JP2012174680A - リチウム電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】放充電のサイクル時における容量ロスを低減し、電池特性を改善したリチウム電池であり、水分に関する問題を解決したリチウム電池の製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有する電解質溶液を備えるリチウム電池であって、該添加剤は、マレイミド系化合物と、分子量が1000未満のヒドロキシル基を含む化学種を含有し、ここで、該電解質溶液中の該ヒドロキシル基を含む化学種の含有量が0.05重量%〜5重量%である。かかる混合添加剤は、電気化学的反応を起こして電極表面上に特別な物質を形成し、電極表面上の電解質溶液の分解を軽減する。また、−5℃〜15℃の露点で、アノードとカソードをセパレータで分離して電池のジェリーロールを作る工程とすることにより、電池内での多量の水分に関する従来の問題を解決することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウム電池に関するものである。特に、本発明は、リチウム電池の電解質溶液に関するものである。
一次電池は環境保護の要求事項に適合しないため、近年、再充電が可能な二次電池システムが徐々に注目されている。デジタルカメラ、携帯電話およびノート型パソコンなどの携帯用電子製品は全て、軽量な電池を必要とする。携帯用電子機器が急速に開発され普及するにつれて、軽量性、高い電圧、高いエネルギー密度などといったその特性から、繰り返し充放電のできるリチウム電池が市場で人気を集めている。従来の鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池およびニッケルカドミウム電池に比べ、リチウム電池は、高い使用電圧、高いエネルギー密度、軽量であること、長い耐用年数および環境保護などの利点を有しており、また、将来における電池の柔軟な応用性という点についても最良の選択である。従って、リチウム電池の軽量性、耐久性、高い電圧、高いエネルギー密度および高い安全性に関する性能要件が増え、リチウム電池は、軽量電気自動車、電気自動車および大口電力貯蔵産業における高い応用性および拡大の可能性を有している。
しかしながら、従来技術によれば、電池の電気化学反応時に水分が存在すると電気分解によってそれが酸素と水素になり、電池の膨張や性能の劣化をもたらすことから、リチウム電池は高い乾燥度および低含水率の環境下で製造しなければならない。さらに、電池に多量の水分があると、リチウム塩と反応してフッ化水素酸を形成するような副反応が起こり、かかる反応によって電極剤の遷移金属イオンの放出やコレクタ層の腐食をもたらすことがあり、その場合、容易に電池の危険な状況に至る。リチウム電池は、高い乾燥度および低含水率の(例えば、相対湿度が5%未満の)環境下で製造しなければならないので、多くの製造業者は、製造に関するプロセス要求に対処した生産および組立てを行うために乾燥室および乾燥工場を建設しなければならず、その結果、リチウム電池の製造業者は、高額な電気代を払わなければならない。一方で、電池における多量な水分の問題を改善するための二次パッケージ加工手順の実施には、エアチャンバーを使用することができる。二次パッケージ加工手順とは、最初の電気化学反応時に、電池に含まれる多量の水分を電気分解してガスにし、エアチャンバーへ流れ込むそのガスを導くための空間を電池中に保持し、そのあとに二次パッケージを実施してそのエアチャンバーを除去する操作を指す。従って、この二次パッケージの製造工程は、手間と時間がかかる。しかしながら、前述の製造工程は、全てが不便であり、追加製造コストを増大させることがある。
従って、本発明は、リチウム電池に関するものであり、該リチウム電池は、改善された電池性能を有する。
また、本発明は、リチウム電池の製造方法に関するものでもあり、該製造方法によって、低い乾燥度または通常の乾燥度の環境下で製造を実施する。
本発明は、アノード、カソード、セパレータおよび電解質溶液を含むリチウム電池を提供する。カソードは、アノードに対向する。セパレータは、アノードとカソードとの間に位置し、ここで、アノード、カソードおよびセパレータが、通常、含有領域を形成する。電解質溶液は、含有領域に配置され、有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有する。添加剤は、マレイミド系化合物およびヒドロキシル基を含む化学種を含有し、ここで、ヒドロキシル基を含む化学種の分子量は1000未満であり、電解質溶液中のヒドロキシル基を含む化学種の含有量は0.05重量%〜5重量%である。
