JP2012176180A - 超音波診断用探触子の装着用スペーサー - Google Patents

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【課題】10MHz以上の高周波数の超音波診断用探触子にも取付け部材を使用しないで装着でき、探触子の形状が多少異なっていても共用できる超音波診断用探触子の装着用スペーサーと、これを装着した超音波診断用探触子を提供する。
【解決手段】超音波診断用探触子に装着され、体表との間に介在されて使用される装着用スペーサー1であって、該スペーサーは粘着性を有するゲル弾性体からなり、探触子の先端を被覆する探触子先端被覆部1aと、その両側に連設され且つ探触子の外面に粘着固定される粘着固定部1b,1bとを備えた装着用スペーサーとする。取付け部材が不要となり、スペーサーを薄肉化できるので、高周波数の超音波診断用探触子にも装着して体表近くの生体組織を診断を行うことが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断用探触子の装着用スペーサーと、このスペーサーを装着した超音波診断用探触子に関し、更に詳しくは、高周波数(10MHz以上)の超音波を発振する超音波診断用探触子に対しても取付け部材を使用しないで簡単かつ確実に装着することができる装着用スペーサーと、このスペーサーを装着した超音波診断用探触子に関する。
超音波診断法は、他の診断法に比べて、使用する装置が安価であり、患者に対する負担が少なく簡単に実施できることから、体内各部の組織の診断に多用されている。この超音波診断法は、プローブと呼ばれる超音波診断用の探触子を体表に押し当て、探触子から発振される超音波の反射波を探触子で受信して体内組織を診断するものであるが、探触子と体表との間に空気が存在すると超音波の伝搬が妨げられるため、従来より流動性がある不定形のジェルを体表に塗布することで探触子の密着性を高めている。けれども、ジェルを使用する場合は、探触子と体表との距離を一定に保つことが難しく、また、ジェル中に気泡が混入すると良好な超音波診断画像が得られないという欠点があった。
これに対し、超音波診断用探触子と体表との間に介在させるスペーサーとして、図9に示すように、ゲル状弾性体101からなるスペーサーであって、取付け部材102の下端部102aをゲル状弾性体101に埋設し、この取付け部材102を超音波診断用探触子103に脱着自在に取付けることによって、探触子103の先端にゲル状弾性体101を密接させるようにした超音波診断用探触子の装着用スペーサーが公開されている(特許文献1)。この装着用スペーサーは、ジェルを使用する場合の上記欠点を解消できるものであるが、近年の10MHz以上の高周波数の超音波を発振する超音波診断用探触子の開発に伴って、以下のような問題が生じてきた。
特開平4−303433号公報
即ち、近年開発された10MHz以上の高周波数の超音波診断用探触子を用いる診断装置は、周波数が高いほど解像度が高く、より細かい生体組織まで分離可能になるという高周波の特性を利用して、体表に近い部位の血流状態や筋の状態などを観察、診断できるようにしたものであるが、このような高周波数の超音波診断用探触子を用いて体表に近い部位の組織を観察、診断する場合には、超音波診断用探触子が体表にフィットする必要があること、及び、高周波数の超音波は生体組織中での伝搬減衰が大きいため到達距離が短くなることから、超音波診断用探触子に装着されるスペーサーのゲル状弾性体は、その厚みを10mm程度以下とかなり薄くする必要がある。
しかしながら、図9に示す前記特許文献1の装着用スペーサーのように、取付け部材102の下端部102aをゲル状弾性体101に埋設し、取付け部材102を探触子103に脱着自在に取付けてゲル状弾性体101を探触子103の先端に密接させるように構成したものは、ゲル状弾性体101が取付け部材102の下端部102aを埋設できるだけの厚みを有する必要があるため、ゲル状弾性体101を薄肉化することが難しく、強いて薄肉化すると、ゲル状弾性体101の下端面(体表との接触面)から取付け部材102の下端部102aまでの間隔Dが大幅に短縮されるため、探触子103を体表に押し当てたときに、取付け部材102の下端部102aがシコリのようになって体表を強く圧迫したり、最悪の場合には下端部102aが体表に接触するという問題が生じる。このように前記特許文献1の装着用スペーサーはゲル状弾性体101の薄肉化が難しいため、高周波数の超音波を発振する超音波診断用探触子に装着するスペーサーとしては不適当なものであり、敢えて装着しても良好な超音波診断画像を得ることができないという問題があった。
また、前記特許文献1の装着用スペーサーのように、ゲル状弾性体101を取付け部材102で超音波診断用探触子103に装着するものは、その超音波診断用探触子の形状に合わせた取付け部材とゲル状弾性体が必要になるので、形状が異なる超音波診断用探触子ごとに専用の取付け部材とゲル状弾性体を準備しなければならないという問題もあった。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、10MHz以上の高周波数の超音波を発振する超音波診断用探触子に対しても取付け部材を使用しないで簡単かつ確実に装着して使用することができ、超音波診断用探触子の形状が多少異なっていても共用して装着することができる超音波診断用探触子の装着用スペーサーと、このスペーサーを装着した超音波診断用探触子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーは、超音波診断用探触子に装着され、体表との間に介在されて使用される装着用スペーサーであって、該スペーサーは粘着性を有するゲル弾性体からなり、探触子の先端を被覆する探触子先端被覆部と、この探触子先端被覆部の両側に連設され且つ探触子の外面に粘着固定される粘着固定部とを備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーにおいては、探触子先端被覆部と粘着固定部が同一のゲル弾性体で一体形成されていることが好ましい。
