば、溝ローラの熱膨張を抑制するため砥液の
温度を制御する方法や実開昭 58- 59558号公報に開示さ
れたような溝ローラ部を冷却する方法等がある。その結
果、直径8インチのシリコン切断では反りは5〜15μ
mに抑制されている。しかしながら、最近の8インチの
シリコン切断では5μm以下の反り精度が要求されつつ
ある。
抑制を図り、精度よく切断するための方法が提案されて
いる。例えば、溝ローラの熱膨張を抑制するため砥液の
温度を制御する方法や実開昭 58- 59558号公報に開示さ
れたような溝ローラ部を冷却する方法等がある。その結
果、直径8インチのシリコン切断では反りは5〜15μ
mに抑制されている。しかしながら、最近の8インチの
シリコン切断では5μm以下の反り精度が要求されつつ
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ワイヤソー
により切断した面に生じる比較的小さなピッチのうねり
の抑制を目的としてなされたもので、高精度の切断方法
及び装置を提供せんとするものである。
により切断した面に生じる比較的小さなピッチのうねり
の抑制を目的としてなされたもので、高精度の切断方法
及び装置を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】ワイヤソー切断では切断
面のウエハプロフィルに二つの特徴がある。一つは、長
いピッチのうねりであり、他の一つは短いピッチのうね
り(以下波と称する)である。
面のウエハプロフィルに二つの特徴がある。一つは、長
いピッチのうねりであり、他の一つは短いピッチのうね
り(以下波と称する)である。
【0008】図3は、代表的なウエハの切断面のプロフ
ィルを示す。同図 (a)は、長いピッチのうねり(b) と短
いピッチのうねり(c) との合成となる。
ィルを示す。同図 (a)は、長いピッチのうねり(b) と短
いピッチのうねり(c) との合成となる。
【0009】切断面に生じる波の原因を調べるべく、一
方向走行型マルチワイヤソーにて同一ワイヤを用いて繰
り返し切断を行った。
方向走行型マルチワイヤソーにて同一ワイヤを用いて繰
り返し切断を行った。
【0010】図4は、一方向走行型マルチワイヤソーに
よるウエハの切断面のプロフィルを示す。プロフィルの
特徴が1回目の(A1)と3回目の(A3)でほぼ等しくな
り、2回目の切断ではプロフィルの特徴が(A2)のよう
に切断開始側と切断終了側とが反対となることがある。
一方向走行型マルチワイヤソーでは奇数回と偶数回の切
断ではワイヤの走行方向が反対となるため、これらのプ
ロフィルの特徴はワイヤの特徴に依存して発生している
ことを知った。ワイヤの表面性状について調査した結
果、ワイヤ横断面の偏平、ワイヤ製造時に発生した表面
疵、切断加工時に発生したワイヤ表面の肌荒れ等の欠陥
があった。
よるウエハの切断面のプロフィルを示す。プロフィルの
特徴が1回目の(A1)と3回目の(A3)でほぼ等しくな
り、2回目の切断ではプロフィルの特徴が(A2)のよう
に切断開始側と切断終了側とが反対となることがある。
一方向走行型マルチワイヤソーでは奇数回と偶数回の切
断ではワイヤの走行方向が反対となるため、これらのプ
ロフィルの特徴はワイヤの特徴に依存して発生している
ことを知った。ワイヤの表面性状について調査した結
果、ワイヤ横断面の偏平、ワイヤ製造時に発生した表面
疵、切断加工時に発生したワイヤ表面の肌荒れ等の欠陥
があった。
【0011】直径8インチのシリコン切断の場合、使用
されるワイヤは 200km以上で、ワイヤの製造工程の伸
線には10〜20時間を要し、その間ダイス潤滑の状態
は変化し断面が偏平になったり、表面に疵が発生する。
それがウエハの切断面の波の原因となっていた。
されるワイヤは 200km以上で、ワイヤの製造工程の伸
線には10〜20時間を要し、その間ダイス潤滑の状態
は変化し断面が偏平になったり、表面に疵が発生する。
それがウエハの切断面の波の原因となっていた。
