JP2012160251A - 磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成可能な磁気記録媒体用結合剤組成物を提供すること。
【解決手段】放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を含む磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物。前記塩化ビニル系樹脂の含有量に対して0.3質量%以上10質量%以下の下記式(A)で表されるメタクリレート化合物を含む。
Figure 2012160251

【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物およびその製造方法に関するものであり、詳しくは、磁気記録媒体に含まれる層として好適な柔軟性を有する塗膜を形成することができる磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
更に本発明は、上記組成物を用いて形成された放射線硬化層を有する磁気記録媒体にも関するものである。
塗布型磁気記録媒体では、磁性粉末および非磁性粉末の分散性、塗膜耐久性、電磁変換特性、走行耐久性等に結合剤が重要な役割を果たしている。そこで磁気記録媒体用結合剤に関する様々な検討が行われている。
従来、磁気記録媒体用結合剤としては、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が広く使用されていた。これに対し近年、高い生産性とより強靭な塗膜を得るために、放射線硬化性官能基を導入した放射線硬化性樹脂を磁気記録媒体用結合剤として使用することが提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
特開2005−182985号公報 特開2004−352804号公報 特開2005−8866号公報 特許第3125947号明細書
塩化ビニル系樹脂は強靭な塗膜を形成できる樹脂として知られており、特許文献1〜4に記載されているように放射線硬化性官能基を導入することで、より強靭な塗膜を形成することが可能となる。しかし優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体を得るためには、磁気記録媒体に高強度な塗膜を形成するだけでは不十分である。強度は高いものの柔軟性に劣る塗膜は脆く破断しやすいため、繰り返し走行中に膜の一部が損傷しドロップアウトやヘッド付着物発生の原因となるおそれがあるからである。特許文献1〜4に記載されているような従来の放射線硬化性塩化ビニル系樹脂は、これを含む組成物を放射線硬化処理することで形成される硬化膜は強靭であるものの柔軟性に乏しいため、磁気記録媒体用結合剤樹脂としては更なる改善が求められていた。
そこで本発明の目的は、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成可能な磁気記録媒体用結合剤組成物を提供することにある。
上記の通り放射線硬化性塩化ビニル系樹脂は、高強度な塗膜を形成可能ではあるものの、得られる塗膜が柔軟性に劣り繰り返し走行中に破断しやすい点が課題であった。破断応力が低い塗膜ほど、また伸びにくい塗膜ほど、破断しやすいため、放射線硬化性塩化ビニル系樹脂から形成される塗膜について、塗膜強度に大きな影響を及ぼさず破断応力や伸び易さの向上を達成することができる成分を見出すことができれば、上記目的を達成することができる。
そこで本発明者は、かかる成分を見出すべく鋭意検討を重ね、下記構造(式(A))を有するメタクリレートモノマーに着目するに至った。その上で本発明者は更に検討を重ねた結果、上記メタクリレートモノマーが、放射線硬化性塩化ビニル系樹脂を含む組成物中に所定量存在することで、該組成物を放射線硬化することで形成される塗膜のガラス転移温度やゲル分率に大きな影響を及ぼさずに、その塗膜の弾性(破断応力、伸び)を向上する作用があること、即ち、放射線硬化性塩化ビニル系樹脂とともに上記メタクリレートモノマーを所定量含む組成物を放射線硬化することで、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成できること、を新たに見出した。この点について本発明者は、上記メタクリレートモノマーは、放射線硬化性塩化ビニル系樹脂と架橋構造を形成することで塗膜の柔軟性向上に寄与するとともに、下記構造(式(A))中の高Tgフラグメントであるウレア部と、これにより連結される低Tgフラグメントがバランスしているため塗膜の強度には大きな影響を及ぼさないと推察している。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
Figure 2012160251
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を含む磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物であって、
前記塩化ビニル系樹脂の含有量に対して0.3質量%以上10質量%以下の下記式(A)で表されるメタクリレート化合物を含むことを特徴とする、前記組成物。
Figure 2012160251
[2]前記放射線硬化性官能基は、メタクリロイルオキシ基である[1]に記載の組成物。
[3]前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、100〜500mmol/kgの量の放射線硬化性官能基を含む[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、硫酸(塩)基を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5][2]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物の製造方法であって、
分子内に活性水素基を含む塩化ビニル系樹脂と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させることにより、前記メタクリロイルオキシ基含有塩化ビニル系樹脂を得ること、および、
前記式(A)で表されるメタクリレート化合物が、上記反応において生成されること、
を特徴とする、前記製造方法。
[6]前記反応を有機スズ触媒存在下で行う[5]に記載の製造方法。
[7]前記活性水素基は水酸基である[5]または[6]に記載の製造方法。
[8]前記活性水素基を含む塩化ビニル系樹脂は分子内にエポキシ基を含む[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層を有する、前記磁気記録媒体。
[10]前記放射線硬化層は磁性層である[9]に記載の磁気記録媒体。
[11]前記非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層が前記放射線硬化層である、[9]または[10]に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、高い塗膜強度と適度な柔軟性を兼ね備えた塗膜を有する磁気記録媒体を提供することができる。
[磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物]
本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物(以下、単に「組成物」ともいう)は、塗布型磁気記録媒体形成用塗布液調製のために使用される組成物であって、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂とともに、該塩化ビニル系樹脂の含有量(100質量%)に対して0.3質量%以上10質量%以下の下記式(A)で表されるメタクリレート化合物(以下、「成分A」ともいう)を含むものである。
Figure 2012160251
以下、本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物について、更に詳細に説明する。
本発明の組成物に含まれる放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、放射線照射により硬化反応(架橋反応)を起こし得るものであればよく特に限定されるものではないが、反応性の点から、放射線硬化性官能基として、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基を有するもの好ましく、アクリル系二重結合基を有するものが更に好ましい。ここでアクリル系二重結合基とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド等の残基をいう。これらの中でも、反応性の点からは(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、メタクリロイルオキシ基とアクリロイルオキシ基とを含むものとする。
