JP5940618B2 - 磁気記録媒体用磁性塗料組成物および磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体用磁性塗料組成物および磁気記録媒体に関する。
近年、情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となった。このデータ転送技術の向上とともに、情報を記録、再生および保存するための磁気記録再生装置および磁気記録媒体には更なる高密度記録化が要求されている。
高密度記録領域において良好な電磁変換特性を得るためには、粒子サイズの小さな強磁性粉末を使用すること、および粒子サイズの小さな強磁性粉末の分散性を高め磁性層表面の平滑性を高めることが有効である。
強磁性粉末等の磁気記録媒体に使用される粉末の分散性を高める手段として、例えば、特許文献1には、結合剤の側鎖に分岐構造を導入することが提案されている。
特開2011−216149号公報
上記の通り、強磁性粉末の分散性を高めることは、高密度記録化の有効な手段である。しかし、塗布型磁気記録媒体の製造においては、分散処理により塗布液中の強磁性粉末の分散性を高めることができたとしても、塗布液の調製から実際に当該塗布液を非磁性支持体上に塗布し塗膜を形成するまでの間に強磁性粉末が凝集してしまっては、表面平滑性に優れた磁気記録媒体を得ることは困難である。したがって、磁気記録媒体の磁性層を形成するための塗布液については、強磁性粉末の分散性を高めることに加えて、分散状態を安定に維持すること(分散安定性に優れること)も求められる。
そこで本発明の目的は、磁気記録媒体用の強磁性粉末の分散性および分散安定性を高めるための手段を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、結合剤、強磁性粉末および溶媒を含む磁気記録媒体用磁性塗料組成物の成分として、分岐構造を有する後述の成分(A)を用いることにより、強磁性粉末の分散性を高め、しかも長期間安定に分散させることが可能になることを見出すに至った。これは、成分(A)は、末端官能基として、吸着官能基(後述の一般式(1)中のA)と立体反発基(一般式(1)中のP)とを併せ持つため、強磁性粉末の粒子表面に吸着官能基が効率的に吸着するとともに、立体反発基が溶媒中に広がり粒子同士の凝集を防ぐことができることによるものであると、本発明者は推察している。
なお、特開2007−277514号公報には、カラーフィルター用顔料の分散剤として、分岐構造を有する分散剤が提案されているが、磁気記録媒体用の強磁性粉末の分散性および分散安定性、特に、分散安定性については何らの示唆もない。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
本発明の一態様は、
下記成分(A)〜(D):
(A)下記一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が20000以下である化合物;
(A−R−S)n−R−(P)m …(1)
[一般式(1)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、Rは単結合または2価の有機連結基を表し、Aは、酸性基、塩基性基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される官能基を表し、mは1〜8の範囲の整数を表し、nは1〜9の範囲の整数を表し、ただし、m+nは3〜10を満たす。n個存在するA、Rは、それぞれ独立に、同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子骨格を表し、m個存在するPは、同一であっても、異なっていてもよい。]
(B)結合剤;
(C)強磁性粉末;および、
(D)溶媒;
を含む磁気記録媒体用磁性塗料組成物、
に関する。
一態様では、一般式(1)中、Aで表される官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基、およびそれらの塩からなる群から選択される。
一態様では、一般式(1)中、Rは、−C(=O)−、分岐または環構造であってもよい炭素数12以下のアルキレン基、分岐または環構造であってもよい炭素数6以下のアルケニレン基、−O−、フェニレン基、およびハロゲン原子、からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の組み合わせから構成され、かつ1〜10個までの炭素原子、0〜10個までの酸素原子、0〜10個までのハロゲン原子、および1〜30個までの水素原子から成り立つ2価の有機連結基を表す。
一態様では、一般式(1)中、Pは、ビニルモノマーの重合体または共重合体の残基である。
一態様では、一般式(1)中、Pは、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体の残基である。
一態様では、一般式(1)中、Rは、−C(=O)−O−、−O−、−C(=O)−NR−(Rは水素原子または炭素数4以下のアルキル基)、−O−C(=O)−NH−、フェニレン基、および炭素数1〜30のアルキレン基からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせから構成される(m+n)価の有機連結基を表す。
一態様では、上述の磁気記録媒体用磁性塗料組成物は、硬化剤を更に含む。
一態様では、一般式(1)中、Pは、上記硬化剤と架橋反応し得る官能基を含む。
一態様では、上記架橋反応し得る官能基は、ヒドロキシル基、アミノ基、フェノール基、およびカルボキシル基からなる群から選択される。
一態様では、上記硬化剤は、ポリイソシアネートである。
一態様では、成分(A)の酸価または塩基価は、224mgKOH/g以下である。
一態様では、成分(C)は、平均粒子サイズが10nm以上50nm以下の強磁性粉末である。
一態様では、成分(C)は、強磁性六方晶フェライト粉末である。
他の一態様では、成分(C)は、強磁性金属粉末である。
一態様では、上述の磁気記録媒体用磁性塗料組成物は、成分(C)100質量部に対して、2〜30質量部の成分(A)を含む。
一態様では、成分(D)は、ケトン系溶媒を含む。
一態様では、成分(B)は、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル樹脂からなる群から選択される。
本発明の更なる態様は、
非磁性支持体上に、上述の磁気記録媒体用磁性塗料組成物から形成された磁性層を有する磁気記録媒体、
に関する。
本発明の一態様によれば、高密度記録用磁気記録媒体の磁性層における強磁性粉末の分散性を高めることができる。本発明の一態様にかかる磁気記録媒体は、高い電磁変換特性を示すことができる。
更に、本発明の一態様によれば、走行耐久性に優れる磁気記録媒体を提供することもできる。
更に、本発明の他の一態様によれば、長期間保管後も強磁性粉末の分散状態が維持されている磁気記録媒体用磁性塗料組成物(分散液)を提供することができる。
