JP2012214678A - 樹脂組成物、磁気記録媒体用結合剤組成物、磁気記録媒体、および重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、樹脂組成物に関するものであり、詳しくは、塗布型磁気記録媒体用塗布液の調製に好適な樹脂組成物に関するものである。
更に本発明は、上記樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物、磁気記録媒体用結合剤として好適な重合体の製造方法および該重合体を磁性層の結合剤として含む磁気記録媒体にも関する。
更に本発明は、上記樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物、磁気記録媒体用結合剤として好適な重合体の製造方法および該重合体を磁性層の結合剤として含む磁気記録媒体にも関する。
塗布型磁気記録媒体では、電磁変換特性等の各種特性に結合剤が重要な役割を果たしている。そのため磁気記録媒体用結合剤として使用可能な樹脂について、様々な検討が行われている(例えば特許文献1〜3参照)。
磁気記録分野における高密度記録化のためには、微粒子磁性体を使用するとともに、微粒子磁性体を高度に分散させ、磁性層表面の平滑性を高めることが有効である。更に、磁性層表面の平滑性を高める手段としては、磁性層の下層に位置する非磁性層に含まれる非磁性粉末の分散性を高めることも有効である。
そこで従来、磁気記録媒体に含まれる各種粉末への吸着性を高めることで該粉末の分散性を向上するために、磁気記録媒体用結合剤へスルホン酸基のような吸着官能基(極性基)を導入することが広く行われてきた(上記特許文献1〜3参照)。
しかし近年、情報伝達手段の著しい発達に伴い磁気記録媒体への高密度記録化への要求は更に高まってきている。かかる状況下、単に結合剤へ極性基を導入するのみでは、更なる高密度記録化に対応することは困難になってきている。
そこで従来、磁気記録媒体に含まれる各種粉末への吸着性を高めることで該粉末の分散性を向上するために、磁気記録媒体用結合剤へスルホン酸基のような吸着官能基(極性基)を導入することが広く行われてきた(上記特許文献1〜3参照)。
しかし近年、情報伝達手段の著しい発達に伴い磁気記録媒体への高密度記録化への要求は更に高まってきている。かかる状況下、単に結合剤へ極性基を導入するのみでは、更なる高密度記録化に対応することは困難になってきている。
そこで本発明の目的は、更なる高密度記録化に対応すべく磁気記録媒体用粉末を高度に分散するための手段を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の新たな知見を得た。
特許文献1等に記載されているように、スルホン酸基(−SO3H)を有するアクリルモノマーを使用することで、極性基を有するアクリル系ポリマー(以下、「プロトン型ポリマー」または「プロトン型アクリル系ポリマー」と呼ぶ)を得ることができる。
これに対し本発明者の検討の結果、スルホン酸基が脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンと塩を形成した状態で存在するアクリル系ポリマー(以下、「対塩型ポリマー」または「対塩型アクリル系ポリマー」と呼ぶ)は、上記プロトン型ポリマーと比べて、磁気記録媒体用粉末を高度に分散することができることが判明した。
本発明者は、以上の知見に基づき更に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
特許文献1等に記載されているように、スルホン酸基(−SO3H)を有するアクリルモノマーを使用することで、極性基を有するアクリル系ポリマー(以下、「プロトン型ポリマー」または「プロトン型アクリル系ポリマー」と呼ぶ)を得ることができる。
これに対し本発明者の検討の結果、スルホン酸基が脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンと塩を形成した状態で存在するアクリル系ポリマー(以下、「対塩型ポリマー」または「対塩型アクリル系ポリマー」と呼ぶ)は、上記プロトン型ポリマーと比べて、磁気記録媒体用粉末を高度に分散することができることが判明した。
本発明者は、以上の知見に基づき更に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]一般式(I):
[一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表し、R11は水素原子または置換基を表し、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、Y1はスルホン酸基と脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンから形成される塩を表す。]
で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[2]ケトン系溶媒を更に含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンおよびこれらの2種以上の混合溶媒からなる群から選択される、[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記メチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンである[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記重合体は、一般式(II):
[一般式(II)中、R2は水素原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表される構造単位を更に含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記重合体は、一般式(III):
[一般式(III)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、Z3は環状構造を有する置換基を表す。]
で表される構造単位を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]放射線硬化性官能基を有する構造単位を更に含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]前記放射線硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基である、[7]に記載の樹脂組成物。
[9]前記放射線硬化性官能基を有する構造単位は、一般式(XX):
[一般式(XX)中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、X100はウレタン結合を含む2価の連結基を表す。]
で表される、[7]または[8]に記載の樹脂組成物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物。
[11]非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記結合剤が、一般式(I):
[一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表し、R11は水素原子または置換基を表し、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、Y1はスルホン酸基と脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンから形成される塩を表す。]
で表される構造単位を有する重合体を構成成分として含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[12]前記メチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンである[11]に記載の磁気記録媒体。
[13]前記重合体は、一般式(II):
[一般式(II)中、R2は水素原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表される構造単位を更に含む、[11]または[12]に記載の磁気記録媒体。
[14]前記重合体は、一般式(III):
[一般式(III)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、Z3は環状構造を有する置換基を表す。]
で表される構造単位を更に含む、[11]〜[13]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[15]前記磁性層は、芳香族化合物を更に含む、[11]〜[14]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[16]非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記非磁性層は、[7]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物および非磁性粉末を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であることを特徴とする磁気記録媒体。
[17]一般式(I):
[一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表し、R11は水素原子または置換基を表し、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、Y1はスルホン酸基と脂肪族三級アミンおよび芳香環にメチル基が1つのみ直接置換したメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンから形成される塩を表す。]
で表される構造単位を有する重合体の製造方法であって、
一般式(X):
[一般式(X)中、Z1はスルホン酸基を表し、R1、X1およびL1は一般式(I)と同義である。]
で表される有機酸と脂肪族三級アミンおよび芳香環にメチル基が1つのみ直接置換したメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンをケトン系溶媒中に溶解し、次いで該溶媒中に重合性成分を添加し重合反応を行うことで前記重合体を得ることを特徴とする、前記重合体の製造方法。
[18]前記重合性成分は、一般式(XI):
[一般式(XI)中、R2は水素原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表されるビニル系モノマーを更に含む、[17]に記載の製造方法。
[19]前記重合性成分は、一般式(XII):
[一般式(XII)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、Z3は環状構造を有する置換基を表す。]
で表されるビニル系モノマーを更に含む、[17]または[18]に記載の製造方法。
[20]前記ケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンおよびこれらの2種以上の混合溶媒からなる群から選択される、[17]〜[19]のいずれかに記載の製造方法。
[21]前記有機酸は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である、[17]〜[20]のいずれかに記載の製造方法。
[22]前記重合反応により得られた重合体の側鎖に放射線硬化性官能基を導入するための反応を行うことを更に含む、[17]〜[21]のいずれか1項に記載の製造方法。
[23]前記重合反応により得られた重合体は側鎖に水酸基を含み、
上記水酸基と、イソシアネート基を有する放射線硬化性官能基含有化合物のイソシアネート基とのウレタン化反応により、前記重合体の側鎖に上記放射線硬化性官能基を導入する、[22]に記載の製造方法。
[24]前記放射線硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基である、[22]または[23]に記載の製造方法。
[1]一般式(I):
で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴とする樹脂組成物。
[2]ケトン系溶媒を更に含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンおよびこれらの2種以上の混合溶媒からなる群から選択される、[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記メチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンである[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記重合体は、一般式(II):
で表される構造単位を更に含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記重合体は、一般式(III):
で表される構造単位を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]放射線硬化性官能基を有する構造単位を更に含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]前記放射線硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基である、[7]に記載の樹脂組成物。
[9]前記放射線硬化性官能基を有する構造単位は、一般式(XX):
で表される、[7]または[8]に記載の樹脂組成物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物。
[11]非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記結合剤が、一般式(I):
で表される構造単位を有する重合体を構成成分として含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[12]前記メチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンである[11]に記載の磁気記録媒体。
[13]前記重合体は、一般式(II):
で表される構造単位を更に含む、[11]または[12]に記載の磁気記録媒体。
[14]前記重合体は、一般式(III):
で表される構造単位を更に含む、[11]〜[13]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[15]前記磁性層は、芳香族化合物を更に含む、[11]〜[14]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[16]非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記非磁性層は、[7]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物および非磁性粉末を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であることを特徴とする磁気記録媒体。
[17]一般式(I):
で表される構造単位を有する重合体の製造方法であって、
一般式(X):
で表される有機酸と脂肪族三級アミンおよび芳香環にメチル基が1つのみ直接置換したメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンをケトン系溶媒中に溶解し、次いで該溶媒中に重合性成分を添加し重合反応を行うことで前記重合体を得ることを特徴とする、前記重合体の製造方法。
[18]前記重合性成分は、一般式(XI):
で表されるビニル系モノマーを更に含む、[17]に記載の製造方法。
[19]前記重合性成分は、一般式(XII):
で表されるビニル系モノマーを更に含む、[17]または[18]に記載の製造方法。
[20]前記ケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンおよびこれらの2種以上の混合溶媒からなる群から選択される、[17]〜[19]のいずれかに記載の製造方法。
[21]前記有機酸は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である、[17]〜[20]のいずれかに記載の製造方法。
[22]前記重合反応により得られた重合体の側鎖に放射線硬化性官能基を導入するための反応を行うことを更に含む、[17]〜[21]のいずれか1項に記載の製造方法。
[23]前記重合反応により得られた重合体は側鎖に水酸基を含み、
上記水酸基と、イソシアネート基を有する放射線硬化性官能基含有化合物のイソシアネート基とのウレタン化反応により、前記重合体の側鎖に上記放射線硬化性官能基を導入する、[22]に記載の製造方法。
[24]前記放射線硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基である、[22]または[23]に記載の製造方法。
本発明によれば、磁気記録媒体用結合剤として好適な、磁気記録媒体用粉末を高度に分散し得る重合体を提供することができる。
更に上記重合体は、磁気記録媒体形成用塗布液に汎用されるケトン系溶媒中で合成可能であるため、合成反応後に反応溶媒を除去せずにそのまま磁気記録媒体形成用塗布液の調製に使用することが可能である。したがって、製造工程の簡略化の観点から極めて有利である。
更に上記重合体は、磁気記録媒体形成用塗布液に汎用されるケトン系溶媒中で合成可能であるため、合成反応後に反応溶媒を除去せずにそのまま磁気記録媒体形成用塗布液の調製に使用することが可能である。したがって、製造工程の簡略化の観点から極めて有利である。
本発明は、一般式(I):
[一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表し、R11は水素原子または置換基を表し、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、Y1はスルホン酸基と脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンから形成される塩を表す。]
で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴とする樹脂組成物
に関する。
本発明の樹脂組成物は、スルホン酸基と上記アミンとの塩を含む構造単位を有する重合体(対塩型ポリマー)を含むものであり、該重合体はプロトン型ポリマーと比べて、磁気記録媒体用粉末を高度に分散することができるため、磁気記録媒体用結合剤として使用することで優れた表面平滑性を有する磁気記録媒体を実現し得るものである。
で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴とする樹脂組成物
