JP6427154B2 - 塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物および塗布型磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
カーボンブラックと、
エポキシ基含有塩化ビニル樹脂と、
下記一般式1で表される2級モノアミンと、
溶媒と、
を含む塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物、
を見出した。即ち、上記カーボンブラック組成物は、エポキシ基含有塩化ビニル樹脂を結合剤として含み、かつカーボンブラックの分散性および組成物の安定性の向上が可能である。
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する塗布型磁気記録媒体の製造方法であって、
非磁性層を、上記カーボンブラック組成物を、非磁性支持体上に塗布し乾燥させることにより形成することを含む塗布型磁気記録媒体の製造方法、
に関する。
本発明の一態様は、
カーボンブラックと、
エポキシ基含有塩化ビニル樹脂と、
下記一般式1で表される2級モノアミンと、
溶媒と、
を含む塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物、
に関する。
上記カーボンブラック組成物に含まれる2級モノアミンは、上記一般式1で表される。
一般式1中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アミン窒素原子のα位の炭素原子において分岐し且つ主骨格炭素数が7以下のアルキル基を表す。かかる構造を有することが、カーボンブラックの分散性向上および組成物の安定性向上に寄与していると本発明者らは推察している。これらの点から、上記の主骨格炭素数は、好ましくは2〜6の範囲である。
なお本発明および本明細書において、分子量とは、重合体については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記測定条件により測定されるポリスチレン換算による値である。一般式1で表される2級モノアミンは、重合体ではなく、単量体であることが好ましい。
GPC装置:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
上記カーボンブラック組成物に含まれるカーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等の各種カーボンブラックを適宜選択して使用することができる。使用可能なカーボンブラックについては、例えば、「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明および本明細書において、各種粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)の場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記カーボンブラック組成物は、以上記載した一般式1で表される2級モノアミン、カーボンブラックおよび詳細を後述する溶媒とともに、エポキシ基含有塩化ビニル樹脂を含む。先に記載したように、エポキシ基含有塩化ビニル樹脂は、磁気記録媒体の高性能化に寄与する結合剤として有用な樹脂である。エポキシ基含有塩化ビニル樹脂としては、一般に塗布型磁気記録媒体の結合剤として用いられているエポキシ基含有塩化ビニル樹脂を何ら制限なく使用することができる。それらの詳細については、特開昭61−53367号公報および特開昭60−238306号公報の全記載を参照できる。また、エポキシ基含有塩化ビニル樹脂は、公知の方法で合成可能であり、市販品としても入手可能である。市販品としては、例えば、カネカ社製MR樹脂(例えばMR104、MR110)を挙げることができる。
上記カーボンブラック組成物に含まれる溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体の製造に用いられる各種有機溶媒を単独で、または二種以上を任意の割合で混合して用いることができる。溶媒としては、中でも、塗布型磁気記録媒体の製造に広く用いられているケトン溶媒が好ましい。ケトン溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。溶媒全量100.0質量部に対するケトン溶媒の含有量は、60.0質量部以上であることが好ましく、75.0質量部以上であることが好ましい。また、溶媒全量100.0質量部に対するケトン溶媒の含有量は、例えば90.0質量部以下であるが、全量がケトン溶媒であってもよい。ケトン溶媒以外の有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、イソホロン等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を、ケトン溶媒とともに、またはケトン溶媒に代えて、溶媒として使用して上記カーボンブラック組成物を調製することができる。
上記カーボンブラック組成物は、以上記載した各種成分を含み、任意に一種以上の他の成分を含むことができる。任意に添加される成分(任意成分)には特に制限はなく、塗布型磁気記録媒体の製造に用いられる各種成分を挙げることができる。また、カーボンブラック以外の非磁性粉末の一種以上が任意の量で含まれていてもよい。この場合、非磁性粉末全量の中で最も多くを占める粉末がカーボンブラックであることが好ましく、非磁性粉末全量100.0質量部に対して50.0質量部以上がカーボンブラックであることが好ましく、70.0質量部以上がカーボンブラックであることがより好ましく、80.0質量部以上がカーボンブラックであることが更に好ましい。併用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等が挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報の段落0146〜0150を参照できる。
