JP2012163398A - 解析装置およびシミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】RMD法を使用して対象を解析する際の計算時間を短縮する。
【解決手段】解析装置100は、RMD法を使用して弾性体とみなされる対象を解析する解析装置である。解析装置100は、対象を記述する複数の粒子を含む系を生成するモデル生成部110と、ポテンシャルエネルギ関数を使用して粒子に働く力を演算する際、その粒子に力を及ぼす粒子をその粒子との距離が所定のカットオフ距離よりも小さな粒子に制限する力演算部130と、離散化された粒子の運動方程式に力演算部130によって演算された力を適用することによって粒子の位置および速度のうちの少なくともひとつを演算する粒子状態演算部122と、を備える。カットオフ距離は、ポテンシャルエネルギ関数の極小値を与える粒子間の距離の2倍よりも小さい値に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、粒子系を解析する解析装置およびシミュレーション方法に関する。
従来、古典力学や量子力学等を基に計算機を用いて物質科学全般の現象を探るための方法として、分子動力学法(Molecular Dynamics Method、以下MD法と称す)に基づくシミュレーションが知られている。MD法に基づくシミュレーションでは、粒子の運動を物理的により厳密に取り扱えるため相転移等も好適に扱える反面、粒子数が増えると計算量も飛躍的に増大するので実用的にはより少ない数の粒子しか扱えない。したがって従来MD法は主に材料の物性の予測等、解析対象の形状があまり関係しない用途に使用されることが多かった。
最近、このMD法をマクロスケールの系を扱えるように発展させた繰り込み群分子動力学法(Renormalized Molecular Dynamics、以下RMD法と称す)が提案された(例えば、特許文献1参照)。RMD法により解析対象は歯車やモータや梁などの弾性体とみなせる物にまで広がってきている。それに伴い、解析対象を記述する系に所定の結晶構造を導入して計算するなど、計算において系を弾性体的に取り扱うことが増えてきている。
特開2006−285866号公報
RMD法の登場により、解析対象はよりマクロスケール化していくと考えられる。したがって扱うべき粒子数も増大すると考えられる。特許文献1にもあるように、RMD法では繰り込み因子を増減することにより任意のスケールの解析対象を取り扱えるが、繰り込み因子を大きくするとその分結果が幾分粗くなりうる。繰り込み因子を小さくすると扱う粒子数が増え、計算時間が長くなる。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、RMD法を使用して対象を解析する際の計算時間を低減できる解析技術の提供にある。
本発明のある態様は解析装置に関する。この解析装置は、繰り込み群分子動力学法を使用して弾性体とみなされる対象を解析する解析装置であって、対象を記述する複数の粒子を含む系を生成するモデル生成部と、ポテンシャルエネルギ関数を使用して粒子に働く力を演算する際、その粒子に力を及ぼす粒子をその粒子との距離が所定のカットオフ距離よりも小さな粒子に制限する力演算部と、離散化された粒子の運動方程式に力演算部によって演算された力を適用することによって粒子の位置および速度のうちの少なくともひとつを演算する粒子状態演算部と、を備える。カットオフ距離は、ポテンシャルエネルギ関数の極小値を与える粒子間の距離の2倍よりも小さい値に設定される。
この態様によると、カットオフ距離を小さい値に設定できるので計算時間を短縮できる。
本発明の別の態様は、シミュレーション方法である。この方法では、繰り込み群分子動力学法を使用して対象を解析する際、粒子間の相互作用が及ぶ範囲を規定する所定の距離を、対象が弾性体とみなされる場合はそうでない場合よりも短く設定する。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、RMD法を使用して対象を解析する際の計算時間を低減できる。
