JP5469031B2 - 磁気記録媒体用結合剤組成物、磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用結合剤組成物、磁気記録媒体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体用結合剤組成物に関するものであり、詳しくは、優れた耐久性を有する塗布型磁気記録媒体を形成可能な磁気記録媒体用結合剤組成物に関するものである。
更に本発明は、上記組成物を用いて形成された磁気記録媒体およびその製造方法に関するものである。
塗布型磁気記録媒体では、磁性層および非磁性層の耐久性、分散性、電磁変換特性等に結合剤が重要な役割を果たしている。そこで磁気記録媒体用結合剤に関する様々な検討が行われている。例えば特許文献1〜7には、走行耐久性、分散性、電磁変換特性等に優れた磁気記録媒体を得るために、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリウレア樹脂、ポリウレア樹脂を結合剤として使用することが提案されている。
耐久性に関しては、通常、結合剤樹脂を架橋、硬化させて塗膜強度を高めるために熱硬化性化合物が硬化剤(架橋剤とも呼ばれる)として使用される。硬化剤としてはポリイソシアネート化合物が広く用いられている。しかし通常のウレタン合成では、イソシアネートとアルコールを反応させるため、ポリウレタン樹脂中にはアルコールがほとんど存在せず、硬化剤とは反応しにくいと言われている。したがって、ポリウレタン樹脂は、塗膜に適度な柔軟性を付与することができるため磁気記録媒体用結合剤として好ましい樹脂であるものの、イソシアネート化合物により塗膜強度を大きく高めることは難しい。
特開平7−50010号公報 特開平7−282435号公報 特開平8−147670号公報 特開平7−201032号公報 特開平8−63736号公報 特開平11−217539号公報 特開2005−248063号公報
そこで本発明の目的は、ポリウレタン樹脂を使用しつつ優れた耐久性(塗膜強度)を有する磁気記録媒体を得るための手段を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の新たな知見を得るに至った。
上記の通りポリウレタン樹脂はイソシアネート硬化剤との反応性に乏しいため、本発明者はイソシアネート硬化剤と反応し架橋構造を形成する成分を共存させ、形成される架橋構造によりポリウレタン樹脂を取り囲むことで塗膜強度を高めることを考えた。そこで本発明者は、イソシアネート硬化剤と架橋構造を形成する成分として、アミン化合物に着目した。イソシアネート基とアミノ基との反応により架橋構造(ウレア結合)を形成できるからである。
しかし本発明者の予想に反し、アミン化合物を併用しても塗膜強度が大きく改善されない場合があることが判明した。そのうえで本発明者は更に検討を重ねた結果、1級アミノ基に隣接してメチレン基を有するアミン化合物を使用することにより、ポリウレタン樹脂とともにイソシアネート硬化剤を含む塗膜の強度を大きく向上できることを見出した。この理由について、本発明者は以下のように推察している。
ポリウレタン樹脂に含まれるウレタン結合は、アミンと反応しアミン分解と呼ばれる交換反応を起こすことが知られている。アミン化合物とイソシアネート硬化剤が反応することにより架橋構造(ウレア結合)が形成されたとしてもポリウレタン樹脂がアミン分解により低分子化してしまうことと、アミン分解に消費される結果イソシアネート硬化剤と架橋構造を形成するアミン化合物量が少なくなることによって、塗膜強度向上が困難となると考えられる。この現象は、アミン化合物を優先的にイソシアネート硬化剤と反応させることによって防ぐことができ、1級アミノ基に隣接してメチレン基を有するアミン化合物であれば、ポリウレタン樹脂に対する反応性よりもイソシアネート硬化剤に対する反応性が高いため、アミン分解を効果的に抑制しつつ架橋構造を形成し、塗膜強度を大きく高めることができると考えられる。
これに対し、例えば特許文献1に記載されているようにポリウレタン樹脂とポリウレア樹脂を結合剤樹脂として使用する場合には、既に合成されたポリウレア樹脂をポリウレタン樹脂と混合するため、ウレア結合による架橋構造内にポリウレタン樹脂を取り込むことは困難である。また、本発明では塗膜形成時の加熱処理によりウレア結合を形成するため、塗膜中に含まれるポリウレア(イソシアネート硬化剤と上記アミン化合物との反応生成物)は溶剤溶解性が低く耐久性が高い。これに対し特許文献1〜7に記載されているようなポリウレタンポリウレア樹脂は、塗料調製のためにはある程度の溶剤溶解性を持つ必要があるため、必然的に上記ポリウレアと比べて耐久性は乏しくなると考えられる。
以上説明したように、ポリウレタン樹脂およびイソシアネート硬化剤とともに、イソシアネート硬化剤との反応によりアミン分解を起こすことなく架橋構造を形成可能なアミン化合物を使用することによって、ポリウレタン樹脂を使用しつつ優れた耐久性(塗膜強度)を有する磁気記録媒体を提供することができるのである。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]三官能以上の多官能イソシアネート化合物、下記一般式(1)で表される多官能アミン化合物、およびポリウレタン樹脂を含む磁気記録媒体用結合剤組成物。
Figure 0005469031
[一般式(1)中、Xは2価の連結基を表す。ただし、Xが2価の連結基の側鎖にアミノ基を含む場合、該アミノ基はメチレン基と直接連結した一級アミノ基である。]
[]一般式(1)中、Xで表される連結基は−NH−を含む、[1]に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
[]前記多官能イソシアネート化合物と多官能アミン化合物とを、前記多官能イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基1モル部に対して、前記多官能アミン化合物に含まれるアミノ基が1モル部未満となる割合で含む、[1]または[2]に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
[]前記ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の多官能イソシアネート化合物を含む[1]〜[]のいずれかに記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