[磁気記録媒体用磁性塗料組成物]
本発明の一態様は、以下に詳述する成分(A)〜(D)を含む磁気記録媒体用磁性塗料用組成物(以下、単に「組成物」とも記載する。)に関する。
上記組成物は、塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液として使用されるものであって、当該組成物から磁性層を形成することにより、優れた電磁変換特性を発揮し得る磁気記録媒体を得ることができる。
以下、上記組成物について、更に詳細に説明する。なお本発明において、数値範囲に関する「〜」との記載は、当該数値範囲が、その前後に記載される数値を、それぞれ最小値、最大値として含むことを意味する。また、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。
成分(A)
上記組成物に含まれる成分(A)は、下記一般式(1)で表され、かつ重量平均分子量が20000以下である化合物である。
(A−R−S)n−R−(P)m …(1)
[一般式(1)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、Rは単結合または2価の有機連結基を表し、Aは、酸性基、塩基性基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される官能基を表し、mは1〜8の範囲の整数を表し、nは1〜9の範囲の整数を表し、ただし、m+nは3〜10を満たす。n個存在するA、Rは、それぞれ独立に、同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子骨格を表し、m個存在するPは、同一であっても、異なっていてもよい。]
成分(A)は、一般式(1)中のAで表される官能基が強磁性粉末の粒子表面に吸着する吸着官能基として機能することができ、一方でPで表される高分子骨格が立体反発基として機能することができることにより、溶媒中での強磁性粉末の良好な分散状態を実現することができ、しかもその良好な分散状態を長期間安定に維持することができると、本発明者は考えている。
以下、成分(A)の詳細を記載する。
<重量平均分子量>
成分(A)は、重量平均分子量が20000以下の化合物である。重量平均分子量が20000を超えるような分子量の大きな化合物では、強磁性粉末の分散状態を、長期間安定に維持することは困難である。これは、重量平均分子量が20000を超える化合物は、当該化合物が強磁性粉末の粒子間を架橋することにより粒子が凝集(架橋凝集)することによるものであると、本発明者は推察している。分散安定性のより一層の向上の観点からは、成分(A)の重量平均分子量は15000以下であることが好ましく、10000以下であることが更に好ましい。一方、走行耐久性の観点からは、成分(A)の重量平均分子量は、800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1200以上であることがより好ましい。
なお本発明における平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求められる値をいうものとする。GPCの測定条件としては、例えば以下の条件を挙げることができる。後述の実施例に示す重量平均分子量は、GPCを用いて下記測定条件により測定された値を標準ポリスチレン換算して求めた値である。
GPC装置:HLC−8220(東ソー製)
ガードカラム:TSKguardcolumn Super HZM−H
カラム:TSKgel Super HZ 2000、TSKgel Super HZ 4000、TSKgel Super HZ−M(東ソー製、4.6mm(内径)×15.0cm、3種カラムを直列連結)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、安定剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)含有
溶離液流速:0.35mL/分
カラム温度:40℃
インレット温度:40℃
屈折率(Refractive Index:RI)測定温度:40℃
サンプル濃度:0.3重量%
サンプル注入量:10μL
<一般式(1)>
先に示したように、般式(1)は、以下の通りである。
(A−R−S)n−R−(P)m …(1)
は、酸性基、塩基性基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される官能基を表す。一般式(1)中のnは1〜9の範囲の整数であるため、成分(A)には、上記官能基が末端に、1つまたは複数存在する。この末端官能基は、強磁性粉末の粒子表面に吸着する吸着官能基として機能し得るものである。なお一般式(1)に2つ以上のAが含まれる場合(nが2以上の整数の場合)、複数のAで表される官能基は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
酸性基とは、水中または水を含む溶媒(水性溶媒)中でHを放出しアニオンに解離可能な基をいい、酸性基である限り特に限定されるものではない。例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール基等を挙げることができ、より一層の分散性向上の観点から、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基が好ましい。カルボキシル基(−COOH)は、塩の形態(−COOM;Mは、アルカリ金属イオン等のカチオンを表す。)であってもよい。この点は、他の官能基についても、同様である。
塩基性基とは、水中または水性溶媒中でカチオンに解離可能であるか、またはHを受け取りカチオンとなる基をいい、塩基性基である限り、特に限定されるものではない。例えば、アミノ基、グアニジル基、アミジル基、アンモニウム塩等を挙げることができ、より一層の分散性向上の観点からは、アミノ基が好ましい。アミノ基は、無置換アミノ基でも、置換アミノ基、より詳しくは、一級、二級、または三級アミノ基であってもよく、三級アミノ基が好ましい。また、置換アミノ基において水素原子を置換する置換基は、例えば炭素数1〜10の直鎖、分岐、または環状のアルキル基である。
として、更なる分散性向上の観点からより好ましい置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基(好ましくは三級アミノ基)、およびそれらの塩からなる群から選択される置換基を挙げることができ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、三級アミノ基がさらに好ましい。
