JP5622624B2 - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし一方で、ガラス転移温度が高く、かつ高温での貯蔵弾性率の高い結合剤を使用して形成した磁性層は高温における変形性に乏しいため高い耐久性が得られる一方で十分な表面平滑性を得ることができず、依然として優れた電磁変換特性を得ることは困難であることが判明した。
そこで本願発明者らは、ガラス転移温度が高く、かつ高温での貯蔵弾性率の高い結合剤を含む磁性層において、表面平滑性を改善するための手段を見出すべく更に検討を重ねた。その結果、磁性層の下層に位置する非磁性層を低Tgの放射線硬化性樹脂から形成することによって、上記磁性層の表面平滑性を高めることができることを新たに見出した。この理由について、本願発明者らは以下のように推察している。
高密度記録用磁気記録媒体は、通常磁性層の下層に非磁性層を有している。非磁性層を低Tg結合剤から構成することによりカレンダー温度域において非磁性層の柔軟性を確保することができ、これによりカレンダー成形性が高まり結果として高Tgの磁性層を平滑化することができる。また、磁性層および非磁性層を有する磁気記録媒体では、両層の間での界面混合により界面変動が生じることが磁性層の表面平滑性低下の原因となる。この界面混合は、例えば逐次重層塗布方式による製造方法において、非磁性層上に磁性層形成用塗布液を塗布した際に磁性層形成用塗布液の溶剤に非磁性層の結合剤が溶解することによって発生する。上記の通り非磁性層を低Tg結合剤から構成することでカレンダー成形性を高めることができるが、一般に低Tg結合剤は高Tg結合剤と比較して結合剤間の相互作用が弱く、溶剤に溶解しやすい物性を有しているため界面混合を生じやすい。ここで非磁性層を放射線硬化層とすれば、非磁性層と磁性層との界面混合を抑制することができるため、低Tg結合剤から構成された非磁性層を有する磁気記録媒体において、界面変動による表面平滑性の低下を防ぐことができる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
[1]非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層の結合剤は、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン樹脂およびポリイソシアネートの混合物であり、該ポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度が90〜130℃の範囲であり80℃における貯蔵弾性率が2.5〜5.0GPaの範囲であり、
前記非磁性層は、非磁性粉末および結合剤成分を含む放射線硬化性組成物を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であって、該結合剤成分は放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂を含み、
前記放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、いずれもガラス転移温度が30〜100℃の範囲であり、かつ、
前記放射線硬化性塩化ビニル系共重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位を含む放射線硬化性塩化ビニル系共重合体であることを特徴とする磁気記録媒体。
[2]前記放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基含有ポリオール化合物を原料として得られた放射線硬化性ポリウレタン樹脂である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記磁性層の結合剤に含まれるポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリウレタン樹脂である[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記磁性層の結合剤は、塩化ビニル系共重合体100質量部に対して10〜100質量部のポリイソシアネートを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[5]前記磁性層は芳香族化合物およびカルボキシル基含有化合物からなる群から選ばれる分散剤を更に含有する[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[6]前記強磁性粉末の平均粒子サイズは40nm以下であり、かつ前記分散剤は桂皮酸である[5]に記載の磁気記録媒体。
[7]前記磁性層は、強磁性粉末100質量部あたり1.5〜10質量部の前記分散剤を含む[5]または[6]に記載の磁気記録媒体。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法であって、
前記放射線硬化性組成物の塗布および放射線硬化後、形成された放射線硬化層上に磁性層を形成し、次いで上記放射線硬化層のガラス転移温度以上のカレンダー温度でカレンダー処理を行うことを特徴とする、前記製造方法。
(1)前記磁性層の結合剤は、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン樹脂およびポリイソシアネートの混合物であり、該ポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度が90〜130℃の範囲であり80℃における貯蔵弾性率が2.5〜5.0GPaの範囲であり、
(2)前記非磁性層は、非磁性粉末および結合剤成分を含む放射線硬化性組成物を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であって、該結合剤成分は放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂を含み、かつ
(3)前記放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、いずれもガラス転移温度が30〜100℃の範囲である。
先に説明したように、本発明の磁気記録媒体は、上記(1)〜(3)を兼ね備えることにより、長期にわたり優れた電磁変換特性を発揮し得るものである。
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
(i)結合剤
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の結合剤が塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン樹脂およびポリイソシアネートの混合物である。これは塩化ビニル系樹脂単独では磁気記録媒体に求められる適度な柔軟性を得ることが困難であり、ポリウレタン樹脂単独では高密度記録化のために微粒子化された磁性体を使用する場合、これを良好に分散することは困難であるからである。そして本発明の磁気記録媒体では、磁性層に適度な柔軟性を付与するために使用するポリウレタン樹脂として、ガラス転移温度が90〜130℃の範囲であり80℃における貯蔵弾性率(以下、単に「貯蔵弾性率」ともいう)が2.5〜5.0GPaの範囲であるものを使用する。上記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が90℃以上かつ80℃における貯蔵弾性率が2.5GPa以上であることにより、走行中の磁性層表面の削れ(塗膜破壊物)によるヘッド汚れの発生を顕著に抑制することができる。他方、上記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が130℃超かつ80℃における貯蔵弾性率が5.0GPa超となると、ポリマーが剛直になりすぎて溶剤溶解性を確保することが困難となる。ヘッド汚れ発生の抑制と溶剤溶解性を両立する観点からは、上記ポリウレタン樹脂の80℃における貯蔵弾性率は2.5〜3.0GPaの範囲であることが好ましい。なお、本発明におけるガラス転移温度、貯蔵弾性率はいずれも、動的粘弾性測定により求められる値とする。具体的な測定方法については、後述の実施例の記載を参照できる。
なお、後述するように本発明では非磁性層を放射線硬化層とするが、磁性層は熱硬化、放射線硬化のいずれによって形成してもよい。熱硬化の場合は、生成するウレタン結合によって塗膜(磁性層)のTg、貯蔵弾性率が更に向上するためにより好ましい。即ち、磁性層において該混合物中でポリウレタン樹脂、塩化ビニル系共重合体、およびポリイソシアネートはお互いに反応して反応生成物を形成していてもよい。
高密度記録化を達成するために、磁性層に含まれる強磁性粉末としては、平均粒子サイズが40nm以下の強磁性粉末を使用することが好ましい。上記平均粒子サイズは熱揺らぎがなく安定な磁化を得る観点から10nm以上であることが好ましい。磁化の安定性と高密度記録化を両立する観点から、上記平均粒子サイズは10〜35nmの範囲であることがより好ましい。
強磁性粉末を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで粉体の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定する。上記方法により測定される粒子サイズの平均値を強磁性粉末の平均粒子サイズとする。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
以上説明した各磁性体については、特開2009−96798号公報段落[0097]〜[0110]に詳細に記載されている。
磁性層に含まれる強磁性粉末として微粒子磁性体、中でも平均粒子サイズが40nm以下の超微粒子磁性体を使用する場合には、該微粒子磁性体の分散性を高めることで磁性層の表面平滑性をより向上するために、分散剤を使用することが好ましい。なお本発明における分散剤とは、これが存在しない場合と比べて磁性層における強磁性粉末の分散性を向上する作用を有する化合物をいうものとする。使用可能な分散剤としては、芳香族化合物およびカルボキシル基含有化合物が好ましく、より好ましくは特開2007−257713号公報に記載のフェニルホスホン酸等のリン系(リン含有)の芳香族化合物、特開昭63−42025号公報に記載の安息香酸等、特開平1−232530号公報に記載されている桂皮酸およびその誘導体等のカルボキシル基を含有する芳香族化合物を挙げることができる。中でも優れた分散性向上効果を発揮する点からは、フェニルホスホン酸および桂皮酸の使用が好ましい。ただしフェニルホスホン酸等のリン系化合物は分解物がヘッド付着物となる場合があるため、リン系化合物と同等以上の分散性向上効果を発揮するがヘッド付着物発生の原因とならない桂皮酸を使用することが最も好ましい。なお桂皮酸にはシス体とトランス体が存在する。本発明ではシス−桂皮酸もトランス−桂皮酸も使用可能であるが、入手容易性の点からはトランス−桂皮酸が好ましい。本発明の磁気記録媒体は、分散性向上の観点から、強磁性粉末100質量部あたり1.5質量部以上の分散剤を磁性層に含むことが好ましい。高密度記録化の観点からは強磁性粉末の充填率を高めることが望ましいため、添加剤の添加量はその効果を発揮し得る範囲で低減することが好ましい。上記観点から、磁性層における分散剤の含有量は、強磁性粉末100質量部あたり10質量部以下とすることが好ましい。強磁性粉末の分散性と充填率を両立する観点から、磁性層における桂皮酸の含有量は強磁性粉末100質量部あたり3〜10質量部とすることがより好ましい。
磁性層には、必要に応じて上記分散剤以外の添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤などを挙げることができる。上記添加剤の具体例等の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0111]〜[0115]を参照できる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性粉末および結合剤成分を含む放射線硬化性組成物を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層である非磁性層を有する。例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に、非磁性層塗布液(放射線硬化性組成物)を所定の膜厚となるように塗布および放射線硬化して非磁性層(放射線硬化層)を形成し、次いでその上に、磁性層塗布液を所定の膜厚となるようにして塗布して磁性層を形成することにより、本発明の磁気記録媒体を得ることができる。一般に、下層の非磁性層用塗布液と上層の磁性層用塗布液とを逐次で重層塗布する場合には、磁性層塗布液に含まれる溶剤に非磁性層が一部溶解する場合がある。ここで非磁性層を放射線硬化性組成物から形成される放射線硬化層とすれば、放射線照射により非磁性層中で結合剤成分が重合・架橋し高分子量化が生じるため、磁性層塗布液に含まれる溶剤への溶解を抑制ないしは低減することができる。これにより上層に位置する磁性層の表面平滑性を高めることが可能となる。