【0012】このようなワイヤの欠陥が波を発生させる
のは、切断方向が、ワイヤの横断面が楕円の状態にあれ
ば長径方向に、表面疵がある場合は疵のある方向に、ま
た表面荒れがある場合は表面荒れがある方向に変わるた
めであることがわかった。
のは、切断方向が、ワイヤの横断面が楕円の状態にあれ
ば長径方向に、表面疵がある場合は疵のある方向に、ま
た表面荒れがある場合は表面荒れがある方向に変わるた
めであることがわかった。
【0013】図5は、ワイヤの欠陥により切断方向が変
化している状況を示す図である。(a)はワイヤ断面が
楕円の場合で、(b)はワイヤ表面に表面荒れがある場
合を示す。
化している状況を示す図である。(a)はワイヤ断面が
楕円の場合で、(b)はワイヤ表面に表面荒れがある場
合を示す。
【0014】ワイヤの偏平量(ワイヤ断面円の長径と短
径の差)が大きいほど、また疵や表面荒れが片面に片寄
っているほど波は大きくなっていた。
径の差)が大きいほど、また疵や表面荒れが片面に片寄
っているほど波は大きくなっていた。
【0015】図6は、ワイヤの横断面が偏平である場合
について、偏平量と波の大きさとの関係を調べた結果で
あり、偏平量と波の大きさには相関関係が認められた。
について、偏平量と波の大きさとの関係を調べた結果で
あり、偏平量と波の大きさには相関関係が認められた。
【0016】本発明者等はワイヤの欠陥による切断面に
発生する波を防止すべく鋭意検討を行った結果、ワイヤ
を捻った状態で切断することによって波の発生を抑制す
ることができるとの知見を得るに至った。
発生する波を防止すべく鋭意検討を行った結果、ワイヤ
を捻った状態で切断することによって波の発生を抑制す
ることができるとの知見を得るに至った。
【0017】この発明はこのような知見に基づきなされ
たもので、その要旨は、「複数の多溝ローラにワイヤを
巻掛けて走行させながら多溝ローラ間に張設された多条
ワイヤ列に被切断物を押し付けると共に、被切断物上及
び/またはワイヤ列上に砥粒を含む加工液を供給しつつ
研削作用によって切断するマルチワイヤソーによる切断
方法であって、少なくとも被切断物を押し付ける多条ワ
イヤ列の円形断面のワイヤを捻った状態で切断するマル
チワイヤソーによる切断方法、及びワイヤを巻掛けて走
行させながらローラ間に多条のワイヤ列を張設するため
の複数の多溝ローラと、被切断物上及び/またはワイヤ
列上に砥粒を含む加工液を供給する装置とを具備したマ
ルチワイヤソーと、該マルチワイヤソーに円形断面のワ
イヤを捻ってワイヤを供給するための撚線装置とを備え
た切断装置」にある。
たもので、その要旨は、「複数の多溝ローラにワイヤを
巻掛けて走行させながら多溝ローラ間に張設された多条
ワイヤ列に被切断物を押し付けると共に、被切断物上及
び/またはワイヤ列上に砥粒を含む加工液を供給しつつ
研削作用によって切断するマルチワイヤソーによる切断
方法であって、少なくとも被切断物を押し付ける多条ワ
イヤ列の円形断面のワイヤを捻った状態で切断するマル
チワイヤソーによる切断方法、及びワイヤを巻掛けて走
行させながらローラ間に多条のワイヤ列を張設するため
の複数の多溝ローラと、被切断物上及び/またはワイヤ
列上に砥粒を含む加工液を供給する装置とを具備したマ
ルチワイヤソーと、該マルチワイヤソーに円形断面のワ
イヤを捻ってワイヤを供給するための撚線装置とを備え
た切断装置」にある。
【0018】
【作用】ワイヤの製造時に残留する応力状態によって、
多溝ローラ溝底でのワイヤ安定位置が定まる。
多溝ローラ溝底でのワイヤ安定位置が定まる。
【0019】図7は、ワイヤに張力をかけないで状態で
放置した時、残留応力の影響でワイヤが曲率径Dを持っ
た状態で円状になる状態を示す図である。このワイヤを
多溝ローラに巻き付けると内側Iが溝底に一致するよう
にワイヤに拘束力が働き、曲率径Dが小さいほどこの拘
束力は大きくなる。
放置した時、残留応力の影響でワイヤが曲率径Dを持っ
た状態で円状になる状態を示す図である。このワイヤを