本実施の形態に係る解析装置の機能および構成を示すブロック図である。 モース型のポテンシャルエネルギ関数の一例を示すグラフである。 カットオフ距離を3.5×rとした場合にi番目の粒子の近接粒子として決定される粒子を示す模式図である。 カットオフ距離を1.7×rとした場合にi番目の粒子の近接粒子として決定される粒子を示す模式図である。 図1の解析装置における一連の処理の一例を示すフローチャートである。 比較計算で使用される粒子系を示す模式図である。 従来のカットオフ距離での粒子系の運動エネルギの時間変化を示すグラフである。 実施の形態に係るシミュレーション方法にしたがって短くされたカットオフ距離での粒子系の運動エネルギの時間変化を示すグラフである。 従来のカットオフ距離での衝突時の応力分布を示す模式図である。 実施の形態に係るシミュレーション方法にしたがって短くされたカットオフ距離での衝突時の応力分布を示す模式図である。 表1に示されるデータをプロットしたグラフである。 表2に示されるデータをプロットしたグラフである。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
RMD法を使用して対象を解析する際、従来では、対象が弾性体とみなされる場合であれそうでない場合であれ粒子間の相互作用が及ぶ範囲を規定するカットオフ距離は同じに設定されるので、計算量や計算時間もおおむね同じとなる。
本発明者らは、対象が弾性体とみなされる場合はそうでない場合よりもこのカットオフ距離を短く設定することにより、計算の精度を保ちつつ計算時間を短縮できることに想到した。すなわち、対象が弾性体とみなされる場合はそうでない場合よりも粒子が動ける範囲が限定されるので、従来設定されているカットオフ距離は対象が弾性体とみなされる場合には長すぎるのである。対象が弾性体とみなされる場合にカットオフ距離を短くしても計算結果や精度に大きな違いが現れる可能性は低い。また、カットオフ距離を短くすると相互作用する粒子のペアが減少するので、計算時間は短縮される。
特に対象がマクロスケールの対象である場合、設定すべき粒子数が多くなるので、カットオフ距離を短くすることによる計算時間の短縮効果は大きい。言い換えると、同等の計算時間、計算精度でより大きな対象を扱えるようになる。
なお、対象を弾性体とみなすことは、その対象に塑性変形や破壊や液化などの大きな形状の変化が生じないと仮定することを含む。したがって、弾性体とみなされる対象は主に固体であり、液体や気体は含まれない。
図1は、解析装置100の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
解析装置100はRMD法を使用して対象を解析する。解析装置100が解析する対象は、アルミニウムの球や歯車や梁やモータなどの弾性体とみなされる対象に限定される。解析装置100は、弾性体とみなされる対象を複数の粒子を含む繰り込まれた系で記述し、その系について粒子の運動方程式を数値的に演算することによりその系を解析する。解析装置100はその演算によって系の時間発展や定常状態を取得し、そのようにして得られたデータから対象をシミュレートしたり対象の物理量の予測値を提供したりする。
解析装置100は入力装置102および出力装置104と接続される。入力装置102は、解析装置100で実行される処理に関係するユーザの入力を受けるためのキーボード、マウスなどであってもよい。入力装置102は、インターネットなどのネットワークやCD、DVDなどの記録媒体から入力を受けるよう構成されていてもよい。出力装置104は、ディスプレイなどの表示機器やプリンタなどの印刷機器であってもよい。
解析装置100は、モデル生成部110と、繰り返し演算部120と、結果提示部140と、記憶部150と、を備える。
モデル生成部110は、入力装置102を介してユーザから取得する入力情報に基づき、対象を記述する繰り込まれた粒子系Sを生成する。その粒子系Sは規則的に配置されたN(Nは自然数)個の粒子を含む。モデル生成部110は生成された粒子系Sの情報を記憶部150に記憶させる。モデル生成部110は、構造設定部112と、粒子配置部114と、を含む。
構造設定部112は、対象についての入力情報または記憶部150に記憶されている対象についての情報から、対象の形状を取得する。構造設定部112は仮想的な3次元空間内に取得された形状を有する領域を設定し、粒子が配置されるべき粒子位置をその領域内にN個設定する。その際、構造設定部112はN個の粒子位置をそれらが規則的な構造を有するように設定する。この規則的な構造は、面心立方格子構造、体心立方格子構造、六方最密構造などの所定の結晶構造であってもよく、あるいはまた公知のメッシュ生成技術によって生成されたメッシュであってもよい。
粒子配置部114は、構造設定部112によって設定された規則的な構造を有するN個の粒子位置のそれぞれに粒子を配置する。粒子配置部114は、入力情報または記憶部150に記憶されている情報に基づき各粒子に初期速度を付与し、また入力情報または記憶部150に記憶されている情報から粒子の質量などの以降の演算に必要なパラメータを取得する。粒子配置部114は、各粒子の位置、初期速度、質量などを粒子系Sの初期条件として記憶部150に記憶させる。
