JP3885662B2 - 生体用電極材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医療分野等で使用される生体用電極材に関し、詳しくは心電図、脳波図、低周波治療器等の分野に適用されるイオン導電性粘着剤を用いた生体用電極材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、導電性を有する粘着剤としては数多くの研究がなされており、例えば粘着剤に金属微粉末、炭素繊維、炭素粉末、金属塩等の導電性固体を添加し、導電効果をもたらしたものが存在する。しかし、この方法では導電性固体の含有率をかなり高くしないと導電性が発現しない。その結果、導電性固体を含有しない粘着剤自体の粘着物性とは異なる粘着物性を呈するという問題があった。
また、ポリヒドロキシエチルメタクリレート等に水を吸わせることによりヒドロゲルとし、導電性を付与したものがあるが、経時で粘着剤から水分が蒸発することによって導電性が消失したり、アクリルの残留モノマーの臭気や皮膚刺激性等が問題となっていた。
【0003】
また、生体用電極材としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金等の導電性の高い金属が使用されていた。しかし、このような金属は皮膚との密着性が悪く、皮膚からの微弱電流等の検知が不十分であるため、導電性のジェル、クリーム等を塗布して皮膚との密着性を確保し、さらにサージカルテープ等で固定する必要があり、煩雑であった。さらに、このようにジェル等を塗布すると、使用後に拭き取る必要があり、充分に除去できないで残るといった問題もあった。
【0004】
そこで、導電性のジェルを塗布する必要のない様々な電極材が、研究・開発された。しかし、生体、特に人体の皮膚に対する密着性、ヌレ性の点で不十分なものが多く、さらなる改良が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の電極材のように導電性ジェルを塗布する必要がなく、さらには従来の導電性粘着剤では不十分であった人体の皮膚に対する密着性、ヌレ性が良好であり、導電性粘着剤としての機能が長時間持続するイオン導電性粘着剤を用いてなる生体用電極材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ポリウレタン樹脂の樹脂組成や反応方法、硬化剤、添加剤、さらには生体用電極材の積層方法等を種々検討した結果、ウレタン樹脂粘着剤組成中に長鎖脂肪酸エステルを導入することにより、人体の皮膚に対する密着性、ヌレ性が良好なイオン導電性粘着剤が形成され得ること、及び該粘着剤が生体用電極材として好適であることを見出した。
【0007】
即ち、第1の発明は、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)を反応せしめてなるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤と、イオン化合物の通過性を有するシートとが積層されてなることを特徴とする生体用電極材である。
【0008】
第2の発明は、3官能のイソシアネート化合物(b)が、ビュレット体であることを特徴とする第1発明記載の生体用電極材である。
【0009】
第3の発明は、ポリオール成分(a1)中のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖及びプロピレンオキサイド鎖であることを特徴とする第1発明又は第2発明記載の生体用電極材である。
【0010】
第4の発明は、エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖との重量比が、EO/PO=10/90〜50/50であることを特徴とする第3発明記載の生体用電極材である。
【0011】
第5の発明は、単官能アルコール成分(a2)のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖であることを特徴とする第1発明ないし第4発明いずれか記載の生体用電極材である。
【0012】
第6の発明は、イオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなることを特徴とする第1ないし第5の発明のいずれか記載の生体用電極材である。
【0013】
第7の発明は、イオン導電性粘着剤の一方の面に、粘着性のない導電性シートがさらに積層されてなることを特徴とする第6の発明に記載の生体用電極材である。
【0014】
第8の発明は、 剥離性シートの上に、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分と、
ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と3官能のイソシアネート化合物(b)との反応物であるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1の層を前記剥離性シート上に形成し、
該第1層の上に、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、
該イオン化合物通過性シートの上に、前記第1の成分と前記第2の成分と前記3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、前記第1の層と同様にポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第2の層を形成することを特徴とする、
イオン化合物通過性シートの両面に、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材の製造方法である。
【0015】
第9の発明は、粘着性のない導電性シート上に、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分と、
ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)との反応物であるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1の層を形成し、
該第1層の上に、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、
該イオン化合物通過性シートの上に、前記第1の成分と前記第2の成分と前記3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、前記第1の層の場合と同様にポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第2の層を形成することを特徴とする、
イオン化合物通過性シートの両面に、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤が積層され、一方のイオン導電性粘着剤に粘着性のない導電性シートが積層されてなる生体用電極材の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の生体用電極材は、イオン導電性粘着剤とイオン化合物の通過性を有するシートから構成され、さらに通電のための電極板やリード線等を取り付けて医療現場での使用に供される。電極板としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金等の導電性の高い金属が好適に用いることができる。
本発明の生体用電極材の様々な実施形態のうち、電極板を取り付けた場合について、図面に基づいて、説明する。
図1は、イオン化合物の通過性を有するシートが、電極板と粘着剤層との間に、
図2は、イオン化合物の通過性を有するシートが、人体の皮膚と粘着剤層との間に、
図3は、イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の両側に、
図4は、イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の中間部分に、それぞれ位置する態様を示す。
後述するイオン導電性粘着剤は、その目的から皮膚に対して良好な密着性、ヌレ性を有することが必要であり、そのためには非常に柔らかいことが要求され、物理的な力が加わると変形しやすい。そこで、皮膚に対する密着性、ヌレ性を確保しつつ、生体用電極材としては、変形を抑制し形状を保つために、一種の補強材としてイオン化合物の通過性を有するシートを積層する必要がある。従って、その強度保持の効率の点で、中央部に積層させた図4の形態が好ましい。
さらに図4の場合、皮膚に接触する側の粘着剤の表面にさらに粘着性を有しない導電性シートを積層することが好ましい。
【0017】
まず、イオン導電性粘着剤について説明する。
イオン導電性粘着剤は、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する。
【0018】
ポリウレタン(A)の形成に用いられるアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)としては、公知のポリエーテルポリオール、公知のポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応物で末端が水酸基であるもの等を挙げることができる。
【0019】
本発明で用いられる公知のポリエーテルポリオールとしては、メチレンオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖(EO)、プロピレンオキサイド鎖(PO)、ブチレンオキサイド鎖等のアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造をそれぞれ単独で、あるいは2種類以上有するものが使用でき、エチレンオキサイド鎖(EO)とプロピレンオキサイド鎖(PO)の両方を有するものが好ましい。
【0020】
