JP2012131180A - 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】段差のない均一な膜厚の絶縁膜を使用できるようにして絶縁耐圧を高め、高い信頼性を有する液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】共通電極を、第1の下電極14と第1の層間絶縁膜15を間に介して積層された第2の下電極16とで形成し、上電極18から引き出された引き出し配線20は、第2の下電極16の個別電極引き出し部16aに接続されて、個別電極引き出し部16aが個別電極パッド部21と導通しており、第2の下電極16の圧電体電極部16bの一部に設けた導通部16b’は、第1の層間絶縁膜15のスルーホールを介して第1の下電極14と導通しており、バイパス配線24が接続された第2の下電極16のバイパス配線導通部16cは、導通部16c’を介して第1の下電極14と導通している。
【選択図】図2

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関する。
インクジェットプリンタ等のインクジェット記録装置(液滴吐出装置)には、液滴を用紙等の記録媒体に吐出させる液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)を備えている。
液滴吐出ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧液室と、加圧液室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備えており、この圧力発生手段で発生した圧力で加圧液室内のインクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
このような液滴吐出ヘッドの圧力発生手段としては、圧電素子などの電気機械変換素子を用いて加圧液室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、加圧液室内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のものなどがある。
ところで、近年、半導体プロセスやマイクロマシニング技術の進歩により、パターニング加工技術が確立されていて、かつ、コストの安いSi基板に加圧液室及び圧電素子を直接形成するアクチュエータ構成の液滴吐出ヘッドが提案されている(例えば、特許文献1)。
前記特許文献1に記載の液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)は、複数のインクキャビティが設けられたシリコン基板と、このシリコン基板の一方の面に各インクキャビティ毎に独立された下電極と、この下電極上に形成された圧電素子(PZT膜)と、この圧電素子上に形成された上電極と、シリコン基板の他方の面に設けられたノズル板とを備えている。
ところで、特許文献1のような液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)では、共通電極である下電極が複数の圧電素子に共通して設けられているため、多数の圧電素子を同時に駆動して多数のインク滴を一度に吐出させると、電圧降下が発生して圧電素子の変位量が不安定となり、インク吐出特性が変化するという問題がある。
また、薄膜で形成された圧電素子の電極は、その膜厚が薄いために抵抗値が比較的高く、このような問題が特に生じ易い。
そこで、このような問題を解決するために、例えば、特許文献2に記載の液体噴射ヘッドは、上電極(個別電極)から端子部まで引き出される引き出し配線と、接続部を介して下電極(共通電極)と電気的に接続されるバイアス配線とを有し、圧電体能動部を覆うことなく設けられた絶縁膜により引き出し配線の一部を覆って、その絶縁膜上にバイアス配線を設けることで、下電極(共通電極)の抵抗値を下げるようにしている。
しかしながら、前記特許文献2に記載の液体噴射ヘッドでは、複数の引き出し配線によって形成される段差の上に絶縁膜を成膜しているので、絶縁膜の膜厚が均一ではなく段差が生じる。このため、絶縁膜の膜厚が薄い部分では絶縁耐圧が小さくなり、絶縁耐圧に対する信頼性が低下する。なお、絶縁膜の絶縁耐圧を高くするために、絶縁膜の膜厚を大幅に厚くすることが考えられるが、絶縁膜の膜厚を厚くするにはプロセス時間が長くなり、コストアップにつながる。