上記カーボンブラック組成物は、以上記載した成分を同時または順次混合し分散することによって調製することができる。分散には、ビーズミル、ボールミル、サンドミルまたはホモミキサー等、せん断力を利用した各種公知の分散機を使用することができる。例えば、分散を、分散ビーズを用いるビーズ分散によって行うことができる。分散ビーズとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズ、アルミナビーズが好適である。これら分散ビーズは、ビーズ径と充填率を最適化して用いることが好ましい。分散機は公知のものを使用することができる。上記カーボンブラック組成物の固形分濃度は、例えば5.0〜15.0質量%の範囲とすることができる。なお固形分濃度とは、上記カーボンブラック組成物における溶媒を除く全成分の合計の濃度をいうものとする。
本発明の一態様は、
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する塗布型磁気記録媒体の製造方法であって、
非磁性層を、上記カーボンブラック組成物を、非磁性支持体上に塗布し乾燥させることにより形成することを含む塗布型磁気記録媒体の製造方法、
に関する。以下に、上記製造方法について、更に詳細に説明する。
非磁性層の形成に用いるカーボンブラック組成物については、先に記載した通りである。かかるカーボンブラック組成物を、非磁性支持体上に、磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体を製造することができる。こうして形成される磁気記録媒体の非磁性層は、結合剤としてエポキシ基含有塩化ビニル樹脂を含み、非磁性粉末としてカーボンブラックを含む。なお非磁性層においては、エポキシ基含有塩化ビニル樹脂に含まれるエポキシ基はエポキシ基として存在してもよく、その一部が非磁性層に含まれる他の成分と反応した形態で含まれていてもよい。
一態様では、非磁性層の結合剤には、非磁性層の形成のために電子線の照射を要する電子線硬化型の結合剤が含まれないことが好ましい。また、一態様では、非磁性層の形成工程は、電子線の照射工程を含まないことが好ましい。
なお、本発明における磁気記録媒体の非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
磁性層は、強磁性粉末と結合剤を含む磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物(上記カーボンブラック組成物)と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。
強磁性粉末としては、磁気記録媒体の磁性層において強磁性粉末として通常用いられる各種粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気記録媒体の記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
磁性層形成用組成物に含まれる結合剤は、一般に塗布型磁気記録媒体の製造に用いられる各種の樹脂を何ら制限なく用いることができる。上記エポキシ基含有塩化ビニル樹脂を用いることも好ましい。結合剤については、特開2010−24113号公報の段落0028〜0031も参照できる。また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報の段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、磁性層の強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で使用することができる。
磁性層形成用組成物には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤や突起形成剤として機能し得る各種非磁性粉末、潤滑剤、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラック等を挙げることができる。なおカーボンブラックを含む磁性層形成用組成物に、先に記載した一般式1で表される2級モノアミンが含まれていることも、好ましい。この場合、結合剤としてエポキシ基含有塩化ビニル樹脂が含まれることも好ましい。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができ、または公知の方法で合成したものを使用することもできる。また、磁性層形成用組成物は、通常溶媒を含む。溶媒としては、磁気記録媒体の製造に通常使用される各種有機溶媒を何ら制限なく使用することができる。
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの非磁性支持体には、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理等を行ってもよい。
上記製造方法により製造される磁気記録媒体の非磁性支持体および各層の厚みについては、非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.0〜80.0μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化することができ、一般には10nm〜150nmであり、好ましくは20nm〜120nmであり、更に好ましくは30nm〜100nmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜1.5μmであることが更に好ましい。
