JP2004010804A - 粘着剤及び該粘着剤を用いてなる医療用粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】アクリル樹脂系粘着剤の再剥離性の不足という欠点を改善し、さらには従来のポリウレタンウレア樹脂粘着剤では達成できなかった各種基材への密着性、濡れ性、特に人体の皮膚に対する接着性が良好なポリウレタンウレア樹脂粘着剤を提供する。
【解決手段】下記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を含有することを特徴とする粘着剤。
ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)と反応させてなるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなる活性水素基を有するポリウレタンウレア(E)。
【選択図】なし。
【解決手段】下記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を含有することを特徴とする粘着剤。
ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)と反応させてなるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなる活性水素基を有するポリウレタンウレア(E)。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着性のテープ、ラベル、シール、化粧板シート等に使用される粘着剤に関し、詳しくは医療用の絆創膏、サージカルテープ、経皮吸収剤等に好適に使用される粘着剤及び医療用粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着剤は、構成原料で分類すると、アクリル樹脂系、ゴム系に大別されるが、何れも性能上の欠点がある。アクリル樹脂系粘着剤は粘着特性に優れているが、一般産業用途では再剥離性が十分ではなく、医療用途では臭気や皮膚刺激性が問題である。ゴム系も低分子量物を含有させないと性能が確保できないため、可塑剤等の低分子量物の添加が不可欠であるが、長期間経過すると、この低分子量物がブリードし、著しい性能低下を起こす。
【0003】
近年、性能制御が比較的容易なアクリル樹脂系粘着剤が主流になっているが、再剥離性、臭気、皮膚刺激性等の課題は依然として解決されてはいない。再剥離性に関しては、アクリル樹脂系粘着剤を被着体に貼付した後、数日間経過後、再度、被着体から剥がした時、粘着力上昇と被着体への糊残りは避けることができないのが実状である。
【0004】
これに対し様々な改良がされており、例えば特開2001−192636号、特開2001−253819号に開示されるようなウレタン樹脂粘着剤を用いることにより、再剥離性の向上、低皮膚刺激性、低臭気等、問題は解決されてきた。しかし、各種被着体への密着性、ヌレ性、特に人体の皮膚に対する接着性には不十分な点が多く、改良が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はアクリル樹脂系粘着剤の再剥離性の不足という欠点を改善し、さらには従来のポリウレタンウレア樹脂粘着剤では達成できなかった各種被着体基材への密着性、ヌレ性、特に人体の皮膚に対する接着性が良好なポリウレタンウレア樹脂粘着剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ポリウレタンウレア樹脂の樹脂組成や反応方法、添加剤等を種々検討した結果、ウレタン樹脂粘着剤組成中に長鎖脂肪酸エステルを導入することにより、各種被着体基材への密着性、ヌレ性、人体の皮膚に対する接着性が良好なポリウレタンウレア樹脂粘着剤が得られることを見いだした。
【0007】
即ち、第1の発明は、下記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を含有することを特徴とする粘着剤である。
ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)と反応させてなるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなる活性水素基を有するポリウレタンウレア(E)。
【0008】
第2の発明は、ポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び長鎖脂肪酸エステル(G)の合計100重量%中に、ポリウレタンウレア(E)を50〜95重量%、イソシアネート基を有する化合物(F)を0.5〜10重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を0.5〜50重量%含有することを特徴とする第1の発明記載の粘着剤である。
【0009】
第3の発明は、長鎖脂肪酸エステル(G)の炭素数が10〜30であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の粘着剤である。
【0010】
第4の発明は、長鎖脂肪酸エステル(G)がミリスチン酸イソプロピルであることを特徴とする第1ないし第3の発明いずれか記載の粘着剤である。
【0011】
第5の発明は、シート状基材の一方の面に、第1ないし第4の発明いずれか記載の粘着剤から形成される粘着剤層が積層されてなることを特徴とする医療用粘着テープである。
【0012】
第6の発明は、シート状基材の透湿度が1,500(g/(m2・24h))以上
であることを特徴とする第5の発明記載の医療用粘着テープである。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に用いる活性水素を有するポリウレタンポリウレア(E)(以下、ポリウレタンポリウレア(E)と略すこともある)について説明する。
本発明に用いるポリウレタンポリウレア(E)は、イソシアネート基含有ポリウレタンポリウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなるものである。
【0014】
ここで用いられるイソシアネート基含有ポリウレタンポリウレア(C)は、以下のようにして得る。
まず、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を得る。別途ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)を得ておき、該化合物(B)と前記ウレタンプレポリマー(A)とをイソシアネート基過剰の条件下に反応させる。
【0015】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)
本発明に用いるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)のウレタン化反応により得られたものを用いる。
【0016】
本発明に用いられるポリオール(a1)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いるポリエステルポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールを用いることができる。酸成分としてテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等が挙げられ、グリコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、ポリオール成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。その他、ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等も挙げられる。
ポリエステルポリオールの分子量は低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が500〜10,000で2官能以上のポリエステルポリオール、更に好ましくは数平均分子量1,000〜5,000の2官能以上のポリエステルポリオールを用いる。数平均分子量が500未満だとウレタン樹脂粘着剤の凝集力が不足してしまい、10,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなり、反応制御が困難となり好ましくない。その使用量はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成するポリオール中の0〜50モル%が好ましい。
【0018】
本発明に用いるポリエーテルポリオールとしては、公知のポリエーテルポリオールを用いることができる。例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール、具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものを用いることができる。
ポリエーテルポリオールの分子量は低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が500〜10,000で2官能以上のポリエーテルポリオール、更に好ましくは数平均分子量が1,000〜5,000の2官能以上のポリエーテルポリオールを用いる。数平均分子量が500未満だとウレタン樹脂粘着剤の凝集力が不足してしまい、10,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなり、反応制御が困難となり好ましくない。その使用量はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成するポリオール中50〜100モル%が好ましい。
【0019】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際には、上記したポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオールを用いることもできる。ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとのウレタン反応物化物、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートのウレタン化反応物、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応物を用いることができる。
