JP2012171244A - 液滴吐出ヘッド、画像形成装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、画像形成装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コストアップすることなく、共通電極の抵抗低減効果が大きい抵抗低減部を有する液滴吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】複数のノズル孔を有するノズル板と、
圧電素子を収納する凹部と液供給路とを有する第一の基板と、
前記ノズル孔と連通する複数の圧力室と振動板とを有する第二の基板と、
共通電極と個別電極と圧電体とを含み、前記振動板を介して形成される複数の圧電素子と、
を備える液滴吐出ヘッドであって、
前記第一の基板または前記第二の基板のいずれか一方又は両方に、前記共通電極又は前記共通電極に接続する共通配線の一部が露出し、かつ、前記複数の圧電素子の、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがる開口部が形成され、前記開口部には、前記共通電極または前記共通配線の一部に接続するように導電性ペーストが設けられる液滴吐出ヘッド。
【選択図】図1

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを含む画像形成装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
インクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドは、圧力発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて圧力室の壁面を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型や、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)などがある。
近年、ピエゾ型において、基板上に圧力室及び圧電素子を直接形成するアクチュエータ構成の液滴吐出ヘッドが広く用いられている。特に、撓み振動モードのアクチュエータを使用したものが、高集積化の面で有利であり、広く利用されている。
圧電素子を高密度に配列した液滴吐出ヘッドでは、一般的に、各圧電素子を構成する一方の電極(共通電極)が複数の圧電素子に共通して設けられている。そのため、多数の圧電素子を同時に駆動して多数の液滴を一度に吐出させると、電圧降下が発生して圧電素子の変位量が不安定となり、インク吐出特性が低下するという問題がある。この時、外部配線が接続される端子部から遠い位置に設置された圧電素子ほど、印加される電圧が低くなり易い。つまり、電圧を印加するための接続部からの距離によって液滴の吐出特性にばらつきが生じてしまうという問題がある。特に、薄膜で形成された圧電素子の電極はその膜厚が薄いことから抵抗値が比較的高く、このような問題が生じやすい。
前記問題は、共通電極の抵抗値を低くすることによって解決することはできる。しかし、例えば、圧電素子の共通電極の厚さを厚くすることで共通電極の抵抗値を低くする場合、圧電素子の駆動による振動板の変位量が低下してしまうという問題が発生する。また、共通電極の幅を広げることによっても前記問題を解決することはできるが、液滴吐出ヘッドが大型化してしまうという問題がある。
このような問題を解決するため、例えば、個別配線と共通配線を互いに逆側の面に備えた基板と、圧電素子を有する基板とを貼り合わせ、共通配線と共通電極を導電性ペーストにて電気的に導通させる構成とする従来技術がある(特許文献1)。
しかしながら特許文献1では、多数の小さな貫通孔を形成させ、それらの貫通孔に対して導電性ペーストを設けるため、基板を準備するためのコストが大きくなる。また、多数の小さな貫通孔に導電性ペーストを設けて共通電極と接触させて抵抗低減部を形成した場合、共通電極の十分な抵抗低減効果が得られないことがある。
そこで、本発明では、コストアップすることなく、共通電極の抵抗低減効果が大きい抵抗低減部を有する液滴吐出ヘッドを提供することを課題とする。
本発明によれば、複数のノズル孔を有するノズル板と、
圧電素子を収納する凹部と液供給路とを有する第一の基板と、
前記ノズル孔と連通する複数の圧力室と振動板とを有する第二の基板と、
共通電極と個別電極と圧電体とを含み、前記振動板を介して形成される複数の圧電素子と、
を備える液滴吐出ヘッドであって、
前記第一の基板または前記第二の基板のいずれか一方又は両方に、前記共通電極又は前記共通電極に接続する共通配線の一部が露出し、かつ、前記複数の圧電素子の、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがる開口部が形成され、前記開口部には、前記共通電極または前記共通配線の一部に接続するように導電性ペーストが設けられる液滴吐出ヘッドが提供される。
本発明によれば、コストアップすることなく、吐出特性のばらつきが少ない液滴吐出ヘッドを提供できる。
