JP2012162525A - ポリアミド合成のための主鎖が線状の第1級ジアミンの製造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主鎖が線状の第1級ジアミンの製造方法であって、相応するジオールから、均一系のルテニウム触媒の存在で、液相又は超臨界相中でアンモニア及び/又はアンモニアを放出する化合物又はそれらの混合物と反応させることによる、主鎖が線状の第1級ジアミンの製造方法
【選択図】なし
Description
気相中でのこの反応は、容易に蒸発可能な低級アルコール及びジオールについて問題となる。この反応は不均一系触媒でNH3及びH2の存在で実施される。この場合に必要な400℃までの高い温度及び300barまでの圧力は、頻繁に、不所望な中間生成物、副生成物及び分解生成物、例えば第2級及び第3級アミン、アルケン及びアルカン(脱水/水素化による)、環状化合物、並びにジオールの場合にはアミノアルコールの形成も生じさせる。液相中でも不均一系触媒での直接的なアミノ化が実施され、多くの場合に、従来のデータに基づく気相と液相との区別は困難である。不均一系触媒を用いた反応の実施のための例は、次に記載する特許文献及び文献引用箇所である。
第1級及び第2級アルコールについての液相中での均一系触媒による直接的なアミノ化のために、学術的に及び特許文献に極めて僅かな例が公知であるだけである。この場合、ルテニウム触媒の使用が、「水素の借用(borrowing hydrogen)」(Williams et al.著 Adv. Synth. Catal. 2007, 349, 1555-1575)のコンセプトを可能にする、つまり、水素を個別に供給する必要がない、それというのも第1の反応段階でのアルコールの脱水素の際に、差しあたり遊離したH2同等物が触媒に「留まり」、このサイクルの後の段階で再び組み入れられるためである。Milstein及び協力者(Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 8661-8664)は、液相中で、過剰のアンモニア及びルテニウム−PNP−ピンサー型錯体のカルボニルクロロ[4,5−ビス(ジ−イソ−プロピルホスフィノメチル)アクリジン]−ヒドリドルテニウム(II)の存在での1価の官能化されたアルコールの選択的反応について報告していた。この第1級アミンの達成された収率は78〜96%であった。この反応は、溶剤中で7.5barで、135〜180℃で12〜36時間にわたり行われた。多価アルコールはアミノ化されず、同様に第2級も少なかった。更にWO 2010018570には、比較可能な結果を有するキノリニル系のPNPピンサー型配位子の使用も記載されている。DE 102010040560は、カルボニルクロロ[4,5−ビス(ジ−イソ−プロピルホスフィノメチル)アクリジン]ヒドリドルテニウム(II)を用いて専ら第2級モノアルコールをアミノ化することを記載している。Beller及び協力者(Angew. Chem. 2010, 122, 8303)並びにVogt及び協力者(Angew. Chem. 2010, 122, 8307)は、同時に、Ru前駆体化合物又はP(III)前駆体化合物のドデカカルボニル三ルテニウム(0)及び2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール(cataCXium(登録商標)PCy)からin situで製造される触媒を用いて、93%までの収率で、第2級アルカノールから第1級アミンを製造することを記載している。この場合でも、出発材料としてジオールは使用されていない。
直鎖の、両末端のジオールのグループのアンモニアとの例示的な反応(n=2〜29、Kat=Ru触媒)に関して、主鎖が線状のジオールを、相応する第1級ジアミンにする反応のための一般的な図式。
I. 反応容器に、主鎖が線状の1種以上のジオールを、a)流体相として、適当な溶剤又は溶剤混合物中に溶解させるか又は懸濁させることにより、又はb)流体相として、上記1種以上のジオールを溶融させることにより、又はc)固相として上記1種以上のジオールを乾式で装入することにより、又はd)これらの組合せにより、場合により上記の手法a)〜d)のいずれか1つに関してルテニウム触媒又は前記ルテニウム触媒の前駆化合物を混入して、装入する段階、
II. 段階I.で既に行われていない場合に、ルテニウム触媒又は前記ルテニウム触媒の前駆体化合物を添加し、並びにアンモニア及び/又はアンモニアを放出する化合物又はこれらの混合物を添加する段階、
III. 必要な反応条件を調節しかつ反応を実施する段階、
IV. 場合により、生成された1種又は数種のジアミンを単離及び精製する段階。
1,19−ノナデカンジオールの反応
1,19−ノナデカンジオール3.01g(10.0mmol)及びカルボニルクロロ−[4,5−ビス(ジ−イソ−プロピルホスフィノメチル)アクリジン]ヒドリドルテニウム(II)151mg(0.25mol%)を、保護ガス下で2−メチル−2−ブタノール25ml中に溶かし、撹拌機、ヒーター及び温度測定器を備えたオートクレーブ中に導入する。引き続き、液状アンモニア6mlをスピンドルプレスによって上記オートクレーブに供給する。このオートクレーブを閉鎖し、内容物を140℃で48時間撹拌する。この内圧は、この場合に22から40barに上昇する。冷却後に、この反応器内容物をケイソウ土で濾過し、濾液を乾燥するまで濃縮し、残留物を球管式蒸留(Kugelrohrdestillation)にかける。線状の第1級ジアミンの収量:2.02g(理論値の68%;Kp0.8mbar 170〜185℃)、線状のジオールの転化率:>99%。
1,12−ドデカンジオールの反応
反応及び後処理は、実施例1と同様の条件下で、1,12−ドデカンジオール10.0mmolを用いて行った。線状の第1級ジアミンの収量:1.36g(理論値の68%;Kp0.8mbar 115〜125℃)、線状のジオールの転化率:>99%。
1,8−オクタンジオールの反応
この反応は、実施例1と同じ条件下で、1,8−オクタンジオール10.0mmolを用いて行った。収率及び転化率は、ガスクロマトグラフィーによって市販の比較化合物を用いて測定した。線状の第1級ジアミンの収率:78%、線状のジオールの転化率:>99%。
1,6−ヘキサンジオールの反応