そこで、本発明は、段差のない均一な膜厚の絶縁膜を使用できるようにして絶縁耐圧を高め、高い信頼性を有する液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、記録液の液滴が吐出されるノズル孔に連通する液室が複数形成された液室基板と、前記液室基板の前記ノズル孔と反対側の領域に振動板を介して設けられた共通電極、圧電体及び個別電極からなる電気機械変換素子と、を備え、前記共通電極及び前記個別電極への電圧の印加により前記圧電体を振動させて前記振動板を変形変位させることで、前記液室内の記録液を加圧して前記ノズル孔から液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記共通電極は、平坦状の第1の電極層と絶縁層を間に介して積層された第2の電極層とで形成されており、前記個別電極から引き出された引き出し配線は、前記液室と連通する記録液供給流路と反対側に引き出されるようにして前記第2の電極層の一部として形成される個別電極引き出し部に電気的に接続されて、前記個別電極引き出し部が前記個別電極パッド部と導通しており、また、前記第2の電極層の前記圧電体と電気的に接する圧電体電極部の一部に設けた導通部は、前記絶縁層のスルーホールを介して前記第1の電極層と導通しており、更に、前記第1の電極層にはバイアス配線が設けられていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、前記個別電極パッド部及びバイパス配線は、金メッキ処理されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、前記第1の電極層と前記第2の電極層はそれぞれ異なる材料で形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、前記第1の電極層は白金で形成され、前記第2の電極層は酸化物電極材料で形成されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、前記圧電体電極部の前記引き出し配線側の縁部は、前記圧電体の側面で覆われていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、前記圧電体電極部の一部に設けた前記第1の電極層と導通する前記導通部は、前記液室の領域外に配置されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、液滴をノズル孔から吐出する液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドが請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴としている。
本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、共通電極を、平坦状の第1の電極層と絶縁層を間に介して積層された第2の電極層とで形成して、平坦な第1の電極層上に絶縁層を形成しているので、絶縁耐圧の高い絶縁膜が形成できる。よって、絶縁耐圧が高く壊れにくい信頼性の高い液滴吐出ヘッドを提供することができる
本発明の実施形態1に係る液滴吐出ヘッドの要部を示す概略平面図。 図1のA−A線断面図。 図1のB−B線断面図。 (a)〜(e)は、本発明の実施形態1に係る液滴吐出ヘッドの製造方法を示す図。 (a)〜(d)は、本発明の実施形態1に係る液滴吐出ヘッドの製造方法を示す図。 (a)〜(d)は、本発明の実施形態2に係る液滴吐出ヘッドの製造方法を示す図。 本発明の実施形態2に係る液滴吐出ヘッドの要部を示す概略平面図。 図7のA−A線断面図。 図7のB−B線断面図。 本発明の実施形態3に係るインクジェット記録装置内の要部の構成を示す概略斜視図。 本発明の実施形態3に係るインクジェット記録装置内の要部の構成を示す概略側面図。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る液滴吐出ヘッドの要部を示す概略平面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図である。なお、本実施形態の液滴吐出ヘッド1は、基板面部に設けたノズル孔から液滴を吐出させるサイドシュータータイプである。
(液滴吐出ヘッド1の構成)
これらの図に示すように、本実施形態の液滴吐出ヘッド1は、複数のノズル孔2が形成されたノズル基板3と、共通液室4と複数の加圧液室隔壁5と該加圧液室隔壁5で仕切られた加圧液室6が形成され、液体吐出エネルギーを発生する圧電素子7及び振動板8等が上部に配置された液室基板9と、凹状に形成された圧電素子7等を保護するための圧電素子保護空間10と共通液体供給流路11が形成された保護基板12とが積層されるようにして構成されている。液室基板9の共通液室4と保護基板12の共通液体供給流路11は連通している。なお、図1では、保護基板12を取外した状態を示している。
