JP2000003352A - 分子動力学法計算装置 - Google Patents

分子動力学法計算装置

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JP2000003352A
JP2000003352A JP16660598A JP16660598A JP2000003352A JP 2000003352 A JP2000003352 A JP 2000003352A JP 16660598 A JP16660598 A JP 16660598A JP 16660598 A JP16660598 A JP 16660598A JP 2000003352 A JP2000003352 A JP 2000003352A
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Satoshi Ito
智 伊藤
Shigeo Ihara
茂男 井原
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】並列計算機上で分子動力学計算を実行する場合
に、通信時間を削減し、全体としての実行時間を短縮す
る。 【解決手段】計算領域の空間を各並列プロセッサに分割
する場合、計算領域の空間をより球に近い多面体で分割
することにより、境界近傍の粒子データを交換する転送
相手の数を減らし、通信の起動回数を減らす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数の粒子の運動
をシミュレートするために、複数のプロセッサを有する
並列計算機上で実行する分子動力学法計算装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】分子動力学法は、多数の粒子が従う時間
依存の運動方程式を解くことによって、個々の粒子の運
動を追跡し、合わせて系全体としての熱力学的な統計量
を得ることのできる手法である。並列計算機の登場によ
り、従来より大規模な系への適用が可能となり、実用的
な問題への利用が図られてきている。
【0003】本手法の適用対象として選ばれるシリコン
などの半導体材料や剛体球モデルなど、多くの系での粒
子間の相互作用は短距離である。相互作用が短距離であ
る場合、粒子に作用する力を計算する際に、カットオフ
距離Rcより遠方にある粒子を考慮する必要がない。そ
のため、通常は各粒子毎に、カットオフ距離Rc内にあ
る粒子の番号のリストを持たせ、そのリストに従って粒
子間の計算を行う。これを帳簿法またはブックキーピン
グ法と呼ぶ。
【0004】短距離力に従う系を分子動力学法で扱う場
合、各粒子毎に考慮すべき対象は自らの周囲に局在して
いるため、並列計算機には非常に適している。すなわ
ち、粒子の存在している系をプロセッサの数の部分領域
に分割し、各プロセッサは割り当てられた部分領域内の
粒子に関して、作用する力を計算し、次の時刻の位置と
速度を解く。その際、各プロセッサでは系全体の粒子の
情報を保持するのではなく、担当部分領域内に存在する
粒子の情報だけを有することにより、並列計算機では大
規模な系への適用が可能となる。
【0005】各プロセッサでの演算はほぼ独立に実行可
能であるが、割り当てられた領域の境界近傍の粒子に作
用する力を計算する際には、隣の部分領域内に存在する
粒子の中に、カットオフ距離Rcより近くに位置する粒
子がいるかもしれない。通常この隣の部分領域の粒子の
位置情報は持っていない。また、持っていたとしても時
刻が1ステップ進めば隣接する粒子の座標の情報は古い
ものとなっている。従って、時刻が1ステップ進む毎に
プロセッサの間で位置情報の交換をするための通信を行
わなければならない。分子動力学シミュレーションで
は、この時刻の更新を何万から何百万回繰り返す。
【0006】通常、系の部分領域への分割は最も容易な
直方体状(空間が二次元の場合は長方形)の格子で行わ
れる。この場合、各時刻ステップ毎に、各プロセッサは
シミュレーション空間内で隣接する26(=3×3×3
−1)個(空間が二次元の場合は8(=3×3−1)
個)のプロセッサから、境界領域の粒子の位置座標を受