なお、既に粒子系Sが生成され記憶部150に記憶されている場合は、モデル生成部110はそのように記憶されている情報を記憶部150から読み出すことで粒子系Sを生成する。
以下では粒子系Sの粒子は全て同質または同等なものとして設定され、かつ、ポテンシャルエネルギ関数は2体のポテンシャルであって粒子によらずに同じ形を有するものとして設定される場合について説明する。しかしながら、他の場合にも本実施の形態に係る技術的思想を適用できることは、本明細書に触れた当業者には明らかである。
繰り返し演算部120は、モデル生成部110によって生成された粒子系Sについて、所定のアルゴリズムにしたがった繰り返し演算を行う。繰り返し演算部120は、力演算部130と、粒子状態演算部122と、状態更新部124と、終了条件判定部126と、を含む。
力演算部130は記憶部150に記憶される粒子系Sの情報を参照し、ポテンシャルエネルギ関数を使用して粒子系Sの各粒子に働く力を演算する。その際、力演算部130は、粒子系Sの各粒子に力を及ぼす粒子をその粒子との距離が所定のカットオフ距離rよりも小さな粒子に制限する。力演算部130は、近接粒子決定部132と、力合算部134と、を含む。
近接粒子決定部132は、粒子系Sのi番目(1≦i≦N)の粒子について、そのi番目の粒子との距離がカットオフ距離rよりも小さな粒子(以下、近接粒子と称す)を決定する。
力演算部130で使用されるポテンシャルエネルギ関数はユーザによって設定され、例えば調和振動子型やモース(Morse)型やレナード・ジョーンズ(Lennard-Jones)型のポテンシャルエネルギ関数であってもよい。
図2は、モース型のポテンシャルエネルギ関数φ(r)の一例を示すグラフである。図2の横軸は粒子間の距離rを示す。図2に示されるように、モース型のポテンシャルエネルギ関数φ(r)は、粒子間の距離rが安定距離rとなるとき最小となる。レナード・ジョーンズ型のポテンシャルエネルギ関数や調和振動子型のポテンシャルエネルギ関数についても同様に、ポテンシャルエネルギ関数の最小値を与える安定距離rが存在する。RMD法では一般に、このように極小値、特に最小値を与える安定距離rが存在するようなポテンシャルエネルギ関数が設定される。
本実施の形態では、カットオフ距離rはポテンシャルエネルギ関数の最小値を与える安定距離rの2倍よりも小さい値、例えば1.7×rに設定される。従来では、対象が弾性体とみなされる場合であれそうでない場合であれ、カットオフ距離は3.5×r程度とされることが多かった。図2に示されるように3.5×r以上の距離では粒子はポテンシャルの影響をほとんど受けない。本実施の形態では、対象を弾性体とみなされるものに限定する代わりに、カットオフ距離をより短く設定する。
図3は、カットオフ距離を3.5×rとした場合にi番目の粒子の近接粒子として決定される粒子を示す模式図である。図3では説明を明瞭とするため粒子系を平面的に示す。黒色の丸はi番目の粒子、灰色の丸は近接粒子、実線の円は近接粒子として決定される範囲を示す。
図4は、カットオフ距離を1.7×rとした場合にi番目の粒子の近接粒子として決定される粒子を示す模式図である。図4では説明を明瞭とするため粒子系を平面的に示す。黒色の丸はi番目の粒子、灰色の丸は近接粒子、実線の円は近接粒子として決定される範囲を示す。
図3、図4から理解されるとおり、カットオフ距離を短くすることで、i番目の粒子と相互作用する粒子の数を顕著に低減できる。その結果計算時間を短縮できる。なお、近接粒子の数はカットオフ距離の3乗に応じて増減するので、カットオフ距離の低減による計算時間短縮の効果は単純な線形的なものではなく、後述する通りより顕著なものとなっている。
図1に戻る。
力合算部134は、近接粒子決定部132によって決定された各近接粒子について、その近接粒子とi番目の粒子との間のポテンシャルエネルギ関数およびその近接粒子とi番目の粒子との距離に基づいて、その近接粒子がi番目の粒子に及ぼす力を演算する。特に力合算部134は、その近接粒子とi番目の粒子との距離の値におけるポテンシャルエネルギ関数のグラジエント(Gradient)の値から力を算出する。力合算部134は、近接粒子がi番目の粒子に及ぼす力を全ての近接粒子について足し合わせることによって、i番目の粒子に働く力を算出する。