多溝ローラに巻き付けると内側Iが溝底に一致するよう
にワイヤに拘束力が働き、曲率径Dが小さいほどこの拘
束力は大きくなる。
【0020】従って、ワイヤが多溝ローラにセットされ
ると、一般には図7の場合ワイヤの外面Oが常に被切断
材に接することになる。
ると、一般には図7の場合ワイヤの外面Oが常に被切断
材に接することになる。
【0021】ワイヤの偏平、表面疵等の欠陥は、前記し
たように製造工程における抽伸時のダイスの摩耗状態、
潤滑状態などの諸条件が変化するために発生するが、ワ
イヤ横断面の偏平と疵の方向が伸線長十数km毎に変わ
る傾向にある。
たように製造工程における抽伸時のダイスの摩耗状態、
潤滑状態などの諸条件が変化するために発生するが、ワ
イヤ横断面の偏平と疵の方向が伸線長十数km毎に変わ
る傾向にある。
【0022】図8は、ローラの溝による横断面が偏平な
ワイヤの拘束状況を示す図である。
ワイヤの拘束状況を示す図である。
【0023】(a)の状態で拘束されていたワイヤは数
十分後には(b)の状態になる例である。ワイヤが被切
断材に接する面Oも(a)から(b)のように変化す
る。従って、ワイヤの表面荒れの発生する周方向での位
置が数十分毎に変化することになる。
十分後には(b)の状態になる例である。ワイヤが被切
断材に接する面Oも(a)から(b)のように変化す
る。従って、ワイヤの表面荒れの発生する周方向での位
置が数十分毎に変化することになる。
【0024】ワイヤ十数kmで切断されるウエハ切断深
さは十数mmであるので、十数mmピッチの波がウエハ
に発生する。
さは十数mmであるので、十数mmピッチの波がウエハ
に発生する。
【0025】この波の発生を防止するために、本発明に
おいては円形断面のワイヤを捻ったワイヤ(以下ツイス
トワイヤと呼ぶ)を用いて切断するもので、それにより
プロフィル上の波は極めて小さくなる。ツイストワイヤ
では常にワイヤ横断面の偏平、表面疵及び表面荒れの方
向が変化するのでワイヤは点対象となり、ワイヤ円周上
で切断能率の差がなくなり、波が小さくなる。図1は、
ツイストワイヤの斜視図である。
おいては円形断面のワイヤを捻ったワイヤ(以下ツイス
トワイヤと呼ぶ)を用いて切断するもので、それにより
プロフィル上の波は極めて小さくなる。ツイストワイヤ
では常にワイヤ横断面の偏平、表面疵及び表面荒れの方
向が変化するのでワイヤは点対象となり、ワイヤ円周上
で切断能率の差がなくなり、波が小さくなる。図1は、
ツイストワイヤの斜視図である。
【0026】捻りのピッチは10〜500 mmが好ましい。
ピッチが長すぎると効果が小さくなり、短すぎると断線
するおそれがある。捻りピッチは特に限定するものでは
ないが、ワイヤの走行速度との兼ね合いで決めればよ
い。
ピッチが長すぎると効果が小さくなり、短すぎると断線
するおそれがある。捻りピッチは特に限定するものでは
ないが、ワイヤの走行速度との兼ね合いで決めればよ
い。
【0027】ワイヤを捻った状態で切断するためには、
ワイヤを撚線機等で製造した撚線を用いてもよく、切断
時にワイヤを走行させながら捻ってもよい。
ワイヤを撚線機等で製造した撚線を用いてもよく、切断
時にワイヤを走行させながら捻ってもよい。
【0028】ワイヤを走行中に捻るには、ワイヤソーに
ワイヤを供給する直前に撚線機を設けることにより達成
できる。撚線機は通常使用されているものでよい。ま
た、撚線機は、ワイヤソーへのワイヤ供給側に設置すれ
ばよく、ワイヤソーに隣接するのが好ましい。
ワイヤを供給する直前に撚線機を設けることにより達成
できる。撚線機は通常使用されているものでよい。ま
た、撚線機は、ワイヤソーへのワイヤ供給側に設置すれ
ばよく、ワイヤソーに隣接するのが好ましい。
【0029】図9にワイヤソーに適した撚線機の一例
で、(a)は平面図(b)は側面図である。ワイヤを巻
いたボビン15の下にスラストベアリング20が設けら
れており、ボビンは回転自在になっている。またボビン
はモータ18により回転させることもできる。ボビンの
