JP2012167764A - 密封型転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールの摩耗やトルクの増大が長期間にわたって生じにくい密封型転がり軸受を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受のシール5は、内輪1の外周面に滑り接触する摺接面12bを有するリップ部12aを備えている。リップ部12aの摺接面12bには、ディンプルが形成されており、該ディンプルは、微細な線状凹部23及び線状凸部22が交互に繰り返し縞状に形成されてなる。このディンプルは、ナノインプリントにより形成されたものである。また、リップ部12aの摺接面12bには、前記ディンプルを覆う炭素被膜13が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、潤滑剤がシールにより内部に密封された密封型転がり軸受に関する。
密封型転がり軸受においては、内輪,外輪,及び接触形シールに囲まれた空隙部内にグリース等の潤滑剤が配されており、この潤滑剤は接触形シールによって密封されている。また、接触形シールは弾性体からなるリップ部を備え、その弾性を利用して適度な締め力をもって軌道輪(内輪又は外輪)と当接し摺動する摺接面によって、内部からの潤滑剤の洩れを防止するとともに外部からの塵芥や水の侵入を防止するようになっている。
このような従来の密封型転がり軸受においては、リップ部の摺接面が滑らかな面に成形されているため、長時間の使用によって摺接面の潤滑剤が徐々に消耗し、摺接面の摩耗が進行してシールとしての機能が低下するという問題があった。また、摺接面の摩耗の進行に伴って摺接面と軌道輪との摩擦が大きくなり、転がり軸受のトルクが大きくなるという問題があった。
さらに、摺接面と軌道輪との摩擦力が増大すると、弾性体であるリップ部が軌道輪に引き摺られて変形し、リップ部の弾性力によって復元するという現象が発生する場合がある。このような現象によりリップ部に振動が生じ(以降は、このような振動現象をスティックスリップと記す)、シール音を発生させる場合があった。
そこで、リップ部の摺接面又は軌道輪のリップ部との摺接部に微細な凹凸を設けることにより、前述のような摩耗や摩擦を抑制する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の技術は、放電加工により微細な凹凸を表面に形成した金型を用いて、シールを製造するというものである。シールの製造時に金型表面の微細な凹凸が転写され、金型の微細な凹凸に対応する形状の微細な凹凸がリップ部の摺接面に形成される。そして、このリップ部の摺接面に形成された微細な凹凸により、リップ部の摺接面に潤滑剤が保持されるため、長期間にわたってリップ部の摺接面の摩耗が抑制されるとともにリップ部の摺接面と軌道輪との摩擦が抑制される。
特開2004−19779号公報
しかしながら、転がり軸受の使用条件は益々厳しくなってきていることから、シールの摩耗やトルクの増大を抑制する技術については、さらなる改良が望まれていた。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、シールの摩耗やトルクの増大が長期間にわたって生じにくい密封型転がり軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る密封型転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪のいずれか一方の軌道輪に取り付けられ他方の軌道輪に滑り接触するシールと、前記内輪及び前記外輪の間に形成された空隙部内に配され前記シールによって密封された潤滑剤と、を備える密封型転がり軸受において、前記シールは、前記他方の軌道輪に滑り接触する摺接面を有するリップ部を備えていて、前記摺接面には、ディンプルが形成されているとともに、前記ディンプルを覆う炭素被膜が形成されていることを特徴とする。
このような本発明に係る密封型転がり軸受においては、前記ディンプルは線状凹部であることが好ましい。また、前記ディンプルはピット状凹部であることが好ましい。さらに、前記ディンプルがナノインプリントにより形成されたものであることが好ましい。
本発明の密封型転がり軸受は、シールのリップ部の摺接面にディンプルが形成されているとともに、前記ディンプルを覆う炭素被膜が形成されているので、シールの摩耗やトルクの増大が長期間にわたって生じにくい。
本発明に係る密封型転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。 図1に示す深溝玉軸受に取り付けられた接触形シールの構造を示す拡大図である。 摺接面に形成されたディンプルの形態を説明するシールのリップ部の部分断面図である。 摺接面に形成されたディンプルの形態を説明する摺接面の拡大図である。 摺接面に形成されたディンプルの別の形態を説明する摺接面の拡大図である。 摺接面に形成されたディンプルのさらに別の形態を説明する摺接面の拡大図である。
