JP2012166677A - 鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造において、ロックナットに締結されるねじ部33Bより上方のハンドルポスト連結部34の径Iは、ねじ部33Bの径Jよりも小さく設けられるとともに、ステムワッシャ50の係止突部56の中央部先端56Aから、ステムワッシャ50の中心Oを通ってステムワッシャ50の内縁に達する線分L1を直径とする円の当該径が、ハンドルポスト連結部34の径Iよりも大きくなるように設けられ、ステムワッシャ50の内径がステアリングステム30のねじ部33Bの径Jと同じになるように設けられるとともに、ステアリングステム30の溝部35が、ステアリングステム30の上部ナット45の上方近傍のみに設けられる。
【選択図】図5
Description
また、特許文献1と類似のステアリングステムの締結構造として、図10(a)に示すようなものが知られている。この締結構造では、ステアリングステム100の下部がヘッドパイプ101の下部ベアリング102のインナーレース102Aに軸支され、ステアリングステム100の上部がヘッドパイプ101の上部ベアリング103のインナーレース103Aに軸支され、このインナーレース103Aの上方からトップスレッド104がインナーレース103Aに予圧をかけるように締め付けられ、トップスレッド104の上方にステムワッシャ105が配置され、このステムワッシャ105の上方からロックナット106がステアリングステム100に締結されることで、ステアリングステム100がヘッドパイプ101に設けられている。
ここで、ステムワッシャ105は、ロックナット106を締め込んでいく際に、トップスレッド104がロックナット106との摩擦によって共回りすることを防ぐ部品であり、図10(b)に示すように、その内周部から径方向内側に延びる係止突部105Aを有している。具体的には、ステアリングステム100には上下方向に延びるキー溝100Aが機械加工により設けられており、このキー溝100Aに、ステムワッシャ105の係止突部105Aが係合されることで、ステムワッシャ105はステアリングステム100に対して回り止めされる。これにより、ロックナット106を締め込んでいく際にステムワッシャ105は回転されず、その下方にあるトップスレッド104も回転されることがないため、トップスレッド104の共回りが防止される。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造において、ステアリングステムの加工個所を低減し、加工を容易にすることを目的とする。
この場合、係止突部または係止面部の突出量は、ステアリングステム上部の外径とねじ部の外径との間の段差よりも大きく形成され、溝部または面取り部の深さは、段差の大きさよりも深く形成されるため、係止突部または係止面部を、溝部または面取り部に深く係合させて確実に係止できるとともに、上記段差よりも長い係止突部または係止面部を有するステムワッシャであっても、ステムワッシャの係止突部または係止面部の中央部先端からステムワッシャの中心を通ってステムワッシャの内縁に達する線分を直径とする円の径に沿わせることで、係止突部または係止面部がステアリングステム上部に接触することを避けることができる。これにより、ステアリングステム上部に溝部または面取り部を設ける必要がなくなるため、加工個所を少なくできる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造が適用された自動二輪車の車体フレームを示す左側面図である。
自動二輪車1は、前輪(不図示)と後輪(不図示)との間に車体を備える鞍乗型の自動二輪車であり、上記車体は、車体フレーム10を備えている。車体フレーム10は、前部に設けられるヘッドパイプ11、ヘッドパイプ11から後下がりに後方へ延びるメインフレーム12、メインフレーム12の後部から下方に延びるセンターフレーム13、及び、メインフレーム12の後部から後上がりに後方へ延びるリアフレーム14を有している。
センターフレーム13には、上下に揺動可能なスイングアーム(不図示)が連結され、上記後輪はこのスイングアームの後端に軸支される。
ブリッジ部15は、ステアリングステム30の下端に結合されるステム連結部21と、ステム連結部21から左右に分岐して車幅方向に延びるフォーク連結部22,22とを有している。ステアリングステム30は下端がステム連結部21に嵌合されて溶接されることで、ブリッジ部15と一体化されている。各フォークパイプ16,16(図1)は、フォーク連結部22に挿通されて割り締めにより固定される。ステアリングステム30、ブリッジ部15及びフォークパイプ16,16は、上記前輪を支持するフォーク部材26を構成している。