け取る通信を行わなければならない。並列計算機を用い
てシミュレーションを実行する場合、この通信に要する
時間のために計算全体の処理時間が増大する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】分子動力学法を適用す
る分野では、長い時間、すなわち多数回の時間ステップ
の実行を必要とする場合が多いため、より大規模な系の
シミュレーションでは高速化が望まれている。しかも、
プロセッサ間での通信量は、シミュレーションの系のサ
イズNの2/3乗に比例して増大する。
【0008】プロセッサ間の通信では、通信するデータ
の量に比例する実際の通信時間の他に通信を起動するた
めの起動時間が必要である。シミュレーション全体の時
間の中で、この起動に要する時間は通信を行う相手の数
に比例して増大するという問題点がある。
【0009】分子動力学法を並列計算機上で実行する場
合に、通常の方法に従って空間を直方体に分割すると、
各プロセッサが担当する部分領域が隣接する部分領域は
26個であり、それらのプロセッサとの間で行われる通
信の量は直方体の表面積に比例する。ここでは、直方体
の頂点同士で接しているプロセッサ間でも通信を行わね
ばならず、通信の相手の数が多いという問題がある。し
かも、頂点近傍の粒子の情報は、最大7カ所もの隣接す
るプロセッサに転送されねばならず、通信の重複度が高
く通信時間を長くしている。
【0010】分子動力学法を並列計算機上で実行して大
規模な系に適用する場合、プロセッサ間での原子座標の
通信を避けることはできない。そこで本発明では、より
早く結果を獲得するために、プロセッサ間で通信をする
相手の数および通信量を減らし、シミュレーション全体
における通信時間を削減した分子動力学法の計算装置を
提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では、各プロセッ
サが担当する部分領域の形状として直方体ではなく、同
じ体積で表面積が小さく、隣接する部分領域の数が少な
くなる立体(二次元空間のシミュレーションの場合は多
角形)を用いることによって実現する。
【0012】本発明は、複数のプロセッサを有する並列
計算機を用いて多数の粒子の運動を追跡する分子動力学
法の計算装置であって、多面体状にシミュレーション空
間を分割してプロセッサを割り当て、多面体同士の連結
情報を生成する多面体分割部,各粒子がどの分割領域に
属するかを判定する粒子割り当て部,部分領域の境界か
らカットオフ距離Rc内の粒子を判別して隣接するプロ
セッサに転送する境界領域データ転送部,各粒子に対す
る近傍粒子リストを生成するリスト生成部,近傍粒子リ
ストに従って粒子に作用する力を計算する粒子間力計算
部,粒子に作用する力から次の時刻の粒子の位置と速度
を更新する時刻更新部を有し、必要な回数時刻更新を繰
り返し、二回目以降の境界領域データ転送部では自プロ
セッサの担当部分領域から粒子が出たかどうかを判定
し、移動した粒子の情報を異動先のプロセッサと交換す
る処理も行う。
【0013】
【発明の実施の形態】図2は、本発明の一実施例におけ
る並列計算機の概略構成を示している。計算機は複数の
プロセッシングユニットPU101とそれらを連結する
通信ネットワーク105から構成される。この図で示し
た計算機の場合はPUが二次元的に配置されているが、
その幾何学的構成は三次元であったり、トーラス状であ
ったり、ハイパーキュービックであってもよい。各PU
101は主に、データを格納しておく主記憶装置102
と、演算を実行する演算処理装置103と、PU間での
通信をつかさどる通信処理装置104からなる。
【0014】本実施例による分子動力学計算のフローチ
ャートを図1に、PU101内の装置の概略構成を図3
に示す。図1および図3を用いて、分子動力学計算の計
算手順を説明する。特に、ここでは粒子間に作用するポ
テンシャルの形態や粒子の運動方程式を解くアルゴリズ
ム等については特定しないが、力の到達距離はRcまで
の短距離力とする。また、相互作用を計算するために近
年では最も一般的なブックキーピング法を用いる。ただ
し、本発明はそれらの選択には依存せずに適用可能であ