本発明に係る密封型転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る密封型転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図であり、図2は、図1に示す深溝玉軸受に取り付けられた接触形シールの構造を示す拡大図である。また、図3は、図2に示す接触形シールのリップ部の部分断面図である。
図1の深溝玉軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)3と、内輪1及び外輪2の間に転動体3を保持する保持器4と、外輪2の内周面に取り付けられ内輪1の外周面に滑り接触するシール5,5と、を備えている。そして、内輪1,外輪2,及びシール5,5に囲まれた空隙部(軸受内部空間)内には、両軌道面1a,2a及び転動体3の転動面の潤滑を行う潤滑剤G(例えば潤滑油やグリース)が配されていて、シール5,5によって密封されている。
なお、図1においては、シール5,5は、外輪2の内周面に取り付けられ内輪1の外周面に滑り接触しているが、これとは逆に、内輪1の外周面に取り付けられ外輪2の内周面に滑り接触していてもよい。また、保持器4は備えていなくてもよい。
シール5,5は、芯金11及びシール部材12で構成され、外輪2の内周面に設けられた溝部に圧入又は接着によって固定されている。芯金11は、低炭素鋼板等の金属板をプレス加工等の加工手段を用いて打抜き加工し、さらに塑性加工することによって製造された、ドーナツ板状の曲折部材である。なお、ドーナツ板状の曲折部材の代わりに、中央に穴を有する環状部材を用いてもよい。
また、シール部材12は、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等のゴム材料や合成樹脂(ポリアミド46,ポリアミド66等のポリアミドが好ましい)のような弾性を有する樹脂で構成されている。
そして、芯金11をインサートとするインサート成形によって、シール部材12と芯金11とを金型内で一体的に成形して固着する。すなわち、金型内に芯金11と樹脂とを装填し、加硫成形等を行うことにより、芯金11とシール部材12とを一体的に成形して、シール5を製造する。
シール部材12は弾性変形可能なリップ部12aを備えていて、このリップ部12aが、内輪1の外周面に滑り接触する摺接面12bを有している。そして、この摺接面12b及びその周辺部分には、ディンプルが形成されているとともに、前記ディンプルを覆う炭素被膜13(例えばダイヤモンドライクカーボン被膜)が形成されている。このディンプルは、微細な線状凹部23及び線状凸部22が交互に繰り返し縞状に形成されてなる(図4,5を参照)。ただし、前記ディンプルは、微細なピット状凹部24であってもよい(図6を参照)。
前記空隙部内に配された潤滑剤Gが、リップ部12aの摺接面12bと内輪1の外周面との間に僅かににじみ出し、摺動する摺接面12bと内輪1の外周面とが潤滑されるが、リップ部12aの摺接面12bに形成されたディンプルの作用により、リップ部12aの摺接面12bに潤滑剤Gが保持され常に良好な潤滑状態が維持される。よって、長期間にわたってリップ部12aの摺接面12bの摩耗が抑制されるので、シール5の密封性が長期間にわたって維持される。
また、リップ部12aの摺接面12bと内輪1の外周面との摩擦が抑制されるので、軸受のトルクの増大や、リップ部12aのスティックスリップによるシール音が抑制される。さらに、リップ部12aの摺接面12bにディンプルが形成されているので、摺接面12bと内輪1の外周面との接触面積が小さくなる。さらに、ディンプルのような微細な凹凸が形成されていると、摺接面12bの耐摩耗性が良好となる。さらに、ディンプルが炭素被膜13で覆われているので、金属からなる相手面(内輪1の外周面)との凝着力が小さくなり、摺接面12bのディンプルが長期間にわたって維持される。なお、内輪1の外周面のうち摺接面12bと摺接する部分にも上記と同様のディンプルを形成しておけば、上記効果がさらに向上する。
このようなディンプルは、ナノインプリントにより形成することができる。すなわち、ディンプルに対応する形状の凹凸が表面に形成されたモールドを用意し、前記金型により樹脂を成形して得たシール部材12のリップ部12aの表面に該モールドを押し付けると、前記凹凸形状が転写される。よって、モールド表面の凹凸に対応する形状のディンプルが、リップ部12aの摺接面12b及びその周辺部分に形成される。
ディンプルをナノインプリントで形成することにより、ディンプルが形成されている部分及びその近傍部分のみを加熱加工することとなるので、ディンプルの形成と同時に、ディンプルが形成されている部分及びその近傍部分の硬さが高くなり、ディンプルの微小な変形が抑制される。よって、ヒステリシスロスが低減されるとともに、摺接面12bと相手面との接触面積の増加が抑制される。その結果、深溝玉軸受を低トルクとすることができる。また、ディンプルが形成されている部分及びその近傍部分のみの硬さが高くなっているので、高負荷時においてもディンプルの微小な変形が抑制され、摺接面12bと相手面との接触面積の増加が抑制される。さらに、ナノインプリントによれば、簡単,確実,且つ低コストで微細加工を施すことができる。
