JP2006285926A - 工学的な粒子計算の方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子法による粒子計算においては固体のマクロ材料が定量的に計算できない状態にあり、分子動力学においてもマクロ材料の定量的計算に至っていない。また、マクロスケールの工学的問題に必須の部品などのモデルを粒子に置き換えて運動学的に制御する手段として、物理現象の解析に用いられるポテンシャルエネルギー関数と同一の意味と同一の取扱いが可能なポテンシャルエネルギー関数は提案されていない。
【解決手段】 一次微分するとマクロ材料の荷重〜変位関係となるポテンシャルエネルギー関数を定義する方法と粒子間相互作用の計算方法に関する考案を施し、同時にマクロ材料の運動学的な制御の起動力となる荷重〜変位関係を意味するポテンシャルエネルギー関数の定義と計算の方法および装置を発明した。
【選択図】 図3

Description

本発明は、マクロスケールの工学的な問題を扱うために、粒子間に荷重〜変位関係に相当するポテンシャルエネルギー関数を与えて、物理現象および運動学的な制御を粒子計算する方法および装置に関する。
粒子法と呼ばれる粒子計算では、格子を用いないで微分方程式を離散化するため、ある範囲に及ぶ重み関数を用いて粒子間の相互作用をモデル化しており、例えば、粒子間距離の2〜4倍の位置でゼロとなるように設定されている(例えば、最も新しく出版された非特許文献1、図1参照)。また、弾性体を扱う際の破壊は、この粒子間距離がある値を超えたときに相互作用しなくなるような範囲として重み関数の及ぶ範囲より狭く設定され(非特許文献2、図2参照)、液体粒子とともに弾性体の粒子としての挙動が計算されているが、客観的な定量評価が行われているのは液体粒子の計算事例のみであり、固体である弾性体の計算事例は定性的な結果に留まっている(非特許文献3参照)。
一方、分子動力学では、粒子間に作用する二体ポテンシャル(ポテンシャルエネルギー関数:以下、PEFという)を定義し、PEFの影響下にある原子・分子の相互作用を客観的に定量評価している。ただし、分子動力学においても粒子計算と同様に、ある広い範囲に近接する原子・分子を数にかかわらず相互作用計算の対象としており(一般的には原子の直径の2.5〜5.5倍:例えば、非特許文献4によれば原子の直径の3.5倍としている)、また、固体材料評価への応用では、「原子の中心力のみの相互作用しか表しえない二体間ポテンシャルでは固体材料評価のための一般的な弾性体の特性を再現できない」という理論的な検討結果が示されており、原子の配置に依存した効果を含む非中心力型のPEFを採用する必要があると指摘している(非特許文献5参照)。
連続体を解析する有限要素法などの手法ではマクロ材料の破壊や破壊以後の運動を計算することができないため、マクロスケールの工学的問題を解決するためには、粒子計算または分子動力学によって破壊および破壊以降を含む固体の力学的挙動を計算しなければならないが、マクロ材料の示す荷重〜変位関係は、非特許文献2の粒子計算で用いられている破壊の判断基準のように単純ではなく、非線形の変形過程および破壊を示し、しかも延性材料と脆性材料とで相当に異なる荷重〜変位関係を示す(例えば、非特許文献6参照)。
一方、マクロスケールの工学的問題では、PEFを定性的に用いることで仮想の引力を遠方に及ぼし、仮想空間で移動オブジェクトを誘導した事例(例えば、非特許文献7)、PEFを定性的に用いることで仮想の斥力を周囲に及ぼし、人体モデルの近傍での衝突を回避した事例(例えば、非特許文献8)など、PEFを何らかのモデルや粒子の運動学的な制御に利用しようとする事例があり、物理的な現象解析とともに、マクロスケールの工学的問題における設計上のもう一つの重要な機能を担おうとしている。