に関する。
本発明の樹脂組成物は、スルホン酸基と上記アミンとの塩を含む構造単位を有する重合体(対塩型ポリマー)を含むものであり、該重合体はプロトン型ポリマーと比べて、磁気記録媒体用粉末を高度に分散することができるため、磁気記録媒体用結合剤として使用することで優れた表面平滑性を有する磁気記録媒体を実現し得るものである。
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体を含む。以下、一般式(I)で表される構造単位を有する重合体について、更に詳細に説明する。
[一般式(I)で表される構造単位を有する重合体]
一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、メチル基を表すことが好ましい。
X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表す。ここでR11は水素原子または置換基を表す。該置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。以下、特記しない限り、本発明における「置換基」については、上記置換基の説明を参照することができる。R11としては、分散性向上の観点からは、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
なお本発明において、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、メチル基を表すことが好ましい。
X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表す。ここでR11は水素原子または置換基を表す。該置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。以下、特記しない限り、本発明における「置換基」については、上記置換基の説明を参照することができる。R11としては、分散性向上の観点からは、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
なお本発明において、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
一般式(I)中、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。L1で表されるアルキレン基の炭素数は、分散性向上の観点から、好ましくは1〜10の範囲であり、より好ましくは1〜6の範囲であり、より一層好ましくは1〜3の範囲である。
一般式(I)中、Y1はスルホン酸基と脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンから形成される塩を表す。前記重合体は、スルホン酸基を上記アミンと塩を形成した状態で含むことで、スルホン酸基そのものを含むアクリル系ポリマーと比べて、磁気記録媒体用粉末に対して高い分散性向上効果を示すことができる。
本発明における脂肪族三級アミンとは、窒素原子に芳香族基が直接結合していない第三級アミンをいう。即ち、窒素原子に結合する3つの有機基が全て、置換または無置換の飽和または不飽和の脂肪族基である化合物である。上記脂肪族基は、2つ以上が連結して環構造を形成していてもよい。前記脂肪族三級アミンとしては、分散性向上の観点から、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンまたはジアザビシクロウンデセン(DBU)であることが好ましく、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンまたはジアザビシクロウンデセン(DBU)であることがより好ましい。
本発明におけるメチル基含有芳香族アミンとは、構成原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香環に1つ以上のメチル基が直接または連結基を介して間接的に置換している構造を有するアミンである。含窒素芳香環としては、より一層の分散性向上の観点からは、5員または6員環が好ましく、イミダゾール環またはピリジン環がより好ましい。含有されるメチル基の数は1つ以上であり、2つ、3つまたは4つ以上であってもよい。より一層の分散性向上の観点からは、前記芳香族アミンに含まれるメチル基は1つであることが好ましい。メチル基は、含窒素芳香環に直接または連結基を介して間接的に置換していてもよい。連結基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニル基、またはこれらが直接もしくは間接的に連結した2価の基等を挙げることができる。メチル基は、より一層の分散性向上の観点からは、含窒素芳香環に直接置換していることが好ましい。以上の観点から、特に好ましいメチル基含有芳香族アミンとしては、N−メチルイミダゾール、α−、β−、またはγ−メチルピリジンを挙げることができる。
前記重合体は、プロトン型アクリル系ポリマーを上記アミンと混合し、プロトン型アクリル系ポリマーに含まれるスルホン酸基を上記アミンにより中和することによって得ることができ、または一般式(I)で表される構造単位を導入可能なアクリルモノマーを原料モノマーの1種として使用することで得ることができる。かかる原料モノマーは、スルホン酸基を有する下記一般式(X)で表されるアクリルモノマーを、上記アミンとともに溶媒中で反応させることで得ることができる。
なお一般式(X)で表されるアクリルモノマーの中には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のように、従来、スルホン酸基を含む磁気記録媒体用結合剤を合成する際の原料モノマーとして広く使用されていたものがある。しかし一般式(X)で表されるアクリルモノマーは磁気記録媒体形成用塗布液に汎用されるケトン系溶媒への溶解性に乏しい。したがって、かかるアクリルモノマーを使用してスルホン酸基を含む磁気記録媒体用結合剤を合成する場合には、該アクリルモノマーを溶解可能な非ケトン系溶媒を使用せざるを得なかった。
これに対し本発明者の検討により、一般式(X)で表されるアクリルモノマーは、脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンと塩を形成すると、ケトン系溶媒に対する溶解性が高まることが新たに見出された。したがって、一般式(X)で表されるアクリルモノマーを上記アミンとケトン系溶媒中で反応させ、一般式(X)中のZ1部(スルホン酸基)が上記アミンと塩を形成した、下記一般式(X-1)で表される対塩型のアクリルモノマーとすればケトン系溶媒に溶解可能となるため、その後の他の重合性成分との重合反応を、引き続きケトン系溶媒中で行うことが可能となる。ケトン系溶媒中で合成された結合剤は、反応溶媒を除去せずにそのまま磁気記録媒体形成用塗布液の調製に使用することが可能であるため、製造工程の簡略化の観点から極めて有利である。この場合に使用するメチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンとする。メチル基が連結基を介して芳香環に置換したメチル基含有芳香族アミンや、芳香環にメチル基が2つ以上置換したメチル基含有芳香族アミンでは、ケトン系溶媒に溶解可能な対塩型のアクリルモノマーを形成することは困難だからである。
これに対し本発明者の検討により、一般式(X)で表されるアクリルモノマーは、脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンと塩を形成すると、ケトン系溶媒に対する溶解性が高まることが新たに見出された。したがって、一般式(X)で表されるアクリルモノマーを上記アミンとケトン系溶媒中で反応させ、一般式(X)中のZ1部(スルホン酸基)が上記アミンと塩を形成した、下記一般式(X-1)で表される対塩型のアクリルモノマーとすればケトン系溶媒に溶解可能となるため、その後の他の重合性成分との重合反応を、引き続きケトン系溶媒中で行うことが可能となる。ケトン系溶媒中で合成された結合剤は、反応溶媒を除去せずにそのまま磁気記録媒体形成用塗布液の調製に使用することが可能であるため、製造工程の簡略化の観点から極めて有利である。この場合に使用するメチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンとする。メチル基が連結基を介して芳香環に置換したメチル基含有芳香族アミンや、芳香環にメチル基が2つ以上置換したメチル基含有芳香族アミンでは、ケトン系溶媒に溶解可能な対塩型のアクリルモノマーを形成することは困難だからである。
分散性をよりいっそう向上するためには、前記重合体への上記Y1で表される塩の導入量は10〜1000μeq/gとすることが好ましい。このためには、Y1を導入するために使用するアクリルモノマーを、原料モノマーの合計量に対して0.1〜10モル%使用することが好ましく、0.5〜6モル%使用することが好ましい。
前記重合体は、一般式(I)で表される構造単位とともに、他の構造単位を含むことができる。そのような構造単位としては、一般式(II):
[一般式(II)中、R2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表される構造単位を挙げることができる。一般式(II)で表される構造単位を含む重合体は、水酸基を含むことでより一層の分散性向上に寄与することができ、また、ポリイソシアネートを併用する系ではポリイソシアネートと水酸基が架橋することにより塗膜強度向上に寄与するため好ましい。
で表される構造単位を挙げることができる。一般式(II)で表される構造単位を含む重合体は、水酸基を含むことでより一層の分散性向上に寄与することができ、また、ポリイソシアネートを併用する系ではポリイソシアネートと水酸基が架橋することにより塗膜強度向上に寄与するため好ましい。
以下、一般式(II)の詳細について説明する。
一般式(II)中、R2は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表す。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R2は水素原子またはメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
R2は水素原子またはメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
一般式(II)中、L2は単結合または2価の連結基を表し、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子のいずれかを含む連結基が好ましい。L2で表される2価の連結基としては、主鎖の炭素原子と−C(O)−基を介して結合するものが好ましく、後述の一般式(II-1)中の−C(O)X2R21−で表される2価の連結基がより好ましい。
分散性向上の観点からは、構造単位(II)は下記一般式(II-1)で表される構造単位 であることが好ましい。
一般式(II-1)中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
X2は−O−、−S−、または−N(R22)−で表される2価の連結基を表し、−O−であることが好ましい。
上記R22は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。R22で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上4以下である。R22で表されるアルキル基の炭素数が上記範囲であることにより、溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。
R21は置換基を有してもよい炭素数2以上8以下のアルキレン基または該アルキレン基が連結基を介して複数連結した2価の基を表す。R21で表される基に含まれるアルキレン基の炭素数が上記範囲であることにより、溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。上記アルキレン基を連結する連結基としては、溶解性の点からエステル結合が好ましい。R21で表される基に含まれる炭素数2以上8以下のアルキレン基の数は、好ましくは1以上3以下である。
以上説明した一般式(II)で表される構造単位は下記一般式(II’)で表されるビニルモノマーから誘導することができ、一般式(II-1)で表される構造単位は下記一般式(II-1’)で表されるアクリルモノマーから誘導することができる。
一般式(II’)または一般式(II-1’)で表されるモノマーの具体例としては、以下のモノマーを挙げることができる。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアルコール。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアルコール。
分散性をより一層向上する観点から、前記重合体に含まれることが好ましい構造単位としては、下記一般式(III)で表される構造単位、および下記一般式(IV)で表される構造単位を挙げることもできる。以下、それぞれの詳細を説明する。
一般式(III)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表す。その詳細は、先に一般式(II)中のR2について述べた通りである。
L3は単結合または2価の連結基を表す。L3で表される2価の連結基は、ヘテロ原子を含むことが好ましく、ヘテロ原子にZ3で表される脂環式の環状基と結合することが好ましい。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、イオウ原子を挙げることができる。L3としては、単結合または主鎖の炭素原子と−C(O)−基を介して結合する2価の連結基が好ましく、後述の一般式(III-1)中の−C(O)X3−で表される2価の連結基がより好ましい。
一般式(III)中、Z3は環状構造を有する置換基を表す。Z3で表される置換基は、分散性向上の観点から、脂環式の環状基を表すことが好ましい。脂環式の環状基は、飽和であっても不飽和であってもよく、単環、多環、縮合環のいずれであってもよい。また、置換基を有していてもよい。該置換基としては、一般式(I)のR11について前述した通りである。
Z3で表される単環式の脂環式環状基としては、5〜6員のものが好ましく、具体例としては、シクロへキシル基、シクロペンチル基を挙げることができ、多環式の脂環式環状基としては、7〜10員のものが好ましく、具体例としては、ビシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基を挙げることができる。分散性向上の点からは、Z3は脂環式の縮合環基であることが好ましい。脂環式の縮合環としては、後述の一般式(III-1)中のY31で表される脂環式の縮合環が好ましい。
分散性向上の観点からは、一般式(III)で表される構造単位は、下記一般式(III-1)で表される構造単位であることが好ましい。
一般式(III-1)中、R3は、水素原子またはメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
X3は−O−、−S−、または−N(R31)−で表される2価の連結基を表し、−O−であることが好ましい。
上記R31は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。R31で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上4以下である。R31で表されるアルキル基の炭素数が上記範囲であることにより、溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。
Z31は脂環式の縮合環基を表す。Z31で表される脂環式の縮合環基は、7〜10員のものが好ましい。好ましい縮合環基の具体例としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基を挙げることができる。
以上説明した一般式(III)で表される構造単位は、下記一般式(III’)で表されるビニルモノマーから誘導することができ、一般式(III-1)で表される構造単位は、下記一般式一般式(III-1’)で表されるアクリルモノマーから誘導することができる。
以下に、一般式(III’)または一般式(III-1’)で表されるモノマーの具体例示す。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
一般式(IV)中、R4は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表す。その詳細は、先に一般式(II)中のR2について述べた通りである。
一般式(IV)中、L4は単結合または2価の連結基を表し、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子のいずれかを含む連結基が好ましい。L4としては、単結合または主鎖の炭素原子と−C(O)−基を介して結合する2価の連結基が好ましく、後述の一般式(IV-1)中の−C(O)X4−で表される2価の連結基がより好ましい。
一般式(IV)中、Yは、炭素数8以上50以下の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は、置換または無置換の直鎖、分岐、または環状の飽和または不飽和の炭化水素基であり、直鎖または分岐の炭化水素基であることが好ましい。炭素数が8以上であることにより分散性向上に寄与することができ、炭素数50以下であることにより溶解性を確保することができる。上記炭化水素基の炭素数は、分散性および溶解性の観点から、12以上30以下であることが好ましい。Yで表される炭化水素基は、炭素数12以上30以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数12以上18以下のアルキル基であることが更に好ましい。
分散性向上の観点からは、一般式(IV)で表される構造単位は、下記一般式(IV-1)で表される構造単位であることが好ましい。
一般式(IV-1)中、R4は水素原子またはメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
nは12以上30以下の整数を表し、12以上18以下の整数であることがより好ましい。
X4は−(O)m1−、−(S)m2−または−{N(R41)}m3−で表される2価の連結基を表し、−(O)m1−で表される2価の連結基を表すことが好ましい。ここでm1、m2、およびm3は、それぞれ独立に1以上の整数を表す。
上記R41は、置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。R41で表されるアルキル基の炭素数は1以上4以下であることが好ましい。R41で表されるアルキル基の炭素数が上記範囲であることにより、溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。
