JP2012171505A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤのショルダー部における剪断歪みに起因する偏摩耗の抑制と、ショルダー部の石の入り込みの抑制とを両立させる。
【解決手段】空気入りタイヤ1のトレッド40に形成される窪み部10は、タイヤ径方向外側から内側に向かうに連れて先細りになったテーパ部分20と、底部分21とを有する。窪み部10は、タイヤ径方向外側に行くに連れて径が大きくなる円錐台状に形成され、テーパ部分20は、円錐台の側面に相当し、底部分21は、円錐台の底面を構成する。窪み部10の底部分21には、タイヤ径方向TRの内側に向けて延びる底溝30が形成されている。底溝30は、互いに対向する溝壁31,32と、溝壁31,32に連なる溝底部分33を有し、溝壁31,32は、タイヤ径方向内側に向けて延びるとともにタイヤ周方向Rに沿って形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、トレッドの表面からタイヤ径方向内側に窪んだ窪み部が形成されたタイヤに関する。
従来、自動車に装着されるタイヤでは、トレッドに形成される溝と陸部の形状や、内部構造違いなどによって、トレッドの中央部の剛性とショルダー部の剛性とは、必ずしも等しくならない。このため、中央部の摩耗と、ショルダー部の摩耗とが均一に進展せず、偏って摩耗する、いわゆる偏摩耗が発生することがある。そこで、偏摩耗を抑制するための様々な方法が提案されている。
例えば、ショルダー部のトレッド幅方向における長さが、中央部のトレッド幅方向における長さよりも大きく、ショルダー部の剛性が中央部の剛性よりも高く形成されたタイヤにおいて、ショルダー部にタイヤ周方向に沿って延びる細溝を形成することにより、ショルダー部の剛性を抑える方法が知られている。このようなタイヤは、ショルダー部の剛性を抑えることにより、直進走行中の急な減速時などにショルダー部のブロック又はリブ状陸部にタイヤ周方向に沿って入力される剪断歪みを抑え、偏摩耗を抑制する効果を有する。
しかし、このような細溝には、走行中に石などが入り込むことがあり、細溝に入り込んだ石によって起こるトレッドの亀裂や、入り込んだ小石が路面と接触することによる接触音の発生などの新たな課題を生んでいた。
これに対して、細溝の幅をタイヤ径方向内側から外側に向かうに連れて徐々に広くする方法が知られている(例えば、特許文献1)。これにより、細溝から石が排出されやすくなる。
特開平5−278414号公報(第3−4頁、第2図)
しかしながら、上述した従来のタイヤには、次のような問題があった。すなわち、タイヤ周方向に沿った細溝への石の入り込みは防止できるが、細溝のトレッド表面側の溝幅が細溝の底部における溝幅よりも広いため、自動車の旋回時などに、溝壁間が狭まる変形が発生し易いため、溝の開口端部が優先的に摩耗する、いわゆるリバーウエアとよばれる偏摩耗が発生しやすくなる。このように、偏摩耗の抑制と、細溝に石が入り込むことの不都合の防止とを両立することは難しかった。
そこで、本発明は、トレッドの偏摩耗の抑制と、トレッドに形成された溝への石の入り込みの抑制とを高い次元で両立できるタイヤの提供を目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、路面と接地するトレッドを有するタイヤであって、前記トレッドには、前記トレッドの表面からタイヤ径方向内側に窪んだ窪み部がタイヤ周方向に等間隔に形成されており、前記窪み部は、タイヤ径方向外側から内側に向かうに連れて先細りになっており、前記窪み部の底部分には、タイヤ径方向内側に向けて延びるとともに互いに対向する壁面を有する溝が形成されており、前記壁面は、タイヤ周方向に沿っていることを要旨とする。
本発明の特徴において、前記トレッドは、タイヤ周方向に沿って延びる複数の周方向溝を有し、複数の前記周方向溝によってタイヤ周方向に連なる複数のリブ状陸部が形成されており、前記窪み部は、複数の前記リブ状陸部のうちトレッド幅方向外側に位置するショルダー側陸部に形成されていてもよい。
また、本発明の特徴において、前記ショルダー側陸部には、前記窪み部がタイヤ周方向に並べられた列がトレッド幅方向に2列形成されていてもよい。
本発明の特徴において、前記ショルダー側陸部には、前記トレッド幅方向に延び、且つ前記周方向溝に連通することなく前記ショルダー側陸部内に終端部を有する幅方向溝が形成されており、前記窪み部の列のうち少なくとも1列と前記幅方向溝の終端部とが、タイヤ周方向において重複していてもよい。