分散性、分散安定性および走行耐久性向上の観点からは、成分(A)の酸価または塩基価は、224mgKOH/g以下であることが好ましく、168mgKOH/g以下であることがより好ましい。一方、分散性および分散安定性向上の観点からは、成分(A)の酸価または塩基価は、5.6mgKOH/g以上であることが好ましく、11.2mgKOH/g以上であることがより好ましい。上記酸価および塩基価は、電位差法(溶媒:テトラヒドロフラン/水=100/10(体積比)、滴定液:0.01N水酸化ナトリウム水溶液(酸価)、0.01N塩酸(塩基価))により決定される値とする。酸価および塩基価は、Aや他の部分に含まれる酸性基、塩基性基の数により制御することができる。
は、(m+n)価の有機連結基を表す。Rで表される有機連結基は、例えば、−C(=O)−O−、−O−、−C(=O)−NR−(Rは水素原子または炭素数4以下のアルキル基)、−O−C(=O)−NH−、フェニレン基、および炭素数1〜30のアルキレン基からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせから構成される。Rは、上記群から選択される2つ以上の組み合わせから構成される構造に、環状構造を含むこともできる。Rで表される有機連結基として好ましくは、下記構造を例示することができる。下記構造中、*は他の構造との結合位置を示す。
一般式(1)中、Rと、硫黄原子Sを介して連結されるRは、単結合または2価の有機連結基を表す。一般式(1)中のnが2以上の整数の場合、複数存在するRは、同一であっても、異なっていてもよい。Rとしては、2価の有機連結基が好ましく、−C(=O)−、分岐または環構造であってもよい炭素数12以下のアルキレン基、分岐または環構造であってもよい炭素数6以下のアルケニレン基、−O−、フェニレン基、およびハロゲン原子、からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の組み合わせから構成され、かつ1〜10個までの炭素原子、0〜10個までの酸素原子、0〜10個までのハロゲン原子、および1〜30個までの水素原子から成り立つ2価の有機連結基がより好ましい。更に好ましくは、下記構造である。下記構造中、*は他の構造との結合位置を示す。
は、高分子骨格を表す。本発明において、高分子骨格とは、特定の構造単位が繰り返して結合することで形成されるものをいうものとする。このような構造は、立体反発基として機能することができるため、溶媒中で強磁性粉末の粒子同士が凝集することを妨げることで分散性および分散安定性を高めることができる。
一般式(1)で表される化合物は、高分子骨格は、公知のポリマーの末端または側鎖に、「(A−R−S)n−R−」で表される一般式(1)の部分構造を導入することによって得ることができる。したがって、一般式(1)中のPで表される高分子骨格は、ポリマー残基であることができる。そのようなポリマー(以下において、ポリマーとは、重合体(単独重合体)、共重合体の両方を含む意味で用いる。)としては、公知のポリマーであればよく特に限定されるものではない。好ましいポリマーとしては、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、およびこれらの変性物、または共重合体〔例えば、ポリエーテル/ポリウレタン共重合体、ポリエーテル/ビニルモノマーの重合体の共重合体など(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。)を含む。〕からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができ、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびこれらの変性物または共重合体からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ビニルモノマーの重合体または共重合体が特に好ましい。
上記ビニルモノマーとしては、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリル、酸性基を有するビニルモノマーなどが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルを包含する意味で用いるものとする。
上記ビニルモノマーの中でも、より一層の分散性および分散安定性向上の観点から好ましいモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル類を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸―2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸―3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸―4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸―2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸―1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸―2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
その他モノマーの具体例としては、特開2007−277514号公報段落0090〜0094に記載の各種モノマーを挙げることができる。一般式(1)中のPで表される高分子骨格を構成する繰り返し単位は、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。
塗布型磁気記録媒体については、塗布層を形成する塗料組成物の成分として硬化剤(架橋剤)を用いて他の成分と硬化反応(架橋反応)させることで架橋構造を形成し、塗膜強度を高めることができる。成分(A)は、一般式(1)中のPに、そのような硬化剤と架橋反応し得る官能基を含むことができる。当該官能基は、併用する硬化剤に応じて適切な官能基を導入すればよく、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、フェノール基、およびカルボキシル基を挙げることができる。これらの基は、含まれる水素原子(活性水素)がイソシアネート基と架橋反応することができる。硬化剤としては、好ましくは、ポリイソシアネートを用いることができる。その詳細は後述する。
で表される高分子骨格における硬化剤と反応する官能基の割合は、P全体を100%として、質量基準で0.3〜20%の範囲であることが好ましく、0.5〜15%の範囲であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、強磁性粉末の分散性が良好で、かつ高強度な磁性層を得ることができる。
一般式(1)中、mは1〜8の範囲の整数を表し、nは1〜9の範囲の整数を表し、ただし、m+nは3〜10を満たす。
mとしては、1〜5の範囲の整数が好ましく、1〜4の範囲の整数がより好ましく、1〜3の範囲の整数がより一層好ましい。