ノズル基板3は、例えば厚さ30〜50μmのSUS基板にプレス加工と研磨加工により複数のノズル孔2が形成されており、液室基板9の各加圧液室6と連通している。液室基板9は、例えば厚さ400μmの面方位(100)シリコン基板で形成されている。液室基板9の共通液室4と加圧液室6の間には、連通するようにして所定幅の流体抵抗流路13が形成されている。保護基板12は、例えばガラス基板によって形成されている。
振動板8は、本実施形態では加熱処理によりシリコン基板(液室基板9)表面にシリコン酸化膜を形成し、その上にプラズマCVD法によりポリシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜を積層して構成されている。
振動板8の上面には、第1の下電極14、第1の層間絶縁膜15、第2の下電極16、圧電体(PZT)17、上電極18が積層された構成からなるアクチュエータ19が設けられている。なお、前記圧電素子7は、第2の下電極16、圧電体17及び上電極18を含む部分である。圧電素子7は、加圧液室6に対向する領域に形成されている。
第2の下電極16の一部を形成する個別電極引き出し部16aは、上電極18から引き出された引き出し配線20を、個別電極である各上電極18の個別電極パッド部21に第1の配線22を介して導通させるための配線として機能する。なお、引き出し配線20にはパッシベーション膜(不図示)を形成し保護している。また、共通電極である各第1の下電極14には、第2の下電極16、第2の配線23を介して共通電極バイパス配線24が導通している。個別電極パッド部21と共通電極バイパス配線24は、金のメッキ工法により形成されている。第2の下電極16上の保護基板12に接する部分、圧電材17と上電極18に接する部分、及び引き出し配線20、第1の配線22、第2の配線23との間には、第2の層間絶縁膜25が設けられている。
(液滴吐出ヘッド1の動作)
上記のように形成された液滴吐出ヘッド1においては、インク供給孔(不図示)から共通液体供給流路11、共通液室4を経由して、流体抵抗流路13を通り各加圧液室6内に記録液としてのインクが供給される。加圧液室6がインクにより満たされた状態で圧電素子7の上電極18と第1、第2の下電極14,16間にパルス電圧を印加することによって、横振動モードで変形する圧電素子7が縮み、圧電素子7と密着している振動板8全体が加圧液室6側に凸形状に変形する。
これにより、加圧液室6の体積が減少して加圧液室6内の圧力が急激に上昇することによって、ノズル孔2よりインクの液滴が記録紙(不図示)に向けて吐出される。そして、加圧液室6内の圧力変動周期に合せたパルス電圧を連続的に印加することにより、ノズル孔2から液滴が連続的に吐出され、記録紙(不図示)に制御部(不図示)からの印字データに基づいた画像(文字を含む)が形成される。
(液滴吐出ヘッド1の製造方法)
次に、上記した本実施形態の液滴吐出ヘッド1の製造方法を、図4(a)〜(e)、図5(a)〜(d)、図6(a)〜(d)に示した製造工程を参照して説明する。なお、図4、図5、図6は、図2に示した液滴吐出ヘッド1の断面位置に対応している。なお、図1〜図3に示した液滴吐出ヘッド1の構成部材と対応する部材には、同一符号を付して説明する。
先ず、図4(a)に示すように、厚さ400μmの面方位(110)のシリコン基板からなる液室基板9を熱処理して、その表面にシリコン酸化膜を0.6μm形成し、更にプラズマCVD法によりポリシリコンを0.5μm、シリコン酸化膜を0.3μm、ポリシリコンを0.5μm、シリコン酸化膜を0.3μm積層して、振動板8となる層を形成する。
次に、図4(b)に示すように、振動板8上に第1の下電極14となる白金(Pt)層をスパッタ法により0.2μm成膜し、リソエッチ法により、インク供給孔(共通液体供給流路11)となる貫通口部分14aが形成されるようにパターニングする。
次に、図4(c)に示すように、第1の下電極14上に第1の層間絶縁膜15となるシリコン酸化膜を0.3μm成膜し、リソエッチ法によるパターニングで、後で形成される第2の下電極16との導通部の領域15aと、共通電極バイパス配線24との導通部の領域15b、インク供給孔となる貫通部15cを形成する。なお、貫通部15cの縁部では、第1の下電極14が露出しないように、第1の層間絶縁膜15で保護されるようにパターニングンされている。