図2及び図3に示すように、ステアリングステム30の締結構造は、ステアリングステム30、ヘッドパイプ11、ブリッジ部15、ステアリングステム30を上下で軸支する上側ベアリング41及び下側ベアリング42、上側ベアリング41の上方でステアリングステム30に締結される上部ナット45(トップスレッド)、ステアリングステム30に回転不能に嵌合されるステムワッシャ50、及び、ステムワッシャ50の上方でステアリングステム30に締結されるロックナット51を備えて構成される。
ねじ部33B及びハンドルポスト連結部34の下部の外周面には、ステアリングステム30のステム軸線に沿って延びる溝部35が形成されている。溝部35は機械加工によって切削されることで形成される。
上側ベアリング41は、インナーレース41Bの上部がヘッドパイプ11の上端から突出した状態でベアリング収容部24に収容され、この状態で、上部ナット45は、ステアリングステム30のねじ部33Bに締結されて、インナーレース41Bの上面を押圧している。さらに、上部ナット45の上方にはロックナット51が締結され、上部ナット45とロックナット51との間にはステムワッシャ50が介装されている。
詳細には、上部ナット45の締結力によって、ヘッドパイプ11の上側ではインナーレース41Bがアウターレース41A側に押圧されるとともに、下側ではステム連結部21が上方に引っ張られ、ブリッジ部15の平面部21Aによってインナーレース42Bがアウターレース42A側に押圧される。すなわち、ステアリングステム30は、上部ナット45とブリッジ部15とによって、上下から上側ベアリング41及び下側ベアリング42を挟み込むことでヘッドパイプ11に回動自在に軸支されている。
本第1の実施の形態では、ステムワッシャ50が設けられることで、ロックナット51の締結による上部ナット45の共回りが防止され、一度適正に締め込まれた上部ナット45の締め付けトルクがロックナット51の締結に影響されて変化することがないため、上側ベアリング41及び下側ベアリング42の作動性を良好にできる。
ステムワッシャ50は、円形のリング状に形成された板材であり、リング状のワッシャ本体52を有し、ワッシャ本体52は、略真円の外径部52Aと、内径部52Bと、係止突部56とを有している。内径部52Bは、内径部52Bの大部分を占める真円部62と、真円部62と異なる曲率半径の曲面部63とを有している。
係止突部56は平面視で略矩形の突部であり、内径部52Bの真円部62から外径部52Aの中心Oに向かって突出している。係止突部56の幅方向の中心線を延長した延長線Lは中心Oを通る。また、係止突部56の基端部の側部には、外径部52A側に窪んだ曲面状の隅部57が形成されている。
図4では、内径部52Bの真円部62の基準円Pを一点鎖線で示し、曲面部63の基準円Qを二点鎖線で示している。基準円P及び基準円Qは真円である。
基準円Qは、基準円Qの中心O1が延長線L上に位置するとともに、係止突部56の中央部先端56Aが基準円Qに外接する位置に配置されている。このように基準円Qを配置すると、内径部52Bにおいて係止突部56と対向する部分では、基準円Qの一部が基準円Pよりも外径部52A側に位置するとともに、2つの交点X,Xで交わることになる。本第1の実施の形態では、交点X,Xよりも外側に位置する基準円Qの部分が曲面部63となっている。すなわち、内径部52Bは、交点X,Xよりも係止突部56側の部分がねじ部33Bの径Jに対応した基準円Pで構成され、残りの部分は、ハンドルポスト連結部34の径Iに対応した基準円Qで構成されている。
ステムワッシャ50は、ステアリングステム30に取り付けられる際に、ハンドルポスト連結部34側から挿通されて下方に移動し、取付けの途中段階では、図5に示すように内径部52Bの曲面部63がハンドルポスト連結部34に沿うようにして移動する。
図5に示すように、ねじ部33Bを含むベアリング連結部33の外径部36とハンドルポスト連結部34の外径部37とは同軸の位置関係で設けられており、外径部36と外径部37との間には全周に亘って段差Gが形成される。また、ベアリング連結部33の外径部36を基準とした溝部35の深さDは、段差Gの大きさよりも大きく形成されている。すなわち、溝部35はハンドルポスト連結部34の外径部37にも形成され、溝部35の底部は、外径部37よりも径方向の内側に位置している。