本発明のある実施形態において、ヒドロキシル基を含む化学種は、芳香族の化学種である。
本発明のある実施形態において、ヒドロキシル基を含む化学種は、次の式(2−1)〜(2−4)で表される化合物のうちの少なくとも1つである。
Figure 2012174680
本発明のある実施形態において、ヒドロキシル基を含む化学種は、非芳香族の化学種である。
本発明のある実施形態において、ヒドロキシル基を含む化学種は、次の式(3−1)〜(3−4)で表される化合物のうちの少なくとも1つであり、ここで、式(3−2)および(3−3)におけるnは、それぞれ0〜30の範囲にある。
Figure 2012174680
本発明のある実施形態において、電解質溶液中の、式(3−1)によって表されるヒドロキシル基を含む化学種の含有量は、およそ50ppm〜500ppmの範囲である。
本発明のある実施形態において、マレイミド系化合物は、マレイミド、ビスマレイミド、ポリマレイミド、ポリビスマレイミドおよびビスマレイミドとマレイミドとのコポリマーからなる群から選択される。
本発明のある実施形態において、添加剤は、さらに、ビニレンカーボネートを含有する。
本発明のある実施形態において、リチウム電池は、さらに、アノード、カソード、セパレータおよび電解質溶液に巻きつけられるパッケージ構造を含む。
本発明は、リチウム電池の製造方法を提供し、次の工程を含む;−5℃〜15℃の露点で、アノードとカソードをセパレータで分離して電池のジェリーロールを作り、ここで、通常、かかるアノード、カソードおよびセパレータが、含有領域を形成する;電解質溶液を、含有領域に充填し、ここで、かかる電解質溶液は有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有し、かかる添加剤はマレイミド系化合物を含有する。
本発明のある実施形態において、電解質溶液を含有領域に充填する工程は、電池のジェリーロールを作った直後に実施される。
本発明のある実施形態において、添加剤はさらに、ヒドロキシル基を含む化学種を含有し、かかるヒドロキシル基を含む化学種の分子量は1000未満である。
本発明のある実施形態において、添加剤は、さらに、ビニレンカーボネートを含む。
本発明のある実施形態において、アノード、カソード、セパレータおよび電解質溶液にパッケージ構造が巻きつけられている。
本発明のある実施形態において、電解質溶液中の最終的な水分の含有量は、およそ50ppm〜500ppmの範囲である。
前述の説明によれば、本発明のリチウム電池において、電解質溶液の混合添加剤中にマレイミド系化合物とヒドロキシル基を含む化学種とが含まれているので、かかる混合添加剤は、電気化学的反応を起こして電極表面上に特別な物質を形成し、電極表面上の電解質溶液の分解を軽減するかもしれない。従って、リチウム電池の放充電のサイクル時における容量のロスを低減することができ、それにより効果的に電池容量が増え、こうして、電池の特性を改善することができる。
さらに、本発明のリチウム電池の製造方法によって電池の多量の水分に関する従来の問題を解決することができ、高い乾燥度および低含水率の環境は、製造にとって必要ではない。こうして、製造コストが効果的に低減され、電池性能が改善される。
本発明に関する前述およびその他の特徴および利点を理解しやすくするため、以下、図面とともに、いくつかの例となる実施形態を詳細に説明する。
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。かかる図面は、本発明の実施形態を示しており、説明とともに本発明の原理を説明するに役立つものである。
は、本発明の一実施形態によるリチウム電池の断面図である。 は、図1における部分Aの部分拡大図である。 は、本発明の一実施形態によるリチウム電池の製造工程を示したフローチャートである。 は、本発明の実験例および比較例による、充放電のサイクルとリチウム電池の容量の相関曲線を示した図である。 は、本発明の実験例および比較例による、リチウム電池の充電工程時のACインピーダンス曲線を示した図である。
これから、本発明の好適な実施形態について詳細に述べ、その実施例を添付図面に示す。可能な限り、図面および説明において、同一の、または対応する部分を言及するには同一の参照番号を用いている。
