以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法においては、接着層としてのアルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層と、この樹脂層の両主面上に設けられた導電層とを備えた両面、又は多層フレキシブル基板を用いる。本実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法においては、両面、又は多層フレキシブル基板の導電層にコンフォーマルマスクを形成し、このコンフォーマルマスクを介して樹脂層をアルカリ溶液で溶解除去して貫通ビア及び/又はブラインドビアを形成する。そして、この貫通ビア及び/又はブラインドビアに銅めっきを施すことにより樹脂層の両主面上に設けられた導電層間を電気的に接続し、両面の導電層をパターニングすることでフレキシブル配線板を製造する。
本実施の形態においては、アルカリ可溶性樹脂を含有する樹脂層を用いることにより、レーザー加工及びドリル加工を行わずに樹脂層を溶解除去して貫通孔を形成することができるので、製造工程の簡略化及び製造コストの削減が可能となる。以下、両面、及び多層フレキシブル配線板の製造方法について説明する。
(貫通ビアを有する両面フレキシブル配線板の製造方法)
まず、貫通ビアを有する両面フレキシブル配線板の製造方法について説明する。図1A〜図1Eは、貫通ビアを有する両面フレキシブル配線板の製造工程を示す図である。
図1A〜図1Eに示すように、本実施の形態においては、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層11と、この樹脂層11の両主面上に設けられた導電層としての銅箔12、13とを備えた両面フレキシブル基板を用いる(図1A)。樹脂層11は、銅箔12、13間を絶縁する層間絶縁層として用いられると共に、銅箔12、13を接着する接着剤としても用いられる。
まず、銅箔12、13にドライフィルムをラミネートした後、ドライフィルムの露光・現像、及び銅箔12、13のエッチングにより、銅箔12、13の一部を除去してコンフォーマルマスク14、15を形成する(図1B)。この工程では、両面フレキシブル基板の銅箔12、13のエッチング部位のズレを最小限(ビア径が100μmの場合は、20μm以下)にする必要がある。
次に、コンフォーマルマスク14、15を介して銅箔12、13のエッチング部位に露出した樹脂層11(アルカリ可溶性樹脂)をアルカリ溶液により溶解除去して貫通ビア16を形成する(図1C)。アルカリ溶液としては、樹脂層11のアルカリ可溶性樹脂を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。また、アルカリ溶液による樹脂層11の溶解除去においては、一般的なフレキシブル配線板の製造工程で用いられているアルカリスプレー装置などを用いることができる。次に、乾燥炉を用いて、150℃〜200℃で、10分〜2時間加熱することにより、樹脂層11のアルカリ可溶性樹脂を硬化させる。
次に、貫通ビア16内壁の樹脂層11に無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施して貫通ビア16及び銅箔12、13表面にめっき17を形成して両面の銅箔12、13を電気的に接続する(図1D)。次に、サブトラクティブ法により銅箔12、13に回路形成することにより、両面フレキシブル配線板を製造する(図1E)。
このように、上記フレキシブル配線板の製造方法においては、コンフォーマルマスク14、15を介したアルカリ溶液による樹脂層11の溶解除去により、樹脂層11への貫通ビア16の形成が可能となるので、貫通ビア16形成に伴うスミアの発生を抑制できる。また、樹脂層11の溶解除去により短時間で貫通ビアを形成できるので、両面フレキシブル配線板の連続生産も可能となる。これにより、生産効率に優れ、回路品質に優れる両面フレキシブル配線板を製造することができる。
(ブラインドビアを有する両面フレキシブル配線板の製造方法)
次に、図2A〜図2Eを参照して、ブラインドビアを有する両面フレキシブル配線板の製造方法について説明する。図2A〜図2Eは、ブラインドビアを有する両面フレキシブル配線板の製造工程を示す図である。
図2A〜図2Eに示すように、本実施の形態においては、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層21と、この樹脂層21の両主面上に設けられた導電層としての銅箔22、23とを備えた両面フレキシブル基板を用いる(図2A)。樹脂層21は、銅箔22、23間を絶縁する層間絶縁層として用いられると共に、銅箔22、23を接着する接着剤としても用いられる。
まず、銅箔22、23にドライフィルムをラミネートした後、ドライフィルムの露光・現像、及び一方の銅箔22のエッチングにより、銅箔22の一部を除去してコンフォーマルマスク24を形成する(図2B)。この工程では、銅箔22のエッチング部位のズレを最小限(ビア径が100μmの場合は、20μm以下)にする必要がある。
次に、コンフォーマルマスク24を介して銅箔22のエッチング部位に露出した樹脂層21(アルカリ可溶性樹脂)をアルカリ溶液により溶解除去してブラインドビア25を形成する(図2C)。アルカリ溶液としては、樹脂層21のアルカリ可溶性樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。また、アルカリ溶液による溶解除去においては、一般的なフレキシブル配線板の製造工程で用いられている炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのシャワーを用いることが望ましい。次に、乾燥炉を用いて、150℃〜200℃で、10分〜2時間加熱することにより、樹脂層21のアルカリ可溶性樹脂を硬化させる。
次に、ブラインドビア25内壁の樹脂層21に無電解銅めっき、あるいはカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施してブラインドビア25及び銅箔22、23表面にめっき26を形成して両面の銅箔22、23を電気的に接続する(図2D)。次に、両面フレキシブル配線板の製造方法と同様の回路形成を行う。次に、サブトラクティブ法により銅箔22、23に回路形成を行うことにより、両面フレキシブル配線板を作製する(図2E)。
このように、上記両面フレキシブル配線板の製造方法においては、コンフォーマルマスク24を介したアルカリ溶液による樹脂層21の溶解除去により、樹脂層21へのブラインドビア25の形成が可能となるので、ブラインドビア25の形成に伴うスミアの発生を抑制できる。また、樹脂層21の溶解除去により短時間でブラインドビア25を形成できるので、両面フレキシブル配線板の連続生産も可能となる。これにより、回路品質に優れる両面フレキシブル配線板を高い生産効率で製造することが可能となる。
(ブラインドビアを有する多層フレキシブル配線板の製造方法)
次に、図3A〜図3Eを参照して、多層フレキシブル配線板の製造方法を説明する。図3A〜図3Eは、ブラインドビアを有する多層フレキシブル配線板の製造工程を示す図である。
図3A〜図3Eに示すように、本実施の形態においては、コア基板30としての両面フレキシブル配線板を用いて多層フレキシブル配線板を製造する。コア基板30としては、絶縁基板31の両主面上に導電層としての銅箔32a、32bを備えた両面フレキシブル配線板を用いる(図3A)。なお、コア基板30としては、片面フレキシブル配線板、両面フレキシブル配線板、又は多層フレキシブル配線板など、各種フレキシブル配線板を用いることができる。また、上述した両面フレキシブル配線板の製造方法で製造した両面フレキシブル配線板をコア基板30として用いてもよい。
まず、コア基板30の銅箔32a、32b上に、それぞれ未硬化状態のアルカリ可溶性樹脂を仮固定して樹脂層33a、33bを設け、この樹脂層33a、33b上に外部導電層としての銅箔34a、34bを順次積層する(図3B)。この積層工程では、アルカリ可溶性樹脂の硬化が進まない条件、例えば100℃で20分程度の加熱が必要である。
次に、銅箔34a、34b上に、ドライフィルムをラミネートした後、ドライフィルムの露光・現像、及び銅箔34a、34bのエッチングにより、銅箔34a、34bの一部を除去してコンフォーマルマスクを形成する。
