JP2019070896A - シミュレーション方法、シミュレーション装置、及びプログラム - Google Patents

シミュレーション方法、シミュレーション装置、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】例えば気体状態のように粒子密度が低く、かつ流動のある粒子系の解析においても、温度制御を行うことが可能なシミュレーション方法を提供する。【解決手段】解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする際に、粒子ごとに、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する粒子の重心速度を、局所領域の内側に存在する粒子の数に基づいて変換して局所領域の重心速度の変換値を算出する。粒子の速度と、当該粒子を含む局所領域の重心速度の変換値との差を、粒子系の温度を算出する基礎となる粒子の速度として用い、粒子系の温度を目標温度に維持する温度制御を行う。【選択図】図3

Description

本発明は、シミュレーション方法、シミュレーション装置、及びプログラムに関する。
分子動力学法に温度制御を取り入れてシミュレーションを行う方法が公知である(例えば、特許文献1)。例えば、分子動力学法によって算出された粒子の速度を、所望の設定温度、及び系の温度に基づいて更新する。
特開平10−334076号公報
分子運動論において、複数の分子からなる系の温度と、複数の分子の運動エネルギの平均値とが、ボルツマン定数によって関連付けられる。温度は慣性系に依存しないことから、流動のある系の解析を行う場合には、系の温度を算出するにあたり、各分子の速度から系の重心速度を除いた値に基づいて、分子の運動エネルギを算出する必要がある。
一般的に、ある粒子の位置における重心速度を求める場合、当該粒子の周辺(局所領域)の粒子群の平均速度から重心速度を求める。ところが、複数の粒子が気体状態になっている場合、粒子密度が低いため、1つの粒子の周辺に他の粒子が存在しなくなる。すなわち、局所領域内に、着目する1つの粒子しか存在しなくなる。この場合、着目する粒子の位置における重心速度が、その粒子の速度と等しくなる。粒子の速度と、その位置における重心速度との差がゼロになるため、算出される温度もゼロになってしまう。このため、適切な温度制御を行うことができない。
本発明の目的は、例えば気体状態のように粒子密度が低く、かつ流動のある粒子系の解析においても、温度制御を行うことが可能なシミュレーション方法、シミュレーション装置、及びプログラムを提供することである。
本発明の一観点によると、
解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする方法であって、
前記粒子ごとに、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度を、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数に基づいて変換して前記局所領域の重心速度の変換値を算出し、
前記粒子の速度と、当該粒子を含む前記局所領域の重心速度の変換値との差を、前記粒子系の温度を算出する基礎となる前記粒子の速度として用い、前記粒子系の温度を目標温度に維持する温度制御を行うシミュレーション方法が提供される。
本発明の他の観点によると、
解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする処理手段を有するシミュレーション装置であって、
前記処理手段は、
入力手段から、シミュレーションの初期条件、境界条件、及び前記粒子系の目標温度を取得する機能、
入力された前記初期条件、前記境界条件に基づいて、前記粒子系の挙動をシミュレーションする機能、
複数の前記粒子の各々について、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度を、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数に基づいて変換して前記局所領域の重心速度の変換値を算出し、前記粒子の速度と、当該粒子を含む前記局所領域の重心速度の変換値との差を、前記粒子系の温度を算出する基礎となる前記粒子の速度として、前記粒子系の温度が前記目標温度に維持されるように温度制御を行う機能、及び
シミュレーション結果を出力手段に出力する機能
を有するシミュレーション装置が提供される。
本発明のさらに他の観点によると、
解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、
与えられた初期条件、境界条件に基づいて、前記粒子系の挙動をシミュレーションする機能、及び
複数の前記粒子の各々について、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度を、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数に基づいて変換して前記局所領域の重心速度の変換値を算出し、前記粒子の速度と、当該粒子を含む前記局所領域の重心速度の変換値との差を、前記粒子系の温度を算出する基礎となる前記粒子の速度として、前記粒子系の温度が目標温度に維持されるように温度制御を行う機能
を有するプログラムが提供される。
例えば気体状態のように粒子密度が低く、かつ流動のある粒子系の解析においても、適切に温度制御を行うことが可能である。