越塚誠一、粒子法、計算力学レクチャーシリーズ5、丸善、2005、p.10 前記非特許文献1、p.62 前記非特許文献1、p.79、p.87、p.90、p.98、p.101 木村達人・丸山茂夫、固体面上の凝縮核生成の分子動力学シミュレーション、Therm.Sci.Enq.,(2000)、8巻、5号、pp。7−13 日本機械学会編、原子・分子モデルを用いる数値シミュレーション、コンピュータアナリシスシリーズ7、コロナ社、2001、pp.21−29、pp.155−156 Y.C.ファン著、大橋義夫・村上澄男・神谷紀生共訳、連続体の力学入門、改訂版、培風館、1983、p.212 日本学術振興会、未来開拓学術研究推進事業公開シンポジウム、シンセシスの科学、講演予稿集、3.8、ポテンシャル・フィールドに基づく自己組織化手法、2001.3 高柳英明・佐野友紀・渡辺仁史、歩行領域モデルを用いた群集交差流動における集団化現象の解析、日本建築学会計画系論文集、第549号、2001.11
技術が解決しようとする課題
粒子計算事例で客観的な定量評価が行われているのは、例えば、非特許文献3に示されているように液体を粒子に置き換えた事例のみである。液体が定量的に扱える一方で、弾性体、弾塑性体などの固体のマクロ材料が定量的に扱えないことから、液体粒子と同じ重み関数を用いることに何らかの限界もしくは問題があるものと推察される。
重み関数の問題は、重み関数の範囲に入る限り粒子が幾つでも計算対象となる点にあると思われる。実際、非特許文献1では、重み関数の範囲に入る粒子の数を、「2次元では12〜44個程度」、「3次元化すると近傍粒子の数はさらに増え」ると書いている(非特許文献1、p.10)。
本来、粒子計算に限らず、マクロ材料の荷重〜変位関係は、それを表現し得る最小限のモデルにおいても成立しなければならない。例えば、粒子計算の場合、一組の対粒子でもマクロ材料の荷重〜変位関係が説明できなければならない。これは、マクロ材料を粒子に置き換えて計算しようとしているからである。もしそうでないとすれば、その粒子計算は連続体の計算と同様に粒子をマクロ材料の最小の単位とは考えておらず、連続体の一部を多数の粒子で表現しようとするものであって、粒子間のマクロな荷重〜変位関係を表現することは不可能である。重み関数が一対の粒子(以下、対粒子という)間の相互作用に留まらず、複数の粒子との相互作用を必要とすることは、粒子計算に反しているとしなければならない。
また、非特許文献1によれば、「破壊は、粒子間距離が変化してある値を越えたら粒子間で相互作用しないようにすることでモデル化して」おり、「重み関数の値を使いつづけ」ているために、「破壊モデルとしてεmaxを与えなければ、どのように大変形しても初期の形状にもどろうとする」と書いて、図2に略記した「破壊の計算モデル」を示している(非特許文献1、pp.62〜63)。これは、重み関数の及ぶ範囲が広くないと主要な課題であった微分方程式の離散化ができないのに対して、これを弾性体に適用して粒子間の相互作用の消失すなわち破壊を計算しようとすると、破壊が重み関数の及ぶ範囲より狭い範囲で生じてしまうという矛盾があることを示している。
以上により、粒子計算においては、重み関数に代わる扱い方を考案し、マクロ材料の荷重〜変位関係を反映できるようにする必要がある。また、分子動力学においては、一般的な弾性体の特性が再現できるようにするために、非特許文献4が指摘するように、粒子の配置に依存した効果を含む非中心力型のPEFを採用する必要がある。さらに、分子動力学においてもマクロ材料の荷重〜変位関係を反映できるようにする必要がある。
一方、マクロスケールの工学的な問題には、部品や人体、機械やロボットなどのモデルの組立てや分解、配置、これらの変更や修正など、粒子に置き換えられたモデルの誘導、離反、衝突、衝突回避など、運動学的な制御を計算するモデルが必要である。設計行為は、製品やシステムの物理的な配置とその配置が示す機能をデザイン、性能、品質、経済性、少資源・少廃棄物、寿命、再生性、芸術性、ヒーリング効果など様々な要素で評価する行為であり、(1)配置された粒子間の物理的挙動の計算、(2)物理的挙動に応じた粒子の静的または動的な再配置、(3)以上の組合せを繰り返し行うことが必要である。そのためには、粒子の運動学的な制御と物理的挙動の計算を同一の作法のもとで簡便に取り扱う必要がある。