そして、粘着固定部が形状保持材を備えていることが好ましく、この形状保持材が粘着固定部に埋設されていることが更に好ましい。
また、本発明に係る超音波診断用探触子は、本発明に係る上記装着用スペーサーの探触子先端被覆部で探触子の先端を被覆すると共に、上記装着用スペーサーの粘着固定部を探触子の外面に粘着固定して、上記装着用スペーサーを装着したことを特徴とするものである。
本発明に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーのように、粘着性を有するゲル弾性体からなり、探触子の先端を被覆する探触子先端被覆部と、この探触子先端被覆部の両側に連設され且つ探触子の外面に粘着固定される粘着固定部とを備えているものは、超音波診断用探触子の先端を探触子先端被覆部で被覆すると共に、探触子の外面に粘着固定部を粘着固定することによって、取付け部材を使用しないで、簡単かつ確実に超音波診断用探触子に装着することができる。このように本発明の装着用スペーサーは取付け部材が不要であるため、前記特許文献1の装着用スペーサーのゲル状弾性体のように取付け部材の下端部を埋設できる厚みとする必要がなくなり、スペーサー全体又は探触子先端被覆部のみを前記特許文献1のゲル状弾性体よりも薄肉化して探触子先端被覆部の厚みを10mm程度以下に設定できるので、10MHz未満の周波数の超音波診断用探触子に装着する場合は勿論、10MHz以上の高周波数の超音波診断用探触子に装着して体表に近い部位の血流状態や生体組織の状態を診断する場合でも、良好な超音波診断画像を得て正確に観察、診断することができる。そして、スペーサー全体又は探触子先端被覆部のみを上記のように薄肉化しても、取付け部材が存在しないので、超音波診断用探触子を体表に押し当てたときに取付け部材の下端部によってシコリのような圧迫感を与えることもなくなる。
また、本発明の装着用スペーサーのように、探触子先端被覆部で超音波診断用探触子の先端を被覆し、粘着固定部を探触子の外面に粘着固定して装着するものは、超音波診断用探触子の形状が多少異なっていても共用して装着できるため、前記特許文献1の装着用スペーサーのように形状が異なる超音波診断用探触子ごとに専用の取付け部材とゲル状弾性体を準備しなければならない煩わしさや不経済性を解消できるという利点もある。
また、探触子先端被覆部と粘着固定部が同一のゲル弾性体で一体形成された装着用スペーサーは、後述するように未反応の材料液を型内に注入し、反応、ゲル化させることによって容易に製作することができ、探触子先端被覆部と粘着固定部を異なる材料液で形成する面倒さを回避できる利点がある。
また、粘着固定部が形状保持材を備えている装着用スペーサーは、形状保持材によって粘着固定部の伸縮が抑制されると共に、粘着固定部の腰の強さも適度になるため、スペーサーを装着するときの粘着固定部の取扱い性が向上し、超音波診断用探触子の先端にスペーサーの探触子先端被覆部が隙間なく密接するように粘着固定部を弛みなく超音波診断用探触子の外面に粘着固定できる利点がある。
そして、形状保持材が粘着固定部に埋設されている装着用スペーサーは、形状保持材によって粘着固定部の粘着面の粘着力が低下したり、粘着固定部から形状保持材が離脱する恐れを解消できる利点がある。
本発明に係る超音波診断用探触子は、上記装着用スペーサーの探触子先端被覆部で探触子の先端を被覆すると共に、上記装着用スペーサーの粘着固定部を探触子の外面に粘着固定して、上記装着用スペーサーを装着したものであるから、体表に押し当てたときにシコリのような圧迫感を与えることがなく、10MHz以上の高周波数の超音波を発振して体表に近い部位の血流状態や生体組織の状態を診断する場合でも、良好な超音波診断画像を得て正確に観察、診断することができる。
本発明の一実施形態に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーの平面図である。 同装着用スペーサーの縦断面図である。 同装着用スペーサーを装着した本発明の一実施形態に係る超音波診断用探触子の正面図である。 同超音波診断用探触子の側面図である。 本発明の他の実施形態に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーの平面図である。 同装着用スペーサーの縦断面図である。 同装着用スペーサーを装着した本発明の他の実施形態に係る超音波診断用探触子の正面図である。 同超音波診断用探触子の側面図である。 従来の装着用スペーサーを装着した超音波診断用探触子の正面図であって、装着用スペーサーのみ中央で切断して示したものである。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーの平面図、図2は同装着用スペーサーの縦断面図である。
図1,図2に示す装着用スペーサー1は、超音波診断用探触子に装着され、体表との間に介在されて使用されるスペーサーであって、粘着性を有するゲル弾性体からなるものである。この装着用スペーサー1は、超音波診断用探触子に装着されるときに探触子の先端を被覆する平面形状が長方形の探触子先端被覆部1aと、この探触子先端被覆部1aの両側に連設され且つ探触子の前後両面に粘着固定される粘着固定部1b,1bとを、同一のゲル組成のゲル弾性体で一体に形成したものであって、双方の粘着固定部1b,1bには、超音波診断用探触子のネック部に粘着固定される突出部1c,1cが延設されている。
