JPH0731798B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0731798B2
JPH0731798B2 JP60203167A JP20316785A JPH0731798B2 JP H0731798 B2 JPH0731798 B2 JP H0731798B2 JP 60203167 A JP60203167 A JP 60203167A JP 20316785 A JP20316785 A JP 20316785A JP H0731798 B2 JPH0731798 B2 JP H0731798B2
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thermoplastic polyurethane
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urea resin
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は磁気テープ、磁気デイスク等の磁気記録媒体に
関するものであり、さらに詳細には非磁性支持体上に形
成される磁性層に含まれる結合剤の改良に関するもので
ある。
〔発明の概要〕
本発明は、非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを主
体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体におい
て、上記磁性層を構成する結合剤に分子鎖中にシロキサ
ン結合を含有する熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂あ
るいは前記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂とポリイ
ソシアナート硬化剤との反応によつて得られる硬化物を
用い、得られる磁気記録媒体の熱的特性、耐ブロツキン
グ性、耐久性、走行安定性、磁気特性、電磁変換特性等
の向上を図ろうとするものである。
〔従来の技術〕
従来磁気記録媒体の結合剤には、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂等が
広く用いられており、更に磁性層の耐摩耗性を改善する
ため、あるいは磁性層の塗膜物性を調整するために、熱
可塑性ポリウレタン樹脂が用いられている。
一方、磁気記録媒体には高密度記録化が要望され、その
結果として磁気記録媒体の磁性層表面は益々平滑化され
ている。
ところが、上述のように磁性層表面の平滑性が向上する
とその接触面積が増大し、磁気記録媒体の走行性、耐久
性に悪影響を与えるばかりでなく、耐ブロツキング性を
著しく劣化せしめる。特に、従来用いられている結合剤
は軟化点が低くガラス転移点が高いというように耐熱性
に劣るので磁性層の非磁性支持体への粘着あるいは剥離
が生じて磁気記録媒体としての性能を充分に発揮するこ
とができないという問題が生じている。
そこで、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂の耐熱性を向上
して上記磁気記録媒体の耐ブロツキング性を改善するた
めに、熱可塑性ポリウレタン樹脂の成分である低分子量
ジオールの使用比率を高め分子中のウレタン基濃度を増
加した熱可塑性ポリウレタン樹脂を磁気記録媒体の結合
剤として用いることが考えられている。
一般にウレタン基濃度を増加させれば、熱可塑性ポリウ
レタン樹脂の熱的性質を改造することができる。すなわ
ち分子中のウレタン基濃度の増加に伴い軟化点が高くか
つガラス転移点が低い熱可塑性ポリウレタン樹脂が得ら
れる。しかし熱可塑性ポリウレタン樹脂のウレタン基濃
度が増加すると、ケトン系、アルコール系、エステル
系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系の磁気記録媒
体の製造に用いる汎用の溶媒系には不溶となり、わずか
に毒性の強いジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン等の溶媒にしか溶解しないという欠点を有する。ジメ
チルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶剤は、ベ
ースフイルム、塗布面、被着面等の溶剤のふれる材質部
分を侵かし、部分的にシワ、凹凸を発生させたり、場合
によつてはそれらを溶解するという問題が生ずるため、
熱可塑性ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度を高めるこ
とによる改良には限界がある。
さらに前述した樹脂を磁性層の結合剤に用いた場合、樹
脂自体の潤滑性に欠けるため、走行安定性に問題があ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は前記問題点を解決するために提案されたもので
あり、熱的特性、耐ブロツキング性、耐久性、走行安定
性に優れ、磁気特性、電磁変換特性の良好な磁気記録媒
体を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、上述の目的を達成せんものと鋭意研究の
結果、分子鎖中にシロキサン結合を含有する熱可塑性ポ
リウレタン・ウレア樹脂あるいは前記熱可塑性ポリウレ
タン・ウレア樹脂とポリイソシアナート硬化剤との反応
によつて得られる硬化物が磁気記録媒体の磁性層の耐ブ
ロツキング性の向上や走行安定性の向上等に有用で、か
つ汎用溶媒系に容易に溶解し扱い易いことを見い出し本
発明を完成するに至つたものであつて、非磁性支持体上
に強磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性層が形成され
てなる磁気記録媒体において、上記磁性層が分子鎖中に
シロキサン結合を含有する熱可塑性ポリウレタン・ウレ