第1の下電極14は、インク供給孔となる貫通口部分以外は均一に成膜されて段差がないので、第1の層間絶縁膜15も緻密で均一な膜を成膜することができる。これにより、第1の層間絶縁膜15の絶縁耐圧を高く保つことができる。
次に、図4(d)に示すように、第1の層間絶縁膜15上にスパッタ法により第2の下電極16となる白金(Pt)層を成膜し、リソエッチ法によるパターニングで、個別電極引き出し部16a、圧電体電極部16b、バイパス配線導通部16c等を形成する。なお、圧電体電極部16bは導通部16b’で第1の下電極14と導通し、バイパス配線導通部16cは導通部16c’で第1の下電極14と導通している。
次に、図4(e)に示すように、第2の下電極16上にスパッタ法によりPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を2μm成膜し、リソエッチ法により、後で形成する各加圧液室6に対応する部分に圧電体17を形成する。
次に、図5(a)に示すように、圧電体17上にスパッタ法により白金(Pt)層を0.1μm成膜し、リソエッチ法により上電極18を形成する。
次に、図5(b)に示すように、第2の下電極16、上電極18等の上に第2の層間絶縁膜25となるシリコン酸化膜を成膜し、リソエッチ法によるパターニングで、後で形成される引き出し配線20との導通部の領域25a、後で形成される個別電極パッド部21への導通部の領域25b、後で形成される共通電極バイパス配線24への導通部の領域25c、上電極18の縁部以外の領域25dをそれぞれ除去し、更に、インク供給孔となる貫通部25eを形成する。また、上電極18の縁部以外の領域もリソエッチ法により除去する。なお、貫通部25dの縁部では、第2の下電極16が露出しないように、第2の層間絶縁膜25で保護されるようにパターニングされている。
なお、本実施形態では、圧電体電極部16bの引き出し配線20側の縁部は、圧電体17の側面で覆われている。これにより、圧電体電極部16bと引き出し配線20の絶縁耐圧を高めている。
次に、図5(c)に示すように、厚さ1μm程度のアルミニウム材からなる引き出し配線20を、上電極18と導通部25aとの間に設け、更に、厚さ1μm程度のアルミニウム材により、個別電極パッド部21への第1の配線22と、共通電極バイパス配線24への第2の配線23を設ける。第2の配線23は、共通電極バイパス配線24を補助して共通電極抵抗を下げる役割をする。なお、引き出し配線20と第1、第2の配線22,23の表面には、表面保護のためのパッシベーション膜が形成されている。
次に、図5(d)に示すように、エッチングにより振動板8にインク供給孔となる貫通部8a形成する。
次に、図6(a)に示すように、第1、第2の配線22,23上に金をメッキ法により積層して、個別電極パッド部21と共通電極バイパス配線24をそれぞれ形成する。
個別電極パッド部21を金で形成することで、図示しないドライバICとの電気的接続を低温のワイヤボンディングで行うことができる。また、金は抵抗値が低いので、共通電極バイパス配線24を金で形成することにより、バイパス配線として共通電極抵抗値を小さくすることができる。
次に、図6(b)に示すように、圧電素子保護空間10、共通液体供給流路11等が形成されたガラス材からなる保護基板12を、液室基板9の第2の層間絶縁膜25上に接着剤を介して接合する。なお、保護基板12の個別電極パッド部21と共通電極バイパス配線24が位置している部分は開口している。
この製造工程では、保護基板12はガラス材で形成されていたが、これ以外にも、例えば、保護基板12として、シリコン基板にリソエッチ法で圧電素子保護空間10、共通液体供給流路11等を形成したものでもよく、また、面方位(110)のシリコン基板をTMAH、KOHなどのアルカリエッチング液を用いたウェットエッチングにより加工したものでもよい。更に、樹脂モールドやメタルインジェクションモールドなどの成型部品でもよい。
次に、図6(c)に示すように、液室基板9の保護基板12側と反対側の面を、所望の厚さまで研磨した後、ICPドライエッチングにより加圧液室6、流体抵抗流路13、共通液室4を形成する。
次に、図6(d)に示すように、厚さ30〜50μmのSUS基板にプレス加工と研磨加工により複数のノズル孔2が形成されたノズル基板3を、液室基板9に接着剤等で接合し、更に、個別電極パッド部21に駆動回路(不図示)等を接続することにより、図1〜図3に示したような液滴吐出ヘッド1が作製される。
このように、本実施形態の液滴吐出ヘッド1によれば、共通電極である下電極を、第1の下電極14と第2の下電極16からなる2層構造として、平坦な第1の下電極14上に第1の層間絶縁膜15を形成しているので、絶縁耐圧の高い絶縁膜が形成できる。よって、絶縁耐圧が高く壊れにくい信頼性の高い液滴吐出ヘッド1を提供することができる。