図1は、本発明に係る液滴吐出ヘッドにおける、実施の形態の一例を示す分解斜視図である。 図2は、第一の基板・第二の基板の平面位置関係を示す平面図である。 図3は、図2におけるY1−Y1断面図である。 図4は、図2におけるY2−Y2断面図である。 図5は、図2におけるX1−X1断面図である。 図6は、図2におけるX2−X2断面図である。 図7は、図2におけるX3−X3断面図である。 図8は、図2におけるX4−X4断面図である。 図9は、図2におけるX5−X5断面図である。 図10は、図5の圧電素子付近の拡大図である。 図11は、図3の圧電素子の個別電極付近の拡大図である。 図12は、本発明における液滴吐出ヘッドにおける、実施の形態の他の例を示す断面図である。 図13は、本発明における液滴吐出ヘッドにおける、実施の形態の他の例を示す断面図である。 図14は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを有する画像記録装置の斜視説明図である。 図15は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを有する画像記録装置の機構部の側面説明図である。
図1は、本発明に係る液滴吐出ヘッドにおける、実施の形態の一例を示す分解斜視図である。
本発明の液滴吐出ヘッドは、大きく分類して第一の基板10(保護基板とも呼ぶ)、第二の基板20(圧力室形成基板とも呼ぶ)、複数の圧電素子22、ノズル板40、バッキングプレート45及び、図示しないフレーム・ドライバICを備える。
第一の基板10には、第二の基板上に形成される圧電素子22の動作を妨げないための十分な空間を有する凹部11と、液滴を供給するための液供給路17とが形成される。
第二の基板20には、振動板21と、ノズル板との接着面側に圧力室33になる複数の空隙とが形成される。
圧電素子22は、共通電極である下電極膜22aと、圧電体層22bと、個別電極である上電極膜22cとを含む。また、共通電極と個別電極はそれぞれ、共通配線24(b)と個別配線24(a)を通して、例えば図示しないICドライバなどと接続される。
ノズル板40は、複数のノズル孔が形成される。
この時、第一の基板または第二の基板のいずれか一方又は両方には、共通電極又は前記共通電極に接続する共通配線の一部が露出し、かつ、基板上の複数の圧電素子の、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがる開口部が形成される(図1では、第一の基板に圧電素子全体にまたって開口部が形成される、後述の第一の実施の形態の例を示している)。そして、この開口部には、共通電極(または共通電極と接続する共通配線)の少なくとも一部に接続するように、後に詳述する導電性ペーストが設けられる。
基板の開口部に導電性ペーストが設けられ、これが共通電極と接続されることにより、
導電性ペーストは共通電極の抵抗を低減させる抵抗低減部として機能する。そのため、共通電極の抵抗を小さくするために、基板のサイズを大きくすることなく、共通電極の抵抗を小さくすることができる。その結果、圧電素子を高密度に配列した場合においても、液滴の吐出特性のばらつきが少なくなる。
開口部は基板上の複数の圧電素子に対して、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがって開口部が形成されていることが好ましい。一つの圧電素子に対応する開口部の場合は、上述した抵抗低減部としての機能を十分に発揮することは出来ず、少なくとも二つ以上の圧電素子に対応する(連続した)開口部とする必要がある。またがる圧電素子の数が多い程、共通電極(または共通電極と接続する共通配線)に対して十分な抵抗低減効果を有する。
また、導電性ペーストと、共通電極(または共通電極と接続する共通配線)とが接触する側の面の開口部の形状は、当業者が適宜選択しうるものであるが、矩形或いは、長楕円形であることが好ましい。
〈第一の実施の形態〉
第一の実施の形態では、図1に示すように、第一の基板上に、複数の圧電素子全体にまたがって共通電極又は共通電極に接続する共通配線の一部が露出するように開口部が形成される。そして、この開口部には、共通電極の一部に接続するように後に詳細に説明する導電性ペーストが設けられる。
図2は、第一の基板・第二の基板の平面位置関係を示す平面図である。また、図3、図4、図5、図6、図7、図8、及び、図9は、それぞれ、図2におけるY1−Y1、Y2−Y2、X1−X1、X2−X2、X3−X3、X4−X4、X5−X5断面図である。
さらに、図10及び図11は、それぞれ、図5の圧電素子付近の拡大図と、図3の圧電素子の個別電極付近の拡大図である。
この時、第一の基板10には、第二の基板上に形成される圧電素子22の動作を妨げないための十分な空間を有する凹部11と、液滴を供給するための液供給路17と、導電性ペースト36を注入するための開口部18とが形成される。
(液滴吐出ヘッドの製造方法)
第一の基板10の材料としては、第二の基板20と熱膨張係数が近い材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、加工がしやすく安価であるという理由で、第一の基板と第二の基板共に、(100)を主面とする単結晶シリコンの基板を用いた。他にも、多結晶シリコン、ガラス基板、炭化珪素、カーボンナノチューブ、サファイア、マイクロプラスチック構造体などの、MEMS(Micro Electron Mechanical Systems)に使用される公知の基板材料を使用することが可能である。