ア樹脂を結合剤として含有することを特徴とするもので
あり、さらに上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂と
ポリイソシアナート硬化剤との反応によつて得られる硬
化物を結合剤として含有することを特徴とするものであ
る。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂
は、その分子鎖中にウレタン結合とウレア結合(尿素結
合)を有していることが特徴であり、さらに分子鎖中に
シロキサン結合が導入されていることが特徴である。
そして、上記ウレタン結合とウレア結合が結合剤樹脂の
熱的性質の改善に重要な役割を果たし、耐熱性の尺度で
ある軟化点温度を高く、そしてガラス転移点温度を低く
することができ、広い温度範囲にわたり安定した磁性層
の物性が維持され、耐ブロツキング性の向上に著しく効
果を発揮する。すなわち、ウレア基の導入によりウレタ
ン基同様樹脂の熱的性質を大幅に改善することができ
る。更に重要なことは、このウレア基の導入により前述
したケトン系、アルコール系、エステル系、芳香族炭化
水素系、脂肪族炭化水素系の溶媒を組み合せて用いるこ
とで可溶な樹脂が得られることである。また上記熱可塑
性ポリウレタン・ウレア樹脂分子中のウレタン基、ウレ
ア基の濃度を一般の熱可塑性ポリウレタン樹脂より大き
くできるため、分子−分子間の相互作用が強くなり、得
られる磁性層の塗膜物性が向上し、耐久性にも効果を発
揮する。すなわち上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹
脂を磁気記録媒体の結合剤として用いることにより、耐
ブロツクキング性及び耐久性に優れた磁気記録媒体を提
供することができる。
また上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂の分子鎖中
に導入されるシロキサン結合は、樹脂自体に潤滑性を付
与し、走行安定性に優れた磁気記録媒体を提供すること
ができる。
上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂のウレタン基及
びウレア基の合計した濃度としては1.8mmol/g〜3.0mmol
/gであるのが好ましい。前記濃度が1.8mmol/g未満であ
ると樹脂の軟化点が下がりブロツキング性が改善され
ず、また前記濃度が3.0mmol/gを超えると汎用の溶媒に
不溶となり、ジメチルホルムアミド等にしか溶解しなく
なつてしまう。またウレア基濃度/ウレタン基濃度とし
てはその比率が0.3〜1.6であるのが好ましい。ウレア基
濃度/ウレタン基濃度の比率が0.3未満であると汎用の
溶媒に不溶となり、またウレア基/ウレタン基濃度の比
率が1.6を超えると樹脂のガラス転移点が高くなつてし
まう。
また上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂のシロキサ
ン基濃度としては0.03mmol/g〜3mmol/gであるのが好ま
しく、0.1mmol/g〜0.7mmol/gであるのがより好ましい。
前記シロキサン基濃度が0.03mmol/g未満であると潤滑性
を付与することができず、また前記シロキサン基濃度が
3mmol/gを超えると、溶媒との溶解性及び他の結合剤樹
脂との相溶性が悪くなるばかりか、磁性塗膜の破断強
度、ヤング率等の物性が劣化する。
また上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂の数平均分
子量は10000〜100000、より好ましくは10000〜60000の
範囲であることが好ましい。数平均分子量が10000未満
であると樹脂の塗膜形成能が不充分なもとなり、また数
平均分子量が60000を超えると塗料製造上、混合、塗布
などの工程において問題を生ずる虞れがある。
さらに上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂の軟化点
は80℃以上、より好ましくは100℃以上であるのが望ま
しい。軟化点がこれ以下であると従来の熱可塑性ポリウ
レタン樹脂の性質に近づくため、耐ブロツクキング性及
び物性の向上が図れなくなる。
また上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂のガラス転
移点は0℃以下、より好ましくは−10℃以下であるのが
望ましい。ガラス転移点がこれ以上であると物性の転移
領域が常温に近づくため好ましくない。
本発明による熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂は長鎖
ジオール、短鎖ジオール、有機ジアミン及び有機ジイソ
シアナートを重付加反応することにより得られる。この
重付加反応は、長鎖ジオールと短鎖ジオールとの混合物
をあらかじめ有機ジイソシアナートと反応させて、イソ
シアナート基末端のプレポリマーを調整し、次いで有機
ジアミンを添加し鎖延長とウレア基導入とを行うプレポ
リマー法により行なわれる。
上記熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂の製造に用いら
れる長鎖ジオールは、分子量が約500〜約5000であつ
て、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオー
ルおよびポリエーテルエステルグリコール等に大別され
る。ポリエステルジオールとしては、具体的には例えば
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の
脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の
芳香族ジカルボン酸またはそれらの低級アルコールエス
テルと、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコ
ール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコ
ール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、あるいはビスフエノールAのエチレンオキサイド付
加物等またはこれらの混合物と反応して得られるポリエ
ステルジオール類またはε−カプロラクトン等のラクト
ンを開環重合して得られるラクトン系のポリエステルジ
オール等が挙げられる。ポリエーテルジオールとして
は、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレンエ
ーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールなどのポリアルキレンエーテルグリコール類または
これらの共重合ポリエーテルグリコール類が挙げられ
る。また、ポリエーテルエステルグリコールとしては、
上記ポリアルキレンエーテルグリコールをポリオール成
分として脂肪族または芳香族ジカルボン酸と反応させて
得られるポリエステルグリコール類が挙げられる。この
長鎖ジオールの分子量が余り小さすぎると、得られる熱
可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂のウレタン基濃度が大
きくなりすぎて樹脂の柔軟性が乏しくなり、また溶剤に
対する溶解性が悪くなり、磁気記録媒体の結合剤として
用いるのには余り好ましくない。また、長鎖ジオールの
分子量が余り大きすぎるときは、樹脂中の長鎖ジオール
含有量が多くなりすぎて相対的にウレタン基濃度が非常
に小さくなるため、樹脂の耐摩耗性及び耐熱性が低下す
る。
上記熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂の製造に用いら
れる短鎖ジオールは、分子量が約50〜約500であつて、
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、
ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコールあるいは
ビスフエノールAのエチレンオキサイド付加物またはプ
ロピレンオキサイド付加物、ハイドロキノンのエチレン
オキサイド付加物の芳香族ジオールなどがあり、ポリウ
レタン−ウレア樹脂の所望の性質に応じてこれらを単独
または種々の量比で混合して使用できる。
また、上記有機ジアミンとしては、テトラメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、
m−フエニレンジアミン、p−フエニレンジアミン、2,
4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、m−キ
シリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジフエニ
ルメタンジアミン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフエ
ニレンジアミン、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフエニレ
ンジアミン、4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、1,5
−ナフタレンジアミン、2,4−ナフタレンジアミンなど
の芳香族ジアミン、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサ
ン、1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジア
ミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミンなど
の脂環族ジアミンなどが挙げられる。
上記有機ジイソシアナートとしては、テトラメチレンジ
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなど
の脂肪族ジイソシアナート、m−フエニレンジイソシア
ナート、p−フエニレンジイソシアナート、2,4−トリ
レンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナー
ト、ジフエニルメタンジイソシアナート、3,3′−ジメ
トキシ−4,4′−ビフエニレンジイソシアナート、3,3′
−ジメチル−4,4′−ビフエニレンジイソシアナート、
4,4′−ジイソシアナートジフエニルエーテル、1,5−ナ
フタレンジイソシアナート、2,4−ナフタレンジイソシ
アナートなどの芳香族ジイソシアナート、1,3−ジイソ
シアナートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナ
ートメチルシクロヘキサン、4,4′−ジイソシアナート
ジシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアナート
などの脂環族ジイソシアナートなどが挙げられる。
また上述した熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂にポリ
イソシアナート硬化剤を併用する場合においては、耐摩
耗性の優れた磁気記録媒体を得ることができる。尚、ポ
リイソシアナート硬化剤としては、例えば商品名コロネ
ートL(日本ポリウレタン工業社製)、商品名デスモジ
ユールL(バイエル社製)などの従来から硬化剤として
使用可能であるポリイソシアナート硬化剤であればいず
れも使用できる。また、そのポリイソシアナート硬化剤
の量にしても通常使用されている量であればよい。
さらに上記反応において、上記長鎖ジオールに対する上
記短鎖ジオールのモル比は3以下であるのが望ましい。
このモル比が余り大きいとウレタン基濃度が高くなりす