ところがこれまで、定性的なPEFを用いてモデルを運動させ、あるいは衝突回避する事例はあるが、PEFの定義および使い方に統一性がなく、部品モデルの物理現象の計算と部品モデルの運動学的な制御が同時に行われることはなかった。このため、例えば、宇宙ロケットの故障連鎖解析のような、材料の破壊を含む力学的挙動とそれに伴う運動、その運動に伴う新たな力学的挙動といった入り組んだ連鎖的に生じる現象が統一された取り扱い方により同時に計算された事例はない。
以上の議論から、マクロスケールの工学的な問題を粒子法によって定量的に計算するには、粒子で置き換える対象を液体だけでなく固体・気体、殊に固体に拡張する必要があること、マクロ材料の多くを占める固体の変形および破壊過程が実験や材料試験によって得られており、これらの多くの知見を直接利用できる形で粒子の持つ固有のPEFに置き換えることができれば、マクロスケールの工学的な問題の多くが定量的に計算可能となることが判る。本発明は、マクロスケールの工学的問題を粒子に置き換えたときの固体粒子の定量的な力学的挙動および運動学的な制御をPEFで定義し、おのおの独立した荷重〜変位関係に変換して扱うという統一された作法により、また、PEFの書換えもしくはパラメータ変更によりマクロ材料としての固体・液体・気体粒子に適用し、マクロスケールの工学的な粒子計算を可能とする方法および装置を課題と設定する。
課題を解決するための手段
粒子の弾性に相当する斥力域に連続して、任意の異方性を有し、一次微分するとマクロ材料の破壊を含む荷重〜変位関係に近似できる二階微分可能なポテンシャルエネルギー関数(以下、PEFという)を定義し、粒子に固有の工学的なマクロスケールのPEFとして粒子に割り当て、マクロ材料の材料特性を計算すること(請求項1)。
一次微分すると任意の荷重〜変位関係となる任意の異方性を有するPEFを定義し、粒子に固有の工学的なマクロスケールのPEFとして粒子に割り当て、粒子の離間、離反、接近およびこれらの方向性の拘束を含む組合せのもとで、粒子の運動学的な制御を計算すること(請求項2)。
前記請求項1および請求項2に記載のPEFの性質を決定するパラメータを粒子の属性に記録し、必要に応じて操作を加えて計算すること(請求項3)。
前記請求項1、請求項2および請求項3に記載のPEFを、粒子上に多重かつ独立に与え、あるいは粒子を特定して与え、以上のPEFから生じる力を運動方程式の荷重項に追加して解くことにより、粒子間の工学的なマクロスケールの力学的関係および運動学的操作の双方を各々不可分のものまたは独立して計算すること(請求項4)。
前記請求項1、請求項2、請求項3および請求項4に記載の計算を行うプログラムおよびその記憶媒体および計算装置(請求項5)。
発明の効果
粒子近傍の斥力領域を粒子固有のマクロスコピックな弾性領域と考えることにより、粒子との衝突時に弾性バネが考慮でき、粒子に変形性を導入することができる。
粒子に変形性を導入することにより、相変化による固体・液体・気体粒子への拡張が可能となる。
PEFのパラメータを相変化に応じて変換すると、相変化を含むマクロスケールの工学的計算が可能となる。
粒子と力学的に結合する位置が安定域の中心となるようにPEFのパラメータを調整することにより、任意の大きさを持つ粒子間の力学的結合ができる。
粒子近傍の斥力領域に連続して荷重〜変位関係を定義することにより、マクロ材料の荷重〜変位関係を粒子間の結合関係として与えることができ、粒子間の衝突と反発または結合、および結合後の破壊を含む連続的な力学挙動が計算できる。
マクロ材料の荷重〜変位関係を一対の粒子間でのみ定義することにより、粒子間の引張抵抗や圧縮抵抗だけでなく、粒子の配列に応じて、せん断抵抗、ポアソン比に相当する特性を間接的に表現することができる。