また、共通電極である下電極を、第1の下電極14と第2の下電極16からなる2層構造にしたことにより、共通電極バイパス配線24を流体抵抗流路13と反対側に引き出すことができる。これにより、流体抵抗流路13の長さをインク吐出性能から適宜に設計したうえで、共通電極バイパス配線24を充分太く取ることができるので、共通電極抵抗値を小さくでき、電圧降下によるインク吐出特性の低下を防止することが可能となる。
更に、第2の層間絶縁膜25の保護基板12と接合される面は同一平面上にあり、第2の層間絶縁膜25の保護基板12との接合面の高さが揃っている。これにより、保護基板12の接合が容易になり、かつ接合信頼性が高いものとなる。
また、第2の下電極16の一部を形成する圧電体電極部16bの導通部16b’などの段差を生じる部分は他に比べると構造的に弱いので、圧電体17を駆動して変形する部分に配置すると、振動による応力によるダメージで剥離など壊れる可能性が高くなる。このため、本実施形態では、圧電体電極部16bの導通部16b’を介して第1の下電極14に導通している箇所は、加圧液室6の外部に位置している。これにより、液滴吐出ヘッド1の耐久性が向上し、信頼性を高めることができる。
なお、前記実施形態1では、第1の下電極14と第2の下電極16の材料として共に白金(Pt)を使用したが、第1の下電極14と第2の下電極16の材料を異なるものを使用してもよい。
例えば、第1の下電極14を白金(Pt)で形成し、第2の下電極16をLNOなどの酸素欠乏防止層で形成してもよい。このように、圧電体17に直接接する第2の下電極16をLNOなどの酸素欠乏防止層で形成することにより、酸素欠乏による圧電体17の性能低下を抑えることができる。
第1の下電極14の材料としては白金以外にも、例えば、銅、クロム、Niなど一般の配線材料を使用することも可能である。
〈実施形態2〉
図7は、本発明の実施形態2に係る液滴吐出ヘッドの要部を示す概略平面図、図8は、図7のA−A線断面図、図9は図7のB−B線断面図である。なお、前記実施形態1の液滴吐出ヘッドと同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
これらの図(特に、図9)に示すように、本実施形態の液滴吐出ヘッド1aでは、第1の下電極14と導通する第2の下電極16の圧電体電極部16bの導通部16b’を、加圧液室6の長手方向両側に形成される加圧液室隔壁5aに対応する部分に設けている。この導通部16b’は、第1の層間絶縁膜15のスルーホールを介して第1の下電極14に導通している。即ち、この導通部16b’は、圧電体17の駆動により体積が変化する加圧液室6の外部に配置されている。
なお、本実施形態では、下電極部16aの長さを圧電体17の長手方向の長さよりも短くしているので、貫通口側(共通液体供給流路11側)の保護基板12と第2の層間絶縁膜25との接合面の高さを揃えるために、ダミー用下電極16dを設けている。ダミー用下電極16dには電流は流れない。他の構成は実施形態1の液滴吐出ヘッドと略同様である。
このように、第2の下電極16の一部を形成する圧電体電極部16bの導通部16b’を、加圧液室6の長手方向両側に形成される加圧液室隔壁5aに対応する部分に設けたことにより、圧電体17の駆動により体積が変化する加圧液室6の外部に配置できるので、長期にわたって信頼性の高い液滴吐出ヘッド1aを提供することが可能となる。
また、第2の下電極16の一部を形成する圧電体電極部16bの長さを圧電体17の長手方向の長さよりも短くして、圧電体電極部16bが圧電体17の内側で覆われるようにしているので、圧電体電極部16bの両端部の絶縁耐圧を高めることができる。
なお、ダミー用下電極16dを、前記実施形態1のように第1の層間絶縁膜15のスルーホールを介して第1の下電極14に導通する導通部のように形成してもよい。なお、ダミー用下電極16dが電位を持つことは好ましくないが、駆動による電流の流れとは関係ないため、液滴吐出ヘッド1aのどこかで共通電極(第1、第2の下電極14,16)側の電極に接続されていればよい。
〈実施形態3〉
図10は、本実施形態に係る液滴吐出装置としてのインクジェット記録装置内の要部の構成を示す概略斜視図、図11は、このインクジェット記録装置内の要部の構成を示す概略側面図である。このインクジェット記録装置には、実施形態1(又は実施形態2)の液滴吐出ヘッドが搭載されている。
