JP2012163591A - トナー - Google Patents

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尚邦 小堀
Koji Takenaka
浩二 竹中
Katsuhisa Yamazaki
克久 山▲崎▼
Masaaki Taya
真明 田谷
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Abstract

【課題】高速現像システムにおいても、濃度変動、カブリ、シャドーイング等の画像弊害のなく高品位な画像の得られるトナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、着色剤及びスルホン酸系官能基を有する重合体を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであり、
該結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下の領域に第1の吸熱ピークのピーク温度P1(℃)を有し、温度80℃以上120℃以下の領域に第2の吸熱ピークのピーク温度P2(℃)を有し、
該スルホン酸系官能基を有する重合体は、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体であり温度P3(℃)にガラス転移温度を有し、P1<P3<P2を満足することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真,静電荷像を顕像化するための画像形成方法及びトナージェットに使用されるトナーに関する。
電子写真法としては、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電荷像担持体上に電気的潜像(静電潜像)を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写する。その後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気などにより定着し、被写物を得、静電荷像担持体上に転写されずに残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上記工程が繰り返されるものである。
上記電子写真装置の現像方式としては、シンプルな構造の現像器でトラブルが少なく、寿命も長く、メンテナンスも容易なことから、一成分ジャンピング現像方法が広く普及している。このジャンピング現像法は、トナー担持体と静電荷像担持体との最接近部である現像領域で、トナー担持体と静電荷像担持体との間に印加された直流及び/又は交流バイアス電圧により、潜像パターンに応じて選択的に潜像保持体面に移行付着し、顕像化される方法である。
近年、電子写真式画像形成装置の用途も多種多様に広がり。特にPOD(多品種少量印刷が可能なプリント・オン・デマンド;POD)用途として本格的に使用され始めている。POD用途においては、高生産性はもとより、写真、カタログ等の画像も印刷の品質と同等以上に高精細で出力される事が要求されている。また、転写材の種類も多岐にわたり、厚紙やコート紙或いは紙表面の凹凸の激しい再生紙等においても同様の性能を要求される。
そのため従来のオフィス用途では、問題にならなかった程度のかぶりや濃度変動等の画像欠陥に対しても厳しい要求が求められている。
特に、高速での現像システムにおいては、潜像担持体表面の静電画像の端部に生じる湾曲した電気力線の発生により、トナー中の帯電不良部分が実際の像とは離れた位置に陰影の如き像を形成してしまうシャドーイング現象が発生し易い。
これら要求性能に対して、トナーにおいても各種検討が行われている。
例えば、特許文献1においては、トナーの摩擦帯電性能を向上させ高画質化を目指す方法として、トナーにスルホン酸アミドを有する重合体を含有させることが提案されている。しかしながら、この方法では、トナー中でのスルホン酸アミドを有する重合体の分散が不十分であり、高速の現像システムや、放置後の立ち上がりにおいてトナー帯電のムラにより文字、細線の縁取りに陰影の如き汚れが発生するシャドーイング現象が発生し易い。特に、コート紙を使用した場合顕著に発生する。
また、特許文献2においては、結晶性ポリエステルとアクリルスルホン酸系の共重合体を含有することによりキャリアスペント及び感光体フィルミングの抑制する手法が提案されている。しかしながら、同様に高速の現像システムにおいては帯電均一性が未だ不十分であり、濃度変動を引き起こし易い。
このようにPOD用途における、高安定な画像濃度や画像欠陥を発生させないという要求を十分に満足できる手段は未だ無いのが現状である。
特登録3852524号公報 特開2005−338339号公報
本発明の目的は上記問題点を解消したトナーを提供することにある。即ち、本発明の目的は、高速現像システムにおいても、カブリ、濃度変動、シャドーイング等の画質弊害の発生がなく高品位な画像が得られるトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂、着色剤及びスルホン酸系官能基を有する重合体を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであり、
該結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下の領域に第1の吸熱ピークのピーク温度P1(℃)を有し、温度80℃以上120℃以下の領域に第2の吸熱ピークのピーク温度P2(℃)を有し、
該スルホン酸系官能基を有する重合体は、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体であり温度P3(℃)にガラス転移温度を有し、
下記関係(1)を満足することを特徴とするトナーに関する。
P1<P3<P2 (1)