図1は、本発明のある実施形態によるリチウム電池の断面図である。図1に関して、リチウム電池100は、アノード102、カソード104、セパレータ106および電解質溶液108を含む。カソード104はアノード102に対向し、セパレータはアノード102とカソード104との間に位置する。通常、アノード102、カソード104およびセパレータ106が、含有領域110を形成する。電解質溶液108は、含有領域110に配置される。リチウム電池100は、パッケージ構造112をさらに含む。パッケージ構造112は、通常のアルミ箔のパッケージとすることができ、アノード102、カソード104、セパレータ106および電解質溶液108に巻きつけて使用する。
アノード102は、銅箔102aおよびアノード活物質102bを含み、アノード活物質102bは、銅箔102a上にコーティングまたはスパッタリングされている。アノード活物質102bは、LiAl、LiZn、LiBi、LiCd、LiSb、LiSi、Li4.4Pb、Li4.4Sn、LiC、LiFeN、Li2.6Co0.4N、Li2.6Cu0.4N、またはこれらの組合せとすることができる。また、一方で、アノード活物質102bは、炭素粉末、グラファイト、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、またはこれらの混合物とすることもできる。本発明のある実施形態において、アノード活物質102bは炭素粉末であってもよく、その粒径は5μm〜30μmである。前述の物質以外には、アノード活物質102bは、SnO、SnO、GeO、GeO、InO、In、PbO、PbO、Pb、Pb、AgO、AgO、Ag、Sb、Sb、Sb、SiO、ZnO、CoO、NiO、FeO、またはこれらの組合せなどの金属酸化物をさらに含んでもよい。
カソード104の原料は、例えば、リチウム混合金属酸化物であり、それは、LiMnO、LiMn、LiCoO、LiCr、LiCrO、LiNiO、LiFeO、LiNiCo1−x、LiFePO、LiMnNi、LiMnCoNi、LiMc0.5Mn1.5、またはこれらの組合せとすることができ、ここで、0<x<1、0<y<1、0<z<1、x+y+z=1、およびMcは二価金属である。
ある実施形態において、アノード102および/またはカソード104は、かかる電極の機械的性質を増大させるためポリマー接着剤をさらに含有してもよい。適切なポリマー接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアミド、メラミン樹脂、またはこれらの組合せとすることができる。
セパレータ106は、絶縁材とすることができ、それは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはこれらの多層複合構造(例えば、PE/PP/PE)である。
電解質溶液108は、有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有し、ここで、電解質溶液108中の有機溶媒の含有量は60重量%〜50重量%であり、電解質溶液108中のリチウム塩の含有量は35重量%〜50重量%であり、電解質溶液108中の添加剤の含有量は0.05重量%〜5重量%である。有機溶媒は、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、炭酸ジエチル(DEC)、酢酸プロピル(PA)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、またはこれらの組合せとすることができる。リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiAlCl、LiGaCl、LiNO、LiC(SOCF,LiN(SOCF、LiSCN、LiOSCFCF、LiCSO、LiOCCF、LiSOF、LiB(C、LiCFSO、またはこれらの組合せとすることができる。
電解質溶液108中の添加剤は、マレイミド系化合物、ヒドロキシル基を含む化学種、および任意にビニレンカーボネートを含み、ここで、かかるヒドロキシル基を含む化学種の分子量は1000未満である。電解質溶液108中のマレイミド系化合物の含有量は、例えば、0.05重量%〜5重量%であり、電解質溶液108中のヒドロキシル基を含む化学種の含有量は、例えば、0.05重量%〜5重量%であり、電解質溶液108中のビニレンカーボネートの含有量は、例えば、0重量%〜2重量%である。