また、製造される磁気記録媒体が、非磁性支持体の磁性層および非磁性層を有する側とは反対側にバックコート層を有する場合、バックコート層の厚みは、0.9μm以下であることが好ましく、0.1〜0.7μmであることが更に好ましい。バックコート層は、カーボンブラックおよび/または無機粉末および結合剤を含み、通常溶媒も含むバックコート層形成用組成物を、非磁性支持体の磁性層および非磁性層を形成した(またはこれらの層が追って設けられる)側とは反対側の表面上に塗布し乾燥させることにより形成することができる。バックコート層に含まれる結合剤、任意に含まれ得る各種添加剤については、磁性層や非磁性層の処方に関する公知技術を適用することができる。一態様では、上記カーボンブラック組成物は、バックコート層形成用組成物として用いることもできる。
(各層形成用組成物の調製)
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも分散工程を含み、例えば、混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程を含む。個々の工程はそれぞれ二段階以上に分かれていてもかまわない。各層形成用組成物の調製に用いられる各種成分はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。上記磁気記録媒体の製造工程では、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダ等の強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。分散機としては、ビーズミル、ボールミル、サンドミルまたはホモミキサー等、せん断力を利用した各種公知の分散機を使用することができる。分散には、好ましくは分散ビーズを用いることができる。分散ビーズについては、先に記載した通りである。分散ビーズのビーズ径およびビーズ充填率は、特に限定されるものではなく、分散対象の粉末に応じて設定すればよい。
非磁性層および磁性層は、非磁性層形成用組成物および磁性層形成用組成物を、逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。バックコート層は、バックコート層形成用組成物を、非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する(またはこれらの層が追って設けられる)側とは反対側に塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報の段落0066を参照できる。
磁気記録媒体製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報の段落0067〜0070を参照できる。
<実施例1>
以下に記載の成分:
下記カーボンブラック:1.0質量部、
表1に示すアミン化合物:0.040質量部、
樹脂(1):1.0質量部、
を、メチルエチルケトン:12.0質量部、シクロヘキサノン:8.0質量部の混合溶媒中に懸濁させて懸濁液を得た。この懸濁液にビーズ径0.1mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製)120gを添加し、15時間分散させてカーボンブラック組成物(分散液)を得た。
使用したカーボンブラックは、三菱化学社製#950B(平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ):18nm、BET比表面積:260m2/g、DBP吸油量:79ml/100g、pH:7.5)である。
樹脂(1)は、エポキシ基およびスルホン酸塩基含有塩化ビニル樹脂溶液(カネカ社製MR104、固形分濃度約30質量%)である。
アミン化合物として、表1に示すアミン化合物を使用した点以外、実施例1と同様の方法でカーボンブラック組成物を調製した。
アミン化合物として、表1に示すアミン化合物を使用し、かつ樹脂成分を、下記樹脂成分:
樹脂(1):0.5質量部、
樹脂(2):0.5質量部、
に変更した点以外、実施例1と同様の方法でカーボンブラック組成物を調製した。樹脂(2)は、スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂(東洋紡社製UR4800、固形分濃度約30質量%)である。
1.分散性の評価
上記カーボンブラック組成物(分散液)をシリンジに5mL程度採取し、このシリンジの先端に開孔径0.1mmのろ布を取り付けた後に、シリンジから上記ろ布を通して分散液を排出することによりろ過を行った。このろ過により、分散に用いたビーズを分散液から取り除くことができる。
ろ過後のカーボンブラック組成物を、帝人社製PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム(非磁性支持体)上に2.5μmのギャップを持つドクターブレードを用いて塗布し、室温で60分放置して乾燥させて塗膜を作製した。ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022による走査型白色光干渉法にてScan Length:5μm、対物レンズ:20倍、中間レンズ:1.0倍、測定視野:260μm×350μmの条件にて、塗膜の表面粗さを測定した。測定結果を、HPF(ハイパスフィルタ):1.65μm、LPF(ローパスフィルタ):50μmでフィィルタ処理し、中心線平均表面粗さRa値を求めた。
カーボンブラック組成物におけるカーボンブラックの分散性が高いほど、作製された塗膜の表面平滑性は高まるため、測定されたRa値は、カーボンブラック組成物におけるにおけるカーボンブラックの分散性の指標とすることができる。測定されたRa値に基づき、下記基準により分散性を評価した。分散性の評価結果はAまたはBが好ましく、Aがより好ましい。