これらの図に示すように、このインクジェット記録装置40は、装置本体41の内部に、走査方向に移動可能なキャリッジ42、キャリッジ42に搭載した前記液滴吐出ヘッド1、液滴吐出ヘッド1へインクを供給するインクカートリッジ43等で構成される印字機構部44等が収納されている。また、装置本体41の下方部には、前方側(図10の左側)から記録媒体としての多数枚の用紙Pを積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい)45を抜き差し自在に装着されている。更に、用紙を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ46を有し、給紙カセット45(或いは手差しトレイ46)から給送される用紙Pを取り込み、印字機構部44によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ47に排紙する。
印字機構部44は、左右の側板(不図示)に横架したガイド部材である主ガイドロッド48、従ガイドロッド49と、前記キャリッジ42を主走査方向に摺動自在に保持している。このキャリッジ42には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する前記液滴吐出ヘッド1を、複数のノズル孔(インク吐出口)を主走査方向と交差する方向に配列してインク滴吐出方向が図10の下方側に向くようにして装着している。また、キャリッジ42には、液滴吐出ヘッド1に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ43を交換可能に装着している。
インクカートリッジ43は、上方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出ヘッド1へインクを供給する供給口が設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッド1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。なお、本実施形態では、各色のインク滴をそれぞれ吐出する4個の液滴吐出ヘッド1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液滴吐出ヘッドでもよい。
キャリッジ42は、後方側(用紙搬送下流側)を主ガイドロッド48に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送上流側)を従ガイドロッド49に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ42を主走査方向に移動走査するために、モータ50で回転駆動される駆動プーリ51と従動プーリ52との間にタイミングベルト53を張装し、このタイミングベルト53をキャリッジ42に固定している。モータ50の正逆回転によりキャリッジ42が往復駆動される。
一方、給紙カセット45にセットした用紙Pを液滴吐出ヘッド1の下方側に搬送するために、給紙カセット45から用紙Pを分離給送する給紙ローラ54及びフリクションパッド55と、用紙Pを案内するガイド部材56と、給紙された用紙Pを反転させて搬送する搬送ローラ57と、この搬送ローラ57の周面に押し付けられる搬送コロ58、及び搬送ローラ57からの用紙Pの送り出し角度を規定する先端コロ59とを有している。搬送ローラ57は、ギア列が連結されたモータ(不図示)によって回転駆動される。
また、液滴吐出ヘッド1のノズル孔側と対向する位置には、搬送される用紙Pを案内するため用紙ガイド部材60を設けている。この用紙ガイド部材60の用紙搬送方向下流側には、用紙を排紙方向へ送り出すための搬送コロ61と拍車62が設けられており、更に用紙を排紙トレイ47に送り出す排紙ローラ63と拍車64と、排紙経路を形成するガイド部材65,66とが設けられている。
そして、上記したインクジェット記録装置40による記録時には、キャリッジ42を移動させながら入力される画像信号に応じて液滴吐出ヘッド1を駆動することにより、給紙された用紙Pにインクを吐出して1行分を記録し、その後、用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙後端が記録領域に到達した信号を受けることにより記録動作を終了し、排紙トレイ47に用紙Pを排紙する。