また、上記結合剤成分から形成される非磁性層のガラス転移温度は、走行安定性とカレンダー成形性を両立する観点から、30℃〜85℃の範囲であることが好ましく、60〜85℃の範囲であることがより好ましく、65〜85℃の範囲であることがよりいっそう好ましい。
中でも、本発明において非磁性層の結合剤成分として好ましい放射線硬化性塩化ビニル系共重合体としては、下記一般式(1)で表される構造単位を含む放射線硬化性塩化ビニル系共重合体(以下、「共重合体A」という)を挙げることができ、放射線硬化性ポリウレタン樹脂としては、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基含有ポリオール化合物を原料として得られた放射線硬化性ポリウレタン樹脂(以下、「ポリウレタン樹脂B」という)を挙げることができる。
以下、共重合体A、ポリウレタン樹脂Bについて説明する。
共重合体Aは、下記一般式(1)で表される構造単位を含むものである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、メタクリロイルオキシ基とアクリロイルオキシ基とを含むものとし、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートとを含むものとする。
また、共重合体Aは、放射線硬化性官能基として(メタ)アクリロイルオキシ基以外の基を含むこともできる。そのような放射線硬化性官能基としては、反応性の点から、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基が好ましく、アクリル系二重結合基が更に好ましい。ここでアクリル系二重結合基とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド等の残基をいう。
前記陽イオンは、無機陽イオンであっても、有機陽イオンであってもよい。前記陽イオンは、一般式(A)中の−(O)aSO3 -を電気的に中和するものであり、1価の陽イオンに限定されず、2価以上の陽イオンとすることもできる。Mで表される陽イオンとしては1価の陽イオンが好ましい。なお、n価の陽イオンを使用する場合には、前記一般式(A)で表される置換基に対して、(1/n)モルの陽イオンを意味する。
有機陽イオンとしては、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等を例示できる。
(A−1)原料モノマーとして放射線硬化性官能基を有するモノマーを使用し、共重合反応を行う方法;
(A−2)塩化ビニル系共重合体の原料モノマーを放射線硬化性官能基含有化合物の存在下で共重合させる方法;
(A−3)塩化ビニル系共重合体の側鎖に高分子反応によって放射線硬化性官能基を導入する方法;
を挙げることができ、上記態様を必要に応じて組み合わせることにより、共重合体Aを得ることができる。
塩化ビニル、塩化ビニリデン、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸、
置換基を有していてもよいアルキル(メタ)アクリレート類、置換基を有していてもよいアリール(メタ)アクリレート類、置換基を有していてもよい(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロイルモルホリン類、ビニル基を有する芳香族炭化水素環類(各種スチレン類)、ビニル基を有するヘテロ芳香族環類(ビニルカルバゾール類)、無水マレイン酸、およびその誘導体、脂肪酸ビニルエステル類(各種アセトキシエチレン類)、各種ベンゾイルオキシエチレン類、置換基を有していてもよいアルキルアリルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、エチレン、ブタジエン、イタコン酸エステル類、
クロトン酸エステル類、ビニルピロリドン類。なお、上記において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸とを含む意味であり、他の「(メタ)」との語を含むものについても同様である。
塩化ビニル、塩化ビニリデン、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸、
置換基を有していてもよい炭素数1〜25の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアリール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の2級または3級の(シクロ)アルキル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の2級または3級のアリール(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の(メタ)アクリロイルモルホリン、 ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素環、ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜25のヘテロ芳香族環、無水マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜25の部分エステル化マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜25の部分アミド化マレイン酸、 イタコン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のイタコン酸(シクロ)アルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のイタコン酸アリールエステル、 クロトン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のクロトン酸(シクロ)アルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のクロトン酸アリールエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアセトキシエチレン類、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のベンゾイルオキシエチレン類、置換基を有していてもよいアルキルアリルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、エチレン、ブタジエン、ビニルピロリドン。
塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2級または3級の(シクロ)アルキル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2級または3級のアリール(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜20の芳香族炭化水素環、ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜20のヘテロ芳香族環、無水マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜20の部分エステル化マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜20の部分アミド化マレイン酸、イタコン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のイタコン酸(シクロ)アルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のイタコン酸アリールエステル、クロトン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のクロトン酸(シクロ)アルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のクロトン酸アリールエステル、 置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアセトキシエチレン類、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のベンゾイルオキシエチレン類、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルアリルエーテル類、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、エチレン、ブタジエン、ビニルピロリドン。
(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、直鎖または分岐のプロピル(メタ)アクリレート、直鎖または分岐のブチル(メタ)アクリレート、直鎖または分岐のペンチル(メタ)アクリレート、ノルマルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、ノルマルデシル(メタ)アクリレート、ノルマルドデシル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよいアダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルナンメチル(メタ)アクリレート、ノルボルネンメチル(メタ)アクリレート;置換基を有していてもよいベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート、アントラセンメチル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート;置換基を有していてもよいフェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい(ジ)メチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)エチル(メタ)アクリルアミド、直鎖または分岐の(ジ)プロピル(メタ)アクリルアミド、直鎖または分岐の(ジ)ブチル(メタ)アクリルアミド、直鎖または分岐の(ジ)ペンチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ノルマルヘキシル(メタ)アクリルアミド、(ジ)シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、(ジ−)2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド;置換基を有していてもよいアダマンチル(メタ)アクリルアミド、ノルアダマンチル(メタ)アクリルアミド;置換基を有していてもよいベンジル(メタ)アクリルアミド、ナフチルエチル(メタ)アクリルアミド、フェニルエチル(メタ)アクリルアミド;置換基を有していてもよい(ジ)フェニル(メタ)アクリルアミド、ナフチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ピペリジルアクリルアミド、ピロリジルアクリルアミド、(α−メチル−)スチレン、スチレンスルホン酸(塩)、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、置換基を有していてもよい、メチルクロトネート、エチル(クロトネート、直鎖または分岐のプロピルクロトネート、直鎖または分岐のブチルクロトネート、直鎖または分岐のペンチルクロトネート、ノルマルヘキシルクロトネート、シクロヘキシルクロトネート、ノルマルヘプチルクロトネート、2−エチルヘキシルクロトネート、ノルマルオクチルクロトネート、ノルマルデシルクロトネート、ノルマルドデシルクロトネート;置換基を有していてもよいアダマンチルクロトネート、イソボルニルクロトネート、ノルボルナンメチルクロトネート、ノルボルネンメチルクロトネート;置換基を有していてもよいベンジルクロトネート、ナフチルメチルクロトネート、アントラセンメチルクロトネート、フェニルエチルクロトネート;置換基を有していてもよいフェニルクロトネート、ナフチルクロトネート、置換基を有していてもよいアセトキシエチレン、置換基を有していてもよいベンゾイルオキシエチレン、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、置換基を有していてもよいビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、(メタ)クロトンニトリル。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ノルマルペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、p−ビニルフェノール、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのNa塩、K塩などの金属塩、アンモニウム塩、またはピリジン塩。