次に、コンフォーマルマスクを介して銅箔34a、34bのエッチング部位に露出した樹脂層33a、33b(アルカリ可溶性樹脂)をアルカリ溶液により溶解除去してブラインドビア35を形成する(図3C)。アルカリ溶液としては、樹脂層33a、33bのアルカリ可溶性樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。また、アルカリ溶液による溶解除去においては、一般的なフレキシブル配線板の製造工程で用いられている炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのシャワーを用いることが望ましい。次に、乾燥炉を用いて、150℃〜200℃で、10分〜2時間加熱することにより、樹脂層33a、33bのアルカリ可溶性樹脂を硬化させる。
次に、ブラインドビア35内壁の樹脂層33a、33bに無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施してブラインドビア35及び銅箔32a、32b表面にめっきを形成する。このめっきにより、コア基板30の一方の主面側の内部導電層としての銅箔32aと、外部導電層としての銅箔34aとの間、及びコア基板30の他方の主面側の内部導電層としての銅箔32bと、外部導電層としての銅箔34bとの間がそれぞれ電気的に接続される。次に、サブトラクティブ法により外部導電層としての銅箔34a、34bをパターニングして回路形成を行う(図3D)。次に、従来のフレキシブル基板の配線板方法と同様にして、カバーレイ36の形成などの表面処理を行い、多層フレキシブル配線板を製造する(図3E)。
このように、上記多層フレキシブル配線板の製造方法においては、コンフォーマルマスクを介したアルカリ溶液による樹脂層33a、33bの溶解除去により、ブラインドビア35の形成に伴うスミアの発生を抑制できる。また、樹脂層33a、33bの溶解除去により、短時間でブラインドビア35を形成できるので、多層フレキシブル配線板の連続生産も可能となる。これにより、回路品質に優れる多層フレキシブル配線板を高い生産効率で製造することが可能となる。
(ブラインドビア及びフレキシブル部を有する多層フレキシブル配線板の製造方法)
次に、図4A〜図4Fを参照して、ブラインドビア及びフレキシブル部を有する多層フレキシブル配線板の製造方法について説明する。図4A〜図4Eは、ブラインドビア及びフレキシブル部を有する多層フレキシブル配線板の製造工程を示す図である。
図4A〜図4Fに示すように、本実施の形態においては、コア基板40としての両面フレキシブル配線板を用いて多層フレキシブル配線板を製造する。コア基板40としては、絶縁基板41の両主面上に導電層としての銅箔42a、42bを備えた両面フレキシブル配線板を用いる(図4A)。なお、コア基板40としては、片面フレキシブル配線板、両面フレキシブル配線板、又は多層フレキシブル配線板など、各種フレキシブル配線板を用いることができる。また、上述したフレキシブル配線板の製造方法で製造した両面フレキシブル配線板及び多層フレキシブル配線板をコア基板40として用いてもよい。
まず、コア基板40の銅箔42a、42bの上に、それぞれ未硬化状態のアルカリ可溶性樹脂を仮固定して樹脂層43a、43bを設け、この樹脂層43a、43bの上に外部導電層としての銅箔44a、44bを積層する(図4B)。この積層工程では、アルカリ可溶性樹脂の硬化が進まない条件、例えば100℃で20分程度の加熱条件が必要である。
次に、銅箔44a、44b上に、ドライフィルムをラミネートした後、ドライフィルムの露光・現像、及び銅箔44a、44bのエッチングにより、銅箔44a、44bの一部(ブラインドビア形成部位及びフレキシブル部)を除去してコンフォーマルマスクを形成する(図4C)。
次に、コンフォーマルマスクを介して銅箔44a、44bのエッチング部位に露出した樹脂層43a、43b(アルカリ可溶性樹脂)をアルカリ溶液により溶解除去してブラインドビア45及びフレキシブル部46を形成する(図4D)。アルカリ溶液としては、樹脂層43a、43bのアルカリ可溶性樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。また、アルカリ溶液による溶解除去においては、一般的なフレキシブル配線板の製造工程で用いられている炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などのシャワーを用いることが望ましい。次に、乾燥炉を用いて、150℃〜200℃で、10分〜2時間加熱することにより、樹脂層43a、43bのアルカリ可溶性樹脂を硬化させる。
次に、ブラインドビア45内壁の樹脂層43a、43bに無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施してブラインドビア45及び銅箔42a、42b表面にめっきを形成する。このめっきにより、コア基板40の一方の主面側の内部導電層としての銅箔42aと、外部導電層としての銅箔44aとの間、及びコア基板40の他方の主面側の内部導電層としての銅箔42bと、外部導電層としての銅箔44bとの間がそれぞれ電気的に接続される。この工程では、フレキシブル部46の絶縁基板41上にも銅めっきが共に施される。
次に、サブトラクティブ法により外部導電層としての銅箔44a、44bをパターニングして回路形成を行う(図4E)。この回路形成の工程においては、銅箔44a、44bのパターニングに伴うエッチングによってフレキシブル部46の絶縁基板41に付着した銅めっきを共に除去する。これにより、外層の樹脂層43b、及び銅箔44bが除去されたフレキシブル部46を形成することが可能となる。次に、従来のフレキシブル配線板の製造方法と同様にして、カバーレイ47形成などの表面処理を行い、多層フレキシブル配線板を製造する(図4F)。
このように、上記多層フレキシブル配線板の製造方法においては、コンフォーマルマスクを介したアルカリ溶液による樹脂層43a、43bの溶解除去により、ブラインドビア45の形成に伴うスミアの発生を抑制できる。また、樹脂層43a、43bの溶解除去により、短時間でブラインドビア45及びフレキシブル部46を形成できるので、多層フレキシブル配線板の連続生産も可能となる。これにより、回路品質に優れる多層フレキシブル配線板を高い生産効率で製造することが可能となる。
上記実施の形態に係るフレキシブル配線基板の製造方法においては、樹脂層の溶解除去に用いられるアルカリ溶液としては、樹脂層に含まれるアルカリ溶解性樹脂が溶解しうるアルカリ溶液であれば限定されない。このようなアルカリ溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などが挙げられる。一般的に用いられている製造設備やプロセス条件などの観点から、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。現像方法としては、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像などが挙げられる。
上記実施の形態に係るフレキシブル配線基板の製造方法において、加熱硬化は、樹脂層の反応性の観点から120℃以上、400℃以下の温度で実施することが好ましい。より好ましくは、150℃以上、250℃以下である。
加熱硬化における反応雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でも実施可能である。加熱硬化に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好ましくは0.1時間から8時間の範囲で実施される。
(樹脂層)
次に、上記実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法に用いられる樹脂層について説明する。樹脂層は、フレキシブル配線板の導電層間の層間絶縁層及び接着材として用いられる。樹脂層としては、少なくともアルカリ可溶性樹脂を含むものであれば限定されない。樹脂層に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、コンフォーマルマスク形成後のアルカリ溶液による溶解処理で溶解するものであれば特に限定されない。