るが、まず、演算処理装置103内の初期値設定部20
1は入力データ306からデータを読み込み、シミュレ
ーションの空間、時刻刻みやそのほかのシミュレーショ
ンデータの初期値を設定し、シミュレーションの空間の
データ301として主記憶装置102内に保持する。
【0015】次の多面体分割部202では、設定された
主記憶装置102上のシミュレーションの空間のデータ
301を読み込み、シミュレーションの空間を使用する
各PU101に割り当てるための多面体分割を行う。各
PUに割り当てられる多面体をここではセルと呼ぶこと
にする。各PU101内での粒子に作用する力を計算す
る場合には、自PU内の粒子の情報だけでなく、隣接す
るPUの境界に存在する粒子の位置情報も必要となるの
で、セル同士の隣接情報を生成し、リスト化しておく。
また、各PUのセルをブックキーピング法を適用できる
ように、一辺の長さが高々Rcの直方体のブロックに分
割する。ブックキーピング法のために、セル内の各ブロ
ックの隣接ブロックリストも作成しておく。
【0016】この時、隣接するPUの境界部分のブロッ
クもこの隣接ブロックリストに現れてくる。生成した隣
接セル情報,隣接ブロックリスト等は、多面体分割の部
分空間データ302として主記憶装置102に保持され
る。これらの処理は多面体分割処理202で行われ、そ
の具体的実例は後述する。
【0017】続いて粒子割り当て部203では、各PU
毎に入力データ306から読み込んだ初期粒子座標と主
記憶装置102に収められた多面体分割の部分空間デー
タ302から、自セルに割り当てられるべき粒子を判別
し、粒子データ303として主記憶装置102に保持す
る。
【0018】自セル内の粒子に作用する力を計算するた
めには、自セルの粒子情報だけでは不十分で、隣接する
セル(PU)内の境界近傍の粒子の位置情報が必要であ
る。そこで、境界領域データ転送部204では、多面体
分割の部分空間データ302と粒子データ303から、
自セルの境界領域、すなわち境界からRcの距離内の空
間に存在する粒子をリストアップし、隣接する各PUに
位置座標を送るべく通信処理装置104内の通信処理部
308へ渡す。通信処理部308では、隣接するセルに
対応するPUから、自セルが持つべき隣接セルの粒子デ
ータ304を受け取り主記憶装置102に保持する。
【0019】リスト生成部205では、ブックキーピン
グ法に従い、自セル内の各粒子がカットオフ距離Rc内
に持つ粒子のリストを、粒子データ303と隣接セルの
粒子データに基づいて生成し、近傍粒子リスト305と
して主記憶装置102内に保持する。
【0020】粒子間力計算部206では、近傍粒子リス
ト305に従い自セル内の各粒子が受ける力を、自セル
内の粒子データ303と隣接セルの粒子データ304の
位置座標から計算する。計算された力の情報は、粒子デ
ータの一部として主記憶装置102内の粒子データ30
3に保持される。
【0021】時刻更新部207では、自セル内の粒子の
位置,速度を計算された力によって更新する。更新され
た位置と速度の情報は粒子データ303に保持される。
【0022】時刻の刻みを一つ進め、必要な時間の繰り
返しを行ったかどうか判断し、まだ繰り返すべきであれ
ば境界領域データ転送部へ、終了すべきであれば、物理
量計算出力部208へ移る。
【0023】境界領域データ転送部へ戻った場合、最初
に通過した場合と違った処理として、時刻更新部207
によって更新された自セルの粒子が自分のセル領域から
移動してしまってないか、また、隣接するセルの粒子が
自分のセル領域に移動してきていないかを判断し、その
場合には受け持つべきPUに、該当する粒子のデータを
PU間の通信により転送する。これは、並列計算機上で
分子動力学計算を行う場合に特徴的な処理である。
【0024】終了の時刻になり、ループを終了した場
合、物理量計算出力部208へ移る。ここでは、粒子の
位置座標や速度をもとに、様々な物理量を計算し、出力
データ307として外部に出力する。
【0025】図1,図3で示した計算のフローや構成の
多くの部分は、分子動力学計算では一般的なものであ
る。そこで、これらの構成要素の中で、本発明に強く関