粒子状態演算部122は記憶部150に記憶される粒子系Sの情報を参照し、粒子系Sの各粒子について、離散化された粒子の運動方程式に力合算部134によって算出された力を適用することによって粒子の位置および速度のうちの少なくともひとつを演算する。本実施の形態では、粒子状態演算部122は粒子の位置および速度の両方を演算する。
粒子状態演算部122は、力合算部134によって算出された力を含む離散化された粒子の運動方程式から粒子の速度を演算する。粒子状態演算部122は、粒子系Sのi番目の粒子について、蛙跳び法やオイラー法などの所定の数値解析の手法に基づき所定の微小な時間刻みΔtを使用して離散化された粒子の運動方程式に、力演算部130によって算出された力を代入することによって、粒子の速度を演算する。この演算には以前のステップで演算された粒子の速度が使用される。
粒子状態演算部122は、演算された粒子の速度に基づいて粒子の位置を算出する。粒子状態演算部122は、粒子系Sのi番目の粒子について、所定の数値解析の手法に基づき時間刻みΔtを使用して離散化された粒子の位置と速度の関係式に、演算された粒子の速度を適用することによって、粒子の位置を演算する。この演算には以前のステップで演算された粒子の位置が使用される。
状態更新部124は、記憶部150に記憶される粒子系Sの各粒子の位置および速度のそれぞれを、粒子状態演算部122によって演算された位置および速度で更新する。
終了条件判定部126は、繰り返し演算部120における繰り返し演算を終了すべきか否かを判定する。繰り返し演算を終了すべき終了条件は、例えば繰り返し演算が所定の回数行われたことや、粒子系Sが定常状態に達したことや、外部から終了の指示を受け付けたことである。終了条件判定部126は、終了条件が満たされる場合、繰り返し演算部120における繰り返し演算を終了させる。終了条件判定部126は、終了条件が満たされない場合、処理を力演算部130に戻す。すると力演算部130は、状態更新部124によって更新された粒子の位置で再び力を演算する。
結果提示部140は、モデル生成部110によって生成された粒子系Sの解析結果をユーザに提示する。結果提示部140は、物理量演算部142と、再スケーリング部144と、描画制御部146と、を含む。
物理量演算部142は、繰り返し演算部120における繰り返し演算が終了した後、記憶部150に記憶される粒子系Sの情報に基づき粒子系Sの各種物理量、例えば温度や圧力や応力などを演算する。
再スケーリング部144は、物理量演算部142によって演算された物理量を繰り込まれる前の系の物理量に変換する。特に再スケーリング部144は、物理量演算部142によって演算された物理量に、物理量ごとに定まるスケーリング係数を乗じることによって繰り込まれる前の系の物理量を得る。物理量には応力や温度など繰り込み変換に際して不変となる物理量もあり、そのような物理量についてはスケーリング係数として1(変換前後で不変)が設定される。再スケーリング部144は、変換された物理量を出力装置104に表示させる。
描画制御部146は、繰り返し演算部120における繰り返し演算が終了した後、記憶部150に記憶される粒子系Sの各粒子の位置、速度の情報に基づき、出力装置104に粒子系Sの時間発展や定常状態の様子をグラフィカルに表示させる。
上述の実施の形態において、記憶部150の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
以上の構成による解析装置100の動作を説明する。
図5は、解析装置100における一連の処理の一例を示すフローチャートである。モデル生成部110は、弾性体とみなされる対象を記述する粒子系を生成する(S202)。近接粒子決定部132は、短いカットオフ距離を使用して近接粒子を決定する(S204)。力合算部134は、粒子間の距離から粒子に働く力を演算する(S206)。粒子状態演算部122は、演算された力を含む粒子の運動方程式から速度を演算する(S208)。粒子状態演算部122は、演算された速度から粒子の位置を算出する(S210)。状態更新部124は、記憶部150に記憶される粒子の位置を算出された位置で更新する(S212)。終了条件判定部126は、終了条件が満たされるか否かを判定する(S214)。終了条件が満たされない場合(S214のN)、処理はS204に戻される。終了条件が満たされる場合(S214のY)、結果提示部140は演算結果をユーザに提示する(S216)。
本実施の形態に係る解析装置100によると、解析する対象を弾性体とみなされる対象に限定し、RMD法を使用した演算においてカットオフ距離を従来よりも短く設定する。これにより、計算の精度、正確性を維持しつつ計算時間を短縮できる。