放射線硬化性官能基導入成分として2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI;下記構造)を使用すると、放射線硬化性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する塩化ビニル系樹脂を得ることができる。
Figure 2012160251
上記MOIと塩化ビニル系樹脂との反応では、系内に水が存在する限り必然的に成分Aが副生される。成分Aの副生量をゼロにするためには反応系内から水を完全に排除する必要がある。そのためには原料の特殊管理や反応前の脱水処理を行わなければならないが、そのような工程を行うことは、量産性を著しく低下させる。
これに対し本発明者が見出したように、上記反応により副生される成分Aは、所定量が放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂とともに存在することで、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成することに寄与する。したがって上記反応後に副生される成分Aを除去することなく、得られた樹脂溶液を磁気記録媒体用結合剤組成物として使用することも可能である。このように、量産性を低下させることなく、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成可能な磁気記録媒体用結合剤組成物を得ることができることは、本発明の利点の1つである。ただし本発明は、成分AがMOIと塩化ビニル系樹脂との反応において副生物として得られる態様に限定されるものではなく、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を含む組成物に添加剤として成分Aを混合する態様も本発明に含まれるものである。
本発明の組成物は、組成物中の放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の含有量(100質量%)に対して0.3質量%以上の成分Aを含むことで、該組成物を放射線硬化することにより、高強度であり、しかも高い破断応力を有する、繰り返し走行中に破断しにくい塗膜を形成することができる。上記含有量が0.3質量%未満では、得られる塗膜に繰り返し走行時の破断を抑制し得る適度な弾性を付与することは困難である。ただし、上記含有量が10質量%を超えると、成分Aの析出により塗膜形成自体が困難となる。以上の観点から、本発明の組成物における成分Aの含有量は、組成物中の放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の含有量(100質量%)に対して0.3質量%以上10質量%以下とする。破断応力とともに伸び易さも向上することが、繰り返し走行に耐え得る優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体を形成するうえで好ましく、この点からは上記含有量は7質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。また、上記の通りMOIと塩化ビニル系樹脂との反応により成分Aが副生物として生成される場合、成分Aが放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂7質量%を超えて存在する系内には多くの水が存在することになるため、得られた樹脂溶液から磁気記録媒体形成用塗布液を作製するためには、水を除去する工程を行うことが望ましい(水が多く存在すると膜の可塑化の原因となるからである)。したがって水の除去工程を不要とする観点からは、MOIと塩化ビニル系樹脂との反応により成分Aが副生物として生成される場合には、成分Aの存在量は放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂量に対して7質量%以下とすることが好ましく、6質量%以下とすることがより好ましい。
以下、本発明の組成物に含まれる成分について、順次更に詳細に説明する。
放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂
本発明の組成物に含まれる放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーの重合体または共重合体に放射線硬化性官能基を導入する方法等の公知の方法により得ることができる。前述のように、この放射線硬化性官能基導入成分としてMOIを使用することにより、成分Aを含む組成物を得ることができる。
MOI等の放射線硬化性官能基導入成分により放射線硬化性官能基を導入される塩化ビニル系樹脂としては特に制限されないが、分子内に水酸基、1級または2級アミンのような活性水素基を持つ塩化ビニル系樹脂であれば、放射線硬化性官能基導入成分との反応性が高く、放射線硬化性官能基の導入反応を良好に進行させることができるため好ましい。そのような塩化ビニル系樹脂は公知の方法で合成可能であり、また市販品としても入手可能である。市販品としては、例えば日本ゼオン(株)製MR110、MR104、MR112、MR113、日信化学工業(株)製ソルバインA、ソルバインTAO、ソルバインMK6等を挙げることができる。中でも、放射線硬化性官能基導入成分との反応性の観点からは、上記活性水素基は水酸基であることが好ましい。
磁気記録媒体用結合剤には、磁性粉末、非磁性粉末等の分散性を高めるために極性基を導入することが広く行われている。前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂も、分散性向上のために極性基を有することが好ましい。極性基としては、例えば、ヒドロキシアルキル基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸(塩)基、燐酸(塩)基等を挙げることができ、分散性向上および原料の入手の容易性の観点からは、硫酸(塩)基が好ましい。
本発明において「硫酸(塩)基」とは、下記一般式(a)により表される置換基であり、硫酸基(−OSOH)と、−OSONa、−OSOLi、−OSOK等の硫酸塩基とを含むものとする。カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)、燐酸(塩)基等についても同様である。
Figure 2012160251
上記一般式(a)中、Mは、水素原子または陽イオンを表し、は結合位置を表す。
前記陽イオンは、無機陽イオンであっても、有機陽イオンであってもよい。前記陽イオンは、一般式(a)中の−SO3 -を電気的に中和するものであり、1価の陽イオンに限定されず、2価以上の陽イオンとすることもできる。Mで表される陽イオンとしては1価の陽イオンが好ましい。なお、n価の陽イオンを使用する場合には、前記一般式(a)で表される置換基に対して、(1/n)モルの陽イオンを意味する。
無機陽イオンとしては、特に制限はないが、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンが好ましく、アルカリ金属イオンがより好ましく、Li+、Na+またはK+がさらに好ましい。
有機陽イオンとしては、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等を例示できる。
前記Mは、水素原子またはアルカリ金属イオンであることが好ましく、水素原子、Li+、Na+またはK+であることがより好ましく、K+であることが特に好ましい。
なお、前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、一般式(a)で表される置換基をはじめとする置換基を一種類のみ含んでいてもよく二種類以上を含んでいてもよい。かかる置換基は、公知の方法による共重合または付加反応により塩化ビニル系樹脂に導入することができる。また、極性基が導入された塩化ビニル系樹脂は、市販品としても入手可能である。市販品としては、日本ゼオン(株)製MR104、MR110、MR120等を挙げることができる。また、硫酸(塩)基含有塩化ビニル系樹脂は、公知の方法により塩交換を行い、他の硫酸塩基含有塩化ビニル系樹脂としてもよく、公知の方法により塩を除去し硫酸含有塩化ビニル系樹脂としてもよい。スルホン酸(塩)基等の硫酸(塩)基以外の極性基を有する塩化ビニル系樹脂についても、同様である。
また、形成される塗膜強度のよりいっそうの向上と脱塩酸抑制のためにはエポキシ基を有する塩化ビニル系樹脂を使用し、エポキシ基を有するメタクリロイルオキシ基含有塩化ビニル系樹脂を含む組成物を得ることが好ましい。以上説明した観点から、本発明では、例えば特公平1−26627号公報に記載されているような、分子内に極性基、水酸基およびエポキシ基を含む塩化ビニル系樹脂にMOI等の放射線硬化性官能基導入成分を使用して放射線硬化性官能基を導入し、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を得ることが好ましい。ここで得られる塩化ビニル系樹脂は、OH基の多くが放射線硬化性官能基導入成分と反応し、ウレタン結合を介して放射線硬化性官能基が側鎖に導入され、かつエポキシ基と極性基を有するものとなる。