本発明によれば、結着樹脂の吸熱ピーク温度と荷電制御剤であるスルホン酸系官能基を有する重合体のガラス転移温度を制御することにより、トナー中での、結着樹脂と荷電制御樹脂が高度に分散させ、帯電安定性、帯電均一性を向上させ、カブリ、濃度変動、シャドーイング等の画像弊害がない良好な画像を安定的に得ることができる。
本発明によれば、特定の温度領域に2つの吸熱ピークを持つ結着樹脂と、結着樹脂の吸熱ピーク温度間にガラス転移温度を有するスルホン酸系官能基を有する重合体を組み合わせて使用することにより、トナー中での材料分散を高度に向上させ、トナー中の帯電サイトを均一に配置させることが可能となる。
すなわち、本発明の特徴のひとつは、該結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、少なくとも吸熱ピークのピーク温度P1(℃)及び吸熱ピークのピーク温度P2(℃)を有し、
スルホン酸系官能基を有する重合体は、温度P3(℃)にガラス転移温度を有し、それらが、P1<P3<P2(好ましくはP1+5<P3<P2−5)の関係を満足することである。
本発明におけるスルホン酸系官能基を有する重合体は、主に荷電制御剤として添加されるものである。結着樹脂とスルホン酸系官能基を有する重合体が上記温度構成を有することによりトナー製造時の溶融混練工程において、スルホン酸系官能基を有する重合体を、結着樹脂中に高度に分散させ帯電サイトを均一にトナーに配置することができる。
溶融混練工程において、原材料を均一に分散させる為の条件としては、各種原材料を溶融状態になった結着樹脂へ均一に分散させる初期分散性の進行を速くし、かつその後の溶融混練工程で再凝集させず、最終的な状態である到達分散物を安定的に得る必要がある。
その為には、メインバインダーである結着樹脂及び混合する原材料の最適な溶融状態を作り出し、機械的なシェアを掛けて練り混ぜる必要がある。
これら溶融混練工程における分散性改善の検討を行った結果、溶融混練工程の温度が上昇する過程において、結着樹脂に混合する原材料がゴム状態に移行する前の段階で、結着樹脂内に溶融特性が変化するポイントを存在させることにより、シェアが掛かった状態で原材料が練り込まれ、良好な分散性が得られることがわかった。
さらには、冷却工程においても、結着樹脂に混合する原材料がガラス状態に移行する前の段階で結着樹脂内に溶融特性が変化するポイントを存在させることにより、結着樹脂中での原材料の再凝集性を抑制し、溶融状態時の分散性を維持させることを見出した。
即ち、原材料のガラス転移温度の前後に樹脂の溶融ポイントを持たせることにより溶融混練工程において原材料を高度に分散させることができることがわかった。
P2≦P3、すなわちスルホン酸系官能基を有する重合体のガラス転移点が、樹脂の吸熱ピークP2温度以上の場合、結着樹脂とスルホン酸系官能基を有する重合体の溶融速度のバランスが崩れ樹脂中の分散悪くなりが局所的に帯電サイトが集中しシャドーイング、濃度変動等が発生し易い。
また、P1≧P3、すなわちスルホン酸系官能基を有する重合体のガラス転移点が、樹脂の吸熱ピーク温度P1以下の場合、同様に、スルホン酸系官能基を有する重合体の溶融速度が結着樹脂の溶融速度を上回り、トナー製造時の溶融混練時における結着樹脂中の材料分散が悪化し、カブリ等を引き起こす。
また本発明の特徴のひとつは、結着樹脂の示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下、好ましくは55℃以上70℃以下に第1の吸熱ピークのピーク温度P1を有し、温度80℃以上120℃以下、好ましくは85℃以上115℃以下に第2の吸熱ピークのピーク温度P2を有していることを特徴とする。
第1の吸熱ピークはエンタルピー緩和を表す。従って、トナー中の結着樹脂がガラス状態から過冷却液体に相転移した直後にさらに分子が動こうとする力を示す。吸熱ピーク温度P1が55℃よりも低い場合、結着樹脂が室温に近い温度で動き出すことを示しており、このような場合、トナーの保存安定性が悪化する。さらにトナー層が定着器に突入した直後にトナー層の表面近傍の溶融状態が大きく変化するため低温での耐オフセット性が悪化する。一方、吸熱ピーク温度P1が75℃よりも高い場合、トナー中の結着樹脂の動き出しが遅いことを示しており、このような場合、低温定着性が悪化する。
第2の吸熱ピークは結着樹脂の分子鎖の一部が配向することによって得られる結晶状態を表す。従って、トナー中の結着樹脂がこのピークを起点に溶融し始めることを示す。吸熱ピークP2温度が80℃よりも低い場合、トナー全体の溶融速度が上がるため、低温定着性は向上するものの、トナー層が定着器に突入した直後にトナー層の表面近傍の溶融状態が大きく変化するため低温での耐オフセット性が悪化する。一方、吸熱ピークP2温度が120℃よりも高い場合、低温定着性が悪化する。
更に、本発明は第1の吸熱ピークの吸熱量ΔH1と第2の吸熱ピークの吸熱量ΔH2がΔH1≦ΔH2であることを特徴とする。
吸熱ピークの吸熱量は分子が変化する時の変化量を表すため、吸熱量が大きいほど分子全体が動きやすくなる傾向がある。従って、ΔH1>ΔH2の場合、低温での分子の変化量が大きいことを表し、トナー製造時における冷却固化時の材料再凝集性を促し、不均一帯電を引き起こし易い。
以上のように、トナー中にて荷電制御剤であるスルホン酸系官能基を有する重合体を分散させるためには、結着樹脂の同一分子内に溶融特性が変化するポイントを複数個持たせ、その温度範囲に荷電制御剤であるスルホン酸系官能基を有する重合体のガラス転移温度を配置させることが、溶融混練時の樹脂中への分散を促進すると共に、冷却固化時の再凝集の抑制させる上で重要である。これにより、トナー中の帯電サイトを均一化させ帯電安定性、均一性を達成することができる。