連する構成要素について要素別に説明を行う。シミュレ
ーションを実行する空間は三次元で各軸の方向の空間的
大きさをLx(1〜3)とする。空間内の粒子はほぼ均一
で、各軸方向の分割をNx(1〜3)で指定する。ただ
し、従来法で用いる直方体分割の場合はNx(1)×Nx
(2)×Nx(3)個のPUで実行することになるが、本実
施例で直方体の代わりに切頭八面体を用いる場合は2N
x(1)×Nx(2)×Nx(3)個に分割する。切頭八面体
は図4に示す様に一種類で三次元空間を充填する。
【0026】まず、直方体による空間分割の場合と異な
るのは多面体分割部202である。多面体分割では、ま
ず、入力されたシミュレーションの空間を指定されたプ
ロセッサ数の多面体に分割し、それぞれの多面体(セ
ル)を各PUに割り当てる。
【0027】直方体分割の場合は、各直方体セルの大き
さは数1によって与えられる(ただしix=1〜3)。
【0028】
【数1】
【0029】このとき各セルは例えば数2のインデック
スによって指定される。
【0030】
【数2】
【0031】ここで、1〜3のixに対して、jx(i
x)は0からNx(ix)−1まで変わる。インデックス
jを持つ直方体セルの中心座標は数3で与えられる。
【0032】
【数3】
【0033】切頭八面体は、Sx(ix)で指定される直
方体に内包される。そして、空間充填するために連結す
る隣接するセルは、図4に示す様にその中心がこの直方
体の頂点に位置する。各直方体の辺の長さが一致してな
い場合でも、幾何学的構造の位置関係は一緒である。切
頭八面体により空間を分割する場合、直方体に内接する
切頭八面体のインデックスを偶数で、直方体の頂点に中
心を持つ切頭八面体のインデックスを奇数で表現する。
【0034】図5に切頭八面体で空間を分割する場合の
多面体分割部202の処理の流れを示す。空間のサイズ
Lx(1〜3)とそれを分割するプロセッサの数Nx(1
〜3)を処理501として読み込む。続いて各プロセッ
サの受け持つセルを規定するサイズを処理502で計算
する。ここまでは、直方体で空間分割する従来法と同じ
である。
【0035】処理503で全てのプロセッサに対するセ
ルのインデックスおよび中心座標を計算する。セルのイ
ンデックス0〜Nx(1)×Nx(2)×Nx(3)−1に対
して各軸のインデックスとそれに対応する遇数系列と奇
数系列のセルの中心座標を処理504で計算する。自分
のプロセッサのインデックスmyidから、各次元軸の
成分と自セルが偶数系列か奇数系列かを処理505で設
定する。自セルの隣接セルリストの生成506として、
全ての境界面の方向に対し隣接するセルをリスト化す
る。
【0036】セル内のブロック分割507として、自セ
ルと隣接セルの境界を含めた部分をRcより大きいブロ
ックに分割する。各ブロックの隣接ブロックリストの生
成508として、自セルの各ブロックから見た26ヶの
隣接ブロックをリスト化する。最後に境界ブロックリス
トの生成509として、自セル内の境界に接する、また
はまたぐブロックをリスト化しておく。
【0037】切頭八面体は、四角形と六角形の二種類の
面を持っている。全ての面の辺の長さは等しい。自セル
の隣接セルリストの生成506は、図6に示す様に、四
角形の方向に関するリストの生成601と六角形の方向
に関するリストの生成602とに分けられる。直方体分
割の場合には、隣接するセルが26個存在した。面で接
している6個のセルと、辺で接している12個のセル
と、頂点で接している8個のセルである。しかし、切頭
八面体の場合は、隣接するセルは14個である。
【0038】セル内のブロック分割507は図7に示す
様に、セル自身の空間を含む部分だけでなく、隣接する
セルの境界部分も含めた領域に入るブロックも分割して
おく必要がある。各ブロックの隣接ブロックリストの生
成508では、図8に示す様にセル内の全てのブロック
に対して隣接ブロックのリストを生成する。ブロックの
インデックスは隣接セルの境界領域も含めた一回り大き
い格子で考える。ただし、隣接ブロックリストを生成す
る中心のブロックは自セルの領域内のブロックのみとす
る。
【0039】続いて、本発明で大きく異なる処理部分は
粒子割り当て部203である。全ての粒子の座標を読み