成分A
先に説明したように、式(A)で表されるメタクリレート化合物(成分A)は、例えば塩化ビニル系樹脂とMOIとの反応において副生物として得ることができ、添加剤として組成物に添加することもできる。本発明の組成物における成分Aの存在量は、前述の通り、放射線硬化性極性基含有塩化ビニル系樹脂の含有量に対して0.3質量%以上とする。なお前述の特許文献1には、成分Aのような副生物(多官能アクリルモノマー)の生成量は、反応系内の水分によって変化すると記載されているが、副生物は水と放射線硬化性官能基導入成分との反応によって生成されるため、放射線硬化性官能基導入成分の使用量によってもその副生量は変化する。したがって、成分Aを副生物として得る場合には、反応系内の水分量および放射線硬化性官能基導入成分の使用量によって、その副生量、即ち本発明の組成物中の成分Aの存在量を制御することができる。ただし放射線硬化性官能基導入成分の使用量を低減するほど、塩化ビニル系樹脂に導入される放射線硬化性官能基量も少なくなるため、所望の硬化性を付与することが可能な量の放射線硬化性官能基が導入できる範囲内で、放射線硬化性官能基導入成分の使用量および反応系内の含水率によって、その副生量を制御することが好ましい。含水率は、原料の保存条件および反応前の脱水処理によって調整することができるが、活性水素基として水酸基を有する塩化ビニル系樹脂は、脱水反応により水酸基が変性し放射線硬化性官能基導入成分のイソシアネート基との反応性が失われる懸念があるため、脱水処理を行うことは望ましくない。したがって、この場合には脱水処理以外の手段で、副生する成分A量を制御することが好ましい。
塩化ビニル系樹脂への放射線硬化性官能基または極性基導入反応は、原料化合物を溶剤(反応溶媒)に溶解し、必要に応じて加熱、加圧、窒素置換等を行うことによって進行させることができる。上記反応のための反応温度、反応時間等の反応条件としては、一般的な反応条件を採用することができる。
上記反応に使用可能な反応触媒としては、公知の反応触媒を使用することができ、例えばアミン触媒や有機スズ触媒、有機ビスマス触媒を例示できる。アミン触媒としては、ジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、及び、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンを例示でき、有機スズ触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジデカネート、ジオクチルスズジデカネートを例示できる。有機ビスマス触媒としてはビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)を例示できる。本発明において触媒としては、反応効率の点からは、有機スズ触媒を使用することが好ましい。
触媒の添加量は、反応に使用する原料化合物の全質量に対して例えば0.00001〜5質量部、好ましくは0.00001〜1質量部、さらに好ましくは0.00001〜0.1質量部である。
反応溶媒としては、上記反応に通常使用される公知の溶剤から選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、シクロヘキサンが挙げられる。本発明の組成物は、溶媒として、上記反応溶媒として使用される溶剤を含むことができる。特に、磁気記録媒体形成用塗布液に広く使用されているメチルエチルケトン、シクロヘキサンノンまたはこれらの混合溶媒を含むことが好ましい。これら溶媒を含む組成物は、そのまままたは任意に添加剤を添加することにより磁気記録媒体形成用塗布液として使用することができる。
次に、本発明の組成物に含まれる放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の各種物性について説明する。
(a)平均分子量、分子量分布
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、質量平均分子量が1万以上50万以下(本発明において、「1万以上50万以下」を、「1万〜50万」とも記載することとする。以下、同様。)であることが好ましく、1万〜40万であることがより好ましく、1万〜30万であることがさらに好ましい。質量平均分子量が1万以上であれば、上記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を結合剤として形成された塗布層の保存性が良好であり好ましい。また、質量平均分子量が50万以下であれば、良好な分散性が得られるので好ましい。
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は1.00〜5.50であることが好ましい。より好ましくは1.01〜5.40である。分子量分布が5.5以下であれば、組成分布が少なく、良好な分散性が得られるので好ましい。なお塩化ビニル系樹脂に放射線硬化性官能基および/または極性基を導入する反応の前後で、質量平均分子量および分子量分布(Mw/Mn)は、通常ほとんど変化しない。
(b)ガラス転移温度
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、後述の実施例に記載する方法で測定される値として30℃〜150℃であることが好ましく、50℃〜130℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃以上であれば、放射線硬化により高強度の塗膜を形成することができ、耐久性、保存性に優れた塗膜を得ることができるため好ましい。また、本発明の組成物を用いて磁気記録媒体用塗布液を作製する際、含有される放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度が150℃以下であれば、放射線硬化後にカレンダー処理をする場合でもカレンダー成形性が良好であり、電磁変換特性が良好な磁気記録媒体が得られるため好ましい。また、先に説明したように、成分Aの存在は得られる塗膜のガラス転移温度に大きな影響を及ぼさないため、上記好ましいガラス転移温度を有する放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を成分Aとともに含む本発明の組成物を放射線硬化することで、後述する実施例に記載の方法で測定されるガラス転移温度(Tg)が30℃〜150℃、更には50℃〜130℃の塗膜を形成することができる。これにより、良好な耐久性、保存性、およびカレンダー成形性を有する磁気記録媒体を得ることができる。
(c)極性基含有量
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、前述のように極性基を含有することが好ましい。
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂中の極性基の含有量は、1.0mmol/kg〜3500mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2500mmol/kgであることが更に好ましい。
極性基の含有量が1.0mmol/kg以上であれば、磁性体等の粉末への十分な吸着力を得ることができ、分散性が良好であるので好ましい。また、3500mmol/kg以下であれば、良好な溶剤への溶解性が得られるので好ましい。前述のように極性基としては、一般式(a)で表される硫酸(塩)基が好ましい。また、他の極性基としては、ヒドロキシアルキル基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、燐酸(塩)基等を挙げることができ、−SO3M’−PO3M’2、−COOM’、−OHが好ましい。この中でも、−SO3M’がさらに好ましい。M’は、水素原子または1価のカチオンを表す。1価のカチオンとしては、アルカリ金属またはアンモニウムを例示できる。
(d)水酸基含有量
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、活性水素基として水酸基を含む塩化ビニル系樹脂から調製することができるが、放射線硬化性官能基導入後の塩化ビニル系樹脂に水酸基(OH基)が含まれていてもよい。含まれるOH基の個数は1分子あたり1〜100000個が好ましく、1〜10000個がより好ましい。OH基の個数が上記範囲内であれば、溶剤への溶解性が向上するので分散性が良好となる。
(e)放射線硬化性官能基含有量
前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の放射線硬化性官能基含有量は、1.0mmol/kg〜4000mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2000mmol/kgであることがさらに好ましく、100〜500mmol/kgであることがよりいっそう好ましい。放射線硬化性官能基の含有量が1.0mmol/kg以上であれば、放射線硬化により高い強度を有する塗膜を形成できるので好ましい。また、放射線硬化性官能基の含有量が4000mmol/kg以下であれば、放射線硬化後にカレンダー処理をする場合でもカレンダー成形性が良好であり、本発明の組成物を用いて作製した磁気記録媒体形成用塗布液を使用することにより電磁変換特性が良好な磁気記録媒体が得られるので好ましい。