ぎて、製造されたポリウレタン−ウレア樹脂は、磁性塗
料を作成するときに用いる前述した汎用の溶媒に溶解で
きず余り適当でない。短鎖ジオールとしてエチレングリ
コール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリ
コール等の直鎖ジオールを用いるときは、上述したモル
比は1以下、好ましくは0.5以下が望ましく、ネオペン
チルグリコール等の分岐短鎖ジオールまたはビスフエノ
ールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付
加物等を用いると樹脂の溶解性がよいので直鎖ジオール
に比べ上述したモル比を大きくできる。しかし、この場
合でも上述したモル比が3を余り超えて大きすぎる場合
には、溶解性が悪くなり好ましくない。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂
の製造にあたつては、分子量約500〜約5000の長鎖ジオ
ールとしては前述した例の中で特にポリエステルジオー
ル、中でもポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレ
ンアジペート、ポリカプロラクトンジオールを用いるこ
とが好ましい。また分子量約50〜約500の短鎖ジオール
としては前述した例の中で特に分岐短鎖ジオール、中で
もネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。ま
た有機ジアミンとしては前述した例の中で特にイソホロ
ンジアミンを用いることが好ましい。また有機ジイソシ
アナートとしては前述した例の中で特に4,4−ジフエニ
ルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナー
トを用いることが好ましい。
また、本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹
脂の製造において採用される重付加反応の方法として
は、溶融状態で反応させる溶融重合、酢酸エチル、メチ
ルエチルケトン、アセトン、トルエン等の単独または混
合溶剤などの不活性溶剤に前記記載の原料を溶解せしめ
て行なう溶液重合などがあるが、磁気記録媒体の結合剤
のように溶剤に溶解し使用することの多い樹脂の製造に
は、溶液重合が好ましく、特にプレポリマー調製時は溶
融重合し、鎖延長反応を行う前に上記の不活性溶剤を加
えて溶液重合を行うことがより好ましい。
反応に際して、触媒として有機金属化合物、例えばオク
チル酸第1錫、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化
合物、あるいは三級アミン、例えばN−メチルモルオー
リン、トリエチルアミン等を添加してもよい。また生成
物の安定性を増すために、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
加水分解防止剤等を添加してもよい。
さらに、上記熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂の主鎖
にシロキサン結合を導入するものであるが、導入法とし
ては熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂の出発原料に、
シロキサン結合を有する化合物を混入しておく方法が挙
げられる。具体的には前記シロキサン結合を有する化合
物としてシロキサン結合を有するジオールあるいはシロ
キサン結合を有するジアミンを用い、長鎖ジオールの一
部分に前記シロキサン結合を有するジオールを混入させ
るか、あるいは有機ジアミンの一部分に前記シロキサン
結合を有するジアミンを混入させればよい。
前記シロキサン結合を有するジオールとしては下記の一
般式で示される化合物が挙げられる。
(但しRは二価の炭化水素基を表わす。) また前記はシロキサン結合を有するジアミンとしては下
記の一般式で示される化合物が挙げられる。
上記化合物の分子量としては300〜10000のものを用いる
ことができる。
また長鎖ジオールの中に予じめシロキサン結合を導入し
たものを用いることもできる。例えばポリエステルジオ
ール、ポリエーテルエステルグリコール等の長鎖ジオー
ルを合成する際前記シロキサン結合を有するジオールを
用いればよい。
上述のように合成した熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹
脂は他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは反応性樹
脂と組み合せて使用することができる。この場合磁性層
の全バインターに対し上記熱可塑性ポリウレタン−ウレ
ア樹脂の配合割合は10重量%以上であるのが好ましい。
全バインダーに対する熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹
脂の配合割合が10重量%未満であると磁気記録媒体の耐
ブロツキング性の改善は殆んど期待できない。より好ま
しくは40重量%以上である。上述した熱可塑性樹脂とし
ては、軟化温度が150℃以下、平均分子量が10000〜2000
00で重合度が約200〜2000程度のもので、例えば塩化ビ
ニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリ
デン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフツ化ビニ
ル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、
ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、ポリエステ
ル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系の熱可塑性樹脂