触媒の添加量は、反応に使用する原料化合物の全質量に対して例えば0.00001〜5質量部、好ましくは0.0001〜1質量部、さらに好ましくは0.00001〜0.1質量部である。
共重合体Aは、質量平均分子量が1万以上50万以下(本発明において、「1万以上50万以下」を、「1万〜50万」とも記載することとする。以下、同様。)であることが好ましく、1万〜40万であることがより好ましく、1万〜30万であることがさらに好ましい。質量平均分子量が1万以上であれば、共重合体Aを結合剤として形成された塗布層の保存性が良好であり好ましい。また、質量平均分子量が50万以下であれば、良好な分散性が得られるので好ましい。
前述のように、共重合体Aのガラス転移温度(Tg)は、30℃〜100℃であり、55℃〜100℃であることが好ましい。
共重合体Aは、前述のように極性基を含有することが好ましい。共重合体A中の極性基の含有量は、1.0mmol/kg〜3500mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2500mmol/kgであることが更に好ましい。
極性基の含有量が1.0mmol/kg以上であれば、非磁性粉末等の粉末への十分な吸着力を得ることができ、分散性が良好であるので好ましい。また、3500mmol/kg以下であれば、溶剤への良好な溶解性が得られるので好ましい。前述のように極性基としては、一般式(A)で表されるスルホン酸(塩)基および硫酸(塩)基が好ましい。スルホン酸(塩)基および硫酸(塩)基からなる群から選ばれる極性基の含有量は、分散性と溶剤溶解性を両立する観点から10mmol/kg以上2000mmol/kg以下であることが好ましい。
共重合体Aには、水酸基(OH基)が含まれていてもよい。含まれるOH基の個数は1分子あたり1〜100000個が好ましく、1〜10000個がより好ましい。OH基の個数が上記範囲内であれば、溶剤への溶解性が向上するので分散性が良好となる。
共重合体Aは、一般式(1)で表される構造単位中に放射線硬化性官能基である(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するものであり、その他にも各種放射線硬化性官能基を含有することもできる。それら放射線硬化性官能基の詳細は、先に説明した通りである。共重合体A中の放射線硬化性官能基の含有量は、1.0mmol/kg〜4000mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2000mmol/kgであることがさらに好ましい。放射線硬化性官能基の含有量が1.0mmol/kgであれば、放射線硬化により高い強度を有する塗膜を形成できるので好ましい。また、放射線硬化性官能基の含有量が4000mmol/kg以下であれば、放射線硬化後にカレンダー処理をする場合でもカレンダー成形性が良好であり、電磁変換特性が良好な磁気記録媒体が得られるので好ましい。
ポリウレタン樹脂Bは、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基含有ポリオール化合物を原料として得られたものである。
以下、ポリウレタン樹脂Bについて更に詳細に説明する。
また、前記フェニレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、および、p−フェニレン基を例示することができ、o−フェニレン基またはm−フェニレン基であることが好ましく、m−フェニレン基であることがより好ましい。
前記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アリール基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基、アリールオキシ基、および、アルキル基が例示できる。
前記アリーレン基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基、アリールオキシ基、および、アリール基が例示できる。
前記アルキル基およびアラルキル基が水酸基以外に有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、スルホニル基、および、シリル基が例示できる。これらの中でも、アルコキシ基またはアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基またはフェノキシ基であることがさらに好ましい。
また、前記アルキル基およびアラルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよい。
また、R101およびR102におけるアラルキル基は、窒素原子のα位およびβ位が飽和炭化水素鎖であることが好ましい。また、その場合、窒素原子のβ位には水酸基を有していてもよい。
また、R101およびR102は、窒素原子のα位には水酸基を有しないことが好ましく、少なくとも窒素原子のβ位に水酸基を1つ有していることがより好ましく、窒素原子のβ位のみに水酸基を1つ有していることが特に好ましい。窒素原子のβ位に水酸基を有することにより合成が容易となり、また、有機溶媒への溶解性を更に高めることができる。
前記陽イオンは、無機陽イオンであっても、有機陽イオンであってもよい。前記陽イオンは、一般式(2)中の−SO3 -を電気的に中和するものであり、1価の陽イオンに限定されず、2価以上の陽イオンとすることもできるが、1価の陽イオンが好ましい。なお、n価の陽イオンを使用する場合には、一般式(2)で表される化合物に対して、(1/n)モルの陽イオンを意味する。
有機陽イオンとしては、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等を例示できる。
また、一般式(2)におけるR101とR102とは、同じであっても、異なっていてもよいが、合成上の容易性から、同じであることが好ましい。
一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ、炭素数5以上の基であることが好ましい。また、一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ、芳香環および/またはエーテル結合を有する基であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂Bは、質量平均分子量が1万〜50万であることが好ましく、1万〜40万であることがより好ましく、1万〜30万であることがさらに好ましい。質量平均分子量が1万以上であれば、ポリウレタン樹脂Bを結合剤として形成された塗布層の保存性が良好であり好ましい。また、質量平均分子量が50万以下であれば、良好な分散性が得られるので好ましい。
ポリウレタン樹脂Bのウレタン基濃度は2.0mmol/g〜5.0mmol/gであることが好ましく、2.1mmol/g〜4.5mmol/gであることがさらに好ましい。
ウレタン基濃度が2.0mmol/g以上であれば、ガラス転移温度(Tg)が高く良好な耐久性を有する塗膜を形成することができ、また、分散性も良好であり好ましい。また、ウレタン基濃度が5.0mmol/g以下であれば、良好な溶剤溶解性が得られ、ポリオール含有量の調整が可能であり、分子量のコントロールが容易であるので好ましい。
前述のように、ポリウレタン樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、30℃〜100℃であり、55℃〜100℃であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂Bは、前述のようにスルホン酸(塩)基含有ポリオール化合物を原料として得られるものであるため、スルホン酸(塩)基を含有する。また、これに加えて他の極性基を含むこともできる。他の極性基としては、ヒドロキシアルキル基、カルボン酸(塩)基、硫酸(塩)基、燐酸(塩)基等を挙げることができ、−OSO3M’、−PO3M’2、−COOM’、−OHが好ましい。この中でも、−OSO3M’がさらに好ましい。M’は、水素原子または1価のカチオンを表す。1価のカチオンとしては、アルカリ金属またはアンモニウムを例示できる。ポリウレタン樹脂B中の極性基の含有量は、1.0mmol/kg〜3500mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2500mmol/kgであることが更に好ましい。
極性基の含有量が1.0mmol/kg以上であれば、非磁性粉末への十分な吸着力を得ることができ、分散性が良好であり、また遊離のポリウレタン量を減量できるので好ましい。また、3500mmol/kg以下であれば、良好な溶剤への溶解性が得られるので好ましい。
ポリウレタン樹脂Bには、水酸基(OH基)が含まれていてもよい。含まれるOH基の個数は1分子あたり1〜100000個が好ましく、1〜10000個がより好ましい。OH基の個数が上記範囲内であれば、溶剤への溶解性が向上するので分散性が良好となる。
ポリウレタン樹脂Bが有する放射線官能基の詳細は、先に説明した通りである。その含有量は、1.0mmol/kg〜4000mmol/kgであることが好ましく、1.0mmol/kg〜3000mmol/kgであることがより好ましく、1.0mmol/kg〜2000mmol/kgであることがさらに好ましい。放射線硬化性官能基の含有量が1.0mmol/kg以上であれば、放射線硬化により高い強度を有する塗膜を形成できるので好ましい。また、放射線硬化性官能基の含有量が4000mmol/kg以下であれば、放射線硬化後にカレンダー処理をする場合でもカレンダー成形性が良好であり、電磁変換特性が良好な磁気記録媒体が得られるので好ましい。
非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜1μmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜1μmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。
これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜2μmが好ましい。5nm〜2μmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有する非磁性層が形成できるため好ましい。ただし必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。本発明の磁気記録媒体に使用可能な非磁性粉末の詳細については、特開2009−96798号公報段落[0123]〜[0132]を参照できる。
一方、放射線硬化性樹脂の合成反応は、通常、放射線硬化性官能基を保護するための重合禁止剤の存在下で行われる。そこで長期保存中に放射線硬化性官能基が反応することを抑制するため、上記重合禁止剤を増量することが考えられるが、単に重合禁止剤を増量するのみでは、放射線照射時の硬化性の低下を引き起こし強靭な塗膜を得ることが困難となるおそれがある。
これに対し、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体はベンゾキノン化合物の存在下で保存することにより、硬化性を損なうことなく、長期間保存安定性を良好に維持することができることが明らかとなった。したがって本発明において非磁性層形成のために使用する放射線硬化性塩化ビニル系共重合体は、長期保存後に使用する場合にはベンゾキノン化合物を含む組成物中で保存することが好ましい。
以下、上記化合物について説明する。
以上説明した化合物は、公知の方法または前述の方法により合成することができる。また市販品として入手可能なものもある。