樹脂層としては、フレキシブル部における柔軟性の付与及びロールツーロール法での成型を可能にするため低弾性率であることが好ましい。また、樹脂層としては、アルカリ可溶性樹脂を導電層上に塗工、加熱による脱溶剤後に得られた膜厚25μmの樹脂層の水酸化ナトリウム水溶液への溶解速度が0.30μm/sec以上であり、更に樹脂層を150℃以上で加熱することにより得られる水酸化ナトリウム水溶液への溶解速度が0.05μm/sec以下であり、樹脂層の弾性率が0.05GPa〜2.0GPa、ガラス転移点温度が150℃以下であることが好ましい。樹脂層のアルカリ溶解速度が上記範囲内であれば、樹脂層のアルカリ溶解性の制御が容易となり、フレキシブルプリント配線板製造工程で一般的に使用されているアルカリ液スプレー装置が使用できる。また、樹脂層の弾性率が0.05GPa〜2.0GPaであれば、基板の反りが小さく、且つ、柔軟性に優れる。ガラス転移点温度が150℃以下、好ましくは、50℃〜120℃であれば、一般的なラミネート装置を用いてのラミネート加工ができるため好ましい。
樹脂層は、アルカリ可溶性樹脂を導電性基材に塗布して設けてもよく、一旦、フィルムに成膜してから導電性基材にラミネートしてもよい。得られた樹脂層を必要に応じて加温させることで、接着性のある樹脂層が形成される。
また、本実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法においては、アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、樹脂層全体の質量に対し、40質量部〜90質量部の範囲が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の含有量が40質量部以上であれば、アルカリ溶液に対する溶解性の観点から好ましく、90質量部以下であれば、耐熱性やハンドリングなどに要する機械強度の観点から好ましい。
(アルカリ可溶性樹脂)
樹脂層に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、スチレンとアクリル酸との共重合体、ヒドロキシスチレンの重合体、ポリビニルフェノール、ポリα−メチルビニルフェノール、ポリイミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ溶液に対する溶解性の観点から、分子鎖中にカルボキシル基、又はフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。さらに、乾燥炉における200℃以下の加熱に対する耐熱性や、フレキシブル配線板の柔軟性の観点から、分子中にカルボキシル基(以下、「カルボキシル基含有」と表記する)、又はフェノール性水酸基を有するポリイミド、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸、カルボキシルキ含有ポリアミド酸エステル)、カルボキシル基含有ポリベンゾオキサゾール、カルボキシル基含有ポリベンゾオキサゾール前駆体が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、加熱反応時のデガス(脱ガス)の影響を抑え、温度条件範囲の選択幅を広げられるなどの生産性の観点から、少なくともポリイミド構造を含むことが好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂としては、フレキシブル配線板の柔軟性や反りの観点から、ポリアルキレンエーテル構造及び/又はシロキサン構造を有することが好ましい。
下記一般式(1)で表されるポリイミド前駆体が更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂として、下記一般式(1)で表されるポリイミド前駆体を用いることにより、一般的なフレキシブル配線板の生産ラインで使用される比較的塩基性が弱いアルカリ溶液で樹脂層を溶解することができ、回路基板の品質に優れるフレキシブル配線板を得ることができる。
(式(1)中、R
1は4価の有機基である。R
2、R
3は水素又は炭素数1〜炭素数20の有機基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R
4は2価〜4価の有機基である。R
5、R
6は水素又は炭素数1〜炭素数20の有機基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。ただし、R
2及びR
3が水素でないとき、m+n>0かつn>0であり、R
5は水素又は炭素数1〜炭素数20の有機基、R
6は水素である。R
2、R
3の少なくとも一方が水素のときm+n≧0であり、かつR
5、R
6は水素又は炭素数1〜炭素数20の有機基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(2)で表されるポリイミド前駆体(ポリアミド酸)がさらに好ましい。
(式(2)中、R
7は炭素数2以上である4価の有機基を示し、R
8は炭素数2以上の2価の有機基を示す。)
次に、アルカリ可溶性樹脂として用いられるポリイミド(ポリイミド前駆体)の製造方法について説明する。ポリイミドは、酸二無水物とジアミンとを重合させてポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を合成し、得られたポリイミド前駆体をイミド化することにより得られる。ポリイミド前駆体のイミド化においては、ポリイミド前駆体を加熱してイミド化する加熱イミド化、又はポリイミド前駆体に触媒を添加してイミド化する化学的イミド化のいずれを用いてもよい。この中で、化学イミド化がより低温でイミド化を完結できるため好ましい。
ポリイミド(ポリイミド前駆体)の合成に用いられる酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物や脂肪族テトラカルボン酸二無水物などのテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸ニ無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物などが挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボンサン二無水物、エチレングリコール−ビス−無水トリメリット酸エステル、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのテトラカルボン酸二無水物のうち、加熱処理を経て形成される絶縁層の柔軟性を高める観点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,3’−オキシジフタル酸ニ無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル、エチレングリコール−ビス−無水トリメリット酸エステルが好ましい。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド(ポリイミド前駆体)の合成に用いられるジアミンとしては、例えば、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(4‘−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン、下記一般式(3)で表されるジアミノシロキサン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
(式(3)中、R
9、R
10は炭素数1以上炭素数30以下の有機基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
上記一般式(3)において、炭素数1以上炭素数30以下の有機基(R9)としては、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、環状構造を含む官能基、及びそれらを組み合わせた官能基などが挙げられる。
上記脂肪族飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの第一級炭化水素基、イソブチル基、イソペンチル基などの第二級炭化水素基、t−ブチル基などの第三級炭化水素基などが挙げられる。
上記脂肪族不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基などの二重結合を含む炭化水素基、エチニル基などの三重結合を含む炭化水素基などが挙げられる。