本実施の形態に係るシミュレーション方法による計算時間の短縮効果を確認するために、本発明者らは以下の比較計算を行った。図6は、比較計算で使用される粒子系を示す模式図である。比較計算では、図6に示される二球衝突問題の計算をRMD法にて実施した。2つの球体の一方に初速度を与え、もう一方の球体に衝突させたときの2球の接触した時間を求めカットオフ距離変更前後の比較を行った。
(計算条件)
材料:アルミニウム
球体直径:0.0755(m)
球質量:0.614(kg)
球体初速:100(m/s)
繰り込みの回数:23回
繰り込み操作後の粒子数:46430個
解析対象となる二つの球の材料はアルミニウムとした。したがって、この解析対象は弾性体とみなされる。またアルミニウムの結晶構造は一般に面心立方格子構造であるから、粒子系では複数の粒子が面心立方格子状に配置される。粒子間のポテンシャルエネルギ関数には以下の式1で示されるモース型のポテンシャルエネルギ関数を使用し、パラメータは式2に示されるように設定した。
カットオフ距離は従来のMD法で用いられることの多い
と、それを本実施の形態に係るシミュレーション方法にしたがって短くした
とした。
面心立方格子構造において、ある粒子に2番目に近い粒子を第2近接粒子、ある粒子と第2近接粒子との距離を第2近接距離、ある粒子に3番目に近い粒子を第3近接粒子、ある粒子と第3近接粒子との距離を第3近接距離と呼ぶ。
は、面心立方格子構造における第2近接距離
と第3近接距離
との間の距離、特に算術平均
として設定される。
図7は、従来のカットオフ距離での粒子系の運動エネルギの時間変化を示すグラフである。図8は、本実施の形態に係るシミュレーション方法にしたがって短くされたカットオフ距離での粒子系の運動エネルギの時間変化を示すグラフである。
図7、図8を比較すると、2種類のカットオフ距離でほぼ同等の結果が得られ2球の接触した時間もほぼ同じである。
図9は、従来のカットオフ距離での衝突時の応力分布を示す模式図である。図10は、本実施の形態に係るシミュレーション方法にしたがって短くされたカットオフ距離での衝突時の応力分布を示す模式図である。
図9、図10より衝突時の応力分布を比較しても同等の結果が得られている。
2球の接触した時間の理論値は以下のように表される。
ここでμは換算質量、vは相対速度、Rは半径、σはポアソン比、Eはヤング率である(例えば「弾性理論」、ランダウ−リフシッツ著、佐藤 常三訳、東京図書、1983、p42参照)。アルミニウムのヤング率とポアソン比はそれぞれ70.3(GPa)、0.3とすると、式3、式4、式5より求められる理論値は9.16×10−5(s)である。本実施の形態に係るシミュレーション方法にしたがって短くされたカットオフ距離を使用したRMD法によって得られた結果は8.64×10−5(s)であり、その誤差は5.7%程度である。
計算時間は、カットオフ距離が3.5×rの場合、約2600分であった。カットオフ距離が1.7×rの場合、約290分であった。これにより、本実施の形態に係るシミュレーション方法によって、計算時間を従来の約1/8.7に短縮できることが示された。
さらに、本実施の形態に係るシミュレーション方法による計算時間の短縮効果を確認するために、本発明者らはRMD法を使用してシミュレーションを行う場合に、同じ計算環境でカットオフ距離を短くすると計算時間がどのように変化するかを検討した。解析対象や解析条件は図6に関連して上述されたものと同様のものを使用し、種々のカットオフ距離の値について計算に要した時間を測定した。以下の表1に検討結果を示す。
ここでbは
で定義される値であり、カットオフ距離をポテンシャルエネルギ関数の安定距離の何倍としているかを示す係数である。また、
は、
として計算するのに要した時間である。
図11は、表1に示されるデータをプロットしたグラフである。
さらにこの結果より、カットオフ距離として従来のRMD法で使用される3.5×rを使用した場合に要する計算時間を基準にした計算時間の比率
とbとの関係を表2に示す。
図12は、表2に示されるデータをプロットしたグラフである。
表2および図12に示される結果から、カットオフ距離を短くしていくと、bの値が2となる辺りで急激に計算時間が短くなっている。すなわち、カットオフ距離rをポテンシャルエネルギ関数の安定距離rの2倍よりも小さい値に設定すると、計算時間を大幅に短縮できることが示されている。面心立方格子構造では第3近接距離は2×rであるから、これはカットオフ距離を第3近接距離よりも小さい値に設定すると、計算時間を大幅に短縮できることを意味する。直観的には、第1近接粒子や第2近接粒子と比べて第3近接粒子は数が多いのであるが、カットオフ距離を第3近接距離よりも小さい値に設定すると数の多い第3近接粒子が演算対象から外れるので計算時間が大幅に短縮されることが理解される。