[]前記ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の前記多官能アミン化合物を含む[1]〜[]のいずれかに記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
[]前記ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度は3.0〜4.0mmol/gの範囲である[1]〜[]のいずれかに記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
[][1]〜[]のいずれかに記載の組成物および強磁性粉末を含む塗布層に加熱処理を施すことにより形成された磁性層を有する磁気記録媒体。
[][1]〜[]のいずれかに記載の組成物および非磁性粉末を含む塗布層に加熱処理を施すことにより形成された非磁性層を有する磁気記録媒体。
[][1]〜[]のいずれかに記載の組成物および強磁性粉末を含む塗布層を形成し、該塗布層に加熱処理を施すことにより磁性層を形成することを含む、磁気記録媒体の製造方法。
[10][1]〜[]のいずれかに記載の組成物および非磁性粉末を含む塗布層を形成し、該塗布層に加熱処理を施すことにより非磁性層を形成することを含む、磁気記録媒体の製造方法。
本発明によれば、優れた耐久性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
[磁気記録媒体用結合剤組成物]
本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物は、多官能イソシアネート化合物、下記一般式(1)で表される多官能アミン化合物、およびポリウレタン樹脂を含み、磁性粉末、非磁性粉末等の各種成分を混合することにより塗布型磁気記録媒体形成用塗布液を調製するために使用されるものである。
Figure 0005469031
[一般式(1)中、Xは置換されていてもよい2価の連結基を表す。]
本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物は、先に説明したように、ポリウレタン樹脂のアミン分解を起こすことなくイソシアネート硬化剤(多官能イソシアネート化合物)と架橋構造を形成し得るアミン化合物を含むことにより、高強度な塗膜形成が可能となり、その結果、優れた耐久性を有する磁気記録媒体を提供することができると推察される。
以下、本発明の磁気記録媒体用結合剤組成物(以下、「結合剤組成物」または「組成物」ともいう)について、更に詳細に説明する。
多官能イソシアネート化合物
本発明において、多官能イソシアネート化合物(以下、「ポリイソシアネート」ともいう)とは、二官能以上のイソシアネート化合物をいうものとする。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を2官能以上のポリイソシアネートを使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、コロネート3041、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
塗膜強度向上の観点からは、ポリイソシアネートとして3官能以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。これにより、前記アミン化合物との反応により三次元網目構造を形成することができるからである。3官能以上のポリイソシアネートの具体例としては、トリメチロールプロパン(TMP)にTDI(トリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにIPDI(イソホロンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにXDI(キシリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、などアダクト型ポリイソシアネート化合物、TDIの縮合イソシアヌレート型3量体、TDIの縮合イソシアヌレート5量体、TDIの縮合イソシアヌレート7量体、及びこれらの混合物。HDIのイソシアヌレート型縮合物、IPDIのイソシアヌレート型縮合物、さらにクルードMDIなどを挙げることができる。
本発明の組成物中のポリイソシアネートの含有量は、得られる塗膜の強度の点からはポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上とすることが好ましく、高記録密度化の点からは5.0質量部以下とすることが好ましく、4.0質量部以下とすることがより好ましい。
多官能アミン化合物
前記一般式(1)で表される多官能アミン化合物は、少なくとも両末端にメチレン基と直接連結した1級アミノ基を含む二官能以上のアミン化合物であって、連結基(一般式(1)中のX)に更にアミノ基を含む場合には、3官能以上のアミン化合物となる。
一般式(1)中、Xは置換されていてもよい二価の連結基を表す。上記二価の連結基は、単結合、−O−、−CO−、−NR1−、−S−、−SO2−、アルキレン基(シクロアルキレン基を含む)およびアリーレン基からなる連結基群から選ばれる1つまたは2つ以上を組み合わせて形成される基であることができる。
上記連結基群中、−NR1−のR1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。Xで表される連結基に−NH−を含む多官能アミン化合物、即ち主骨格中に2級アミノ基を含むものは、−NH−においてもポリイソシアネートと反応し架橋構造を形成することができるため、塗膜強度向上の観点から好ましい。Xで表される二価の連結基がアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン、シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等が挙げられる。アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Xが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Xとして挙げられた上記の基は、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。Xが置換基としてアミノ基を含む場合には、アミン分解の発生を抑制するために、含まれるアミノ基はメチレン基と直接連結した1級アミノ基であることが好ましい。