また、本発明のトナーは結着樹脂の示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において得られる第2の吸熱ピークの吸熱量が0.20J/g以上2.00J/g以下、より好ましくは0.50J/g以上1.80J/g以下であることが良い。0.20J/gよりも小さい場合、定着性が悪化する傾向があり、2.00J/gよりも大きいと経時でのトナー変化に影響が出やすいため保存安定性が悪化する傾向がある。
さらに、本発明のトナーは結着樹脂の示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において得られる第1の吸熱ピークの吸熱量が0.20J/g以上1.50J/g以下、より好ましくは0.25J/g以上1.20J/g以下であることが良い。0.20J/gよりも小さい場合、定着性が悪化する傾向があり、2.00J/gよりも大きいと経時でのトナー変化に影響が出やすいため保存安定性が悪化する傾向がある。
また、該結着樹脂の酸価は5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下が好ましい。酸価が5未満の場合、スルホン酸系官能基を有する重合体との相溶性が低下する傾向があり、トナー化後の結晶状態の維持が困難になる可能性がある。酸価が50よりも大きい場合、その他原材料あるいは結着樹脂間の相互作用が増加するため定着性が悪化する可能性がある。このように、本発明においては該結着樹脂の酸価の制御が重要である。トナー原材料との相互作用によりトナー化後も結晶状態を維持させるためには結着樹脂の構造に影響を与えることなく酸価を調整することが必要であり、好ましい方法としては、重合反応終了後に、無水トリメリット酸等を後添加する方法等がある。
本発明に使用される結着樹脂としては、分子の一部分を配向させて結晶性を持たせるという点でポリエステル樹脂が好ましく、その中でも特に線状ポリエステルが良い。本発明において特に好ましく用いられる線状ポリエステル樹脂の成分は以下の通りである。
2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が上げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。
本発明は結着樹脂の高分子鎖の一部を配向させることで結晶性を持たせることを特徴としている。そのため、堅固な平面構造をとり、π電子系により非局在化した電子が豊富に存在することで、π−π相互作用により分子配向しやすい芳香族ジカルボン酸が好ましい。特に好ましくは直鎖構造をとりやすいテレフタル酸、イソフタル酸が良い。この芳香族ジカルボン酸の含有量はポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル%中50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、70モル%以上である。この場合には、結晶性の樹脂が得られやすく、また、吸熱ピークの温度を制御しやすくなる。
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
Figure 2012163591
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
および式(2)で示されるジオール類。
Figure 2012163591
これら中でも、分子の一部を配向させ結晶性を持たせるという観点から直鎖構造をとり易い炭素数6以下の脂肪族アルコールが好ましい。但し、それだけでは結晶化度が高くなり、アモルファスの性質が失われてしまう。従って、上記酸とアルコールの組み合わせで得られたポリエステル樹脂の結晶構造を崩し、同一分子内にエンタルピー緩和による吸熱ピークP1と分子配向による吸熱ピークP2を両立する必要がある。そのためには、直鎖構造をとりつつ立体的に結晶性を崩すことが可能な側鎖に置換基を有するネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の使用が特に好ましい。これらのアルコール成分は、全アルコール成分中20乃至50モル%であることが好ましく、更には、25乃至40モル%であることがより好ましい。
本発明で使用される、ポリエステル樹脂は、上述の2価のカルボン酸化合物および2価のアルコール化合物以外に、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸化合物としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコール等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるもではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のカルボン酸化合物およびアルコール化合物を一緒に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、特に制限されないが、180乃至290℃の範囲が好ましい。
次に、スルホン酸系官能基を有する重合体の詳細について説明する。
本発明において用いられる、スルホン酸系官能基を有する重合体は、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する単量体ユニットを構成成分として含有する重合体又は共重合体である。
このような単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、マレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体、式(3)で表されるスルホアルキルアクリル酸系単量体、式(4)で表されるスルホン酸エステル誘導体等が挙げられる。
Figure 2012163591
[式中、R8はH又はCH3を表し、R9は置換基を有していても良い2価の炭化水素基を表し、MはNa、K、NH4から選ばれた1種を示す。]
Figure 2012163591
[式中、R10は芳香族若しくは脂肪族炭化水素基、R11は脂肪族炭化水素基を示す。]