上部にはワイヤガイド回転体16(以下トンボと称す
る)が設けられいる。トンボの一端にはカウンタウエー
ト/カウンタバランス19が、他端にはワイヤ案内ロー
ラ17aが設置されている。また、トンボの回転過多を
抑制し、ワイヤに張力を発生させるためのトルク調整装
置21が設けられている。
で、(a)は平面図(b)は側面図である。ワイヤを巻
いたボビン15の下にスラストベアリング20が設けら
れており、ボビンは回転自在になっている。またボビン
はモータ18により回転させることもできる。ボビンの
上部にはワイヤガイド回転体16(以下トンボと称す
る)が設けられいる。トンボの一端にはカウンタウエー
ト/カウンタバランス19が、他端にはワイヤ案内ロー
ラ17aが設置されている。また、トンボの回転過多を
抑制し、ワイヤに張力を発生させるためのトルク調整装
置21が設けられている。
【0030】ボビンから巻戻されたワイヤ14はトンボ
の一端と上部に設けられた案内ローラ17a、17bを
介してワイヤソーに供給される。このときワイヤの張力
でトンボが回転してワイヤが捻られ、ワイヤのボビン一
周分の巻付け長さに等しい捻りピッチが得られる。ま
た、ボビン15の下のモータ18を回転させれば、より
短いピッチに捻ることができる。
の一端と上部に設けられた案内ローラ17a、17bを
介してワイヤソーに供給される。このときワイヤの張力
でトンボが回転してワイヤが捻られ、ワイヤのボビン一
周分の巻付け長さに等しい捻りピッチが得られる。ま
た、ボビン15の下のモータ18を回転させれば、より
短いピッチに捻ることができる。
【0031】撚りピッチLp はモータの回転数を制御す
ることによって一定に保つことができる。ワイヤの繰り
出し部の巻き付け径B(mm)を、ワイヤ速度をU(mm/
S)、モータの回転数をf(1/S )とすると、撚りピッ
チLp は、 Lp =1/{(1/πB)+(f/U)} と計算される。ワイヤを繰り出すとともに巻き付け径B
は減少するがモータ回転数fを小さくすれば撚りピッチ
Lp が一定になる。
ることによって一定に保つことができる。ワイヤの繰り
出し部の巻き付け径B(mm)を、ワイヤ速度をU(mm/
S)、モータの回転数をf(1/S )とすると、撚りピッ
チLp は、 Lp =1/{(1/πB)+(f/U)} と計算される。ワイヤを繰り出すとともに巻き付け径B
は減少するがモータ回転数fを小さくすれば撚りピッチ
Lp が一定になる。
【0032】また、走行中にワイヤを捻る別の方法とし
て、図10に示すようにワークに隣接しない溝ローラ1
の溝の深さ方向がローラ軸に対して直交しないように傾
斜させて溝23を刻設すればワイヤを捻ることができ
る。すなわち、図中の斜線面がローラ軸22と直交しな
いようにローラ溝を設ける。
て、図10に示すようにワークに隣接しない溝ローラ1
の溝の深さ方向がローラ軸に対して直交しないように傾
斜させて溝23を刻設すればワイヤを捻ることができ
る。すなわち、図中の斜線面がローラ軸22と直交しな
いようにローラ溝を設ける。
【0033】図11は、ローラの溝の刻設方向をローラ
軸22に対し傾斜させることによりワイヤを捻る状態を
示す図である。図に示すように溝ローラ1の溝の刻設方
向が傾いていると溝の傾斜面の摩擦力により、溝ローラ
1の溝の傾斜面aと溝ローラ2の溝の傾斜面bとでワイ
ヤは反対方向の回転力を受け捻られる。
軸22に対し傾斜させることによりワイヤを捻る状態を
示す図である。図に示すように溝ローラ1の溝の刻設方
向が傾いていると溝の傾斜面の摩擦力により、溝ローラ
1の溝の傾斜面aと溝ローラ2の溝の傾斜面bとでワイ
ヤは反対方向の回転力を受け捻られる。
【0034】ワークに隣接する多溝ローラ2、3に傾斜
した溝を刻設しても同様にワイヤは捻られるが、ワーク
に接触するワイヤの振動が大きくワークへのダメージが
大きくなるので好ましくない。傾斜量Eは、0.5 〜2 m
mが適当で、これ以上小さいと効果がなく、大きいと溝
からワイヤが脱線する。