nとしては、2〜9の範囲の整数が好ましく、2〜8の整数が好ましく、2〜7の整数がより好ましく、3〜6の範囲の整数がより一層好ましい。
<成分(A)の合成方法>
成分(A)の合成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、特開2007−277514号公報段落0114に記載の方法等の公知の合成方法を用いて、成分(A)を合成することができる。一例としては、(m+n)価のチオール化合物とチオール基と反応性を有する官能基を有する化合物とを、付加反応等により反応させる方法を挙げることができる。チオール基と反応性を有する化合物としては、酸ハライド、アルキルハライド、イソシアネート、炭素−炭素二重結合等の反応性基を有する化合物が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合であり、さらに好ましくはビニル基である。(m+n)個のチオール基を有する多官能チオール化合物の、n個のチオール基と「A−R−Z」(Zは、上記反応性基を表す。)で表される化合物を反応させることで「A−R−」で表される部分構造を導入し、m個のチオール基と「P−Z」(Zは、上記反応性基を表す。)で表される化合物を反応させることで「P−」を導入し、その結果、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
ビニル基を有する化合物のうち、カルボキシル基を含むものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、p−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、o−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸モノマー類及び、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸、1−ヘプテン酸、1−ヘキセン酸、1−ペンテン酸、1−ブテン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有するものとしては、例えば、p−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸基を有するものとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
ビニル基を有する化合物のうち、三級アミノ基を有するものとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
二級アミノ基を有するものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(t−ブチルアミノ)エチルが挙げられる。
アンモニウム塩を有するものとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
ビニル基を有する化合物のうち、ヒドロキシル基を有するものとしては、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記合成反応に好適に使用される多官能チオールとしては、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート、昭和電工(株)社製カレンズMT−NR1、カレンズMT−PE1、TPMB、TEMBなどが挙げられる。
反応は、例えば50〜200℃程度の反応温度で、通常、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒としては、例えば特開2007−277514号公報段落0134、0139に記載のものや、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の汎用の有機溶媒を使用することができる。また、反応がラジカル重合反応の場合には、特開2007−277514号公報段落0135に記載のラジカル発生剤や、同公報段落0140に記載のラジカル重合開始剤等の、公知のラジカル発生剤やラジカル重合開始剤を用いることができる。モノマー、多官能チオール等の反応原料の配合比率は、所望の一般式(1)で表される化合物の構造や分子量、反応原料の溶解性等に応じて決定すればよい。
合成反応後、必要に応じて公知の方法により精製等の後工程を行い、目的の化合物を得ることができる。
以上説明した成分(A)は、磁気記録媒体用磁性塗料組成物の成分として用いることにより、いわゆる分散剤として機能して強磁性粉末(成分(C))の分散性および分散安定性を高めることができる成分である。組成物中の成分(A)の含有量は、形成される磁性層における強磁性粉末の充填率と分散性の両立の観点から、成分(C)100質量部に対して、2〜30質量部であることが好ましい。
成分(B)
成分(B)である結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常用いられている各種の樹脂を、何ら制限なく用いることができる。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、より好ましいものは、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。組成物中の結合剤含有量は、強磁性粉末に対して、例えば5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲とすることができる。また、上記樹脂とともに硬化剤を使用することも可能である。上述のように、成分(A)が硬化剤と架橋反応し得る官能基を含む場合、硬化剤を併用することにより、塗膜強度を高めることができ、これにより磁気記録媒体の走行耐久性を向上することができる。硬化剤の詳細については、後述する。
成分(C)
成分(C)は、強磁性粉末である。本発明の一態様にかかる組成物では、成分(A)により強磁性粉末(成分(C))の分散性および分散安定性を高めることができる。したがって、かかる組成物を用いることで、強磁性粉末が良好に分散された磁性層を有することで高い電磁変換特性を発揮することができる磁気記録媒体を得ることができる。