Ra値が1.6nm以下:A
Ra値が1.6nm超2.0nm以下:B
Raが2.0nm超:C
組成物の安定性(液安定性)を以下の方法により評価した。
上記カーボンブラック組成物を、調製後3日間室温にて静置して保存し、保存後のカーボンブラック組成物を、上記1.でのろ過と同様にシリンジおよびろ布を用いてろ過を行った。上記保存により増粘や固化が起こると、スムーズにろ過ができない現象やろ過した分散液の液面が平滑にならない現象が確認される。そこで、上記ろ過時の挙動から、以下の評価基準により液安定性を評価した。
OK:スムーズにろ過でき、ろ過した分散液の液面はすぐに平滑になった。
NG:スムーズにろ過ができない、またはろ過した分散液の液面が平滑にならない。
<実施例7〜10、参考例2、比較例5〜8>
(磁性層形成用組成物の処方)
強磁性板状六方晶フェライト粉末:100.0部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
保磁力Hc:160kA/m(2000Oe)
平均粒子サイズ(平均板径):20nm
平均板状比:2.7
BET比表面積:60m2/g
飽和磁化σs:46A・m2/kg(46emu/g)
ポリウレタン樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン(登録商標)UR4800、SO3Na濃度:70eq/ton、重量平均分子量70,000):4.0部
塩化ビニル樹脂(カネカ社製MR104、重量平均分子量55,000):10.0部α−Al2O3(平均粒子サイズ0.1μm):8.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ:0.08μm):0.5部
シクロヘキサノン:110.0部
上記の各成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルタを用いて濾過し、磁性層形成用組成物を得た。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
ステアリン酸アミド0.2部
メチルエチルケトン:50.0部
シクロヘキサノン:50.0部
トルエン:3.0部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):2.5部
非磁性粉末(αFe2O3 ヘマタイト):80.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
BET比表面積:52m2/g
pH:6
タップ密度:0.8
DBP吸油量:27〜38g/100g
表面処理剤:Al2O3およびSiO2
カーボンブラック:20.0部
平均粒子サイズ:0.020μm
DBP吸油量:80ml/100g
pH:8.0
BET比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
表2に示すアミン化合物:0.8部
樹脂(1):19.0部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
SO3Na濃度:100eq/ton
メチルエチルケトン:150.0部
シクロヘキサノン:150.0部
上記各成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、1μmの平均孔径を有するフィルタを用いて濾過し、非磁性層形成用組成物を得た。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:1.0部
メチルエチルケトン:50.0部
シクロヘキサノン:50.0部
トルエン:3.0部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ40nm):85.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ100nm):3.0部
ニトロセルロース:28.0部
ポリウレタン樹脂:58.0部
銅フタロシアニン系分散剤:2.5部
ニッポラン2301(日本ポリウレタン工業社製):0.5部
メチルイソブチルケトン:0.3部
メチルエチルケトン:860.0部
トルエン:240.0部
上記成分をロールミルで予備混練した後サンドミルで分散し、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン500)4.0部、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)14.0部、およびα−Al2O3(住友化学社製)5.0部を添加し、攪拌および濾過してバックコート層形成用組成物を得た。
厚み5.0μmのポリエチレンナフタレート支持体の両表面にコロナ放電処理を施した。
上記ポリエチレンナフタレート支持体の一方の表面に、上記の非磁性層形成用組成物を乾燥後の厚みが0.7μmになるように塗布し、更にその直後にその上に磁性層の厚みが60nmになるように磁性層形成用組成物を同時重層塗布した。両層が湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより垂直配向処理を施した後に乾燥処理を施した。
その後、上記ポリエチレンナフタレート支持体のもう一方の表面に上記のバックコート層形成用組成物を、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布した。次いで、金属ロールから構成される7段のカレンダでカレンダロールの表面温度100℃にて速度80m/minでカレンダ処理を行い、1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットして磁気テープを作製した。
<テープの平均表面粗さ>