図1Aは、粒子i、及びその周辺(粒子iの位置を中心とする局所領域S)に位置する複数の粒子jの速度を示す模式図であり、図1Bは、局所領域Sの内側に存在する粒子jの、重心速度Vg,iに対する相対速度v−Vg,iを示す模式図である。 図2Aは、気体状態のように粒子密度が低い状態の場合の粒子i、及び局所領域Sの模式図であり、図2Bは、局所領域Sの内側に存在する粒子iの、重心速度Vg,iに対する相対速度v−Vg,iを示す模式図である。 図3は、実施例によるシミュレーション方法のフローチャートである。 図4は、シミュレーション対象の粒子系の模式図である。 図5は、シミュレーションによって算出された粒子系の温度の時間変化を、比較例と比較して示すグラフである。 図6は、実施例によるシミュレーション装置のブロック図である。
実施例について説明する前に、図1A〜図2Bを参照して、分子動力学法のシミュレーション対象である複数の粒子からなる粒子系の一般的な温度の算出方法、及びその課題について説明する。
分子運動論において、分子の運動エネルギと温度との関係は、以下の式で表される。
ここで、Nは粒子数、mは粒子iの質量、vは粒子iの速度、Tは粒子系の温度、kはボルツマン定数である。分子動力学法では、目標とする温度の粒子系を実現するために、式(1)を用いて粒子系の温度Tを求めることが多い。
系の温度は慣性系に依存しないため、流動等の、重心が移動する粒子系の解析を行う場合には、粒子系の温度Tを求める際に、各粒子の速度から粒子系の重心速度を除いた値を用いる必要がある。
図1Aは、粒子i、及びその周辺(粒子iの位置を中心とする局所領域S)に位置する複数の粒子jの速度を示す模式図である。局所領域Sの内側に存在する粒子j(粒子iを含む)の個数をnで表し、粒子jの速度をvで表すと、局所領域Sの内側に存在する粒子jの重心速度(以下、局所領域Sの重心速度という。)Vg,iは、以下の式で計算することができる。
図1Bは、局所領域Sの内側に存在する粒子jの、重心速度Vg,iに対する相対速度v−Vg,iを示す模式図である。相対速度v−Vg,iの平均はゼロである。粒子系の温度Tは、以下の式に基づいて求めることができる。
式(3)は、粒子系の温度Tを求める際に、粒子iの速度として、粒子iの速度vから粒子iの位置を中心とする局所領域Sの重心速度Vg,iを差し引いた値を使用することを意味している。
図2Aは、気体状態のように粒子密度が低い状態の場合の粒子i、及び局所領域Sの模式図である。粒子密度が低いため、局所領域Sの内側に粒子i以外の粒子が存在しない。この時の局所領域Sの重心速度Vg,iは、粒子iの速度vに等しい。
図2Bは、局所領域Sの内側に存在する粒子iの、重心速度Vg,iに対する相対速度v−Vg,iを示す模式図である。相対速度v−Vg,iはゼロになる。このときの粒子系の温度Tを式(3)から求めると、温度Tがゼロになってしまう。局所領域Sの内側の粒子数nが1ではない場合でも、粒子数nが少ない場合には、温度Tが実際の温度より低く見積もられてしまう。このため、分子動力学法によるシミュレーションにおいて、適切な温度制御を行うことができない。
次に、図3〜図5を参照して、適切な温度制御を行うことが可能な実施例によるシミュレーション方法について説明する。
図3は、実施例によるシミュレーション方法のフローチャートである。まず、シミュレーションの初期条件、境界条件、及び目標温度を決定する(ステップS1)。初期条件には、粒子系の各粒子の位置及び速度が含まれる。境界条件として、例えば周期境界条件を適用する。シミュレーションにおいて、粒子系の温度Tが目標温度に近づくように温度制御される。
次に、粒子が従う運動方程式に基づいて動解析を行う(ステップS2)。粒子間の相互作用ポテンシャルとして、例えばレナードジョーンズポテンシャルを用いることができる。この動解析により、1タイムステップ経過後の粒子の位置及び速度が求まる。
次に、粒子系を構成する粒子ごとに、着目する粒子iを含む局所領域Sの重心速度Vg,iを、局所領域Sの内側に存在する粒子の数nに基づいて変換して局所領域Sの重心速度の変換値Wg,iを算出する(ステップS3)。例えば、重心速度の変換値Wg,iを以下の変換則に基づいて算出する。
式(4)の変換則を用いると、局所領域Sの内側に存在する粒子数nが少なくなるに従って、重心速度の変換値Wg,iがゼロに近づく。粒子数nが1のとき、重心速度の変換値Wg,iはゼロになる。粒子数nが大きくなると、重心速度の変換値Wg,iは重心速度Vg,iに近づく。粒子数nが無限大のとき、重心速度の変換値Wg,iは重心速度Vg,iに等しくなる。
次に、局所領域Sの重心速度の変換値Wg,iを用いて温度制御を行う(ステップS4)。粒子系の温度Tは、以下の式で算出される。
温度制御には、例えばランジュバン法を用いることができる。ランジュバン法においては、粒子にランダム力と散逸力とを与えて温度制御を行う。ランジュバン法については、J.M.テッセン著、「計算物理学」丸善出版(2003年)の204〜208頁に説明されている。
実行すべきタイムステップ数だけ、ステップS2からステップS4まで繰り返した後、シミュレーション結果を出力する(ステップS5)。実行すべきタイムステップ数は、予め設定されている。
実際に、水滴と水蒸気とが混在する粒子系についてシミュレーションを行った。
図4は、シミュレーション対象の粒子系の模式図である。立方体の解析領域10内に複数の粒子11が配置されている。解析領域10のほぼ中心に、粒子密度の高い領域が存在する。粒子密度の高い領域は、水滴12に対応する。水滴12の周囲の粒子密度の低い領域には、水蒸気状態の粒子11が存在する。解析領域10の前後、上下、左右の境界には、周期境界条件を適用した。粒子数を8000個とし、粒子系の目標温度を300Kとした。