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmであることが好ましい。
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して繰り返し走行性が強く要求される。このような高い保存安定性を維持させるために、非磁性支持体の磁性層が設けられた面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層用塗布液は、研磨剤、帯電防止剤などの粒子成分と結合剤とを有機溶媒に分散させることにより形成することができる。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラック、またはポリマー粒子を使用することができる。また、結合剤としては、例えば、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の好ましい厚さは3〜80μmである。また、上記バックコート層の厚さは、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。
磁性層、非磁性層、バックコート層等の各層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなることが好ましい。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、分散剤、その他添加剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。各層形成用塗布液を調製するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は、強磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対して15〜500質量部の結合剤(但し、全結合剤の30質量%以上が好ましい)を使用して混練処理することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗布液および非磁性層用塗布液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。ガラスビーズ以外には、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
一般に、下層の非磁性層用塗布液と上層の磁性層用塗布液とを逐次で重層塗布する場合には、磁性層塗布液に含まれる溶剤に非磁性層が一部溶解する場合がある。ここで非磁性層を高い硬化性を有する放射線硬化性組成物から形成される放射線硬化層とすれば、放射線照射により非磁性層中で結合剤成分が重合・架橋し高分子量化が生じるため、磁性層塗布液に含まれる溶剤への溶解を抑制ないしは低減することができる。また、非磁性層の硬化性が高く磁性層との界面での混ざり合いを防止できることは、界面変動による磁性層表面平滑性低下を抑制するうえで有利である。この点から、本発明では非磁性層を放射線硬化層とするが、中でも、高い硬化性を有する前記した共重合体Aを使用することが有効である。
それらの処理の詳細については、例えば特開2009−96798号公報段落[0146]〜[0148]を参照できる。先に説明したように、本発明によれば走行中の磁性層表面の削れの抑制と優れたカレンダー成形性を両立することができる。
優れたカレンダー成形性を有することの指標としては、WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000型を用いてカットオフ値0.25mmの条件で測定250μm×250μm面積において測定される磁性層表面の中心面平均表面粗さRaの変化量(低下量)ΔRaを用いることができ、本発明によれば、走行中の磁性層表面の削れを抑制したうえで、ΔRaが1.5nm以上、例えばΔRaが1.5〜3.0nmのカレンダー成形性を実現することができる。カレンダー処理条件については、上記特開2009−96798号公報に記載の通り、カレンダーロールの温度、即ちカレンダー温度は60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cmの範囲、好ましくは200〜450kg/cmの範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cmの範囲の条件が好ましい。また、カレンダー温度を非磁性層のガラス転移温度以上に設定すると、カレンダー処理時に非磁性層が柔軟になりクッション性がよりいっそう高まるため、カレンダー成形性を大きく高めることができ好ましい。カレンダー成形性を向上する観点から、カレンダー温度は、非磁性層のガラス転移温度Tg+5℃〜該Tg+30℃の範囲とすることがより好ましい。
その後、作製された磁気記録媒体原反を裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して磁気記録媒体を得ることができる。
下記実施例、参考例および比較例における結合剤樹脂のガラス転移温度Tgおよび80℃での貯蔵弾性率E'は、以下に記載の動的粘弾性測定によって求められた値である。
結合剤樹脂溶液を、メチルエチルケトン:シクロヘキサノンの比率が50:50(質量比)の溶液で希釈して固形分濃度が22質量%になるように調製する。その後、乾燥後の厚さが20μmになるようにアラミドベース上に塗布、乾燥させてクリア膜を得る。放射線硬化性樹脂を含むクリア膜は、酸素濃度200ppm以下の雰囲気で、40kGyの放射線を照射して硬化させる。その後、得られたクリア膜を、幅3.35mm、長さ5cmに切断し、動的粘弾性測定装置(TOYO BALDWIN製レオバイブロン、昇温速度2℃/分、測定周波数110Hz)で30〜140℃までの損失弾性率(E")のピーク温度を結合剤樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg1」と記載する)とし、併せて同測定において80℃における貯蔵弾性率E'を求める。
下記実施例、参考例および比較例における非磁性層のガラス転移温度は、以下に記載の動的粘弾性測定によって求められた値である。
対応する実施例、参考例、比較例と同様の方法で調製した非磁性層塗布液を、アラミドベース上に対応する実施例、参考例、比較例と同じ厚さで塗布、乾燥し同条件で硬化(加熱または放射線硬化)したシートを、幅12.65mm、長さ約10mmに切断した試料について、動的粘弾性測定装置(エスアイアイナノテクノロジー社製DMS6100)を用いて、昇温速度2℃/min、測定周波数は10Hzとして、測定温度範囲20〜200℃における損失正接(tanδ1)を測定する。これとは別に、使用したベース単体についても、上記と同様の方法で測定温度範囲20〜200℃における損失正接(tanδ2)を測定する。各温度における試料とベースフィルムのtanδの差分(tanδ1(T)−tanδ2(T)、Tは測定温度)を、20〜200℃の範囲で温度に対してプロットする。プロットから得られた極大値における温度を、非磁性層のガラス転移温度(以下、「Tg2」と記載する)とする。
(1)塩化ビニル系共重合体の重合
塩化ビニル:100部
アリルグリシジルエーテル:11.9部
2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート:4.1部
アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル:3.6部
ラウリル硫酸ソーダ:0.8部
水:117部
を仕込み、50℃で攪拌した。
その後、
過硫酸カリウム:0.6部
を仕込んで乳化重合を開始した。反応10時間後、重合器の圧力が2kg/cm2になった時点で冷却し、未反応塩化ビニルを回収した後、脱液、洗浄、乾燥して、共重合比(モル%)として、
塩化ビニル:93.0モル%
アリルグリシジルエーテル:4.0モル%
2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート:1.0モル%
アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル:1.0モル%
アリルグリシジルエーテルのエポキシ基が硫酸で開環した単位:1.0モル%
の塩化ビニル系共重合体(1)を得た。
2Lフラスコに、塩化ビニル系共重合体(1)の30%シクロヘキサノン溶液416g(固形分124.8g)を添加して攪拌速度210rpmで撹拌した。次いで、1,4−ベンゾキノン0.28g(2.60mol、20000ppm)を添加し撹拌溶解した。
次に、反応触媒としてジラウリン酸ジブチル錫0.125gを添加し、40〜50℃に昇温して撹拌した。次いで、放射線硬化性官能基導入成分として2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製MOI)13.75g(0.09mol)を30分かけて滴下し、滴下終了後、40℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却して、放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル系共重合体(具体例化合物(1)、以下、「放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d」と記載)を含有する樹脂溶液(放射線硬化性組成物)を得た。
上記放射線硬化性官能基(メタクリロイルオキシ基)含有塩化ビニル系共重合体の1H NMRデータおよびその帰属を以下に示す。
放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(具体例化合物(1)):1H-NMR (DMSO-d6) δ(ppm) = 6.2-6.0 (C=C二重結合のピーク), 5.8-5.6 (C=C二重結合のピーク), 4.6-4.2(br.,m), 4.2-4.0(m), 3.9-3.1(m), 3.1-3.0(br.,s), 2.7-2.65(br.,s), 2.60-2.0(m)、2.0-0.7(br.,m).
調製例1−1の放射線硬化性官能基の導入反応において、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.75gの代わりに、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工製Karenz_AOI)12.51gを使用した点以外は、調製例1−1と同様の方法で放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(具体例化合物(3))樹脂溶液を得た。得られた放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体の1H NMRデータおよびその帰属を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ(ppm) = 6.2-6.0 (C=C二重結合のピーク),5.8-5.6 (C=C二重結合のピーク), 4.6-4.2(br., m),4.2-4.0(br., m), 3.9-3.1(m), 3.1-3.0(br.,s)、2.7-2.65(br.,s)、2.60-2.0(m)、2.0-0.7(br.,m).
調製例1−1と同様に、平均分子量、Tg1、硫酸塩基濃度、放射線硬化性官能基濃度の測定を行ったところ、表1の結果が得られた。
調製例1−1の放射線硬化性官能基の導入反応において、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.75gの代わりに、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工製Karenz_BEI)21.20gを使用した点以外は、調製例1−1と同様の方法で放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(具体例化合物(4))の樹脂溶液を得た。得られた放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体の1H NMRデータおよびその帰属を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ(ppm) = 6.2-6.0 (C=C二重結合のピーク),5.8-5.6 (C=C二重結合のピーク), 4.6-4.2(br.,m), 4.2-4.0(br.,m), 3.9-3.1(m), 3.1-3.0(br.,s), 2.7-2.65(br.,s), 2.60-2.0(m), 2.0-0.7(br.,m).