等が挙げられる。また熱硬化性樹脂あるいは反応性樹脂
としては例えば、フエノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
ウレタン硬化型樹脂、メラミン樹脂、アルキツド樹脂、
シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂、エポキシ−ポリア
ミド樹脂、ニトロセルロース−メラミン樹脂、高分子量
ポリエステル樹脂とイソシアナートプレポリマーの混合
物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアナートプレポ
リマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシ
アナートの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子
量グリコール/高分子量ジオール/トリフエニルメタン
トリイソシアナートの混合物、ポリアミン樹脂及びこれ
らの混合物等が挙げられる。これらのうち、強磁性粉末
に対する分散性の良好なものと組合わせて用いることが
望ましい。
上述の結合剤に強磁性粉末を分散し有機溶剤に溶解して
非磁性支持体上に塗布することにより磁性層が形成され
る。
本発明で使用される強磁性粉末としては、強磁性酸化鉄
粒子、強磁性二酸化クロム、強磁性合金粉末、六方晶系
バリウムフエライト微粒子、窒化鉄等が挙げられる。
上記強磁性酸化鉄粒子としては、一般式FeOxで表した場
合、Xの値が1.33≦X≦1.50の範囲にあるもの、即ちマ
グヘマイト(γ−Fe2O3,X=1.50)、マグネタイト(Fe3
O4,X=1.33)及びこれらの固溶体(FeOx,1.33<X<1.5
0)である。さらに、これら強磁性酸化鉄には、抗磁力
をあげる目的でコバルトを添加してもよい。コバルト含
有酸化鉄には、大別してドープ型と被着型の2種類があ
る。
上記強磁性二酸化クロムとしては、CrO2あるいはこれら
に抗磁力を向上させる目的でRu,Sn,Te,Sb,Fe,Ti,V,Mn等
の少なくとも一種を添加したものを使用できる。
強磁性合金粉末としては、Fe,Co,Ni,Fe−Co,Fe−Ni,Fe
−Co−Ni,Co−Ni,Fe−Co−B,Fe−Co−Cr−B,Mn−Bi,Mn
−Al,Fe−Co−V等が使用でき、またこれらに種々の特
性を改善する目的でAl,Si,Ti,Cr,Mn,Cu,Zn等の金属成分
を添加してもよい。
さらに上記磁性層には、前記の結合剤、強磁性微粉末の
他に添加剤として分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止
剤、防錆剤等が加えられてもよい。
上記分散剤(顔料湿潤剤)としては、カプリル酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、
リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪
酸(R COOH,Rは炭素数11〜17個のアルキルまたはアルク
ニル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li,Na,K等)
またはアルカリ土類金属(Mg,Ca,Ba)から成る金属石
鹸、前記の脂肪酸エステルの弗素を含有した化合物、前
記の脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキ
ルリン酸エステル、トリアルキルポリオレフインオキシ
第四アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレ
フインはエチレン、プロピレンなど)、等が使用され
る。この他に炭素数12以上の高級アルコール、及びこれ
らの他に硫酸エステル等も使用可能である。これらの分
散剤は結合剤100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲で
添加される。
上記潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサン(アル
キルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン
(アルコキシ炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアル
コキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、ア
ルコキシは炭素数1〜4個)、フエニルポリシロキサ
ン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数
1〜5個)などのシリコンオイル、グラフアイトなどの
導電性微粉末、二硫化モリブデン、二硫化タングステン
などの無機微粉末、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエチレン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエ
チレンなどのプラスチツク微粉末、α−オレフイン重合
物、常温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(n−オレフイ
ン二重結合が末端の炭素に結合した化合物、炭素数約2
0)、炭素数12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12
個の一価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、フル
オロカーボン類などが使用できる。これらの潤滑剤は結
合剤100重量部に対して0.2〜20重量部の範囲で添加され
る。
上記研磨剤としては、一般に使用される材料で溶融アル
ミナ、炭化ケイ素、酸化クロム(Cr2O3)、コランダ
ム、人造コランダム、ダイヤモンド、人造ダイヤモン