なお、本発明において置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
一般式(1)で表される多官能アミン化合物は、公知の方法で合成することができ、また市販品としても入手可能である。以下に、一般式(1)で表される多官能アミン化合物の具体例を示す。ただし本発明は下記具体例に限定されるものではない。
Figure 0005469031
本発明の組成物中の一般式(1)で表される多官能アミン化合物の含有量は、架橋性向上の点からはポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましく、記録密度向上の点からは5.0質量部以下とすることが好ましく、4.0質量部以下とすることがより好ましい。また、架橋性向上の点からは、ポリイソシアネート中に含まれるイソシアネート基1モル部に対して、多官能アミン化合物に含まれるアミノ基(Xで表される二価の連結基が主骨格に2級アミノ基を含む場合には、該アミノ基も含む)が1.0モル部以下となる割合でポリイソシアネートと多官能アミン化合物とを使用することが好ましく、0.5モル部以上1.0モル部以下となる割合で使用することがより好ましく、未硬化成分の残存を抑制する観点から、1.0モル部未満となる割合で使用することがよりいっそう好ましい。また、本発明の組成物が水酸基等の活性水素含有基を含有する成分(例えば表面修飾剤、結合剤、潤滑剤等)を有する場合は、それらの活性水素含有基のモル部と多官能アミン化合物中のアミンのモル部の合計がポリイソシアネート中に含まれるイソシアネート基のモル部よりも少ないことが望ましい。
ポリウレタン樹脂
本発明において使用可能なポリウレタン樹脂の詳細は、例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治 編、1986年 日刊工業新聞社)に詳しく記載されており、通常、長鎖ジオール、短鎖ジオール(鎖延長剤と呼ばれることもある)とジイソシアネート化合物の付加重合によって得られる。長鎖ジオールは、質量平均分子量500〜5000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリオレフィンジオールなどを用いることができる。ポリウレタン樹脂は、この長鎖ポリオールの種類により、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンなどと呼ばれる。ポリウレタン樹脂の詳細については、例えば特開2009−181682号公報段落[0075]〜[0081]を参照できる。ポリウレタン樹脂は、強磁性粉末または非磁性粉体の分散性を向上させるためこれらの粉体表面に吸着する官能基(極性基)を持つことが好ましい。その詳細については、例えば特開2009−181682号公報段落[0071]を参照できる。
中でも、本発明において使用するポリウレタン樹脂は、ウレタン基濃度が3.0〜4.0mmol/gの範囲であることが好ましく、3.0〜3.6mmol/gの範囲であることがより好ましい。この範囲より少ないと力学強度が小さくなる傾向があり、多すぎると溶液粘度が高く分散性が低下する傾向があるからである。本発明の組成物は、組成物の安定性と取り扱いの観点から、溶剤を除く組成物全量に対して2.0〜30質量%程度のポリウレタン樹脂を含むことが望ましい。また、本発明の組成物を強磁性粉末および各種添加剤と混合して磁性層形成用塗布液を調製する場合、該塗布液全量に対するポリウレタン樹脂の含有量は0.8〜9.0質量%程度とすることが、高記録密度化の観点から好ましい。
その他成分
本発明の組成物は、上記成分を必須成分として含むものであるが、その他の成分を含むことも可能である。その他成分としては、例えば塩化ビニル系樹脂等の磁気記録媒体に一般的に使用される各種樹脂成分を挙げることができる。その詳細については、例えば特開2009−181682号公報段落[0070]〜[0087]を参照できる。
また、本発明の組成物における固形分濃度は特に限定されるものではなく、例えば10質量%以上であり固形分100%であってもよいが、安定性と取り扱いの容易性の点から固形分濃度は10〜80質量%程度が好ましく、20〜60質量%程度が更に好ましい。
本発明の組成物は、通常、上記した成分が有機溶媒中に添加混合されている状態にある。有機溶媒としては、一般に磁気記録媒体用塗布液に使用されるものの中で、加熱処理による架橋反応を阻害しないものであれば、何ら制限なく使用することができる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等の公知の有機溶媒を任意の比率で使用することができる。なお、本発明の組成物は、全成分を1液として含有する1液型でもよく、使用時に1液と2液とが順次混合される2液型、または3液型以上の多液型であってもよい。
前述のように、本発明の組成物は、磁性粉末、非磁性粉末等の各種成分を混合することにより塗布型磁気記録媒体形成用塗布液として使用することができる。その詳細については、後述する。
[磁気記録媒体]
更に本発明は、
本発明の組成物および強磁性粉末を含む塗布層に加熱処理を施すことにより形成された磁性層を有する磁気記録媒体;
本発明の組成物および非磁性粉末を含む塗布層に加熱処理を施すことにより形成された非磁性層を有する磁気記録媒体;
に関する。上記磁気記録媒体は、本発明の組成物を使用することにより形成された、高強度の塗膜(磁性層、非磁性層)を有することで優れた耐久性を発揮し得るものである。
前記塗布層を形成するために使用する塗布液は、本発明の結合剤組成物に強磁性粉末または非磁性粉末を添加混合することにより調製することができる。本発明の結合剤組成物と強磁性粉末または非磁性粉末の混合割合については、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対して、該組成物の固形分量が5〜30質量部となるように混合することが好ましく、10〜20質量部となるように混合することがより好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層および非磁性層の少なくとも一層が、本発明の結合剤組成物を用いて形成された層であるが、本発明の結合剤組成物を使用せず形成された磁性層または非磁性層を有することもできる。そのような層を形成するためには、公知の樹脂を任意にポリイソシアネートと組み合わせた結合剤組成物を用いることができる。上記結合剤組成物については、例えば特開2009−181682号公報段落[0070]〜[0087]を参照できる。