上記強磁性粉末は、好ましくは、平均粒子サイズが50nm以下である。平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末は、近年求められている高密度記録に対応し得る強磁性粉末であるが、分散性向上は容易ではない。本発明によれば、成分(A)により、上記サイズの強磁性粉末の分散性を高めることが可能となる。なお磁化の安定性の観点からは、平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において粉末についての平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末のサイズについては、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、平均板径が10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0134〜0136を参照できる。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末のサイズについては、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、平均長軸長が10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141を参照できる。
成分(D)
本発明の一態様にかかる組成物は、以上説明した成分(A)〜(C)を、溶媒(成分(D))中に含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性および強磁性粉末の表面への結合剤の吸着の点からは、ケトン類を含有する有機溶媒(ケトン系有機溶媒)を用いることが好ましい。
上記有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶媒組成の内、誘電率が15以上の溶媒が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用磁性塗料組成物における溶媒量は特に限定されるものではなく、通常の塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液と同様にすることができる。
その他成分
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用磁性塗料組成物は、以上説明した成分(A)〜(D)に加えて、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなど、塗布型磁気記録媒体形成に通常用いられる各種添加剤を挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。なお本発明の一態様にかかる組成物において、上述の成分(A)は、分散剤として機能し得るものである。
前述のように、本発明の一態様にかかる組成物は、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、架橋反応性等の観点から、ポリイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用塗布液中に、結合剤100質量部に対して例えば0〜80質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50〜80質量部の量で添加し使用することができる。
以上説明した本発明の一態様にかかる磁気記録媒体用磁性塗料組成物に含まれる成分(A)は、分散媒(溶媒)中で立体反発基として機能し得るP部を含み、強磁性粉末の粒子表面への吸着部として機能し得るA部を含むことにより、強磁性粉末、中でも粒子サイズの小さな強磁性粉末が溶媒中で凝集することを防ぐことができる。したがって、かかる組成物をそのまま、またはこれに更に溶媒や公知の添加剤を添加し磁性層形成用塗布液として用いることにより、粒子サイズの小さな強磁性粉末が良好に分散されているため電磁変換特性を発揮し得る磁気記録媒体を得ることができる。加えて、上述の組成物は、優れた分散安定性を示すこともできるため、長期保管したとしても、良好な分散状態を維持することができる。したがって、磁気記録媒体製造のたびに塗布液を調製せず、磁性層形成用塗布液を大量に調製して保管し、必要量を都度、使用したとしても、長期保管後であっても良好な分散状態の組成物を使用することができる。この点は、生産性向上に寄与するものである。更に、本発明の一態様にかかる組成物から形成された磁性層を有する磁気記録媒体は、高い走行耐久性を発揮することもできる。
[磁気記録媒体]
本発明の一態様にかかる磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、本発明の一態様にかかる組成物から形成された磁性層を有する。上記磁気記録媒体における磁性層は、上述の組成物から形成されたものであるため、強磁性粉末を良好に分散された状態で含むことができる。これにより、上記磁気記録媒体は、高い電磁変換特性を発揮することができる。また、硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応し得る官能基を有する成分(A)と、を含む組成物により形成された磁性層を有する磁気記録媒体は、高い走行耐久性を示すこともできる。
以下、上記磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
磁性層
上記磁性層は、上述の組成物を非磁性支持体の表面に直接、または非磁性支持体上に設けられた非磁性層等の他の層の表面に、上述の組成物を塗布し乾燥させ、必要に応じて加熱等の処理を施すことにより、形成された層である。磁性層の形成に用いられる組成物については、先に記載した通りである。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。上記磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有することもできる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150を参照できる。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶媒、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。また、非磁性層にはカーボンブラックや有機質粉末を添加することも可能である。それらについては、例えば特開2010−24113号公報段落0040〜0042を参照できる。
非磁性支持体
上述の組成物は、非磁性層上に直接、または非磁性層等の他の層を介して非磁性支持体上に塗布される。これにより、非磁性支持体上に、必要に応じて非磁性層等の他の層を介して磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmが好ましい。
層構成
上記磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μmである。磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には10nm〜150nmであり、好ましくは20nm〜120nmであり、更に好ましくは30nm〜100nmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明における磁気記録媒体の非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および抗磁力を持たないことが好ましい。