込み、もしくは読み込みながら、それらの粒子が自分の
セルに入るかどうか判断し、入る場合は自分の粒子デー
タに登録する。
【0040】具体的には図9に示す様に行う。空間が奇
数系列の直方体だけで分割されている場合と、偶数系列
の直方体だけで分割されている場合の二通りで粒子がど
のインデックスの直方体に入るかを計算する。どちらか
の直方体インデックスが自分のプロセッサインデックス
と一致するか905で判断し、一致すればその粒子は自
分のプロセッサが受け持つ可能性があるので処理を続け
る。粒子と候補二つのセルの中心の距離を処理906で
計算し、距離の近い方が自分のセルかどうか907で判
断し、そうであれば処理908で自分のセル内の粒子数
を一つ増やし配列に登録する。
【0041】それ以降の処理内容として、境界領域デー
タ転送部204を図10に、その内部の詳細としてセル
間移動粒子のデータ転送1002と境界データを隣接セ
ルと交換1003をそれぞれ図11,図12に、リスト
生成部205を図13に示す。これらの処理は、計算領
域を分割する部分空間の形状に依存しないため、特に説
明しないが、図に示す一実施例のフローによって実施可
能である。
【0042】本発明の別な実施例としては、計算領域を
分割する部分空間の形状として、切頭八面体ではなく、
菱形十二面体およびそれを変形した多面体を用いる方法
である。菱形十二面体は図14に示す形状を持ってお
り、この多面体を部分空間として用いた場合には、面で
接する12個の隣接プロセッサの他、各頂点に対して頂
点同士で接するプロセッサ6個があるため合計18個の
プロセッサと粒子データの交換を行う必要がある。隣接
プロセッサの数18個というのは、直方体の26個より
は少ないが、切頭八面体の14個よりは多い。ただし、
菱形十二面体を変形して、通信を行う組の数を14個ま
で減らすことも可能である。
【0043】また、シミュレーション空間が二次元空間
の場合の本発明の実施例としては、計算領域を分割する
部分空間の形状として六角形を用いる方法である。従来
方法の長方形の場合、辺と頂点で隣接する部分空間は8
個であるが、六角形の場合は6個。通信の量の目安とな
る部分空間の周囲の長さは、7%程度削減することがで
きる。
【0044】並列計算機上で分子動力学計算を実施する
場合に必要となる空間分割において、従来の直方体を用
いる方法では時刻ステップ毎に行うデータ転送の組が各
プロセッサ当たり26(=3×3×3−1)個であったの
に対し、切頭八面体を用いると14(=6+8)個と少な
くなる。また、合計したデータ転送の量も削減すること
ができる。これにより、分子動力学計算の実行時間の
内、通信時間部分を削減することが可能である。そのた
め、より早くシミュレーションの結果を得ることができ
るようになる。
【0045】具体的に通信量の比較を行ってみる。部分
空間は単純化のために、従来法では直方体の代わりに立
方体、本発明では切頭八面体の代わりに切頭正八面体に
なるものとする。部分空間が同じ体積Vを持つとする
と、立方体の場合は、一辺の長さをScとして、数4で
現される。
【0046】
【数4】
【0047】切頭正八面体の場合は、内接する立方体の
一辺をSrとすると、切頭正八面体の体積VとSrは数
5の関係を持つ。
【0048】
【数5】
【0049】従って数6の関係が成り立つ。
【0050】
【数6】
【0051】各部分空間が転送する情報量は、シミュレ
ーションの系の大きさが大きくなるにしたがって部分空
間の表面積に比例する項が優勢となる。立方体は、一辺
Scの正方形6個から成るのでその全表面積は、数7で
与えられる。
【0052】
【数7】
【0053】一方、切頭正八面体の場合は、一辺がSr
/2√2の正方形6個と、同じ辺の長さを持つ正六角形
8個から成る。従ってその表面積は、数8であり、立方
体の表面積に比べて11%も小さい。
【0054】
【数8】
【0055】本実施例に示示したように、本発明によれ
ば通信の起動回数を減らすだけでなく、全体としての通
信量も減らすことにより、通信にかかる時間を削減し、
全体の実行時間を短縮することができる。
【0056】
【発明の効果】計算領域の空間を各並列プロセッサに分