ここでいうポリウレタンポリオールは、両末端成分がポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールからなり、両末端は水酸基である。ここで使用されるポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールは先に記載の化合物である。ポリイソシアネートとしては、後に記載するポリイソシアネート(a2)と同様のものが例示できる。
ポリウレタンポリオールの分子量は、低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が500〜10,000で2官能以上のポリウレタンポリオール、更に好ましくは数平均分子量が1,000〜5,000の2官能以上のポリウレタンポリオールを用いる。数平均分子量が500未満だとウレタン樹脂粘着剤の凝集力が不足してしまい、10,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなり、反応制御が困難となり好ましくない。
【0020】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際に用いる多価アルコールのポリエーテル付加物とは、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールにポリエーテルポリオールを付加したものである。部分エステル化した多価アルコールとポリエーテルポリオールの付加物もさらに利用できる。この場合、ポリエーテル部分はブロックポリマーであってもランダムポリマーであってもよい。ポリエーテルポリオールを付加した末端は水酸基であるが、部分的にアルキル基や芳香族炭化水素基で封鎖されていてもよい。
【0021】
また、本発明ではウレタンプレポリマー(A)を得る際に必要に応じて一部エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン類も併用することができる。
【0022】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際に用いられるポリイソシアネート(a2)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0024】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0025】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0026】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0027】
また、上記ポリイソシアネートにトリメチロールプロパンのような3官能のアルコールを付加してなるいわゆるアダクト体、上記ポリイソシアネートと水とが反応したビュウレット体、上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート環を形成してなる三量体等も併用することができる。前述の多価アルコールポリエーテル付加物とジイソシアネートとの反応物もポリイソシアネート(a2)として使用することができる。
【0028】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際に用いられるポリイソシアネート(a2)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等が好ましい。
【0029】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、上記ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを、有機溶剤中で触媒の存在下に120℃以下で反応させて得ることが好ましく、70〜110℃で1〜20時間反応させることがより好ましい。
110℃よりも高温にすると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得にくくなる。
ウレタン化反応は、触媒の存在下、70〜110℃で行うのが好ましい。
【0030】
ウレタン化反応の際に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。この触媒は、後述するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と化合物(B)との反応、イソシアネート基含有ポリウレタンポリウレア(C)と化合物(D)との反応との反応の際にも、同様に触媒として機能しうる。
【0031】
3級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、DBU等が挙げられる。
【0032】
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0033】
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0034】
ウレタン化反応の際に用いられる触媒としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が好ましく、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0035】
また、ウレタンプレポリマー(A)を得る際に使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン等が挙げられる。ポリウレタンウレア樹脂の溶解性、溶剤の沸点等の点から特に酢酸エチル、トルエンが好ましい。
【0036】
上記のようにして得られるイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー(A)は、重量平均分子量が5,000〜50,000であることが好ましく、10,000〜30,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満だと粘着剤としての凝集力が不足する傾向にあり、50,000より大きいと鎖延長反応時にゲル状となり易い。
【0037】
化合物(B)
本発明に用いられる化合物(B)としては、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)のマイケル付加反応により得られたものを用いる。マイケル付加反応の結果、化合物(B)は2級のアミノ基を有する。このアミノ基と上記ウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基とを鎖延長反応させ、後述するようにポリウレタンポリウレア(C)を得る。
一般にウレタンプレポリマーの鎖延長反応は、ポリアミン単独で行われるが、ポリアミン単独で鎖延長した場合、反応が早すぎるために樹脂溶液粘度が急激に増加し、場合によってはゲル化してしまう。化合物(B)を用いてウレタンプレポリマー(A)を鎖延長すると、ポリアミン単独の場合と比較すると、鎖延長が穏やかな反応になり、制御が格段に容易になる。
【0038】
本発明に用いるポリアミン(b1)としては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等のジアミンを挙げることができる。イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
【0039】
本発明に用いる不飽和二重結合を有する化合物(b2)としては、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、エチニル化合物等が挙げられる。
【0040】
本発明に用いられる(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
本発明に用いられるビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニル化合物、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等のα−オレフィン化合物、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0042】
本発明に用いられるエチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等が挙げられる。
【0043】
不飽和二重結合を有する化合物(b2)としては、無触媒で容易にマイケル反応を起こすことができる(メタ)アクリレートが好ましい。ビニル化合物やエチニル化合物はマイケル反応が起こりにくく、金属触媒が必要である場合が多い。アクリレートモノマーとメタクリレートモノマーを比較すると、アクリレートモノマーの方がマイケル付加反応の効率がよく好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを用いるとマイケル付加反応を促進し好ましい。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することもできる。
【0044】
ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)のマイケル付加反応は、ポリアミン(b1)のアミノ基の活性水素1モルと不飽和二重結合を有する化合物(b2)の二重結合基1モルとの反応は、常温、無触媒でも可能であるが、窒素雰囲気下で加熱しながら60〜100℃で反応させると適度な反応速度になり好ましい。ポリアミンと(メタ)アクリレートは実質的に等モルで反応させることが好ましい。
【0045】
イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)
次にイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)について説明する。
イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)は、末端がイソシアネート基になるようにイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と化合物(B)を配合し、反応させてなるものである。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と化合物(B)よりイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)を得る鎖延長反応は、1)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)溶液を反応釜に仕込み、化合物(B)溶液を滴下する方法、2)化合物(B)溶液を反応釜に仕込み、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)溶液を滴下する方法に大別される。安定した反応になる方で合成を行うが、反応に問題がなければ、操作が容易な1)の方法が好ましい。
鎖延長反応の温度は、100℃以下が好ましい。更に好ましくは70℃以下である。70℃でも反応速度は大きく、制御できない場合は、50℃以下が更に好ましい。70℃以上になると反応速度の制御が困難であり、所定の分子量と構造を有するイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)を得ることは難しい。得られるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)は、重量平均分子量が30,000〜200,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましい。重量平均分子量が30,000未満だと、ウレタン樹脂粘着剤としての凝集力が不足する傾向にあり、200,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなりすぎて、取り扱いが難しく、また、粘着力が小さくなり易い。
【0046】
イソシアネート基と反応し得る活性水素を有する化合物(D)
活性水素を有する化合物(D)中の活性水素は、上記イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)中の末端のイソシアネート基と反応してポリウレタンウレア樹脂の反応活性を安定化させる。
本発明に用いる活性水素を有する化合物(D)としては、水酸基を有するモノアミン化合物が好ましく、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等が挙げられる。
活性水素を有する化合物(D)が、2−アミノ−2−メチル−プロパノールのようにアミノ基と水酸基とを有する場合、アミノ基と水酸基両方が、イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)の末端イソシアネート基と反応可能である。しかし、アミノ基の反応性の方が高く、優先的にイソシアネート基と反応する。
【0047】
活性水素を有するポリウレタンウレア(E)
活性水素を有するポリウレタンウレア(E)は、粘着剤の主たる構成成分となるものであり、上記したようにイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と活性水素を有する化合物(D)とを活性水素過剰の条件下に反応させてなるものである。イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)を得た後、活性水素を有する化合物(D)を加え、70℃以下で加熱して、得ることが好ましい。反応の終点は、イソシアネート%測定、IR測定によるイソシアネートピークの消失により判断する。
【0048】
ポリウレタンウレア(E)の重量平均分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算分子量で30,000以上が好ましい。更に好ましくは、50,000以上である。重量平均分子量が30,000未満になると、粘着特性、特に保持力の低下が著しく、好ましくない。
【0049】
イソシアネート基を有する化合物(F)
イソシアネート基を有する化合物(F)は、上記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)に対していわゆる硬化剤として機能し、粘着剤を構成する。
本発明に用いられるイソシアネート基を有する化合物(F)としては、前述のポリイソシアネート(a2)で挙げたものを同様に使うことができる。
【0050】
長鎖脂肪酸エステル(G)
長鎖脂肪酸エステル(G)は、被着体に対するヌレ性を改良、向上する機能を担う。
本発明に用いられる長鎖脂肪酸エステル(G)は、炭素数10以上のものであり、炭素数が10〜30であることが好ましい。炭素数が10よりも小さく短い脂肪酸エステルは、被着体に対するヌレ性をある程度改良、向上できるとはいうものの、反面貼着後被着体に対してブリードしてしまい、その結果粘着テープの再剥離性が悪くなる。一方、炭素数が30よりも大きくなるとポリウレタンポリウレア(E)との相溶性が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。
【0051】
本発明で用いる長鎖脂肪酸エステル(G)としては、
炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルや、
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸と4価以下のアルコールとのアルコールのエステルが、好適に用いられる。
【0052】
炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルとしては、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリト酸トリオレイル、トリメリト酸トリイソセチル等が挙げられ、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。
【0053】
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸としては、例えばミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸又はイソステアリン酸等が挙げられる。
又、4価以下のアルコールとしては、具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビタン等が挙げられる。
【0054】
粘着剤
本発明の粘着剤は、ポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)、及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を必須成分として含有するものであり、3成分の合計100重量%中にポリウレタンウレア(E)を50〜95重量%、イソシアネート基を有する化合物(F)を0.5〜10重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を0.5〜50重量%含有することが好ましく、ポリウレタンウレア(E)を65〜94重量%、化合物(F)を1〜5重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を5〜30重量%含有することがより好ましい。
イソシアネート基を有する化合物(F)が、0.5重量%未満では粘着剤としての凝集力が低下し、10重量%越えると粘着力が低下する。
また、炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)が、0.5重量%未満では長鎖脂肪酸エステルの被着体に対するヌレ性アップの効果がほとんど現れず、50重量%を越えると、粘着剤の主剤たるポリウレタンウレア(E)が相対的に少なくなる結果、粘着剤の凝集力が不足し易い。
【0055】
ポリウレタンウレア(E)を含有する本発明の粘着剤には、必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。また、用途に応じて、粘着付与剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を配合しても良い。
【0056】
本発明に用いる粘着付与剤としては、公知の粘着付与剤を使用することができる。粘着付与剤を使用する際には、ウレタン樹脂粘着剤との相溶性が良いものを使用する。相溶性が悪いと樹脂溶液が濁り、粘着物性が低下しやすい。また、粘着付与剤は比較的低分子化合物である場合が多いので、例えば水酸基を1分子中に1個以上含有するものが好ましい。その理由は、粘着付与剤の水酸基が硬化剤として使用されるイソシアネート基を有する化合物(F)と反応し、ウレタン樹脂粘着剤との結合が可能となるため、被着体にブリードしにくくなるためである。本発明に使用する粘着付与剤としては、皮膚刺激性、安全性の観点から水酸基含有の石油系樹脂が好ましい。その使用量は、ポリウレタンウレア(E)の100重量部に対して20重量部以下が好ましい。20重量部を越えると粘着剤としての凝集力が低下しやすい。
【0057】
本発明の粘着剤は、プラスチックフィルム、紙、発泡体等を基材とした各種粘着テープ、ラベル、シール、化粧用シートに使用でき、特に医療用の絆創膏、サージカルテープ、経皮吸収剤等に好適に使用される。
【0058】
各種粘着テープに用いられる基材のうちプラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、処理ポリオレフィンフィルム、未処理ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。特に基材への密着性、塗工の容易性からPETフィルムが好ましい。それらの基材の厚みは10〜100μmであるものが好ましい。また基材への粘着剤の塗工量は5〜200μmが好ましい。
【0059】
各種粘着テープに用いられる基材のうち紙基材としては、普通紙、コート紙、アート紙等が挙げられる。これらの基材の厚みは15〜5,000μmであるものが好ましい。また基材への粘着剤の塗工量は5〜200μmが好ましい。
【0060】
医療用粘着テープ
次に本発明の医療用粘着テープについて説明する。
本発明の医療用粘着テープは、ポリウレタンポリウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び長鎖脂肪酸エステル(G)を含有する粘着剤から形成される粘着剤層が、シート状の基材の一方の面に積層されてなるものである。