この中でも、該スルホン酸系官能基を有する重合体が、スルホン酸基を含有するアクリルアミド誘導体のモノマーユニットを構成成分として含有する重合体であることが好ましい。スルホン酸基を含有するアクリルアミド誘導体のモノマーユニットを構成成分として含有することで、上記作用効果を環境に依存せず発揮することが出来る。
上記スルホン酸系官能基を有する共重合体を形成するための単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上述したスルホン酸基を有する重合体の中でも、特にスチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド単量体との共重合体(スルホン酸基含有共重合体)が好ましく用いられる。
スルホン酸基含有共重合体に用いられるスチレン系単量体及びアクリル系単量体としては、上述のビニル系共重合体を生成するためのビニル系モノマーの中から適宜選択される。好ましくはスチレンとアクリル酸エステル、又は、スチレンとメタクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。
スルホン酸基含有共重合体に用いられるスルホン酸含有アクリルアミド系単量体としては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸等を挙げることができる。この中でも好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を単量体として用いることで、高湿環境においても高帯電性を安定的に維持することが可能となる。
スルホン酸系官能基を有する重合体を合成する際に使用される重合開始剤としては、上述のビニル系共重合体を生成する際に使用される開始剤の中から適宜選択される。好ましくは過酸化物開始剤が使用される。
また、スルホン酸系官能基を有する重合体の合成方法としては、特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、いずれの方法も使用可能であるが、低級アルコールを含む有機溶剤中で共重合させる溶液重合が好ましい。
また、スルホン酸系官能基を有する重合体の酸価(mgKOH/g)は10乃至40が好ましい。酸価を上記範囲に制御することで、帯電性能がより安定化されるとともに、結着樹脂との相溶性が増し長期にわたり画像濃度が安定になる。
また、スルホン酸系官能基を有する重合体は、重量平均分子量(Mw)が10,000乃至200,000が好ましい。重量平均分子量(Mw)を上記範囲に制御することで、トナーのその他の構成材料との分散性が向上し、カブリが良化する傾向にある。
また、スルホン酸系官能基を有する重合体は、結着樹脂100質量部当り0.1乃至10.0質量部含有されていることが好ましい。含有量を上記範囲に制御することで、上記作用効果をより効果的に発現させることが出来る。
本発明においては、トナーに離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができ、該ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したもの。
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
該離型剤を添加するタイミングは、トナー製造中の溶融混練時において添加しても良いが結着樹脂製造時であっても良く、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用しても良い。
該離型剤は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。1質量部未満の場合は望まれる離型効果が十分に得られにくい。20質量部を超える場合はトナー粒子中での分散も悪く、感光体へのトナー付着が起こりやすく、トナー画像が劣化しやすい。
また、本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであっても良い。磁性トナーとして用いる場合は、磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。また、磁性酸化鉄はトナー粒子中への微分散性を向上させる目的で、製造時のスラリーにせん断をかけ、磁性酸化鉄を一旦ほぐす処理を施すことが好ましい。
本発明においてトナーに含有させる磁性酸化鉄の量は、トナー中に25質量%以上45質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上45質量%が良い。
これらの磁性体は795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6kA/m以上12.0kA/m以下,飽和磁化が50.0Am2/kg以上200.0Am2/kg以下、(好ましくは50.0Am2/kg以上100.0Am2/kg以下)である。さらに、残留磁化は2.0Am2/kg以上20.0Am2/kg以下のものが好ましい。
さらに、非磁性トナーとして用いる場合には、着色剤としてカーボンブラックやその他、従来より知られているあらゆる顔料や染料の一種又は二種以上を用いることができる。着色剤としては、カーボンブラックやその他、従来より知られているあらゆる顔料や染料の一種又は二種以上を用いることができる。
染料としては、C.I.ダイレクトレッド1,C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1,C.I.べーシックレッド1,C.I.モーダントレッド30,C.I.ダイレクトブルー1,C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15,C.I.べーシックブルー3,C.I.べーシックブルー5,C.I.モーダントトブルー7,C.I.ダイレクトグリーン6,C.I.べーシックグリーン4、C.I.べーシックグリーン6等がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