次に、本発明の磁気記録媒体およびその製造方法の詳細について、更に説明する。
磁性層
(i)強磁性粉末
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に結合剤とともに強磁性粉末を含む。強磁性粉末としては、針状強磁性体、平板状磁性体、または球状もしくは楕円状磁性体を使用することができる。高密度記録化の観点から針状強磁性体の平均長軸長は、20nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上45nm以下であることがより好ましい。平板状磁性体の平均板径は、六角板径で10nm以上50nm以下であることが好ましい。磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下であることが好ましい。板径が上記範囲であれば、熱揺らぎがなく安定な磁化が望める。また、ノイズも低くなるため高密度磁気記録に適する。球状もしくは楕円状磁性体は、高密度記録化の観点から、平均直径が10nm以上50nm以下であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、以下の方法により測定することができる。
強磁性粉末を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで粉体の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定する。上記方法により測定される粒子サイズの平均値を強磁性粉末の平均粒子サイズとする。
なお、本発明において、磁性体等の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、(1)粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、(3)粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
また、該粉体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体サイズの定義で(1)の場合は、粉体を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さ乃至高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
以上説明した各磁性体については、特開2009−96798号公報段落[0097]〜[0110]に詳細に記載されている。
(ii)添加剤
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤などを挙げることができる。上記添加剤の具体例等の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0111]〜[0115]を参照できる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。カーボンブラックの比表面積は好ましくは100〜500m2/g、より好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は好ましくは20〜400ml/100g、より好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、好ましくは5〜80nm、より好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlがそれぞれ好ましい。磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。それらは市販品として入手可能である。
本発明で使用されるこれらの添加剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有することができる。その場合、前述のように、本発明の結合剤組成物を用いて非磁性層を形成することができる。
上記非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどが単独または2種類以上を組み合わせて使用される。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。
非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜1μmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜1μmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。
これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜2μmが好ましい。5nm〜2μmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。ただし必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。本発明の磁気記録媒体に使用可能な非磁性粉末の詳細については、特開2009−96798号公報段落[0123]〜[0132]を参照できる。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のμビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のμビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2であり、薄膜硬度計(日本電気(株)製 HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
本発明において、非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は好ましくは100〜500m2/g、更に好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は好ましくは20〜400ml/100g、更に好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は好ましくは5〜80nm、より好ましく10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlがそれぞれ好ましい。非磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。それらは市販品として入手可能である。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