図6に示すように、ステムワッシャ50が上部ナット45(図3)の上面にセットされた状態では、内径部52Bの真円部62がステアリングステム30のねじ部33Bに嵌まり、ステムワッシャ50の中心Oとねじ部33Bの中心は略一致する。この状態では、曲面部63とねじ部33Bの外径部36との間には隙間が空くが、ねじ部33Bは、中心Oよりも交点X,X側の真円部62に当接してガイドされ、適正な位置に位置決めされる。このため、溝部35に係合された係止突部56が溝部35から外れることがなく、確実に回り止めできる。また、係止突部56は、ステアリングステム30の段差Gよりも深く溝部35内に係合するため、ステムワッシャ50を強固にステアリングステム30に係止でき、確実に回り止めできる。
まず、図2に示すように、ヘッドパイプ11に下側ベアリング42を設けるとともに、ブリッジ部15と一体に設けられたステアリングステム30をヘッドパイプ11の下方からヘッドパイプ11内に挿通し、上側ベアリング41をヘッドパイプ11に設け、ステアリングステム30のねじ部33Bに上部ナット45を仮締めする。上側ベアリング41及び下側ベアリング42には、グリスが塗布されている。
そして、ステムワッシャ50を、係止突部56が溝部35に嵌るようにセットして上部ナット45上に載置し、その後、ロックナット51をねじ部33Bに締結することで、ステアリングステム30の組み付けが完了する。
ステムワッシャ50は、ステアリングステム30の上端からハンドルポスト連結部34に通され、上部ナット45側に下方に挿通される。図5に示すように、ステムワッシャ50は、係止突部56がステアリングステム30の溝部35の上方に位置する向きで、かつ、内径部52Bの曲面部63がハンドルポスト連結部34の外径部37に当接した状態で上部ナット45側に移動される。この状態では、曲面部63が外径部37に当接することで、ステムワッシャ50は、中心Oがハンドルポスト連結部34の中心からずれて全体的にオフセットされ、曲面部63の反対側では係止突部56が外径部37から離れることになる。
また、ステムワッシャ50がねじ部33Bに挿通された状態では、ステムワッシャ50は、中心Oよりも交点X,X側の真円部62に当接してガイドされ、適正な位置に位置決めされるため、曲面部63を設けた構成としてもステムワッシャ50を適正な位置に位置決めできる。
さらに、溝部35がステアリングステム30の上端に形成されないため、ステアリングステム30の上端から溝部35を伝って水等が上部ナット45側へ侵入し難くできる。
以下、図7〜図9を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
上記第1の実施の形態では、ステムワッシャ50の係止突部56が溝部35に係合するものとして説明したが、第2の実施の形態では、ステムワッシャ250の係止面部256がステアリングステム30の面取り部235に係合される点が上記第1の実施の形態と異なっている。
ステムワッシャ250は、円形のリング状に形成された板材であり、ワッシャ本体52を有している。ワッシャ本体52は、外径部52A及び内径部252Bを有し、内径部252Bは、真円部62と、曲面部63と、平面視で直線上に形成された係止面部256とを有している。
係止面部256は平面視において基準円Pの外周の一部を直線的に面取りするようにして形成された平面部である。係止面部256の長手方向の中央部に直交する直線を延長した延長線L2は外径部52Aの中心Oを通る。
図8に示すように、ねじ部33B及びハンドルポスト連結部34の下部には、外径部36及び外径部37の下部を機械加工で面取りして形成した平面状の面取り部235が設けられている。面取り部235は、ステムワッシャ250の係止面部256に対応した形状に形成され、係止面部256が面取り部235に係止されることで、ステムワッシャ250は回り止めされる。
ベアリング連結部33の外径部36を基準とした面取り部235の径方向の深さD2は、段差Gの大きさよりも大きく形成されている。すなわち、面取り部235はハンドルポスト連結部34の外径部37にも形成され、面取り部235の底部は、外径部37よりも径方向の内側に位置している。
図9に示すように、ステムワッシャ250が上部ナット45(図3)の上面にセットされた状態では、曲面部63とねじ部33Bの外径部36との間には隙間が空くが、ねじ部33Bは、中心Oよりも交点X,X側の真円部62に当接してガイドされ、適正な位置に位置決めされる。このため、面取り部235に係合された係止面部256が面取り部235から外れることがなく、確実に回り止めできる。また、係止面部256は、ステアリングステム30の段差Gよりも深く面取り部235内に係合するため、ステムワッシャ250を強固にステアリングステム30に係止でき、確実に回り止めできる。