本発明のトナーをフルカラー画像形成用トナーとして使用する場合には、次の様な着色剤が挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
上記マゼンタ顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料を併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28などの塩基性染料が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45などである。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,35,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20などが挙げられる。
着色剤は樹脂成分100.0質量部に対して、0.1質量部以上60.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上50.0質量部以下である。
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために、さらに電荷制御剤を追加してもかまわない。該電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、本発明の結着樹脂の末端に存在する酸基あるいは水酸基と中心金属が相互作用し易い、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。
使用できる具体的な例としては、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学社)があげられる。また、電荷制御樹脂も上述の電荷制御剤と併用することもできる。
また本発明のトナーにおいては、無機微粉末としてトナー粒子表面への流動性付与能が高い、一次粒子の個数平均粒径のより小さいBET比表面積が50m2/g以上300m2/g以下の流動性向上剤を使用してもかまわない。該流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものならば使用可能である。例えば、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
また、この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られたシリカと他の金属酸化物の複合微粉体でも良い。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001μm以上2μm以下の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.002μm以上0.2μm以下の範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることが好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上80以下の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
該無機微粉末は、シリコーンオイル処理されても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm2/s以上1000mm2/s以下のものが用いられる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。
シリコーンオイル処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
本発明においては、シリカをあらかじめ、カップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、または、シリカをカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法によって処理されたものが好ましい。
無機微粉末は、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上8質量部以下、好ましくは0.1質量部以上4質量部以下使用するのが良い。
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
滑剤としては、ポリ弗化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。これらの外添剤はヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分混合し本発明のトナーを得ることができる。
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー又は、ボールミルの如き混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行いトナー粒子を得、更にトナー粒子にシリカ微粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることが出来る。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
<結着樹脂の吸熱ピーク温度及びスルホン酸系官能基を有する重合体のガラス転移温度の測定方法>