ド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄
鉱)等が使用される。これらの研磨剤はモース硬度が5
以上であり、平均粒子径が0.05〜5μの大きさのものが
使用され、特に好ましくは0.1〜2μである。これらの
研磨剤は結合剤100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲
で添加される。
上記帯電防止剤としては、カーボンブラツク、カーボン
ブラツクグラフトポリマーなどの導電性微粉末、サポニ
ンなどの天然界面活性剤、アルキレンオキサイド系、グ
リセリン系、グリシドール系などのノニオン界面活性
剤、高級アルキルアミン類、第四級アンモニウム塩類、
ピリジンその他の複素環類、ホスホニウム類などのカチ
オン界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫
酸エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を含むアニ
オン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、ア
ミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類等の両性
活性剤などが使用される。上記の導電性微粉末は結合剤
100重量部に対して0.2〜20重量部が、界面活性剤は0.1
〜10重量部の範囲で添加される。これらの界面活性剤は
単独または混合して添加してもよい。これらは帯電防止
剤として用いられるものであるが、時としてその他の目
的、例えば分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布
助剤として適用される場合もある。
上記防錆剤としては、リン酸、スルフアミド、グアニジ
ン、ピリジン、アミン、尿素、ジンククロメート、カル
シウムクロメート、ストロンチウムクロメートなどが使
用できるが、特にジシクロヘキシルアミンナイトライ
ト、シクロヘキシルアミンクロメート、ジイソプロピル
アミンナイトライト、ジエタノールアミンホスフエー
ト、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ヘキサ
メチレンジアミンカーボネート、プロピレンジアミンス
テアレート、グアニジンカーボネート、トリエタノール
アミンナイトライト、モルフオリンステアレートなどの
気化性防錆剤(アミン、アミドまたはイミドの無機酸塩
または有機酸塩)を使用すると防錆効果が向上する。こ
れらの防錆剤は強磁性微粉末100重量部に対して0.01〜2
0重量部の範囲で使用される。
また磁性層の構成材料は有機溶剤に溶かして磁性塗料を
調製し、これを非磁性支持体上に塗布するが、その磁性
塗料の溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル
系、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチ
ルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素炭
化水素等が挙げられる。また非磁性支持体の素材として
はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフイン類、セルローストリアセ
テート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテ
ートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート
等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド等のプラスチツクの他に用途に応
じてアルミニウム、銅、スズ、亜鉛またはこれらを含む
非磁性合金などの非磁性金属類、ガラス、陶器、磁器な
どのセラミック類、紙、バライタまたはポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−ブテン共重合体などの炭素
数2〜10のαポリオレフイン類を塗布またはラミネート
した紙などの紙類も使用できる。又非磁性支持体の形態
はフイルム、テープ、シート、デイスク、カード、ドラ
ム等いずれでも良い。
〔作用〕
熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂中のウレタン基、ウ
レア基、さらにはシロキサン結合の作用により、磁性粉
末に対する親和性が大幅に向上する。したがつて、これ
を結合剤とすることにより、超微粒子化された磁性粉末
や磁化量の大きい磁性粉末であつても良好に分散され
る。
同時に、シロキサン結合は潤滑作用を有し、これにより
良好な走行性が付与される。
また、熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂は汎用溶媒系
に可溶であり、取り扱いが簡便である。
〔実施例〕
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本
発明がこれら実施例に限定されるものではない。
樹脂合成例 分子中にシロキサン結合を含有する熱可塑性ポリウレタ
ン−ウレア樹脂を前述の合成方法に従つて合成した。第
1表に合成した樹脂の特性を示す。
実施例1 Co被着r−Fe2O3 100重量部 塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体 10重量部 (U.C.C.社製 VAGH) シロキサン結合含有熱可塑性ポリウレタン− ウレア樹脂(樹脂A) 15重量部 分散剤(レシチン) 0.5重量部 潤滑剤(シリコンオイル) 1重量部 研磨剤(Cr2O3) 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 メチルイソブチルケトン 50重量部 トルエン 50重量部 上記組成物をボールミルにて48時間混合し、3μフイル