ポリエーテルポリオール中のアルキレンオキサイド鎖部分、特にエチレンオキサイド鎖部分は、後述するイオン化合物(B)と錯体(複合体)を形成し、電位を与えるとイオン導電性が発現し、粘着剤中を電流が流れる。その導電性は、体積固有抵抗103〜107Ω・cm-1程度であることが好ましい。
PO鎖だけだとイオン化合物(B)による導電性が発現しにくくなるので、導電性の観点からは、PO鎖は少ない方が好ましい。しかし、反面EO鎖のみだと生成するイオン導電性粘着剤が硬くなる傾向にあり、人体の皮膚に対する密着性が確保しにくくなる。そこで、EO鎖とPO鎖の重量比は、EO/PO=10/90〜50/50であることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられるポリエーテルポリオールは、直線状であってもよく、あるいは一部分岐構造を有していてもよく、一部分岐構造を有するものを使用することが好ましい。
また、ポリエーテルポリオールとしては、数平均分子量が500〜5,000程度の比較的低分子量領域において常温で液体のものを使用することが好ましい。このようなポリエーテルポリオールを使用すると、密着性、ヌレ性に優れる粘着剤が得られる。比較的高分子量の粘調な液体ないし固体のポリエーテルポリオールを用いると、3官能イソシアネート化合物(b)を反応させた生成物の粘着性が低下するので好ましくない。
【0022】
本発明に用いるアルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)としては、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられ、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、イオン化合物(B)を溶解し、導電性の発現、向上の機能を担う。ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、ポリエーテルポリオール(a1)由来のアルキレンオキサイド鎖の結晶性を低下させ、粘着剤において一種の可塑剤としての役割を果たし、イオン化合物(B)を吸収するエリアが増加し、導電性がより一層向上する。
【0023】
ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、テトラエチレングリコールモノアルキルエーテルやエチレングリコール部分の繰り返し単位が5つ以上のモノアルキルエーテルが挙げられる。
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が、
トリエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
テトラエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
上記した種々のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、それぞれ単独で、又は複数をあわせて用いることができる。
【0024】
本発明に用いられるジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)としては、公知のジイソシアネート化合物から形成されるトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体を使用することができる。
【0025】
3官能のイソシアネート化合物(b)の形成に供される公知のジイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等を挙げることができる。
【0027】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0028】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0029】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0030】
本発明に用いられる3官能のポリイソシアネート化合物(b)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等のジイソシアネートから形成されたビュレット体が好ましい。
【0031】
本発明に用いられるイオン化合物(B)としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩素酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、アルギン酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダ、トルエンスルホン酸ソーダ等の有機塩類が挙げられる。これらは単独もしくは混合して使用することができる。人体に使用する場合は安全性等の観点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、過塩素酸リチウム等が好ましい。
【0032】
本発明に用いる炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)としては、炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルや、
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸と4価以下のアルコールとのアルコールのエステルが、好適に用いられる。
炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有しないと、皮膚に対する密着性、ヌレ性が悪い。また、脂肪酸エステルとして炭素数の短いものを用いると、脂肪酸エステルが被着体たる皮膚に移行し易く、脂肪酸エステルの移行に伴って粘着剤も被着体に移行し易くなる。
【0033】
炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルとしては、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリト酸トリオレイル、トリメリト酸トリイソセチル等が挙げられ、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。
【0034】
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸としては、例えばミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸又はイソステアリン酸等が挙げられる。
又、4価以下のアルコールとしては、具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビタン等が挙げられる。
【0035】
本発明の生体用電極材を構成するイオン導電性粘着剤におけるポリウレタン(A)は、ポリオール成分(a1)、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)、及びジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)を必須成分として反応せしめてなるものであり、3成分の合計100重量%中にポリオール成分(a1)を30〜90重量%、単官能アルコール成分(a2)を5〜50重量%、3官能イソシアネート化合物(b)を5〜40重量%含有することが好ましく、ポリオール成分(a1)を50〜80重量%、単官能アルコール成分(a2)を10〜40重量%、3官能イソシアネート化合物(b)を10〜30重量%含有することがより好ましい。
【0036】
ポリオール成分(a1)が30重量%未満だと粘着剤としての物性の発現が困難であり、90重量%を越えると他の必須成分の含有量が小さくなり、本発明の効果があまり期待できない。
単官能アルコール成分(a2)が5重量%未満だと可塑剤としての効果が得られず、50重量%を越えると粘着剤が柔らかくなりすぎて凝集力が不足しやすい。
3官能イソシアネート化合物(b)が5重量%未満だとポリウレタンの架橋密度が小さくなり凝集力が不足しやすく、40重量%を越えると架橋密度が大きくなりすぎて粘着剤としての機能が発現しにくくなる。
【0037】
本発明の生体用電極材を構成するイオン導電性粘着剤は、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を必須成分として含有するものであり、3成分の合計100重量%中にポリウレタン(A)を50〜95重量%、イオン化合物(B)を0.5〜50重量%、長鎖脂肪酸エステル(C)を0.5〜50重量%含有することが好ましく、ポリウレタン(A)を70〜95重量%、イオン化合物(B)を1〜20重量%、長鎖脂肪酸エステル(C)を5〜30重量%含有することがより好ましい。
ポリウレタン(A)が、50重量%未満では粘着剤としての物性の発現が困難であり、95重量%を越えると他の必須成分の含有量が小さくなり、導電性、密着性、ヌレ性等の効果が期待できにくい。
イオン化合物(B)が、0.5重量%未満では導電性がほとんど発現せず、50重量%を越えると溶解性が悪くなり、イオン化合物としての効果が期待できない。
長鎖脂肪酸エステル(C)が0.5重量%未満では密着性、ヌレ性の効果があまり得られず、50重量%を越えると導電性粘着剤が柔らかくなりすぎて、凝集力が不足しやすい。
【0038】
イオン導電性粘着剤を得る際には、必要に応じてポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)とを反応せしめるための触媒を用いることができる。反応、硬化速度のコントロールがし易いので、触媒を用いる方が好ましい。
【0039】
本発明に用いられる触媒としては公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
【0040】
3級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、DBU等が挙げられる。