突出部1c,1cを含めた双方の粘着固定部1b,1bの片面近くには、図2に示すように形状保持材1d,1dが埋設されており、これらの形状保持材1d,1dによって、粘着固定部1b,1bの伸縮が抑制されると共に、粘着固定部1b,1bの腰の強さが適度に調整されている。そして、突出部1c,1cを含めた粘着固定部1b,1bの反対面は、図2に示すように被覆フィルム1e,1eで覆われて非粘着面となっている。従って、双方の粘着固定部1b,1bは取扱い性が良いので、超音波診断用探触子に対するスペーサー1の装着作業を容易かつ正確に行うことができる。
形状保持材1dは、突出部1cを含む粘着固定部1bの片面に露出させて設けることもできるが、その場合には粘着固定部1bの片面の粘着力が低下したり、形状保持材1dが粘着固定部1bから離脱する恐れがあるので、この実施形態のように粘着固定部1bの片面近くに埋設するか、又は、粘着固定部1bの厚み方向中間部に埋設することが望ましい。一方、被覆フィルム1eは、粘着固定部1bの粘着力によって粘着固定部1bの反対面に貼り付けるだけでよい。
形状保持材1dとしては、合成樹脂繊維や植物繊維の不織布、ネット、織布などが使用されるが、その中でも目付量が10〜75g/m程度の合成樹脂繊維の不織布が好ましく使用される。また、被覆フィルム1eとしては、各種の合成樹脂フィルムが使用されるが、その中でも厚さが5〜100μm程度の合成樹脂フィルムが好ましく使用される。更に好ましくは、厚さが5〜50μm程度の合成樹脂フィルムが使用される。
装着用スペーサー1を構成するゲル弾性体は、超音波診断用探触子の前後両面に粘着固定部1b,1b(突出部1c,1cを含めた粘着固定部1b,1b)を確実に粘着固定できる適度な粘着性を有することが不可欠であるが、該スペーサー1が超音波診断用探触子に装着されて体表に密接して使用されるものであることから、該スペーサー1を構成するゲル弾性体は、粘着性の他に、探触子の形状に追従し得る適度な可撓性もしくは硬さ(アスカーF型硬度計による好ましい硬度は20〜80度)、探触子への多数回の脱着に耐え得る機械的強度、人体に対する安全性、耐水性などを有するものでなければならない。このような条件を満たすゲル弾性体としては、例えば下記のポリウレタンゲル弾性体を挙げることができる。
それは、ポリオール成分としてアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及びアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、ポリイソシアネート成分としてアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲル弾性体であり、このものはアルキレンオキサイドのセグメントによって構造化された内部貫入型(Interpenetrated Network)の一成分系のセグメント化ポリウレタンゲル弾性体である。このポリウレタンゲル弾性体は、後述するように、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の配合比率(換言すればポリオール成分末端の官能基である水酸基とポリイソシアネート成分末端の官能基であるイソシアネート基との比率OH/NCO)や、アルキレンオキサイドの種類、セグメント長などを調節することによって、装着用スペーサー1に極めて適した粘着性と可撓性(もしくは硬さ)を発現する人体に全く無害のゲル弾性体であり、機械的強度や耐水性も充分満足できるものである。
上記のポリウレタンゲル弾性体は、下記構造式1〜4に示すポリオール成分の一種又は二種以上と、下記構造式5〜9に示すポリイソシアネート成分の一種又は二種以上を、触媒と共に混合し、この混合物をスペーサー成形用の型内に注入して反応させることにより容易に得ることができる。反応条件は制限されないが、60℃で24時間反応させることが好ましい。また、触媒としてはジブチル錫ラウレートや、トリアルキルアミン、トリエチレンジアミン等の第3級アミンが好ましく使用される。
Figure 2012176180

(式中、R、Rはアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、(AO)はアルキレンオキサイド鎖である。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、lは1又は4の整数である。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖である。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、RはHである。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかである。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかである。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、lは1又は4の整数である。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかである。)
Figure 2012176180

(式中、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかである。)