本発明の組成物は、結合剤樹脂として放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂のみを含むものであってもよく、他の結合剤樹脂を含んでもよい。例えば、分散性向上に寄与する結合剤樹脂を併用することで、多量の成分Aの存在による分散性低下を補うことができる。そのような結合剤樹脂としては、特開2009−96798号公報に記載のスルホン酸(塩)基含有ポリオール化合物を原料として得られたポリウレタン樹脂を挙げることができる。
更に、本発明の組成物は、前記した各種成分とともに組成物の保存安定性を高めるための成分を含むこともできる。そのような成分としては、ベンゾキノン化合物を挙げることができる。ベンゾキノン化合物は、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の保存後の放射線照射による硬化性を損なうことなく、その保存安定性を高めることに寄与する成分である。
ベンゾキノン化合物とは、ベンゾキノン骨格を含む化合物であり、含まれるベンゾキノン骨格は、o−ベンゾキノン骨格であってもp−ベンゾキノン骨格であってもよい。入手性の観点からは、p−ベンゾキノン骨格を有する化合物が好ましい。ベンゾキノン化合物に含まれるベンゾキノン骨格は、無置換であっても置換基を有していてもよい。置換基としては、(置換基を有していてもよい)アルキル基、アルコキシル基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、ニトロ基、等の下記例示化合物に含まれる置換基等が挙げられる。また、ベンゾキノン化合物としてはベンゾキノン骨格を1つ有するものを使用してもよく2つ以上有するものを使用してもよい。好ましいベンゾキノン化合物としては、下記例示化合物を挙げることができる。
Figure 2012160251

Figure 2012160251
上記例示化合物の中では、例示化合物(1)〜(22)、(25)〜(33)が好ましく、(1)〜(22)、(25)〜(28)、(30)、(32)、(33)がより好ましく、(1)〜(22)、(25)〜(28)、(30)、(32)の化合物が特に好ましい。
本発明の組成物は、ベンゾキノン化合物を1種含むこともでき2種以上を組み合わせて含むこともできる。
本発明の組成物におけるベンゾキノン化合物の含有量(複数種のベンゾキノン化合物を使用する場合にはそれらの合計量)は、長期保存安定性と硬化性を両立する観点から、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の固形分に対し、1ppm以上500000ppm以下が好ましく、1ppm以上400000ppm以下がより好ましく、100ppm以100000ppm以下が更に好ましい。また、ベンゾキノン化合物とともに、例えばフェノール化合物、ピペリジン−1−オキシル化合物、ニトロ化合物およびフェノチアジン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことも可能である。これら化合物は、ベンゾキノン化合物と併用することにより放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の長期保存安定性と硬化性の両立に寄与することができる。本発明の組成物における上記併用する化合物の含有量(複数種の化合物を使用する場合にはそれらの合計量)は、長期保存安定性と硬化性を両立する観点から、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂の固形分に対し1ppm以上500000ppm以下が好ましく、1ppm以上400000ppm以下がより好ましく、1ppm以上300000ppm以下が更に好ましい。
また、本発明の組成物における固形分濃度は特に限定されるものではないが、10質量%以上であることが好ましく固形分100%であってもよいが、保存安定性と取り扱いの容易性の点から固形分濃度は10〜80質量%程度がより好ましく、20〜60質量%程度が更に好ましい。
以上説明した本発明の組成物に含まれる各種成分は、公知の方法または前述の方法により合成することができる。また市販品として入手可能なものもある。
[磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物の製造方法]
更に本発明は、
分子内に活性水素基を含む塩化ビニル系樹脂と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させることにより、前記メタクリロイルオキシ基含有塩化ビニル系樹脂を得ること、および、
前記式(A)で表されるメタクリレート化合物が、上記反応において生成されること、
を含む、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物の製造方法にも関する。その詳細は、先に説明した通りである。
[磁気記録媒体]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層を有するものである。
先に説明したように、本発明の組成物によれば、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成することができるため、かかる塗膜(放射線硬化層)を有する本発明の磁気記録媒体は、良好な走行耐久性を発揮することができる。本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物から形成された放射線硬化層は、上記磁性層であることができ、また後述する非磁性層であることもできる。
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
結合剤
磁性層、非磁性層に含まれる結合剤としては、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物を放射線硬化することによって得られた樹脂成分を挙げることができる。更に、磁性層、非磁性層に含まれる結合剤としては、上記樹脂成分とともに他の結合剤を併用することもできる。併用する結合剤としては、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などを挙げることができる。
また、本発明の磁気記録媒体が、前記放射線硬化層以外の層を有する場合、該層において使用される結合剤としても、上記結合剤を挙げることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。更に、上記結合剤とともに、ポリイソシアネート等の硬化剤を併用することもできる。本発明の磁気記録媒体において使用可能な結合剤樹脂および硬化剤の詳細については、特開2009−96798号公報段落[0081]〜[0094]を参照できる。
結合剤の含有量は磁性層の場合、強磁性粉末の充填度と磁性層の強度を両立する観点から、強磁性粉末100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、10質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。また、非磁性層における結合剤使用量についても上記と同様である。
磁性層
(i)強磁性粉末
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に結合剤とともに強磁性粉末を含む。強磁性粉末としては、針状強磁性体、平板状磁性体、または球状もしくは楕円状磁性体を使用することができる。高密度記録化の観点から針状強磁性体の平均長軸長は、20nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上45nm以下であることがより好ましい。平板状磁性体の平均板径は、六角板径で10nm以上50nm以下であることが好ましい。磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下であることが好ましい。板径が上記範囲であれば、熱揺らぎがなく安定な磁化が望める。また、ノイズも低くなるため高密度磁気記録に適する。球状もしくは楕円状磁性体は、高密度記録化の観点から、平均直径が10nm以上50nm以下であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、以下の方法により測定することができる。
強磁性粉末を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで粉体の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定する。上記方法により測定される粒子サイズの平均値を強磁性粉末の平均粒子サイズとする。