バックコート層
非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造工程
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶媒などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液、非磁性層塗布液またはバックコート層塗布液を分散させるには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散メディアとしては、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。磁気記録媒体の製造方法の詳細については、例えば特開2010−24113号公報段落0051〜0057を参照できる。乾燥工程やカレンダー処理における加熱によって硬化剤の架橋反応は進行し得るものであり、必要に応じて、特開2012−74097号公報段落0055に記載されているように乾燥工程やカレンダー処理とは別に加熱処理を実施することもできる。
本発明の一態様によれば、粒子サイズの小さな強磁性粉末が良好に分散された磁性層を形成することができる。これにより本発明によれば、優れた電磁変換特性を発揮し得る高密度記録用磁気記録媒体を提供することができる。更には、本発明の一態様によれば、長期にわたり良好な分散状態で強磁性粉末を含む、分散安定性に優れた磁気記録媒体用磁性塗料組成物を提供することもできる。また、他の一態様にかかる磁気記録媒体は、高い走行耐久性も発揮することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、特記しない限り、以下に記載の「部」および「%」は質量基準である。
また、以下の酸価および塩基価は、上述の方法により決定した。
下記の重量平均分子量は、GPC法により測定しポリスチレン換算値として求めた。
1.成分(A)および比較化合物の合成例
<化合物A−1の合成>
冷却管、窒素導入管、攪拌子を取り付けた300mL三口フラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕23.0g(29.4mmol)、メタクリル酸2.12g(29.4mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル100.5gを加えて90℃に加熱した。2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔和光純薬工業(株)製V−601〕0.17gを加えて2時間攪拌したのちに、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.05gを加えてさらに4時間攪拌した。
続いてメタクリル酸メチル44.2g(441mmol)と2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.02gを加え、2時間攪拌したのちに、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.01gを加えてさらに4時間攪拌した。
<化合物A−2〜A−32、比較化合物a−33の合成>
使用する試薬を表1に示すものに変更した以外は、A−1と同様の方法で合成した。
<比較化合物a−34の合成>
冷却管、窒素導入管、攪拌子を取り付けた300mL三口フラスコに、DPMP23.0g(29.4mmol)、メタクリル酸176.6g(1764mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル300gを加えて90℃に加熱した。2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.6gを加えて2時間攪拌したのちに、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.2gを加えてさらに4時間攪拌した。
<比較化合物a−35の合成>
特開2011−216149号公報の例示化合物P−6を、同公報記載の方法により合成した。
以上の化合物および比較化合物の構造の詳細、酸価(Aとして酸性基を有するもの)、塩基価(Aとして塩基性基を有するもの)、重量平均分子量を、下記表1に示す。
2.磁気記録媒体用磁性塗料組成物(磁性層塗布液)の作製例
(実施例1)
強磁性六方晶フェライト粉末含有磁性層塗布液の調製
強磁性板状六方晶フェライト粉末:100部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:160kA/m(≒2000Oe)
平均粒子サイズ(平均板径):20nm
平均板状比:2.7
BET比表面積:60m2/g
σs:46A・m2/kg(≒46emu/g)
化合物A−1:10部
ポリウレタン樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン(登録商標)UR4800):4部
塩化ビニル樹脂(カネカ社製MR104):10部
α−Al(平均粒子サイズ0.1μm):8部
カーボンブラック(平均粒子サイズ:20nm):0.5部
シクロヘキサノン:110部
上記の各成分をオープンニ−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
ステアリン酸アミド0.2部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート(登録商標)3041):5部
(実施例2〜33、比較例1〜3)
化合物A−1を、表2に示す成分(A)または比較化合物10部に変更した点以外は、実施例1と同様に磁性層塗布液を作製した。
(実施例34)
強磁性金属粉末含有磁性層塗布液の調製
強磁性金属粉末:100部
組成 Fe/Co=100/25
Hc 195kA/m(≒2450Oe)
BET法による比表面積 65m/g
表面処理剤 Al、SiO、Y
平均粒子サイズ(平均長軸長) 45nm
針状比 5
σs 110A・m/kg(≒110emu/g)
化合物A−1:10部
ポリウレタン系樹脂:(東洋紡績株式会社製バイロンUR4800、官能基:SONa、官能基濃度:70eq/t):5部
塩化ビニル樹脂(カネカ社製MR104):10部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
α−Al モ−ス硬度9(平均粒子サイズ0.1μm):15部
カーボンブラック(平均粒子サイズ0.08μm):0.5部
上記の各成分をオープンニ−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