した溝を刻設しても同様にワイヤは捻られるが、ワーク
に接触するワイヤの振動が大きくワークへのダメージが
大きくなるので好ましくない。傾斜量Eは、0.5 〜2 m
mが適当で、これ以上小さいと効果がなく、大きいと溝
からワイヤが脱線する。
【0035】なお、本発明では、ワイヤを捻り、点対称
にしたワイヤを用いることを特徴としているので、最初
からより点対称に近い円形断面を有するワイヤを使用す
る。異形断面のワイヤは長尺品の製造が困難であるため
好ましくない。
にしたワイヤを用いることを特徴としているので、最初
からより点対称に近い円形断面を有するワイヤを使用す
る。異形断面のワイヤは長尺品の製造が困難であるため
好ましくない。
【0036】以下、実施例により本発明の効果を説明す
る。
る。
【0037】
(実施例1)予め撚線機により捻られたワイヤを用いて
切断した例を示す。
切断した例を示す。
【0038】撚線機を用いて曲率径約 100mm、径φ0.
16で、偏平量2、5、10μmの3種のワイヤ捻りピッ
チが∞(無限大=捻りなし)のもの、及び捻りピッチが
400mm 、200mm 、10mm、5mm でそれぞれ捻ったものの計
12種類のワイヤを製作し、表1に示す条件でワイヤソ
ー切断を実施し、ウエハ切断面中央部での波の大きさを
比較した。結果は表2に示すとおりで、捻りピッチが 4
00mm以下になると効果が表れている。また、捻りピッ
チが 5mmでは断線発生のためワイヤを捻ることができな
かった。
16で、偏平量2、5、10μmの3種のワイヤ捻りピッ
チが∞(無限大=捻りなし)のもの、及び捻りピッチが
400mm 、200mm 、10mm、5mm でそれぞれ捻ったものの計
12種類のワイヤを製作し、表1に示す条件でワイヤソ
ー切断を実施し、ウエハ切断面中央部での波の大きさを
比較した。結果は表2に示すとおりで、捻りピッチが 4
00mm以下になると効果が表れている。また、捻りピッ
チが 5mmでは断線発生のためワイヤを捻ることができな
かった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表中Wmax は、切断したウエハのプロフィ
ルを測定し、長さ30mm(L)の範囲で、図12に示
すようにプロフィルの凹凸の平均線11に平行な2直線
で凹凸を挟んだとき、この2直線の間隔として定義す
る。測定は、表面粗さを拾わないように先端半径が1m
mの接触針を用いた。
ルを測定し、長さ30mm(L)の範囲で、図12に示
すようにプロフィルの凹凸の平均線11に平行な2直線
で凹凸を挟んだとき、この2直線の間隔として定義す
る。測定は、表面粗さを拾わないように先端半径が1m
mの接触針を用いた。
【0042】従来例として、捻りを加えないで偏平量2
μm、曲率径100 mmのφ0.16ワイヤを用いて10回連
続して切断を行った。この時のプロフィル中央部での波
の大きさの変化を表3に示す。ワイヤの使用回数の増加
とともに波の大きさが増加するが、これはワイヤが偏摩
耗し、偏平量が増加したためである。
μm、曲率径100 mmのφ0.16ワイヤを用いて10回連
続して切断を行った。この時のプロフィル中央部での波
の大きさの変化を表3に示す。ワイヤの使用回数の増加
とともに波の大きさが増加するが、これはワイヤが偏摩
耗し、偏平量が増加したためである。
【0043】
【表3】
【0044】(実施例2)次に、走行中にワイヤを捻り
ながら供給する場合の例を示す。図9に示す撚線装置を
用いボビン15を回転させること無く、トンボ16だけ
を使用してワイヤに捻り切断した場合の結果を表4に示
す。
ながら供給する場合の例を示す。図9に示す撚線装置を
用いボビン15を回転させること無く、トンボ16だけ
を使用してワイヤに捻り切断した場合の結果を表4に示
す。
【0045】
【表4】
【0046】ワイヤの使用回数とともに波の大きさが減
少しているが、これはワイヤが毎回捻られ捻りピッチが
短くなっていくためである。
少しているが、これはワイヤが毎回捻られ捻りピッチが