【0041】
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0042】
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0043】
本発明に用いられる触媒としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が好ましく、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0044】
次に本発明の生体用電極材を構成するもう1つの材料、イオン化合物の通過性を有するシートについて説明する。
イオン化合物の通過性を有するシートは、上述したように変形し易いイオン導電性粘着剤に対する一種の補強材として機能し、生体用電極材としての変形を抑制し形状を保つ機能を担う。
イオン化合物の通過性を有するシートとしては、液状成分が浸透しやすいシート、或いは液状成分が浸透しないシートのいずれも使用できる。
【0045】
前者、即ち液状成分が浸透しやすいシートの場合は、上記したイオン導電性粘着剤を形成するための各成分該素材に浸透しつつ、ポリウレタン(A)が形成されるので、その結果イオン化合物が移動し得るようになる。
液状成分が浸透しやすいシートとしては、布、紙、不織布等の挙げられる。
【0046】
後者、即ち液状成分が浸透しないシートの場合は、シートに物理的に穴、メッシュ加工等の工夫をすることにより、イオン化合物の移動、通過が確保できる。
液状成分が浸透しないシートとしては、プラスチックフィルム、発泡体等が挙げられ、プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、処理ポリオレフィンフィルム、未処理ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
【0047】
本発明の生体用電極材においては、加工のしやすさ、扱いやすさの点から、イオン化合物の通過性を有するシートとしては、液状成分が浸透しやすい布、不織布等を用いることが好ましい。
また、液状成分が浸透しないシートで適度な導電性を有するものは、上記のような加工をすることなく、そのままの状態で用いることができる。
【0048】
本発明の生体用電極材としては、様々な態様があり、図4に示すようにイオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなるものが好ましく、さらに図5に示すように皮膚に接触する側の粘着剤の表面にさらに粘着性を有しない導電性シートを積層することができる。
【0049】
ところで、心電図を簡易的に測定する場合、電極材を胸部に密着させる時間は数秒〜数分であり、このように生体電気信号の測定が短時間で終わる場合には、従来のような強粘着タイプは好ましくない。即ち、強粘着タイプは、剥離に大きな力を加える必要があるので測定の際に不要な労力を要するばかりでなく、剥離の影響で粘着層が変形し易く、剥離後、再度貼着し使用することが困難となってしまう。
そこで、生体電気信号の測定が短時間で終わる場合、皮膚に対する密着性、ヌレ性(凹凸緩和性)が十分確保できれば、電極材を粘着力で皮膚に付着させる必要はなく、むしろ電極材を皮膚に押し当てるだけで測定できることが好ましい。
このような場合には、粘着性を有しない導電性シート/イオン導電性粘着剤/イオン化合物の通過性を有するシート/イオン導電性粘着剤が積層されてなる状態の生体用電極材が好ましい。
【0050】
本発明の生体用電極材は、イオン導電性粘着剤層が非常に柔軟な性質を有するため、粘着性のない導電性シートはある程度伸張性を有する必要がある。粘着性のない導電性シートの伸張性が不足すると、粘着層との間にシワ及び歪みが発生し、本発明の導電性の確保に障害が生じる可能性がある。
よって、粘着性のない導電性シートとしては、粘着剤層を形成する樹脂組成物と同じ組成で、硬化剤として使用している3官能のイソシアネート化合物(b)を増量し、タック(ベタツキ)を無くしたもの、あるいは、他のウレタン系樹脂で導電性を有するもの等が好ましい。
その粘着性のない導電性シートの厚さは1μ〜20μが好ましい。さらに好ましくは2μ〜10μである。厚さが1μ未満では、その作成自体が非常に困難で、厚さにバラツキが生じやすく、20μを越えると粘着層の柔らかさから起因する凹凸緩和性が反映しにくい。
【0051】
次に本発明の生体用電極材のうち、図4に示すようにイオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材の製造方法について説明する。
剥離性シート上に、第1のイオン導電性粘着剤の層を形成し得る、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する組成物を塗布し、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、次いで第2のイオン導電性粘着剤の層を形成し得る、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する組成物を塗布し、ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)とジイソシアネート化合物との反応を完了させればよい。
【0052】
この場合、イオン化合物の通過性を有するシートは、第1の層の反応が完了してから積層することもできるし、第1の層の反応がある程度進行してから積層することもできるし、あるいは第1の層の反応がほとんど進行しないうちに積層することもできる。イオン化合物の通過性を有するシートが第1の層に沈み込み過ぎず、イオン化合物の通過性を有するシートを介して第1の層と第2の層とを十分に一体化するという観点から、第1の層の反応がある程度進行してからイオン化合物の通過性を有するシートを積層することが好ましい。
具体的は、第1の層の水酸基とイソシアネート基との反応が、50%程度以上進行した時点で、イオン化合物の通過性を有するシートを積層することが好ましい。反応率は、IRスペクトルのイソシアネート基の残存量から求めることができる。
【0053】
第1及び第2のイオン導電性粘着剤の層を形成するには、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を一括で仕込み、剥離シート上に又はイオン化合物通過性シート上に塗布し、水酸基とイソシアネートとを反応させることも場合によっては可能であるが、イオン化合物(B)の溶解性、ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)とイソシアネート化合物(C)との反応を考慮して、下記のような方法で製造することが好ましい。
即ち、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
別途アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分を用意し、単官能アルコール成分(a2)にイオン化合物(B)を十分溶解し、
第1の成分と第2の成分とを混合し、
次いでジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)を混合し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)とを反応せしめてポリウレタン(A)を形成し、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤とすることが好ましい。
【0054】
イオン導電性粘着剤には、必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。また、用途に応じて、粘着付与剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を配合しても良い。
【0055】
イオン導電性粘着剤の積層ないし含浸量は、200〜2,000μmが好ましい。200μm未満だと人体の皮膚に対する密着性、具体的には凹凸緩和性が乏しくなり、2,000μmを越えると粘着剤の製造、電極材としての取り扱いが難しくなる。
【0056】
尚、本発明でいう剥離性シートは、電極材を製造する際に用いられるものであり、電極板等を取り付けるまで電極材を保護する機能をも担うものであるが、最終的な電極材から除去されるものである。
剥離性シートとしては、公知のフィルム、紙基材等に剥離処理を施したものを使用することができる。本発明の剥離性シートとしては、粘着剤表面の凹凸が少なくなるフィルム系の剥離シートが好ましい。
【0057】
次に本発明の生体用電極材のうち、図5に示すように、イオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材であって、イオン導電性粘着剤の一方の面に粘着性を有しない導電性シートが積層されてなる形態の生体用電極材の製造方法について説明する。このような生体用電極材の製造方法としては、下記(1)〜(2)の方法が挙げられ、(2)の方法が好ましい。
(1) 上記したように、剥離性シートに、第1のイオン導電性粘着剤の層/イオン化合物通過性シート/第2のイオン導電性粘着剤の層を順次積層し、次いで第2のイオン導電性粘着剤の層に粘着性を有しない導電性シートを積層する。
(2) 粘着性を有しない導電性シート上に、イオン導電性粘着剤の層/イオン化合物通過性シート/イオン導電性粘着剤の層を順次積層する。
【0058】
尚、(2)の方法の場合も、図4に示す生体用電極材を製造する場合と同様に、両粘着剤層の反応がある程度進行してからイオン化合物の通過性を有するシートを積層することが好ましい。
また、両粘着剤用の組成物は、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を一気に混合するよりも、イオン化合物(B)の溶解性、ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)とイソシアネート化合物(b)との反応を考慮して、ポリオール成分(a1)と長鎖脂肪酸エステル(C)とを含有する第1の成分、単官能アルコール成分(a2)とイオン化合物(B)とを含有する第2の成分をそれぞれ用意しておき、第1の成分と第2の成分を混合した後に、イソシアネート化合物(b)を加えることが好ましい。