本発明の医療用粘着テープとしては、透湿度が1,500(g/(m2・24h))以上であることが好ましく、1,800以上(g/(m2・24h))であることがより好ましい。
【0061】
本発明に用いるシート基材としては、透湿度が1,500((m2・24h))以上であれば、特に制限されるものではない。このようなシート基材としては、布、紙、不織布及び高分子フィルムに大別される。本発明で用いる透湿性とは、防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)(JISZ0208)によって行われたものであることを意味する。
【0062】
布の材料繊維としては、綿、レーヨン、ポリエステル、アセテートが挙げられる。
【0063】
紙については、パルプを主体にマニラ麻、化繊等を混ぜ、支持体強度を改良したもの等が挙げられる。
【0064】
不織布についてはレーヨン、ポリエステル、ナイロン等の繊維が挙げられる。
【0065】
高分子フィルムについては軟質PVC、ポリエチレン及びポリエチレンと酢酸ビニルの共重合体、ポリプロピレン、ウレタン等が挙げられる。
【0066】
尚、シート状基材の他方の面は剥離処理がなされている場合でも使用することができる。
【0067】
【実施例】
【0068】
合成例1 化合物(B−1)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン300g、トルエン300gを仕込み、2−ヒドロキシエチルアクリレート184g、エチルアクリレート176gを室温で滴下する。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン360gを加えたものを化合物(B−1)とする。
【0069】
合成例2 化合物(B−2)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン300g、トルエン300gを仕込み、4−ヒドロキシブチルアクリレート228g、ブチルアクリレート225gを室温で滴下する。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン453gを加えたものを化合物(B−2)とする。
【0070】
合成例3 化合物(B−3)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン300g、トルエン300gを仕込み、4−ヒドロキシブチルアクリレート246g、ブチルアクリレート243gを室温で滴下する。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン489gを加えたものを化合物(B−3)とする。
【0071】
合成例4 ポリウレタンポリウレア(E−1)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPP−2000(2官能ポリエーテルポリオール、OH価56、三洋化成工業株式会社製)257g、イソホロンジイソシアネート(ヒュルスジャパン株式会社製)43g、トルエン75g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05gを仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を得た。
次いで、40℃まで冷却し、酢酸エチル227gを加えた後、化合物(B−1)35gを1時間で滴下し、さらに1時間熟成し、イソシアネート基を有するポリウレタンポリウレア(C−1)を得た後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)2.1gを加えて反応を終了し、水酸基を有するポリウレタンポリウレア(E−1)溶液を得た。
この反応溶液は、無色透明で固形分50%、粘度5000cps、数平均分子量MN25,000、重量平均分子量MW90,000であった。
【0072】
合成例5 ポリウレタンポリウレア(E−2)の合成
化合物(B−1)35gの代わりに化合物(B−2)40gを用い、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)2.2gを代わりに2.2gを用いた以外は合成例4と同様にして、水酸基を有するポリウレタンポリウレア(E−2)溶液を得た。
この反応溶液は無色透明で固形分50%、粘度4000cps、数平均分子量MN30,000、重量平均分子量MW100,000であった。
【0073】
合成例6 ポリウレタンポリウレア(E−3)の合成
化合物(B−1)35gの代わりに化合物(B−3)39gを用い、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)2.2gを代わりに2.0gを用いた以外は合成例4と同様にして、水酸基を有するポリウレタンポリウレア(E−3)溶液を得た。
この反応溶液は無色透明で固形分50%、粘度3500cps、数平均分子量MN28,000、重量平均分子量MW110,000であった。
【0074】
合成例7
撹拌機、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにブチルアクリレート75g、2−エチルヘキシルアクリレート20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート5g、酢酸エチル135g、トルエン15g、過酸化ベンゾイル0.2gからなる溶液を還流冷却器を備えた反応器に入れ、窒素ガス気流下80〜85℃にて8時間反応を行い、樹脂溶液を得た。この溶液は無色透明で固形分40%、粘度5,200cpsであった。
【0075】
【実施例1】
合成例4で合成したポリウレタンウレア(E−1)溶液100gに対して、イソシアネート基を有する化合物(F)としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75%酢酸エチル溶液を2g、長鎖脂肪酸エステル(G)としてミリスチン酸イソプロピルを20g、粘着付与剤としてKR−1840(水酸基含有石油系樹脂:荒川化学工業株式会社製)を配合し、粘着剤を得た。
得られた粘着剤を剥離紙に乾燥塗膜25μmになるように塗工し、100℃−2分乾燥し、塗工後室温で1週間経過させ、試験用粘着テープを得た。該粘着テープを用いて、以下に示す方法に従って、粘着力、ヌレ性、再剥離性の試験をした。
【0076】
<粘着力>
試験用粘着テープの粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚25μm)を貼着し、次いで剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層を厚さ0.4mmのステンレス板(SUS304)に23℃−65%RHにて貼着し、JISに準じてロール圧着した。圧着20分後、ショッパー型剥離試験器にて剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分;単位g/25mm幅)を測定した。
【0077】
<ヌレ性>
試験用粘着テープの粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚25μm)を貼着し、5cm×5cmの正方形粘着シートを作成し、次いで剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層の端部を指でゆっくり押さえ、粘着剤層全体がガラス板に貼着するまでの秒数を測定することにより、ヌレ広がり状態を評価した。粘着剤層全体がガラス板に貼着するまでに要した時間が、
1秒未満のもの ◎
1秒以上〜5秒未満のもの ○
5秒以上のもの △
ほとんど広がらないもの ×
として評価した。
【0078】
<再剥離性>
試験用粘着テープの粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚25μm)を貼着し、次いで剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板(SUS304)、またはガラス板にそれぞれ貼着した後、40℃−80%RHの条件下に放置し、23℃−65%RHに冷却した後、剥離し、糊残り性を目視で評価した。剥離後、
被着体への糊移行の全くないもの ◎
ごくわずかにあるもの ○
部分的にあるもの △
完全に移行しているもの ×
として評価した。
【0079】
【実施例2〜3】
ポリウレタンウレア(E−1)溶液の代わりに、合成例5〜6で合成したポリウレタンウレア(E−2)〜(E−3)溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤を得、同様に評価した。
【0080】
【比較例1】
合成例5で合成したポリウレタンウレア(E−2)溶液100gに対して、イソシアネート基を有する化合物(F)として、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75%酢酸エチル溶液2gを配合し粘着剤を得、以下実施例1と同様にして評価した。
【比較例2】
比較例1と同様に、合成例7で合成した樹脂溶液を順に配合し測定し、比較例2とした。
【比較例3】
長鎖脂肪酸エステル(G)としてミリスチン酸イソプロピルの代わりにカプリル酸メチル15gを用いた以外は実施例2と同様にして粘着剤を得、同様に評価した。
【0081】
表1に、実施例1〜3、比較例1〜3の樹脂粘着剤組成、粘着力、ヌレ性、再剥離性試験結果を示す。
【0082】
【表1】
【0083】
本発明の粘着剤は、被着体に対するヌレ性、再剥離性に優れていることが分かる。これに対して、比較例1に示したウレタン樹脂粘着剤は、長鎖脂肪酸エステルが含まれていないため、再剥離性は良好だが、ヌレ性が不足している。また、比較例2に示したアクリル樹脂粘着剤は、再剥離性が不良である。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、ポリウレタンポリウレア系粘着剤に長鎖脂肪酸エステルを用いることによって、粘着力は中粘着領域にあり、ヌレ性、再剥離性に優れた粘着剤が得られるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着性のテープ、ラベル、シール、化粧板シート等に使用される粘着剤に関し、詳しくは医療用の絆創膏、サージカルテープ、経皮吸収剤等に好適に使用される粘着剤及び医療用粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着剤は、構成原料で分類すると、アクリル樹脂系、ゴム系に大別されるが、何れも性能上の欠点がある。アクリル樹脂系粘着剤は粘着特性に優れているが、一般産業用途では再剥離性が十分ではなく、医療用途では臭気や皮膚刺激性が問題である。ゴム系も低分子量物を含有させないと性能が確保できないため、可塑剤等の低分子量物の添加が不可欠であるが、長期間経過すると、この低分子量物がブリードし、著しい性能低下を起こす。