10 車体フレーム
11 ヘッドパイプ
15 ブリッジ部
16 フォークパイプ
26 フォーク部材
30 ステアリングステム
33A 嵌合部
33B ねじ部
34 ハンドルポスト連結部(ステアリングステム上部)
35 溝部
41 上側ベアリング(上部に設けられるベアリング)
41B インナーレース(上部に設けられるベアリングのインナーレース)
42 下側ベアリング(下部に設けられるベアリング)
42B インナーレース(下部に設けられるベアリングのインナーレース)
45 上部ナット(トップスレッド)
50,250 ステムワッシャ
51 ロックナット
56 係止突部
56A,256A 中央部先端
235 面取り部
256 係止面部
D,D2 深さ
G 段差
H 突出量
I 径(ステアリングステム上部の外径)
J 径(ねじ部の外径)
K 径(ステムワッシャの内縁に達する線分を直径とする円の径)
L1,L3 線分(ステムワッシャの内縁に達する線分)
M 径(ステムワッシャの内径)
O 中心(ステムワッシャの中心)
Q 基準円(ステムワッシャの内縁に達する線分を直径とする円)
Claims (2)
- 車体フレーム(10)の前部に設けられるヘッドパイプ(11)と、下部に前輪を軸支する左右のフォークパイプ(16)、該左右のフォークパイプ(16)を連結するブリッジ部(15)、及び、該ブリッジ部(15)の中間に設けられるとともに、上方に延びて前記ヘッドパイプ(11)に軸支されるステアリングステム(30)を有するフォーク部材(26)とを備え、前記ステアリングステム(30)にはステム軸線に沿う溝部(35)または面取り部(235)が設けられ、前記ステアリングステム(30)の下部は、前記ヘッドパイプ(11)の下部に設けられるベアリング(42)のインナーレース(42B)に軸支され、前記ステアリングステム(30)の上部には、前記ヘッドパイプ(11)の上部に設けられるベアリング(41)のインナーレース(41B)が嵌められ、前記ステアリングステム(30)には、前記ヘッドパイプ(11)の上部に設けられる前記ベアリング(41)の前記インナーレース(41B)に予圧をかけるトップスレッド(45)が締結され、該トップスレッド(45)の上方に、前記ステアリングステム(30)の前記溝部(35)または前記面取り部(235)に係止される係止突部(56)または係止面部(256)を有するステムワッシャ(50,250)が配され、前記ステアリングステム(30)には、該ステムワッシャ(50,250)の上方からロックナット(51)が締結される鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造において、
前記ロックナット(51)に締結されるねじ部(33B)より上方のステアリングステム上部(34)の外径(I)は、該ねじ部(33B)の外径(J)よりも小さく設けられるとともに、
前記ステムワッシャ(50,250)の前記係止突部(56)または前記係止面部(256)の中央部先端(56A,256A)から、前記ステムワッシャ(50,250)の中心(O)を通って該ステムワッシャ(50,250)の内縁に達する線分(L1,L3)を直径とする円(Q)の当該径(K)が、前記ステアリングステム上部(34)の外径(I)よりも大きくなるように設けられ、
前記ステムワッシャ(50,250)の内径(M)が前記ステアリングステム(30)のねじ部(33B)の外径(J)と同じになるように設けられるとともに、前記ステアリングステム(30)の前記溝部(35)または前記面取り部(235)が、前記ステアリングステム(30)の前記トップスレッド(45)の上方近傍のみに設けられることを特徴とする鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造。 - 前記係止突部(56)または前記係止面部(256)の突出量(H)は、前記ステアリングステム上部(34)の外径(I)と前記ねじ部(33B)の外径(J)との間の段差(G)よりも大きく形成され、前記溝部(35)または前記面取り部(235)の深さ(D,D2)は、前記段差(G)の大きさよりも深く形成されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗型車両のステアリングステムの締結構造。
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