添加剤のマレイミド系化合物は、マレイミド、ビスマレイミド、ポリマレイミド、ポリビスマレイミド、およびビスマレイミドとマレイミドのコポリマーからなる群から選択することができる。マレイミドは、例えば、N−フェニルマレイミド、N−(o−メチルフェニル)−マレイミド、N−(m−メチルフェニル)−マレイミド、N−(p−メチルフェニル)−マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、マレイミドフェノール、マレイミドベンゾシクロブテン、リン含有マレイミド、ホスファトマレイミド、シロキサニルマレイミド、N−(テトラヒドロピラニル−オキシフェニル)マレイミド、または2,6−ジメチルフェニルマレイミドである。ビスマレイミドの構造は、次の式(1−1):
Figure 2012174680
によって表され、ここで、上式(1−1)中のRは、下記によって表すことができる。
Figure 2012174680
上記の説明によれば、添加剤において分子量が1000未満であるヒドロキシル基を含む化学種は、芳香族の化学種または非芳香族の化学種とすることができる。詳細には、ヒドロキシル基を含む化学種が芳香族の化学種であるとき、かかるヒドロキシル基を含む化学種は、次の式(2−1)〜(2−4)で表される化合物のうちの少なくとも1つとすることができる。
Figure 2012174680
ヒドロキシル基を含む化学種が非芳香族の化学種であるとき、かかるヒドロキシル基を含む化学種は、次の式(3−1)〜(3−4)で表される化合物:
Figure 2012174680
のうちの少なくとも1つとすることができ、ここで、式(3−2)および(3−3)におけるnは、それぞれ0〜30の範囲にある。ある実施形態において、電解質溶液108中の添加剤が式(3−1)で表される水を含むとき、電解質溶液108中のかかる水の含有量は、50ppm〜500ppmの範囲であってよい。
本発明において、マレイミド系化合物は、特定の含有量のヒドロキシル基を含む化学種(例えば、水、または吸水性の官能基を有するその他の分子)と共に使用され、電解質溶液108の混合添加剤として機能し、これがリチウム電池の容量およびサイクル寿命を改善する効果をもたらすことに留意されたい。詳細には、マレイミド系化合物、ヒドロキシル基を含む化学種およびビニレンカーボネートは、電解質溶液108の添加剤中で電気化学的なカップリング反応を起こし、アノードの表面上に特別な物質、すなわち固体電解質界面(SEI)を形成することがある。
図2は、図1における部分Aの部分拡大図である。例えば、図2に示すように、電解質溶液108の添加剤中のマレイミド系化合物、ヒドロキシル基を含む化学種およびビニレンカーボネートの間で電気化学反応が起きることがあるため、アノード102の表面上に、電解質溶液108と接触して(すなわちアノード活物質102b上に)、SEI202を形成する。このように、SEI202は、アノード102の表面上での電解質溶液108の分解を軽減するために用いることができ、それにより、アノード102の充放電の効率性が改善され、放充電のサイクル時におけるリチウム電池の電気容量の不可逆的なロスが低減される。
さらに、式(2−1)〜(2−4)で示される芳香族化合物および式(3−1)〜(3−4)で示される非芳香族化合物は、説明のための例として解釈されるが、本発明はそれらに限定せず、ヒドロキシル基を含む化学種の分子量が1000未満であり、電解質溶液108中のヒドロキシル基含有量が0.05重量%〜5重量%であり、本発明の範囲内であると見なされる限り、当業者は、実際の設計要件やプロセス条件に従って、電解質溶液108の添加剤中のヒドロキシル基を含む化学種の種類および含有量を調整することができる。
以下、リチウム電池の製造方法について紹介する。以下の製造フローは、リチウム電池の製造方法を詳細に紹介するために用いられ、これは、低い乾燥度または通常の乾燥度の環境下で実施することができるが、本発明を限定するために用いられるものではない。リチウム電池のその他の構成材の原料、組成物、形成方法および形成手順は、当業者に周知の一般的方法に従って、または前述の実施形態の説明に従って決定および実施することができるが、次の実施形態に限定されるものではない。図3は、本発明のある実施形態によるリチウム電池の製造工程を示したフローチャートである。
図3に関して、工程S302では、−5℃〜15℃の露点で、アノードとカソードをセパレータで分離して電池のジェリーロールを作り、ここで、通常、アノード、カソードおよびセパレータが、含有領域を形成する。さらに、工程S302の前に、最初にアノードとカソードを製造することができる。そのあと、露点が−5℃〜15℃の、低い乾燥度または通常の乾燥度の環境下で、セパレータ(例えば、PP製)を用い、巻きつけ手法でアノードとカソードを分離して電池のジェリーロールを作る。低い乾燥度または通常の乾燥度の環境の相対湿度は、例えば15%〜50%である。ある実施形態では、電池のジェリーロールは、大気環境にしばらくの間放置することなく、そのあとの製造工程で直ちに使用できる。もう一つの実施形態では、この電池のジェリーロールは、最初に大気環境にしばらくの間放置することができ、そのあと、次の製造工程で使用する。