上記構造式1〜4のポリオール成分について説明すると、構造式1はポリエーテルポリオールとジイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオールプレポリマーであって、両末端成分がポリエーテルポリオール、両末端の官能基が−OH基である。ここに使用されるジイソシアネート化合物は、後述するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーの中のそれと同じものであり、例えばフェニレンジイソシアネート、2,2,4−トルイレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタリン1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添加TDI、水添加MDI、ジシクロヘキシルジメチルメタンp,p′−ジイソシアネート、ジエチルフマレートジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が任意に使用できる。
また、構造式2はグリセロール(l=1)又はソルビトール(l=4)にポリエーテルポリオールを付加したものである。
構造式3は、トリメチロールプロパンにポリエーテルを付加したものであり、同様に下記構造式10,11で示される1,2,6−ヘキサントリオールやトリメチロールエタン、或いは、ペンタエリスリットC(CHOH)、或いは、下記構造式12で示されるポリグリセリンやその部分エステルなどの多価アルコールとポリエーテルポリオールの付加物も使用できる。この場合、(AO)はホモポリマーであっても、ブロックコポリマー或いはランダムコポリマーであってもよい。
Figure 2012176180

Figure 2012176180

Figure 2012176180

(式中、nは2〜30の整数である。)
構造式4はアルキレンオキサイド鎖を有するポリエーテルポリオールであり、両末端が−OH基で2官能のポリオールであり、市販品として容易に入手できる。
次に、構造式5〜9のポリイソシアネートプレポリマーについて説明すると、構造式5はトリメチロールプロパンにジイソシアネートを反応させて得られるトリイソシアネートの2分子を(AO)の1分子で2量化した4官能のテトライソシアネートであり、このトリメチロールプロパンの代わりにグリセロールを用いたものが構造式6のポリイソシアネートプレポリマーである。この種のテトライソシアネートは、(AO)の2分子又は3分子とトリイソシアネートの2分子との反応では得られないので、(AO)の量を化学当量より少なくして反応を微妙に調節する必要がある。そのため未反応のトリイソシアネートが混在するが、これがポリオールと反応するとセグメント化ポリウレタン分子の大きさにバラツキが生じ、ゲルの硬度をコントロールするのに都合の良い方へ作用することもある。
構造式7は構造式2のポリオールにジイソシアネートを反応させたもので、3官能が6官能であり、また、構造式8は同様に構造式3のポリオールにジイソシアネートを反応させたもので、3官能である。構造式9はポリエーテルポリオールとジイソシアネートの反応物で、2官能である。
上記構造式1〜9の(AO)で表記されるアルキレンオキサイド鎖は、適度な弾力性と柔軟性(もしくは硬さ)を有するポリウレタンゲル弾性体を形成するためには、アルキレンオキサイド鎖の殆どないし全てが常温で液状であり、十分な屈曲性を有することが望ましい。もし、アルキレンオキサイド鎖の殆どが固体であると、分子運動が少なくて屈曲性が殆どなくなり、系の構造化(ゲル化)の分散媒として働かないため、弾力性と柔軟性を有するポリウレタンゲル弾性体を得ることが困難になる。
アルキレンオキサイド鎖(AO)を構成する化合物としては、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコールなどが挙げられるが、このうち常温で液状物質として入手し易いものは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、低分子量のポリテトラメチレングリコールである。また、これらの共重合体、例えば下記構造式13,14で表されるブロックコポリマーや、ランダムコポリマーも使用できる。尚、一つのプレポリマーの中のセグメントは、異なった種類のアルキレンオキサイド鎖で構成されていてもよい。
Figure 2012176180

Figure 2012176180

(これらの式中、l,m,nは1以上の整数である。)
装着用スペーサー1に適した粘着性と可撓性(もしくは硬さ)を有するポリウレタンゲル弾性体を得るためには、アルキレンオキサイド鎖を構成する上記化合物の分子量を規制する必要がある。化合物が液状であっても分子量が低すぎる場合は、架橋密度が高くなるため、ポリウレタンゲル弾性体の硬度が大きくなりすぎて、超音波診断用探触子の形状に追従し得る可撓性を得ることが難しくなり、粘着性も低下する。また、化合物が液状でも分子量が大きすぎる長鎖の場合は、反応確率が低くなるため、理論量以上に配合しても、ポリウレタンゲル弾性体の硬度が小さくなりすぎて、充分な保形性や機械的強度を得ることが困難になり、適度な粘着性も得難くなる。適当な分子量の範囲は、ポリエチレングリコールの場合150〜1000程度であり、より好ましくは300〜800程度である。また、分子量が数万でも液状のポリプロピレングリコールやポリブチレングリコールの場合は使用範囲が広いが、上記の理由から200〜3000程度の分子量のものが好ましく使用される。また、ポリテトラメチレングリコールの場合は、重合度が大きいと固体となるので、200〜1000程度、好ましくは400〜800程度の分子量のものが使用される。更に、これらの共重合体の場合は、数百ないし数千の分子量のものが使用される。