【0003】
近年、性能制御が比較的容易なアクリル樹脂系粘着剤が主流になっているが、再剥離性、臭気、皮膚刺激性等の課題は依然として解決されてはいない。再剥離性に関しては、アクリル樹脂系粘着剤を被着体に貼付した後、数日間経過後、再度、被着体から剥がした時、粘着力上昇と被着体への糊残りは避けることができないのが実状である。
【0004】
これに対し様々な改良がされており、例えば特開2001−192636号、特開2001−253819号に開示されるようなウレタン樹脂粘着剤を用いることにより、再剥離性の向上、低皮膚刺激性、低臭気等、問題は解決されてきた。しかし、各種被着体への密着性、ヌレ性、特に人体の皮膚に対する接着性には不十分な点が多く、改良が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はアクリル樹脂系粘着剤の再剥離性の不足という欠点を改善し、さらには従来のポリウレタンウレア樹脂粘着剤では達成できなかった各種被着体基材への密着性、ヌレ性、特に人体の皮膚に対する接着性が良好なポリウレタンウレア樹脂粘着剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ポリウレタンウレア樹脂の樹脂組成や反応方法、添加剤等を種々検討した結果、ウレタン樹脂粘着剤組成中に長鎖脂肪酸エステルを導入することにより、各種被着体基材への密着性、ヌレ性、人体の皮膚に対する接着性が良好なポリウレタンウレア樹脂粘着剤が得られることを見いだした。
【0007】
即ち、第1の発明は、下記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を含有することを特徴とする粘着剤である。
ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)と反応させてなるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなる活性水素基を有するポリウレタンウレア(E)。
【0008】
第2の発明は、ポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び長鎖脂肪酸エステル(G)の合計100重量%中に、ポリウレタンウレア(E)を50〜95重量%、イソシアネート基を有する化合物(F)を0.5〜10重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を0.5〜50重量%含有することを特徴とする第1の発明記載の粘着剤である。
【0009】
第3の発明は、長鎖脂肪酸エステル(G)の炭素数が10〜30であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の粘着剤である。
【0010】
第4の発明は、長鎖脂肪酸エステル(G)がミリスチン酸イソプロピルであることを特徴とする第1ないし第3の発明いずれか記載の粘着剤である。
【0011】
第5の発明は、シート状基材の一方の面に、第1ないし第4の発明いずれか記載の粘着剤から形成される粘着剤層が積層されてなることを特徴とする医療用粘着テープである。
【0012】
第6の発明は、シート状基材の透湿度が1,500(g/(m2・24h))以上
であることを特徴とする第5の発明記載の医療用粘着テープである。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に用いる活性水素を有するポリウレタンポリウレア(E)(以下、ポリウレタンポリウレア(E)と略すこともある)について説明する。
本発明に用いるポリウレタンポリウレア(E)は、イソシアネート基含有ポリウレタンポリウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなるものである。
【0014】
ここで用いられるイソシアネート基含有ポリウレタンポリウレア(C)は、以下のようにして得る。
まず、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を得る。別途ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)を得ておき、該化合物(B)と前記ウレタンプレポリマー(A)とをイソシアネート基過剰の条件下に反応させる。
【0015】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)
本発明に用いるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)のウレタン化反応により得られたものを用いる。
【0016】
本発明に用いられるポリオール(a1)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いるポリエステルポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールを用いることができる。酸成分としてテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等が挙げられ、グリコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、ポリオール成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。その他、ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等も挙げられる。
ポリエステルポリオールの分子量は低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が500〜10,000で2官能以上のポリエステルポリオール、更に好ましくは数平均分子量1,000〜5,000の2官能以上のポリエステルポリオールを用いる。数平均分子量が500未満だとウレタン樹脂粘着剤の凝集力が不足してしまい、10,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなり、反応制御が困難となり好ましくない。その使用量はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成するポリオール中の0〜50モル%が好ましい。
【0018】
本発明に用いるポリエーテルポリオールとしては、公知のポリエーテルポリオールを用いることができる。例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール、具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものを用いることができる。
ポリエーテルポリオールの分子量は低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が500〜10,000で2官能以上のポリエーテルポリオール、更に好ましくは数平均分子量が1,000〜5,000の2官能以上のポリエーテルポリオールを用いる。数平均分子量が500未満だとウレタン樹脂粘着剤の凝集力が不足してしまい、10,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなり、反応制御が困難となり好ましくない。その使用量はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を構成するポリオール中50〜100モル%が好ましい。
【0019】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際には、上記したポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオールを用いることもできる。ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとのウレタン反応物化物、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートのウレタン化反応物、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応物を用いることができる。
ここでいうポリウレタンポリオールは、両末端成分がポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールからなり、両末端は水酸基である。ここで使用されるポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールは先に記載の化合物である。ポリイソシアネートとしては、後に記載するポリイソシアネート(a2)と同様のものが例示できる。
ポリウレタンポリオールの分子量は、低分子量から高分子量まで使用可能であるが、好ましくは数平均分子量が500〜10,000で2官能以上のポリウレタンポリオール、更に好ましくは数平均分子量が1,000〜5,000の2官能以上のポリウレタンポリオールを用いる。数平均分子量が500未満だとウレタン樹脂粘着剤の凝集力が不足してしまい、10,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなり、反応制御が困難となり好ましくない。
【0020】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際に用いる多価アルコールのポリエーテル付加物とは、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールにポリエーテルポリオールを付加したものである。部分エステル化した多価アルコールとポリエーテルポリオールの付加物もさらに利用できる。この場合、ポリエーテル部分はブロックポリマーであってもランダムポリマーであってもよい。ポリエーテルポリオールを付加した末端は水酸基であるが、部分的にアルキル基や芳香族炭化水素基で封鎖されていてもよい。