(100)を主面とする単結晶シリコンの基板を、アルカリ水溶液を用いた異方性ウェットエッチングにより図1のパターンに形成し、第一の基板とした。ここでいう図1のパターンとは、第二の基板上に形成される圧電素子22の動作を妨げないための十分な空間を有する凹部11と、液滴を供給するための液供給路17と、下記に詳細に説明する、導電性ペースト36を注入するための開口部18のことである。本実施例では、液供給路17を挟んで凹部11とは反対側の位置に、導電性ペースト36を注入するための開口部18を形成した。
凹部11の大きさとしては、第二の基板上に形成される圧電素子の動作を妨げないための十分な空間を有していればよい。つまり、想定する圧電素子の大きさに応じて、当業者が異方性ウェットエッチングにより適宜選択することができる。
液供給路17の形状については、液供給時の抵抗をできるだけ小さくするために、圧力室形成基板20側の開口部が狭いテーパ形状とすることが望ましい。一方、開口部18の形状は、圧力室形成基板20側の開口部が広いテーパ形状とした。開口部の形状をテーパ形状にすることで、開口部に導電性ペースト36を注入した場合の、導電性ペースト36の表面積を大きくすることができる。つまり、導電性ペースト36を共通電極と接続した場合に、共通電極の抵抗値を小さくすることが可能になる。また、液供給路と開口部の形状を、互いに逆側が広いテーパ形状に設定することにより、第一の基板の空間利用効率を向上することができる。
次に、第二の基板となるブランクのシリコン基板に、厚さの1.5μm程度の酸化シリコン膜を成膜し、振動板21とした。振動板の作製法としては、パイロ酸化法などの公知の手法により作製することができる。
振動板21上の所定の位置に、共通電極である下電極膜22a、圧電体層22b及び個別電極である上電極膜22cからなる、圧電素子22を作製した。
下電極膜22a及び上電極膜22cは、例えば、Pt、Ir、Au、Ru、Ta、PtO、TaO、IrO、Ti、TiO、SrRuO(SRO)等の比較的導電性の高い材料を使用することができ、スパッタリング法などの公知の手法で厚さ約0.1μmの形成することが好ましい。また、圧電体層22bは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Lead Zirconate Titanate;PZT)をゾルゲル法、スパッタ法、AD法などの方法にて厚さ1.0μm程度形成したものが好ましい。下電極膜22a、上電極膜22c、及び圧電体層22bの厚みは、用いる材料や圧電素子の目標仕様等により、当業者が適宜調整することが可能であり、実施例の限りではない。
圧電素子22のパターニングは、フォトリソグラフィー法によるレジスト形成後、塩素系ガスを用いたドライエッチングによりパターニングを行い、続いて酸素プラズマによりレジストを剥離する手法などで行うことができる。
次に、圧電体層22bと上電極22cの側面近傍を覆うように、図3などに示す絶縁膜23を形成した。この時、絶縁膜23は圧電素子22の変位を妨げない様に側面近傍を覆うように形成した。絶縁膜23を形成することにより、圧電体層22bの吸湿を防止することができる。また、図2などに示す個別配線24aと下電極22aとが接触することによる電気的短絡を防止できる。
また、絶縁膜23および電極との界面には密着層として0.05〜0.1μmのクロム(図示しない)を形成した。
絶縁膜23は、約0.2μm厚さのアルミナ(Al)や四窒化三硅素(Si)を用いた。水分の透過性と吸収性が少なくて電気的絶縁性に優れた材料であれば、当業者が材料と厚さを適宜選択することが可能である。
下電極22aおよび上電極22cには、各々共通配線24b、個別配線24a(共通配線24bと個別配線24aを合わせて配線24と呼ぶ)と接続するための接続孔が形成されている。配線24は、電極端子部25を通じて、(図示しない)ワイヤボンドやACF等によりドライバーICやドライバーICが実装されたFPC等と接続され、電極22aおよび上電極22cに電圧が印可される。一般的には、電極端子部25は、配線24と一体的に形成され、また、配線24の端部に形成される。
配線24には1.0μm程度の金(Au)を用いた。配線材料24は吐出液に接触するため、電気伝導性と耐腐蝕性に優れた材料を用いることが好ましい。また、使用する吐出液の特性に応じ、吐出液に対する耐性を有する保護膜を形成して使用しても良い。
次に、各液供給路17と、各ノズル孔と、各圧電素子に対応する位置に、エッチングなどの公知の手法により、液供給部31、流体抵抗部32及び、圧力室33(液供給部31、流体抵抗部32及び、圧力室33を合わせて圧力室33と呼ぶこともある)を一体的に形成した。
第一の基板と第二の基板は、図3などに示す接着剤15を用いて貼り合わせた。本実施の形態では、接着面は最大で配線24の線厚の段差が生じる。しかし、配線24は1.0μm程度の線厚であるので、接着剤15により十分に埋め込まれ、凹部11の封止性を確保することができる。また、配線24を液供給部31の周囲を囲うように配置することで、凹部11の封止性をさらに向上させることも好ましい。
開口部18に、図3などに示す導電性ペースト36を注入して加熱処理を行った。導電性ペースト36の材料は半田、溶融金属、金属ペースト、導電性接着剤等を使用することができる。また、導電性ペースト36を注入する場合、バッキングプレート45側の面はバッキングプレートの面側に吐出液が漏れない程度で封止性が確保されていれば十分である。例えば、接着剤などを用いてはみ出した導電性ペースト36を埋め込んでも良い。
次に、ノズル板40として厚さ30μmのステンレスを使用し、これをプレス加工することでノズル孔41を開口した。その後、ノズル板40の撥水性を向上させるために、ノズル孔41の液滴出口側の面に図示しないフッ素樹脂膜を蒸着した。接着剤を用いて、ノズル板と第二の基板を張り合わせた。