次に、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の反応比について説明する。経験的に言えば、本発明の装着用スペーサー1を構成するポリウレタンゲル弾性体は、比較的嵩高い構造の分子が適当な分子量を有し、且つ、自由に運動可能なセグメント長、又は直鎖(linear)の末端が自由に動ける分子を適当に有することが必要である。従って、ポリオール成分とポリイソシアネート成分は、一方が2官能で、他方が3官能以上の化合物の組合わせである必要がある。どちらか一方が1官能であれば連鎖しないし、2官能同士では直鎖分子となるからである。つまり、どちらか一方が2官能で他方が3官能以上の多官能であるか、互いに3官能以上の組み合わせがよい。但し、双方の官能数があまり多すぎる組合わせにすると、得られる反応物は網目鎖濃度が高くなりすぎるので、ゲル化には長い液状のセグメントが必要になる。しかし、セグメントの長さには、反応の確率の問題から限度がある。ポリウレタンゲル弾性体を得やすい官能基数は2〜4の組み合わせであり、殊に2官能と3官能の組合わせが配合上、調節し易い。その場合、ゲル弾性体の硬度その他の物性を微調節するために官能基数が一つのものを内部分散媒として混合して使用できる。また、ポリオール、ポリイソシアネートプレポリマーの(AO)鎖がかなり長いものばかりの場合は、多官能の多価アルコール、又は多価イソシアネート(いずれも(AO)鎖をもたないもの)を混用して網目鎖形態を調節することにより、ゲル弾性体を得るように工夫してもよい。
ポリオール成分とポリイソシアネート成分の配合比率(反応比)は、双方の成分の官能基の比率、即ち、ポリオール成分の末端の官能基である水酸基とポリイソシアネート成分の末端の官能基であるイソシアネート基との比率(OH/NCO)によって規制される。このOH/NCOの比率が1より小さい場合は、未反応のNCO基がゲル中に残り、この未反応のNCO基が水分と後反応するので、OH/NCOの比率は1以上でなければならない。但し、装着用スペーサー1を構成するポリウレタンゲル弾性体は、同一ポリマーの分子中で共有結合した状態にある一成分系のものであるから、基本的にはOH/NCOが1であるか、それに近い値のものである。しかし、プレポリマー同士の反応であるため、実際に反応の確率を考慮すれば、1よりやや大きいものも含まれる。経験的にはOH/NCOが1.0〜2.5の範囲内で装着用スペーサー1に適合するポリウレタンゲル弾性体を得ることができ、OH/NCOが小さくなるほどポリウレタンゲル弾性体の硬さが増して粘着性が低下し、OH/NCOが大きくなるほどポリウレタンゲル弾性体の硬さが減少(柔軟性が増加)して粘着性が増大することになる。また、OH/NCOが1.5〜2.5であると、超音波診断用探触子への追従性及び、超音波診断用探触子への着脱性に優れるため好ましい。
ポリオール成分とポリイソシアネート成分の重量平均分子量の範囲は、アルキレンオキサイド鎖、イソシアネートの種類、分子形状、及び、アルキレンオキサイド鎖がホモポリマーかコポリマーであるかによって広い範囲で変わるが、ポリオールで大略150〜6000、ポリウレタンポリオールプレポリマーで大略1400〜10000、ポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーで大略500〜10000であり、好ましくは各々大略200〜3000、1000〜6000、800〜5000の範囲で選択できる。
上記のように、装着用スペーサー1を構成するゲル弾性体は、ポリオール成分としてアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及びアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、ポリイソシアネート成分としてアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応させて得られるポリウレタンゲル弾性体であり、このものはアルキレンオキサイドのセグメントによって構造化された内部貫入型の一成分系のセグメント化ポリウレタンゲル弾性体であるから、残留モノマーや残留溶剤などのブリードアウト成分を含まないので皮膚を刺激することがなく、また、雑菌も繁殖しないので皮膚のカブレを生じることもない。また、長時間使用しても人体に全く無害のものである。しかも、このポリウレタンゲル弾性体は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の配合比率(換言すればOH/NCOの比率)、アルキレンオキサイドの種類やセグメント長(分子量)などを調節することによって、装着用スペーサー1に極めて適した粘着性と、可撓性もしくは硬さ(アスカー硬度計による硬度:20〜80度)を有するゲル弾性体とすることができ、機械的強度(引張り、引裂き、摩耗など)や耐水性も良好なものである。
また、上記のポリウレタンゲル弾性体には、グライム化合物等を添加することができる。グライム系化合物等を添加することにより、ポリウレタンゲル弾性体内での超音波の伝搬減衰を軽減することができる。グライム系化合物としては、ブチルジグライム、エチルジグライム、メチルテトラグライム、メチルトリグライム、メチルジグライム、メチルモノグライム、エチルモノグライム等が任意に使用できる。