また、キャリッジ42の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド1の吐出不良を回復するための回復装置67を配置している。この回復装置67は、キャッピング手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ42は、印字待機中にはこの回復装置67側に移動されて、キャッピング手段で液滴吐出ヘッド1をキャッピングしてノズル孔を湿潤状態に保つことにより、インク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係ないインクを吐出することにより、全てのノズル孔のインク粘度を一定にし、安定した吐出状態を維持する。
更に、インクの吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で液滴吐出ヘッド1のノズル孔を密封し、チューブを通して吸引手段でノズル孔からインクとともの気泡等を吸出し、ノズル孔に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、装置本体41の下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、本実施形態に係るインクジェット記録装置40は、前記したように信頼性の高い液滴吐出ヘッド1を備えているので、インクジェット記録装置40全体の信頼性の向上を図ることができる。よって、長期にわたって安定したインク吐出特性が得られ、高品質な画像を記録することができる。
1、1a 液滴吐出ヘッド
2 ノズル孔
3 ノズル基板
4 共通液室
6 加圧液室
7 圧電体素子
8 振動板
9 液室基板
11 共通液体供給流路
12 保護基板
14 第1の下電極(第1の電極層)
15 第1の層間絶縁膜(絶縁層)
16 第2の下電極(第2の電極層)
17 圧電体
18 上電極
20 引き出し配線
21 個別電極パッド部
24 共通電極バイパス配線
25 第2の層間絶縁膜
40 インクジェット記録装置
42 キャリッジ
44 印字機構部
特開平10−211701号公報 特許第4218309号公報

Claims (7)

  1. 記録液の液滴が吐出されるノズル孔に連通する液室が複数形成された液室基板と、前記液室基板の前記ノズル孔と反対側の領域に振動板を介して設けられた共通電極、圧電体及び個別電極からなる電気機械変換素子と、を備え、前記共通電極及び前記個別電極への電圧の印加により前記圧電体を振動させて前記振動板を変形変位させることで、前記液室内の記録液を加圧して前記ノズル孔から液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記共通電極は、平坦状の第1の電極層と絶縁層を間に介して積層された第2の電極層とで形成されており、
    前記個別電極から引き出された引き出し配線は、前記液室と連通する記録液供給流路と反対側に引き出されるようにして前記第2の電極層の一部として形成される個別電極引き出し部に電気的に接続されて、前記個別電極引き出し部が前記個別電極パッド部と導通しており、
    また、前記第2の電極層の前記圧電体と電気的に接する圧電体電極部の一部に設けた導通部は、前記絶縁層のスルーホールを介して前記第1の電極層と導通しており、
    更に、前記第1の電極層にはバイアス配線が設けられていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記個別電極パッド部及びバイパス配線は、金メッキ処理されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記第1の電極層と前記第2の電極層はそれぞれ異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記第1の電極層は白金で形成され、前記第2の電極層は酸化物電極材料で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記圧電体電極部の前記引き出し配線側の縁部は、前記圧電体の側面で覆われていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 前記圧電体電極部の一部に設けた前記第1の電極層と導通する前記導通部は、前記液室の領域外に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 液滴をノズル孔から吐出する液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置において、
    前記液滴吐出ヘッドが請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液滴吐出装置。
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