【0059】
【実施例】
【実施例1】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールG−3000B(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、PO鎖100重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
得られた電極材を下記に示す方法に従って、密着性、ヌレ性、再剥離性、導電性の試験を行った。
【0060】
<密着性>
片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着し、次いで反対の粘着剤面を上腕の皮膚に軽く押し当て、地面と垂直に放置した状態で、
半永久的に付いているもの ○
数秒〜数分で剥がれ落ちるもの △
ほとんど付かないもの ×
として評価した。
【0061】
<ヌレ性>
片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着し、次いで反対の粘着剤面を指先で軽く押さえ、離した直後、
ハッキリと指紋がしばらく残っているもの ○
指紋が殆ど残らないもの △
全く変化のないもの ×
として、「ヌレ性」即ち「凹凸緩和性」を評価した。
【0062】
<再剥離性>
片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着し、次いで反対の粘着剤面を厚さ0.4mmのステンレス板(SUS304)に貼着した後、40℃で1日放置し、23℃−65%RHに冷却した後、剥離し、糊残り性を目視で評価した。剥離後、
ステンレス板への糊移行が全くないもの ○
部分的にあるもの △
完全に移行しているもの ×
として、「再剥離性」即ち「糊移行性」を評価した。尚、皮膚ではなく被着体としてステンレス板を用いたのは、ステンレス板表面の光沢の変化等から糊の移行し易さ・し難さを評価しやすいからである。
【0063】
<導電性>
市販のポータブル心電図モニタ(フクダ電子株式会社製、PHV−100)の電極部位に作成した電極材を貼付し、胸部に軽く押し当てて心電図の波形を目視で評価した。波形が
シャープに波形が描かれるもの ○
ノイズが大きくベースラインが乱れるもの △
全く記録できないもの ×
として評価した。
【0064】
以下に示す実施例2〜5、比較例1〜3も実施例1と同様に、得られた電極材を評価した。
【実施例2】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0065】
【実施例3】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3300(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能イソシアヌレート体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0066】
【実施例4】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)12g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)7gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0067】
【実施例5】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、塩化ナトリウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0068】
【実施例6】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、その上にポリエステル不織布を固定し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、ポリエステル不織布上に、膜厚が1mmになるように、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0069】
【比較例1】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0070】
【比較例2】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5gからなる第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0071】
【比較例3】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、カプリル酸メチル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0072】
【表1】
【0073】
以上のように本発明の電極材は、被着体に対する密着性、ヌレ性、再剥離性、導電性に優れていることが分かる。
これに対して、比較例1に示した電極材は、長鎖脂肪酸エステルが含まれていないため、再剥離性は良好だが、密着性、ヌレ性が不足している。比較例2に示したイオン化合物が含まれていないため、再剥離性は良好だが、導電性が全くない。比較例3に示した電極材は、炭素数が10未満の長鎖脂肪酸エステルを用いているため、ヌレ性、導電性は良好だが、再剥離性が不足している。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分、3官能イソシアネート成分、イオン化合物、炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル含有するイオン導電性粘着剤を用いることによって、密着性、ヌレ性、再剥離性が良好な生体用電極材が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】:イオン化合物の通過性を有するシートが、電極板と粘着剤層との間に位置する態様の生体用電極材。
【図2】:イオン化合物の通過性を有するシートが、人体の皮膚と粘着剤層との間に位置する態様の生体用電極材。
【図3】:イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の両側にとの間に位置する態様の生体用電極材。
【図4】:イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の中間部分に位置する態様の生体用電極材。
【図5】:イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の中間部分に位置し、人体の皮膚と粘着剤層との間に粘着性を有しない導電性シートが位置する態様の生体用電極材。
【符号の説明】
1:イオン導電性粘着剤
2:イオン化合物の通過性を有するシート
3:電極板
4:人体の皮膚
5:粘着性を有しない導電性シート
6:生体電極材
【発明の属する技術分野】
本発明は医療分野等で使用される生体用電極材に関し、詳しくは心電図、脳波図、低周波治療器等の分野に適用されるイオン導電性粘着剤を用いた生体用電極材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、導電性を有する粘着剤としては数多くの研究がなされており、例えば粘着剤に金属微粉末、炭素繊維、炭素粉末、金属塩等の導電性固体を添加し、導電効果をもたらしたものが存在する。しかし、この方法では導電性固体の含有率をかなり高くしないと導電性が発現しない。その結果、導電性固体を含有しない粘着剤自体の粘着物性とは異なる粘着物性を呈するという問題があった。
また、ポリヒドロキシエチルメタクリレート等に水を吸わせることによりヒドロゲルとし、導電性を付与したものがあるが、経時で粘着剤から水分が蒸発することによって導電性が消失したり、アクリルの残留モノマーの臭気や皮膚刺激性等が問題となっていた。
【0003】
また、生体用電極材としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金等の導電性の高い金属が使用されていた。しかし、このような金属は皮膚との密着性が悪く、皮膚からの微弱電流等の検知が不十分であるため、導電性のジェル、クリーム等を塗布して皮膚との密着性を確保し、さらにサージカルテープ等で固定する必要があり、煩雑であった。さらに、このようにジェル等を塗布すると、使用後に拭き取る必要があり、充分に除去できないで残るといった問題もあった。
【0004】
そこで、導電性のジェルを塗布する必要のない様々な電極材が、研究・開発された。しかし、生体、特に人体の皮膚に対する密着性、ヌレ性の点で不十分なものが多く、さらなる改良が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の電極材のように導電性ジェルを塗布する必要がなく、さらには従来の導電性粘着剤では不十分であった人体の皮膚に対する密着性、ヌレ性が良好であり、導電性粘着剤としての機能が長時間持続するイオン導電性粘着剤を用いてなる生体用電極材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ポリウレタン樹脂の樹脂組成や反応方法、硬化剤、添加剤、さらには生体用電極材の積層方法等を種々検討した結果、ウレタン樹脂粘着剤組成中に長鎖脂肪酸エステルを導入することにより、人体の皮膚に対する密着性、ヌレ性が良好なイオン導電性粘着剤が形成され得ること、及び該粘着剤が生体用電極材として好適であることを見出した。
【0007】
即ち、第1の発明は、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)を反応せしめてなるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤と、イオン化合物の通過性を有するシートとが積層されてなることを特徴とする生体用電極材である。