【0021】
また、本発明ではウレタンプレポリマー(A)を得る際に必要に応じて一部エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン類も併用することができる。
【0022】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際に用いられるポリイソシアネート(a2)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0024】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0025】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0026】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0027】
また、上記ポリイソシアネートにトリメチロールプロパンのような3官能のアルコールを付加してなるいわゆるアダクト体、上記ポリイソシアネートと水とが反応したビュウレット体、上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート環を形成してなる三量体等も併用することができる。前述の多価アルコールポリエーテル付加物とジイソシアネートとの反応物もポリイソシアネート(a2)として使用することができる。
【0028】
ウレタンプレポリマー(A)を得る際に用いられるポリイソシアネート(a2)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等が好ましい。
【0029】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、上記ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを、有機溶剤中で触媒の存在下に120℃以下で反応させて得ることが好ましく、70〜110℃で1〜20時間反応させることがより好ましい。
110℃よりも高温にすると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得にくくなる。
ウレタン化反応は、触媒の存在下、70〜110℃で行うのが好ましい。
【0030】
ウレタン化反応の際に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。この触媒は、後述するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と化合物(B)との反応、イソシアネート基含有ポリウレタンポリウレア(C)と化合物(D)との反応との反応の際にも、同様に触媒として機能しうる。
【0031】
3級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、DBU等が挙げられる。
【0032】
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0033】
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0034】
ウレタン化反応の際に用いられる触媒としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が好ましく、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0035】
また、ウレタンプレポリマー(A)を得る際に使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン等が挙げられる。ポリウレタンウレア樹脂の溶解性、溶剤の沸点等の点から特に酢酸エチル、トルエンが好ましい。
【0036】
上記のようにして得られるイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー(A)は、重量平均分子量が5,000〜50,000であることが好ましく、10,000〜30,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満だと粘着剤としての凝集力が不足する傾向にあり、50,000より大きいと鎖延長反応時にゲル状となり易い。
【0037】
化合物(B)
本発明に用いられる化合物(B)としては、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)のマイケル付加反応により得られたものを用いる。マイケル付加反応の結果、化合物(B)は2級のアミノ基を有する。このアミノ基と上記ウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基とを鎖延長反応させ、後述するようにポリウレタンポリウレア(C)を得る。
一般にウレタンプレポリマーの鎖延長反応は、ポリアミン単独で行われるが、ポリアミン単独で鎖延長した場合、反応が早すぎるために樹脂溶液粘度が急激に増加し、場合によってはゲル化してしまう。化合物(B)を用いてウレタンプレポリマー(A)を鎖延長すると、ポリアミン単独の場合と比較すると、鎖延長が穏やかな反応になり、制御が格段に容易になる。
【0038】
本発明に用いるポリアミン(b1)としては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等のジアミンを挙げることができる。イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
【0039】
本発明に用いる不飽和二重結合を有する化合物(b2)としては、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、エチニル化合物等が挙げられる。
【0040】
本発明に用いられる(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
本発明に用いられるビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニル化合物、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等のα−オレフィン化合物、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0042】
本発明に用いられるエチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等が挙げられる。
【0043】
不飽和二重結合を有する化合物(b2)としては、無触媒で容易にマイケル反応を起こすことができる(メタ)アクリレートが好ましい。ビニル化合物やエチニル化合物はマイケル反応が起こりにくく、金属触媒が必要である場合が多い。アクリレートモノマーとメタクリレートモノマーを比較すると、アクリレートモノマーの方がマイケル付加反応の効率がよく好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを用いるとマイケル付加反応を促進し好ましい。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することもできる。
【0044】
ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)のマイケル付加反応は、ポリアミン(b1)のアミノ基の活性水素1モルと不飽和二重結合を有する化合物(b2)の二重結合基1モルとの反応は、常温、無触媒でも可能であるが、窒素雰囲気下で加熱しながら60〜100℃で反応させると適度な反応速度になり好ましい。ポリアミンと(メタ)アクリレートは実質的に等モルで反応させることが好ましい。
【0045】
イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)
次にイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)について説明する。
イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)は、末端がイソシアネート基になるようにイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と化合物(B)を配合し、反応させてなるものである。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と化合物(B)よりイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)を得る鎖延長反応は、1)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)溶液を反応釜に仕込み、化合物(B)溶液を滴下する方法、2)化合物(B)溶液を反応釜に仕込み、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)溶液を滴下する方法に大別される。安定した反応になる方で合成を行うが、反応に問題がなければ、操作が容易な1)の方法が好ましい。
鎖延長反応の温度は、100℃以下が好ましい。更に好ましくは70℃以下である。70℃でも反応速度は大きく、制御できない場合は、50℃以下が更に好ましい。70℃以上になると反応速度の制御が困難であり、所定の分子量と構造を有するイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)を得ることは難しい。得られるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)は、重量平均分子量が30,000〜200,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましい。重量平均分子量が30,000未満だと、ウレタン樹脂粘着剤としての凝集力が不足する傾向にあり、200,000より大きいと樹脂溶液の粘度が高くなりすぎて、取り扱いが難しく、また、粘着力が小さくなり易い。