ノズル板40の材料としては、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス等の公知の材料を使用することができる。
最後に、複数のステンレスをプレス加工して積層し、バッキングプレート45を形成した。バッキングプレートと第一の基板を、接着剤により貼り合わせた。
本実施の形態の説明図では、開口部18が一つの液滴吐出ヘッド内におさまる構造を示したが、例えば、図3のA−A'断面が端部とする構成の様に、任意の連続する複数の液滴吐出ヘッドにまたがるように開口部18を配置しても良い。
〈第二の実施の形態〉
図12は、本発明における液滴吐出ヘッドの他の例についての断面図である。
第二の実施の形態では、第一の実施の形態と同様、第一の基板上に、複数の圧電素子全体にまたがって共通電極又は共通電極に接続する共通配線の一部が露出するように開口部が形成される。そして、この開口部には、共通電極の一部に接続するように導電性ペースト36が設けられる。この開口部に設けられた導電性ペースト36が抵抗低減部となり、共通電極全体の抵抗が低くなる。
第一の実施の形態と第二の実施の形態の相違点は、開口部18の形状である。そのため、開口部18の作製方法を重点的に、図12を用いて説明する。
第二の実施の形態においても、第一の実施の形態と同様、第一の基板10は、第二の基板上に形成される圧電素子22の動作を妨げないための十分な空間を有する凹部11と、液滴を供給するための液供給路17と、抵抗低減部が形成される開口部18とが形成される。
また、導電性ペーストを注入するための開口部18は、液供給路17を挟んで凹部11とは反対側に形成される。
第一の実施の形態では、開口部は異方性ウェットエッチングにより、第一の基板を貫通するように形成された。しかし、第二の実施の形態では、第二の基板側から異方性ウェットエッチングを行う際に、エッチング処理を途中で中断し、錐台型の空隙を形成する。
その後、第一の基板と第二の基板を接着剤で接合する工程の後に、第一の基板のバッキングプレートが接合される面側から、前記錐台型の空隙に対してダイサーを用いて連通し、開口部を形成した。その後、開口部に導電性ペースト36を注入した。
第二の基板、ノズル板、バッキングプレートの作製方法に関しては、第一の実施の形態と同様に行った。
第一の基板を第二の実施の形態のような構成にすることで、第一の実施の形態よりも基板のサイズを小さくすることができる。しかし、錐台型の空隙に対してダイサーを用いて連通する工程が必要となる。
〈第三の実施の形態〉
図13(a)は、本発明における液滴吐出ヘッドの、更に他の例についての断面図である。図13(b)は、図13(a)の開口部付近の拡大図である。
第三の実施の形態では、第二の基板上に、複数の圧電素子全体にまたがって共通電極又は共通電極に接続する共通配線の一部が露出するように開口部が形成される。そして、この開口部には、共通電極の一部に接続するように導電性ペースト36が設けられる。この開口部に設けられた導電性ペースト36が抵抗低減部となり、共通電極全体の抵抗が低くなる。
第三の実施の形態について、開口部18の作製方法を重点に、図13を用いて下記に詳細に説明する。
第三の実施の形態では、第一の基板10には、第二の基板上に形成される圧電素子22の動作を妨げないための十分な空間を有する凹部11と、液滴を供給するための液供給路17とが形成される。
ここで、凹部11と液供給路17は、第一の実施の形態と同様に、アルカリ溶液を用いた異方性ウェットエッチングにより形成される。
第二の基板20には、振動板21と、ノズル板面側に圧力室33になる複数の空隙と、導電性ペースト36を注入するための開口部18とが形成される。
第二の基板20の作製方法を下記に説明する。まず、振動板21を第一の実施の形態と同様の方法で作製する。その後、開口部18を形成する所定の位置に対応する振動版21を、エッチングなどの公知の方法で複数個開口する。第二の基板20は後で第一の基板10と接着するため、比較的小さな開口を複数個形成することが、接着性を確保できるため好ましい。
振動板21上の所定の位置に、第一の実施の形態と同様の方法を用いて、共通電極である下電極膜22a、圧電体層22b及び個別電極である上電極膜22cからなる、圧電素子22を作製する。
その後、圧電体層22bと上電極22cの側面近傍を覆うように、絶縁膜23を作製する。開口部18を形成する所定の位置に対応する絶縁膜23も、エッチングなどの公知の手法で開口する。
配線24を第一の実施の形態と同様に各々の電極に接続後、液供給部31、流体抵抗部32、圧力室33、及び開口部18を異方性ウェットエッチングにより形成する。
導電性ペースト36をノズル板40との接着面側から注入する。その後の工程については、第一の実施の形態と同様である。
前述の説明では、振動板21と絶縁膜23を作製後、予め開口しておき、開口部18を液供給部31、流体抵抗部32、圧力室33と同時に形成した。しかし、開口部18を形成した後に、振動板21および絶縁膜23を開口することも可能である。
さらに、開口部18は、液供給部31、流体抵抗部32、圧力室33と同時に形成しても良いが、先に開口部18だけを形成後、導電性ペースト36を注入した後に液供給部31、流体抵抗部32、圧力室33を形成しても良い。具体的には、導電性ペースト36を注入した後、第二の基板のノズル板面側を研磨し、はみ出した導電性ペースト36を除去した後、液供給部31、流体抵抗部32、圧力室33を形成することも可能である。