実施例7〜10、参考例2および比較例5〜8の各磁気テープの磁性層表面(測定面積:40μm×40μm)の中心線平均表面粗さRaを、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(AFM):BRUKER社製のNanoScope V)を用い、コンタクトモードで測定した。
実施例で使用したアミン化合物は、一般式1で表される2級モノアミンである。
これに対し、
・比較例1および比較例5で使用したアミン化合物は、3級アミンである。
・比較例2および比較例6で使用したアミン化合物は、一般式1で表される2級モノアミンに該当しない2級モノアミン(アミン窒素原子に結合するアルキル基が、α炭素での分岐構造を含まない炭素数が8以上の直鎖アルキル基である)である。
・比較例3および比較例7で使用したアミン化合物は、ヒドロキシル基を含有する2級モノアミンである。
・比較例4および比較例8で使用したアミン化合物は、一般式1で表される2級モノアミンに該当しない2級モノアミンである。
各アミン化合物としては、市販品を用いた。以上の各種アミン化合物の物性を、以下の方法によって評価した。
先に記載の方法により、各種アミン化合物の沸点を測定した。
テトラヒドロフラン(THF)と水とを、体積比が前者/後者=60/40になるように混合した混合溶媒に、各アミン化合物の濃度が5mmol/Lとなるようにアミン化合物を添加して調製したpH測定用溶液のpHを、アミン化合物のpHとする。
表2に示すpHは、調製したpH測定用溶液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、滴定装置(京都電子工業社製AT−510)にて測定したpHである。なおここでは上記滴定装置を用いたが、pH測定が可能な装置であればよく、この装置に限定されるものではない。
エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE:東京化成製)のエポキシ基とアミン化合物の窒素数がモル比1:1となるように秤量してよく振り混ぜたサンプルを約5mg採取してアルミニウムパンに入れ、0℃〜200℃の温度域で10℃/min.の昇降温速度にて示差走査熱量測定を2サイクル実施した。EGDGEのみの場合と比較して2サイクル行う昇温の1サイクル目の昇温時の発熱ピークの有無にて反応性を確認した。ここで発熱ピークが確認されない場合を反応性「無」、確認された場合を反応性「有」として評価した。上記示差走査熱量測定は、DSC(Differential scanning calorimetry:メトラー社製)を用いて実施した。
Claims (12)
- カーボンブラックと、
エポキシ基含有塩化ビニル樹脂と、
下記一般式1で表される2級モノアミン(但し、ジイソプロピルアミンを除く)と、
溶媒と、
を含む塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物;
- 前記エポキシ基含有塩化ビニル樹脂は、スルホン酸基およびその塩からなる群から選ばれる基を含有する請求項1に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記2級モノアミンの分子量は、85〜300の範囲である請求項1または2に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記2級モノアミンは、ピペリジン環、シクロヘキサン環、および分岐メチル基を有するアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記2級モノアミンは、テトラメチルピペリジン、イソプロピルヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびジ−sec−ブチルアミンからなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記2級モノアミンの沸点は、100℃以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記溶媒は、ケトン溶媒を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記2級モノアミンを、カーボンブラック100.0質量部に対して2.0〜10.0質量部含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 前記エポキシ基含有塩化ビニル樹脂を、カーボンブラック100.0質量部に対して20.0〜50.0質量部含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 塗布型磁気記録媒体の非磁性層形成用組成物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物。
- 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、前記非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する塗布型磁気記録媒体の製造方法であって、
前記非磁性層を、請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗布型磁気記録媒体製造用カーボンブラック組成物を、前記非磁性支持体上に塗布し乾燥させることにより形成することを含む、前記塗布型磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁性層を、強磁性六方晶フェライト粉末および結合剤を含む磁性層形成用組成物を、前記非磁性層上に塗布し乾燥させることにより形成することを含む、請求項11に記載の塗布型磁気記録媒体の製造方法。
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