ステアリン酸アミド0.2部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
3.磁気記録媒体(磁気テープ)の作製例
(1)非磁性層塗布液の調製
カーボンブラック:100部
DBP吸油量:100ml/100g、pH:8
BET比表面積:250m/g、揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂(東洋紡績株式会社製バイロンUR4800、官能基:SONa、官能基濃度:70eq/t):20部
塩化ビニル樹脂(官能基:OSOK、官能基濃度:70eq/t):30部
トリオクチルアミン:4部
シクロヘキサノン:140部
メチルエチルケトン:170部
ブチルステアレート:2部
ステアリン酸:2部
ステアリン酸アミド:0.1部
上記の各成分をオープンニ−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層塗布層(非磁性層)用の塗布液を調製した。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:1部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
(2)バックコート層塗布液の調製
カーボンブラック(平均粒子サイズ40nm):85部
カーボンブラック(平均粒子サイズ100nm):3部
ニトロセルロース:28部
ポリウレタン樹脂:58部
銅フタロシアニン系分散剤:2.5部
ニッポラン2301(日本ポリウレタン工業社製):0.5部
メチルイソブチルケトン:0.3部
メチルエチルケトン:860部
トルエン:240部
上記成分をロールミルで予備混練した後サンドミルで分散し、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン500)4部、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)14部、α−Al(住友化学社製)5部を添加、攪拌濾過してバックコート層塗布液を調製した。
上記の非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが0.15μmになるように、さらにその直後にその上に磁性層の厚さが100nmになるように、厚さ5μmで磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.001μmの、予めコロナ処理を施してベース表面を親水性にしたポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に上記2.で調製した磁性層塗布液を用いて同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥後、予めコロナ処理を施した、上記ベース表面とは反対の面に上記のバックコート層用塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、その後金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行い、1/2インチ幅にスリットして実施例1−1の磁気テープを作製した。
[評価方法]
<分散性>
磁性層塗布液を0.5mL取り出し、メチルエチルケトン(MEK)/シクロヘキサノン=6/4(体積比)混合溶液で200倍に希釈して評価用分散液を調製した。この分散液の波長450nmにおける透過率を、(株)島津製作所製UV−3600を用いて測定し、下記評価基準により評価した。分散性が低く液中で強磁性粉末が凝集ないし沈降しているほど、液(上澄み液)の透過率は高くなるため、透過率が低いほど分散性が良好であると判断することができる。
A:透過率が0〜10.0%
B:透過率が10.1〜20.0%
C:透過率が20.1〜40.0%
D:透過率が40.1〜70.0%
E:透過率が70.1〜100%
<分散安定性>
上記磁性層塗布液を室温(25℃)にて14日間静置した。その後、分散性評価と同様に分散液を希釈し、得られた分散液の波長450nmにおける透過率を、上記と同様の測定装置および評価基準により評価した。
<テープの平均表面粗さ>
原子間力顕微鏡(AFM:DIGITAL INSTRUMENT社製NANOSCOPE III)を用い、コンタクトモードで磁性層面について40μm×40μmの面積を測定し、中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。
<電磁変換特性:SN比(Signal-to-Noise-Ratio)>
LTO−Gen4(Linear Tape-Open-Generation 4)ドライブを用いて、記録トラック11.5μm、再生トラック幅5.3μm、線記録密度172kfciと86kfciの信号を記録し、再生信号をスペクトラムアナライザーで周波数分析し、172kfci信号記録時のキャリア信号の出力と、86kfci信号記録時のスペクトル全帯域の積分ノイズとの比をSN比とした。レファレンステープとして富士フイルム製LTO−Gen4テープを用いた。レファレンステープのSN比を0dBとし、各テープのSN比を相対値として求めた。
<走行耐久性(テープ表面にある汚れ量)>
Al/TiC製の7mm×7mmの断面を有する角柱バーのエッジに磁性層面を接触させるように150度の角度でテープを渡し、荷重100g、秒速6mの条件で100mの長さを1パス摺動させて、角柱バーのエッジ部分を顕微鏡にて観察し、汚れの付着状態を評価した。評価は官能評価とし、10段階評価した。10は汚れが少なく、1は最も汚れが多い。
上記方法により評価される汚れは、主に磁性層表面の削れに起因して発生し、評価結果の値が小さいほど磁性層表面が削れ走行耐久性に乏しい。評価値8以上であれば、汚れ(磁性層表面の削れ)が少なく走行耐久性が良好と判定することができる。
以上の結果を、下記表2に示す。
評価結果
表2に示すように、実施例の磁気記録媒体用磁性塗料組成物は、分散性、分散安定性とも比較例の磁気記録媒体用磁性塗料組成物よりも優れた結果を示した。また、これら磁気記録媒体用磁性塗料組成物から形成された磁性層を有する実施例の磁気テープは、優れた電磁変換特性と走行耐久性を兼ね備えていた。
これに対し、磁性層に用いた分散剤の重量平均分子量が20000を超える比較例1の磁気テープは、走行耐久性に劣っていた。また、比較例2、3の磁気テープは、電磁変換特性、走行耐久性とも実施例よりも劣る結果を示した。
以上の結果から、本発明の一態様によれば、電磁変換特性および走行耐久性に優れる磁気記録媒体、ならびに強磁性粉末の分散性および分散安定性に優れる磁気記録媒体用磁性塗料組成物の提供が可能であることが確認された。
本発明は、高容量用バックアップテープ等の高密度記録用磁気記録媒体の製造分野において有用である。

Claims (20)

  1. 下記成分(A)〜(D):
    (A)下記一般式(1)で表され、酸価が10.4〜224mgKOH/gの範囲であり、かつ重量平均分子量が1000〜15000の範囲である化合物;