また、表1、表2、図11、図12ではbを1.50以上として検討している。これは、bを第2近接距離よりも小さく設定すると第2近接粒子が演算対象から外れるのであるが、そうすると最近接粒子のみを演算対象とすることとなり計算の精度が低下しうるからである。すなわち、カットオフ距離を第3近接距離よりも小さく第2近接距離よりも大きい値に設定すると、計算の精度を維持しつつ計算時間を大幅に短縮できる。
なお、図6に関連して上述されたシミュレーションにおける計算時間と図11、図12に関連して上述されたシミュレーションにおける計算時間とには違いが見られるが、これは並列化の有無等の計算環境の差異によるものに過ぎない。
以上、実施の形態に係る解析装置100の構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
100 解析装置、 102 入力装置、 104 出力装置、 110 モデル生成部、 120 繰り返し演算部、 122 粒子状態演算部、 130 力演算部、 140 結果提示部、 150 記憶部。

Claims (7)

  1. 繰り込み群分子動力学法を使用して弾性体とみなされる対象を解析する解析装置であって、
    前記対象を記述する複数の粒子を含む系を生成するモデル生成部と、
    ポテンシャルエネルギ関数を使用して粒子に働く力を演算する際、その粒子に力を及ぼす粒子をその粒子との距離が所定のカットオフ距離よりも小さな粒子に制限する力演算部と、
    離散化された粒子の運動方程式に前記力演算部によって演算された力を適用することによって粒子の位置および速度のうちの少なくともひとつを演算する粒子状態演算部と、を備え、
    前記カットオフ距離は、前記ポテンシャルエネルギ関数の極小値を与える粒子間の距離の2倍よりも小さい値に設定されることを特徴とする解析装置。
  2. 前記モデル生成部は、前記対象を記述する系として規則的に配置された複数の粒子を含む系を生成し、
    前記モデル生成部によって生成される系について、ある粒子とその粒子に3番目に近い粒子との距離を第3近接距離と呼ぶとき、前記カットオフ距離は前記第3近接距離よりも小さい値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の解析装置。
  3. 前記モデル生成部は、前記対象を記述する系として面心立方格子状に配置された複数の粒子を含む系を生成し、
    前記ポテンシャルエネルギ関数はモース型のポテンシャルエネルギ関数であることを特徴とする請求項2に記載の解析装置。
  4. 前記モデル生成部によって生成される系について、ある粒子とその粒子に2番目に近い粒子との距離を第2近接距離と呼ぶとき、前記カットオフ距離は前記第3近接距離よりも小さく前記第2近接距離よりも大きい値に設定されることを特徴とする請求項3に記載の解析装置。
  5. 前記対象はマクロスケールの対象であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の解析装置。
  6. 繰り込み群分子動力学法を使用して対象を解析する際、粒子間の相互作用が及ぶ範囲を規定する所定の距離を、前記対象が弾性体とみなされる場合はそうでない場合よりも短く設定することを特徴とするシミュレーション方法。
  7. 繰り込み群分子動力学法を使用して弾性体とみなされる対象を解析する機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムであって、
    前記対象を記述する複数の粒子を含む系を生成する機能と、
    ポテンシャルエネルギ関数を使用して粒子に働く力を演算する際、その粒子に力を及ぼす粒子をその粒子との距離が所定のカットオフ距離よりも小さな粒子に制限する機能と、
    離散化された粒子の運動方程式に演算された力を適用することによって粒子の位置および速度のうちの少なくともひとつを演算する機能と、を前記コンピュータに実現させ、
    前記カットオフ距離は、前記ポテンシャルエネルギ関数の極小値を与える粒子間の距離の2倍よりも小さい値に設定されることを特徴とするコンピュータプログラム。
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