調製例1−1と同様に、平均分子量、Tg1、硫酸塩基濃度、放射線硬化性官能基濃度の測定を行ったところ、表1の結果が得られた。
(1)平均分子量の測定
調製例の各樹脂溶液中に含まれる放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体の平均分子量(Mw)を、0.3%の臭化リチウムを含有するDMF溶媒を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)硫酸(塩)基濃度
蛍光X線分析により硫黄(S)元素のピーク面積から硫黄元素量を定量し、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体1kgあたりの硫黄元素量に換算し、放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体中の硫酸(塩)基濃度を求めた。
(3)共重合体中の放射線硬化性官能基含有量
NMRの積分比より算出した。
(4)ガラス転移温度
前述の方法によりTg1を測定した。
特開2004−352804号公報記載の放射線硬化性塩化ビニル系共重合体(以下、「放射線硬化性塩化ビニル系共重合体b」と記載)の合成
特開2004−352804号公報段落[0040]〜[0041]に記載の方法にしたがい、特開2004−352804号公報の調製例1の樹脂(放射線硬化性塩化ビニル系共重合体)を得た。調製例1−1と同様に、Tg1および放射線硬化性官能基濃度の測定を行ったところ、Tg1は70℃、放射線硬化性官能基濃度は1283 mmol/kgであった。
調製例1−1の放射線硬化性官能基の導入反応において、1,4−ベンゾキノンを添加しなかった点以外は調製例1−1と同様の方法で放射線硬化性官能基含有塩化ビニル系共重合体(具体例化合物(1))の樹脂溶液を得た。調製例1−1と同様に、平均分子量測定、Tg1測定、硫酸塩基濃度、放射線硬化性官能基濃度の測定を行ったところ、調製例1−1と同じ測定値が得られた。
(1)放射線硬化性の評価
調製例1〜1〜1−5で得られた各樹脂溶液を、固形分濃度約20%に希釈し試料溶液とした。この試料溶液をアラミドベース上にブレード(300μm)を用いて塗布し、室温で二週間乾燥し、塗布厚み30〜50μmの塗布膜を得た。
次いでこの塗布膜に電子線照射器を用いて、10kGyの強度で3回、計30kGyの電子線を照射した。
次いで、電子線を照射した膜を、テトラヒドロフラン(THF)100ml中に浸漬し、60℃2時間抽出した。抽出終了後、THF100mLで膜を洗浄し、真空乾燥で140℃3時間乾燥させた。次いで、抽出終了後の(乾燥させた膜の)残分の質量をゲル分の質量とし、(ゲル分/抽出前の塗布膜の質量)×100で算出される値をゲル分率として表2に示す。ゲル分率が高いほど塗膜強度が高く放射線硬化が良好に進行したことを示す。
(2)長期保存安定性の評価
調製例1〜1〜1−5で得られた樹脂溶液を23℃、密閉の条件で保存して、GPCにより得られる分子量に変化が現れるまでの日数を調べた。結果を表3に示す。
表2に示すように、調製例1−1〜1−3、1−5の樹脂溶液は、調製例1−4の樹脂溶液と比べて高い硬化性を示した。この結果から、一般式(1)で表される構造単位を有する放射線硬化性塩化ビニル系共重合体が高い硬化性を有することが確認できる。
また、表3に示す結果から、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体をベンゾキノン化合物とともに含む樹脂溶液(調製例1−1〜1−3)は、優れた経時安定性を示し長期保存安定性が良好であることが確認できる。
通常、長期保存安定性を高めることが可能な成分を添加すると硬化性が低下するのに対し、調製例1−1〜1−3では表2に示すように、放射線照射して得られた硬化膜のゲル分率が高く硬化性も良好であったことから、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体に対してベンゾキノン化合物を使用することにより、その硬化性を損なうことなく、保存安定性を高めることができることが示された。
通常、放射線硬化性樹脂の合成時には多官能(メタ)アクリレートモノマーが副生することが知られており、調製例1−1では、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体dの合成時に、以下の2官能メタクリレートモノマー(以下、「メタクリレートモノマーA」と記載する。)が副生することが予想された。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製MOI)10gをアセトン100mlに溶解した。内温30〜50℃の範囲で、水100gを滴下し2時間攪拌した。酢酸エチル200gを添加し、10分攪拌を行い静置した後に水相を廃棄した。水100gを添加し、10分攪拌を行い静置後に水相を廃棄した。得られた有機相を外温40℃でエバポレーターを使い濃縮乾固させた。生成物のNMRデータおよびその帰属を以下に示す。
1H-NMR (400MHz, DMSO, 25℃): 6.12(2H, t), 6.05 (2H,s), 5.68 (2H, t), 4.05 (4H, t), 3.82 (4H, q) , 1.88(6H, s)ppm
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのNMRデータにおいて、代表的なプロトンの帰属は以下の通りとなる。放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d、メタクリレートモノマーA、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのNMRデータから明らかなように、6.12ppmのプロトンのピークはメタクリレートモノマーAのみが有するため、このピークが存在することによりメタクリレートモノマーAが副生していることを確認することができる。そこで調製例1−1で得た樹脂溶液の1H NMR測定を行ったところ、6.12ppmにプロトンのピークが確認された。この結果から、調製例1−1でメタクリレートモノマーAが副生したことが確認できる。なお、上記(1)で合成したメタクリレートモノマーAと積分値を比較することで、調製例1−1で得た樹脂溶液のメタクリレートモノマーAの含有量を求めたところ、7.18gであった。また、NMRデータにおいて、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体dとメタクリレートモノマーAの積分値を比較することにより、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの放射線硬化性塩化ビニル系共重合体dに導入された量とメタクリレートモノマーAに導入された量の比率を求めたところ、前者:後者=47.8:52.2であり、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは検出されなかった。
以上の結果と仕込み量から、調製例1−1で得られた樹脂溶液中の放射線硬化性塩化ビニル系共重合体dの生成量は131.4gと算出される。
調製例1−1と同様の方法で樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液200gに内温50℃でアセトン200gを添加した。その後、内温45〜55℃の範囲でメタノール500gを滴下すると固形物が析出した。析出した固形物を濾過し、アセトン300gを添加し50℃で攪拌し完溶させた。内温45〜55℃の範囲でメタノール500gを滴下すると固形物が析出した。析出した固形物を濾過し、真空下30℃で24時間乾燥させた。
上記操作により得られた生成物の1H NMR測定を行ったところ、6.12ppmにはプロトンのピークが確認されなかった。この結果から、反応物から副生物であるメタクリレートモノマーAが上記操作により除去されたと判断することができる。
次いで、上記操作により得られた生成物の放射線硬化性およびガラス転移温度を、前述の方法により測定したところ、ゲル分率は84%、ガラス転移温度Tg1は75℃であり調製例1−1で得られた結果と同等であった。
以上の結果から、合成時に副生する多官能(メタ)アクリレートモノマーは放射線硬化性組成物の放射線硬化性やガラス転移温度に大きな影響を及ぼすものではなく、したがって樹脂溶液において測定されたガラス転移温度などの各種物性は、樹脂溶液に含まれる放射線硬化性樹脂の物性であると判断することができる。
放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d’の合成
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート滴下量を6.88g(0.04mol)に変更した点以外は調製例1−1と同様の方法で放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d’を含有する樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液について、上記方法によりメタアクリレートモノマーAの副生が確認された。樹脂溶液中の放射性硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体d‘と副生したメタアクリレートモノマーAの含有量を上記方法により求めたところ、129.2gと2.51gであった。また、上記と同様の方法により、NMRデータから未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが存在しないことを確認するとともに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d’に導入された量とメタクリレートモノマーAに導入された量の比率を求めたところ、前者:後者=63.5:36.5であった。前述の方法で、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d’中のメタクリロイルオキシ基濃度およびガラス転移温度を求めたところ、メタクリロイルオキシ基濃度は230mmol/kg、ガラス転移温度は73℃であった。
放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d”の合成
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート滴下量を3.43g(0.02mol)に変更した点以外は実施例1と同様の方法で放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d”を含有する樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液について、上記方法によりメタアクリレートモノマーAの副生が確認された。樹脂溶液中の放射性硬化性官能基含有塩化ビニル共重合体d‘’と副生したメタアクリレートモノマーAの含有量を上記方法により求めたところ、127.5gと0.78gであった。また、上記と同様の方法により、NMRデータから未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが存在しないことを確認するとともに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d”に導入された量とメタクリレートモノマーA中に導入された量の比率を求めたところ、前者:後者=77.4:22.6であった。前述の方法で、放射線硬化性塩化ビニル系共重合体d”中のメタクリロイルオキシ基濃度およびガラス転移温度を求めたところ、メタクリロイルオキシ基濃度は140mmol/kg、ガラス転移温度は75℃であった。
温度計、攪拌機、ヴィグリュー管、リービッヒ冷却器を具備した反応容器にテレフタル酸ジメチルエステル190部、5−スルホイソフタル酸ジメチルエステル5.9部、プロピレングリコール152部、およびテトラブトキシチタン0.2部を仕込み200〜230℃で4時間エステル交換反応を行った。次いで10分かけて240℃まで昇温すると同時に徐々に減圧し30分間反応させ重合を終了しポリエステルポリオール1を得た。
得られたポリエステルポリオール1:100部をMEK(メチルエチルケトン):37部およびトルエン:37部に溶解し、MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート):12部、ネオペンチルグリコール1部を加え、触媒としてジブチルチンジラウレート:0.05部を添加し、80℃で5時間反応させた。次いで、MEK:94部、トルエン:94部で溶液を希釈し、ポリウレタン樹脂(以下、「ポリエステルポリウレタン樹脂a」と記載)(Mn=25000、SO3Na基濃度=87mmol/kg、ウレタン基濃度=約1.2mmol/g)を得た。
(1)ポリエステル樹脂の合成
5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(東京化成製)159.7部、エステルグリコール(三菱化学製)275.2部、酢酸亜鉛2水和物(和光純薬製)2.4部を245℃で加熱した。得られてくる蒸留物をディーンスターク管を用いて蒸留留去しながら、6時間攪拌した。得られた固体を取り出し、以下の構造を有するポリエステルポリオール(以下、「ポリエステルポリオール2」と記載)を得た。得られたポリエステルポリオールの質量平均分子量および質量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)をTHF溶媒を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。質量平均分子量は1000、Mw/Mn=1.85であった。
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)60.0部、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.2部(濃度355.4mmol/kg)、およびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)10.00部、極性基導入成分としてポリエステルポリオール2 3.50部、重合溶媒としてシクロヘキサノン159.4部、p−メトキシフェノール0.24部を添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)35.7部を添加した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.33部を添加し、80℃に昇温して5時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン120.2部を添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)をポリウレタン固形分に対し50ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「放射線硬化性ポリウレタン樹脂c」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を前述の方法により測定したところ、Mw=4.8万、Mn=2.5万、スルホン酸(塩)基含有量60.7mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から336.0mmol/kgと算出される。
フラスコに、蒸留水100ml、タウリン50g(0.400mol)、和光純薬製KOH 22.46g(純度87%)を添加し、内温を50℃に昇温して内容物を完全に溶解した。
次いで、内温を40℃に冷却し、ブチルグリシジルエーテル 140.4g(1.080mol)を30分かけて滴下した後、50℃に昇温して2時間攪拌した。溶液を室温まで冷却し、トルエン100ml添加して、分液し、トルエン層を廃棄した。次いで、シクロヘキサノン400ml添加し、110℃に昇温してディーンスタークで水を除去してスルホン酸塩基含有ジオール化合物の50%シクロヘキサノン溶液を得た。生成物の1H NMRデータを以下に示す。NMR分析結果から、生成物は特開2009−96798号公報記載の例示化合物(S−31)に加えて、同公報記載の例示化合物(S−64)等、その他の化合物も含む混合物であることが確認された。
1H NMR (CDCl3): δ(ppm) =4.5(br.), 3.95-3.80 (m), 3.50-3.30 (m),3.25-2.85 (m), 2.65-2.5 (m),2.45-2.35(m),1.6-1.50 (5重線), 1.40-1.30 (6重線),1.00-0.90 (3重線).
