JP2012177387A - 樹脂製保持器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】保持器40は、少なくとも爪部80に摩擦係数を低減させ且つ表面を硬化させる処理が施されていることによって、爪部80の表面の摩擦が低減し、且つ、硬化している。そのため、転動体30が、正規の位置からずれた状態(例えば、爪部先端部80aの真上)から、転動体30をポケット40aに向けて押し込んでも、転動体30が爪部先端部80a表面を滑るため、転動体30の位置が正規の位置に修正される。そして、正規の位置において押圧力(荷重)が作用するため一方の爪部80に対して大きく作用することがなく、爪部の変形や損傷が生じにくい。さらに、爪部80の表面が硬化しており、押圧力(荷重)が作用しても、爪部80の破損が生じにくい。
【選択図】図1
Description
例えば、転動体が一方の爪部8寄りに位置付けられた状態から当該転動体をポケット4に向けて押し込むと、その時の押圧力(荷重)Fは、一対の爪部8に対して均等に作用することなく、いずれか一方の爪部8に対して大きく作用することになる。このとき、一方の爪部8に作用する押圧力(荷重)Fの程度によっては、当該爪部8が変形したり或いは損傷したりする恐れがある。また、このような爪部の変形や損傷の程度によっては、ポケット4に保持された転動体をスムーズに回転させることが困難になり、その結果、転がり軸受の回転時(内外輪の相対回転時)におけるトルクが上昇する恐れがある。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、爪部の変形や破損が生じにくい樹脂製保持器を提供することを課題とする。
また、前記ポケット面の全面に、前記摩擦係数を低減させ且つ表面を硬化させる処理が施されていることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態である保持器を備えた深溝玉軸受の構造を示す縦断面図である。また、図2は、本実施形態に係る保持器の部分拡大図である。
図1の深溝玉軸受は、外周面に軌道面10aを有する内輪10と、内輪10の軌道面10aに対向する軌道面20aを内周面に有する外輪20と、両軌道面10a,20a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)30と、内輪10及び外輪20の間に転動体30を保持する保持器40と、非接触形の密封装置50,50と、を備えている。そして、内輪10と外輪20と密封装置50,50とで囲まれた軸受内部空間内には、両軌道面10a,20aと転動体30の転動面30aとの間の潤滑を行う潤滑剤L(例えば潤滑油,グリース)が配されている。
図2に示すように、本実施形態の保持器40は、略環状の部材であり、転動体30を挿入するための開口60がそれぞれ形成された複数のポケット40aが、周方向に沿って所定間隔をあけて設けられている。また、複数のポケット40aには、転動体30の輪郭形状に沿った形状を成し(例えば、転動体が玉であれば球面形状)、転動体30と摺接するポケット面Pmが形成されている。
さらに、開口60には、ポケット40aに挿入された転動体30を保持するための一対の爪部80が当該開口60を一部覆うように互いに対向して立ち上げられている。
さらに、各爪部80は、爪部基端部80bから爪部80の先端部分である爪部先端部80aに亘って円弧形状を成しており、その曲率半径の中心80sがポケット中心Psと略同中心となるように設定されている。この場合、ポケット面Pmの外側の面に当たる外径80cの曲率半径の中心80sがポケット中心Psよりも、ポケット径比で7%以下の範囲で図中向って下方位置となるように設定しても良い。
さらに、保持器40の爪部80には、摩擦係数を低減させ且つ表面を硬化させる処理が施されている。摩擦係数を低減させ且つ表面を硬化させる処理は、爪部80全体に施されている。
例えば、DLCを被膜する処理としては、メタン(CH4),アセチレン(C2H2),ベンゼン(C6H6)等の炭化水素系ガスを原料とするプラズマCVD(plasma−enhanced chemical vapor deposition),イオンプレーティング、そして炭素をターゲットとしたスパッタリング等があげられる。具体的には、脱脂洗浄した保持器を真空チャンバーにセットし、10−3Pa以下に排気した後、イオンボンバード処理を行い保持器表面を清浄にする。そこに、前記のような方法によりDLC被膜を形成する。
そのため、転動体30が、正規の位置からずれた状態(例えば、爪部先端部80aの真上)から、転動体30をポケット40aに向けて押し込んでも、転動体30が爪部先端部80a表面を滑るため、転動体30の位置が正規の位置に修正されやすい。そして、正規の位置において押圧力(荷重)が作用するため一方の爪部80に対して大きく作用することがなく、爪部の変形や損傷が生じにくい。さらに、爪部80の表面が硬化しているため、押圧力(荷重)が作用しても、爪部80の破損が生じにくい。
本実施形態の保持器40は、ハードディスクドライブに使用される、呼び番号B4−47,SMR85,SR168等の転がり軸受、ファンモータに使用される、呼び番号693,696等の転がり軸受、スピンドルに使用される、呼び番号688,608等の転がり軸受において好適に使用することができる。また、外径が30mm程度までの大きさのミニチュア軸受においても好適に使用することができる。これらの転がり軸受は、軸受のサイズが小さいため保持器の爪部も折れやすいが、本発明の保持器であれば爪部が折れにくい。
10a 軌道面
20 外輪
20a 軌道面
30 転動体
40 保持器
40a ポケット
60 開口
80 爪部
Pm ポケット面
Claims (2)
- 転がり軸受に用いられる樹脂製の保持器であって、
転動体を挿入するための開口がそれぞれ形成された複数のポケットが、周方向に沿って所定間隔をあけて設けられており、
前記複数のポケットには、転動体の輪郭形状に沿った形状を成すポケット面が形成されていると共に、前記開口には、ポケットに挿入された転動体を保持するための一対の爪部が当該開口を一部覆うように互いに対向して立ち上げられており、
少なくとも前記爪部には、摩擦係数を低減させ且つ表面を硬化させる処理が施されていることを特徴とする樹脂製保持器。 - 前記ポケット面の全面に、前記摩擦係数を低減させ且つ表面を硬化させる処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製保持器。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011039328A JP5741053B2 (ja) | 2011-02-25 | 2011-02-25 | 樹脂製保持器 |
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JP2011039328A JP5741053B2 (ja) | 2011-02-25 | 2011-02-25 | 樹脂製保持器 |
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JP5741053B2 JP5741053B2 (ja) | 2015-07-01 |
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Country Status (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014101899A (ja) * | 2012-11-16 | 2014-06-05 | Ntn Corp | 冠形保持器 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01210618A (ja) * | 1988-02-16 | 1989-08-24 | Shizuo Kashima | セラミックスでコーテングされた軸受 |
JP2003343570A (ja) * | 2002-05-28 | 2003-12-03 | Nakanishi Metal Works Co Ltd | 転がり軸受用保持器及びその製造方法 |
JP2011032356A (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-17 | Ntn Corp | 樹脂組成物およびその製造方法、ならびに、転がりおよびすべり軸受 |
-
2011
- 2011-02-25 JP JP2011039328A patent/JP5741053B2/ja active Active
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