上記環状構造を含む官能基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基、シクロオクチル基などの単環式官能基;ノルボルニル基、アダマンチル基などの多環式官能基;ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、テトラヒドロフラン、ジオキサン構造を有する複素環式官能基;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環構造を含む芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記炭素数1以上炭素数30以下の有機基(R9)としては、ハロゲン原子、ヘテロ原子及び金属原子を含むものであってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、ヘテロ原子としては、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。また、金属原子としては、ケイ素及びチタンが挙げられる。
また、炭素数1以上炭素数30以下の有機基(R9)が、ヘテロ原子及び/又は金属原子を含む場合においては、有機基(R9)がヘテロ原子及び/又は金属原子に直接結合していてもよく、ヘテロ原子及び/又は金属原子を介して結合していてもよい。
有機基(R9)の炭素数としては、難燃性を考慮して、1以上20以下が好ましい。さらに、生成するポリイミドの溶媒への溶解性の観点から、有機基(R9)の炭素数としては、1以上10以下が特に好ましい。
上記一般式(3)で表される化合物として、例えば、シリコーンジアミン(信越化学工業社製、PAM−E、KF−8010、X−22−161A、X−22−1660B−3)が挙げられる。
また、ジアミンとしては、鎖状ポリエーテルを分子構造内に有するジアミンを用いることも好ましく、下記一般式(4)、又は下記一般式(5)で表される化合物を用いることがより好ましい。
(式(4)中、bは1〜50の整数を表し、R
11はそれぞれ独立に炭素数2〜炭素数10のアルキレン基を表す。)
(式(5)中、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16はそれぞれ独立して炭素数1〜炭素数20のアルキレン基を表し、それぞれ独立して炭素数1〜炭素数5のアルキル基を1個以上、有していてもよい。c、d、eはそれぞれ独立して0以上の整数を表す。)
上記一般式(4)で表されるジアミンとしては、例えば、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエートなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、両末端が、p−アミノ安息香酸エステル基のものが好ましく、その中でも、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエートが好ましく用いられる。また、ジアミンを2種以上使用してもよい。
上記一般式(4)で表されるジアミンの含有量としては、全ジアミンに対して25モル%〜55モル%が好ましく、25モル%〜50モル%がより好ましく、30モル%〜50モル%がさらに好ましい。上記一般式(4)で表されるジアミンの含有量が、25モル%以上であれば柔軟性を示し、55モル%以下であれば耐溶剤性と耐熱性に優れる。
また、上記一般式(5)で表されるジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキシオクタンなどのポリオキシエチレンジアミンや、ポリオキシプロピレンジアミン、炭素数が異なるオキシアルキレン基を含むものなどのポリオキシアルキレンジアミンなどが挙げられる。ポリオキシアルキレンジアミン類としては米ハンツマン社によるジェファーミンEDR−148、EDR−176などのポリオキシエチレンジアミン、ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000などのポリオキシプロピレンジアミン、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、XTJ−542などの異なるオキシアルキレン基をもつものなどの市販品が、使用例として挙げられる。特に、中でも比較的分子量の低いEDR−148、D−230、D−400、HK−511などは比較的高いガラス転移温度をもつポリマーとなり得るため、耐熱性、耐薬品性が必要な用途で使用することができる。一方、比較的分子量の高いD−2000などは柔軟性、低沸点溶媒溶解性などに優れる。また、純度が高いものを用いた方がポリアミド酸として高分子量のものを得やすく、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98.5%以上である。
上記一般式(5)で表されるジアミンの含有量としては、全ジアミンに対して25モル%〜60モル%であることが好ましく、25モル%〜50モル%がより好ましく、30モル%〜50モル%がさらに好ましい。上記一般式(5)で表されるジアミンの含有量が、25モル%以上であれば、柔軟性を示し、60モル%以下であれば、耐溶剤性と耐熱性に優れる。
これらのジアミンの中でも、加熱処理を経て形成される絶縁層の柔軟性を高める観点から、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(4'−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン、上記一般式(3)で表されるジアミノシロキサン化合物、鎖状ポリエーテルを分子構造内に有する上記一般式(4)、又は上記一般式(5)で表される化合物が好ましい。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、ジアミンとしては、アルカリ溶解性及び反応の容易さなどの観点から、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MBAAと略称する)、3,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ジアミノ−4,6−ジカルボキシベンゼンなどのカルボキシル基を有するジアミンを用いることが好ましい。
次に、ポリイミド前駆体の製造方法について詳細に説明する。ポリイミド前駆体は、最新ポリイミド〜基礎と応用〜 日本ポリイミド研究会編 pp4〜pp49などに記載の公知の方法で容易に合成することができる。具体的には、低温から100℃以下でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとを反応させてジエステルを合成し、その後に縮合剤の存在下、ジアミンと反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとを反応させてジエステルを合成し、その後、残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、次いでジアミンと反応させる方法などがある。これらの中でも、低温から100℃以下でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させる方法が好ましい。
反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、フェノール、クレゾールなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
反応における反応原料の濃度としては、通常、2質量%〜60質量%であり、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜45質量%がさらに好ましい。
重合させる酸二無水物とジアミンとのモル比は、0.8〜1.2の範囲内である。この範囲内の場合、分子量を上げることができ、得られるポリイミド前駆体の伸度などにも優れる。好ましくは0.9〜1.1、より好ましくは0.95〜1.05である。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量としては、5000以上100000以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。重量平均分子量は10000以上60000以下がより好ましく、20000以上50000以下が最も好ましい。重量平均分子量が5000以上100000以下であると樹脂組成物を用いて得られる絶縁層の反りが改善され、柔軟性、及び耐熱性に優れる。
ポリイミド前駆体の製造の際の反応温度は、0℃以上250℃以下が好ましい。0℃以上あれば反応が開始され、また250℃以下であれば副反応などの影響が無い。好ましくは15℃以上220℃以下、さらに好ましくは20℃以上200℃以下である。
ポリイミド前駆体の反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