【0046】
イソシアネート基と反応し得る活性水素を有する化合物(D)
活性水素を有する化合物(D)中の活性水素は、上記イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)中の末端のイソシアネート基と反応してポリウレタンウレア樹脂の反応活性を安定化させる。
本発明に用いる活性水素を有する化合物(D)としては、水酸基を有するモノアミン化合物が好ましく、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等が挙げられる。
活性水素を有する化合物(D)が、2−アミノ−2−メチル−プロパノールのようにアミノ基と水酸基とを有する場合、アミノ基と水酸基両方が、イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)の末端イソシアネート基と反応可能である。しかし、アミノ基の反応性の方が高く、優先的にイソシアネート基と反応する。
【0047】
活性水素を有するポリウレタンウレア(E)
活性水素を有するポリウレタンウレア(E)は、粘着剤の主たる構成成分となるものであり、上記したようにイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と活性水素を有する化合物(D)とを活性水素過剰の条件下に反応させてなるものである。イソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)を得た後、活性水素を有する化合物(D)を加え、70℃以下で加熱して、得ることが好ましい。反応の終点は、イソシアネート%測定、IR測定によるイソシアネートピークの消失により判断する。
【0048】
ポリウレタンウレア(E)の重量平均分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算分子量で30,000以上が好ましい。更に好ましくは、50,000以上である。重量平均分子量が30,000未満になると、粘着特性、特に保持力の低下が著しく、好ましくない。
【0049】
イソシアネート基を有する化合物(F)
イソシアネート基を有する化合物(F)は、上記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)に対していわゆる硬化剤として機能し、粘着剤を構成する。
本発明に用いられるイソシアネート基を有する化合物(F)としては、前述のポリイソシアネート(a2)で挙げたものを同様に使うことができる。
【0050】
長鎖脂肪酸エステル(G)
長鎖脂肪酸エステル(G)は、被着体に対するヌレ性を改良、向上する機能を担う。
本発明に用いられる長鎖脂肪酸エステル(G)は、炭素数10以上のものであり、炭素数が10〜30であることが好ましい。炭素数が10よりも小さく短い脂肪酸エステルは、被着体に対するヌレ性をある程度改良、向上できるとはいうものの、反面貼着後被着体に対してブリードしてしまい、その結果粘着テープの再剥離性が悪くなる。一方、炭素数が30よりも大きくなるとポリウレタンポリウレア(E)との相溶性が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。
【0051】
本発明で用いる長鎖脂肪酸エステル(G)としては、
炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルや、
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸と4価以下のアルコールとのアルコールのエステルが、好適に用いられる。
【0052】
炭素数が8〜18の一塩基酸ないしは多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルとしては、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリト酸トリオレイル、トリメリト酸トリイソセチル等が挙げられ、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。
【0053】
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸としては、例えばミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸又はイソステアリン酸等が挙げられる。
又、4価以下のアルコールとしては、具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビタン等が挙げられる。
【0054】
粘着剤
本発明の粘着剤は、ポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)、及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を必須成分として含有するものであり、3成分の合計100重量%中にポリウレタンウレア(E)を50〜95重量%、イソシアネート基を有する化合物(F)を0.5〜10重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を0.5〜50重量%含有することが好ましく、ポリウレタンウレア(E)を65〜94重量%、化合物(F)を1〜5重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を5〜30重量%含有することがより好ましい。
イソシアネート基を有する化合物(F)が、0.5重量%未満では粘着剤としての凝集力が低下し、10重量%越えると粘着力が低下する。
また、炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)が、0.5重量%未満では長鎖脂肪酸エステルの被着体に対するヌレ性アップの効果がほとんど現れず、50重量%を越えると、粘着剤の主剤たるポリウレタンウレア(E)が相対的に少なくなる結果、粘着剤の凝集力が不足し易い。
【0055】
ポリウレタンウレア(E)を含有する本発明の粘着剤には、必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。また、用途に応じて、粘着付与剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を配合しても良い。
【0056】
本発明に用いる粘着付与剤としては、公知の粘着付与剤を使用することができる。粘着付与剤を使用する際には、ウレタン樹脂粘着剤との相溶性が良いものを使用する。相溶性が悪いと樹脂溶液が濁り、粘着物性が低下しやすい。また、粘着付与剤は比較的低分子化合物である場合が多いので、例えば水酸基を1分子中に1個以上含有するものが好ましい。その理由は、粘着付与剤の水酸基が硬化剤として使用されるイソシアネート基を有する化合物(F)と反応し、ウレタン樹脂粘着剤との結合が可能となるため、被着体にブリードしにくくなるためである。本発明に使用する粘着付与剤としては、皮膚刺激性、安全性の観点から水酸基含有の石油系樹脂が好ましい。その使用量は、ポリウレタンウレア(E)の100重量部に対して20重量部以下が好ましい。20重量部を越えると粘着剤としての凝集力が低下しやすい。
【0057】
本発明の粘着剤は、プラスチックフィルム、紙、発泡体等を基材とした各種粘着テープ、ラベル、シール、化粧用シートに使用でき、特に医療用の絆創膏、サージカルテープ、経皮吸収剤等に好適に使用される。
【0058】
各種粘着テープに用いられる基材のうちプラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、処理ポリオレフィンフィルム、未処理ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。特に基材への密着性、塗工の容易性からPETフィルムが好ましい。それらの基材の厚みは10〜100μmであるものが好ましい。また基材への粘着剤の塗工量は5〜200μmが好ましい。
【0059】
各種粘着テープに用いられる基材のうち紙基材としては、普通紙、コート紙、アート紙等が挙げられる。これらの基材の厚みは15〜5,000μmであるものが好ましい。また基材への粘着剤の塗工量は5〜200μmが好ましい。
【0060】
医療用粘着テープ
次に本発明の医療用粘着テープについて説明する。
本発明の医療用粘着テープは、ポリウレタンポリウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び長鎖脂肪酸エステル(G)を含有する粘着剤から形成される粘着剤層が、シート状の基材の一方の面に積層されてなるものである。
本発明の医療用粘着テープとしては、透湿度が1,500(g/(m2・24h))以上であることが好ましく、1,800以上(g/(m2・24h))であることがより好ましい。
【0061】
本発明に用いるシート基材としては、透湿度が1,500((m2・24h))以上であれば、特に制限されるものではない。このようなシート基材としては、布、紙、不織布及び高分子フィルムに大別される。本発明で用いる透湿性とは、防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)(JISZ0208)によって行われたものであることを意味する。
【0062】
布の材料繊維としては、綿、レーヨン、ポリエステル、アセテートが挙げられる。
【0063】
紙については、パルプを主体にマニラ麻、化繊等を混ぜ、支持体強度を改良したもの等が挙げられる。
【0064】
不織布についてはレーヨン、ポリエステル、ナイロン等の繊維が挙げられる。
【0065】
高分子フィルムについては軟質PVC、ポリエチレン及びポリエチレンと酢酸ビニルの共重合体、ポリプロピレン、ウレタン等が挙げられる。
【0066】
尚、シート状基材の他方の面は剥離処理がなされている場合でも使用することができる。
【0067】
【実施例】
【0068】
合成例1 化合物(B−1)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン300g、トルエン300gを仕込み、2−ヒドロキシエチルアクリレート184g、エチルアクリレート176gを室温で滴下する。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン360gを加えたものを化合物(B−1)とする。