非磁性支持体
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmであることが好ましい。
バックコート層
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して繰り返し走行性が強く要求される。このような高い保存安定性を維持させるために、非磁性支持体の磁性層が設けられた面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層用塗布液は、研磨剤、帯電防止剤などの粒子成分と結合剤とを有機溶媒に分散させることにより形成することができる。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができる。また、結合剤としては、例えば、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
層構成
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の好ましい厚さは3〜80μmである。また、上記バックコート層の厚さは、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。
磁性層の厚さは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.10μm以下であり、好ましくは0.02μm以上0.08μm以下であり、さらに好ましくは0.03〜0.08μmである。また、磁性層の厚さ変動率は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±40%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚さは、0.2〜3.0μmであることが好ましく、0.3〜2.5μmであることがより好ましく、0.4〜2.0μmであることがさらに好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT(100G)以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
製造方法
磁性層、非磁性層等の各層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなることが好ましい。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。また、本発明の結合剤組成物を構成する成分と上記原料とを同時または逐次添加することにより、塗布液を製造することができる。なお、架橋構造を形成するための成分であるポリイソシアネートおよび前記一般式(1)で表される多官能アミンは、架橋が進行することで粘度上昇・塗布溶剤への溶解性不良を起こすことを回避するために分散工程後の混合工程で添加することが好ましい
各層形成用塗布液を調製するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対して15〜500質量部の結合剤(但し、全結合剤の30質量%以上が好ましい)を使用して混練処理することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗布液および非磁性層用塗布液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。ガラスビーズ以外には、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
磁気記録媒体の製造方法では、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を所定の膜厚となるようにして磁性層を塗布して形成する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次または同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次または同時に重層塗布してもよい。各層形成用塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。塗布工程の詳細については、特開2004−295926号公報段落[0067]、[0068]も参照できる。
また、塗布工程後の媒体には、乾燥処理、磁性層の配向処理、表面平滑化処理(カレンダー処理)等の各種の後処理を施すことができる。それらの処理の詳細については、例えば特開2004−295926号公報段落[0070]〜[0073]を参照できる。また、前記塗布層の加熱処理(熱硬化処理)は、塗布工程後の任意の段階で行うことができ、乾燥処理やカレンダー処理における加熱においても、架橋構造は形成され得るが、高強度の塗膜を形成するためには、上記処理以外にも加熱処理を行うことが好ましい。この場合の加熱処理は、ポリイソシアネートと前記アミン化合物との架橋構造(ウレア結合)の形成が良好に進行し得るように設定すればよく、塗布液の配合処方により適宜決定すればよいが、例えば加熱温度は35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。また加熱処理時間は、例えば12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
得られた磁気記録媒体は、裁断機、打抜機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
[磁気記録媒体の製造方法]
更に本発明は、
本発明の組成物および強磁性粉末を含む塗布層を形成し、該塗布層に加熱処理を施すことにより磁性層を形成することを含む、磁気記録媒体の製造方法;
本発明の組成物および非磁性粉末を含む塗布層を形成し、該塗布層に加熱処理を施すことにより非磁性層を形成することを含む、磁気記録媒体の製造方法、
にも関する。その詳細は、先に説明した通りである。本発明の製造方法によれば、高強度の塗膜を有することで優れた耐久性を発揮し得る磁気記録媒体を提供することができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に示す「部」、「%」は、特に示さない限り質量部、質量%を示す。