マクロ材料の力学的関係を示すPEFを粒子に与え、予め用意された任意形状の内部に粒子を運動させて詰め込んで結合可能な粒子をPEFで結合させると、工学的なマクロスケールの力学的関係を供えた粒子群を得ることができる。
単一のPEFだけで粒子間を結合するため、力学的挙動は粒子の配置とPEFだけの関数となり、マクロ材料の力学特性が同定し易くなる。
PEFに異方性または結合角を与えることにより、特定の方向のみに粒子を結合可能とすることができ、結合可能な任意の配置に粒子を置くことができる。
急峻な斥力から単調減少または単調増加するPEF、急峻な不安定域を持つPEF、深い安定域を持つPEF、あるいはこれらの組合せにより、粒子や粒子が結合した粒子群を運動学的に制御することができる。
以上のPEFを扱う同一作法により、形状の粒子化、物理現象の計算、運動学的操作が定義できる。
以下、本発明の最良の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
図3は、本発明のうち、マクロ材料の荷重〜変位関係を示すPEFの一例である。
図4は、本発明のうち、マクロ材料を運動学的に制御する荷重〜変位関係を示すPEFである。
図3に示すように、マクロ材料を示す粒子の破壊ひずみが高々数10%以下であることを考えて最大100%の変形過程を経て破壊に達するPEFを与えれば、粒径の数倍もの範囲にPEFを及ぼす代わりに、PEFの及ぶ範囲は粒子の直径の高々2倍あればよく、このPEFであれば、粒子のごく近傍に存在している粒子のみを対象として相互作用を計算すれば済むことになる。
このPEFの粒子近傍の強い斥力領域を着目粒子の弾性バネとすると、粒子が接触したのちの粒子そのものの弾性変形を計算することができる。
さらに、この斥力領域に連続して粒子を結合するエネルギー最小の位置(以下、安定域という)を考えると、安定域の中心では粒子間に斥力も引力も作用せず、この位置で結合粒子は無応力状態となる。
安定域の中心から結合粒子が離れると、PEFの一次微分である荷重〜変位関係(無次元化すると応力〜ひずみ関係)に応じて、弾性域から塑性域を経て破壊に至る。
破壊後はエネルギーがゼロとなるため、いったん破壊してPEFの及ばない距離に達した粒子は結合を完全に離れ、孤立粒子として運動することになる。
孤立した粒子は、PEFの破壊点にあるエネルギー障壁により、相変化によってPEFそのものが変換されて結合可能な条件となるまで、再び結合することができない。
孤立粒子が接近して衝突しようとすると、PEFの持つ非線形バネ〜距離関係から得られるバネのエネルギーと運動エネルギーのつり合いに応じた衝突が計算される。
PEFの塑性域がエネルギーゼロに漸近して破壊点となっており、同様のPEFを持つ孤立粒子または他の粒子と結合している粒子が接近した場合、双方の粒子はエネルギー障壁なしに塑性域を経て安定域で振動し、結合することができる。
このようなPEFで粒子間を結合すると、PEFの持つ安定域または引力領域が許す範囲で粒子は任意の配置を成し、ある方向に荷重を加えたときにその方向以外の抵抗の成分が生じて、結果として、非特許文献4が指摘するような、「粒子の配置に依存した効果を含む非中心力型のポテンシャル」を持つことになる。
これは、最初に「中心力型のポテンシャル」を規定して周囲の粒子に等方的な影響を及ぼすのではなく、その代わりに、結合粒子間にのみマクロ材料の荷重〜変位関係と等価なPEFを最初に与え、そのような結合粒子をPEFが許す範囲で任意に配置することを意味する。
この方法でPEFを定義すると、粒子計算で課題となっていた重み関数を使う必要がなく、破壊のモデルとしてマクロ材料の荷重〜変位関係が示す破壊をそのまま計算することができ、かつ、分子動力学のいう指摘を満たして固体材料評価の可能性を与えることができる。
この方法でPEFを定義すると、一対の粒子間でのみ荷重〜変位関係を定義することができ、これにより、粒子間の引張や圧縮抵抗だけでなく、粒子の配列に応じて、荷重が作用する方向に対して角度を持つ粒子間結合が抵抗することによって生じるせん断抵抗、ポアソン比に相当する特性を間接的に表現することができる。