また、上記m1、m2、およびm3は、溶解性維持の観点から、5以下の整数であることが好ましい。
また、上記m1、m2、およびm3は、溶解性維持の観点から、5以下の整数であることが好ましい。
以上説明した一般式(IV)で表される構造単位は、下記一般式(IV’)で表されるビニルモノマーから誘導することができ、一般式(IV-1)で表される構造単位は下記一般式一般式一般式(IV’)で表されるアクリルモノマーから誘導することができる。
以下に、一般式(IV’)または一般式(IV-1’)で表されるモノマーの具体例を示す。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
より一層優れた分散性と高い塗膜強度を両立する観点から、前記重合体は、該共重合体を構成する全重合単位に基づいて、一般式(II)で表される構造単位を、5モル%以上80モル%以下含むことが好ましく、15モル%以上70モル%以下含むことがより好ましく、30モル%以上60モル%以下含むことが更に好ましい。
より一層優れた分散性を得る観点から、前記重合体は、一般式(III)で表される構造単位を5モル%以上75モル%以下含むことが好ましく、15モル%以上60モル%以下含むことがより好ましく、30モル%以上50モル%以下含むことが更に好ましく、一般式(IV)で表される構造単位を、5モル%以上75モル%以下含むことが好ましく、5モル%以上50モル%以下含むことがより好ましく、10モル%以上30モル%以下含むことが更に好ましい。
また、先に説明したように、一般式(I)中のY1を導入するために使用するアクリルモノマーは、原料モノマーの合計量に対して0.1〜10モル%使用することが好ましく、0.5〜6モル%使用することが好ましい。
したがって重合反応時の各モノマーの配合比は、上記好ましい組成を有する重合体が得られるように設定することが好ましい。また、前記したモノマーとともに、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、エチレン性不飽和ニトリル系モノマー、エチレン性不飽和酸系モノマー、アルキルビニルエーテル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物等の公知の重合性成分を使用することもできる。
より一層優れた分散性を得る観点から、前記重合体は、一般式(III)で表される構造単位を5モル%以上75モル%以下含むことが好ましく、15モル%以上60モル%以下含むことがより好ましく、30モル%以上50モル%以下含むことが更に好ましく、一般式(IV)で表される構造単位を、5モル%以上75モル%以下含むことが好ましく、5モル%以上50モル%以下含むことがより好ましく、10モル%以上30モル%以下含むことが更に好ましい。
また、先に説明したように、一般式(I)中のY1を導入するために使用するアクリルモノマーは、原料モノマーの合計量に対して0.1〜10モル%使用することが好ましく、0.5〜6モル%使用することが好ましい。
したがって重合反応時の各モノマーの配合比は、上記好ましい組成を有する重合体が得られるように設定することが好ましい。また、前記したモノマーとともに、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、エチレン性不飽和ニトリル系モノマー、エチレン性不飽和酸系モノマー、アルキルビニルエーテル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物等の公知の重合性成分を使用することもできる。
前記重合体を得るための反応は、先に説明したように、一般式(X)で表されるアクリルモノマーを前記アミンとケトン系溶媒中で反応させ、一般式(X)中のZ1部(スルホン酸基)が前記アミンと塩を形成した、前記一般式(X-1)で表される対塩型のアクリルモノマーを得た後、他の重合性成分を同時または逐次添加して引き続きケトン系溶媒中で重合反応を行うことが好ましい。
反応溶媒に添加する一般式(X)で表されるアクリルモノマーの濃度は、反応効率の点から1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。一般式(X)で表されるアクリルモノマーと反応させる前記アミンの量は、反応効率の点からはアクリルモノマーに対して過剰量とすることが好ましく、反応溶媒(好ましくはケトン系溶媒)に添加した一般式(X)で表されるアクリルモノマーに対して1.0当量以上とすることが好ましい。また、反応後に残留する未反応のアミン量を低く抑える観点から、一般式(X)で表されるアクリルモノマーに対する前記アミンの量は、5.0当量以下とすることが好ましい。
上記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を単独または任意の割合で混合して使用することができる。一般式(X)で表されるアクリルモノマーと前記アミンとの反応をメチルエチルケトン中で行うことは、塩形成の反応速度が速く反応を短時間で終了できる点から好ましい。また、上記反応後に引き続き、得られた一般式(X-1)で表される対塩型のアクリルモノマーを他の重合性成分との重合反応に付す際には、重合開始剤の分解温度よりもケトン系溶媒の沸点が高いことが望ましい。この点から好ましいケトン系溶媒は、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンである。
一般式(X)で表されるアクリルモノマーと前記アミンとの反応は、反応効率の点からは0℃以上で行うことが好ましく、反応溶媒、一般式(X)で表されるアクリルモノマーおよび脂肪族三級アミンの沸点以下の温度で行うことが望ましい。沸点を超える温度で反応させる場合には冷却管の使用や封管させるなど低沸点物が揮発しない操作を適宜行うことが好ましい。上記反応は、減圧下で行ってもよいが、大気圧下でも十分進行し得る。反応時間は、一般式(X-1)で表される対塩型のアクリルモノマーを得る反応が十分に進行する範囲内で適宜設定すればよく、例えば30分〜16時間程度とすることができる。
次いで、一般式(X-1)で表される対塩型のアクリルモノマーを得るための上記反応を行った反応系に、その他の重合性成分を同時または逐次添加し重合反応を行うことで、前記重合体を得ることができる。必要に応じてケトン系溶媒を追加することも可能である。反応効率を高めるためには、重合性モノマーを反応溶媒に添加した後に完溶させることが好ましい。
重合反応は、公知の重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で行うことができる。重合条件は、用いる重合可能な化合物類や重合開始剤、連鎖移動剤の種類等により異なるが、一般に、液温は50〜80℃程度、反応時間は1〜30時間程度とすることが好ましい。
重合反応は大気中で行ってもよく、窒素、アルゴン等の反応に不活性な気体の雰囲気下で行ってもよい。また、減圧下で行ってもよく、大気圧下で行ってもよい。重合に際しては、上記重合反応系に上述の成分以外に、一般に重合反応に添加される他の成分を添加してもよい。
重合反応は大気中で行ってもよく、窒素、アルゴン等の反応に不活性な気体の雰囲気下で行ってもよい。また、減圧下で行ってもよく、大気圧下で行ってもよい。重合に際しては、上記重合反応系に上述の成分以外に、一般に重合反応に添加される他の成分を添加してもよい。
近年、磁気記録分野では、塗膜強度を高め走行耐久性を向上するために、強靭な塗膜を形成することができる放射線硬化性樹脂を使用することが行われているが、本発明には前記重合体が放射線硬化性樹脂である態様も包含される。即ち、前記重合体は、放射線硬化性官能基を有する構造単位を有することもできる。ここで放射線硬化性官能基とは、放射線照射により硬化反応(架橋反応)を起こし得るものであればよく特に限定されるものではないが、反応性の点から、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基が好ましく、アクリル系二重結合基が更に好ましい。ここでアクリル系二重結合基とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド等の残基をいう。これらの中でも、反応性の点からは(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、メタクリロイルオキシ基とアクリロイルオキシ基とを含むものとし、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートとを含むものとする。
放射線硬化性官能基を有する前記重合体を得るためには、所望量の放射線硬化性官能基を容易に導入可能であるため、重合反応を行い得られた重合体を、側鎖に放射線硬化性官能基を導入するための反応に付すことが好ましい。当該反応のために使用可能な放射線硬化性官能基含有化合物としては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の炭素−炭素二重結合基を含有する化合物を挙げることができる。中でも、側鎖に水酸基を有する重合体を得た後に、イソシアネート基を有する放射線硬化性官能基含有化合物のイソシアネート基と上記水酸基とをウレタン化反応させることで、重合体の側鎖に放射線硬化性官能基を導入することが、反応の簡便さ、コスト、および原料入手性の観点から好ましい。こうして得られる重合体としては、放射線硬化性官能基として(メタ)アクリロイルオキシ基を有するとともにイソシアネート基を有する化合物と、アクリルモノマー由来の構成単位との反応により得られる、下記一般式(XX):
[一般式(XX)中、R100およびR101は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、X100はウレタン結合を含む2価の連結基を表す。]
で表される構成単位を有するものを挙げることができる。X100で表される2価の連結基は、上記化合物のイソシアネート基と、アクリルモノマー由来の構成単位の側鎖末端に位置する水酸基とのウレタン化反応により形成されるウレタン結合を含む2価の連結基である。上記の側鎖に水酸基を有する重合体とは、例えば前記一般式(II)で表される構造単位を有するものである。重合体に放射線硬化性官能基を導入するための反応は、先に説明した重合反応と同様、ケトン系溶媒中で行うことが、反応後の反応液をそのまま、または任意に添加剤を添加することにより磁気記録媒体形成用塗布液として使用できるため好ましい。なお上記反応には、必要に応じて、例えば特開2011−102372号公報段落[0065]に記載されているように公知の反応触媒を使用してもよい。こうして得られる放射線硬化性を有する重合体における放射線硬化性線官能基の含有量は、高強度かつ優れた表面平滑性を有する塗膜を形成する観点から、1.0mmol/kg〜4000mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2000mmol/kgであることがさらに好ましい。
で表される構成単位を有するものを挙げることができる。X100で表される2価の連結基は、上記化合物のイソシアネート基と、アクリルモノマー由来の構成単位の側鎖末端に位置する水酸基とのウレタン化反応により形成されるウレタン結合を含む2価の連結基である。上記の側鎖に水酸基を有する重合体とは、例えば前記一般式(II)で表される構造単位を有するものである。重合体に放射線硬化性官能基を導入するための反応は、先に説明した重合反応と同様、ケトン系溶媒中で行うことが、反応後の反応液をそのまま、または任意に添加剤を添加することにより磁気記録媒体形成用塗布液として使用できるため好ましい。なお上記反応には、必要に応じて、例えば特開2011−102372号公報段落[0065]に記載されているように公知の反応触媒を使用してもよい。こうして得られる放射線硬化性を有する重合体における放射線硬化性線官能基の含有量は、高強度かつ優れた表面平滑性を有する塗膜を形成する観点から、1.0mmol/kg〜4000mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2000mmol/kgであることがさらに好ましい。
前記重合体は、高強度の塗膜を得る観点から質量平均分子量は1,000以上であることが好ましく、作業性を良好に維持するために所定濃度における塗料粘度を適切な範囲とする観点から200,000以下であることが好ましい。また、質量平均分子量Mwと数平均分子量の比である分子量分布(Mw/Mn)は1.00〜5.50であることが好ましい。より好ましくは1.01〜5.40である。分子量分布が5.50以下であれば、組成分布が少なく、良好な分散性が得られるので好ましい。本発明における平均分子量は、標準ポリスチレン換算で求められる値をいうものとする。重合体の分子量は、原料組成、反応条件等により制御することができる。
先に説明したように、本発明の樹脂組成物に含まれる一般式(I)で表される重合体は、対塩型ポリマーであることにより、プロトン型ポリマーと比べて磁気記録媒体用粉末を高度に分散することができる。したがって本発明の樹脂組成物は、強磁性粉末、非磁性粉末等の磁気記録媒体の構成成分と混合し磁気記録媒体形成用塗布液として使用することが好ましい。前述のように、一般式(I)で表される重合体は磁気記録媒体形成用塗布液に汎用されているケトン系溶媒中で合成可能であるため、合成後に反応溶媒を除去することなく、各種成分と混合することで、磁気記録媒体形成用塗布液を調製できる点で、工程簡略化の観点からきわめて有利である。
即ち、本発明によれば、本発明の樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物も提供される。本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物に含まれる重合体については、先に説明した通りであり、任意に混合可能な各種成分については、以下の本発明の磁気記録媒体に関する記載を参照できる。
即ち、本発明によれば、本発明の樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物も提供される。本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物に含まれる重合体については、先に説明した通りであり、任意に混合可能な各種成分については、以下の本発明の磁気記録媒体に関する記載を参照できる。
更に本発明は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記結合剤が、前記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体を構成成分として含むことを特徴とする磁気記録媒体にも関する。前記一般式(I) で表される、スルホン酸基と脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンとの塩を含む構造単位を有する重合体を構成成分として含む結合剤を磁性層に含むことで、強磁性粉末を高度に分散することができ、これにより優れた表面平滑性を実現し得るものである。
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の結合剤が、上記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体を構成成分として含む。ここで「構成成分として含む」とは、磁性層に上記重合体そのものが存在する態様とともに、該重合体が他の成分との反応生成物として存在する態様も含むものとする。上記重合体は、例えば前述のように水酸基を含む構成単位を有する場合にはポリイソシアネートと反応し架橋構造を形成した状態で磁性層に存在することができ、そのような態様も本発明に含まれる。
本発明の磁気記録媒体において、一般式(I)で表される構造単位を有する重合体は、分散性向上の観点から、強磁性粉末100質量部に対して5〜50質量部の範囲で使用することが好ましく、7〜45質量部の範囲で使用することがより好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の結合剤として、前記重合体以外に公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂、これらの混合物等の他の樹脂成分を含むこともできる。ただし併用しない場合であっても、本発明によれば、前記重合体により高い表面平滑性を有する磁性層を備えた磁気記録媒体を実現することができる。
前記重合体と他の樹脂成分とを併用する場合、他の樹脂成分の使用量は、前記重合体100質量部に対し、1〜100質量部とすることが好ましく、10〜100質量部とすることがより好ましい。
前記重合体と他の樹脂成分とを併用する場合、他の樹脂成分の使用量は、前記重合体100質量部に対し、1〜100質量部とすることが好ましく、10〜100質量部とすることがより好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層成分として、ポリイソシアネートを含むこともできる。特に、前述の水酸基を含む構成単位(II)を有する重合体とポリイソシアネートを併用すれば、水酸基とイソシアネート基が架橋構造を形成することで、高い塗膜強度を有する磁性層を形成することができる。ポリイソシアネートとしては、より一層の塗膜強度向上の観点からは、3官能以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。3官能以上のポリイソシアネートの具体例としては、トリメチロールプロパン(TMP)にTDI(トリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにIPDI(イソホロンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにXDI(キシリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、などアダクト型ポリイソシアネート化合物、TDIの縮合イソシアヌレート型3量体、TDIの縮合イソシアヌレート5量体、TDIの縮合イソシアヌレート7量体、およびこれらの混合物、HDIのイソシアヌレート型縮合物、IPDIのイソシアヌレート型縮合物、さらにクルードMDIなどを挙げることができる。ポリイソシアネートの使用量は、結合剤樹脂100質量部に対して、例えば0〜80質量部とすることができ、塗膜強度向上の点から、50〜80質量部とすることが好ましい。
強磁性粉末をより一層高度に分散するためには、芳香族化合物等の従来公知の分散剤を磁性層成分として使用することもできる。好ましい分散剤としては、特開2007−257713号公報に記載のフェニルホスホン酸等のリン系(リン含有)の芳香族化合物を挙げることができる。分散剤は、より一層の分散性向上の観点から、強磁性粉末100質量部に対して0.1〜10質量部使用することが好ましく、2〜8質量部使用することがより好ましい。
次に、本発明の磁気記録媒体の具体的態様について、更に詳細に説明する。
磁性層
(i)強磁性粉末