短くなっていくためである。
【0047】表5に毎回の捻りピッチが 100mmとなる
ようにボビンをモータで回転させながらワイヤを供給し
た時の結果を示す。波の大きさはワイヤの使用回数に無
関係に2μm以下となった。
ようにボビンをモータで回転させながらワイヤを供給し
た時の結果を示す。波の大きさはワイヤの使用回数に無
関係に2μm以下となった。
【0048】
【表5】
【0049】繰り返しワイヤに捩りを与えると捻りピッ
チが小さくなりすぎて断線する危険があるが、捻りの方
向を逆にする切断を何回かに一度行うことによりこの問
題は解消される。
チが小さくなりすぎて断線する危険があるが、捻りの方
向を逆にする切断を何回かに一度行うことによりこの問
題は解消される。
【0050】図9とは反対に図13のようにボビン15
のセッティングを上下逆にし、モータの回転方向を反対
にすることでワイヤの捻られる方向は反対になる。
のセッティングを上下逆にし、モータの回転方向を反対
にすることでワイヤの捻られる方向は反対になる。
【0051】
【発明の効果】本発明によって、プロフィルに表れる波
(小さなピッチのうねり)を従来方法に比べて半分以下
に抑制することができる。プロフィルは大きなピッチの
うねりと波との合成であり、従来試みられてきた大きな
ピッチのうねりの抑制だけでは反りの大きさの抑制に限
度がある。大きなピッチを抑制する従来からの方法と本
発明とを組み合わせることにより、8インチシリコン、
或いはそれ以上の大きさの12インチシリコンの切断に
おいても、高精度切断が可能となる。
(小さなピッチのうねり)を従来方法に比べて半分以下
に抑制することができる。プロフィルは大きなピッチの
うねりと波との合成であり、従来試みられてきた大きな
ピッチのうねりの抑制だけでは反りの大きさの抑制に限
度がある。大きなピッチを抑制する従来からの方法と本
発明とを組み合わせることにより、8インチシリコン、
或いはそれ以上の大きさの12インチシリコンの切断に
おいても、高精度切断が可能となる。
【図1】捻られたワイヤの斜視図である。
【図2】一般的なワイヤソーによる切断状況を示す斜視
図である。
図である。
【図3】切断面のプロフィル示す図である。
【図4】同一ワイヤで繰り返し切断した時のプロフィル
を示す図である。
を示す図である。
【図5】ワイヤ欠陥による切断方向の変化を示す図であ
る。
る。
【図6】偏平量と波の大きさの関係を示す図である。
【図7】張力0の状態でのワイヤの曲率径を示す図であ
る。
る。
【図8】ワイヤカイド溝底でのワイヤの拘束状況を例示
する図である。
する図である。
【図9】ワイヤの撚線装置を示す図である。
【図10】溝ローラに刻まれた溝によりワイヤを捻る状
態を示す図である。
態を示す図である。
【図11】溝ローラに刻まれた溝によりワイヤが捻られ
た状態を示す図である。
た状態を示す図である。
【図12】Wmax を説明するための図である。
【図13】ワイヤ撚線装置のワイヤ繰り出し装置のセッ
ティング状況を示す図である。
ティング状況を示す図である。
1 ワークに隣接しない溝ローラ 5 ワイヤ列 6 ワーク 7 砥液 10 押上台 15 ボビン 16 ワイヤガイド回転体(トンボ) 17 ローラ 18 ボビンを回転させるためのモータ 19 カウンタウェート/カウンタバランス 20 ボビンを回転させるためのスラストベアリング 21 トンボの回転過多抑制し、ワイヤ張力を発生させ
るためのトルク発生装置
るためのトルク発生装置
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−44482(JP,A) 実開 昭64−38250(JP,U) 実開 昭63−113553(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24B 27/06
Claims (2)
- 【請求項1】複数の多溝ローラにワイヤを巻掛けて走行
させながら多溝ローラ間に張設された多条ワイヤ列に被