    (A−R−S)n−R−(P)m …(1)
    [一般式(1)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、Rは単結合または2価の有機連結基を表し、Aは、酸性基を表し、mは1〜8の範囲の整数を表し、nは1〜9の範囲の整数を表し、ただし、m+nは3〜10を満たす。n個存在するA、Rは、それぞれ独立に、同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子骨格を表し、m個存在するPは、同一であっても、異なっていてもよい。]
    (B)結合剤;
    (C)強磁性粉末;および、
    (D)溶媒;
    を含む磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  2. 一般式(1)で表される化合物の酸価は、10.4〜159.4mgKOH/gの範囲である請求項1に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  3. 一般式(1)中、A で表される酸性基は、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、およびそれらの塩からなる群から選択される請求項1または2に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  4. 下記成分(A)〜(D):
    (A)下記一般式(1)で表され、塩基価が48.1〜224mgKOH/gの範囲であり、かつ重量平均分子量が1000〜15000の範囲である化合物;
    (A −R −S)n−R −(P )m …(1)
    [一般式(1)中、R は、(m+n)価の有機連結基を表し、R は単結合または2価の有機連結基を表し、A は、塩基性基を表し、mは1〜8の範囲の整数を表し、nは1〜9の範囲の整数を表し、ただし、m+nは3〜10を満たす。n個存在するA 、R は、それぞれ独立に、同一であっても、異なっていてもよい。P は高分子骨格を表し、m個存在するP は、同一であっても、異なっていてもよい。]
    (B)結合剤;
    (C)強磁性粉末;および、
    (D)溶媒;
    を含む磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  5. 一般式(1)中、A で表される塩基性基は、アミノ基である請求項4に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  6. 一般式(1)中、Rは、−C(=O)−、分岐または環構造であってもよい炭素数12以下のアルキレン基、分岐または環構造であってもよい炭素数6以下のアルケニレン基、−O−、フェニレン基、およびハロゲン原子、からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の組み合わせから構成され、かつ1〜10個までの炭素原子、0〜10個までの酸素原子、0〜10個までのハロゲン原子、および1〜30個までの水素原子から成り立つ2価の有機連結基を表す請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  7. 一般式(1)中、Pは、ビニルモノマーの重合体または共重合体の残基である請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  8. 一般式(1)中、Pは、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体の残基である請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  9. 一般式(1)中、Rは、−C(=O)−O−、−O−、−C(=O)−NR−(Rは水素原子または炭素数4以下のアルキル基)、−O−C(=O)−NH−、フェニレン基、および炭素数1〜30のアルキレン基からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせから構成される(m+n)価の有機連結基を表す請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  10. 硬化剤を更に含む請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  11. 一般式(1)中、Pは、前記硬化剤と架橋反応し得る官能基を含む請求項10に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  12. 前記架橋反応し得る官能基は、ヒドロキシル基、アミノ基、フェノール基、およびカルボキシル基からなる群から選択される請求項11に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  13. 前記硬化剤は、ポリイソシアネートである請求項1012のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物
  14. 成分(C)は、平均粒子サイズが10nm以上50nm以下の強磁性粉末である請求項1〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  15. 成分(C)は、強磁性六方晶フェライト粉末である請求項1〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  16. 成分(C)は、強磁性金属粉末である請求項1〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  17. 成分(C)100質量部に対して、2〜30質量部の成分(A)を含む請求項1〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  18. 成分(D)は、ケトン系溶媒を含む請求項1〜17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  19. 成分(B)は、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル樹脂からなる群から選択される請求項1〜18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物。
  20. 非磁性支持体上に、請求項1〜19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用磁性塗料組成物から形成された磁性層を有する磁気記録媒体。
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