(2)放射線硬化性ポリウレタン樹脂の調製
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)57.50g、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.50g(濃度355.44mmol/kg)、およびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)10.50g、例示化合物(S−31)の50%シクロヘキサノン溶液6.80g、重合溶媒としてシクロヘキサノン104.26g、p−メトキシフェノール 0.240gを添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)42.21gとシクロヘキサノン51.47gの溶液を15分かけて滴下した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.361gを添加し、80℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン121.28gを添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)をポリウレタン固形分に対し50ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「放射線硬化性ポリウレタン樹脂e」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を前述の方法により測定したところ、Mw=3.6万、Mn=2.4万、スルホン酸(塩)基含有量69.66mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から355.44mmol/kgと算出される。
フラスコに、前記ポリエステル1 14.0部、水素化ビスフェノールA 61.0部、アデカポリエーテルBPX−1000 60.0部、シクロヘキサノン296.4部、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)79.6部を添加した。次いで、ジ−n−ブチルチンラウレート0.21部を添加し、80℃に昇温して5時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン197.5部を添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「ポリエーテルポリウレタン樹脂f」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を前述の方法により測定したところ、Mw=7.0万、Mn=4.1万、スルホン酸(塩)基含有量65.2mmol/kgであった。
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)70.50g、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.50g(濃度355.44mmol/kg)、およびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)3.90g、例示化合物(S−31)の50%シクロヘキサノン溶液6.80g、重合溶媒としてシクロヘキサノン116.41g、p−メトキシフェノール 0.240gを添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)32.32gとシクロヘキサノン44.64gの溶液を15分かけて滴下した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.361gを添加し、80℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン121.29gを添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)をポリウレタン固形分に対し50ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「放射線硬化性ポリウレタン樹脂h」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を後述の方法により測定したところ、Mw=3.6万、Mn=2.4万、スルホン酸(塩)基含有量68.8mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から348mmol/kgと算出される。
(1)ポリエステル樹脂の合成
5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(東京化成製)11.1部、アジピン酸(東京化成製)100.0部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール79.4部、1,6−ヘキサンジオール29.4部、ジブチルスズオキシド(東京化成製)0.4部を245℃で加熱した。得られてくる蒸留物をディーンスターク管を用いて蒸留留去しながら、6時間攪拌し、以下の構造を有するポリエステルポリオール(以下、「ポリエステルポリオール3」と記載)を得た。得られたポリエステルポリオール3の質量平均分子量および質量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)をTHF溶媒を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。質量平均分子量は2150、Mw/Mn=1.85であった。
アジピン酸(東京化成製)100.0部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール74.8部、1,6−ヘキサンジオール27.7部、ジブチルスズオキシド(東京化成製)0.4部を245℃で加熱した。得られてくる蒸留物をディーンスターク管を用いて蒸留留去しながら、6時間攪拌し、以下の構造を有するポリエステルポリオール4(以下、「ポリエステルポリオール4」と記載)を得た。得られたポリエステルポリオール4の質量平均分子量および質量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)をTHF溶媒を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。質量平均分子量は2100、Mw/Mn=1.85であった。
フラスコに、ポリエステルポリオール3 50.0部、ポリエステルポリオール4 50.0部、2−エチル−ブチル−1,3−プロパンジオール100.0部、シクロヘキサノン501.4部、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)163.0部を添加した。次いで、ジ−n−ブチルチンラウレート0.72部を添加し、80℃に昇温して5時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン331.5部を添加し、ポリエステルウレタン樹脂Aの溶液を得た。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「ポリエステルポリウレタン樹脂g」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を前述の方法により測定したところ、Mw=7.0万、Mn=4.1万、スルホン酸(塩)基含有量64.1mmol/kgであった。また、ウレタン基濃度は、3.8mmol/gであった。
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)41.10g、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.50g(濃度355.44mmol/kg)、およびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)19.80g、ポリエステル1の50%シクロヘキサノン溶液6.80g、重合溶媒としてシクロヘキサノン97.36g、p−メトキシフェノール(0.240gを添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)44.30gとシクロヘキサノン61.18gの溶液を15分かけて滴下した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.361gを添加し、80℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン120.41gを添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)をポリウレタン固形分に対し50ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「放射線硬化性ポリウレタン樹脂i」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を前述の方法により測定したところ、Mw=3.6万、Mn=2.4万、スルホン酸(塩)基含有量69.6mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から352mmol/kgと算出される。
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)31.00g、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.50g(濃度355.44mmol/kg)、およびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)26.00g、ポリエステル1の50%シクロヘキサノン溶液6.80g、重合溶媒としてシクロヘキサノン92.39g、p−メトキシフェノール 0.240gを添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)49.52gとシクロヘキサノン61.18gの溶液を15分かけて滴下した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.361gを添加し、80℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン121.81gを添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、成分Dとして4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)をポリウレタン固形分に対し50ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂(以下、「放射線硬化性ポリウレタン樹脂j」と記載)の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を前述の方法により測定したところ、Mw=3.6万、Mn=2.4万、スルホン酸(塩)基含有量68.9mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から349mmol/kgと算出される。
(1)磁性層塗布液の調製
強磁性金属粉末:100部
組成 Fe/Co=100/25
Hc 195kA/m(≒2450Oe)
BET法による比表面積 65m2/g
表面Al2O3、SiO2、Y2O3処理
粒子サイズ(平均長軸長)35nm
針状比 5
σs 110A・m2/kg(≒110emu/g)
分散剤 トランス桂皮酸(東京化成製):5部
ポリ塩化ビニル系共重合体 MR104(日本ゼオン社製):10部
ポリエステルポリウレタン樹脂a:10部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
α−Al2O3 モース硬度9(平均粒径0.1μm):15部
カーボンブラック(平均粒径0.08μm):0.5部
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
を加えさらに20分間撹拌混合した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
非磁性粉体(αFe2O3 ヘマタイト):75部
長軸長 0.15μm
BET法による比表面積 52m2/g
pH 6
タップ密度 0.8
DBP吸油量 27〜38g/100g、
表面処理剤 Al2O3、SiO2
カーボンブラック:25部
平均一次粒子径 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法による比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
放射線硬化性塩化ビニル共重合体b:12部
放射線硬化性ポリウレタン樹脂c:7.5部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
得られた分散液に
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:1部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
を加え撹拌した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性塗布液を調製した。
カーボンブラック(平均粒径40nm):85部
カーボンブラック(平均粒径100nm):3部
ニトロセルロース:28部
ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン500):58部
銅フタロシアニン系分散剤:2.5部
ニッポラン2301(日本ポリウレタン工業社製):0.5部
メチルイソブチルケトン:0.3部
メチルエチルケトン:860部
トルエン:240部
をロールミルで予備混練した後サンドミルで分散し、
ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン500)4部、
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)14部、
α−Al2O3(住友化学社製)5部
を添加、攪拌濾過してバックコート層塗布液を調製した。
磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.003μmで、厚さ5μmのポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に、接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.05μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