【0008】
第2の発明は、3官能のイソシアネート化合物(b)が、ビュレット体であることを特徴とする第1発明記載の生体用電極材である。
【0009】
第3の発明は、ポリオール成分(a1)中のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖及びプロピレンオキサイド鎖であることを特徴とする第1発明又は第2発明記載の生体用電極材である。
【0010】
第4の発明は、エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖との重量比が、EO/PO=10/90〜50/50であることを特徴とする第3発明記載の生体用電極材である。
【0011】
第5の発明は、単官能アルコール成分(a2)のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖であることを特徴とする第1発明ないし第4発明いずれか記載の生体用電極材である。
【0012】
第6の発明は、イオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなることを特徴とする第1ないし第5の発明のいずれか記載の生体用電極材である。
【0013】
第7の発明は、イオン導電性粘着剤の一方の面に、粘着性のない導電性シートがさらに積層されてなることを特徴とする第6の発明に記載の生体用電極材である。
【0014】
第8の発明は、 剥離性シートの上に、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分と、
ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と3官能のイソシアネート化合物(b)との反応物であるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1の層を前記剥離性シート上に形成し、
該第1層の上に、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、
該イオン化合物通過性シートの上に、前記第1の成分と前記第2の成分と前記3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、前記第1の層と同様にポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第2の層を形成することを特徴とする、
イオン化合物通過性シートの両面に、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材の製造方法である。
【0015】
第9の発明は、粘着性のない導電性シート上に、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分と、
ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)との反応物であるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1の層を形成し、
該第1層の上に、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、
該イオン化合物通過性シートの上に、前記第1の成分と前記第2の成分と前記3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、前記第1の層の場合と同様にポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第2の層を形成することを特徴とする、
イオン化合物通過性シートの両面に、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤が積層され、一方のイオン導電性粘着剤に粘着性のない導電性シートが積層されてなる生体用電極材の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の生体用電極材は、イオン導電性粘着剤とイオン化合物の通過性を有するシートから構成され、さらに通電のための電極板やリード線等を取り付けて医療現場での使用に供される。電極板としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金等の導電性の高い金属が好適に用いることができる。
本発明の生体用電極材の様々な実施形態のうち、電極板を取り付けた場合について、図面に基づいて、説明する。
図1は、イオン化合物の通過性を有するシートが、電極板と粘着剤層との間に、
図2は、イオン化合物の通過性を有するシートが、人体の皮膚と粘着剤層との間に、
図3は、イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の両側に、
図4は、イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の中間部分に、それぞれ位置する態様を示す。
後述するイオン導電性粘着剤は、その目的から皮膚に対して良好な密着性、ヌレ性を有することが必要であり、そのためには非常に柔らかいことが要求され、物理的な力が加わると変形しやすい。そこで、皮膚に対する密着性、ヌレ性を確保しつつ、生体用電極材としては、変形を抑制し形状を保つために、一種の補強材としてイオン化合物の通過性を有するシートを積層する必要がある。従って、その強度保持の効率の点で、中央部に積層させた図4の形態が好ましい。
さらに図4の場合、皮膚に接触する側の粘着剤の表面にさらに粘着性を有しない導電性シートを積層することが好ましい。
【0017】
まず、イオン導電性粘着剤について説明する。
イオン導電性粘着剤は、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する。
【0018】
ポリウレタン(A)の形成に用いられるアルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)としては、公知のポリエーテルポリオール、公知のポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応物で末端が水酸基であるもの等を挙げることができる。
【0019】
本発明で用いられる公知のポリエーテルポリオールとしては、メチレンオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖(EO)、プロピレンオキサイド鎖(PO)、ブチレンオキサイド鎖等のアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造をそれぞれ単独で、あるいは2種類以上有するものが使用でき、エチレンオキサイド鎖(EO)とプロピレンオキサイド鎖(PO)の両方を有するものが好ましい。
【0020】
ポリエーテルポリオール中のアルキレンオキサイド鎖部分、特にエチレンオキサイド鎖部分は、後述するイオン化合物(B)と錯体(複合体)を形成し、電位を与えるとイオン導電性が発現し、粘着剤中を電流が流れる。その導電性は、体積固有抵抗103〜107Ω・cm-1程度であることが好ましい。
PO鎖だけだとイオン化合物(B)による導電性が発現しにくくなるので、導電性の観点からは、PO鎖は少ない方が好ましい。しかし、反面EO鎖のみだと生成するイオン導電性粘着剤が硬くなる傾向にあり、人体の皮膚に対する密着性が確保しにくくなる。そこで、EO鎖とPO鎖の重量比は、EO/PO=10/90〜50/50であることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられるポリエーテルポリオールは、直線状であってもよく、あるいは一部分岐構造を有していてもよく、一部分岐構造を有するものを使用することが好ましい。
また、ポリエーテルポリオールとしては、数平均分子量が500〜5,000程度の比較的低分子量領域において常温で液体のものを使用することが好ましい。このようなポリエーテルポリオールを使用すると、密着性、ヌレ性に優れる粘着剤が得られる。比較的高分子量の粘調な液体ないし固体のポリエーテルポリオールを用いると、3官能イソシアネート化合物(b)を反応させた生成物の粘着性が低下するので好ましくない。
【0022】
本発明に用いるアルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)としては、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられ、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、イオン化合物(B)を溶解し、導電性の発現、向上の機能を担う。ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、ポリエーテルポリオール(a1)由来のアルキレンオキサイド鎖の結晶性を低下させ、粘着剤において一種の可塑剤としての役割を果たし、イオン化合物(B)を吸収するエリアが増加し、導電性がより一層向上する。
【0023】
ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、テトラエチレングリコールモノアルキルエーテルやエチレングリコール部分の繰り返し単位が5つ以上のモノアルキルエーテルが挙げられる。
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が、
トリエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
テトラエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
上記した種々のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、それぞれ単独で、又は複数をあわせて用いることができる。