なお、本発明において、磁性体等の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、(1)粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、(3)粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
また、該粉体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体サイズの定義で(1)の場合は、粉体を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さ乃至高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
以上説明した各磁性体については、特開2009−96798号公報段落[0097]〜[0110]に詳細に記載されている。
(ii)添加剤
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤などを挙げることができる。上記添加剤の具体例等の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0111]〜[0115]を参照できる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。カーボンブラックの比表面積は好ましくは100〜500m2/g、より好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は好ましくは20〜400ml/100g、より好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、好ましくは5〜80nm、より好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlがそれぞれ好ましい。磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。それらは市販品として入手可能である。
本発明で使用されるこれらの添加剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に直接磁性層を有することもでき、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有することもできる。本発明の磁気記録媒体が非磁性層を有する場合、該非磁性層は放射線硬化層であることが好ましい。非磁性層を放射線硬化層とすれば、放射線照射により非磁性層中で放射線硬化性成分が重合・架橋し高分子量化が生じるため、非磁性層が磁性層塗布液に含まれる溶剤へ溶解し界面変動が生じることを抑制することができるからである。また、前述のように本発明の組成物によれば、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成することができるため、非磁性層を本発明の組成物を用いて形成された放射線硬化層とすることは、優れた走行耐久性を有する媒体を形成する上で有利である。
上記非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどが単独または2種類以上を組み合わせて使用される。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。
非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜1μmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜1μmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。
これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜2μmが好ましい。5nm〜2μmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。ただし必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。本発明の磁気記録媒体に使用可能な非磁性粉末の詳細については、特開2009−96798号公報段落[0123]〜[0132]を参照できる。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のμビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のμビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2であり、薄膜硬度計(日本電気(株)製 HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
本発明において、非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は好ましくは100〜500m2/g、更に好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は好ましくは20〜400ml/100g、更に好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は好ましくは5〜80nm、より好ましく10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlがそれぞれ好ましい。非磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。それらは市販品として入手可能である。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
非磁性支持体
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmであることが好ましい。
平滑化層
本発明の磁気記録媒体には、平滑化層を設けてもよい。平滑化層とは、非磁性支持体表面の突起を埋めるための層であり、非磁性支持体上に磁性層を設けた磁気記録媒体の場合は非磁性支持体と磁性層の間、非磁性支持体上に非磁性層および磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体の場合には非磁性支持体と非磁性層の間に設けることができる。
平滑化層は、放射線硬化性化合物を放射線照射により硬化させて形成することができる。
放射線硬化性化合物とは、紫外線または電子線などの放射線を照射すると重合または架橋を開始し、高分子化して硬化する性質を有する化合物をいう。上記平滑化層を形成するために、本発明の組成物を使用することもできる。
バックコート層
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して繰り返し走行性が強く要求される。このような高い保存安定性を維持させるために、非磁性支持体の磁性層が設けられた面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層用塗布液は、研磨剤、帯電防止剤などの粒子成分と結合剤とを有機溶媒に分散させることにより形成することができる。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができる。また、結合剤としては、例えば、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。上記バックコート層を形成するために、本発明の組成物を使用することも可能である。
層構成
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の好ましい厚さは3〜80μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に上記平滑化層を設ける場合、平滑化層の厚さは例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。また、上記バックコート層の厚さは、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。
磁性層の厚さは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.10μm以下であり、好ましくは0.02μm以上0.08μm以下であり、さらに好ましくは0.03〜0.08μmである。また、磁性層の厚さ変動率は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±40%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚さは、0.2〜3.0μmであることが好ましく、0.3〜2.5μmであることがより好ましく、0.4〜2.0μmであることがさらに好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体が非磁性層を有する場合、該非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT(100G)以下または抗磁力が7.96kA/m(100 Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