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、針状強磁性体、平板状磁性体、または球状もしくは楕円状磁性体を挙げることができる。高密度記録化の観点から針状強磁性体の平均長軸長は、20nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上45nm以下であることがより好ましい。平板状磁性体の平均板径は、六角板径で10nm以上50nm以下であることが好ましい。磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下であることが好ましい。板径が上記範囲であれば、熱揺らぎがなく安定な磁化が望める。また、ノイズも低くなるため高密度磁気記録に適する。球状もしくは楕円状磁性体は、高密度記録化の観点から、平均直径が10nm以上50nm以下であることが好ましい。
(i)強磁性粉末
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、針状強磁性体、平板状磁性体、または球状もしくは楕円状磁性体を挙げることができる。高密度記録化の観点から針状強磁性体の平均長軸長は、20nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上45nm以下であることがより好ましい。平板状磁性体の平均板径は、六角板径で10nm以上50nm以下であることが好ましい。磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下であることが好ましい。板径が上記範囲であれば、熱揺らぎがなく安定な磁化が望める。また、ノイズも低くなるため高密度磁気記録に適する。球状もしくは楕円状磁性体は、高密度記録化の観点から、平均直径が10nm以上50nm以下であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、以下の方法により測定することができる。
強磁性粉末を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで粉体の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定する。上記方法により測定される粒子サイズの平均値を強磁性粉末の平均粒子サイズとする。
強磁性粉末を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで粉体の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定する。上記方法により測定される粒子サイズの平均値を強磁性粉末の平均粒子サイズとする。
なお、本発明において、磁性体等の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、(1)粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、(3)粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
また、該粉体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体サイズの定義で(1)の場合は、粉体を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さ乃至高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
以上説明した各磁性体については、特開2009−96798号公報段落[0097]〜[0110]に詳細に記載されている。
(ii)添加剤
前述の通り磁性層には分散剤が含まれていてもよく、その他にも研磨剤、潤滑剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。上記添加剤の具体例等の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0111]〜[0115]を参照できる。
前述の通り磁性層には分散剤が含まれていてもよく、その他にも研磨剤、潤滑剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。上記添加剤の具体例等の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0111]〜[0115]を参照できる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。カーボンブラックの比表面積は好ましくは100〜500m2/g、より好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は好ましくは20〜400ml/100g、より好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、好ましくは5〜80nm、より好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlがそれぞれ好ましい。磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。それらは市販品として入手可能である。
本発明で使用されるこれらの添加剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に直接磁性層を有することもでき、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有することもできる。非磁性層の結合剤を構成する樹脂成分として、先に説明した一般式(I)で表される構造単位を有する重合体を使用してもよく、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂、これらの混合物等の他の樹脂成分を使用してもよい。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に直接磁性層を有することもでき、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有することもできる。非磁性層の結合剤を構成する樹脂成分として、先に説明した一般式(I)で表される構造単位を有する重合体を使用してもよく、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂、これらの混合物等の他の樹脂成分を使用してもよい。
上記非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr2O3、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどが単独または2種類以上を組み合わせて使用される。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。
非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜1μmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜1μmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。
これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜2μmが好ましい。5nm〜2μmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。ただし必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。本発明の磁気記録媒体に使用可能な非磁性粉末の詳細については、特開2009−96798号公報段落[0123]〜[0132]を参照できる。
非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜1μmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜1μmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。
これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜2μmが好ましい。5nm〜2μmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。ただし必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。本発明の磁気記録媒体に使用可能な非磁性粉末の詳細については、特開2009−96798号公報段落[0123]〜[0132]を参照できる。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のμビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のμビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2であり、薄膜硬度計(日本電気(株)製 HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は、好ましくは100〜500m2/g、更に好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は好ましくは20〜400ml/100g、更に好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は好ましくは5〜80nm、より好ましく10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlがそれぞれ好ましい。非磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。それらは市販品として入手可能である。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層に関する公知技術が適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
非磁性支持体
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
バックコート層
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して繰り返し走行性が強く要求される。このような高い保存安定性を維持させるために、非磁性支持体の磁性層が設けられた面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層用塗布液は、研磨剤、帯電防止剤などの粒子成分と結合剤とを有機溶媒に分散させることにより形成することができる。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができる。また、結合剤としては、例えば、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。上記バックコート層を形成するために、前述の重合体を使用することも可能である。
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して繰り返し走行性が強く要求される。このような高い保存安定性を維持させるために、非磁性支持体の磁性層が設けられた面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層用塗布液は、研磨剤、帯電防止剤などの粒子成分と結合剤とを有機溶媒に分散させることにより形成することができる。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができる。また、結合剤としては、例えば、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。上記バックコート層を形成するために、前述の重合体を使用することも可能である。
層構成
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の好ましい厚さは3〜80μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に上記平滑化層を設ける場合、平滑化層の厚さは例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。また、上記バックコート層の厚さは、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の好ましい厚さは3〜80μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に上記平滑化層を設ける場合、平滑化層の厚さは例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。また、上記バックコート層の厚さは、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。
磁性層の厚さは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、高容量化の観点から、好ましくは10nm〜100nmであり、より好ましくは20nm〜80nmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚さは、0.2〜3.0μmであることが好ましく、0.3〜2.5μmであることがより好ましく、0.4〜2.0μmであることがさらに好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体が非磁性層を有する場合、該非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT(100G)以下または抗磁力が7.96kA/m(100 Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
製造方法
磁性層、非磁性層等の各層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなることが好ましい。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
また、本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物に、上記原料を同時または逐次添加することにより、塗布液を製造することもできる。例えば強磁性粉末、非磁性粉末等の粉末成分をニーダにより解砕した後、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物(更に任意に併用される他の結合剤成分)を添加して混練工程を行い、この混練物に各種添加剤を添加し分散工程を行うことにより塗布液を調製することができる。
磁性層、非磁性層等の各層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなることが好ましい。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
また、本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物に、上記原料を同時または逐次添加することにより、塗布液を製造することもできる。例えば強磁性粉末、非磁性粉末等の粉末成分をニーダにより解砕した後、本発明の磁気記録媒体用結合剤樹脂組成物(更に任意に併用される他の結合剤成分)を添加して混練工程を行い、この混練物に各種添加剤を添加し分散工程を行うことにより塗布液を調製することができる。
各層形成用塗布液を調製するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対して15〜500質量部の結合剤(但し、全結合剤の30質量%以上が好ましい)を使用して混練処理することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗布液および非磁性層用塗布液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。ガラスビーズ以外には、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
磁気記録媒体の製造方法では、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を所定の膜厚となるようにして磁性層を塗布して形成する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次または同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次または同時に重層塗布してもよい。各層形成用塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。塗布工程の詳細については、特開2004−295926号公報段落[0067]、[0068]も参照できる。
また、塗布工程後の媒体には、乾燥処理、磁性層の配向処理、表面平滑化処理(カレンダー処理)等の各種の後処理を施すことができる。それらの処理の詳細については、例えば特開2004−295926号公報段落[0070]〜[0073]を参照できる。また、前記重合体が放射線硬化性樹脂である場合には、特開2011−102372号公報段落[0106]の記載等を参照して放射線照射による硬化処理を施すことで放射線硬化層を形成することができる。中でも非磁性層を放射線硬化層とすることは、その上層に形成される磁性層との界面混合による表面平滑性低下を抑制する観点から好ましい。即ち本発明は、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、非磁性層が、本発明の樹脂組成物および非磁性粉末を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であることを特徴とする磁気記録媒体にも関する。
前述のように塗膜強度向上のためポリイソシアネートを使用する場合、上記乾燥処理やカレンダー処理における加熱においても、架橋構造は形成され得るが、高強度の塗膜を形成するためには、上記処理以外にも加熱処理を行うことが好ましい。この場合の加熱処理は、例えば加熱温度は35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。また加熱処理時間は、例えば12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
得られた磁気記録媒体は、裁断機、打抜機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