次いで、上記の非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが1.0μmになるように塗布し、ドライヤーによって十分に乾燥させた後、酸素濃度200ppm以下の雰囲気で、非磁性層塗布液の塗布層に40kGyの放射線を照射して非磁性層(放射線硬化層)を形成した。
さらにその直後にその上に磁性層の厚さが0.06μmになるように、磁性層塗布液を塗布し、0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥させた後、支持体の裏面に上記のバックコート層塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布した。塗布後のシートは、一部を表面性の評価に使用した。次いで、金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行い、1/2インチ幅にスリットして磁気記録テープを作製した。
参考例1の非磁性層塗布液の調製において、放射線硬化性塩化ビニル共重合体bの代わりに放射線硬化性塩化ビニル共重合体dを、放射線硬化性ポリウレタン樹脂cの代わりに放射線硬化性ポリウレタン樹脂eを用いた以外は、参考例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
実施例2の非磁性層塗布液の調製において、放射線硬化性ポリウレタン樹脂eを放射線硬化性ポリウレタン樹脂hに変更した以外は、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
実施例2の非磁性層塗布液の調製において、放射線硬化性ポリウレタン樹脂eを放射線硬化性ポリウレタン樹脂iに変更した以外は、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
実施例2の非磁性層塗布液の調製において、放射線硬化性ポリウレタン樹脂eを放射線硬化性ポリウレタン樹脂jに変更した以外は、実施例2と同様の方法で磁気テープを作製した。
(1)磁性層塗布液の調製
強磁性金属粉末:100部
組成 Fe/Co=100/25
Hc 195kA/m(≒2450Oe)
BET法による比表面積 65m2/g
表面Al2O3、SiO2、Y2O3処理
粒子サイズ(平均長軸長) 45nm
針状比 5
σs 110A・m2/kg(≒110emu/g)
分散剤 フェニルホスホン酸(東京化成製):5部
塩化ビニル共重合体k(日本ゼオン社製MR104):10部
ポリエステルポリウレタン樹脂a:10部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
α−Al2O3 モース硬度9(平均粒径0.1μm):15部
カーボンブラック(平均粒径0.08μm):0.5部
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
を加えさらに20分間撹拌混合した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
非磁性層塗布液の調製
非磁性粉体(αFe2O3 ヘマタイト):80部
長軸長 0.15μm
BET法による比表面積 52m2/g
pH 6
タップ密度 0.8
DBP吸油量 27〜38g/100g、
表面処理剤 Al2O3、SiO2
カーボンブラック:20部
平均一次粒子径 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法による比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル共重合体k(日本ゼオン製MR−104):15部
ポリエーテルポリウレタン樹脂f:10部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
得られた分散液に
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:1部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
を加え撹拌した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層塗布液を調製した。
磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.003μmで、厚さ5μmのポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に、接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.05μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
次いで、上記の非磁性塗布液を乾燥後の厚さが1.0μmになるように、次いで上記の磁性層塗布液を乾燥後の厚さが0.06μmになるように同時重層塗布し、0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥させた後、支持体の裏面に参考例1と同様の方法で調製したバックコート層塗布液を、乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布した。塗布後のシートは、一部を表面性の評価に使用した。次いで、金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行った。その後、70℃、36時間熱処理を行い、1/2インチ幅にスリットして磁気記録テープを作製した。
磁性層塗布液の分散剤として、フェニルホスホン酸の代わりに4−tert−ブチルフェノール(東京化成製)を5.0部用いた以外は、比較例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の分散剤として、トランス桂皮酸の代わりに比較例1で用いたフェニルホスホン酸5.0部用いた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の分散剤として、トランス桂皮酸の代わりに比較例2で用いた4−tert−ブチルフェノールを5.0部用いた以外は参考例1と同様の方法で調製した磁性層塗布液を用いた点以外は、比較例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の分散剤として、4−tert−ブチルフェノールの代わりに参考例1で使用したトランス桂皮酸を5.0部用いた以外は、比較例3と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の分散剤としてトランス桂皮酸の代わりに、安息香酸(東京化成製)を5.0部用いた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、強磁性金属粉末の代わりに、下記の六方晶バリウムフェライト粉末を用いた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを作製した。
<六方晶バリウムフェライト粉末>
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:176kA/m(2200Oe)、平均板径:20nm、平均板状比:3
BET比表面積:65m2/g
σs:49A・m2/kg(49emu/g)
pH:7
磁性層塗布液の調製において、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を2.5部(後述の実験6と同等の比率)に代えた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、ポリエステルポリウレタン樹脂aを6部、ポリ塩化ビニル系共重合体k(日本ゼオン社製MR104)を14部、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を7部(後述の実験3と同等の比率)に代えた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、ポリエステルポリウレタン樹脂aの代わりに、ポリエステルポリウレタン樹脂gを用いた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、ポリエステルポリウレタン樹脂aを0部、ポリ塩化ビニル系共重合体k(日本ゼオン社製MR104)を20部、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を0部(後述の実験10と同等の比率)に代えた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、ポリエステルウレタン系樹脂aを20部、ポリ塩化ビニル系共重合体k(日本ゼオン社製MR104)を0部、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を0部(後述の実験9と同等の比率)に代えた。しかし、強磁性粉末の分散が進まず、磁気記録テープを作製することができなかった。
磁性層塗布液の調製において、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を3.5部(後述の実験2と同等の比率)に代えた以外は、実施例5と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を10.5部(後述の実験4と同等の比率)に代えた以外は、実施例5と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)を0部(後述の実験5と同等の比率)に代えた以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、トランス桂皮酸の添加量を、5部から1.5部に減量した以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
磁性層塗布液の調製において、トランス桂皮酸の添加量を、5部から10部に増量した以外は、参考例1と同様の方法で磁気記録テープを得た。
実施例、参考例、比較例の非磁性層のガラス転移温度Tg2を測定した。下記表4に、上記実施例、参考例および比較例の処方および作製方法の概要とともに、Tg2の測定値を示す。
実施例、参考例、比較例において磁性層、非磁性層で使用した結合剤樹脂のガラス転移温度Tg1および80℃における貯蔵弾性率E’を、下記表5に示す。また、ポリエステルポリウレタン樹脂aの80℃における貯蔵弾性率E’は2.57GPaであった。
(i)磁性層塗布液の分散安定性
表6に示す実施例、参考例、比較例について、磁性層塗布液が完成した段階で、添加した分散剤の分散性向上効果を確認するために、塗布液の状態を観察した。具体的には、塗布液を10分間静置した後、以下の評価基準により塗布液の固まり具合を目視で観察した。
評価基準
○ 液体の状態を保持している
△ 粘度上昇の傾向が見られるが、液体の状態を保持している
× プリン状の固まりになる
表6に示す実施例、参考例、比較例について、磁性層塗布液中における強磁性粉末の分散性を評価するために、以下の方法で評価用磁性シートを作製した。
磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.003μmで、厚さ5μmのポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に、接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.05μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
次いで、磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが1.0μmになるように塗布し、0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥させた。次いで、金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行い磁性シートを得た。
得られた磁性シートについて、試料振動磁力計(東英工業製VSM−P7)を用いて、強磁性粉末の配向方向に平行に外部磁場を印加したときの磁気特性を測定した。具体的には、外部磁場として797.7kA/m(10kOe)印加したときの磁化(飽和磁化)の値と、外部磁場がゼロの時の磁化(残留磁化)の比、すなわち角型比(SQ)を測定した。
SQは、強磁性体の分散性の指標として用いることができる。分散性が悪いとSQが低くなり、良いとSQが高くなる。SQの値はノイズに影響するので、1.0に近いほど好ましい。
強磁性金属粉末した磁気記録テープについては、SQが0.83以上で分散性が良好、六方晶バリウムフェライト粉末を使用した磁気テープについては、SQが0.65以上で分散性が良好と判断した。
表6に示す実施例、参考例、比較例の磁気記録テープについて、7段のカレンダー処理をする前後で、磁性層表面の表面粗さを測定した。表面粗さは、WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000型(光干渉法)を用いて、カットオフ値0.25mmの条件で250μm×250μm面積における中心面平均表面粗さRa(Wyko−Ra)として測定した。カレンダー前後でRa差、すなわち下記式にて算出されるΔRaをカレンダー成形性の指標とした。
Wyko−ΔRa=(カレンダー処理前のWyko−Ra)−(カレンダー処理後のWyko−Ra)
ΔRaが負になるケースは、成形性があまりに悪すぎて、カレンダー処理により面荒れが起きたことを示す。なお、Wyko−Raは、下記のAFM−Raより比較的低周波数の表面粗さを表すため、面全体の表面粗さの指標として用いることができる。
これとは別に、上記(ii)で作製した磁気シートについても、カレンダー処理前後のWyko−Raを測定し、(Wyko−ΔRa)を求めた。
表6に示す実施例、参考例、比較例の磁気記録テープについて、原子間力顕微鏡AFM(Digital Instrument社製Nanoscope II)を用い、トンネル電流10nA、バイアス電流400mVで30μm×30μmの範囲を走査して表面粗さ(AFM−Ra)を求めた。なお、AFM−Raは、上記のWyko−Raより比較的高周波数の表面粗さを表し、この値は下記の電磁変換特性を左右するものである。
表6に示す実施例、参考例、比較例の磁気記録テープのS/N比を、ヘッドを固定した1/2インチ リニアシステムで測定した。ヘッド/テープの相対速度は10m/secとした。記録は飽和磁化1.4TのMIGヘッド(トラック幅18μm)を使い、記録電流は各テープの最適電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み25nm、シールド間隔0.2μmの異方性型MRヘッド(A−MR)を用いた。
記録波長0.2μmの信号を記録し、再生信号をシバソク製スペクトラムアナライザーで周波数分析し、キャリア信号(波長0.2μm)の出力とスペクトル全域の積分ノイズとの比をS/N比とし、比較例1を0dBとした相対値で示した。