次に、得られたポリイミド前駆体のイミド化について説明する。まず、ポリイミド前駆体のイミド化は、加熱イミド化する場合には、ポリイミド前駆体を100℃〜400℃に加熱してイミド化し、化学イミド化する場合には、無水酢酸などの触媒(イミド化剤)を用いてイミド化する。これらの加熱イミド化又は化学イミド化により、ポリイミド前駆体の構造に対応する繰り返し単位構造を有するポリイミドが得られる。なお、ポリイミドの共重合様式は、ブロック構造でもランダム構造でもよい。
加熱イミド化においては、副生する水を除去するために、共沸剤(好ましくは、トルエンやキシレン)を共存させて、ディーンシュターク型脱水装置を用いて、還流下、脱水を行うことが好ましい。
また、加熱イミド化する場合、80℃〜220℃で酸二無水物とジアミンとを重合させることにより、ポリイミド前駆体の合成と生成したポリイミド前駆体の加熱イミド化反応とを共に進行させてポリイミドを得ることもできる。具体的には、酸二無水物とジアミンとを有機溶媒中に懸濁又は溶解させ、80℃〜220℃の加熱下に反応を行うことにより、ポリイミド前駆体の生成と脱水イミド化とが共に進行し、ポリイミドを得ることができる。
化学イミド化においては、ポリイミド前駆体に触媒を添加してイミド化する。イミド化の触媒としては特に制限されないが、無水酢酸のような酸無水物、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−テトロン酸、γ−フタリド、γ−クマリン、γ−フタリド酸のようなラクトン化合物、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンのような三級アミンのなどが挙げられる。また、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であってもよい。この中でも特に、反応性の高さの観点からγ−バレロラクトンとピリジンの混合系が特に好ましい。
イミド化の触媒の添加量としては、ポリイミド前駆体100重量部に対して50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。
イミド化の反応溶媒としては、ポリイミド前駆体の製造に使用したものと同じものを用いることができる。その場合、ポリイミド前駆体溶液をそのまま用いてイミド化することができる。また、ポリイミド前駆体の製造に用いた溶媒と異なる溶媒を用いてもよい。
イミド化の反応溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物として用いてもよい。特に好ましい溶媒としては、炭素数3以上6以下のエステル化合物、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上10以下の含窒素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能である。
化学イミド化において、反応温度は15℃以上250℃以下で実施することが好ましい。15℃以上あれば反応が開始され、また250℃以下であれば触媒の失活が無い。好ましくは20℃以上220℃以下、さらに好ましくは20℃以上200℃以下である。
反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
製造終了後における反応溶液からのポリイミドの回収は、反応溶液中の溶媒を減圧留去により行うことができる。
ポリイミドの精製方法としては、反応溶液中の不溶解な酸二無水物及びジアミンを減圧濾過、加圧濾過などで除去する方法が挙げられる。また、反応溶液を貧溶媒に加え析出させる、いわゆる再沈殿によって精製することも可能である。さらに特別に高純度なポリイミドが必要な場合は、二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。
ポリイミドの数平均分子量としては、難燃性、ポリイミド含有樹脂組成物の粘度、成型性の観点から、1000以上1000000以下であることが好ましい。ここで、数平均分子量とは、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。数平均分子量は、5000以上500000以下がより好ましく、10000以上300000以下がさらに好ましい。
ポリイミドの末端構造としては、性能に影響を与えない構造であれば、特に限定されない。ポリイミドを製造する際に用いる酸二無水物、ジアミンに由来する末端でも良く、その他のアミン化合物、カルボン酸誘導体などの末端封止剤により末端封止してもよい。ポリイミドを末端封止することにより、貯蔵安定性が向上する。
モノアミン誘導体からなる末端封止剤としては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンズニトリル、p−アミノベンズニトリル、m−アミノベンズニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセンなどの芳香族モノアミンを挙げることができ、この中で好ましくはアニリンの誘導体が使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできる。
カルボン酸誘導体からなる末端封止剤としては、主に無水カルボン酸誘導体が挙げられ、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物などの芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸無水物の中で、好ましくは無水フタル酸が使用される。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
ポリイミド前駆体としては、主鎖中のポリアミド酸構造以外に、カルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基からなる群から選ばれた官能基を有するものも好ましい。このようなポリイミド前駆体は、例えば、カルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基を有するジアミンを共重合させて得ることができる。また、ジアミン末端のポリイミド前駆体と分子構造中にカルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基を有する酸無水物とを反応させることによっても得ることができ、酸無水物末端のポリイミド前駆体とカルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基を有するアミン化合物を反応させることによっても、得ることができる。
分子構造中にカルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基を有するアミン化合物としては、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸などが挙げられる。
分子構造中にカルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基を有する酸無水物としては、トリメリット酸無水物などのカルボキシル基含有酸無水物などが挙げられる。
ポリマー主鎖末端に、カルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基から選ばれる官能基に由来する部位の導入率については、現像性を向上させるため、得られる樹脂層の柔軟性を損なわない範囲で決定する。好ましくは、0.5mol%以上、10mol%以下である。
アルカリ可溶性樹脂としては、樹脂層の難燃性の観点からリン化合物を含有することが好ましい。リン化合物は、構造中にリン原子を含む化合物であれば限定されない。このような化合物として、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物などが挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの脂肪族炭化水素基を置換基とするリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート(以下、TBXPと略称する)などの酸素原子を含む脂肪族有機基を置換基とするリン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などの芳香族有機基を置換基とするリン酸エステル化合物などが挙げられる。これらの中で、現像性の観点からTBXP、トリイソブチルホスフェートが好ましい。