得られた磁気記録媒体は、裁断機、打抜機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
更に本発明は、前記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体の製造方法にも関する。本発明の製造方法は、前記一般式(X)で表される有機酸と脂肪族三級アミンおよびメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンをケトン系溶媒中に溶解し、次いで該溶媒中に重合性成分を添加し重合反応を行うことで前記重合体を得るものである。その詳細は先に説明した通りであり、ここで使用されるメチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンとする。本発明の重合体の製造方法は、従来ケトン系溶媒での重合反応が困難であった2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が上記アミンと塩を形成するとケトン系溶媒への溶解性が高まるという、本発明者により新たに見出された性質を利用することで、ケトン系溶媒において前記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体を得ることを可能とする。得られた重合体(対塩型ポリマー)は、プロトン型ポリマーと比べて磁気記録媒体用粉末に対して高い分散性向上効果を示すことができるため、磁気記録媒体用結合剤として好適である。また、反応後の溶液は溶媒がケトン系溶媒であるため、反応溶媒を除去せずにそのまま磁気記録媒体形成用塗布液の調製に使用することができる。したがって本発明の重合体の製造方法によれば、磁気記録媒体の製造工程の簡略化を図ることで生産性を大きく高めることができる。また前述のように、重合反応により得られた重合体の側鎖に放射線硬化性官能基を導入するための反応を行うことにより、放射線硬化性樹脂として、前記重合体を得ることができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に示す「部」、「%」は、特に示さない限り質量部、質量%を示す。
1.アクリルポリマー合成の実施例、比較例
[実施例1]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、α−メチルピリジン0.45部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。後述の方法で遊離のα−メチルピリジンを測定したところ検出されなかったことから、上記溶液中でスルホン酸基とα−メチルピリジンが塩を形成した対塩型のアクリルモノマーが形成されたことが確認された。なお、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸はα−メチルピリジンと対塩を形成しない状態ではメチルエチルケトンにほとんど溶解しない。上記操作にて2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とα−メチルピリジンをメチルエチルケトンに添加したところ、未溶解物が確認されず完溶した溶液が得られたことから、添加した2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は全量がα−メチルピリジンと対塩を形成したことが確認できる。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、イソボロニルメタクリレート14.0部、ステアリルメタクリレート5.0部、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.60部、メチルエチルケトン18.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン77部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーAの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を後述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。後述の方法で遊離のα−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。この結果と、アミンがスルホン酸基と酸−塩基相互作用で結合することが後述の実施例12、13と比較例3、4との対比から実証されたことから、重合反応前後でアミンの存在状態は変化せず、得られた樹脂中でスルホン酸基がα−メチルピリジンと対塩を形成していることが確認された。
得られた樹脂中のスルホン酸基とα−メチルピリジンとの塩濃度を後述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、α−メチルピリジン0.45部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。後述の方法で遊離のα−メチルピリジンを測定したところ検出されなかったことから、上記溶液中でスルホン酸基とα−メチルピリジンが塩を形成した対塩型のアクリルモノマーが形成されたことが確認された。なお、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸はα−メチルピリジンと対塩を形成しない状態ではメチルエチルケトンにほとんど溶解しない。上記操作にて2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とα−メチルピリジンをメチルエチルケトンに添加したところ、未溶解物が確認されず完溶した溶液が得られたことから、添加した2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は全量がα−メチルピリジンと対塩を形成したことが確認できる。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、イソボロニルメタクリレート14.0部、ステアリルメタクリレート5.0部、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.60部、メチルエチルケトン18.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン77部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーAの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を後述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。後述の方法で遊離のα−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。この結果と、アミンがスルホン酸基と酸−塩基相互作用で結合することが後述の実施例12、13と比較例3、4との対比から実証されたことから、重合反応前後でアミンの存在状態は変化せず、得られた樹脂中でスルホン酸基がα−メチルピリジンと対塩を形成していることが確認された。
得られた樹脂中のスルホン酸基とα−メチルピリジンとの塩濃度を後述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。
測定方法
(1)平均分子量の測定
0.3%の臭化リチウムを含有するDMF溶媒を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)樹脂中の塩濃度
蛍光X線分析により硫黄(S)元素のピーク面積から硫黄元素量を定量し、樹脂1kgあたりの硫黄元素量に換算し、樹脂中のスルホン酸基と所定の有機アミンとの塩濃度を求めた。
(3)遊離の有機アミンの測定
得られた反応液を固形分濃度が5質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈し、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で遊離の有機アミンを分析した。
装置:島津社製GC−17A
カラム:DB-1
カラム温度:50℃
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
カラム昇温プログラム:50℃/5分→10℃/1分で250℃に昇温→250℃/10分
(1)平均分子量の測定
0.3%の臭化リチウムを含有するDMF溶媒を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)樹脂中の塩濃度
蛍光X線分析により硫黄(S)元素のピーク面積から硫黄元素量を定量し、樹脂1kgあたりの硫黄元素量に換算し、樹脂中のスルホン酸基と所定の有機アミンとの塩濃度を求めた。
(3)遊離の有機アミンの測定
得られた反応液を固形分濃度が5質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈し、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で遊離の有機アミンを分析した。
装置:島津社製GC−17A
カラム:DB-1
カラム温度:50℃
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
カラム昇温プログラム:50℃/5分→10℃/1分で250℃に昇温→250℃/10分
[実施例2]
α−メチルピリジン0.45部を、β−メチルピリジン0.45部に変えた点以外は合成1にしたがってアクリルポリマーBの溶液を得た。前述の方法で遊離のβ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.8万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とβ−メチルピリジンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のβ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
α−メチルピリジン0.45部を、β−メチルピリジン0.45部に変えた点以外は合成1にしたがってアクリルポリマーBの溶液を得た。前述の方法で遊離のβ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.8万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とβ−メチルピリジンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のβ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
[実施例3]
α−メチルピリジン0.45部を、γ−メチルピリジン0.45部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーCの溶液を得た。前述の方法で遊離のγ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とγ−メチルピリジンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のγ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
α−メチルピリジン0.45部を、γ−メチルピリジン0.45部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーCの溶液を得た。前述の方法で遊離のγ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とγ−メチルピリジンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のγ−メチルピリジンを測定したところ検出されなかった。
[実施例4]
α−メチルピリジン0.45部を、ジイソプロピルエチルアミン0.62部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーDの溶液を得た。前述の方法で遊離のジイソプロピルエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=4.6万、Mn=2.4万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とジイソプロピルエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のジイソプロピルエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
α−メチルピリジン0.45部を、ジイソプロピルエチルアミン0.62部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーDの溶液を得た。前述の方法で遊離のジイソプロピルエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=4.6万、Mn=2.4万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とジイソプロピルエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のジイソプロピルエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
[実施例5]
α−メチルピリジン0.45部を、ジアザビシクロウンデセン0.73部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーEの溶液を得た。前述の方法で遊離のジアザビシクロウンデセンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.8万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とジアザビシクロウンデセンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のジアザビシクロウンデセンを測定したところ検出されなかった。
α−メチルピリジン0.45部を、ジアザビシクロウンデセン0.73部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーEの溶液を得た。前述の方法で遊離のジアザビシクロウンデセンを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.8万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とジアザビシクロウンデセンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のジアザビシクロウンデセンを測定したところ検出されなかった。
[実施例6]
α−メチルピリジン0.45部を、N−メチルイミダゾール0.40部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーFの溶液を得た。前述の方法で遊離のN−メチルイミダゾールを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=5.7万、Mn=2.7万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とN−メチルイミダゾールとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のN−メチルイミダゾールを測定したところ検出されなかった。
α−メチルピリジン0.45部を、N−メチルイミダゾール0.40部に変えた点以外は合成例1にしたがってアクリルポリマーFの溶液を得た。前述の方法で遊離のN−メチルイミダゾールを測定したところ検出されなかった。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=5.7万、Mn=2.7万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とN−メチルイミダゾールとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のN−メチルイミダゾールを測定したところ検出されなかった。
[実施例7]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.3部、イソボロニルメタクリレート25.0部、ステアリルメタクリレート9.5部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.81部、メチルエチルケトン38.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン138.0部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーGの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、60μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.3部、イソボロニルメタクリレート25.0部、ステアリルメタクリレート9.5部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.81部、メチルエチルケトン38.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン138.0部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーGの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、60μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