ただし、前記ディンプルは、前記金型の表面に形成された凹凸を、シール5の製造時にリップ部12aに転写することによって形成することもできる。すなわち、金型表面のうちリップ部12aの摺接面12b及びその周辺部分を成形する部分に凹凸が形成された金型を用意し、この金型内に芯金11と樹脂とを装填して成形を行うと、芯金11とシール部材12とが一体的に成形される際に、成形時の圧力によって金型表面の凹凸が転写され、金型表面の凹凸に対応する形状のディンプルが、リップ部12aの摺接面12b及びその周辺部分に形成される。
なお、金型を用いてシール5を製造する際には、前述のようにインサート成形によってシール部材12と芯金11とを金型内で一体的に成形する方法を採用してもよいが、リップ部12aの摺接面12bにディンプルが形成されたシール部材12のみを金型で製造し、別途製造した芯金11と金型外で固着する方法を採用してもよい。
また、シール5を金型で成形する方法を採用すれば、リップ部12aの摺接面12bにディンプルが形成されたシール5を製造することができるので、シール5の製造を通常のシールと同様の製造工程で製造することができるとともに、低コストでシール5を製造することができる。
さらに、上記のように、金型内でシール部材12を成形しつつリップ部12aの摺接面12bにディンプルを形成する方法を採用することもできるが、シール部材12を成形した後にディンプルのみをナノインプリントで後加工する方法を用いれば、ディンプルが形成されている部分及びその近傍部分の硬さが高くなるので、ナノインプリントを用いる方が深溝玉軸受をより低トルクとすることができる。
摺接面12bに形成されたディンプルの深さは、0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。また、摺接面12bの中心線平均粗さRaは、0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。摺接面12bに形成されたディンプルの深さが0.01μm未満であると、潤滑剤Gの保持性能が不十分となるおそれがある。一方、0.2μm超過であると、シール5による潤滑剤Gの密封性が不十分となるおそれがある。摺接面12bの中心線平均粗さRaについても同様であり、摺接面12bの中心線平均粗さRaが0.01μm未満であると、潤滑剤Gの保持性能が不十分となるおそれがあり、0.2μm超過であると、シール5による潤滑剤Gの密封性が不十分となるおそれがある。
モールドや金型の表面の凹凸は、モールドや金型の表面に例えばレーザーを照射して微細加工を施すことにより形成することができる。微細加工に使用するレーザーとしては、パルス幅1ps以上5ps以下の短パルスレーザーが好ましい。例えば、レーザー波長700nm以上900nm以下、パルス幅1ps以上5ps以下、フルーエンス28J/cm2 以下の照射条件で、短パルスレーザーをモールドや金型の表面に照射する。これにより、照射された部分がアブレーションされて、加工跡である凹部が形成される。この凹部は非熱的過程で形成されているので、アブレーションによる熱影響が小さく高精度である。
なお、短パルスレーザーの照射によれば、通常の機械的な表面加工処理では困難な微細加工を施すことができる。例えば、形成位置をナノメートルオーダーで制御しつつ微小な凹部を形成することができる。また、短パルスレーザーとは、フェムト秒レーザーのようなパルス幅が非常に小さいレーザーの総称であり、このようなレーザーを用いれば、レーザー波長と略同じかそれよりも短いピッチで周期的に凹部を形成するなどの微細加工を施すことができる。
以下に、リップ部12aの摺接面12b及びその周辺部分に形成するディンプルについて、図2の摺接面12bを拡大して示した拡大図である図4〜6を参照しながら、さらに詳細に説明する。
ディンプルは、微細な線状凹部23及び線状凸部22が交互に繰り返し縞状に形成されてなるが、図4に示すように、ほぼ等間隔で並んでいる微細な線状凹部23及び線状凸部22が、リップ部12aの摺接面12bと内輪1の外周面との摺動方向に平行な方向に延びていてもよいし、図5に示すように、微細な線状凹部23及び線状凸部22が前記摺動方向に直交する方向に延びていてもよい。
線状凹部23及び線状凸部22が摺動方向に対して平行な方向に延びていると、荷重を安定して受けることができ、且つ、摺動方向に対して強く潤滑剤を保持することができる。このため、より一層、軸受のトルクを低減することができるとともに内輪1の外周面との表面接触の発生を抑制することができる。また、摺接面12bの弾性変形が抑制され、ヒステリシスロスが低減される。ただし、線状凹部23及び線状凸部22が摺動方向に対して角度を有する方向に延びて形成されている場合等、平行以外の角度であっても一定の効果が得られる。
線状凹部23及び線状凸部22はナノメートルオーダーの間隔を空けて平行に並んでおり、隣り合う2つの線状凹部23の間の距離の平均値は、例えば波長800nmのレーザーを用いた場合は波長800nmよりも若干短いか同程度である400〜800nmであることが好ましい。この距離が小さすぎたり大きすぎたりすると、潤滑剤Gの保持が不十分となるおそれがある。また、この距離は10nm以上であることが好ましく、レーザー波長及び偏光の度合い等により適宜調整することができる。