粒子間の相互作用ポテンシャルU(r)として、下記のレナードジョーンズポテンシャルを用いた。
ここで、ε及びσはフィッティングパラメータである。本シミュレーションでは、ε及びσとして水分子を想定した値を用いた。具体的には、εを404.52Kとし、σを0.264nmとした。式(5)の質量mを18.02Daとした。抵抗係数は0.1τとした。ここで、τは以下の式で定義される。
局所領域Sとして、粒子が実質的に相互作用を及ぼす距離を半径とする球体を採用した。
図5は、シミュレーションによって算出された粒子系の温度Tの時間変化を、比較例と比較して示すグラフである。横軸は経過時間を単位「ps」で表し、縦軸は温度Tを単位「K」で表す。図5のグラフにおいて、実線は実施例による方法でシミュレーションした結果を示し、破線は比較例による方法でシミュレーションした結果を示す。比較例においては、重心速度Vg,iを変換することなく式(3)を用いて粒子系の温度Tを算出した。
比較例においては、目標温度を300Kとして粒子系の温度Tを目標温度に維持する温度制御を行っているにもかかわらず、温度Tが時間の経過とともに上昇し、目標温度から離れてしまうことが確認される。これは、図2A及び図2Bを参照して説明したように、粒子系の温度Tが実際の温度より低く見積もられてしまうためである。
本実施例によるシミュレーションを用いると、粒子系の温度Tがほぼ目標温度300Kに維持されていることがわかる。このように、実施例によるシミュレーションを用いることにより、適切な温度制御を行うことができる。
次に、上記実施例の変形例について説明する。上記実施例では、粒子系の温度Tを算出する基礎となる重心速度の変換値Wg,iとして式(4)を用いたが、その他の変換則により重心速度の変換値Wg,iを算出してもよい。例えば、局所領域Sの重心速度の変換値Wg,iが、局所領域Sの内側に存在する粒子の数nが増加するに従って単調に増加し、局所領域Sの重心速度Vg,iに近づくような変換則を用いるとよい。さらに、局所領域Sの内側に存在する粒子の数nが1のとき重心速度の変換値Wg,iが0になり、粒子の数nが増加するに従って局所領域Sの重心速度Vg,iに漸近するような変換則を用いるとよい。式(3)の変換則は、このような変換則の一例である。
上記実施例では、温度制御にランジュバン法を用いたが、他の方法を用いてもよい。例えば、粒子系の温度Tが目標温度に維持されるように粒子の速度をスケーリングしてもよい。その他に、物理的に厳密な熱浴を与える能勢フーバー法を用いてもよい。
上記実施例では、局所領域Sとして、粒子iが実質的に相互作用を及ぼす距離を半径とする球体を採用したが、その他の範囲を局所領域Sとして採用してもよい。例えば、ステップS2(図3)の動解析を行うときに、着目する粒子iと相互作用を及ぼす範囲として採用される範囲を局所領域Sとするとよい。なお、局所領域Sは、粒子iが実質的に他の粒子と相互作用を及ぼす範囲を含むようにするとよい。
分子動力学法をマクロスケールの系を扱えるように発展させた繰り込み群分子動力学法(RMD法)が提案されている。上記実施例によるシミュレーション方法は、繰り込み群分子動力学法を用いたシミュレーションにも適用可能である。繰り込み群分子動力学法は、分子動力学法の一形態を考えることができ、本明細書において「分子動力学法」は、「繰り込み群分子動力学法」を含む上位概念として用いられている。
次に、図6を参照して、実施例によるシミュレーション装置について説明する。実施例によるシミュレーション装置は、図3に示したシミュレーション方法をコンピュータに実行させるプログラムを含み、このプログラムを実行する。
図6は、実施例によるシミュレーション装置のブロック図である。このシミュレーション装置として、シミュレーションプログラムを実行するコンピュータを用いることができる。このコンピュータは、中央処理装置(CPU)20、メインメモリ21、補助記憶装置22、入力装置23、及び出力装置24を含む。補助記憶装置22は、シミュレーションプログラムが格納されている記録媒体を含む。この記録媒体は、補助記憶装置22に内蔵されたものでもよく、補助記憶装置22に対して着脱可能なリムーバブル媒体でもよい。このシミュレーションプログラムがメインメモリ21にロードされ、CPU20によって実行される。
入力装置23からシミュレーションに必要な情報が入力される。例えば、ステップS1(図3)で設定される種々の情報が入力される。CPU20は、入力装置23から入力された初期条件、境界条件、及び目標温度を取得する。さらに、CPU20は、シミュレーション結果を出力装置24に出力する。例えば、ステップS5(図3)において、粒子の挙動を可視化した画像、図5に示した粒子系の温度の時間変化を示すグラフ等を出力装置24に表示する。
上記実施例及び変形例は例示であり、実施例及び変形例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施例及び変形例の同様の構成による同様の作用効果については実施例及び変形例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例及び変形例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
10 解析領域
11 粒子
12 水滴
20 中央処理装置(CPU)
21 メインメモリ
22 補助記憶装置
23 入力装置
24 出力装置

Claims (9)

  1. 解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする方法であって、