【0024】
本発明に用いられるジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)としては、公知のジイソシアネート化合物から形成されるトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体を使用することができる。
【0025】
3官能のイソシアネート化合物(b)の形成に供される公知のジイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等を挙げることができる。
【0027】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0028】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0029】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0030】
本発明に用いられる3官能のポリイソシアネート化合物(b)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等のジイソシアネートから形成されたビュレット体が好ましい。
【0031】
本発明に用いられるイオン化合物(B)としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩素酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、アルギン酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダ、トルエンスルホン酸ソーダ等の有機塩類が挙げられる。これらは単独もしくは混合して使用することができる。人体に使用する場合は安全性等の観点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、過塩素酸リチウム等が好ましい。
【0032】
本発明に用いる炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)としては、炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルや、
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸と4価以下のアルコールとのアルコールのエステルが、好適に用いられる。
炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有しないと、皮膚に対する密着性、ヌレ性が悪い。また、脂肪酸エステルとして炭素数の短いものを用いると、脂肪酸エステルが被着体たる皮膚に移行し易く、脂肪酸エステルの移行に伴って粘着剤も被着体に移行し易くなる。
【0033】
炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルとしては、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリト酸トリオレイル、トリメリト酸トリイソセチル等が挙げられ、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。
【0034】
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸としては、例えばミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸又はイソステアリン酸等が挙げられる。
又、4価以下のアルコールとしては、具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビタン等が挙げられる。
【0035】
本発明の生体用電極材を構成するイオン導電性粘着剤におけるポリウレタン(A)は、ポリオール成分(a1)、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)、及びジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)を必須成分として反応せしめてなるものであり、3成分の合計100重量%中にポリオール成分(a1)を30〜90重量%、単官能アルコール成分(a2)を5〜50重量%、3官能イソシアネート化合物(b)を5〜40重量%含有することが好ましく、ポリオール成分(a1)を50〜80重量%、単官能アルコール成分(a2)を10〜40重量%、3官能イソシアネート化合物(b)を10〜30重量%含有することがより好ましい。
【0036】
ポリオール成分(a1)が30重量%未満だと粘着剤としての物性の発現が困難であり、90重量%を越えると他の必須成分の含有量が小さくなり、本発明の効果があまり期待できない。
単官能アルコール成分(a2)が5重量%未満だと可塑剤としての効果が得られず、50重量%を越えると粘着剤が柔らかくなりすぎて凝集力が不足しやすい。
3官能イソシアネート化合物(b)が5重量%未満だとポリウレタンの架橋密度が小さくなり凝集力が不足しやすく、40重量%を越えると架橋密度が大きくなりすぎて粘着剤としての機能が発現しにくくなる。
【0037】
本発明の生体用電極材を構成するイオン導電性粘着剤は、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を必須成分として含有するものであり、3成分の合計100重量%中にポリウレタン(A)を50〜95重量%、イオン化合物(B)を0.5〜50重量%、長鎖脂肪酸エステル(C)を0.5〜50重量%含有することが好ましく、ポリウレタン(A)を70〜95重量%、イオン化合物(B)を1〜20重量%、長鎖脂肪酸エステル(C)を5〜30重量%含有することがより好ましい。
ポリウレタン(A)が、50重量%未満では粘着剤としての物性の発現が困難であり、95重量%を越えると他の必須成分の含有量が小さくなり、導電性、密着性、ヌレ性等の効果が期待できにくい。
イオン化合物(B)が、0.5重量%未満では導電性がほとんど発現せず、50重量%を越えると溶解性が悪くなり、イオン化合物としての効果が期待できない。
長鎖脂肪酸エステル(C)が0.5重量%未満では密着性、ヌレ性の効果があまり得られず、50重量%を越えると導電性粘着剤が柔らかくなりすぎて、凝集力が不足しやすい。
【0038】
イオン導電性粘着剤を得る際には、必要に応じてポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)とを反応せしめるための触媒を用いることができる。反応、硬化速度のコントロールがし易いので、触媒を用いる方が好ましい。
【0039】
本発明に用いられる触媒としては公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
【0040】
3級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、DBU等が挙げられる。
【0041】
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0042】
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0043】
本発明に用いられる触媒としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が好ましく、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0044】
次に本発明の生体用電極材を構成するもう1つの材料、イオン化合物の通過性を有するシートについて説明する。
イオン化合物の通過性を有するシートは、上述したように変形し易いイオン導電性粘着剤に対する一種の補強材として機能し、生体用電極材としての変形を抑制し形状を保つ機能を担う。
イオン化合物の通過性を有するシートとしては、液状成分が浸透しやすいシート、或いは液状成分が浸透しないシートのいずれも使用できる。
【0045】
前者、即ち液状成分が浸透しやすいシートの場合は、上記したイオン導電性粘着剤を形成するための各成分該素材に浸透しつつ、ポリウレタン(A)が形成されるので、その結果イオン化合物が移動し得るようになる。
液状成分が浸透しやすいシートとしては、布、紙、不織布等の挙げられる。
【0046】
後者、即ち液状成分が浸透しないシートの場合は、シートに物理的に穴、メッシュ加工等の工夫をすることにより、イオン化合物の移動、通過が確保できる。
液状成分が浸透しないシートとしては、プラスチックフィルム、発泡体等が挙げられ、プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、処理ポリオレフィンフィルム、未処理ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
【0047】
本発明の生体用電極材においては、加工のしやすさ、扱いやすさの点から、イオン化合物の通過性を有するシートとしては、液状成分が浸透しやすい布、不織布等を用いることが好ましい。
また、液状成分が浸透しないシートで適度な導電性を有するものは、上記のような加工をすることなく、そのままの状態で用いることができる。
【0048】
本発明の生体用電極材としては、様々な態様があり、図4に示すようにイオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなるものが好ましく、さらに図5に示すように皮膚に接触する側の粘着剤の表面にさらに粘着性を有しない導電性シートを積層することができる。
【0049】
ところで、心電図を簡易的に測定する場合、電極材を胸部に密着させる時間は数秒〜数分であり、このように生体電気信号の測定が短時間で終わる場合には、従来のような強粘着タイプは好ましくない。即ち、強粘着タイプは、剥離に大きな力を加える必要があるので測定の際に不要な労力を要するばかりでなく、剥離の影響で粘着層が変形し易く、剥離後、再度貼着し使用することが困難となってしまう。