示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、結着樹脂約5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて降温速度10℃/minで30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この昇温過程において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度Tgとする。
結着樹脂の吸熱ピークに関しては、この2度目の昇温過程で温度30℃以上200℃以下の範囲において、ガラス転移温度Tgの直後に得られた吸熱ピークを第1の吸熱ピーク、さらに昇温させて得られる吸熱ピークを第2の吸熱ピークとする。一方、それら吸熱ピークの吸熱量ΔHは上記吸熱ピークの積分値を求めることで得ることができる。
<結着樹脂及びスルホン酸系官能基を有する重合体の分子量分布の測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102乃至107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理用耐溶剤性メンブランフィルター(ポアサイズ0.2乃至0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が0.5乃至5mg/mlとなるように調整する。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<磁性酸化鉄粒子の磁気特性の測定>
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、試料温度25℃、外部磁場795.8kA/mにて測定した。
<磁性酸化鉄粒子の平均一次粒子径の測定>
平均一次粒子径は走査型電子顕微鏡(倍率40000倍)で磁性酸化鉄粒子を観察し、200個の粒子のフェレ径を計測し個数平均粒子径を求める。本実施例においては、走査型電子顕微鏡としては、S−4700(日立製作所製)を用いた。
<結着樹脂及びスルホン酸系官能基を有する重合体の酸価の測定>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂、スルホン酸系官能基を有する重合体の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
まず、本発明の実施例に用いた樹脂の製法を示す。
<結着樹脂1の製造例>
テレフタル酸: 100mol部
エチレングリコール: 65mol部
ネオペンチルグリコール: 40mol部
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)と共に5リットルオートクレーブに仕込む。そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応の進行度合いを粘度でモニターしながら行い、反応が後期に差し掛かったところで無水トリメリット酸:5mol部を加え酸価の調整を行った。このように、反応後期に添加することで、ポリエステルの基本構造に影響を与えないで酸価の調整をすることが出来る。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。これらの樹脂の諸物性については表2に示す。
<結着樹脂2乃至9及び11乃至12の製造例>
表1に記載のモノマーをエステル化触媒(ジブチルスズオキシド)とともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。この際、表1に後添と記載してあるモノマーに関しては、重縮合反応の後期に酸価あるいは水酸基価の調整のために加えてある。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂2乃至9及び結着樹脂11、12を得た。これらの樹脂の諸物性については表2に示す。
<結着樹脂10の製造例>
ポリエステル樹脂9(70モル部)と1,3−プロパンジオール(15モル部)とテレフタル酸(15モル部)との混合物と、エステル化縮合触媒(ジブチルスズオキシド)とともに5リットルオートクレーブに仕込む。そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管,温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂10を得た。これらの樹脂の諸物性については表2に示す。
以下に本発明の実施例に用いたスルホン酸系官能基を有する重合体について述べる。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−1)の製造例>
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール200質量部、2−ブタノン150質量部及び2−プロパノール50質量部を添加し、モノマーとしてスチレン80質量部、アクリル酸n−ブチル12質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸8質量部を添加して撹拌しながら70℃まで加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を1時間かけて滴下して5時間撹拌を継続し、更に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して更に6時間撹拌して重合を終了した。重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。
得られたスルホン酸系官能基を有する重合体は重量平均分子量(Mw)が27000、酸価が20mgKOH/gであった。これをスルホン酸系官能基を有する重合体(A−1)とする。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−2)の製造例>