ホスファゼン化合物としては、下記一般式(6)、下記一般式(7)で表される構造などが挙げられる。
(上記一般式(6)及び上記一般式(7)で表されるホスファゼン化合物におけるR
17、R
18、R
19、及びR
20としては、炭素数1〜炭素数20の有機基であれば限定されない。炭素数1以上であれば、難燃性が発現する傾向にあるため好ましい。炭素数20以下であれば、ポリイミド前駆体と相溶する傾向にあるため好ましい。この中で、難燃性発現の観点から、炭素数6以上炭素数18以下の芳香族性化合物に由来する官能基が特に好ましい。)
上記一般式(6)及び上記一般式(7)で表されるホスファゼン化合物におけるR17、R18、R19、及びR20の官能基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などのフェニル基を有する官能基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのナフチル基を有する官能基、ピリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの含窒素複素環化合物に由来する官能基などが挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて1種類でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。この中で、入手の容易さからフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−シアノフェニル基、を有する化合物が好ましい。
上記一般式(6)で表されるホスファゼン化合物におけるXは、3以上25以下の整数であれば限定されない。Xが3以上であれば難燃性を発現し、Xが25以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからXは3以上10以下であることが好ましい。
上記一般式(7)で表されるホスファゼン化合物におけるYは、3以上10000以下の整数であれば限定されない。Yが3以上であれば、難燃性を発現し、10000以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからYは3以上100以下が好ましい。
上記一般式(7)で表されるホスファゼン化合物におけるA及びBは、炭素数3以上炭素数30以下の有機基であれば限定されない。この中で、Aは−N=P(OC6H5)3、−N=P(OC6H5)2(OC6H4OH)、−N=P(OC6H5)(OC6H4OH)2、−N=P(OC6H4OH)3、−N=P(O)(OC6H5)、−N=P(O)(OC6H4OH)が好ましい。Bは−P(OC6H5)4、−P(OC6H5)3(OC6H4OH)、−P(OC6H5)2(OC6H4OH)2、−P(OC6H5)(OC6H4OH)3、−P(OC6H4OH)4、−P(O)(OC6H5)2、−P(O)(OC6H4OH)2、−P(O)(OC6H5)(OC6H4OH)などが好ましい。リン化合物は、1種類でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
リン化合物の添加量は、ポリイミド100質量部に対し、分散性などの観点から、50質量部以下が好ましい。アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層の難燃性の観点から、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂には、さらに熱架橋剤を配合することも好ましい。これにより、キュア時にアルカリ可溶性樹脂の分子量を増加させることが可能となる。架橋剤としては、例えば、上記ジアミン化合物のアミノ基をカーボネート基やカルバメート基などで保護した化合物が好ましい。架橋剤の配合量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部添加することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂には、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、その他化合物を含むことが出来る。具体的には、密着性向上のための複素環化合物などが挙げられる。複素環化合物とはヘテロ原子を含む環式化合物であれば限定されない。ここで、ヘテロ原子には、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。
複素環化合物とは、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールのようなイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールのようなN−アルキル基置換イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールなどの芳香族基含有イミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどのシアノ基含有イミダゾール、イミダゾールシランなどのケイ素含有イミダゾールなどのイミダゾール化合物、5−メチルベンゾトリアゾール、1−(1’、2’−ジカルボキシエチルベンゾトリアゾール)、1−(2−エチルヘキシアミノメチルベンゾトリアゾール)などのトリアゾール化合物、5−フェニルテトラゾールなどのテトラゾール化合物、2−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾールなどオキサゾール化合物などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂には、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤を添加することにより、樹脂層を溶解除去して貫通孔(貫通ビア)やブラインドビアを形成した後に、配線パターン形成時のエッチング処理におけるアルカリ耐性が向上すると共に、耐熱性、寸法安定性なども向上する。架橋剤としては、具体的にはエポキシ樹脂、ベンゾオキサジン、イソシアネートなどが挙げられる。特に加熱反応時に副生ガスを発生しないベンゾオキサジンやエポキシ樹脂が好ましい。
また、その他の具体的に添加剤としては、密着性向上剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、可塑剤、ワックス類、充填剤、顔料、染料、発泡剤、消泡剤、脱水剤、帯電防止剤、抗菌剤、防カビ剤、レベリング剤、分散剤、エチレン性不飽和化合物などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、上記の成分を常法により混合して調製することができる。具体的には、例えば、撹拌装置及び加熱装置を備えたライカイ機、三本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサーなどを用いることができる。また、これらの混合装置を適宜2種以上組み合わせて用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、両面及び多層フレキシブルプリント配線板の製造に好適に用いることができる。片面フレキシブル基板を製造するという観点からは、アルカリ可溶性樹脂におけるポリイミド濃度は、1質量%以上、90質量%以下が好ましい。ポリイミド濃度は、両面及び多層フレキシブル基板の膜厚の観点から1質量%以上が好ましく、アルカリ可溶性樹脂の粘度、膜厚の均一性の観点から90質量%以下が好ましい。得られる両面及び多層フレキシブル基板の膜厚の観点から、2質量%以上、80質量%以下がより好ましい。
次に、本実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法に用いられるフレキシブル基板の製造方法について説明する。まず、アルカリ可溶性樹脂を基材にコートして樹脂層を形成する。基材としては、ロールツーロールでの連続生産可能な塗工、乾燥設備であれば特に限定されない。このような基材としては、導電性基材、ガラスクロス、キャリアフィルムなどが挙げられる。連続生産性やハンドリングの点から導電性基材が好ましい。導電性基材としては、配線加工性や基板圧着後の密着性の観点から、銅箔が特に好ましい。