製造方法
磁性層、非磁性層等の各層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなることが好ましい。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。また、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物に、上記原料を同時または逐次添加することにより、塗布液を製造することもできる。例えば強磁性粉末、非磁性粉末等の粉末成分をニーダにより解砕した後、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物(更に任意に併用される他の結合剤成分)を添加して混練工程を行い、この混練物に各種添加剤を添加し分散工程を行うことにより塗布液を調製することができる。
各層形成用塗布液を調製するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対して15〜500質量部の結合剤(但し、全結合剤の30質量%以上が好ましい)を使用して混練処理することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗布液および非磁性層用塗布液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。ガラスビーズ以外には、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に、非磁性層塗布液を所定の膜厚となるように塗布して非磁性層を形成し、次いでその上に、磁性層塗布液を所定の膜厚となるようにして磁性層を塗布して形成する。複数の磁性層塗布液を逐次または同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次または同時に重層塗布してもよい。先に説明したように、下層の非磁性層用塗布液と上層の磁性層用塗布液とを逐次で重層塗布する場合には、磁性層塗布液に含まれる溶剤に非磁性層が一部溶解する場合がある。ここで非磁性層を放射線硬化層とすれば、放射線照射により非磁性層中で放射線硬化性成分が重合・架橋し高分子量化が生じるため、磁性層塗布液に含まれる溶剤への溶解を抑制ないしは低減することができる。したがって、下層の非磁性層用塗布液と上層の磁性層用塗布液とを逐次で重層塗布する場合には、上層の磁性層用塗布液を塗布する前に放射線照射を行い、硬化した非磁性層上に磁性層を形成することが好ましい。この場合に使用される非磁性層塗布液は、本発明の組成物を用いて調製することが好ましい。
硬化反応のために照射する放射線として、例えば、電子線や紫外線を用いることができる。電子線を使用する場合は、重合開始剤が不要である点で好ましい。放射線照射は公知の方法で行うことができ、その詳細については、例えば特開2009−134838号公報段落[0021]〜[0023]等を参照できる。また、放射線硬化装置や放射線照射硬化の方法などについては、「UV・EB硬化技術」((株)総合技術センター発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されているような公知技術を用いることができる。
上記磁性層塗布液または非磁性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。放射線硬化層を形成する際には、塗布液を塗布して形成した塗布層を放射線照射によって放射線硬化させる。放射線照射処理の詳細は、前述の通りである。また、塗布工程後の媒体には、磁性層の配向処理、表面平滑化処理(カレンダー処理)、熱収縮低減のための熱処理等の各種の後処理を施すことができる。それらの処理の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0146]〜[0148]を参照できる。得られた磁気記録媒体は、裁断機、打抜機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
本発明の磁気記録媒体が非磁性層を有する場合、非磁性層と磁性層と間では、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし保存安定性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りをよくすることができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に示す「部」、「%」は、特に示さない限り質量部、質量%を示す。
実施例、比較例および参考例における評価方法を、以下に示す。また、以下におけるH NMRの測定は、重DMSOを溶媒と400MHzのNMR(BRUKER社製AVANCEII−400)により行った。
評価方法
(1)平均分子量の測定
実施例、比較例の各樹脂溶液中に含まれる放射線硬化性樹脂の平均分子量(Mw、Mn)は、0.3%の臭化リチウムを含有するDMF溶媒を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)硫酸(塩)基濃度
蛍光X線分析により硫黄(S)元素のピーク面積から硫黄元素量を定量し、放射線硬化性官能基含有樹脂1kgあたりの硫黄元素量に換算し、放射線硬化性樹脂中の硫酸(塩)基濃度を求めた。
(3)ガラス転移温度(Tg)の測定
樹脂組成物を、メチルエチルケトン:シクロヘキサノンの比率が50:50(質量比)の溶液で希釈して、固形分濃度22質量%になるように調製する。その後、乾燥後の厚さが20μmになるようにアラミドベース上に塗布、乾燥させてクリア膜を得る。放射線硬化性樹脂を含むクリア膜は、酸素濃度200ppm以下の雰囲気で、40kGyの放射線を照射して硬化させる。その後、得られたクリア膜を、幅3.35mm、長さ5cmに切断し、動的粘弾性測定装置(TOYO BALDWIN製レオバイブロン、昇温速度2℃/分、測定周波数110Hz)で30〜140℃までの損失弾性率(E”)のピーク温度を結合剤樹脂のガラス転移温度(以下Tg)とする。
(4)樹脂中の放射線硬化性官能基含有量
NMRの積分比より算出した。
(5)放射線硬化性評価
得られた各樹脂溶液を、固形分濃度約20%に希釈し試料溶液とした。この試料溶液をアラミドベース上にブレード(300μm)を用いて塗布し、室温で二週間乾燥し、塗布厚み30〜50μmの塗布膜を得た。
次いでこの塗布膜に電子線照射器を用いて、10kGの強度で3回、計30kGの電子線を照射した。
次いで、電子線を照射した膜を、テトラヒドロフラン100ml中に浸漬し、60℃2時間抽出した。抽出終了後、THF100mLで膜を洗浄し、真空乾燥で140℃3時間乾燥させた。次いで、抽出終了後の(乾燥させた膜の)残分の質量をゲル分の質量とし、(ゲル分/抽出前の塗布膜の質量)×100で算出される値をゲル分率として表1に示す。ゲル分率が高いほど塗膜強度が高く放射線硬化が良好に進行したことを示す。
1.磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物(樹脂溶液)の実施例、比較例
[実施例1]
(1)塩化ビニル系樹脂組成物の調製
2Lフラスコに、硫酸塩基およびエポキシ基含有塩化ビニル共重合体(日本ゼオン社MR−104;含水率0.10%)の30%シクロヘキサノン溶液416g(固形分124.8g)を添加して攪拌速度210rpmで撹拌した。次いで、1,4−ベンゾキノン0.5g(4.464mmol)を添加し撹拌溶解した。
次に、反応触媒としてジラウリン酸ジブチル錫0.125gを添加し、40〜50℃に昇温して撹拌した。次いで、放射線硬化性官能基導入成分として2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製MOI)13.75g(0.09mol)を30分かけて滴下し、滴下終了後、40℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却して、放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル共重合体を含有する樹脂溶液を得た。上記放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル共重合体のH NMRデータおよびその帰属を以下に示す。
放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A):1H-NMR (DMSO-d6) δ(ppm) = 6.2-6.0 (C=C二重結合のピーク), 5.8-5.6 (C=C二重結合のピーク), 4.6-4.2 (br.,m), 4.1-4.0 (m), 3.9-3.2(m), 3.1 (br.,s), 2.7 (br.,s), 2.6-2.0 (m), 2.0-0.8 (br.,m).