工程S304では、電解質溶液を含有領域に充填し、ここで、電解質溶液は、有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有し、添加剤は、マレイミド系化合物およびビニレンカーボネートを含有する。電解質溶液は、有機溶媒、リチウム塩および添加剤の混合物とすることができ、ここで、電解質溶液中の有機溶媒の含有量は60重量%〜50重量%であり、電解質溶液中のリチウム塩の含有量は35重量%〜60重量%であり、電解質溶液中の添加剤の含有量は0.05重量%〜5重量%である。さらに、ある実施形態では、含有領域に充填した電解質溶液の添加剤は、ヒドロキシル基を含む化学種を含有し、ここで、かかるヒドロキシル基を含む化学種の分子量は1000未満である。ヒドロキシル基を含む化学種の種類および含有量は、ここでは繰り返されないが、前述の実施形態に従って調整でき、変更でき、および応用できることに留意されたい。
工程S306では、アノード、カソード、セパレータおよび電解質溶液にパッケージ構造を巻きつけ、リチウム電池の製造を完了する。
リチウム電池を特定の湿度条件下で製造することで、環境中の水分(水蒸気)が電解質中の添加剤と反応することがあり、その結果、電気化学的なカップリング反応が起きて電極表面にSEIを形成し、電解質溶液の添加剤にヒドロキシル基を含む化学種を加えた前述の実施形態の効果がもたらされることに留意されたい。さらに、従来技術によれば、製造工程は、リチウム電池をパッケージ化する前には、高い乾燥度および低含水率の環境下で実施しなければならない。その一方、本発明の製造方法によれば、製造工程は、露点が−5℃〜15℃の、低い乾燥度または通常の乾燥度の環境下で実施することができる。従って、本発明における製造に際して高い乾燥度および低含水率の環境は必要ではなく、厳格な乾燥処理は不要であり、その結果、リチウム電池の容量および電池性能が改善しながらも、その製造コストは低減する。
本発明のリチウム電池およびその製造方法が本当に電池の性能を改善できるかを証明するため、説明用の実験例を提供する。次の実験例のデータ結果は、本発明の製造方法によって製造されたリチウム電池の容量、電池の効率および交流(AC)インピーダンス等の特性を説明するためのみに使用され、本発明を制限するために使用されるものではない。
(実験例)
90重量部のLiCoO、5重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、5重量部のアセチレン・ブラック(導電性粉末)をN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に添加して分散し、かくして得られたペーストをアルミ箔にコーティングした後、乾燥、圧縮および切断工程を経て、カソードを形成する。さらに、95重量部のグラファイトおよび5重量部のPVDFをNMPに添加して分散し、かくして得られたペーストをアルミ箔にコーティングした後、乾燥、圧縮および切断工程を経て、アノードを形成する。そのあと、露点が−5℃〜15℃の、低い乾燥度または通常の乾燥度の環境下で、PPをセパレータとして用い、巻きつけ手法でアノードとカソードを分離して電池のジェリーロールを作り、かかる電池のジェリーロールを通常の湿度または高湿度(例えば、相対湿度が95%以上)の環境に6ヶ月間放置する。
そのあと、電解質溶液の有機溶媒として、2容量部のプロピレンカーボネート(PC)、3容量部のエチレンカーボネート(EC)および5容量部のジエチルカーボネート(DEC)を混合する。電解質溶液のリチウム塩は、濃度が1MのLiPFである。電解質溶液の添加剤は、ビスマレイミドおよびビニレンカーボネートを含有し、ここで、今回の例におけるビスマレイミドは、式(1−2)に示す通りである。電解質溶液中のビスマレイミドの含有量はおよそ0.1重量%であり、電解質溶液中のビニレンカーボネートの含有量はおよそ2重量%である。そのあと、アノードとカソードとの間にある含有領域に、前述の電解質溶液を追加する。最後に、前述の構造にパッケージ構造を巻きつけてリチウム電池の製造を完了し、一般的な室温下でリチウム電池の充放電の試験を行う。今回の例のリチウム電池において、電解質溶液中の最終的な水分の含有量はおよそ500ppmである。