[実施例8]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.1部、イソボロニルメタクリレート21.3部、ステアリルメタクリレート8.2部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.24部、メチルエチルケトン31部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン114部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーHの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、100μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.1部、イソボロニルメタクリレート21.3部、ステアリルメタクリレート8.2部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.24部、メチルエチルケトン31部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン114部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーHの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、100μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
[実施例9]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.2部、イソボロニルメタクリレート10.7部、ステアリルメタクリレート4.1部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.12部、メチルエチルケトン12部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン58.0部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーIの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、200μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.2部、イソボロニルメタクリレート10.7部、ステアリルメタクリレート4.1部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.12部、メチルエチルケトン12部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン58.0部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーIの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、200μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
[実施例10]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.2部、イソボロニルメタクリレート6.5部、ステアリルメタクリレート2.5部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.07部、メチルエチルケトン4.4部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン36部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーJの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、330μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.2部、イソボロニルメタクリレート6.5部、ステアリルメタクリレート2.5部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.07部、メチルエチルケトン4.4部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン36部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーJの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、330μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
[実施例11]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.9部、イソボロニルメタクリレート3.4部、ステアリルメタクリレート1.3部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.037部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン19部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーKの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、600μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.9部、イソボロニルメタクリレート3.4部、ステアリルメタクリレート1.3部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.037部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン19部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーKの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=3.7万、Mn=2.3万であった。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、600μeq/gであった。また、前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。
[比較例1(プロトン型ポリマーの合成)]
100mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、水3.0部、メタノール1.0部を加え遮光条件下25度以下で10分以上攪拌し完溶させた。500mlフラスコに、イソボロニルメタクリレート37部、ステアリルメタクリレート14部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート27部、メチルエチルケトン60部を加え遮光条件下25度以下で1時間以上攪拌し完溶させた後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の水/メタノール溶液を添加し、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.2部を加え、遮光条件下25℃で10分以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン30部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.4部を添加し、さらに5時間反応させ、樹脂溶液と白色沈殿物を得た。
白色沈殿物を減圧濾過によって除去し、アクリルポリマーLの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=7.0万、Mn=2.6万であった。得られた樹脂中のスルホン酸塩基濃度を前述の樹脂中の塩濃度の測定方法と同様の方法で測定したところ、スルホン酸濃度=54μeq/gであった。
100mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1部、水3.0部、メタノール1.0部を加え遮光条件下25度以下で10分以上攪拌し完溶させた。500mlフラスコに、イソボロニルメタクリレート37部、ステアリルメタクリレート14部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート27部、メチルエチルケトン60部を加え遮光条件下25度以下で1時間以上攪拌し完溶させた後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の水/メタノール溶液を添加し、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.2部を加え、遮光条件下25℃で10分以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン30部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.4部を添加し、さらに5時間反応させ、樹脂溶液と白色沈殿物を得た。
白色沈殿物を減圧濾過によって除去し、アクリルポリマーLの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=7.0万、Mn=2.6万であった。得られた樹脂中のスルホン酸塩基濃度を前述の樹脂中の塩濃度の測定方法と同様の方法で測定したところ、スルホン酸濃度=54μeq/gであった。
[実施例12]
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、トリエチルアミン0.0034部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところトリエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したトリエチルアミンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、トリエチルアミン0.0034部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところトリエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したトリエチルアミンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
[実施例13]
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、ジイソプロピルエチルアミン0.0042部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したトリエチルアミンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、ジイソプロピルエチルアミン0.0042部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したトリエチルアミンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
[比較例2]
以下の方法で、比較例1で得たアクリルポリマーLとは、一般式(X)で表されるアクリルモノマー由来のユニットを含まない点で構造的に相違するアクリルポリマーMを合成した。
500mlフラスコに、イソボロニルメタクリレート37部、ステアリルメタクリレート14部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート27部、2−ブタノン60部を加え遮光条件下25度以下で1時間以上攪拌し完溶させた後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.2部を加え、遮光条件下25℃で10分以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコに2−ブタノン30部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.4部を添加し、さらに5時間反応させ、樹脂溶液と白色沈殿物を得た。その後、白色沈殿物を減圧濾過によって除去し、透明な樹脂溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=6.5万、Mn=2.5万であった。
以下の方法で、比較例1で得たアクリルポリマーLとは、一般式(X)で表されるアクリルモノマー由来のユニットを含まない点で構造的に相違するアクリルポリマーMを合成した。
500mlフラスコに、イソボロニルメタクリレート37部、ステアリルメタクリレート14部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート27部、2−ブタノン60部を加え遮光条件下25度以下で1時間以上攪拌し完溶させた後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.2部を加え、遮光条件下25℃で10分以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコに2−ブタノン30部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.4部を添加し、さらに5時間反応させ、樹脂溶液と白色沈殿物を得た。その後、白色沈殿物を減圧濾過によって除去し、透明な樹脂溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を前述の方法で求めたところ、Mw=6.5万、Mn=2.5万であった。
[比較例3]
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、トリエチルアミン0.0034部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところトリエチルアミンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したトリエチルアミンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、トリエチルアミン0.0034部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところトリエチルアミンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したトリエチルアミンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
[比較例4]
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、ジイソプロピルエチルアミン0.0042部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したジイソプロピルエチルアミンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、ジイソプロピルエチルアミン0.0042部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したジイソプロピルエチルアミンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
実施例12、13と比較例3、4との対比から、脂肪族三級アミンはスルホン酸基と酸−塩基相互作用で結合することが確認された。
[実施例14]
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、α−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところα−メチルピリジンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したα−メチルピリジンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、α−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところα−メチルピリジンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したα−メチルピリジンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
[実施例15]
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、β−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したβ−メチルピリジンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、β−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したβ−メチルピリジンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
[実施例16]
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、γ−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したγ−メチルピリジンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
比較例1で得た樹脂溶液1.0部に、γ−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところジイソプロピルエチルアミンに由来するピークは確認されなかった。この結果から、添加したγ−メチルピリジンがアクリルポリマーLのスルホン酸基と塩を形成したことが確認された。
[比較例5]
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、α−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところα−メチルピリジンに由来するピークが確認された。この結果から、添加した、α−メチルピリジンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、α−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところα−メチルピリジンに由来するピークが確認された。この結果から、添加した、α−メチルピリジンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
[比較例6]
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、β−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところβ−メチルピリジンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したβ−メチルピリジンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、β−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところβ−メチルピリジンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したβ−メチルピリジンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