本発明の特徴によれば、タイヤのショルダー部における偏摩耗の抑制と、トレッドに形成された溝への石の入り込みの抑制とを高い次元で両立できるタイヤの提供を目的とする。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの展開図である。 図2は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成される窪み部の周辺を拡大した拡大図である。 図3は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成される窪み部を説明する斜視図である。 図4は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成される窪み部のトレッド平面視における拡大図である。 図5は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドに形成される窪み部のトレッド幅方向且つタイヤ径方向における断面図である。 図6は、比較評価に使用するサンプルを説明する図である。
本発明に係るタイヤの実施形態実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的に、(1)タイヤの構成、(2)窪み部の構成、(3)作用・効果、(4)比較評価、(5)その他の実施形態について説明する。
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(1)タイヤの構成
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1を構成するトレッドの展開図である。空気入りタイヤ1は、路面と接地するトレッド40を有し、トレッド40には、タイヤ周方向Rに沿って延びる複数の周方向溝110、周方向溝112、周方向溝114を有する。空気入りタイヤ1には、複数の周方向溝110、周方向溝112、周方向溝114によってタイヤ周方向に連なる中央リブA1と、ショルダーリブA2と、ショルダーリブA3とが形成されている。
中央リブA1は、タイヤ赤道線CLを含む中央部分に、周方向溝112と周方向溝114とによって区画されている。中央リブA1のタイヤ赤道線CLに重なる位置には、周方向溝110が形成されている。また、中央リブA1には、タイヤ周方向に交差するとともにトレッド幅方向Wに沿って延びる複数の横溝122が形成される。横溝122は、タイヤ周方向に並んでいる。横溝122は、周方向溝に連通しており、中央リブA1内で終端する終端部122eを有する。
ショルダーリブA2は、空気入りタイヤ1が路面と接地した状態において、トレッド幅方向外側の接地端部と、周方向溝112とによって区画されている。ショルダーリブA3は、空気入りタイヤ1が路面と接地した状態において、トレッド幅方向外側の接地端部と、周方向溝114とによって区画されている。
ショルダーリブA2及びショルダーリブA3には、複数の窪み部10と、細溝50と、横溝122とが形成されている。窪み部10は、路面と接地するトレッド40の表面からタイヤ径方向内側に窪んでおり、実施形態では、タイヤ周方向Rに沿って等間隔に形成されている。
細溝50は、タイヤ周方向Rに沿って延びる。トレッド幅方向における細溝50の幅は、周方向溝110,112,114の幅よりも狭い。
横溝122は、トレッド幅方向に沿って形成されている。実施形態では、横溝122の延びる方向は、タイヤ周方向に直交するトレッド幅方向線に一致する。
(2)窪み部の構成
次に、窪み部10の構成について、図面を参照して詳細に説明する。図2は、空気入りタイヤのトレッド40に形成される窪み部10の周辺を拡大した拡大図である。図3は、窪み部10を説明する斜視図である。図4は、窪み部10のトレッド平面視における拡大図である。図5は、窪み部10のトレッド幅方向且つタイヤ径方向における断面図である。
窪み部10は、タイヤ径方向外側から内側に向かうに連れて先細りになったテーパ部分20と、底部分21とを有する。実施形態では、トレッド平面視において、窪み部10は、円形である。すなわち、窪み部10は、タイヤ径方向外側に行くに連れて径が大きくなる円錐台状に形成される。テーパ部分20は、円錐台の側面に相当し、底部分21は、円錐台の底面を構成する。
窪み部10の底部分21は、トレッド40の路面との接地面と略平行に形成されている。窪み部10の底部分21には、タイヤ径方向TRの内側に向けて延びる底溝30が形成されている。底溝30は、互いに対向する溝壁31,32と、溝壁31,32に連なる溝底部分33を有する。