切断物を押し付けると共に、被切断物上及び/またはワ
イヤ列上に砥粒を含む加工液を供給しつつ研削作用によ
って切断するマルチワイヤソーによる切断方法におい
て、少なくとも被切断物を押し付ける多条ワイヤ列の円
形断面のワイヤを捻った状態で切断することを特徴とす
るマルチワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項2】ワイヤを巻掛けて走行させながらローラ間
に多条のワイヤ列を張設するための複数の多溝ローラ
と、被切断物上及び/またはワイヤ列上に砥粒を含む加
工液を供給する装置とを具備したマルチワイヤソーと、
該マルチワイヤソーに円形断面のワイヤを捻って供給す
るための撚線装置とを備えたことを特徴とする切断装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2962595A JP3070430B2 (ja) | 1995-02-17 | 1995-02-17 | マルチワイヤソーによる切断方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2962595A JP3070430B2 (ja) | 1995-02-17 | 1995-02-17 | マルチワイヤソーによる切断方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08216012A JPH08216012A (ja) | 1996-08-27 |
JP3070430B2 true JP3070430B2 (ja) | 2000-07-31 |
Family
ID=12281279
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2962595A Expired - Lifetime JP3070430B2 (ja) | 1995-02-17 | 1995-02-17 | マルチワイヤソーによる切断方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3070430B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19936834A1 (de) | 1999-08-05 | 2001-02-15 | Wacker Siltronic Halbleitermat | Sägedraht und Verfahren zum Trennläppen von sprödharten Werkstücken |
DE102007016334B4 (de) | 2007-04-04 | 2011-04-21 | Siemens Ag | Drahtsäge und Verfahren zur Herstellung einer Drahtsäge |
FR2983099B1 (fr) * | 2011-11-24 | 2014-08-08 | Sodetal | Fil metallique pour scie |
WO2014102662A1 (en) * | 2012-12-27 | 2014-07-03 | Pirelli Tyre S.P.A. | System for wire sawing of ingot materials, and saw wire used in said system |
JP6281312B2 (ja) * | 2014-02-20 | 2018-02-21 | 株式会社Sumco | シリコンウェーハの製造方法 |
-
1995
- 1995-02-17 JP JP2962595A patent/JP3070430B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08216012A (ja) | 1996-08-27 |
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