この方法でPEFを定義すると、結合可能な粒子間距離を粒子配置に先駆けて任意に定めることができるため、三つの粒子間に結合角を取り入れると粒子配置に異方性を簡単に持ち込むことができる。
以上により、マクロ材料の荷重〜変位関係や応力〜ひずみ関係、非線形バネ〜距離関係と等価なPEFが先験的に定義でき、粒子の結合や弾性変形、塑性変形、破壊、運動や衝突、PEFを相変化の条件に応じて変更するによる固体・液体・気体粒子への変換など、粒子間の相互作用を異方性を含めて簡便に取り扱うことができ、マクロスケールの工学的な問題の多くが定量的に計算可能となる。
次に、図4に示すように、マクロ材料の運動学的な制御を任意に行うための荷重〜変位関係として、斥力による離反、引力による誘導、不安定域によるエネルギー障壁、安定域による距離の維持などを実現するPEFを定義し、これらを単独または任意に組み合わせて特定の粒子間にのみ与えることにより、特定の粒子間にのみ、距離に無関係に、あるいは必要な範囲で他の粒子と区別して運動学的な制御のための荷重を与えることができる。
これにより、特定の粒子を特定の粒子に接近するよう粒子の運動方程式の荷重項に仮想の力を加えることができ、その粒子は起動力を受けてそのように運動することになる。
同様に、特定の粒子を特定の粒子から離反させるように運動学的な制御を加える場合や、一定の距離以内に特定の粒子を侵入させない性質を与えたり、一定の距離に特定の粒子を留めたり、これらを任意に組み合わせて特定の粒子に任意の運動学的な制御を与えて運動させることが可能となる。
これにより、任意の特定の粒子や結合粒子に運動学的な制御を与えて運動させ、その状態で運動以外の任意の力学的挙動、熱輻射・熱伝達・熱伝導などの物理現象を計算させることが可能となる。
運動学的な制御と物理現象の計算は同時に行うことも独立して行うこともできる。これにより、例えば、宇宙ロケットの故障連鎖解析を、特定の部品の故障を想定して、それが運動学的に、あるいは運動以外の物理現象としてどのように進展、波及するかを詳細に調べる道が拓ける。
図3のrは粒子の半径、2rは結合粒子がPEFの安定域にある状態、4rは結合粒子が高々直径程度の範囲まで変位した状態を示しており、例えば、4rのとき、粒子は100%の変位をしたことになる。
このようなPEFを用いると、着目粒子と結合粒子との間に他の粒子が入り込む可能性が少なく、一対の粒子の間でのみ荷重〜変位関係を定義することができる。
結合粒子が変位してPEFの終端に達するとPEFがこの位置で消失し、破壊点となる。
また、図3のような破壊点を持つとき、PEFはこの位置で外部から接近する孤立粒子に対してエネルギー障壁となって、孤立粒子は再結合できない。
PEFが破壊点でエネルギーゼロに漸近すれば、この破壊点は孤立粒子に対してエネルギー障壁とならず、再結合が可能となる。PEFを相変化に応じて変更してエネルギー障壁のない破壊点を与えるか、あるいは孤立粒子の運動エネルギーがエネルギー障壁を越えると再結合可能となる。
なお、図3の縦軸を粒子間距離で一次微分すると荷重〜変位関係となり、安定域から着目粒子の近傍に至る区間は着目粒子自身の変形抵抗を示す。
粒子はこの荷重〜変位関係を辿って粒子間距離を変えるが、粒子が結合して粒子群となっているとき、一部が荷重〜変位関係の塑性域に入り、大部分は弾性域に留まる場合がある。この状態で除荷すると各々の一対の粒子は各々の荷重〜変位関係を辿って粒子間距離を縮めるが、これらをマクロに観察すると、全体として塑性域にあった状態から、あたかも弾性域を辿るような角度で荷重〜変位関係からはずれて見えるはずである。これは弾性域に留まっていた粒子が自らの荷重〜変位関係を辿って粒子間距離を縮めることによって生じるマクロな観察者にのみ見える現象である。一般にマクロ材料を試験するときは全体を平均化した挙動しか観察されないが、微視的に見れば粒子間の力学的挙動は個々に生じており、マクロに観察された荷重〜変位関係のみに着目する必要はない。