[比較例7]
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、γ−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところγ−メチルピリジンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したγ−メチルピリジンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
比較例2で得た樹脂溶液1.0部に、γ−メチルピリジン0.0031部を添加し1時間攪拌した。得られた液を前述のガスクロマトグラフィー条件にて測定したところγ−メチルピリジンに由来するピークが確認された。この結果から、添加したγ−メチルピリジンはアクリルポリマーMに導入されなかったことが確認された。
実施例14〜16と比較例5〜7との対比から、メチル基含有芳香族アミンはスルホン酸基と酸−塩基相互作用で結合することが確認された。
上記実施例で使用したメチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つ直接置換した構造を有する。かかる構造を有するメチル基含有芳香族アミンを使用することで、ケトン系溶媒に溶解可能な対塩型のアクリルモノマーが得られることが、上記実施例にて実証された。
これに対し、500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、所定量のメチル基含有芳香族アミン(ピリジン0.40部、2,6−ルチジン0.5部、2,4−ルチジン0.5部、α−メトキシピリジン0.5部、または2,4,6−トリメチルピリジン0.6部)、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌したところ析出物が発生した。即ち、メチル基を持たない芳香族アミン、芳香環に連結基を介してメチル基が置換した芳香族アミン、芳香環にメチル基が直接しているが、その数が2つ以上の芳香族アミンでは、ケトン系溶媒に溶解可能な対塩型のアクリルモノマーは得られなかった。したがって、一般式(I)で表される構造単位の中で、これらメチル基含有芳香族アミンとスルホン酸基が塩を形成した構造単位を有する重合体を得る場合には、形成される塩を溶解可能な非ケトン系溶媒中で合成反応を行うか、前記したようにプロトン型のアクリルポリマーと上記のメチル基含有芳香族アミンを混合し、該ポリマーに含まれるスルホン酸基を上記アミンにより中和することが好ましい。
これに対し、500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、所定量のメチル基含有芳香族アミン(ピリジン0.40部、2,6−ルチジン0.5部、2,4−ルチジン0.5部、α−メトキシピリジン0.5部、または2,4,6−トリメチルピリジン0.6部)、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌したところ析出物が発生した。即ち、メチル基を持たない芳香族アミン、芳香環に連結基を介してメチル基が置換した芳香族アミン、芳香環にメチル基が直接しているが、その数が2つ以上の芳香族アミンでは、ケトン系溶媒に溶解可能な対塩型のアクリルモノマーは得られなかった。したがって、一般式(I)で表される構造単位の中で、これらメチル基含有芳香族アミンとスルホン酸基が塩を形成した構造単位を有する重合体を得る場合には、形成される塩を溶解可能な非ケトン系溶媒中で合成反応を行うか、前記したようにプロトン型のアクリルポリマーと上記のメチル基含有芳香族アミンを混合し、該ポリマーに含まれるスルホン酸基を上記アミンにより中和することが好ましい。
2.磁気記録媒体形成用結合剤組成物(磁性塗料)の実施例・比較例
[実施例17]
下記強磁性六方晶フェライト粉末2.2質量部、アクリルポリマーA 1質量部をシクロヘキサノン3.3質量部、メチルエチルケトン4.9質量部からなる溶液に懸濁させた。
強磁性六方晶バリウムフェライト粉末
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:176kA/m(2200Oe)、平均板径:25nm、平均板状比:3
BET比表面積:65m2/g
σs:49A・m2/kg(49emu/g)
pH:7
得られた懸濁液に1.0mmΦジルコニアビーズ(ニッカトー製)60質量部を添加し、6時間分散させて磁性塗料を得た。
得られた磁性塗料中の六方晶フェライト粉末の分散粒子径を後述の方法で測定したところ107nmであった。
下記強磁性六方晶フェライト粉末2.2質量部、アクリルポリマーA 1質量部をシクロヘキサノン3.3質量部、メチルエチルケトン4.9質量部からなる溶液に懸濁させた。
強磁性六方晶バリウムフェライト粉末
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:176kA/m(2200Oe)、平均板径:25nm、平均板状比:3
BET比表面積:65m2/g
σs:49A・m2/kg(49emu/g)
pH:7
得られた懸濁液に1.0mmΦジルコニアビーズ(ニッカトー製)60質量部を添加し、6時間分散させて磁性塗料を得た。
得られた磁性塗料中の六方晶フェライト粉末の分散粒子径を後述の方法で測定したところ107nmであった。
分散粒子径の測定方法
磁性塗料を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンを体積比でシクロヘキサノン6.0:メチルエチルケトン9.0の割合で含む混合液で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した(固形分とは六方晶フェライト粉末・アクリルポリマー・分散剤の合計質量を表す)。
HORRIBA社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500を用いて測定した上記希釈液中の六方晶フェライト粉末平均粒子径を分散粒子径とした。分散粒子径が小さいほど、六方晶フェライト粉末が凝集せず分散性が良好であることを意味する。
磁性塗料を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンを体積比でシクロヘキサノン6.0:メチルエチルケトン9.0の割合で含む混合液で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した(固形分とは六方晶フェライト粉末・アクリルポリマー・分散剤の合計質量を表す)。
HORRIBA社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500を用いて測定した上記希釈液中の六方晶フェライト粉末平均粒子径を分散粒子径とした。分散粒子径が小さいほど、六方晶フェライト粉末が凝集せず分散性が良好であることを意味する。
[実施例18]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーB 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ107nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーB 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ107nmであった。
[実施例19]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーC 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ109nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーC 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ109nmであった。
[実施例20]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーD 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ98nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーD 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ98nmであった。
[実施例21]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーE 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ80nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーE 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ80nmであった。
[実施例22]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーF 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ382nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーF 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ382nmであった。
[実施例23]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーI 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ127nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーI 1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ127nmであった。
[比較例8]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーL(プロトン型ポリマー)1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ4975nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーL(プロトン型ポリマー)1質量部に変えた点以外は実施例17と同様の操作で分散粒子径を測定したところ4975nmであった。
[実施例24]
実施例17と同様の強磁性六方晶フェライト粉末2.2質量部、アクリルポリマーA 1質量部、フェニルホスホン酸0.11質量部をシクロヘキサノン6.0質量部、2−ブタノン9.0質量部からなる溶液に懸濁させた。
得られた懸濁液に0.1mmΦジルコニアビーズ(ニッカトー製)60質量部を添加し、15時間分散させて磁性塗料を得た。
得られた磁性塗料中の六方晶フェライト粉末の分散粒子径を前述の方法で測定したところ60nmであった。
実施例17と同様の強磁性六方晶フェライト粉末2.2質量部、アクリルポリマーA 1質量部、フェニルホスホン酸0.11質量部をシクロヘキサノン6.0質量部、2−ブタノン9.0質量部からなる溶液に懸濁させた。
得られた懸濁液に0.1mmΦジルコニアビーズ(ニッカトー製)60質量部を添加し、15時間分散させて磁性塗料を得た。
得られた磁性塗料中の六方晶フェライト粉末の分散粒子径を前述の方法で測定したところ60nmであった。
[実施例25]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーB 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ65nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーB 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ65nmであった。
[実施例26]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーC 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ63nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーC 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ63nmであった。
[実施例27]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーD 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ44nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーD 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ44nmであった。
[実施例28]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーE 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ44nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーE 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ44nmであった。
[実施例29]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーF 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ103nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーF 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ103nmであった。
[実施例30]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーG 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ50nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーG 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ50nmであった。
[実施例31]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーH 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ48nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーH 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ48nmであった。
[実施例32]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーI 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ48nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーI 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ48nmであった。
[実施例33]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーJ 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ47nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーJ 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ47nmであった。
[実施例34]
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーK 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ42nmであった。
アクリルポリマーA 1質量部をアクリルポリマーK 1質量部に変えた点以外は実施例24と同様の操作で分散粒子径を測定したところ42nmであった。
以上の実施例および比較例の結果を、下記表1にまとめて示す。
上記表1に示すように、脂肪族三級アミンまたはメチル基含有芳香族アミンとアクリルモノマー由来のスルホン酸基が塩を形成した状態で含まれる対塩型のアクリル系ポリマーを使用した実施例17〜23では、プロトン型ポリマーを使用した比較例8と比べて高度な分散状態で微粒子六方晶フェライト粉末を分散することが可能であった。更に実施例24〜34の結果から、上記対塩型のアクリルポリマーを芳香族化合物と併用することや分散条件を強化することで、より一層の分散性向上が達成されることも確認できる。なお、実施例31〜34は、アクリル系ポリマーに含まれるスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩の濃度が異なる例であり、塩濃度が高くなるほど分散性が向上するという傾向が確認できる。
また、このように微粒子磁性体が高度に分散された磁性塗料を用いて磁性層を形成することで、優れた表面平滑性を有する、高密度記録用途に好適な磁気記録媒体を得ることができる。
また、このように微粒子磁性体が高度に分散された磁性塗料を用いて磁性層を形成することで、優れた表面平滑性を有する、高密度記録用途に好適な磁気記録媒体を得ることができる。
3.アクリルポリマー合成の実施例
[実施例35]