装着用スペーサー1を構成するゲル弾性体の厚みは0.1〜15mmの範囲内に設定するのが適当であり、この範囲内の厚みであれば、超音波診断用探触子の形状に追従させてスペーサー1を曲げながら密接状態で装着することができる。特に、10MHz以上の高周波数の超音波を発振する超音波診断用探触子に装着するスペーサーの場合は、ゲル弾性体の厚みを0.1〜10mmの範囲内に設定することが重要であり、この範囲の厚みに設定すると、体表近くの生体組織の良好な超音波診断画像が得られるようになり、超音波診断用探触子に対する追従性も一層よくなる。そして、ゲル弾性体の厚みを0.1〜5mmと更に薄く設定すると、より鮮明な超音波診断画像を得て体表近くの生体組織をより正確に観察、診断することが可能となり、超音波診断用探触子に対する追従性も更に向上するので、極めて好ましい。
なお、上記のポリウレタンゲル弾性体の他に、アクリル系含水ゲル、シリコーン系やゴム系等の弾性体も使用することができる。
上記構成の装着用スペーサー1は、例えば次の方法によって簡単に製造することができる。
まず、浅い成形型の内底面に、その中央部分(探触子先端被覆部1aが形成される部分)を除いて、形状保持材1dを敷設する。そして、前記のアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール又は/及びアルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマーと、アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーと、必要に応じて前記触媒とを混合、攪拌し、この材料混合液を成形型内に所定の厚みとなるように注入して、例えば60℃で24時間程度反応させ、下面近くに形状保持材1dが埋設された所定厚みのポリウレタンゲル弾性体を得る。そして、成形型から取出したポリウレタンゲル弾性体の上面に、その中央部分(探触子先端被覆部1aとなる部分)を除いて被覆フィルム1eを被着し、このポリウレタンゲル弾性体を図1に示すスペーサー形状に打抜くと、装着用スペーサー1が製造される。
装着用スペーサー1の中央の探触子先端被覆部1aとその両側の粘着固定部1b,1b(突出部1c,1cを含めた粘着固定部)は、組成が異なるポリウレタンゲル弾性体で形成してもよいが、探触子先端被覆部1aと粘着固定部1b,1bを同じ組成のポリウレタンゲル弾性体で一体形成する場合は、上記のように共通の材料混合液を成形型内に注入し、反応、ゲル化させることによって効率良く製造でき、組成の異なる二種類の材料液を個別に調製する面倒さを回避できるので、生産性が向上する利点がある。
以上の装着用スペーサー1は、図3,図4に示すように、中央の探触子先端被覆部1aを超音波診断用探触子2の先端2aに密接させて該先端2aを被覆し、粘着固定部1b,1bの被覆フィルム1e,1eを外側に向けて、粘着固定部1b,1bを探触子2の形状に追従させて曲げながら超音波診断用探触子2の前後両面に粘着固定すると共に、粘着固定部1b,1bの突出部1c,1cを探触子2のネック部2bの前後両面に粘着固定することにより、専用の取付け部材を使用しないで、超音波診断用探触子2に簡単かつ確実に装着することができる。従って、探触子先端被覆部1aを、専用の取付け部材の下端部を埋設できる厚みとする必要がなく、スペーサー1全体又は探触子先端被覆部1aの厚みを前記のように0.1〜10mm、好ましくは0.1〜5mmと薄く設定できるので、10MHz未満の周波数の超音波診断用探触子に装着する場合は勿論、10MHz以上の高周波数の超音波診断用探触子2に装着して体表に近い部位の血流状態や生体組織の状態を診断する場合でも、良好な超音波診断画像を得て正確に観察、診断することができる。そして、スペーサー1全体又は探触子先端被覆部1aのみを上記のように薄肉化しても、専用の取付け部材が存在しないので、超音波診断用探触子2を体表に押し当てたときに取付け部材の下端部によってシコリのような圧迫感を与えることもなくなる。
また、この装着用スペーサー1のように、粘着固定部1b,1bを超音波診断用探触子2の前後両面に粘着固定して装着するものは、超音波診断用探触子2の形状が多少異なっていても共用して装着できるため、前述した特許文献1の装着用スペーサーのように形状が異なる超音波診断用探触子ごとに専用の取付け部材とゲル状弾性体を準備しなければならない煩わしさや不経済性を解消することができる。しかも、突出部1c,1cを含めた双方の粘着固定部1b,1bは、形状保持材1d,1dによって伸縮変形が防止され、被覆フィルム1e,1eによって外側表面が取扱い易い非粘着面とされているので、弛みや位置ずれが生じないように作業性良くスペーサー1の装着作業を行うことができる。
図5は本発明の他の実施形態に係る超音波診断用探触子の装着用スペーサーの平面図、図6は同装着用スペーサーの縦断面図である。
図5,図6に示す装着用スペーサー10は、超音波診断用探触子に装着されるときに探触子の先端を被覆する平面形状が長方形の探触子先端被覆部1aと、この探触子先端被覆部1aの両側に連設され且つ探触子の前後両面に粘着固定される粘着固定部1b,1bとを、同一のゲル組成の前記ポリウレタンゲル弾性体で一体に形成したものであって、一方の粘着固定部1bには、超音波診断用探触子の両肩部に掛着される二股状のアーム部1f,1fが延設されている。そして、アーム1f,1fを含めて双方の粘着固定部1b,1bの片面近くには、前記形状保持材1d,1dが埋設されており、該粘着固定部1b,1bの反対面は、前記被覆フィルム1e,1eで被覆されている。
なお、ポリウレタンゲル弾性体、形状保持材1d、被覆フィルム1eについては、前記実施形態の装着用スペーサー1のところで詳細に説明したので、説明を省略する。