比較例1は、現在上市されているコンピュータバックアップ用磁気テープの標準的なS/N比を示す。次世代の高記録密度の要求に応えるためには、S/N比は、比較例1と比べて0.5dB以上、好ましくは1.5dB以上、より好ましくは2.0dB以上であることが望ましい。
ヘッドを固定した1/2インチ リニアシステムにて、キャリア信号(波長0.2μm)の出力をモニターしながら、表6に示す実施例、参考例、比較例の磁気記録テープを1パス800mとして繰返し10000パス走行させ、下記評価基準で最初のパスの出力を0dBとして、10000パス走行後の出力低下度(出力低下度A)を評価した。その後、更に5000パス走行させ、下記評価基準で最初のパスを0dBとして、15000パス走行後の出力低下度(出力低下度B)を評価した。ヘッド付着物が多いほど、出力が低下するため評価結果はヘッド付着物の指標として用いることができる。
(出力低下度A)
◎ 10000パス後の出力低下度が、−0.5dBより高い
○ 10000パス後の出力低下度が、−0.5dB〜−1.0dBより高い
△ 10000パス後の出力低下度が、−1.0〜−2.0dB
× 10000パス後の出力低下度が、−2.0dBより低い
(出力低下度B)
◎ 15000パス後の出力低下度が、−0.5dBより高い
○ 15000パス後の出力低下度が、−0.5dB〜−1.0dBより高い
△ 15000パス後の出力低下度が、−1.0〜−2.0dB
× 15000パス後の出力低下度が、−2.0dBより低い
さらに、15000パス走行後の磁気ヘッドを取り出し、走査型電子顕微鏡(日立製FE−SEM−S800)に内蔵されている蛍光X線分析を行い、リンに由来するピークの有無を確認した。
以上の結果を、下記表6に示す。
表6の結果から、先に説明したように本発明の磁気記録媒体が、下記(1)〜(3)を兼ね備えることにより、塗膜強度向上(塗膜破壊物発生抑制によるヘッド付着物の低減)と表面平滑性の改善を両立し、これにより長期にわたり優れた電磁変換特性を発揮し得るものであることが確認できる。
(1)磁性層の結合剤は、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン樹脂およびポリイソシアネートの混合物であり、該ポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度が90〜130℃の範囲であり80℃における貯蔵弾性率が2.5〜5.0GPaの範囲である。
(2)非磁性層は、非磁性粉末および結合剤成分を含む放射線硬化性組成物を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であって、該結合剤成分は放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂を含む。
(3)前記放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、いずれもガラス転移温度が30〜100℃の範囲である。
以上の結果から、平均粒子サイズ40nm以下の超微粒子磁性体に対する分散剤としては、桂皮酸が特に好ましいことが示された。
ポリエステルポリウレタン樹脂a、ポリ塩化ビニル系共重合体k(日本ゼオン製MR104)、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)の混合比の熱的物性に対する影響を、以下の実験により確認した。結果を表8に示す。
表8に示す割合で上記3成分を混合した混合物を、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンの50:50(質量比)の混合液に22質量%になるように溶解した。その後、乾燥後の20μmになるようにアラミドベース上に塗布した。乾燥後、70℃で36時間熱硬化させてクリア膜を得た。得られたクリア膜を、幅3.35mm、長さ5cmに切断し、動的粘弾性測定装置(TOYO BALDWIN製レオバイブロン、昇温速度2℃/分、測定周波数110Hz)で、30〜140℃の温度範囲で測定を行い、80℃における貯蔵弾性率(E’)を求め、併せて同測定において、前述のTg2の測定と同様に損失弾性率(E”)のピークトップの温度としてガラス転移温度を求めた。
同様の方法で、前述の特開2004−319001号公報実施例に記載のポリウレタン樹脂Aのガラス転移温度と80℃における貯蔵弾性率(E’)を測定した結果(実験11)も、表8に示す。
なお、比較例7で確認されたように、ポリウレタン単独では、超微粒子磁性体を分散することは困難である。
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)52.87g(濃度355.32mmol/kg)、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.35gおよびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)12.48g、極性基導入成分としてスルホン酸(塩)基含有ジオール化合物(例示化合物(S−72))1.70g、重合溶媒としてシクロヘキサノン101.36g、成分Cとしてp−メトキシフェノール0.232gを添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)42.66gとシクロヘキサノン52.73gの溶液を15分かけて滴下した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.348gを添加し、80℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン116.69gを添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、成分Dとしてp−ベンゾキノンをポリウレタン固形分に対し100ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。上記ポリウレタン樹脂溶液調製後1日以内に、この溶液に含まれるポリウレタン樹脂の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を後述の方法で求めたところ、、Mw=3.8万、Mn=2.4万であった。上記ポリウレタン樹脂のスルホン酸(塩)基含有量を後述の方法で測定したところ、69.55mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から355.32mmol/kgと算出される。
フラスコに、鎖延長剤として、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノールのメチルオキシラン付加物(ADEKA社製BPX−1000、質量平均分子量1000)57.50g、グリセロールメタクリレート(日本油脂社製ブレンマーGLM)6.50g(濃度355.44mmol/kg)、およびジメチロールトリシクロデカン(OXEA社製TCDM)10.50g、極性基導入成分としてスルホン酸(塩)基含有ジオール化合物(例示化合物(S−31))3.40g、重合溶媒としてシクロヘキサノン107.66g、成分Cとしてp−メトキシフェノール0.240gを添加した。次いで、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製ミリオネートMT)42.21gとシクロヘキサノン51.47gの溶液を15分かけて滴下した。次いで、重合触媒としてジ−n−ブチルチンラウレート0.361gを添加し、80℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後シクロヘキサノン121.28gを添加し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、成分Dとして4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)をポリウレタン固形分に対し50ppm添加した。
以上の工程で得られたポリウレタン樹脂溶液の固形分は30%であった。この溶液に含まれるポリウレタン樹脂の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基含有量を後述の方法により測定したところ、Mw=3.6万、Mn=2.4万、スルホン酸(塩)基含有量69.66mmol/kgであった。また、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から355.44mmol/kgと算出される。
使用するスルホン酸(塩)基含有ジオール化合物、成分Cおよび成分Dを表9に示すものに変更した点以外、調製例3−2と同様の方法でポリウレタン樹脂溶液を得た。調製例3−3〜3−6では、、GPCにて残存モノマーは確認されなかったため、放射線硬化性官能基含有量は、仕込み比率から355.32mmol/kgと算出される。また、調製例3−3〜3−6で得られたポリウレタン樹脂中の後述の方法で測定したスルホン酸(塩)基含有量は69.55mmol/kgであった。
ウレタン合成後、得られたポリウレタン樹脂溶液に、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4−OH−TEMPO)(成分D)を添加しなかった点以外、調製例3−2と同様の方法でポリウレタン樹脂溶液を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液中のポリウレタン樹脂の質量平均分子量(Mw)を後述の方法で測定した結果を表9に示す。
ウレタン合成を、p−メトキシフェノール(成分C)に代えてベンゾキノン(成分D)の存在下で行い、ウレタン合成後に成分C、Dを添加しなかった点以外、調製例3−2と同様の方法でポリウレタン樹脂溶液を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液中のポリウレタン樹脂の質量平均分子量(Mw)を後述の方法で測定した結果を表9に示す。
ベンゾキノン量を10倍に増量した点以外、調製例3−8と同様の方法でポリウレタン樹脂溶液を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液中のポリウレタン樹脂の質量平均分子量(Mw)を後述の方法で測定した結果を表9に示す。
(1)保存安定性の評価
調製例で得られたポリウレタン樹脂溶液を53℃、密閉の条件で保存して、GPCにより得られる分子量に変化が現れるまでの日数を調べた。
(2)平均分子量の測定、スルホン酸(塩)基濃度、放射線硬化性評価
前述の放射線硬化性塩化ビニル系共重合体の評価と同様の方法で測定または評価を行った。
表9に示すように、成分Cのみ、または成分Dのみを使用した調製例3−7、3−8では硬化性は良好であったものの、調製例3−1〜3−6と比べ経時安定性が著しく低下した。成分Dを調製例3−8の10倍量に増量した調製例3−9では、経時安定性は高めることができたものの、放射線照射して得られた硬化膜のゾル分率が低かった。この結果から、保存安定性を高めようと成分Dのみを多量に添加すると、硬化性が損なわれることがわかる。
これに対し成分Cと成分Dとを併用した調製例3−1〜3−6では、ポリウレタン樹脂溶液は優れた経時安定性を示した。また、調製例3−9に示すように、通常長期保存安定性を高めるための成分を添加すると硬化性が低下するのに対し、調製例3−1〜3−6では放射線照射して得られた硬化膜のゾル分率が高く硬化性も良好であった。
以上の結果から、成分Cと成分Dとを併用することにより、放射線硬化性ポリウレタン樹脂の硬化性を損なうことなく、その保存安定性を高めることができることが示された。
Claims (8)
- 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層の結合剤は、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン樹脂およびポリイソシアネートの混合物であり、該ポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度が90〜130℃の範囲であり80℃における貯蔵弾性率が2.5〜5.0GPaの範囲であり、
前記非磁性層は、非磁性粉末および結合剤成分を含む放射線硬化性組成物を放射線硬化することによって得られた放射線硬化層であって、該結合剤成分は放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂を含み、
前記放射線硬化性塩化ビニル系共重合体および放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、いずれもガラス転移温度が30〜100℃の範囲であり、かつ、
前記放射線硬化性塩化ビニル系共重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位を含む放射線硬化性塩化ビニル系共重合体であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 前記放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、下記一般式(2)で表されるスルホン酸(塩)基含有ポリオール化合物を原料として得られた放射線硬化性ポリウレタン樹脂である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層の結合剤に含まれるポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリウレタン樹脂である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層の結合剤は、塩化ビニル系共重合体100質量部に対して10〜100質量部のポリイソシアネートを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は芳香族化合物およびカルボキシル基含有化合物からなる群から選ばれる分散剤を更に含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記強磁性粉末の平均粒子サイズは40nm以下であり、かつ前記分散剤は桂皮酸である請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、強磁性粉末100質量部あたり1.5〜10質量部の前記分散剤を含む請求項5または6に記載の磁気記録媒体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、
前記放射線硬化性組成物の塗布および放射線硬化後、形成された放射線硬化層上に磁性層を形成し、次いで上記放射線硬化層のガラス転移温度以上のカレンダー温度でカレンダー処理を行うことを特徴とする、前記製造方法。
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