コート方法としてはバーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、スピンコート、スリットコート、はけ塗り、などが例示できる。コート後、必要に応じてホットプレートなどによりプリベークと呼ばれる加熱処理を行ってもよい。
アルカリ可溶性樹脂をコートする際には、アルカリ可溶性樹脂の溶液を任意のコート方法で銅箔など任意の導電性基材の一方の主面上に塗布後乾燥して樹脂層を形成し、この樹脂層をドライフィルム化した積層体を形成する。この積層体の樹脂層上に、任意の防汚用や保護用のカバーフィルムを少なくとも一層設けてもよい。積層体において、カバーフィルムとしては、低密度ポリエチレンなど樹脂層を保護するフィルムであれば限定されない。
導電層(導電性基材)/樹脂層(アルカリ可溶性樹脂層)/導電層(導電性基材)の3層から構成からなる両面フレキシブル基板を製造する場合は、樹脂層のもう一方の主面に導電性基材を加熱圧着し形成する。このような形成方法としては、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層から保護用のカバーフィルムを剥離させ、導電性基材と接触させた状態で、熱プレス、熱ラミネート、熱真空プレス、熱真空ラミネートなどを行う方法などが挙げられる。この中で、含む樹脂層との接着性の観点から、熱真空プレス、熱真空ラミネートが好ましい。更に、ロールツーロールによる生産性の観点から、熱真空ラミネートが特に好ましい。導電性基材としては、電解銅箔、圧延銅箔、電着フィルム、導電性ペースト付きフィルム、アルミニウム箔フィルム、ステンレス箔フィルムなどが挙げられる。導電性基材フィルムは、電気伝導性や樹脂層との密着性の観点から電界銅箔が好ましい。
樹脂層を接着する際の加熱温度は、導電性基材に密着しうる温度であれば限定されない。導電性基材への密着の観点から、50℃以上、150℃以下が好ましい。より好ましくは、50℃以上、120℃以下である。
次に、樹脂層の加熱硬化を行う。加熱硬化における反応雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でも実施可能である。加熱硬化に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好適に好ましくは1時間から8時間の範囲で実施される。以上の工程により両面フレキシブル基板が製造される。
以上説明したように、上記実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法においては、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層を層間絶縁層として用いると共に、導電層間の層間接着剤として用いるので、導電層をエッチングして形成したコンフォーマルマスクを介したアルカリ溶液による処理により、貫通ビア及び/又はブラインドビアを形成することが可能となる。このように、レーザー加工やドリル加工を用いずに貫通ビア及びブラインドビアを形成できるので、スミアの発生を抑制できるので、スミアによるビア欠損不良(重大欠陥)の発生を抑制でき、信頼性の高いフレキシブル配線板を製造することが可能となる。
特に、上記実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法によれば、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層をアルカリ溶液で短時間に溶解除去できるので、例えば、ロールツーロール法などによりフレキシブル配線板を連続生産することが可能となる。さらに、1穴ずつビア加工を施していたレーザー加工やドリル加工に対し、アルカリ溶液による溶解処理で複数のビアを共に形成でき、しかもデスミア処理も不要となるので、ビア形成に要する加工時間を大幅に短縮することが可能となる。これらにより、生産リードタイムを大幅に短縮することが可能となり、生産効率に優れるフレキシブル配線板の製造方法を実現できる。さらに、アルカリ溶液による溶解処理においては、フレキシブルプリント配線板の製造工程で一般的に使用されているエッチング装置、アルカリ液スプレー装置、及びラミネート設備などを転用することも可能である。
また、上記実施の形態に係るフレキシブル配線板の製造方法においては、コア基板と外部導電層としての銅箔との間にカバーレイを設けることなく多層フレキシブル配線板を製造できる。これにより、内部導電層と外部導電層との間にカバーレイを設ける必要がある従来の多層フレキシブル配線板と比較して構成の簡素化が可能となると共に、製造工程の大幅な簡略化が可能となる。
さらに、上記フレキシブル配線板の製造方法においては、アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層を用いることにより、外部導電層としての銅箔に設けたコンフォーマルマスクを介して、ブラインドビアの形成と共に、フレキシブル部の形成も可能となる。このように、外層基板を剥離する加工を伴わずにフレキシブル部を設けることができるので、リジッド・フレキ配線板などを容易に製造することが可能となる。
(実施例)
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
〔アルカリ可溶性樹脂の溶解特性の評価〕
アルカリ可溶性樹脂の溶解特性は、以下の手順により算出した溶解速度によって評価した。真空吸着及び加熱できる塗工台(マツキ科学社製)上に電解銅箔(F1−WS/古河サーキットフォイル社製)の粗面側を敷き、真空吸着により電解銅箔を貼り付けた。ギャップが250μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて、電解銅箔上にアルカリ可溶性樹脂を塗布した。その後、乾燥機(SPH−201/エスペック社製)で95℃、12分の条件で脱溶剤を行った。
得られたフィルムの樹脂層側に電解銅箔(F1−WS/古河サーキットフォイル社製)の粗面側を重ねて、真空プレス(テスター産業社製)により100℃、1.0MPaの条件で1分加圧接着させた。さらに、ドライフィルムレジスト(DFR)(サンフォートAQ2578 旭化成イーマテリアルズ社製)を電解銅箔側にラミネートし、500μmφの円孔パターンを形成した後、塩化第二鉄エッチング液で円孔形成部の銅箔をエッチング除去した。
その後、50℃に加温した3wt%の水酸化ナトリウム水溶液を圧力0.18MPaでスプレーした。フィルムが完全に溶けるまでに要した時間を溶解時間とし、アルカリ可溶性樹脂の水酸化ナトリウム水溶液に対する溶解速度を、溶解前の膜厚(μm)を溶解時間(sec)で除し、100を掛けることで算出した。
〔弾性率〕
約30μmの膜厚になるように銅箔上にアルカリ可溶性樹脂を成膜した。続いて、180℃で1時間熱処理した後、塩化第二鉄水溶液で銅箔部分を溶解させた。水道水で水洗後、室温で1日乾燥させてフィルムを得た。得られたフィルムを5mm×100mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片を引っ張り試験機(RTG−1210/エー・アンド・デイ社製)にて測定した。
〔ガラス転移点温度〕
約30μmの膜厚になるように銅箔上にアルカリ可溶性樹脂を成膜した。続いて、120℃で1時間熱処理した後、塩化第二鉄水溶液で銅箔部分を溶解させた。水道水で水洗後、室温で1日乾燥させてフィルムを得た。得られたフィルムを3mm×50mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片をTMA試験機(EXSTAR6000/セイコーインスツルメント社製)にて測定した。
〔試薬〕
試薬として、シリコーンジアミン(KF−8010)(信越化学工業社製)、エチレングリコール−ビス−無水トリメリット酸エステル(TMEG)(新日本理化社製)、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)(和歌山精化工業株式会社製)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−N)(三井化学社製)、3,5−ジアミノ安息香酸(日本純良薬品社製)、ホスファゼン化合物(FP−100)(伏見製薬所社製)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジン(BS−BXZ)(小西化学工業製)、トルエン(和光純薬工業社製、有機合成用)、γ―ブチロラクトン(和光純薬工業社製)、ピリジン(和光純薬工業社製)、γ―ブチロラクトン(和光純薬工業社製)、γ―バレロラクトン(和光純薬工業社製)は特別な精製を実施せずに用いた。