この装着用スペーサー10は、次の要領で超音波診断用探触子に装着される。即ち、図7,図8に示すように、中央の探触子先端被覆部1aを超音波診断用探触子2の先端2aに密接させて該先端2aを被覆し、粘着固定部1b,1bの被覆フィルム1e,1eを外側に向けて、アーム部1f,1fがない方の粘着固定部1bを探触子2の形状に追従させて曲げながら超音波診断用探触子2の前後いずれか片面に粘着固定する。そして、アーム部1f,1fがある方の粘着固定部1bを探触子2の形状に追従させて曲げながら超音波診断用探触子2の反対面に粘着固定すると共に、二股状のアーム部1f,1fを探触子2の両肩部2c,2cに掛着させて粘着固定し、更にアーム部1f,1fの先端部を上記アーム部がない方の粘着固定部1bに重ねて粘着固定することにより、超音波診断用探触子2に装着される。
この実施形態の装着用スペーサー10は、前記実施形態の装着用スペーサー1の作用効果に加えて、二股状のアーム部1f,1fを超音波診断用探触子2の両肩部に掛着した状態で装着するため、粘着固定面積が少ない超音波診断用探触子2に対しても位置ズレを生じることなく装着できるという効果が得られる。
本発明に係る超音波診断用探触子2は、図3,図4,図7,図8に示すように、専用の取付け部材を使用しないで、薄肉化した装着用スペーサー1又は10の探触子先端被覆部1aで探触子の先端2aを被覆すると共に、該スペーサー1又は10の粘着固定部1b,1b(突出部1c,1c又はアーム部1f,1fを含めた粘着固定部)を探触子の外面にゲル弾性体の粘着力で粘着固定したものであるから、体表に押し当てたときにシコリのような圧迫感を与えることがなく、10MHz以上の高周波数の超音波を発振して体表に近い部位の血流状態や生体組織の状態を診断する場合でも、良好な超音波診断画像を得て正確に観察、診断することができる。
次に、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
[装着用スペーサーの試作]
ポリオール成分であるエチレングリコールプロピレングリコールランダム共重合体(モル比1:1、Mw=2000)100部(質量部、以下同様)に対し、ポリイソシアネート成分として、グリセリンにエチレングリコールプロピレングリコールランダム共重合体(モル比1:1)を付加してこれにヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得たポリエーテルポリオールをセグメントに有するトリイソシアネート(Mw=3100)を、それぞれ表1に示すように35部、40部、42部、60部、70部、75部混合すると共に、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.1部混合してよく攪拌し、6種類の材料混合液を調製した。
成形型の内底面に、形状保持材として合成樹脂繊維の不織布(デュポン(株)製のソンタラ♯8005)を所定の間隔をあけて敷設し、それぞれの材料混合液を成形型に5mmの厚みとなるように注入して60℃で24時間反応させた後、成形型からポリウレタンゲル弾性体を取出して、その上に被覆フィルムとして厚さ10μmのポリエチレンフィルムを被着し、これを図1に示すスペーサー形状に打ち抜くことによって、ポリオール成分に対するポリイソシアネート成分の比率が異なる厚さ5mmの6種類の装着用スペーサー(No.1〜No.6)を試作した。
[超音波診断用探触子への追従性試験]
超音波診断用探触子(東芝メディカルシステムズ(株)製、品番PLT−805AT)を用いて、この探触子に対する前記6種類の装着用スペーサー(No.1〜No.6)の追従性を以下の要領で調べた。
即ち、各装着用スペーサーの探触子先端被覆部で上記探触子の先端を被覆すると共に、各装着用スペーサーを上記探触子の形状に沿って曲げながら各装着用スペーサーの粘着固定部を上記探触子の前後両面に粘着させ、各装着用スペーサーが上記探触子の形状通りに追従して曲げ変形するかどうか、各装着用スペーサーが上記探触子から剥がれないかどうかを調べた。そして、上記探触子に問題なく追従して曲げ変形しながら粘着固定され、時間が経過しても上記探触子から剥がれないものを「〇」で表し、上記探触子に追従して曲げ変形しながら粘着固定されるが、経時的に剥がれそうになるものを「△」で表し、上記探触子に追従させて曲げ変形させても粘着固定されずに剥がれるものを「×」で表して、各装着用スペーサーの追従性の評価を下記表1に示した。
[超音波診断用探触子への着脱性試験]
前記探触子に対して、前記6種類の装着用スペーサー(No.1〜No.6)の装着作業と剥脱作業を10回繰り返して行い、着脱性を良否を調べた。
そして、装着作業と剥脱作業を10回とも問題なく行えるものを「◎」で表し、装着作業と剥脱作業を10回とも問題なく行えるが、やや剥がしにくいものを「〇」で表し、普通に探触子から剥がそうとする破断の恐れがあるためゆっくり剥がす必要があるものを「△」で表し、探触子から剥がそうとすると破断するものを「×」で表して、各装着用スペーサーの着脱性の評価を下記表1に併せて示した。
[使用時の装着用スペーサーのずれ試験]
前記探触子に前記6種類の装着用スペーサー(No.1〜No.6)をそれぞれ装着し、体表に押し当てながら5cm程度の距離を10往復させた後の、装着用スペーサーのずれの有無を観察した。そして、ずれが生じないものを「〇」で表し、ずれが生じるものを「×」で表して、各装着用スペーサーのずれの有無を下記表1に併せて示した。
Figure 2012176180