以上の工程で得られた樹脂溶液の固形分は31.3%であった。上記樹脂溶液調製後1日以内に、この溶液に含まれる放射線硬化性基含有塩化ビニル共重合体の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=5.1万、Mn=2.9万であった。得られた樹脂溶液のガラス転移温度(Tg)、上記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体の硫酸塩基濃度およびメタクリロイルオキシ基濃度を前述の方法で測定したところ、Tg=75℃、硫酸塩基濃度=70mmol/kg、メタクリロイルオキシ基濃度=339mmol/kgであった。また、ゲル分率は85%であった。
(2)式(A)で表されるメタクリレート化合物(成分A)の合成
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製MOI)10gをアセトン100mlに溶解した。内温30〜50℃の範囲で、水100gを滴下し2時間攪拌した。酢酸エチル200gを添加し、10分攪拌を行い静置した後に水相を廃棄した。水100gを添加し、10分攪拌を行い静置後に水相を廃棄した。得られた有機相を外温40℃でエバポレーターを使い濃縮乾固させた。生成物のNMRデータおよびその帰属を以下に示す。
1H-NMR (400MHz, DMSO, 25℃): 6.12(2H, t), 6.05 (2H,s), 5.68 (2H, t), 4.05 (4H, t), 3.82(4H, q), 1.88(6H, s) ppm
Figure 2012160251
(3)成分A生成の確認
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのNMRデータにおいて、代表的なプロトンの帰属は以下の通りとなる。放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)、成分A、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのNMRデータから明らかなように、6.12ppmのプロトンのピークは成分Aのみが有するため、このピークが存在することにより成分Aが生成していることを確認することができる。そこで実施例1で得た樹脂溶液のH NMR測定を行ったところ、6.12ppmにプロトンのピークが確認された。この結果から、実施例1で成分Aが生成したことが確認できる。
なお、以下に記載する方法により、実施例1で得た樹脂溶液の放射性硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)と成分Aの含有量を計算することができる。NMRデータにおいて、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(A)と成分Aの積分値を比較することにより、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(A)に導入された量と成分Aに導入された量の比率を求めたところ、前者:後者=47.8:52.2であり、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは検出されなかった。以上の結果と仕込み量から、放射性硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)と成分Aの含有量を求めたところ、表1記載の値となった。
Figure 2012160251
上記の通り、実施例1において成分Aの生成が確認されたが、成分Aの存在は、放射線硬化性組成物の放射線硬化性やガラス転移温度に大きな影響を及ぼすものではない。この点を示すため、比較例1として、成分Aを含まない樹脂溶液を以下の方法で調製した。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液200gに内温50℃でアセトン200gを添加した。その後、内温45〜55℃の範囲でメタノール500gを滴下すると固形物が析出した。析出した固形物を濾過し、アセトン300gを添加し50℃で攪拌し完溶させた。内温45〜55℃の範囲でメタノール500gを滴下すると固形物が析出した。析出した固形物を濾過し、真空下30℃で24時間乾燥させた。
上記操作により得られた生成物のH NMR測定を行ったところ、6.12ppmにはプロトンのピークが確認されなかった。この結果から、上記操作により反応物から成分Aが除去されたと判断することができる。
次いで、上記操作により得られた生成物の放射線硬化性およびガラス転移温度を、前述の方法により測定したところ、ゲル分率は84%、ガラス転移温度は75℃であり実施例1で得られた結果と同等であった。
以上の結果から、合成時に生成される成分Aは放射線硬化性組成物の放射線硬化性やガラス転移温度に大きな影響を及ぼすものではないことが確認できる。
次に、実施例1で得た放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)とメタアクリロイルオキシ基濃度が異なる放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)’、(A)”の合成例を示す。
[実施例2]
放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)’の合成
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート滴下量を6.88g(0.04mol)に変更した点以外は実施例1と同様の方法で放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)’を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液について、上記方法により成分Aの生成が確認された。
前述の実施例1と同様に、以下の方法により樹脂溶液中の放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)’と成分Aの含有量を計算することができる。NMRデータにおいて、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体(A)’と成分Aの積分値を比較することにより、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの放射線硬化性塩化ビニル系共重合体(A)’に導入された量と成分Aに導入された量の比率を求めたところ、前者:後者=63.5:36.5であり、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは検出されなかった。以上の結果と仕込み量から、放射性硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)’と成分Aの含有量を求めたところ、表1記載に値となった。
前述の方法で、放射線硬化性塩化ビニル共重合体(A)’中のメタクリロイルオキシ基濃度および樹脂溶液のガラス転移温度を求めた結果を、表1に示す。
[実施例3]
放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)”の合成
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート滴下量を3.43g(0.02mol)に変更した点以外は実施例1と同様の方法で放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)”を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液について、上記方法により成分Aの生成が確認された。
前述の実施例1と同様に、以下の方法により樹脂溶液中の放射線硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)”と成分Aの含有量を計算することができる。NMRデータにおいて、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(A)”と成分Aの積分値を比較することにより、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(A)”に導入された量と成分Aに導入された量の比率を求めたところ、前者:後者=77.4:22.6であり、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは検出されなかった。以上の結果と仕込み量から、放射性硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体(A)”と成分Aの含有量を求めたところ、表1記載の値となった。
前述の方法で、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体(A)”中のメタクリロイルオキシ基濃度および樹脂溶液のガラス転移温度を求めた結果を、表1に示す。
[実施例4]
硫酸塩基含有塩化ビニル共重合体の30質量%を日本ゼオン社MR−104から日本ゼオン社MR110(含水率0.11%)に変更した点以外は実施例1と同様の方法で放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル共重合体および成分Aを含む樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液について、前述と同様の方法で測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