そこで、生体電気信号の測定が短時間で終わる場合、皮膚に対する密着性、ヌレ性(凹凸緩和性)が十分確保できれば、電極材を粘着力で皮膚に付着させる必要はなく、むしろ電極材を皮膚に押し当てるだけで測定できることが好ましい。
このような場合には、粘着性を有しない導電性シート/イオン導電性粘着剤/イオン化合物の通過性を有するシート/イオン導電性粘着剤が積層されてなる状態の生体用電極材が好ましい。
【0050】
本発明の生体用電極材は、イオン導電性粘着剤層が非常に柔軟な性質を有するため、粘着性のない導電性シートはある程度伸張性を有する必要がある。粘着性のない導電性シートの伸張性が不足すると、粘着層との間にシワ及び歪みが発生し、本発明の導電性の確保に障害が生じる可能性がある。
よって、粘着性のない導電性シートとしては、粘着剤層を形成する樹脂組成物と同じ組成で、硬化剤として使用している3官能のイソシアネート化合物(b)を増量し、タック(ベタツキ)を無くしたもの、あるいは、他のウレタン系樹脂で導電性を有するもの等が好ましい。
その粘着性のない導電性シートの厚さは1μ〜20μが好ましい。さらに好ましくは2μ〜10μである。厚さが1μ未満では、その作成自体が非常に困難で、厚さにバラツキが生じやすく、20μを越えると粘着層の柔らかさから起因する凹凸緩和性が反映しにくい。
【0051】
次に本発明の生体用電極材のうち、図4に示すようにイオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材の製造方法について説明する。
剥離性シート上に、第1のイオン導電性粘着剤の層を形成し得る、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する組成物を塗布し、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、次いで第2のイオン導電性粘着剤の層を形成し得る、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する組成物を塗布し、ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)とジイソシアネート化合物との反応を完了させればよい。
【0052】
この場合、イオン化合物の通過性を有するシートは、第1の層の反応が完了してから積層することもできるし、第1の層の反応がある程度進行してから積層することもできるし、あるいは第1の層の反応がほとんど進行しないうちに積層することもできる。イオン化合物の通過性を有するシートが第1の層に沈み込み過ぎず、イオン化合物の通過性を有するシートを介して第1の層と第2の層とを十分に一体化するという観点から、第1の層の反応がある程度進行してからイオン化合物の通過性を有するシートを積層することが好ましい。
具体的は、第1の層の水酸基とイソシアネート基との反応が、50%程度以上進行した時点で、イオン化合物の通過性を有するシートを積層することが好ましい。反応率は、IRスペクトルのイソシアネート基の残存量から求めることができる。
【0053】
第1及び第2のイオン導電性粘着剤の層を形成するには、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を一括で仕込み、剥離シート上に又はイオン化合物通過性シート上に塗布し、水酸基とイソシアネートとを反応させることも場合によっては可能であるが、イオン化合物(B)の溶解性、ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)とイソシアネート化合物(C)との反応を考慮して、下記のような方法で製造することが好ましい。
即ち、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
別途アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分を用意し、単官能アルコール成分(a2)にイオン化合物(B)を十分溶解し、
第1の成分と第2の成分とを混合し、
次いでジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)を混合し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)とを反応せしめてポリウレタン(A)を形成し、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤とすることが好ましい。
【0054】
イオン導電性粘着剤には、必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。また、用途に応じて、粘着付与剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を配合しても良い。
【0055】
イオン導電性粘着剤の積層ないし含浸量は、200〜2,000μmが好ましい。200μm未満だと人体の皮膚に対する密着性、具体的には凹凸緩和性が乏しくなり、2,000μmを越えると粘着剤の製造、電極材としての取り扱いが難しくなる。
【0056】
尚、本発明でいう剥離性シートは、電極材を製造する際に用いられるものであり、電極板等を取り付けるまで電極材を保護する機能をも担うものであるが、最終的な電極材から除去されるものである。
剥離性シートとしては、公知のフィルム、紙基材等に剥離処理を施したものを使用することができる。本発明の剥離性シートとしては、粘着剤表面の凹凸が少なくなるフィルム系の剥離シートが好ましい。
【0057】
次に本発明の生体用電極材のうち、図5に示すように、イオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材であって、イオン導電性粘着剤の一方の面に粘着性を有しない導電性シートが積層されてなる形態の生体用電極材の製造方法について説明する。このような生体用電極材の製造方法としては、下記(1)〜(2)の方法が挙げられ、(2)の方法が好ましい。
(1) 上記したように、剥離性シートに、第1のイオン導電性粘着剤の層/イオン化合物通過性シート/第2のイオン導電性粘着剤の層を順次積層し、次いで第2のイオン導電性粘着剤の層に粘着性を有しない導電性シートを積層する。
(2) 粘着性を有しない導電性シート上に、イオン導電性粘着剤の層/イオン化合物通過性シート/イオン導電性粘着剤の層を順次積層する。
【0058】
尚、(2)の方法の場合も、図4に示す生体用電極材を製造する場合と同様に、両粘着剤層の反応がある程度進行してからイオン化合物の通過性を有するシートを積層することが好ましい。
また、両粘着剤用の組成物は、ポリオール成分(a1)、単官能アルコール成分(a2)、ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を一気に混合するよりも、イオン化合物(B)の溶解性、ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)とイソシアネート化合物(b)との反応を考慮して、ポリオール成分(a1)と長鎖脂肪酸エステル(C)とを含有する第1の成分、単官能アルコール成分(a2)とイオン化合物(B)とを含有する第2の成分をそれぞれ用意しておき、第1の成分と第2の成分を混合した後に、イソシアネート化合物(b)を加えることが好ましい。
【0059】
【実施例】
【実施例1】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールG−3000B(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、PO鎖100重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
得られた電極材を下記に示す方法に従って、密着性、ヌレ性、再剥離性、導電性の試験を行った。
【0060】
<密着性>
片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着し、次いで反対の粘着剤面を上腕の皮膚に軽く押し当て、地面と垂直に放置した状態で、
半永久的に付いているもの ○
数秒〜数分で剥がれ落ちるもの △
ほとんど付かないもの ×
として評価した。
【0061】
<ヌレ性>
片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着し、次いで反対の粘着剤面を指先で軽く押さえ、離した直後、
ハッキリと指紋がしばらく残っているもの ○
指紋が殆ど残らないもの △
全く変化のないもの ×
として、「ヌレ性」即ち「凹凸緩和性」を評価した。
【0062】
<再剥離性>
片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼着し、次いで反対の粘着剤面を厚さ0.4mmのステンレス板(SUS304)に貼着した後、40℃で1日放置し、23℃−65%RHに冷却した後、剥離し、糊残り性を目視で評価した。剥離後、
ステンレス板への糊移行が全くないもの ○
部分的にあるもの △
完全に移行しているもの ×
として、「再剥離性」即ち「糊移行性」を評価した。尚、皮膚ではなく被着体としてステンレス板を用いたのは、ステンレス板表面の光沢の変化等から糊の移行し易さ・し難さを評価しやすいからである。
【0063】
<導電性>
市販のポータブル心電図モニタ(フクダ電子株式会社製、PHV−100)の電極部位に作成した電極材を貼付し、胸部に軽く押し当てて心電図の波形を目視で評価した。波形が
シャープに波形が描かれるもの ○
ノイズが大きくベースラインが乱れるもの △
全く記録できないもの ×
として評価した。
【0064】
以下に示す実施例2〜5、比較例1〜3も実施例1と同様に、得られた電極材を評価した。
【実施例2】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0065】