タでろ過した後、硬化剤(バイエル社製.デスモジユー
ルL)2.5重量部添加し、さらに30分間混合し、これを1
6μ厚のポリエチレンテレフタレートフイルム上に乾燥
後の厚みが6μとなるように塗布し、磁場配向処理を行
つた後乾燥して巻き取つた。これをカレンダー処理した
後、1/2インチ幅に裁断しサンプルテープを作成した。
実施例2 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりにシロキサン
結合含有熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂(樹脂B)
を用い、先の実施例1と同様な方法によつてサンプルテ
ープを作成した。
実施例3 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりにシロキサン
結合含有熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂(樹脂C)
を用い、先の実施例1と同様な方法によつてサンプルテ
ープを作成した。
実施例4 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりにシロキサン
結合含有熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂(樹脂D)
を用い、先の実施例1と同様な方法によつてサンプルテ
ープを作成した。
実施例5 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりにシロキサン
結合含有熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂(樹脂E)
を用い、先の実施例1と同様な方法によつてサンプルテ
ープを作成した。
比較例1 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりに熱可塑性ポ
リウレタン樹脂(樹脂F)を用い、先の実施例1と同様
な方法によつてサンプルテープを作成した。
比較例2 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりに熱可塑性ポ
リウレタン−ウレア樹脂(樹脂G)を用い、先の実施例
1と同様な方法によつてサンプルテープを作成した。
比較例3 実施例1の組成物中、シロキサン結合含有熱可塑性ポリ
ウレタン−ウレア樹脂(樹脂A)のかわりにシロキサン
結合含有ポリウレタン樹脂(樹脂H)を用い、先の実施
例1と同様な方法によつてサンプルテープを作成した。
以上のサンプルテープの動摩擦係数、粉落ち量、粘着特
性、スチル特性の測定結果を第2表に示す。
なお、動摩擦係数は低速のテープ速度(0.4mm/sec)に
おける磁性層表面とISステンレスとの摩擦係数(荷重50
g)として測定した。粉落ち量は、60分シヤトル100回走
行後のヘツドドラム、ガイド等への粉落ち量を目視にて
観察し、最高を0点、最低を−5点として評価した。粘
着特性はサンプルテープをリールに巻いて、温度40℃、
湿度80%の条件下に24時間放置後、サンプルテープの剥
れ具合を目視により評価し、10点法で採点したものであ
り、粘着特性が良好なものほど低い点数とした。スチル
特性は、サンプルテープに4.2MHzの映像信号を記録し、
再生出力が50%に減衰するまでの時間を測定した。
第2表の結果からも明らかなように、シロキサン結合を
含有する熱可塑性ポリウレタン−ウレア樹脂を磁性層の
結合剤に用いることにより、磁気記録媒体の熱的特性、
耐ブロツキング性、耐久性、磁性粉末の分散性等が大幅
に改善される。
〔発明の効果〕
以上の説明からも明らかなように、本発明においては、
分子中にシロキサン結合を有する熱可塑性ポリウレタン
−ウレア樹脂あるいはこれとポリイソシアナート硬化剤
との反応によつて得られる硬化物を磁性層の結合剤とし
ているので、磁性粉末に対して高い親和性を示し、たと
え超微粒子化した磁性粉末や磁化量の大きい磁性粉末で
あつても分散性が良好なものとする。したがつて、得ら
れる磁気記録媒体の耐久性、表面性が向上し、電磁変換
特性も極めて優れたものとなる。
また、シロキサン結合を含有することによる潤滑性の付
与により、摩擦係数が低減し、走行性が改善される。
さらに、本発明において用いられる熱可塑性ポリウレタ
ン−ウレア樹脂は、汎用溶媒系に可溶で取り扱い易く、
生産性や作業性等の点でも有利である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−76017(JP,A) 特開 昭58−218034(JP,A) 特開 昭59−5421(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを
    主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体におい
    て上記磁性層が分子鎖中にシロキサン結合を含有する熱
    可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂を結合剤として含有す
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを
    主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体におい
    て、上記磁性層が分子鎖中にシロキサン結合を含有する
    熱可塑性ポリウレタン・ウレア樹脂とポリイソシアナー
    ト硬化剤との反応によつて得られる硬化物を結合剤とし
    て含有することを特徴とする磁気記録媒体。
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