以上により、本発明によれば、マクロスケールの工学的な問題を扱うために、粒子間に荷重〜変位関係に相当するポテンシャルエネルギー関数を与えて、物理現象を粒子計算する方法および装置を得る。
図4の4aは強い斥力領域を経て単調減少する斥力領域を示している。このPEFを与えられた粒子は特定の粒子に対して斥力を与え、その粒子は離反する力を運動方程式の荷重項に加えて遠ざかるように運動しようとする。
4bは強い斥力領域を経て単調増加する引力領域を示す。このPEFを与えられた粒子は特定の粒子に引力を及ぼし、その粒子は誘導され、接近しようとする。
4cは任意の距離に不安定域を持ち、これより外部から接近しようとする特定の粒子に対してエネルギー障壁を与え、これを越えるエネルギー状態でない限り、このエネルギー障壁を越えることはできない。このエネルギー障壁に衝突する特定の粒子は、その運動エネルギーをこのPEFが持つ非線形バネ〜距離関係によってバネのエネルギーとして消費し、残余の運動エネルギーがあればさらにPEFを発している粒子を運動方向に押しながら運動しようとし、バネのエネルギーの反作用を受けて反発もしくは減速する。
4dは任意の位置に安定域を持ち、特定の粒子をこの安定域に留めようとする力を及ぼす。安定域の距離などをパラメータとして粒子の属性に記録し、操作すれば、粒子または設計者による操作を受けて、維持している距離を変更したり圧縮したりすることが可能となる。
以上により、本発明によれば、マクロスケールの工学的な問題を扱うために、粒子間に荷重〜変位関係に相当するポテンシャルエネルギー関数を与えて、運動学的な制御を粒子計算する方法および装置を得る。
非特許文献1に示されている粒子間相互作用の範囲を示した図である。 非特許文献1に示されている破壊の計算モデルを示した図である。 マクロ材料の荷重〜変位関係を示すPEFと一次微分を示した図である。 マクロ材料を運動学的に制御する荷重〜変位関係を示すPEFを示した図である。
符号の説明
図1
1a:粒子
1b:粒子の運動ベクトル
1c:粒子間の相互作用が計算される範囲
1d:着目粒子
図2
εmax:非特許文献2が示している粒子計算における破壊の計算モデル。
図3
:粒子の半径
2r:結合粒子が安定域にある位置。
4r:結合粒子が100%の変位をしたときの位置。
図4
4a:強い斥力領域を経て単調減少する斥力領域
4b:強い斥力領域を経て単調増加する引力領域
4c:任意の距離にある不安定域
4d:任意の位置にある安定域。

Claims (5)

  1. 粒子の弾性に相当する斥力域に連続して、任意の異方性をし、一次微分するとマクロ材料の破壊を含む荷重〜変位関係に近似できる二階微分可能なポテンシャルエネルギー関数(以下、PEFという)を定義し、粒子に固有の工学的なマクロスケールのPEFとして粒子に割り当て、マクロ材料の材料特性を計算すること。
  2. 一次微分すると任意の荷重〜変位関係となる任意の異方性を有するPEFを定義し、粒子に固有の工学的なマクロスケールのPEFとして粒子に割り当て、粒子の離間、離反、接近およびこれらの方向性の拘束を含む組合せのもとで、粒子の運動学的な制御を計算すること。
  3. 前記請求項1および請求項2に記載のPEFの性質を決定するパラメータを粒子の属性に記録し、必要に応じて操作を加えて計算すること。
  4. 前記請求項1、請求項2および請求項3に記載のPEFを、粒子上に多重かつ独立に与え、あるいは粒子を特定して与え、以上のPEFから生じる力を運動方程式の荷重項に追加して解くことにより、粒子間の工学的なマクロスケールの力学的関係および運動学的操作の双方を各々不可分のものまたは独立して計算すること。
  5. 前記請求項1、請求項2、請求項3および請求項4に記載の計算を行うプログラムおよびその記憶媒体および計算装置。
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