実施形態では、溝壁31,32は、タイヤ径方向内側に向けて延びるとともにタイヤ周方向Rに沿って形成されている。
実施形態では、窪み部10は、中央リブA1、ショルダーリブA2、ショルダーリブA3のうち、トレッド幅方向外側に位置するショルダーリブA2,A3に形成される。図2には、ショルダーリブA2の一部が拡大して示されている(ショルダーリブA3は不図示)。
また、実施形態では、ショルダーリブA2には、窪み部10がタイヤ周方向に並べられた列がトレッド幅方向に2列形成されている。窪み部10の列のうち少なくとも1列は、横溝122の終端部122eと、タイヤ周方向において重複している。
(3)作用・効果
空気入りタイヤ1は、従来、剛性を調整するために設けられた細溝の替わりに、トレッド40にトレッド40の表面からタイヤ径方向内側に窪んだ窪み部10がタイヤ周方向に等間隔に形成されている。これにより、トレッド40の剛性を均一化するように調整することができる。例えば、トレッド40のショルダー部分を含むショルダーリブA2,A3に窪み部10が形成された場合には、ショルダー部分の剛性を低下させることができ、トレッド40の剛性を接地面全面に亘って均一に近づけることができる。これにより、トレッド40の剛性がアンバランスになることによる偏摩耗を抑制することができる。
空気入りタイヤ1のトレッド40に形成される窪み部10は、タイヤ径方向外側から内側に向かうに連れて先細りになったテーパ部分20と底部分21とを有する。これにより、窪み部10に石が入り込んだとしても、テーパ部分20の斜面によって石が排出されやすい。また、窪み部10に石が入り込んだとしても、底部分21によって、石が窪み部10のタイヤ径方向の更なる内側に入り込むことを防止できる。従って、石が入り込むことを防止するとともに、入り込んだ石を排除する排除効果が高められる。
また、窪み部10の底部分21には、タイヤ径方向内側に向けて延びるとともに互いに対向する溝壁31,32と溝底部分33とを有する底溝30が形成されている。このように、溝壁31,32同士が接近するように変形する余地が形成されているため、トレッド40に発生する剪断応力を効率よく緩和することができる。
また、実施形態では、底溝30を形成する溝壁31,32は、タイヤ周方向に沿っている。これにより、溝壁31,32同士が接近するように変形する変形の方向が揃うため、トレッド40の剛性を効率よく低減させることができる。
空気入りタイヤ1では、窪み部10は、中央リブA1、ショルダーリブA2、ショルダーリブA3のうち、トレッド幅方向外側に位置するショルダーリブA2,A3に形成される。これにより、ショルダーリブA2,A3の剛性を低減することができる。従って、トレッドパターンなどによって、ショルダーリブA2,A3など、トレッド40の一部に発生する剪断応力による偏摩耗を抑制させることができる。
また、空気入りタイヤ1において、ショルダーリブA2,A3には、窪み部10がタイヤ周方向に並べられた列がトレッド幅方向に2列形成される。これにより、トレッド40の剛性を効率よく低減させることができる。
また、窪み部10の列のうち少なくとも1列は、横溝122の終端部122eと、タイヤ周方向において重複している。これにより、空気入りタイヤ1が接地することによって、タイヤ周方向に並んで形成される横溝122の間のショルダーリブA2,A3の一部分が路面から受ける歪みを解放することができ、ショルダー部分における摩耗、いわゆる、片落ち摩耗を低減させることができる。
(4)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(4.1)サンプルの説明、(4.2)評価方法、(4.3)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(4.1)サンプルの説明
石噛み評価の対象として、次のサンプル1〜3を用意した。サンプル1〜3について、図6を用いて説明する。
サンプル1は、略円錐台状に形成された窪み部において、円錐台の上面と同じ直径を有する孔部がタイヤ径方向内側に向けて形成されたタイヤである。サンプル2は、実施形態の空気入りタイヤにおいて、個々の窪み部の互いに対向する溝壁31,32がタイヤ周方向に揃っていない(ランダムに形成された)タイヤである。サンプル3は、実施形態の空気入りタイヤである。
(4.2)評価方法
サンプル1〜3の空気入りタイヤを用いて、石噛み評価を行った。空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