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかったことから、上記溶液中でスルホン酸基とトリエチルアミンが塩を形成した対塩型のアクリルモノマーが形成されたことが確認された。なお、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸はトリエチルアミンと対塩を形成しない状態ではメチルエチルケトンにほとんど溶解しない。上記操作にて2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とトリエチルアミンをメチルエチルケトンに添加したところ、未溶解物が確認されず完溶した溶液が得られたことから、添加した2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は全量がトリエチルアミンと対塩を形成したことが確認できる。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、イソボロニルメタクリレート14.0部、ステアリルメタクリレート5.0部、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.50部、メチルエチルケトン18.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン77部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーNの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を後述の方法で求めたところ、Mw=5.4万、Mn=3.7万であった。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。この結果と、先に説明したように、アミンがスルホン酸基と酸−塩基相互作用で結合することが実証されたことから、重合反応前後でアミンの存在状態は変化せず、得られた樹脂中でスルホン酸基がトリエチルアミンと対塩を形成していることが確認された。
得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。
500mlフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1.0部、トリエチルアミン0.49部、メチルエチルケトン8.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかったことから、上記溶液中でスルホン酸基とトリエチルアミンが塩を形成した対塩型のアクリルモノマーが形成されたことが確認された。なお、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸はトリエチルアミンと対塩を形成しない状態ではメチルエチルケトンにほとんど溶解しない。上記操作にて2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とトリエチルアミンをメチルエチルケトンに添加したところ、未溶解物が確認されず完溶した溶液が得られたことから、添加した2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は全量がトリエチルアミンと対塩を形成したことが確認できる。
完溶した溶液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、イソボロニルメタクリレート14.0部、ステアリルメタクリレート5.0部、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.50部、メチルエチルケトン18.0部を加え、遮光条件下25℃で1時間以上攪拌し完溶させた。
500mlフラスコにメチルエチルケトン77部を加え、内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、前記混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させ、アクリルポリマーNの溶液を得た。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を後述の方法で求めたところ、Mw=5.4万、Mn=3.7万であった。前述の方法で遊離のトリエチルアミンを測定したところ検出されなかった。この結果と、先に説明したように、アミンがスルホン酸基と酸−塩基相互作用で結合することが実証されたことから、重合反応前後でアミンの存在状態は変化せず、得られた樹脂中でスルホン酸基がトリエチルアミンと対塩を形成していることが確認された。
得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度を前述の方法で測定したところ、150μeq/gであった。
[実施例36]
実施例35において得られたアクリルポリマーNの溶液に、p−メトキシフェノール0.03部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.03部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート20部を添加し更に50℃で4時間反応させ、放射線硬化性アクリルポリマーOの溶液を得た。
反応液をH−NMRにて測定したところ、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは観測されず、下記構造を有する副生モノマーが8部検出されたことから、ポリマー中に導入された2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは12部、したがって放射線硬化性アクリルポリマーOの放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有量は2.5meq/gと算出される。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度は、実施例36で得た放射線硬化性官能基導入前のアクリルポリマーNと同様、150μeq/gであった。
実施例35において得られたアクリルポリマーNの溶液に、p−メトキシフェノール0.03部、ジラウリン酸ジブチルスズ0.03部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート20部を添加し更に50℃で4時間反応させ、放射線硬化性アクリルポリマーOの溶液を得た。
反応液をH−NMRにて測定したところ、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは観測されず、下記構造を有する副生モノマーが8部検出されたことから、ポリマー中に導入された2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは12部、したがって放射線硬化性アクリルポリマーOの放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有量は2.5meq/gと算出される。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度は、実施例36で得た放射線硬化性官能基導入前のアクリルポリマーNと同様、150μeq/gであった。
[実施例37]
放射線硬化性官能基の導入に使用する2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの量を3部に変更した点以外、実施例36と同様の方法でアクリルポリマーPの溶液を得た。
反応液をH−NMRにて測定したところ、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは観測されず、前記構造を有する副生モノマーが0.3部検出されたことから、ポリマー中に導入された2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは12部、したがって放射線硬化性アクリルポリマーPの放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有量は0.56meq/gと算出される。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度は、実施例36で得た放射線硬化性官能基導入前のアクリルポリマーNと同様、150μeq/gであった。
放射線硬化性官能基の導入に使用する2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの量を3部に変更した点以外、実施例36と同様の方法でアクリルポリマーPの溶液を得た。
反応液をH−NMRにて測定したところ、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは観測されず、前記構造を有する副生モノマーが0.3部検出されたことから、ポリマー中に導入された2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは12部、したがって放射線硬化性アクリルポリマーPの放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有量は0.56meq/gと算出される。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度は、実施例36で得た放射線硬化性官能基導入前のアクリルポリマーNと同様、150μeq/gであった。
[実施例38]
放射線硬化性官能基の導入に使用する2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの量を1.3部に変更した点以外、実施例36と同様の方法でアクリルポリマーQの溶液を得た。
反応液をH−NMRにて測定したところ、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは観測されず、前記構造を有する副生モノマーが0.1部検出されたことから、ポリマー中に導入された2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは12部、したがって放射線硬化性アクリルポリマーQの放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有量は0.25meq/gと算出される。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度は、実施例36で得た放射線硬化性官能基導入前のアクリルポリマーNと同様、150μeq/gであった。
放射線硬化性官能基の導入に使用する2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの量を1.3部に変更した点以外、実施例36と同様の方法でアクリルポリマーQの溶液を得た。
反応液をH−NMRにて測定したところ、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは観測されず、前記構造を有する副生モノマーが0.1部検出されたことから、ポリマー中に導入された2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは12部、したがって放射線硬化性アクリルポリマーQの放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有量は0.25meq/gと算出される。得られた樹脂中のスルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度は、実施例36で得た放射線硬化性官能基導入前のアクリルポリマーNと同様、150μeq/gであった。
硬化性試験
上記実施例で得たアクリルポリマーN〜Qを、ドクターブレードを用いて膜厚8〜10μmになるようにガラス板に塗布し、ウシオ電機株式会社製EB照射装置 Min-EB Laboを用い、10kGy×5回の電子線照射を行い、塗膜を硬化させた。
硬化した塗膜からサンプル膜1gを採取し、テトラヒドロフラン(THF)100mlに浸漬し、60℃2時間抽出した。抽出後、THF100mlでサンプル膜を洗浄し、真空乾燥で140℃3時間乾燥させた。抽出後の乾燥させた膜の残分の質量をゲル分の質量とし、(ゲル分/抽出前のサンプル膜の質量)×100で表される値をゲル分率とした。結果を、下記表2に示す。ゲル分率が高いほど、高い硬化性を有する放射線硬化性樹脂であることを示す。
上記実施例で得たアクリルポリマーN〜Qを、ドクターブレードを用いて膜厚8〜10μmになるようにガラス板に塗布し、ウシオ電機株式会社製EB照射装置 Min-EB Laboを用い、10kGy×5回の電子線照射を行い、塗膜を硬化させた。
硬化した塗膜からサンプル膜1gを採取し、テトラヒドロフラン(THF)100mlに浸漬し、60℃2時間抽出した。抽出後、THF100mlでサンプル膜を洗浄し、真空乾燥で140℃3時間乾燥させた。抽出後の乾燥させた膜の残分の質量をゲル分の質量とし、(ゲル分/抽出前のサンプル膜の質量)×100で表される値をゲル分率とした。結果を、下記表2に示す。ゲル分率が高いほど、高い硬化性を有する放射線硬化性樹脂であることを示す。
分散性試験
下記非磁性粉末4.1質量部、実施例36で得たアクリルポリマーO(スルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度:150μeq/g)1質量部をシクロヘキサノン10.8質量部、メチルエチルケトン(2−ブタノン)16.2質量部からなる溶液に懸濁させた。懸濁液に0.1mmΦジルコニアビーズ(ニッカトー製)90質量部を添加し、6時間分散させて非磁性塗料を得た。
得られた非磁性塗料中の非磁性粉末の分散粒子径を前述の方法で測定したところ、55nmであった。また、以下の方法で測定した塗膜表面粗さは3.0nmであった。
以上の結果から、非磁性粉末が高度に分散されたことが確認された。
非磁性粉末
α−酸化鉄
表面処理層:Al2O3、SiO2
平均長軸長 0.15μm
平均針状比:7
BET法による比表面積 52m2/g
pH8
下記非磁性粉末4.1質量部、実施例36で得たアクリルポリマーO(スルホン酸基とトリエチルアミンとの塩濃度:150μeq/g)1質量部をシクロヘキサノン10.8質量部、メチルエチルケトン(2−ブタノン)16.2質量部からなる溶液に懸濁させた。懸濁液に0.1mmΦジルコニアビーズ(ニッカトー製)90質量部を添加し、6時間分散させて非磁性塗料を得た。
得られた非磁性塗料中の非磁性粉末の分散粒子径を前述の方法で測定したところ、55nmであった。また、以下の方法で測定した塗膜表面粗さは3.0nmであった。
以上の結果から、非磁性粉末が高度に分散されたことが確認された。
非磁性粉末
α−酸化鉄
表面処理層:Al2O3、SiO2
平均長軸長 0.15μm
平均針状比:7
BET法による比表面積 52m2/g
pH8
塗膜表面粗さの測定方法
非磁性塗料を帝人社製PENベース上に19μmのギャップを持つドクターブレードを用いて塗布し、室温30分放置させて乾燥した後、上記硬化性試験と同様の条件で放射線硬化処理を行い、塗膜を作製した。
ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmとして、上記塗膜の表面粗さを測定した。対物レンズ:20倍、中間レンズ:1.0倍、測定視野は260μm×350μmとした。測定した表面をHPF:1.65μm、LPF:50μmのフィルター処理して、中心線平均表面粗さRa値を求めた。
非磁性塗料を帝人社製PENベース上に19μmのギャップを持つドクターブレードを用いて塗布し、室温30分放置させて乾燥した後、上記硬化性試験と同様の条件で放射線硬化処理を行い、塗膜を作製した。
ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmとして、上記塗膜の表面粗さを測定した。対物レンズ:20倍、中間レンズ:1.0倍、測定視野は260μm×350μmとした。測定した表面をHPF:1.65μm、LPF:50μmのフィルター処理して、中心線平均表面粗さRa値を求めた。
本発明は、高密度記録用磁気記録媒体の製造分野に有用である。
Claims (24)
- ケトン系溶媒を更に含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンおよびこれらの2種以上の混合溶媒からなる群から選択される、請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記メチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 放射線硬化性官能基を有する構造単位を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記放射線硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基である、請求項7に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる磁気記録媒体用結合剤組成物。
- 前記メチル基含有芳香族アミンは、芳香環にメチル基が1つのみ直接置換した芳香族アミンである請求項11に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、芳香族化合物を更に含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記非磁性層は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物および非磁性粉末を含む塗布層を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 一般式(I):
で表される構造単位を有する重合体の製造方法であって、
一般式(X):
で表される有機酸と脂肪族三級アミンおよび芳香環にメチル基が1つのみ直接置換したメチル基含有芳香族アミンからなる群から選ばれるアミンをケトン系溶媒中に溶解し、次いで該溶媒中に重合性成分を添加し重合反応を行うことで前記重合体を得ることを特徴とする、前記重合体の製造方法。 - 前記ケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンおよびこれらの2種以上の混合溶媒からなる群から選択される、請求項17〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記有機酸は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記重合反応により得られた重合体の側鎖に放射線硬化性官能基を導入するための反応を行うことを更に含む、請求項17〜21のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記重合反応により得られた重合体は側鎖に水酸基を含み、
上記水酸基と、イソシアネート基を有する放射線硬化性官能基含有化合物のイソシアネート基とのウレタン化反応により、前記重合体の側鎖に上記放射線硬化性官能基を導入する、請求項22に記載の製造方法。 - 前記放射線硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基である、請求項22または23に記載の製造方法。
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