Figure 2012174680
(比較例)
90重量部のLiCoO、5重量部のPVDF、5重量部のアセチレン・ブラック(導電性粉末)をNMPに添加して分散し、かくして得られたペーストをアルミ箔にコーティングした後、乾燥、圧縮および切断工程を経て、カソードを形成する。さらに、95重量部のグラファイトおよび5重量部のPVDFをNMPに添加して分散し、かくして得られたペーストをアルミ箔にコーティングした後、乾燥、圧縮および切断工程を経て、アノードを形成する。そのあと、露点が−25℃〜−40℃の、高い乾燥度の環境下で、PPをセパレータとして用い、巻きつけ手法でアノードとカソードを分離して電池のジェリーロールを作り、かかる電池のジェリーロールを高い乾燥度(例えば、相対湿度が5%未満)の環境に6ヶ月間放置する。そのあと、前述と同様の製造工程を用いてリチウム電池の製造を完了し、一般的な室温下でリチウム電池の充放電の試験を行う。
すなわち、この比較例は、高い乾燥度(例えば、相対密度が5%未満)の環境下で電池のジェリーロールを作ること、および高い乾燥度の環境に6ヶ月間放置することを除き、その他の電池の製造工程、並びに電解質溶液中の有機溶媒、リチウム塩および添加剤の含有量の全てにおいて、前述の実験例と同じである。
(電気的性質の測定)
A.電池容量
実験例および比較例におけるリチウム電池を、一定の電流/電圧で充電および放電した。最初に、0.2mA/cmの一定の電流密度を用い、電圧が4.2V、電流が0.1mA以下になるまでリチウム電池の充電を行う。そのあと、0.2mA/cmの一定の電流密度で、カットオフ電圧(2.75V)で、リチウム電池を放電する。実験例および比較例のそれぞれにおける容量(ミリアンペア・時間(mAh))および効率は、次の表1に示す通りである。
B.充放電サイクル試験
実験例および比較例におけるリチウム電池を、一定の電流/電圧で充電および放電する。最初に、260mAの一定電流を用い、電圧が4.2V、電流が2.6mA以下になるまでリチウム電池の充電を行う。そのあと、1mA/cmの電流密度で、カットオフ電圧(2.75V)に達するまで、リチウム電池を放電し、上記の工程を7回繰り返す。実験例および比較例における容量(ミリアンペア・時間(mAh))は、次の表1に示す通りである。さらに、図4は、本発明の実験例および比較例による、充放電のサイクルとリチウム電池の容量の相関曲線を示した図である。
C.ACインピーダンス実験
7サイクル目において実験例および比較例におけるリチウム電池を一定の電流で完全に放電したあと、振幅が5mVのAC電圧を用い、ダイオードタイプのACインピーダンス・スキャンニングを100K〜0.01Hzの範囲の周波数で実施する。
図5は、本発明の実験例および比較例による、リチウム電池の充電工程時のACインピーダンス曲線を示した図である。
Figure 2012174680
表1を参照して実験例と比較例とを比較すると、7回のサイクルの後、実験例における容量が5%〜10%だけ増加している。さらに、図4に示すように、乾燥処理を実施しておらず、高湿度(例えば、相対湿度が95%以上)の環境に6ヶ月間放置した実験例のリチウム電池のサイクル寿命は、厳格な乾燥処理を実施し、高い乾燥度(例えば、相対密度が5%未満)の環境に長期間放置した比較例のリチウム電池のサイクル寿命よりも長い。比較例と比べて、実験例のリチウム電池の電気的特性は比較的乏しく、電池の充放電工程の第1サイクルにおける電池反応の不可逆性は比較的大きい。前述の結果に至った理由は、電池の充放電工程の第1サイクル時、電解質溶液中の添加剤と水分が電気化学的反応を起こして電極表面上にSEIを形成したからかもしれない(図2を参照)。しかしながら、電池の充放電工程の第2サイクル以降、実験例における電池容量は比較例における電池容量よりも明らかに高い。従って、実験例のリチウム電池をある湿度の環境に放置することにより、全体の電池容量を計算上で5%〜10%増加させることができる。
さらに、図5に示すように、リチウム電池を充電したとき、実験例におけるリチウム電池のACインピーダンスの上昇規模は、比較例におけるリチウム電池のそれよりもはるかに小さく、実験例におけるリチウム電池のACインピーダンス全体は、比較例におけるリチウム電池のそれよりも低く、これが、実験例におけるリチウム電池のサイクル寿命が増加する効果をもたらしている。