1.磁気記録媒体用結合剤組成物の実施例・比較例
[実施例1]
ウレタン基濃度3.6mmol/g、質量平均分子量6.9万のポリウレタン1質量部をシクロヘキサノン3質量部に溶かし、三官能イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製コロネートL)0.025質量部、ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部を加え、室温で5分攪拌することで結合剤組成物を得た。
上記結合剤組成物をガラス板に塗布し、140℃で3時間乾燥させた後、70℃で50時間加熱処理(熱硬化)させることで塗膜を形成した。
得られた塗膜をガラス板から剥離し、その1質量部をテトラヒドロフラン160質量部に液温60℃で2時間浸漬することで抽出処理を行った。抽出終了後の残留固形物を140℃で真空乾燥し質量を測定した。(残存固形物質量/テトラヒドロフランに浸漬した塗膜の質量)×100によりゲル分率(%)を計算したところ、77%であった。ゲル分率が高いほど塗膜の溶剤への溶解が少ないこと、即ち塗膜強度が高いことを意味する。
[実施例2]
ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部をトリス(2−アミノエチル)アミン0.008質量部に変更した点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は64%であった。
[実施例3]
ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部をペンタエチレンヘキサミン0.013質量部に変更した点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は71%であった。
[比較例1]
ビスアミノメチルシクロヘキサンおよび三官能イソシアネート化合物を使用しなかった点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は0%であった。
[比較例2]
ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部を1,4−シクロヘキサンジアミン0.06質量部に変更した点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は5%であった。
[比較例3]
ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部を1,2−シクロヘキサンジアミン0.06質量部に変更した点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は3%であった。
[比較例4]
ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部を2−アミノシクロヘキサノール0.06質量部に変更した点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は33%であった。
[比較例5]
ビスアミノメチルシクロヘキサン0.008質量部を1,2−シクロヘキサンジオール0.06質量部に変更した点以外は実施例1にしたがって結合剤組成物の調製、塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は56%であった。
[比較例6]
フラスコに、3(4)、8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,0(2,6)]デカン(東京化成製)1質量部、トリシクロ[5,2,1,0(2,6)]デカンジメタノール(東京化成製)1質量部、 アデアポリエーテルBPX−1000 10質量部、シクロヘキサノン 22質量部を添加し、70℃に昇温した。内容物が均一に溶けてから、ミリオネートMT(日本ポリウレタン製) 4.70質量部を添加した。次いで、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.01質量部を添加し、80℃に昇温して5時間攪拌し、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の質量平均分子量および数平均分子量(Mw/Mn)を0.3質量%の臭化リチウムを含有するDMF溶媒を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。Mw=6.9万、Mn=4.1万であった。
得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液を使用して実施例1と同様に塗膜の形成および評価を行った。塗膜のゲル分率は0%であった。
評価結果
比較例1では架橋構造を形成する成分を使用しなかったため、ポリウレタン樹脂からなる塗膜が形成された。この比較例1と比べて、メチレン基と直接連結したアミノ基を有する多官能アミン化合物をポリイソシアネートとともに使用した実施例1〜3においてゲル分率の高い塗膜、即ち高強度の塗膜を形成することができた。これは、ポリイソシアネートと上記多官能アミン化合物との架橋構造(ウレア結合)の形成による効果であると考えられる。
これに対し、1級アミノ基に隣接するメチレン基を持たないアミン化合物を使用した比較例2〜5では、実施例1〜3と比べてゲル分率、即ち塗膜強度が低下した理由は、先に説明したアミン分解の影響であると、本発明者は推察している。
一方、実施例1〜3で形成した塗膜と同様にウレア結合を含む結合剤樹脂を使用したにもかかわらず、比較例6で形成した塗膜のゲル分率(塗膜強度)は実施例1〜3と比べて低かった。このことから、ウレア結合を形成し得る成分を含む塗布液を使用し、塗布後にウレア結合を形成することによって、高い耐久性を有する塗膜を形成可能となることが確認できる。
2.磁気記録媒体の実施例・比較例
[実施例4]
磁性層塗布液成分
強磁性板状六方晶フェライト粉末:100部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:183kA/m(2300Oe)、板径:25nm、板状比:3
BET比表面積:80m2/g、σs:50A・m2/kg(50emu/g)
ポリウレタン樹脂(官能基:SO3Na、官能基濃度180eq/t):15部
フェニルホスホン酸:3部