製造例1において、モノマーをスチレン70質量部、アクリル酸n−ブチル13質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7質量部、ジビニルベンゼン0.05質量部とし、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.8質量部を90分かけて滴下した以外は同様にして、スルホン酸系官能基を有する重合体(A−2)を得た。
得られたスルホン酸系官能基を有する重合体(A−2)は、重量平均分子量(Mw)が185000、酸価が24mgKOH/gであった。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−3)の製造例>
製造例1において、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2.5質量部とした以外は、同様にして、スルホン酸系官能基を有する重合体(A−3)を得た。得られたスルホン酸系官能基を有する重合体(A−3)は、重量平均分子量(Mw)が12000、酸価が15mgKOH/gであった。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−4)の製造例>
製造例1において、重合溶媒をメタノール50質量部、キシレン1000質量部とし、モノマーをスチレン950質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸50質量部とし、重合開始剤を2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)60質量部として、60℃で10時間重合反応を行った以外は同様にして、スルホン酸系官能基を有する重合体(A−4)を得た。
得られたスルホン酸系官能基を有する重合体(A−4)は、重量平均分子量(Mw)が9800、酸価が43mgKOH/gであった。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−5)の製造例>
製造例1において、重合溶媒及び重合開始剤を添加せずにモノマーであるスチレン70質量部、アクリル酸n−ブチル26質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸4質量部を仕込み、125℃まで昇温して塊状重合を8時間行った。次いで、キシレン50質量部を添加して110℃まで冷却し、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1質量部を溶解したキシレン溶液50質量部を6時間かけて滴下し、更に1時間撹拌した以外は同様にして、スルホン酸系官能基を有する重合体(A−5)を得た。
得られたスルホン酸系官能基を有する重合体(A−5)は、重量平均分子量(Mw)が280000、酸価が9mgKOH/gであった。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−6)の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した2Lフラスコに、メタノール300質量部、トルエン50質量部、メチルエチルケトン150質量部、スルホプロピルメタクリル酸カリウム20質量部、アクリル酸−n−ブチル40質量部、メタクリル酸ステアリル40質量部、スチレン502質量部、アゾビスイソブチロニトリル18質量部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃で9時間溶液重合した。その後、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕し、スルホン酸系官能基を有する重合体(A−6)を製造した。
得られたスルホン酸系官能基を有する重合体(A−6)は、重量平均分子量(Mw)が9700、酸価が16mgKOH/gであった。
<スルホン酸系官能基を有する重合体 (A−7)の製造例>
冷却管、窒素導入管および撹拌機のついた反応容器中に、下式(5)で表されるビニル系ユニットのモノマー11質量部、スチレン60質量部、ブチルアクリレート29質量部を投入し、アセトン30質量部を溶媒として加え、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。60℃で8時間重合を行い、160℃まで昇温させた。常温まで冷却した後、アセトンで固形分比76%になるよう希釈した。その後、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕し、スルホン酸系官能基を有する重合体(A−7)を製造した。
Figure 2012163591
得られたスルホン酸系官能基を有する重合体(A−7)は、重量平均分子量(Mw)が210000、酸価が46mgKOH/gであった。
〔実施例1〕
・結着樹脂1 100質量部
・磁性酸化鉄粒子 90質量部
(平均粒径0.20μm、Hc=11.5kA/m、σs=88Am2/kg、
σr=14Am2/kg)
・ポリプロピレンWAX(融点135℃) 4質量部
・スルホン酸系官能基含有重合体A−1 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、に2軸混練押し出し機によって、溶融混練し、得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
さらに、このトナー粒子100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体1[BET比表面積150m2/g、シリカ微粉体100質量部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部処理後、ジメチルシリコーンオイル10質量部で疎水化処理]を1.0質量部とチタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm)3.0質量部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナーT−1を得た。