上記のデータによれば、たとえ乾燥処理が実施されなくても、リチウム電池およびその製造方法は、リチウム電池の容量をなお効果的に改善することができる。このように、電解質溶液中の添加剤の電気化学的反応を通じて、如何なる電池の設計や電極の材料も変更することなく、リチウム電池の容量および効率を改善することができる。
要約すれば、本発明のリチウム電池およびその製造方法は、少なくとも以下の利点を有している:
1. 前記実施形態のリチウム電池において、電解質溶液の混合添加剤中にマレイミド系化合物とヒドロキシル基とを含む化学種を含み、これらが電池の容量および効率を効果的に改善する。
2. 前記実施形態のリチウム電池の製造方法において、特定の湿度条件下でリチウム電池を製造することができ、その結果、環境中および添加剤中の水分が電気化学的反応を起こすことがあり、これによりリチウム電池の容量を改善する効果をもたらす。
3. 前記実施形態のリチウム電池およびその製造方法は、単純な製造工程および組み立てを含む既存の製造工程と統合することができる。さらに、高精度の乾燥工場さえ適用せずとも電池性能を効果的に改善することができ、その結果、電池の製造コストが効果的に低減し、その競争力が改善する。
本発明の範囲および精神を離れることなく、本発明の構造体に対してさまざまな修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明白である。前述を考慮し、次の請求の範囲及びそれと均等な範囲内にあるという条件で、本発明は、本発明の修正や変更にまで及ぶことを目的としている。

Claims (10)

  1. アノードと、
    該アノードに対向するカソードと、
    該アノードおよびカソードの間に位置するセパレータとを備え、該アノード、カソードおよびセパレータが含有領域を形成し、さらに、
    該含有領域内に配置され、有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有する電解質溶液を備えるリチウム電池であって、該添加剤は、
    マレイミド系化合物と、
    分子量が1000未満のヒドロキシル基を含む化学種を含有し、ここで、該電解質溶液中の該ヒドロキシル基を含む化学種の含有量が0.05重量%〜5重量%である、リチウム電池。
  2. 前記ヒドロキシル基を含む化学種が、次式(2−1)〜(2−4)で表される化合物のうちの少なくとも1つから選択される芳香族の化学種である、請求項1に記載のリチウム電池。
    Figure 2012174680
  3. 前記ヒドロキシル基を含む化学種が、次式(3−1)〜(3−4)で表される化合物のうちの少なくとも1つから選択される非芳香族の化学種であり、式(3−2)および(3−3)におけるnが、それぞれ0〜30の範囲にある、請求項1または2に記載のリチウム電池。
    Figure 2012174680
  4. 前記マレイミド系化合物が、マレイミド、ビスマレイミド、ポリマレイミド、ポリビスマレイミドおよびビスマレイミドとマレイミドとのコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載のリチウム電池。
  5. 前記アノード、カソード、セパレータおよび電解質溶液に巻きつけられたパッケージ構造をさらに含む、請求項1に記載のリチウム電池。
  6. リチウム電池の製造方法であって、
    a)−5℃〜15℃の露点で、アノードとカソードをセパレータで分離して電池のジェリーロールを作る工程と、
    b)電解質溶液を含有領域に充填する工程と
    を含み、工程a)において、通常、該アノード、カソードおよびセパレータが含有領域を形成し、工程b)において、該電解質溶液が有機溶媒、リチウム塩および添加剤を含有し、該添加剤がマレイミド系化合物を含有する、
    リチウム電池の製造方法。
  7. 電解質溶液を含有領域に充填する前記工程が、電池のジェリーロールを作った直後に実施される、請求項6に記載のリチウム電池の製造方法。
  8. 前記添加剤がヒドロキシル基を含む化学種をさらに含み、該ヒドロキシル基を含む化学種の分子量が1000未満である、請求項6に記載のリチウム電池の製造方法。
  9. 前記アノード、カソード、セパレータおよび電解質溶液にパッケージ構造を巻きつける工程をさらに含む、請求項6に記載のリチウム電池の製造方法。
  10. 前記電解質溶液中の最終的な水分の含有量が50ppm〜500ppmの範囲である、請求項6に記載のリチウム電池の製造方法。
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