第三の実施の形態では、第二の基板20とノズル板40を接着する際、接着剤の量を少なくした方が、圧力室33の弾性コンプライアンスを小さくできるため、好ましい。そのため、ノズル板40と第二の基板20の接着面は、研磨などの公知の方法で平坦にすることが好ましい。
本実施例では、第一の基板と第二の基板のいずれかに、複数の圧電素子全体にまたがって共通電極に接続する共通配線の一部が露出するように開口部を形成し、この開口部に、共通電極または共通配線の一部に接続するように導電性ペースト36を設けた。しかし、第一の基板と第二の基板の両方に開口部を形成しても構わなく、また、複数の圧電素子全体にまたがって共通電極が露出するような開口部を形成するような構成でも構わない。
(画像記録装置)
本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載した画像記録装置の一例について、図14及び図15を参照して説明する。図14は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを有する画像記録装置の斜視説明図であり、図15は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを有する画像記録装置の機構部の側面説明図である。
この画像形成装置は、記録装置本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ123、キャリッジ123に搭載した本発明に係る液滴吐出ヘッドを含む記録ヘッド124、記録ヘッド124へインクを供給するインクカートリッジ125等で構成される印字機構部112を収納し、装置本体111の下方部には前方側から多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着することができる。また、用紙113を手差しで給紙するための手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カセット114或いは手差しトレイ115から給送される用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ116に排紙する。
印字機構部112は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方向(紙面垂直方向)に摺動自在に保持している。このキャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する、本発明に係る液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド124を、複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123にはヘッド124に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ125を交換可能に装着している。なお、本発明に係るインクカートリッジを搭載する構成とすることもできる。
インクカートリッジ125は上方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出ヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ123は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド122に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動プーリ129との間にタイミングベルト130を張装している。このタイミングベルト130はキャリッジ123に固定されており、主走査モータ127の正逆回転によりキャリッジ123が往復駆動される。
一方、給紙カセット114にセットした用紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ローラ131及びフリクションパッド132と、用紙113を案内するガイド部材133と、給紙された用紙113を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ134は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転駆動される。
さらに、キャリッジ123の主走査方向の移動範囲に対応して、搬送ローラ134から送り出された用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材139を設けている。この印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車144と、排紙経路を形成するガイド部材145、146とを配設している。
画像記録時には、キャリッジ123を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動することにより、停止している用紙113にインクを吐出して1行分を記録する。そして、用紙113を所定量搬送した後に、次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙113を排紙する。