【0069】
合成例2 化合物(B−2)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン300g、トルエン300gを仕込み、4−ヒドロキシブチルアクリレート228g、ブチルアクリレート225gを室温で滴下する。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン453gを加えたものを化合物(B−2)とする。
【0070】
合成例3 化合物(B−3)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン300g、トルエン300gを仕込み、4−ヒドロキシブチルアクリレート246g、ブチルアクリレート243gを室温で滴下する。滴下終了後、80℃で1時間反応させた後、トルエン489gを加えたものを化合物(B−3)とする。
【0071】
合成例4 ポリウレタンポリウレア(E−1)の合成
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPP−2000(2官能ポリエーテルポリオール、OH価56、三洋化成工業株式会社製)257g、イソホロンジイソシアネート(ヒュルスジャパン株式会社製)43g、トルエン75g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05gを仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を得た。
次いで、40℃まで冷却し、酢酸エチル227gを加えた後、化合物(B−1)35gを1時間で滴下し、さらに1時間熟成し、イソシアネート基を有するポリウレタンポリウレア(C−1)を得た後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)2.1gを加えて反応を終了し、水酸基を有するポリウレタンポリウレア(E−1)溶液を得た。
この反応溶液は、無色透明で固形分50%、粘度5000cps、数平均分子量MN25,000、重量平均分子量MW90,000であった。
【0072】
合成例5 ポリウレタンポリウレア(E−2)の合成
化合物(B−1)35gの代わりに化合物(B−2)40gを用い、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)2.2gを代わりに2.2gを用いた以外は合成例4と同様にして、水酸基を有するポリウレタンポリウレア(E−2)溶液を得た。
この反応溶液は無色透明で固形分50%、粘度4000cps、数平均分子量MN30,000、重量平均分子量MW100,000であった。
【0073】
合成例6 ポリウレタンポリウレア(E−3)の合成
化合物(B−1)35gの代わりに化合物(B−3)39gを用い、2−アミノ−2−メチル−プロパノール(長瀬産業株式会社製)2.2gを代わりに2.0gを用いた以外は合成例4と同様にして、水酸基を有するポリウレタンポリウレア(E−3)溶液を得た。
この反応溶液は無色透明で固形分50%、粘度3500cps、数平均分子量MN28,000、重量平均分子量MW110,000であった。
【0074】
合成例7
撹拌機、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにブチルアクリレート75g、2−エチルヘキシルアクリレート20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート5g、酢酸エチル135g、トルエン15g、過酸化ベンゾイル0.2gからなる溶液を還流冷却器を備えた反応器に入れ、窒素ガス気流下80〜85℃にて8時間反応を行い、樹脂溶液を得た。この溶液は無色透明で固形分40%、粘度5,200cpsであった。
【0075】
【実施例1】
合成例4で合成したポリウレタンウレア(E−1)溶液100gに対して、イソシアネート基を有する化合物(F)としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75%酢酸エチル溶液を2g、長鎖脂肪酸エステル(G)としてミリスチン酸イソプロピルを20g、粘着付与剤としてKR−1840(水酸基含有石油系樹脂:荒川化学工業株式会社製)を配合し、粘着剤を得た。
得られた粘着剤を剥離紙に乾燥塗膜25μmになるように塗工し、100℃−2分乾燥し、塗工後室温で1週間経過させ、試験用粘着テープを得た。該粘着テープを用いて、以下に示す方法に従って、粘着力、ヌレ性、再剥離性の試験をした。
【0076】
<粘着力>
試験用粘着テープの粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚25μm)を貼着し、次いで剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層を厚さ0.4mmのステンレス板(SUS304)に23℃−65%RHにて貼着し、JISに準じてロール圧着した。圧着20分後、ショッパー型剥離試験器にて剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分;単位g/25mm幅)を測定した。
【0077】
<ヌレ性>
試験用粘着テープの粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚25μm)を貼着し、5cm×5cmの正方形粘着シートを作成し、次いで剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層の端部を指でゆっくり押さえ、粘着剤層全体がガラス板に貼着するまでの秒数を測定することにより、ヌレ広がり状態を評価した。粘着剤層全体がガラス板に貼着するまでに要した時間が、
1秒未満のもの ◎
1秒以上〜5秒未満のもの ○
5秒以上のもの △
ほとんど広がらないもの ×
として評価した。
【0078】
<再剥離性>
試験用粘着テープの粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚25μm)を貼着し、次いで剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層をステンレス板(SUS304)、またはガラス板にそれぞれ貼着した後、40℃−80%RHの条件下に放置し、23℃−65%RHに冷却した後、剥離し、糊残り性を目視で評価した。剥離後、
被着体への糊移行の全くないもの ◎
ごくわずかにあるもの ○
部分的にあるもの △
完全に移行しているもの ×
として評価した。
【0079】
【実施例2〜3】
ポリウレタンウレア(E−1)溶液の代わりに、合成例5〜6で合成したポリウレタンウレア(E−2)〜(E−3)溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤を得、同様に評価した。
【0080】
【比較例1】
合成例5で合成したポリウレタンウレア(E−2)溶液100gに対して、イソシアネート基を有する化合物(F)として、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75%酢酸エチル溶液2gを配合し粘着剤を得、以下実施例1と同様にして評価した。
【比較例2】
比較例1と同様に、合成例7で合成した樹脂溶液を順に配合し測定し、比較例2とした。
【比較例3】
長鎖脂肪酸エステル(G)としてミリスチン酸イソプロピルの代わりにカプリル酸メチル15gを用いた以外は実施例2と同様にして粘着剤を得、同様に評価した。
【0081】
表1に、実施例1〜3、比較例1〜3の樹脂粘着剤組成、粘着力、ヌレ性、再剥離性試験結果を示す。
【0082】
【表1】
【0083】
本発明の粘着剤は、被着体に対するヌレ性、再剥離性に優れていることが分かる。これに対して、比較例1に示したウレタン樹脂粘着剤は、長鎖脂肪酸エステルが含まれていないため、再剥離性は良好だが、ヌレ性が不足している。また、比較例2に示したアクリル樹脂粘着剤は、再剥離性が不良である。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、ポリウレタンポリウレア系粘着剤に長鎖脂肪酸エステルを用いることによって、粘着力は中粘着領域にあり、ヌレ性、再剥離性に優れた粘着剤が得られるようになった。
Claims (6)
- 下記活性水素を有するポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び炭素数10以上の長鎖脂肪酸エステル(G)を含有することを特徴とする粘着剤。
ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を、ポリアミン(b1)と不飽和二重結合を有する化合物(b2)とをマイケル付加反応させてなる化合物(B)と反応させてなるイソシアネート基含有ポリウレタンウレア(C)と、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物(D)とをイソシアネート基に対し活性水素過剰の条件下に反応させてなる活性水素基を有するポリウレタンウレア(E)。 - ポリウレタンウレア(E)、イソシアネート基を有する化合物(F)及び長鎖脂肪酸エステル(G)の合計100重量%中に、ポリウレタンウレア(E)を50〜95重量%、イソシアネート基を有する化合物(F)を0.5〜10重量%、長鎖脂肪酸エステル(G)を0.5〜50重量%含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
- 長鎖脂肪酸エステル(G)の炭素数が10〜30であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着剤。
- 長鎖脂肪酸エステル(G)がミリスチン酸イソプロピルであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の粘着剤。
- シート状基材の一方の面に、請求項1ないし4いずれか記載の粘着剤から形成される粘着剤層が積層されてなることを特徴とする医療用粘着テープ。
- シート状基材の透湿度が1,500(g/(m2・24h))以上であることを特徴とする請求項5記載の医療用粘着テープ。
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