    前記粒子ごとに、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度を、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数に基づいて変換して前記局所領域の重心速度の変換値を算出し、
    前記粒子の速度と、当該粒子を含む前記局所領域の重心速度の変換値との差を、前記粒子系の温度を算出する基礎となる前記粒子の速度として用い、前記粒子系の温度を目標温度に維持する温度制御を行うシミュレーション方法。
  2. 前記局所領域の重心速度の変換値は、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数が増加するに従って単調に増加し、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度に近づく請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数が1のとき前記局所領域の重心速度の変換値が0であり、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数が増加するに従って前記局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度に漸近する請求項1または2に記載のシミュレーション方法。
  4. 複数の前記粒子のうち着目する粒子iを前記局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度をVg,iで表し、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数をnで表したとき、重心速度の変換値Wg,iを、
    g,i=(1−(1/n ))Vg,i
    と定義する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシミュレーション方法。
  5. 解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする処理手段を有するシミュレーション装置であって、
    前記処理手段は、
    入力手段から、シミュレーションの初期条件、境界条件、及び前記粒子系の目標温度を取得する機能、
    入力された前記初期条件、前記境界条件に基づいて、前記粒子系の挙動をシミュレーションする機能、
    複数の前記粒子の各々について、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度を、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数に基づいて変換して前記局所領域の重心速度の変換値を算出し、前記粒子の速度と、当該粒子を含む前記局所領域の重心速度の変換値との差を、前記粒子系の温度を算出する基礎となる前記粒子の速度として、前記粒子系の温度が前記目標温度に維持されるように温度制御を行う機能、及び
    シミュレーション結果を出力手段に出力する機能
    を有するシミュレーション装置。
  6. 前記局所領域の重心速度の変換値は、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数が増加するに従って単調に増加し、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度に近づく請求項5に記載のシミュレーション装置。
  7. 前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数が1のとき前記局所領域の重心速度の変換値が0であり、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数が増加するに従って前記局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度に漸近する請求項5または6に記載のシミュレーション装置。
  8. 複数の前記粒子のうち着目する粒子iを前記局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度をVg,iで表し、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数をnで表したとき、重心速度の変換値Wg,iを、
    g,i=(1−(1/n ))Vg,i
    と定義する請求項5乃至7のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
  9. 解析領域に複数の粒子を配置して、複数の前記粒子からなる粒子系の挙動を、分子動力学法を用いてシミュレーションする機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、
    与えられた初期条件、境界条件に基づいて、前記粒子系の挙動をシミュレーションする機能、及び
    複数の前記粒子の各々について、着目する粒子を含む局所領域の内側に存在する前記粒子の重心速度を、前記局所領域の内側に存在する前記粒子の数に基づいて変換して前記局所領域の重心速度の変換値を算出し、前記粒子の速度と、当該粒子を含む前記局所領域の重心速度の変換値との差を、前記粒子系の温度を算出する基礎となる前記粒子の速度として、前記粒子系の温度が目標温度に維持されるように温度制御を行う機能
    を有するプログラム。
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