この反応は、実施例1と同じ条件下で、1,6−ヘキサンジオール10.0mmolを用いて行った。収率及び転化率は、ガスクロマトグラフィーによって市販の比較化合物を用いて測定した。線状の第1級ジアミンの収率:55%、線状のジオールの転化率:>99%。
1,8−オクタンジオールの反応
1,8−オクタンジオール10.0mmol、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル1H−ピロール(cataCXium(登録商標)PCy)12mol%及びRu3(CO)12 4mol%の混合物を、保護ガス下で、2−メチル−2−ブタノール25mlに溶かし、撹拌機、ヒーター及び温度測定器を備えたオートクレーブ中に導入した。引き続き、液状アンモニア6mlをスピンドルプレスによって上記オートクレーブに供給する。このオートクレーブを閉鎖し、内容物を170℃で48時間撹拌する。この内圧は、この場合に22から40barに上昇する。冷却後に、この反応器内容物をケイソウ土で濾過する。収率及び転化率は、ガスクロマトグラフィーによって市販の比較化合物を用いて測定する。線状の第1級ジアミンの収率:17%、線状のジオールの転化率:96%。
Claims (15)
- 主鎖が線状の第1級ジアミンの製造方法であって、相応するジオールから、均一系のルテニウム触媒の存在で、液相又は超臨界相中で、アンモニア及び/又はアンモニアを放出する化合物又はそれらの混合物と反応させることによる、主鎖が線状の第1級ジアミンの製造方法。
- 主鎖が線状の、C4〜C31の炭素数を有する1種以上のジオールを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
- ルテニウム触媒として、少なくとも1種のP(III)基を有するルテニウム配位子錯体を使用することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
- 塩化ルテニウム(III)、酢酸ルテニウム(III)、ルテニウム(III)アセチルアセトナート、ドデカカルボニル三ルテニウム(0)、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスファン)ルテニウム(II)又はジ−μ−クロロビス[クロロ−(p−シメン)ルテニウム(II)]を有するグループから選択される、使用されるべきルテニウム触媒のRu前駆体化合物を、前記触媒の可能な予備成形又は前記触媒のin situでの製造のために使用することを特徴とする、請求項3記載の方法。
- 三座のピンサー型配位子を有するルテニウム触媒、又は単座又は二座のホスファンを有するルテニウム触媒を使用することを特徴とする、請求項3記載の方法。
- 三座のピンサー型配位子を有するルテニウム触媒として、カルボニルクロロ−[4,5−ビス(ジ−イソ−プロピルホスフィノメチル)アクリジン]ヒドリドルテニウム(II)を使用することを特徴とする、請求項5記載の方法。
- ルテニウム触媒として、ドデカカルボニル三ルテニウム(0)とホスファンの2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1−フェニル−1H−ピロール(cataCXium(登録商標)PCy)とからin situで製造された錯体を使用することを特徴とする、請求項5記載の方法。
- 次の方法段階
I. 反応容器に、主鎖が線状の1種以上のジオールを、a)流体相として、適当な溶剤又は溶剤混合物中に溶解させるか又は懸濁させることにより、又はb)流体相として、上記1種以上のジオールを溶融させることにより、又はc)固相として上記1種以上のジオールを乾式で装入することにより、又はd)これらの組合せにより、場合により前記手法a)〜d)のいずれか1つにおいてルテニウム触媒又は前記ルテニウム触媒の前駆化合物を混入して、装入する段階、
II. 段階I.で既に行われていない場合に、ルテニウム触媒又は前記ルテニウム触媒の前駆体化合物を添加し、並びにアンモニア及び/又はアンモニアを放出する化合物又はこれらの混合物を添加する段階、
III. 必要な反応条件を調節しかつ反応を実施する段階、
IV. 場合により、生成された前記1種以上のジアミンを単離及び精製する段階
を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。 - II.の方法段階において、前記反応温度を60〜220℃の範囲内に調節することを特徴とする、請求項8記載の方法。
- アンモニアを、液体アンモニア又は気体アンモニアの形で使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- 前記1種以上のジオールのヒドロキシ官能基の合計対使用されたアンモニア及び/又はアンモニアを放出する化合物又はこれらの化合物の合計から生じることができるアンモニアの当量のモル比を、1:2〜1:5000の範囲内に調節することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- 前記反応を、1〜1000barの範囲内の反応圧力で行うことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
- 前記反応圧力を、アンモニアにより、及び/又は反応器に他のガス、有利に不活性ガス、例えば窒素又はアルゴンを供給することにより、及び/又はアンモニアを放出する化合物又はこれらの混合物からin situで生じるアンモニアにより、及び/又は所望の反応温度に調節することにより生じさせる、請求項12記載の方法。
- 第3級及び/又はネオペンチル系のアルコール、エーテル、アレーン又は脂肪族化合物のグループから選択される有機溶剤を使用することを特徴とする、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
- 前記有機溶剤は、tert−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、メチル−tert−ブチルエーテル及びアニソール又はこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項14記載の方法。
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