α−Al23(粒子サイズ 0.15μm):5部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm):2部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm):2部
シクロヘキサノン:110部
メチルエチルケトン:100部
トルエン:100部
ブチルステアレート:2部
ステアリン酸:1部
非磁性層塗布液成分
非磁性無機質粉体:85部
α−酸化鉄
表面処理剤:Al23、SiO2、長軸径:0.15μm、タップ密度:0. 8
針状比:7、BET比表面積:52m2/g、pH8、
DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック:20部
DBP吸油量:120ml/100g、pH:8
BET比表面積:250m2/g、揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂(官能基:SO3Na、官能基濃度180eq/t):15部
フェニルホスホン酸:3部
α−Al23(平均粒径0.2μm):10部
シクロヘキサノン:140部
メチルエチルケトン:170部
ブチルステアレート:2部
ステアリン酸:1部
磁性層塗布液および非磁性層塗布液の調製
上記磁性層塗布液および非磁性層塗布液のそれぞれについて、各成分をオープンニーダで60分間混練した後、ジルコニアビ−ズ(平均粒径0.5mm)を用いたサンドミルで720分間分散した。得られた分散液に三官能ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製コロネート3041)を6部とビスアミノメチルシクロヘキサンを2部加え、更に20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液および非磁性層塗布液を調製した。更に上記非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、厚さ10μmのアラミド支持体の表面塗布し、100℃で乾燥させた。更にその直後に磁性層塗布液を乾燥後の厚さが0.08μmになるようにウェットオンドライ塗布し、100℃で乾燥させた。このとき、磁性層が未乾燥の状態で300mT(3000ガウス)の磁石で磁場配向を行った。更に、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃で表面平滑化処理を行った後、70℃で24時間加熱硬化処理を行い1/2インチ幅にスリットし磁気テープを作製した。得られたテープを後述のアルミナスクラッチ評価方法にて評価したところ。磁性層表面に傷は観測されなかった。
[比較例7]
磁性層塗布液および非磁性層塗布液調製時にビスアミノメチルシクロヘキサン2部を使用しなかった点以外は、実施例4と同様の方法で作製した磁気テープを後述のアルミナスクラッチ評価方法にて評価したところ、磁性層表面のアルミナ摺動位置に傷が観測された。
アルミナスクラッチ評価方法
直径5mmのアルミナ玉を磁性層表面上で、荷重20g、速度40mm/secで20パス往復させた後テープ表面の状態を光学顕微鏡(倍率:200倍)で観察した。
実施例4と比較例7との対比から、ポリイソシアネートとともに一般式(1)で表される多官能アミンを使用することにより、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体が得られることが確認できる。
本発明は、長期にわたり優れた耐久性を示すことが求められるデータバックアップ用テープの製造分野に有用である。

Claims (10)

  1. 三官能以上の多官能イソシアネート化合物、下記一般式(1)で表される多官能アミン化合物、およびポリウレタン樹脂を含む磁気記録媒体用結合剤組成物。
    Figure 0005469031
    [一般式(1)中、Xは2価の連結基を表す。ただし、Xが2価の連結基の側鎖にアミノ基を含む場合、該アミノ基はメチレン基と直接連結した一級アミノ基である。]
  2. 一般式(1)中、Xで表される連結基は−NH−を含む、請求項1に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
  3. 前記多官能イソシアネート化合物と多官能アミン化合物とを、前記多官能イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基1モル部に対して、前記多官能アミン化合物に含まれるアミノ基が1モル部未満となる割合で含む、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
  4. 前記ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の多官能イソシアネート化合物を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
  5. 前記ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の前記多官能アミン化合物を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
  6. 前記ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度は3.0〜4.0mmol/gの範囲である請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用結合剤組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物および強磁性粉末を含む塗布層に加熱処理を施すことにより形成された磁性層を有する磁気記録媒体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物および非磁性粉末を含む塗布層に加熱処理を施すことにより形成された非磁性層を有する磁気記録媒体。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物および強磁性粉末を含む塗布層を形成し、該塗布層に加熱処理を施すことにより磁性層を形成することを含む、磁気記録媒体の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物および非磁性粉末を含む塗布層を形成し、該塗布層に加熱処理を施すことにより非磁性層を形成することを含む、磁気記録媒体の製造方法。
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