また、図6に示すように、前記ディンプルは、円形状の微細なピット状凹部24であってもよい。図6においては、複数のピット状凹部24が所定の間隔を空けつつ摺接面12bに均一に配されている。なお、ピット状凹部24の形状は、図6に示すような円形状に限定されるものではなく、楕円形状でもよいし矩形でもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、密封型転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は深溝玉軸受に限らず、他種の転がり軸受にも適用可能である。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図1の深溝玉軸受とほぼ同様の構成の深溝玉軸受(内径17mm、外径40mm、幅12mm)を用意して、グリース1.0gを封入した。そして、回転速度1500rpm、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重196N、外輪温度180℃という条件で10時間回転させ、回転時のトルクを測定した。
実施例1〜4は、シールのリップ部の摺接面全面にディンプル及び炭素被膜が形成されたものである。このうち実施例1,2のディンプルは、微細な線状凹部及び線状凸部が交互に繰り返し縞状に形成されてなり、線状凹部及び線状凸部はリップ部の摺接面と内輪の外周面との摺動方向に平行な方向に延びている(図4と同様のもの)。また、実施例3のディンプルは、微細な線状凹部及び線状凸部が交互に繰り返し縞状に形成されてなり、線状凹部及び線状凸部はリップ部の摺接面と内輪の外周面との摺動方向に直交する方向に延びている(図5と同様のもの)。さらに、実施例4のディンプルは、微細なピット状凹部である(図6と同様のもの)。
さらに、実施例1,3,4のディンプルは、シールを形成後にナノインプリントにより形成したものであり、実施例2のディンプルは、金型内に芯金と樹脂とを装填してシールを成形する際に、金型の表面に形成された凹凸をリップ部の摺接面に転写することによって形成したものである。
さらに、比較例1は、シールのリップ部の摺接面にディンプルも炭素被膜も形成されていない通常のシールを備えた軸受である。さらに、比較例2は、シールのリップ部の摺接面全面にディンプルが形成されたものであるが、炭素被膜は形成されていない。そして、このディンプルは、微細な線状凹部及び線状凸部が交互に繰り返し縞状に形成されてなり、線状凹部及び線状凸部はリップ部の摺接面と内輪の外周面との摺動方向に平行な方向に延びている(図4と同様のもの)。また、このディンプルは、シールを形成後にナノインプリントにより形成したものである。さらに、比較例3は、シールのリップ部の摺接面にディンプルは形成されておらず、炭素被膜のみが形成されている。
この炭素被膜は、プラズマCVD法により形成した。詳述すると、シールの表面を拭き取りにより脱脂した後、プラズマCVD法により、炭素及び水素で構成される膜厚2μmの炭素被膜をリップ部の摺接面に形成した。なお、炭素被膜の形成方法はプラズマCVD法に限定されるものではなく、プラズマイオン注入法やスパッタリング法を採用することも可能である。
Figure 2012167764
各軸受のトルクの測定結果を表1に示す。なお、表1に示したトルクの数値は、比較例1の軸受のトルクを1とした場合の相対値で示してある。表1から分かるように、実施例1〜4は、ディンプル及び炭素被膜が形成されていない比較例1と比べて、低トルクであった。特に、実施例1,3,4は、より低トルクであった。これは、ナノインプリントでディンプルを形成したことにより、ディンプルが形成されている部分及びその近傍部分の硬さが高くなり、微小な変形が生じにくくなっているためと考えられる。
1 内輪
2 外輪
3 転動体
5 シール
11 芯金
12 シール部材
12a リップ部
12b 摺接面
13 炭素被膜
22 線状凸部
23 線状凹部
24 ピット状凹部
G 潤滑剤

Claims (4)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪のいずれか一方の軌道輪に取り付けられ他方の軌道輪に滑り接触するシールと、前記内輪及び前記外輪の間に形成された空隙部内に配され前記シールによって密封された潤滑剤と、を備える密封型転がり軸受において、
    前記シールは、前記他方の軌道輪に滑り接触する摺接面を有するリップ部を備えていて、前記摺接面には、ディンプルが形成されているとともに、前記ディンプルを覆う炭素被膜が形成されていることを特徴とする密封型転がり軸受。
  2. 前記ディンプルは線状凹部であることを特徴とする請求項1に記載の密封型転がり軸受。
  3. 前記ディンプルはピット状凹部であることを特徴とする請求項1に記載の密封型転がり軸受。
  4. 前記ディンプルがナノインプリントにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封型転がり軸受。
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