市販の複写機imageRUNNER iR−5075(キヤノン(株)社製)を、1.8倍のプリントスピードになるように改造し、現像性の評価を行った。
この際、より高速現像システムを想定し、現像条件としては、現像バイアスの直流成分としては、現像コントラストを175V、現像バックコントラストを175V、交流成分としては交流電圧のVpp=1500V、周波数を3000Hzとなるように改造した。
また、本体より定着装置を取り外し未定着画像を出力し、この画像を200℃に設定した傾斜オーブン(グラディエントオーブン、Gardner社製)にて定着して、得られた画像を以下の方法で評価を行った。
定着をオーブン定着としたのは、評価で使用する複写機の定着機をそのまま使用した場合、本発明の実施例に挙げるそれぞれのトナーと定着条件のマッチングにより、トナー現像性の評価結果に影響がでることが予想されたためである。
<シャドーイング評価>
シャドーイング評価は、高温高湿環境下(32.5℃/85%RH)にて、上記改造複写機により、印字比率3%のテストチャートを用いて、複写機用普通紙(80g/m2)1万枚分の連続プリント試験を行った後、48時間放置し、2cm間隔に並べた12×8個の直径5mm角の画像を出力し、シャドーイングの発生した直径5mmの黒丸の数により判定した。評価結果を表4に示す。
A:0個乃至5個(極めて良好)
B:6個乃至10個(良好)
C:11個乃至20個(可)
D:21個以上(劣る)
<通紙による濃度変動>
常温常湿環境(NN)下(23℃/50%)において、上記改造複写機により、印字比率3%のテストチャートを用いて、複写機用普通紙(80g/m2)1万枚分の連続プリント試験を行った。1万枚目に、5mm角の画像を出力した後、30分間そのまま放置し、30分後に再び5mm角の画像を出力し、放置前後の透過濃度を測定し、以下の指標に基づき評価した。評価結果を表4に示す。
尚、画像透過濃度の測定は、Macbeth社の透過濃度計RD914型を用い、未使用紙分を除いた数値にて規定している。透過濃度で測定するのは、反射濃度では有意差が表れない微小な濃度変化を評価できるためである。
A…放置前後の濃度差が0.04以下
B…放置前後の濃度差が0.05以上0.09以下
C…放置前後の濃度差が0.10以上0.19以下
D…放置前後の濃度差が0.20以上
<環境による画像濃度変動>
高温高湿環境下(40℃/90%RH)及び常温低湿環境下(23℃/5%RH)にて1万枚分の連続プリント試験を行い、各々の1万枚目のサンプルを上記と同様にして透過濃度を測定し、以下の指標に基づき評価した。評価結果を表4に示す。
A…高温高湿環境下と低温低湿環境下での濃度差が0.04以下
B…高温高湿環境下と低温低湿環境下での濃度差が0.05以上0.09以下
C…高温高湿環境下と低温低湿環境下での濃度差が0.10以上0.19以下
D…高温高湿環境下と低温低湿環境下での濃度差が0.20以上
〔実施例2乃至13及び比較例1乃至7〕
実施例1において、表3に示す通りに、結着樹脂及びスルホン酸系官能基含有樹脂を変更する以外は同様にしてT−2乃至T−20のトナーを製造し、同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例8〕
比較例7において、結着樹脂を、樹脂12と樹脂14を9:1の比率で混合したものを使用する以外は同様にしてトナーT−21を製造し同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例9〕
比較例7において、結着樹脂を、樹脂13と樹脂15を7:3の比率で混合したものを使用する以外は同様にしてトナーT−22を製造し同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例10〕
比較例5において、スルホン酸系官能基含有樹脂の変わりに下式(6)を2質量部使用する以外は同様にしてトナーT−23を製造し同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2012163591
Figure 2012163591
Figure 2012163591
Figure 2012163591
Figure 2012163591

Claims (3)

  1. 結着樹脂、着色剤及びスルホン酸系官能基を有する重合体を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであり、
    該結着樹脂は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、温度55℃以上75℃以下の領域に第1の吸熱ピークのピーク温度P1(℃)を有し、温度80℃以上120℃以下の領域に第2の吸熱ピークのピーク温度P2(℃)を有し、
    該スルホン酸系官能基を有する重合体は、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体であり、温度P3(℃)にガラス転移温度を有し、
    下記関係(1)を満足することを特徴とするトナー。
    P1<P3<P2 (1)
  2. 該結着樹脂の、該第1の吸熱ピークの吸熱量ΔH1と該第2の吸熱ピークの吸熱量ΔH2が、下記関係(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
    ΔH1≦ΔH2 (2)
  3. 該スルホン酸系官能基を有する重合体が、スルホン酸基を含有するアクリルアミド誘導体のモノマーユニットを構成成分として含有する重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
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