【実施例3】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3300(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能イソシアヌレート体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0066】
【実施例4】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)12g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)7gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0067】
【実施例5】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、塩化ナトリウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0068】
【実施例6】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、その上にポリエステル不織布を固定し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、ポリエステル不織布上に、膜厚が1mmになるように、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0069】
【比較例1】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0070】
【比較例2】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、ミリスチン酸イソプロピル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5gからなる第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0071】
【比較例3】
剥離性シートの剥離処理面に、粘着性のない導電性ウレタン樹脂を厚さ5μになるように作成し、
ポリエーテルポリオールGL−3000(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、EO/PO=20/80重量%、Mn=3000、三洋化成工業株式会社製)16g、カプリル酸メチル3g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを混合した第1成分と、
テトラエチレングリコールモノメチルエーテルを主成分とするポリエチレングリコールモノメチルエーテルMPG(単官能アルコール、日本乳化剤株式会社製)5g、過塩素酸リチウム1gを混合した第2成分とを混合し、
次いで、N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートの3官能ビュレット体、住化バイエルウレタン株式会社製)5gを混合し、剥離シートの剥離処理面に、膜厚が0.5mmになるように、常温で5時間反応させ第1の層を形成し、
該第1の層の上に、ポリエステル不織布を積層し、
該ポリエステル不織布上に、前記第1の層と同様に第2の層を形成し、常温で一晩反応させて電極材を得た。
【0072】
【表1】
【0073】
以上のように本発明の電極材は、被着体に対する密着性、ヌレ性、再剥離性、導電性に優れていることが分かる。
これに対して、比較例1に示した電極材は、長鎖脂肪酸エステルが含まれていないため、再剥離性は良好だが、密着性、ヌレ性が不足している。比較例2に示したイオン化合物が含まれていないため、再剥離性は良好だが、導電性が全くない。比較例3に示した電極材は、炭素数が10未満の長鎖脂肪酸エステルを用いているため、ヌレ性、導電性は良好だが、再剥離性が不足している。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分、3官能イソシアネート成分、イオン化合物、炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル含有するイオン導電性粘着剤を用いることによって、密着性、ヌレ性、再剥離性が良好な生体用電極材が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】:イオン化合物の通過性を有するシートが、電極板と粘着剤層との間に位置する態様の生体用電極材。
【図2】:イオン化合物の通過性を有するシートが、人体の皮膚と粘着剤層との間に位置する態様の生体用電極材。
【図3】:イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の両側にとの間に位置する態様の生体用電極材。
【図4】:イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の中間部分に位置する態様の生体用電極材。
【図5】:イオン化合物の通過性を有するシートが、粘着剤層の中間部分に位置し、人体の皮膚と粘着剤層との間に粘着性を有しない導電性シートが位置する態様の生体用電極材。
【符号の説明】
1:イオン導電性粘着剤
2:イオン化合物の通過性を有するシート
3:電極板
4:人体の皮膚
5:粘着性を有しない導電性シート
6:生体電極材
Claims (9)
- アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)、アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能のイソシアネート化合物(b)を反応せしめてなるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤と、イオン化合物の通過性を有するシートとが積層されてなることを特徴とする生体用電極材。
- 3官能のイソシアネート化合物(b)が、ビュレット体であることを特徴とする請求項1記載の生体用電極材。
- ポリオール成分(a1)中のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖及びプロピレンオキサイド鎖であることを特徴とする請求項1又は2記載の生体用電極材。
- エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖との重量比が、EO/PO=10/90〜50/50であることを特徴とする請求項3記載の生体用電極材。
- 単官能アルコール成分(a2)のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の生体用電極材。
- イオン化合物の通過性を有するシートの両面にイオン導電性粘着剤が積層されてなることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の生体用電極材。
- イオン導電性粘着剤の一方の面に、粘着性のない導電性シートがさらに積層されてなることを特徴とする請求項6記載の生体用電極材。
- 剥離性シートの上に、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分と、
ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と3官能のイソシアネート化合物(b)との反応物であるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1の層を前記剥離性シート上に形成し、
該第1層の上に、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、
該イオン化合物通過性シートの上に、前記第1の成分と前記第2の成分と前記3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、前記第1の層と同様にポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第2の層を形成することを特徴とする、
イオン化合物通過性シートの両面に、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤が積層されてなる生体用電極材の製造方法。 - 粘着性のない導電性シート上に、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分(a1)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1成分と、
アルキレンオキサイド鎖を有する単官能アルコール成分(a2)及びイオン化合物(B)を含有する第2成分と、
ジイソシアネート化合物から形成されてなる3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、
ポリオール成分(a1)及び単官能アルコール成分(a2)と、3官能のイソシアネート化合物(b)との反応物であるポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第1の層を形成し、
該第1層の上に、イオン化合物の通過性を有するシートを積層し、
該イオン化合物通過性シートの上に、前記第1の成分と前記第2の成分と前記3官能イソシアネート化合物(b)との混合物を塗布し、前記第1の層の場合と同様にポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有する第2の層を形成することを特徴とする、
イオン化合物通過性シートの両面に、ポリウレタン(A)、イオン化合物(B)及び長鎖脂肪酸エステル(C)を含有するイオン導電性粘着剤が積層され、一方のイオン導電性粘着剤に粘着性のない導電性シートが積層されてなる生体用電極材の製造方法。
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