・ タイヤサイズ :195/65R15
・ リムサイズ : ETRTO記載の標準リム 6.0J×15
・ 内圧条件 : ETRTO記載の標準内圧
・ 荷重条件 :ETRTO記載の最大荷重(最大負荷能力)
・ 試験車種 : 国産車セダン
・ 空気入りタイヤ1本あたりの窪み部の個数 :図6参照
・ 石噛み評価方法 : 各空気入りタイヤを車両に装着して、小石を含む所定コースを13600km程度走行し、空気入りタイヤ1本あたりの石噛みの数を測定した。
・ 偏摩耗評価方法 : 各空気入りタイヤを車両に装着して、所定距離走行し、空気入りタイヤの断面をレーザ測定した。走行前後のセンター溝/ショルダー溝の残溝比を比較した。走行前と走行後との残存比が近いものほど、耐偏摩耗が良好であると判断した。
(4.3)評価結果
図6に示すように、サンプル2,3のタイヤは、サンプル1に係るタイヤと比べて、石噛みの発生を抑制できることがわかった。
溝壁31,32がタイヤ径方向内側に向けて延びるとともにタイヤ周方向Rに沿って形成されたサンプル3のタイヤは、溝壁31,32の方向がランダムに形成されたサンプル2のタイヤに比べて、偏摩耗に対する耐性が良好であることが判った。サンプル3のタイヤは、サンプル1,2のタイヤに比べて、耐偏摩耗性が5%以上改善できることが判った。
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、タイヤには、空気や窒素ガスなどが充填されるタイヤであってもよく、空気や窒素ガスなどが充填されないソリッドタイヤでもあってもよい。また、タイヤとして、必ずしも空気入りタイヤである必要はなく、乗用車などの車両に装着されるタイヤであってもよい。
また、上述した本発明の実施形態では、空気入りタイヤ1は、ショルダーリブA2及びショルダーリブA3に窪み部10が形成されている。しかし、窪み部10は、一方のショルダーリブのみに形成されていてもよい。また、中央リブA1に窪み部10が形成されていてもよい。例えば、キャンバー角が付与された車両においては、接地圧が高まりやすい車両装着時の内側にのみ窪み部10を形成することによって、車両装着時に車両内側に位置するショルダーリブの接地圧を低減させて、トレッド全面に亘って接地圧の均一化を図ることができる。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…空気入りタイヤ、 10…窪み部、 20…テーパ部分、 21…底部分、 30…底溝、 31,32…溝壁、 33…溝底部分、 40…トレッド、 50…細溝、 110,112,114…周方向溝、 122…横溝、 122e…終端部、A1…中央リブ、 A2,A3…ショルダーリブ

Claims (4)

  1. 路面と接地するトレッドを有するタイヤであって、
    前記トレッドには、前記トレッドの表面からタイヤ径方向内側に窪んだ窪み部がタイヤ周方向に等間隔に形成されており、
    前記窪み部は、
    タイヤ径方向外側から内側に向かうに連れて先細りになっており、
    前記窪み部の底部分には、
    タイヤ径方向内側に向けて延びるとともに互いに対向する壁面を有する溝が形成されており、
    前記壁面は、タイヤ周方向に沿っている
    ことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記トレッドは、
    タイヤ周方向に沿って延びる複数の周方向溝を有し、
    複数の前記周方向溝によってタイヤ周方向に連なる複数のリブ状陸部が形成されており、
    前記窪み部は、複数の前記リブ状陸部のうちトレッド幅方向外側に位置するショルダー側陸部に形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ショルダー側陸部には、前記窪み部がタイヤ周方向に並べられた列がトレッド幅方向に2列形成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記ショルダー側陸部には、前記トレッド幅方向に延び、且つ前記周方向溝に連通することなく前記ショルダー側陸部内に終端部を有する幅方向溝が形成されており、
    前記窪み部の列のうち少なくとも1列と前記幅方向溝の終端部とが、タイヤ周方向において重複している
    ことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ。
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