〔調製例〕
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、KF−8010(アミン価410)(26.2g 32mmol)、MBAA(6.3g 22mmol)、APB−N(0.58g 2mmol)、γ―ブチロラクトン(159.8g)、TMEG(20.1g 59.2mmol)、トルエン(43g)を入れ、ディーンシュタルク装置及び還流器をつけ、50℃で1時間加熱撹拌した。続いてピリジン(1.8g)、γ−バレロラクトン(1.5g)を入れ、180℃で3時間加熱撹拌した。次に、ピリジン及び共沸溶媒であるトルエンを3時間かけて除去した後に、30℃まで冷却した。続いてポリマー固形分濃度30重量%となるようにγ―ブチロラクトンを加え、ポリイミドのγ―ブチロラクトン溶液を得た。次に、ポリイミド(100質量部)、FP−100(10質量部)、BS−BXZ(20質量部)を混合してアルカリ可溶性樹脂を調整した。電解銅箔と積層後のアルカリ溶解速度は0.4μm/sec、加温処理後の弾性率は0.7GPa、ガラス転移点温度は90℃であった。
[実施例1]
(両面フレキシブル配線板の製造方法)
調整例のアルカリ可溶性樹脂を樹脂層(接着剤)とした両面フレキシブル配線板を用い、両面の銅箔上にドライフィルムをラミネートした。次に、露光・現像、及びエッチングにより、所定の位置の銅箔を除去し、両面の対応する部位にコンフォーマルマスクを形成した。この工程では、両面の銅箔エッチング部位のズレを最小限(ビア径が100μmの場合は、20μm以下)にした。
次に、銅箔が除去された部位に露出した樹脂層(アルカリ可溶性樹脂)に、50℃に加温した3%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして、樹脂層を除去して貫通ビアを形成した。次に、乾燥炉を用いて180℃で1時間加熱することにより、樹脂層のアルカリ可溶性樹脂を硬化させた。得られた貫通ビアの壁面や底部には、樹脂残渣が観測されず、貫通ビア形成は良好であり、デスミア工程は不要であった。
次に、貫通ビアのめっきを行った。まず貫通ビア内壁の樹脂層に無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施して両面の銅箔を電気的に接続した。次に、銅箔をパターニングして回路形成を行った。以降の工程については、従来のフレキシブル配線板の製造方法と同様にして実施した。
実施例1で作製した両面フレキシブル基板は、穴あけドリル加工機やレーザー加工機を用いて、1穴ずつ(ドリル加工の場合は数枚を重ねて)加工する従来の両面フレキシブル配線板の製造方法と異なり、コンフォーマルマスクを介したアルカリ処理により瞬時に穴あけ加工が可能であった。
[実施例2]
(ブラインドビアを有する両面フレキシブル配線板の製造方法)
調整例のアルカリ可溶性樹脂を含む樹脂層(接着剤)を有する両面フレキシブル配線板を用いて、両面の銅箔上にドライフィルムをラミネートした。次に、露光・現像、及びエッチングにより所定の位置の銅箔を除去し、片面の銅箔の所定の部位にコンフォーマルマスクを形成した。
次に、銅箔が除去された部位に露出した樹脂層(アルカリ可溶性樹脂)に、50℃に加温した3%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして樹脂層を除去してブラインドビアを形成した。次に、乾燥炉を用いて、180℃で1時間加熱することにより樹脂層のアルカリ可溶性樹脂を硬化させた。得られたブラインドビアの壁面や底部には、樹脂残渣が観測されず、ブラインドビア形成は良好であり、デスミア工程は不要であった。
次に、ブラインドビアめっきを行った。まずブラインドビア内壁の樹脂層に無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施して両面の銅箔を電気的に接続した。次に、銅箔をパターニングして回路形成を行った。以降の工程については、従来の両面フレキシブル配線板の製造方法と同様にして実施した。
実施例2で作製した両面フレキシブル基板は、穴あけドリル加工機やレーザー加工機を用いて、1穴ずつ(ドリル加工の場合は数枚を重ねて)加工する従来の両面フレキシブル配線板の製造方法と異なり、コンフォーマルマスクを介したアルカリ処理により瞬時に穴あけ加工が可能であった。
[実施例3]
(ブラインドビアを用いた多層フレキシブル配線板の製造方法)
一般的な両面フレキシブル配線板をコア基板として用いた。まず、2枚の銅箔上に調製例によって得られたアルカリ可溶性樹脂をそれぞれ塗布して樹脂層を設けた。次に、2枚の銅箔上に設けた樹脂層がコア基板の両主面とそれぞれ対向するように、コア基板の両主面上に樹脂層及び銅箔を積層した。積層工程では真空プレスを用いて120℃で20分2MPa程度の加熱条件で積層した。
外層の銅箔上にドライフィルムをラミネートした後、露光・現像、及びエッチングにより、所定の位置の銅箔を除去してブラインドビア形成部位にコンフォーマルマスクを形成した。
次に、銅箔が除去された部位に露出した樹脂層(アルカリ可溶性樹脂)に、50℃に加温した3%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして樹脂層を除去してブラインドビアを形成した。次に、乾燥炉を用いて、180℃で1時間加熱することにより、樹脂層のアルカリ可溶性樹脂を硬化させた。得られたブラインドビアの壁面や底部には、樹脂残渣が観測されず、ブラインドビア形成は良好であり、デスミア工程は不要であった。
次に、ブラインドビアめっきを行った。まず、ブラインドビア内壁の樹脂層に無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施し、コア基板一方の主面側の導電層と銅箔とを電気的に接続すると共に、他方の主面側の導電層と銅箔とを電気的に接続した。次に、両面の銅箔をパターニングして回路形成した。以降の工程については、従来のフレキシブル配線板の製造方法と同様にして実施した。
実施例3で作製した多層フレキシブル基板は、穴あけドリル加工機やレーザー加工機を用いて、1穴ずつ(ドリル加工の場合は数枚を重ねて)加工する従来の両面フレキシブル配線板の製造方法と異なり、コンフォーマルマスクを介したアルカリ処理により瞬時に穴あけ加工が可能であった。
[実施例4]
(ブラインドビア及びフレキシブル部を有する多層フレキ配線板の製造方法)
一般的な両面フレキシブル配線板をコア基板として用いた。なお、実施例1又は実施例2で作製した両面フレキシブル配線板をコア基板として用いてもよい。まず、2枚の銅箔上に調製例によって得られたアルカリ可溶性樹脂をそれぞれ塗布して樹脂層を設けた。次に、2枚の銅箔上に設けた樹脂層がコア基板の両主面とそれぞれ対向するように、コア基板の両主面上に樹脂層及び銅箔を積層した。積層工程では真空プレスを用いて120℃で20分2MPa程度の加熱条件で積層した。
次に、外層の銅箔上にドライフィルムをラミネートした後、露光・現像、及びエッチングにより、所定の位置の銅箔を除去してブラインドビア形成部位及びフレキシブル部にコンフォーマルマスクを形成した。
次に、銅箔が除去された部位に露出した樹脂層(アルカリ可溶性樹脂)に、50℃に加温した3%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして樹脂層を除去し、ブラインドビア形成とフレキシブル部の樹脂層を溶解除去した。次に、乾燥炉を用いて180℃で1時間加熱することにより、樹脂層のアルカリ可溶性樹脂を硬化させた。得られたブラインドビアの壁面や底部には、樹脂残渣が観測されず、ブラインドビア形成は良好であり、デスミア工程は不要であった。
次に、ブラインドビアのめっきを行った。まず、ブラインドビア内壁の樹脂層に無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施して両面の銅箔を電気的に接続した。この工程で同時にフレキシブル部の絶縁基板上にも銅めっきが施された。
次に、両面の銅箔をパターニングして回路形成を行った。この工程において、フレキシブル部の絶縁基板上に付着した銅めっきも同時にエッチングにより除去して外層を除去した構造を形成した。これ以降の工程については、従来のフレキシブル配線板の製造方法と同様にして実施した。
実施例4で作製したフレキシブル部を有する多層フレキシブル配線板は、コンフォーマルマスクを介したアルカリ処理工程により瞬時に穴あけ加工が可能となった。またリジッド・フレキ配線板特有の外層剥がし工程も同時に行うことが可能となり、生産効率を大幅に向上させることができた。