また、キャリッジ123の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良を回復するための回復装置147を配置している。回復装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこの回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。また、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。さらに、吸引されたインクは、本体下部に設置された図示しない廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
以上のように、このような画像記録装置は、ヘッドの性能が、直接画像記録装置の性能に直接的につながる。本発明で得られる、コストアップ無しに多数の素子を同時駆動した時の、特性低下を防止することができる液滴吐出ヘッドを用いることで、高速、高画質の画像記録装置を提供することができる。
10 第一の基板
11 凹部
15 接着剤
17 液供給路
18 抵抗低減部が形成される開口部
20 第二の基板
21 振動板
22 圧電素子
22a 共通電極である下電極膜
22b 圧電体層
22c 電極膜
23 絶縁膜
24 配線
25 電極端子部分
31 液供給部
32 液体抵抗部
33 圧力室
36 導電性ペースト
40 ノズル板
41 ノズル孔
45 バッキングプレート
特開2009−208234号公報

Claims (6)

  1. 複数のノズル孔を有するノズル板と、
    圧電素子を収納する凹部と液供給路とを有する第一の基板と、
    前記ノズル孔と連通する複数の圧力室と振動板とを有する第二の基板と、
    共通電極と個別電極と圧電体とを含み、前記振動板を介して形成される複数の圧電素子と、
    を備える液滴吐出ヘッドであって、
    前記第一の基板または前記第二の基板のいずれか一方又は両方に、前記共通電極又は前記共通電極に接続する共通配線の一部が露出し、かつ、前記複数の圧電素子の、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがる開口部が形成され、前記開口部には、前記共通電極または前記共通配線の一部に接続するように導電性ペーストが設けられる液滴吐出ヘッド。
  2. 前記第一の基板に前記開口部が形成される場合であって、前記液供給路は前記第二の基板との接着面側が狭いテーパ形状となっており、前記開口部は前記第二の基板との接着面側が広いテーパ形状となっている請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記開口部は、前記液供給路を挟んで前記凹部とは反対側に形成される請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置
  5. 複数のノズル孔を有するノズル板と、
    圧電素子を収納する凹部と液供給路とを有する第一の基板と、
    前記ノズル孔と連通する複数の圧力室と振動板とを有する第二の基板と、
    共通電極と個別電極と圧電体とを含み、前記振動板を介して形成される複数の圧電素子と、
    を備える液滴吐出ヘッドであって、
    前記第一の基板に、前記共通電極又は前記共通電極に接続する共通配線の一部が露出し、かつ、前記複数の圧電素子の、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがる開口部が形成され、前記開口部には、前記共通電極または前記共通配線の一部に接続するように導電性ペーストが設けられる液滴吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第一の基板に対して、前記第二の基板との接着面側から、前記第二の基板との接着面側が広いテーパ形状のザグリを形成する工程と、
    前記第一の基板と前記第二の基板を接着する工程と、
    前記第一の基板に対して、前記第二の基板との接着面とは逆側の面から、機械加工にて前記ザグリと連通して前記開口部を形成する工程と、
    を含む液滴吐出ヘッドの製造方法。
  6. 複数のノズル孔を有するノズル板と、
    圧電素子を収納する凹部と液供給路とを有する第一の基板と、
    前記ノズル孔と連通する複数の圧力室と振動板とを有する第二の基板と、
    共通電極と個別電極と圧電体とを含み、前記振動板を介して形成される複数の圧電素子と、
    を備える液滴吐出ヘッドであって、
    前記第二の基板に、前記共通電極又は前記共通電極に接続する共通配線の一部が露出し、かつ、前記複数の圧電素子の、少なくとも一部の複数の圧電素子にまたがる開口部が形成され、前記開口部には、前記共通電極または前記共通配線の一部に接続するように導電性ペーストが設けられる液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記開口部に前記導電性ペーストを注入した後、前記第二の基板に対して、前記ノズル板との接着面側の面を研磨した後に、前記圧力室を形成する工程を含む液滴吐出ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017074751A (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法

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