硫酸塩基およびエポキシ基含有塩化ビニル共重合体の30質量%を日本ゼオン社MR−104から日本ゼオン社MR110(含水率0.11%)に変更した点以外は実施例2と同様の方法で放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル共重合体および成分Aを含む樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液について、前述と同様の方法で測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
硫酸塩基およびエポキシ基含有塩化ビニル共重合体の30質量%を日本ゼオン社MR−104から日本ゼオン社MR110(含水率0.11%)に変更した点以外は実施例3と同様の方法で放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル共重合体および成分Aを含む樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液について、前述と同様の方法で測定および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2012160251
成分Aによる塗膜柔軟性向上の確認
前述の方法で作製した成分Aの粉末を、比較例1と同様の方法で得た生成物(成分A未含有の樹脂粉末)に対し、上記生成物に含まれるメタクリロイルオキシ基含有塩化ビニル共重合体量に対する割合が、0.1質量%、0.3質量%、5.0質量%、10.0質量%、20.0質量%となる量で添加し粉末混合物を得た。成分Aを添加していない樹脂粉末および成分Aを上記の量で添加して得られた粉末混合物をそれぞれ用いて20質量%シクロヘキサノン溶液を調製し、イミド樹脂製フィルムに塗布し、大気中で100℃1時間、次いで真空中で140℃3時間乾燥させて塗膜を作製した。これとは別に、実施例1で得た樹脂溶液を用いて上記と同様の方法で塗膜を作製した。
得られた塗膜に対して、ウシオ電機株式会社製EB照射装置 Min-EB Laboを用い、10kGy×5回の電子線照射を行い、塗膜を硬化させた。
上記硬化後の塗膜を0.5cm×5cmのサイズに切り出し、株式会社東洋精機製作所社製ストログラフVシリーズ 型式:V1−Cを用いて、荷重レンジ2.5kgf、速度50mm/minの条件にて伸びおよび破断応力を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2012160251
表2に示す結果から、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂に対して0.3質量%以上10質量%以下の成分Aを添加することにより、得られる塗膜の破断応力の向上が達成されること、および成分A添加量の調整により、得られる塗膜において破断応力の向上とともに伸び易さの向上も達成されることが示された。これらの結果から、所定量の成分Aの添加により、磁気記録媒体として望ましい適度な柔軟性を有する塗膜が得られることが確認できる。また前述のように、成分Aは塗膜のガラス転移温度やゲル分率に大きな影響を及ぼすものではなかった。
以上の結果から、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂に対して0.3質量%以上10質量%以下の成分Aを含む樹脂組成物によれば、高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成可能となることが示された。
なお上記サンプルNo.1〜6では塗膜表面に析出物の存在は確認されなかったが、サンプルNo.7では成分Aの析出により塗膜を形成することができなかった。
2.磁気記録媒体の実施例
[実施例7]
<磁性層塗布液の調液>
針状強磁性微粉末(平均長軸長35nm)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで実施例1で得た樹脂溶液を固形分換算で15部添加した後60分間混練した。この混練物に、研磨剤(Al、粒子サイズ 0.3μm)2部、カーボンブラック(粒子サイズ 40μm)2部、メチルエチルケトン/トルエン=1/1混合溶媒 200部を加えてサンドミルで360分間分散した。
得られた分散液に、ブチルステアレート 2部、ステアリン酸 1部、シクロヘキサノン 50部を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
<非磁性層塗布液の調液>
α−Fe(平均粒径 0.15μm、SBET 52m/g、表面処理Al、SiO、pH6.5〜8.0)85部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで実施例1で得た樹脂溶液を固形分換算で7.5部、放射線硬化性官能基含有ポリウレタン樹脂溶液を固形分換算で10部、およびシクロヘキサノン60部を添加し60分間混練した。この混練物に、メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4混合溶媒 200部を加えてサンドミルで120分間分散した。
得られた分散液に、ブチルステアレート 2部、ステアリン酸 1部、メチルエチルケトン 50部を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層塗布液を調製した。
<磁気記録媒体の作製>
厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体の表面に、接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
次いで、上記接着層上に得られた非磁性層塗布液を厚さ1.5μmに塗布して塗布層を形成した後、該塗布層に30kGの電子線を照射して非磁性層(放射線硬化層)を形成した。さらにその直後に、形成した非磁性層上に乾燥後の厚さが0.1μmになるように上記磁性層塗布液を塗布した。磁性層塗布液が塗布された非磁性支持体に対し、磁性層塗布液が未乾燥の状態で0.5テスラ(5,000ガウス)のCo磁石と0.4テスラ(4,000ガウス)のソレノイド磁石で磁場配向を行った後、磁性層塗布液の塗布層に30kGの電子線を照射して磁性層(放射線硬化層)を形成した。次いで、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組合せによるカレンダー処理を速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で行なった後1/2インチ(17.7mm)幅にスリットし磁気テープを得た。
<走行耐久性の評価>
実施例7で作製した磁気テープについて、以下の方法により繰り返し摺動耐久性を評価したところ、評価結果は「優秀」であった。この結果から、実施例1で調製した樹脂溶液により、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体が作製されたことが示された。これは、先に説明したように高強度かつ適度な柔軟性を有する塗膜を形成できたことによるものである。
繰り返し摺動耐久性の評価方法
40℃10%RH環境下で磁性層面をAlTiC製の円柱棒に接触させて荷重100g(T1)をかけ、2m/secの摺動速度で繰り返し10,000パスまで摺動を行ったあとのテープダメージを目視および光学顕微鏡観察(倍率:100〜500倍)により、以下のランクで評価した。
優秀:ややキズが見られるが、キズのない部分の方が多い。
良好:キズがない部分よりもキズがある部分の方が多い。
不良:磁性層が完全に剥離している。
本発明の磁気記録媒体は、繰り返し走行耐久性が求められるバックアップテープとして好適である。

Claims (11)

  1. 放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂を含む磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物であって、
    前記塩化ビニル系樹脂の含有量に対して0.3質量%以上10質量%以下の下記式(A)で表されるメタクリレート化合物を含むことを特徴とする、前記組成物。
    Figure 2012160251
  2. 前記放射線硬化性官能基は、メタクリロイルオキシ基である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、100〜500mmol/kgの量の放射線硬化性官能基を含む請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系樹脂は、硫酸(塩)基を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物の製造方法であって、
    分子内に活性水素基を含む塩化ビニル系樹脂と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させることにより、前記メタクリロイルオキシ基含有塩化ビニル系樹脂を得ること、および、
    前記式(A)で表されるメタクリレート化合物が、上記反応において生成されること、
    を特徴とする、前記製造方法。
  6. 前記反応を有機スズ触媒存在下で行う請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記活性水素基は水酸基である請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 前記活性水素基を含む塩化ビニル系樹脂は分子内にエポキシ基を含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層を有する、前記磁気記録媒体。
  10. 前記放射線硬化層は磁性層である請求項9に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層が前記放射線硬化層である、請求項9または10に記載の磁気記録媒体。
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