割する場合、従来は最も単純な直方体の形状に分割して
いた。粒子に作用する力を計算するためには、分割領域
の境界近傍の粒子データを隣接する分割領域のプロセッ
サと通信しあわなければならない。直方体に分割する場
合は、転送相手が26個と多く、転送の起動時間が転送
時間に大きく影響を及ぼすことになる。
【0057】本発明によれば、計算領域の空間をより球
に近い多面体で分割することにより、境界近傍の粒子デ
ータを交換する転送相手の数を減らし、通信の起動回数
を減らすことができる。従って並列計算機上で分子動力
学計算を実行する場合に、通信時間を削減し、全体とし
ての実行時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の処理例を示すフローチャー
ト。
【図2】本発明の一実施例の並列計算機の構成を示す概
念図。
【図3】本発明の一実施例の並列計算機のブロック図。
【図4】本発明の一実施例で用いる部分空間の切頭八面
体の斜視図。
【図5】本発明の一実施例の多面体分割部の処理例を示
すフローチャート。
【図6】本発明の一実施例の自セルの隣接セルリスト生
成の処理例を示すフローチャート。
【図7】本発明の一実施例のセル内のブロック分割の処
理例を示すフローチャート。
【図8】本発明の一実施例の各ブロックの隣接ブロック
リストの生成の処理例を示すフローチャート。
【図9】本発明の一実施例の粒子割り当て部の処理例を
示すフローチャート。
【図10】本発明の一実施例の境界領域データ転送部の
処理例を示すフローチャート。
【図11】本発明の一実施例のセル間移動粒子のデータ
転送の処理例を示すフローチャート。
【図12】本発明の一実施例の隣接セルと境界データを
交換する処理例を示すフローチャート。
【図13】本発明の一実施例のリスト生成の処理例を示
すフローチャート。
【図14】菱形十二面体の斜視図。
【符号の説明】
101…プロセッシングユニット(PU)、102…主
記憶装置、103…演算処理装置、104…通信処理装
置、105…PU間通信ネットワーク、201…初期値
設定部、202…多面体分割部、203…粒子割り当て
部、204…境界領域データ転送部、205…リスト生
成部、206…粒子間力計算部、207…時刻更新部、
208…物理量計算出力部、301…シミュレーション
の空間データ、302…多面体分割の部分空間データ、
303…粒子データ、304…隣接セルの粒子データ、
305…近傍粒子リスト、306…入力データ、307
…出力データ、308…通信処理部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のプロセッサを有する並列計算機を用
    いてn次元空間における多数の粒子の運動をシミュレー
    トする分子動力学計算装置において、計算領域を各プロ
    セッサが担当する空間領域に割り当てる際に、隣接する
    領域の数が3のn乗引く1よりも小さい数の局所的領域
    に空間分割する分割手段を持つことを特徴とする分子動
    力学法計算装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、シミュレーション空間
    を各プロセッサが担当する部分領域に分割する際に、直
    方体に内接する切頭八面体の形状に分割することを特徴
    とする分子動力学法計算装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、シミュレーション空間
    を各プロセッサが担当する部分領域に分割する際に、直
    方体に内接する菱形十二面体および面の数を変えずに変
    形した多面体の形状に分割することを特徴とする分子動
    力学法計算装置。
  4. 【請求項4】請求項1において、二次元空間においてシ
    ミュレーションを実施する場合、各プロセッサが担当す
    る部分領域を六角形に分割する多面体分割部(多角形分
    割部)を有することを特徴とする分子動力学法計算装
    置。
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