この表1から、ポリオール成分に対するポリイソシアネート成分の配合量が多くなるほど、装着用スペーサーを構成するポリウレタンゲル弾性体の硬さが増して超音波診断用探触子への追従性が低下することが判る。そして、ポリオール成分に対するポリイソシアネート成分の配合量が少なくなるほど、装着用スペーサーを構成するポリウレタンゲル弾性体の粘着性が増して超音波診断用探触子への着脱性、特に剥脱作業がし辛くなることが判る。
ポリオール成分100部に対するポリイソシアネート成分の配合量が35〜75部の範囲では、使用時のスペーサーのずれが生じないため、使用に支障を来すことはないが、ポリイソシアネート成分の配合量が35部のスペーサーNo.1は、粘着性が過剰であるため剥脱作業が困難であり、また、ポリイソシアネート成分の配合量が75部のスペーサーNo.6は、超音波探触子への追従性に欠け、剥がれないように粘着固定することが困難であるので、装着用スペーサーに適したポリウレタンゲル弾性体のゲル組成は、ポリオール成分100部に対しポリイソシアネート成分が40〜70部の範囲内であることが判る。
その中でも、ポリオール成分100部に対しポリイソシアネート成分を42〜70部配合して反応させたポリウレタンゲル弾性体からなるスペーサーNo.3〜No.5は、追従性及び着脱性が良好であり、更に、ポリオール成分100部に対してポリイソシアネート成分を60〜70部配合して反応させたスペーサーNo.4、No.5は、特に着脱性が極めて良好である。従って、装着用スペーサーを構成するポリウレタンゲル弾性体の好ましいゲル組成は、ポリオール成分100部に対しポリイソシアネート成分が42〜70部の範囲内であり、更に好ましいゲル組成は、ポリオール成分100部に対しポリイソシアネート成分が60〜70部の範囲内であると言える。
[厚みが異なる装着用スペーサーの追従性試験]
ポリオール成分であるエチレングリコールプロピレングリコールランダム共重合体(モル比1:1、Mw=2000)100部に対し、ポリイソシアネート成分として、グリセリンにエチレングリコールプロピレングリコールランダム共重合体(モル比1:1)を付加してこれにヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得たポリエーテルポリオールをセグメントに有するトリイソシアネート(Mw=3100)を50部混合すると共に、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.1部混合してよく攪拌し、材料混合液を調製した。
成形型に、上記材料混合液をそれぞれ下記表2に示すように0.1mm、1mm、3mm、5mm、10mm、15mmの厚さに注入し、60℃で24時間反応させた後、成形型からポリウレタンゲル弾性体を取出して、これを図1に示すスペーサー形状に打ち抜くことにより、形状保持材と被覆フィルムがない厚さの異なる6種類のスペーサーを試作した。
これらのスペーサーについて、前述した超音波診断用探触子への追従性試験と同様にして追従性を調べ、同様に「〇」、「△」、「×」で評価した。
下記の表2に、スペーサーの厚さと評価を記載する。
Figure 2012176180
この表2から、厚さ0.1〜15mmの範囲にあるポリウレタンゲル弾性体からなるスペーサーはいずれも評価が「〇」又は「△」であって、超音波診断用探触子への追従性を有し、剥がれないように装着できるものであることが判る。そして、厚さが薄くなるほど、スペーサーの追従性が向上することが判る。
その中でも、厚さが10mm以下のスペーサーは、前述したように10MHz以上の高周波数の超音波診断用探触子に装着して、体表近くの生体組織の良好な超音波診断画像を得ることが可能であり、特に、5mm以下のスペーサーは、追従性が「〇」で、探触子の凹凸外面に追従して曲げ変形し、密接状態で剥がれないように粘着固定できるものである。このことから、装着用スペーサーに適する厚さは0.1〜15mmであり、好ましい厚さは0.1〜10mmであり、更に好ましい厚さは0.1〜5mmであると言える。
1,10 装着用スペーサー
1a 探触子先端被覆部
1b 粘着固定部
1c 突出部
1d 形状保持材
1e 被覆フィルム
1f アーム部
2 超音波診断用探触子
2a 探触子の先端
2b 探触子のネック部
2c 探触子の両肩部

Claims (5)

  1. 超音波診断用探触子に装着され、体表との間に介在されて使用される装着用スペーサーであって、該スペーサーは粘着性を有するゲル弾性体からなり、探触子の先端を被覆する探触子先端被覆部と、この探触子先端被覆部の両側に連設され且つ探触子の外面に粘着固定される粘着固定部とを備えていることを特徴とする超音波診断用探触子の装着用スペーサー。
  2. 探触子先端被覆部と粘着固定部が同一のゲル弾性体で一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断用探触子の装着用スペーサー。
  3. 粘着固定部が形状保持材を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断用探触子の装着用スペーサー。
  4. 形状保持材が粘着固定部に埋設されていることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断用探触子の装着用スペーサー。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載された装着用スペーサーの探触子先端被覆部で探触子の先端を被覆すると共に、該装着用スペーサーの粘着固定部を探触子の外面に粘着固定して、該装着用スペーサーを装着したことを特徴とする超音波診断用探触子。
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